第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第4号
平成十五年五月十四日(水曜日) 午前十時二十二分開会
○委員長(尾辻秀久君) 個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。
衆議院では積み残しになりました重要課題の一つであります防衛庁のリスト問題について質問したいと思います。
衆議院の質疑が行われているさなかに、報道で、防衛庁が自衛官募集のために自治体から不適切な個人情報を集めていたということが、不適切に個人情報が集められていたということが明らかになりました。この問題を明らかにすることがこの法案を十分に質疑をしたということにつながっていくのではないかという思いで質問をさせていただきたいと思っております。
防衛庁は四月二十三日に調査結果を発表しておりますが、その後、この調査は不十分であるということで四月二十五日に再報告を行っております。その二十三日のときには四情報以外の情報提供を行った市町村の数を三百三十二としておりましたが、二十五日の再報告の際にはこれが四百四十一となっておりまして、この再報告のときには二十四日の全日、一日、二十四時間掛かって四百四十一となりまして、この調査内容は十五年四月二十四日二十四時現在で、引き続き精査中のものということでございました。
ここで質問は終わって、その後この問題については引き継がれておりません。あれから三週間たっておりますけれども、最新の数はどうなったか、お聞きしておきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
まず、この地方公共団体からの情報提供のことでございますけれども、これは自衛官の募集という大変大事な仕事でございますので、防衛庁の地方連絡部がまずやります。それと同時に、法定受託事務として地方公共団体もこの募集事務の一部をやると、こういうことになっておりまして、地方公共団体が募集に必要な情報を集めるということは当然行われるわけであります。地方公共団体もやりますし、地方連絡部、防衛庁の方もやります。その間で情報の提供を協力していただいていると、こういうことで、これはいずれも法律に基づいて行われているものでございますので、不法にと、不当にということではないということでございます。まず申し上げたいと思います。
○岡崎トミ子君 不適切にと申しました。
○副長官(赤城徳彦君) そういうことで適法に、適切にやっているということでございますが、いずれにしましても、衆議院の段階でこの調査報告を出させていただきました。
その際、まず二十三日に委員会からの御指摘でまず早く出しなさいということでございまして、その一両日、夜を徹してこの調査いたしましたので、数字についてはいろいろ出入りがありますということで二十三日にお出しいたしました。その後、より正確なものをということで二十五日に改めてお出ししたわけですけれども、その段階でもなかなかその数字をきちっと確定するというのは、これは膨大な数になりますのでなかなか難しいので、数字の入れ替わり等ございますということでお出ししました。
そこでいろいろ御指摘、御批判もございまして、できるだけ正確にということになりますと、これはやはりどうしても時間が掛かります。現在なお精査中でございますので、いつまでにこの正確なものが出るかとか、あるいは今段階でどうだと、こう言われましても、衆議院の段階でも二十三日、二十五日にお出ししましたけれども、その中間段階で御報告するよりもできるだけ正確に精査した上で改めて御報告した方がいいかというふうに存じております。
○岡崎トミ子君 二十四時間で三百三十二出て、また二十四時間の間に四百四十一、三割増えて、現在まで三週間でこの間の作業がじゃどうなっていたのか、そのことについてお聞きしなくちゃいけないというふうに思いますけれども、またそれ後ほどお聞きするといたしまして、まず、四月二十四日のこれは毎日新聞、赤城さんもごらんになったと思いますが、北海道の留萌市が毎月の転入届から十八歳から二十八歳の無職の男性のみリストにいたしまして自衛隊の旭川地連留萌募集事務所に提供していたというふうに報じております。このケースは防衛庁が提出したリストには掲載されておりません。これを見ますと、ゼロということで全く何も掲載されておりませんが、これはどういうことでしょうか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
この報道にあります件でございますけれども、四月の二十三日及び二十五日の衆議院の個人情報保護特別委員会に対する報告にこの留萌市からの適齢者情報の提供を受けていた事実が含まれていなかったということでございますが、これはその調査の具体的な調査範囲とか対象とかやり方についてはまた必要があれば事務方からお答えしたいと思いますけれども、まず現存するものについての調査でございますので、これは、それが含まれていなかったのは当該資料が現存していないということでその調査報告には出ていないということでございます。
なお、ということでありまして、現存する資料について全体の調査をしたということでございます。
○岡崎トミ子君 廃棄されたケースとか、担当者が替わったケースとか、あるいは担当者は閲覧だと思って、これはもう当たり前の方法なんで報告する必要がないと、いろいろとこのゼロであったということに関しては理由を言うことはできるだろうなというふうに私の方は想像しておりましたが、ただいまは、廃棄されてそれは残っていないという方法、そういうことだったというふうに今おっしゃっているわけなんですけれども。結局、出されたこの表は完全ではないということですね。
○副長官(赤城徳彦君) この調査については、全国、現存する資料について、一定の時期のものについて今現在現存するものについて調査をする、その調査の様式はこれこれのもので、こういうふうに出しなさいと。それについてきちっと精査して、数字も合わせたりとか、そういうことをすると。そういう作業をやっておりますので、既に二十三日、二十五日に御報告した中身、これは市町村、地方公共団体から一定の募集に関しての情報の提供をいただいていると。その中身として、氏名とか住所とか生年月日とか性別のほかに、例えば保護者名とか郵便番号とかこれこれの情報がありますというその基本的な事実関係については、これは変わっていないところでございます。
御指摘のその数字については、もう既にその報告のところにも注記、あえて御報告してあるんですが、数字についての入れ替わりはありますと。これは膨大なデータですし、記入する際に、きちっとこういう様式でこういうふうに記入しなさいということで調査をかけるわけですけれども、担当者の記入間違いとかいろいろなところはそれは多少はありますと。そこを精査するということで、できるだけ正確なものをお出しするために現在もなお精査中でございますけれども、基本的な事実関係については現在も変わりない、既に報告したものと変わりないということでございます。
○岡崎トミ子君 結局、この出されておりますのは地方公共団体から地連への情報提供の内容等をまとめたものというふうになっておりまして、地連は県レベルというところで、幾つの地方公共団体から、本当は市区町村でもってどういう提供を受けたのかを報告されない限り、この留萌というのは全然出てこないわけですね。北海道で、そして旭川でということになりますと、市町村の段階ではどういう提供が受けたのか、それが報告されていないということなわけなんですけれども。
具体的にどの市区町村がどういう提供を行ったのかについて明らかにしていきたいというふうに思っているんですね。つまり、自分の、自分自身があるいは自分の息子がこのリストに載っているのかどうかを知りたいと思うのは当然なことでありますし、これは市町村レベルのデータが何としても必要なのであります。四情報以外の情報を提供した市町村名を是非公表していただきたいというふうに思っております。もし、今までのところでそれが増えているのであるかどうかということについても教えていただきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) 先ほど留萌市のことについてお触れになりましたけれども、これは報道にもありましたし、御指摘でしたので、これは資料として現存しないということでお答えいたしました。
ただ、一般的に市町村名はどうかと、こういうことになりますと、最初に申し上げましたように、これは地方公共団体も法定受託事務として募集の事務をやっております。防衛庁の方も地連がやっていると。その間の適齢者情報についての提供をいただいている、市町村に御協力をいただいているということでございますので、これは地方公共団体名を公表するということになりますと、地方公共団体が協力していただいて提供していただいているということでありますから、これはやっぱり相手方があることですので、その地方公共団体の御了解を得た上で対処するということが大切だというふうに思っております。
○岡崎トミ子君 衆議院の質疑で総務省が答弁しているとおり、市町村名というのは情報公開法にのっとっても非開示の情報ではありません。そして、非開示の情報でないばかりか、そもそも情報公開法を使って請求しなくてはならないような、そういう情報でもありません。当然、これは出すべきだというふうに思っております。
今の、相手方があることなんだから公開できないというわけですけれども、それではそのリストに載せられた個人、その個人についての配慮というのはないのか。そして、相手方の了解が必要だということでありますけれども、それでは相手方の了解を得る努力はされているのか。その二つについてお答えいただきたいというふうに思います。本人の知る権利ということにかんがみ、お答えいただきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) これは情報公開でどうかということもあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、これは市町村の法定受託事務で募集事務を行っているというわけでございますから、そもそも市町村が行う事務だと。それについて一定の情報を、こちらも募集事務を行うわけですから、提供いただいているという、お互いの協力関係でやっているわけでございまして、そういう中で努力しているのかと、こういう御指摘でありましたけれども、それはきちんと確認をいたしておりますが、なかなかそれは、公表ということについては難しいという状況でありまして、そういう中で、相手方の了解なくそれを公表するということは、市町村自身についても、また我々の方でも、この募集事務を円滑にするという上からもなかなかそれは難しいと。
お互いの協力関係でやっているということを是非御理解をいただきたいと思います。
○岡崎トミ子君 公表できないことをやっているんですか。確かめようと思えば、一件一件回ってきちんと了解を得るという方法だって絶対できないということは言えませんし、人間関係、信頼関係において行うということでしたら、私たちはそれ、全貌に、明らかにすることはできないわけですから、もう調べたことについての市区町村名、発表して報告すべきだというふうに思っております。
ですから、もしあれだったら、なぜ出せないのかについておっしゃってください。
○副長官(赤城徳彦君) なぜ出せないかというのは、そういうふうな募集に関しての協力関係でやっているということなんでございますけれども、そもそも衆議院の委員会にも報告をいたしましたが、これは一定の募集に関して必要な情報についての提供をいただいている、その事実関係がどうなのかということでございましたので、報告をお出ししました。その中で、一定数の市町村、かなり数は多いじゃないか、増えたじゃないかと、こういう御指摘ありますけれども、一定の市町村については、その四情報以外に、保護者とか、こういう情報もありますという報告をお出ししました。
それは、その四情報は、住民基本台帳法上、何人も閲覧できる情報ですけれども、それ以外の情報であっても、これは法律上、法定受託事務として市町村が行っていますので、募集に関して必要な情報であればそういうような資料を作ることもできますし、その情報を防衛庁に提供することも、これは法律、政令に基づいて行っているわけでありますから、これは適法なものでございます。
そういうことについて、一定の地方公共団体がこういうふうな情報を提供していますと。その提供している情報の中身としては、四情報以外に、例えば保護者名とか郵便番号とか電話番号とかこれこれがありますということで御報告をしたわけでございまして、それは法律上認められたものについて一定の事実関係を報告をしたということで、基本的には事実関係きちっと御報告をさせていただいている、こういうふうに考えております。
それ以上に、個々の市町村名がどうかということになりますと、これは先ほど申し上げたとおり、これは募集事務に当たっての支障も生じてまいりますし、相手方もあることでございますので、それは是非御容赦をいただきたいと。しかし、必要な事実関係については既に御報告したものと基本的には変わらないということでございますので、是非御理解をいただきたいと思います。
○岡崎トミ子君 情報の内容についても、防衛庁が発表したのは、ただいまおっしゃっておりましたけれども、職業とか世帯主ですとか保護者、筆頭者、何か同じようなことだなとは思っているんですけれども、具体的にどのような内容か分からない。個人はそれを知りたいと思う、会社名か職種だけなのか、何らかの理由があってこういう、どういうふうな情報を収集したのか。そこまでお聞きしたいと思います。
昨日ちょっと防衛庁の方とお話をしたときには、出されたものに関しては黒塗りにしたというようなことを言っておりましたけれども、それは本当ですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、既に御報告してありますように、市町村によってどの範囲を出しているかというのはいろいろですけれども、四情報、住所、氏名、生年月日、性別のほかに、例えば世帯主とか保護者等、筆頭者、続柄、郵便番号、電話番号、そういった項目があるということでございます。
ちょっと墨塗りというのはよく分かりませんけれども、個人のプライバシーにかかわるようなところで公表できないものについては墨塗りだという意味かと思いますけれども、ちょっとよく分かりませんが、その点については。
○政府参考人(宇田川新一君) 今、委員御発言の墨塗りの件でございますが、今度の調査に当たりまして、所有しています地連の方では墨塗りにしてはおりませんが、私どもに取り寄せる場合にはプライバシーの関係がありますので墨塗りにして私どもに送ってきた、そういう意味でございます。
○岡崎トミ子君 自治会名というふうにありますけれども、これは町内会を通したというような意味でしょうか。
○政府参考人(宇田川新一君) 自治会名は町内会等、そういうふうな記述でございます。
○岡崎トミ子君 今も何かお答えにならないようなんですけれども、今のように全く明らかにならないようなものをお出しになっているということなんですね。ですから、こういう世帯主、保護者、筆頭者、続柄、郵便番号そのほかというようなことで出されているもの、これをやっぱり何を本当に出させたのかという項目だけでなく、具体的に報告をしていただきたいというふうに思っております。
後で分かった、実はこうだったというふうに言われないように、正確に私はやるべきだというふうに思っています。それは自分自身の知る権利、それぞれが知る権利でありますし、検証の可能性ということも、やはりここでこのデータがどの程度のものなのかということについて、やはり細かく、しかも網羅的に全体像を知るということが、何が間違っていたのか、この法制をきちんと仕上げていくときに教訓ということもこの中から出てくるかもしれない。
それがこういうふうに項目だけでは全貌が明らかになっていないので、本当によく分からないという状況なものですから、これからも万が一再発しないとも限らない、そんなふうな心配もありますので、是非これは出していただきたいと思いますので、ここで、私、委員長にもお願いしたいと思いますが、市区町村名と、それからそれぞれが提供した情報の内容というものを是非資料として提出をしていただきたいと思います。
○委員長(尾辻秀久君) 後ほど理事会で協議をいたします。
○岡崎トミ子君 職業とか学校名というのは住民基本台帳では分からないわけですけれども、これはどうやってお調べになったんでしょうか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、先ほど来御説明いたしましているように、住民基本台帳法上の根拠ではありませんで、そもそも法定受託事務として市町村が行っている事務でありますから、その市町村が募集にとって必要であるということであれば、例えば連絡をするとかダイレクトメールを発送するとか、いろんな意味で、必要があればそういう情報を収集するということでありまして、それは各地方公共団体がいろいろな方法で収集をするということだと思います。
○岡崎トミ子君 何か明らかにされないという形で、山梨では学校の名簿を集めたということですよね。今の、その中で積極的に関与をしたということが明らかになっているわけなんですけれども、やはりこの問題について防衛庁が気付かれたのは去年の六月ですよね。そして、その後、口頭で指示を出したのが十一月で、調査を始めたのが今年の四月ということでありますけれども、この間は、防衛庁としては指摘されるまでは何もしていなかったということでしょうか。
○副長官(赤城徳彦君) これ、何度も繰り返しになりますけれども、法律に基づいてそれぞれの募集事務が行われ、これは施行令の百二十条の趣旨に基づいて情報の提供をいただいているという、いずれも法律の根拠をもって行っているものでございます。
ただ、過去の事案とか、その反省に立って、改めて本当に必要なものは何なのかとか、その募集事務あるいは地連の業務について見直しをする中で、まあ募集について必要な情報であります。四情報以外であっても必要な情報は、これは適法なんですが、必要最小限にすべきであろうということで、昨年の十一月でしたかの募集担当者会議で必要最小限の四情報に限定することが適切だろうということで、その旨の指示を行いました。
さらに、四月の二十四日ですけれども、防衛庁長官名で通達を発出して、何人でも、住民基本台帳法上、何人でも閲覧を請求できるという四情報に限定するようと、これの徹底を図ったというところでございます。
○岡崎トミ子君 何か私たち納得できないので、資料をいただいた上でじっくり議論をしていきたいというふうに思っております。
一点、衆議院での議論とも重なる部分がありますので、確認をしておきたいと思いますが、総務大臣。
防衛庁が情報提供を求めた根拠について自衛隊法施行令の百二十条を挙げられておりますけれども、これは、内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときには、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができるという、一般的なこれは規定でありますけれども、このデータですね、百二十条だけを根拠にして住民基本台帳法に基づかずに出していいのか、このことについてお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) その施行令の百二十条の前に九十七条の一項というのがあるんです、自衛隊法の。ここで、「市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」と、こうなっているんですね。政令がいろいろあるんですが、その政令の一つが百二十条なんです、施行令の百二十条。そこで、自衛官の募集の事務の一部として、それに関する例えば必要な報告だとか資料の提出は、それは国の方が求めることができて、それは市町村長は応じると、こういうことになっているんで、これは住民基本台帳の特例なんですよ。
ほかにもありますよ、刑事訴訟かなんかに。そういう、別の法律に特に定めがあれば、それは住民基本台帳法とは別の手続でやれると、こういうことでございまして、この辺は、法律はそういうことになっているわけであります。
○岡崎トミ子君 ここにあります「必要な報告」というのは、一体だれが判断して出せるようになるんでしょうか。
これは、超えてはならない一線を超えるという場合もあります。例えば、親が離婚しているかどうかというのも、親の名前が知りたい、もう義務教育の子供たちなのでそういうのを知りたいといってお調べになっていますけれども、そういうときにそういうことも、プライバシーも全部出てしまう。
百二十条で、こういう離婚しているかどうか、そんなことまでこれは取れますか。
○国務大臣(片山虎之助君) それは、施行令に「必要な」と書いていますから、自衛官の募集に必要な情報ならいいんですよ。必要でない情報はいかぬ、いけない、それは。
そこで、例えば、健康かどうかなんというのは、これはかなり際どいという意見もありますけれども、防衛庁側にしてみたら、自衛隊の方にしたら必要かもしれませんわね。それから、親御さんも、未成年者なんかがおる場合ありますから、親御さんのことも知りたいというのはあるいはあるかもしれませんが、基本的には私は四情報に限ってもらうのが一番いいと思うんですよ、公開情報の。それで、防衛庁の方も今後は四情報に限ると言っていますから、そこは、今までちょっとおかしいとか、おかしく、ぎりぎりのところのものがあるいはあったかもしれませんけれども、今後は、岡崎委員、四情報でやってもらえると思っています。
○岡崎トミ子君 百二十条で求めることができる情報と求めることができない情報というので、今は四情報に限るのがいいと言ったんですけれども、出ているものですから。
百二十条でこれは必要な報告、それから資料の提出を求めることができるという、この判断するのは一体だれなのか。担当部局だとすると、仕事が熱心だと、その人が欲しいと思ったら、これは出せるということになってしまいますので、求めることができる情報と求めることができない情報というのはどんなふうに考えますか。
○国務大臣(片山虎之助君) これは施行令上は内閣総理大臣になっているんですよ。内閣総理大臣が防衛庁の仕事の主務大臣なんですよ。だから、その内閣総理大臣を補佐するのが防衛庁長官なんですよ。だから長官なんですよ。これがちゃんとした大臣になればと言ってはちょっと語弊がありますけれども、防衛大臣になれば主務大臣になる。ところが、防衛庁長官、外局ですから、内閣府の。だから補佐なんですよ、今。
だから、内閣総理大臣となっているんですが、恐らくいろんな権限の委任規定や何かで、それはそれぞれのつかさの人がなっていると思いますよ。だから、そのつかさの人の判断です、一次的には、一次的には。いいか悪いかの議論はいろいろあるかもしれませんが、こういうものはもう最終的には全部、省ですよ、最後は。一次的には、その今、権限がある人。施行令上は内閣総理大臣だけれども、権限を委任されていると思いますから、その権限者と、こういうことであります。
○岡崎トミ子君 それじゃ確認しますけれども、今まで出していたのは担当部局がその信頼関係でずっと出してきたというふうに今私は思っているんですけれども、これからはそうではなくて、確認したいのは、担当部局の判断で出すのではないということですね。その部署が仕事熱心で、これが必要だと思って、そういうものではないということでよろしいですね。
○国務大臣(片山虎之助君) 施行令上は内閣総理大臣で、内閣総理大臣の権限を委任された人なんですけれども、恐らく、そういうことの規定の上に立って依頼をしているんだと思いますよ。各地連が、都道府県なり地連がですよ。こういう九十七条一項があります、それに基づく自衛隊法施行令の百二十条がありますと、こういうこともあるんでひとつ、その権限行使ということじゃなくて、権限に基づいて資料提出の依頼をしているんだと。だから、応じるところもあるし、聞いてみますと、一部は、それは困るといって、勘弁してくれというところもあるようですから。
事実上の権限行使という形じゃ私はないと思いますが、詳しいことは防衛庁の方に聞いていただければ有り難いと思います。
○岡崎トミ子君 じゃ、どなたか。短めにお願いします、あと二分ですから。
○副長官(赤城徳彦君) まず、この情報の提供ですけれども、何でも出していいということでありませんで、先ほど総務大臣からのお答えにありましたように、その自衛官の募集という目的に沿ったものでなければならないというわけでございます。
そうすると、その四情報以外であっても、例えば親御さんの氏名とか、そこへ何か連絡をしたい、本人に直接じゃなくて親の方に連絡をしたいというときに、そのための必要な情報というのはこれは認められているわけです。これは九十七条、それから施行令の百二十条、それぞれ必要な情報があれば、それはいいわけです。ただ、それは必要最小限に限ろうと。
その最小限というのはどの、どういう基準かということで、住民基本台帳法上は、何人でも閲覧できると、こうなっていますから、その四情報があれば必要最小限としてそれでいいんではないかということで、昨年の十一月に担当者会議でそれを徹底して、また四月の二十四日に長官からそういうことを周知徹底をしたということでございます。
○岡崎トミ子君 行政機関が個人情報を取得する場合には、内容も、そしてその手法も、適法かつ適正に行うべきということは義務付けを行わなければいけないというふうに思うんですね。
でも、義務付けても、同じ役所関係ということで、やはり担当部署に任せ切ることになる現状でも駄目だというふうに私は思っておりまして、当事者に判断させたら何でも必要になっちゃうという心配もあり、再発も心配があり、やはりチェックできる体制というのが必要で、それがシステム上あるということが大事だというふうに思っておりますので、この点に関しては次の回でこの点議論をしていきたいというふうに思っております。
委員長には再度、市区町村名公表、そしてその内容についての公表について、理事会でのきちんと取りまとめをよろしくお願いをしたいと思っております。
ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 先ほど申し上げましたとおりに、後ほど協議をいたします。
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
個人情報の保護に関する法律案等五法案につきまして、しっかりした情報保護・開示の法制度とすべしという見地から御質問させていただきたいと思います。
まず、一昨日になりますけれども、五月十二日に住基ネットに接続する全国の市町村のセキュリティー対策についての調査結果というものが出ているようでございます。一部不備があるというふうな報告のように聞いておりますけれども、その概要、今後の対処方針、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えをいたします。
ちょうど五月十二日、月曜日でございますが、私どもで開催しております住基ネットの調査委員会がございまして、これ、民間のセキュリティー等の専門家に集まっていただいて、主としてセキュリティーとか安全対策の問題について御意見を伺っている会議でございますが、そこに本年一月と二月に市町村に住基ネットに関するセキュリティー対策の自己点検をお願いした結果がまとまりましたので御報告したものでございます。
全体を通して見ますと、全国の九割程度の市町村では体制とか規定の整備や必要な管理がなされておりまして、総じて適切なセキュリティー対策が講じられているというふうに認識しておりまして、この調査委員会でもその旨の御発言があったところでございます。ただし、新聞報道等にもございますように、一部の市町村においては必ずしも十分な対応がなされていないという面があるのは事実でございました。
この結果を踏まえまして、早速、昨日、都道府県の担当者の会議を開きまして、その結果を踏まえて自主的にセキュリティー対策の強化を実施してもらうようお願いしたところでございまして、この七月上旬を目途にそのセキュリティー対策の実施状況について報告を求めております。第二次稼働、八月の二十五日でございますが、までには住基ネットの適切な管理運営がなされるよう更に徹底を図ってまいる所存でございます。
○辻泰弘君 いよいよ今お話がございました八月二十五日から本格稼働するということでございますので、それについてはやはりしっかりとした体制となるようにお取組をいただきたいと思います。
大臣、一言だけそのことについて。
○国務大臣(片山虎之助君) 大変、委員の先生方の御指導や御支援で、去年の八月五日から一次稼働を始めまして、二次稼働、今年の八月後半を考えております。
今までのところ致命的な問題は出ておりません。若干の機器のトラブルその他ありましたけれども、これは日本じゅうやるんですから、三つ四つ、まだ待ってくれというところはありますけれども、その意味では致命的な問題は起こっておりませんが、しかしセキュリティーはもう万全の上にも万全を期さなきゃいかぬと、こういうことで調査をいたしまして、その結果、約一割、百点でない自治体も出てきたようですから、ここを重点的に指導しまして、国民の皆さんに安心をしてこの住基ネットシステムに信頼をしていただくように今後とも努力いたしてまいりたいと思いますし、二次稼働につきましては十分な準備をしてまいりたいと、こう思っております。
○辻泰弘君 以下、幾らか通告と若干順序が入れ替わったりするかもしれませんけれども、御質問させていただきます。
まず、総務大臣にお伺いしたいと思います。
行政機関の保有する方の個人情報の方ですけれども、従来の電子計算機処理に係る法律のときは、十三条で、「学校教育法に規定する学校における成績の評価又は入学者の選抜に関する事項を記録する個人情報ファイル、病院、診療所又は助産所における診療に関する事項を記録する個人情報ファイル」等についてはこの限りではないと、開示請求の対象外であると、こういう位置付けがあったわけです。
まず基本的にお聞きしたいんですけれども、まず、そのとき何ゆえその規定があったかということと、今回はそれが外れているわけですけれども、そのことについて御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 現行法で外しておりますものは、例えば教育関係では入学試験の成績だとか、本来の成績、通知表みたいなものですよね。そういうものだとか、医療の関係ではカルテなんですね。これは国と国民との間の権利義務関係としてとらえることもできないわけじゃないけれども、やっぱり学校の先生と児童というんですか生徒と、あるいはお医者さんと患者の言わば秘密というか信頼関係というのか、そういうものでございまして、ちょっとそこまではという議論があったと思います、当時。
そこで、これは適用除外にしたんですが、今回、こういう状況でございますから、できるだけ今回は、行政機関が保有する情報は物のいかんにかかわらず開示を可能な限り広げていきたいと、こういうことで、今回はこういう教育や医療のかなり個人的な信頼関係に基づくようなものまでその対象に加えることにいたしたわけであります。
○辻泰弘君 先般の参議院本会議で、片山大臣は、開示、訂正、利用停止のことについての行政庁の決定に関する不服、このことについて一番訴訟が起こりやすいのはこの教育と医療であると、こういうふうにもおっしゃっているわけでございます。やはり今後も苦情とか不服申立ての発生が予想される分野でもあろうと思うわけでございますけれども、どういう内容、どういうことにかかわる問題が教育、医療分野で出てくると、今もちょっと御発言ございましたけれども、どういうふうに見ておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 内容の細かいことは余り聞いていないんですが、特に地方団体の場合、地方団体は個人情報保護条例でやっておりますが、国はこれからですから、個人情報保護条例の適用を見ますと、医療と教育で七割以上ですよ、七割以上。私はやっぱり、いろんな医療行為に関することを含めて、あるいは学校については、個人的にいろいろなことを含めてあるんではなかろうかと、こう思いますが、ちょっと詳細は承知しておりませんので、不正確なことを申し上げるのもあれでございますが、あるいは事務方が知っておれば事務方が答えさせていただきます。
よくこれから勉強します、個別は。
○辻泰弘君 教育分野についてちょっとお聞きしておきたいと思うんですけれども、昨日も局長から御答弁があったことではあるんですけれども、内申書の位置付けあるいはいじめの教育委員会への報告書等の開示については地方公共団体の判断によるものである、だから国としての統一的な基準を作るのは難しいと、こういう御答弁であったと思いますし、私もそのように思いますけれども、そうすると、今回のこの法案が成立したとして、その場合に文科省として何らかの対応を取るということはないというふうにその答弁を理解してよろしいですか。
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
公立学校が扱う個人情報につきましては、各学校が記載する子供たちの学習の状況等を記録いたしました指導要録、あるいは高校入試の調査書、いわゆる内申書の情報のほか、教職員の人事関係の情報など多数存在していると私どもも承知しているわけでございますが、その具体の記載事項というものは一般的には各地方公共団体の判断にゆだねられているわけであります。
これらの学校情報の取扱いというものは、本法案の趣旨を踏まえながら、各地方公共団体が地域の実情に応じて条例によって措置するなど、必要な施策が講じられるものと理解しておるわけでございます。
本法案が施行される場合には、本法案の趣旨が徹底されるよう、各地の教育委員会に対しましても必要な情報提供等を図りながら、この趣旨が徹底されるように対応してまいりたいと考えております。
○辻泰弘君 趣旨の徹底というか周知徹底はやるけれども、統一的基準を当然作ることはない、こういうことでよろしいですね。そういうふうに理解させていただきます。
それでは次に、そこにもかかわるわけなんですけれども、今回、個人情報保護の法律の中の二条に、「次に掲げる者を除く。」ということで「地方公共団体」が入っているということがあるわけです。そういたしますと、当然のことながら、公立の学校だとか公立の病院というのは除外されるということになるわけで、その点についての手当てをどうするかということがやはり課題となると思うわけです。もちろん、地方の判断でございますので、国がえいやでやるわけにはいきませんけれども、ただやはり、それについて要請をするということは当然あってしかるべきだと思うわけです。
そこで、そのことについての方針といいますか、お考えを大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 地方の個人情報保護は条例でやっていただくと、こういうことなんですね。
それで、今、十四年の四月一日現在で、ちょっと古いんですが、条例を作っているのが三分の二、二千百六十一団体、これが条例を作っているんです。それで、条例でなくて規則や規程によって対策を講じている団体まで入れますと、二千六百三十三団体、八〇・一%。
そこで、私は、作っていないところは条例を作ってくれと、規則や規程でなくて条例を。これは地域立法ですから、国の法律と同じようなもの、だから条例を作ってくれと。それからもう一つ、今、作っている条例も、今度、国の行政機関個人情報保護法等を参考にして見直してくれと、こういうことを言っておりまして、これはこれから十分統一的な指導をしてまいりたいと、こう思っておりますので、そういう中で、教育委員会や公営企業も当然対象機関として、それらが持つ個人情報保護については適切な保護措置が講じられなければならないと、そういう指導をしてまいりたいと思っております。
○辻泰弘君 大事なポイントですから、是非しっかりと徹底をお願いしたいと思います。
さてもう一点、今度は細田大臣にお伺いしたいんですけれども、直接的には個別法の整備のことについてになるわけですけれども、五月九日の参議院本会議におきまして、個別法の整備について、個別分野を所管する各府省におきまして十分に検討されるべき課題と、このようにおっしゃっている。昨日もそういうような御趣旨の御答弁があったかと思うんですけれども。このこと自体はそれでそのとおりだと思うんですけれども、ただ、例えば医療情報にかかわるようなことで、カルテの開示というようなものは今年の三月二十八日に閣議決定された規制改革推進三か年計画の中に入っている。それが、十四年度措置済みなのができていないというのもあるわけですけれども、これは後でまたちょっとお聞きしたいと思いますけれども。
そういう意味で、各府省に任せるというのは、それは一つの筋ではあるんですが、やはり政府として決めたことを、また情報社会を作っていくという担当の立場から、やはり督励するということも当然あってしかるべきだと思うわけでございます。ですから、そういう意味で、任せるだけじゃなくて督励するということでやっていただきたいと、このことについて御見解をお聞かせください。
○国務大臣(細田博之君) この個人情報保護法も、実はそういった各省からは期待を持って待ち望まれておりまして、というのは、今までなかなかこういった問題について必ずしも行政上の手段が十分でなかったと。しかし、この個人情報保護法によって、例えば医療にしても金融にしても、大半の企業はこの法律の対象である事業者に当たりますので、そこで本当の問題が生じれば取りあえずは対応できるということでそのような期待もされておるわけでございますが、やはり一つずつの案件を見ますと、どうしてもこの一般法におきましては、数によって五千以上の情報云々という話もございますし、ある程度限度があると。
やはり個別に、たとえ小規模の場合であっても個別の法律によって対応する必要があるというケースもございますし、それから、個別情報の中身がよりいろいろな問題を含むがために、もっと個人の力といいますか権利を強化すべき分野もあると思われますので、それは問題の出方、今後の出方にもよるわけでございますが、過去の事例、そして今後の事例も踏まえまして、できるだけ各省において対応を速やかにしてもらいたいと思っておりますので、私としても、是非とも各省において早急な検討に取り組んでいただきますよう、強く要望してまいりたいと思います。
現に様々な分野において、特に金融、電気通信、医療分野については各省においても検討に取り組んでいただいていると。特に、この法律ができた後も更に問題がどこで発生するかということを中心に検討していただいていると理解しております。
○辻泰弘君 この関連では衆議院の附帯決議もございまして、医療、金融・信用、情報通信等という分野について個別法を早急に検討することという附帯決議もあるわけでございます。こちらは参議院ではございますけれども、その趣旨も踏まえて督励をしていただくというお立場でお願いしておきたいと思います。
それから次に、法案の条文の解釈とか問題点についてお聞きしたいと思います。
まず、個人情報保護法案の七条の中で基本方針を策定すると、こういうことになっているわけでございます。それで、これは、「内閣総理大臣は、国民生活審議会の意見を聴いて、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」と、こういうふうになっているわけですけれども、このことの策定と基本方針の提示というものがやはり大きい当面の一つの課題といいますか、そういうふうに日程的になると思うんです。
そこで、この法律自体は後半部分は二年後から動くということになっているわけですけれども、このこと自体の基本方針の明示というのは、当然、国民生活審議会の意見を聴いてというプロセスは経なければなりませんけれども、やはり速やかであるべきだと、このように思うわけです。
ですから、例えば二年のうちの前半の一年以内にやはり示すとかということがあってしかるべきだと思うんですが、その点について、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) おっしゃいますとおり、この法律は一種の二段階方式になっておりまして、まずは公布、施行されます基本的な部分、それから二年後に民間分野について施行される分野に分かれておるわけでございますが、その前段において政令を決め、そして基本方針を策定するということが決められておるわけでございまして、法案第七条において、これは時間の関係で個別に申しませんが、条文で七条の二項に七つの重要事項について基本方針を定めると書いておるわけでございます。
したがいまして、今後、実際の全面的な施行が公布後二年ということでありますから、おっしゃいました期間内には少なくとも基本方針等が決まっておるのみならず、できればこのガイドライン等、一体、個別の主務大臣による各団体等にどういうふうにこの指針を示していくかというようなことについてもできるだけ早く煮詰めまして、そして法が全面施行される段階ではもうすべての関係者がよく内容を熟知して対応も済んでおって、そして個人の方々に個人情報の保護に関して問題がより少なくなっておるような体制を取ってまいりたいと考えております。
○辻泰弘君 その点についてもお取組をお願いしておきたいと思いますが。
その次に、先ほどもありましたし、議論の根本にあるわけですけれども、個人情報取扱事業者となる個人情報の量ということについてでございます。二条に規定されていることです。
これは、大臣の御答弁でも五千件が目安ということでおっしゃっていたし、先ほどもそうおっしゃっていたわけですけれども、これは最終的には政令で定めると、こういうことになるわけですけれども、まずやはりお聞きしたいのは、五千件というのが、おっしゃったとおり、確かに何らかの目安がなければ分からないわけですから目安は当然必要だと思うんですけれども、やはり五千件というような数字を政令で書かれるということになるのかということについてです。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
政令では数字でもって明記したいと思っております。
○辻泰弘君 その場合、これからのことであるのかもしれませんが、やはり考え方とすれば、一律にそうするのか、業態ごとに分けるということもあり得るかもしれません。しかし、現実には業態ごとに分けるなんということはできないし、かえって恣意的になると思うんですけれども、そういう意味では一律ということにしかならないんではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘のとおり、今いろいろ個人情報を処理することによって問題が起きているんですが、それの大きな要因としては、やっぱり大量に処理されているという要素があろうかと思っております。こういう部分については、業種、業態によるものではないと思っております。
したがいまして、この政令で定める件数については、業種、業態を問わず、やっぱり一律に定めるというのがいいというふうに考えられているところでございます。
○辻泰弘君 次に、苦情処理のことについてお伺いしておきたいと思います。七条、九条、十三条、三十一条とかに関連することかと思います。
それで、昨日もその点についての議論がございまして、生活センターでというような御議論もあったわけですけれども、まずお聞きしたいんですが、一つのプロセスとして国にお願いするということがあるわけですね、苦情処理を持ち込むといいますか。その場合のアクセス手段といいますか、言わば国の窓口はどこになることを想定されているのかということについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 一般的に申しますと、まず政府でいいますと内閣府の国民生活局が担当の行政部局でございます。それから、実際に苦情の窓口というのは、現在も消費者相談窓口として毎日電話あるいは訪問者に対する対応をしておりますが、国民生活センター、これは高輪にございまして、年間九千件に及ぶ、昨年の実績ですけれども、九千件に及ぶ苦情処理を電話あるいは訪問により受け付けて、自ら処理するもの、あるいは担当主務官庁に話をするもの、つなぐもの、そういうふうにやっております。
ただ、主務官庁に直接申請した方が早いと考えられるものもたくさんございますので、その場合には、例えば経済産業省には年間一万数千件のそういう、これは消費者相談でございますが、その中には恐らく個人情報的な苦情も既に寄せられていることと思いますけれども、そういったところで専門のセンターを設けて要請を受け付けております。そして、それは霞が関の各官庁においても非常に幅広く窓口を作っておりますので、そういった行政の一環として、この法律が施行される段階あるいはその前の段階でもサービスをしていく必要があると思っております。
また、地方においても消費生活センターは非常に充実してきておりまして、四十七都道府県において非常に充実した体制でやっていただいておりますので、今後そういったところを大いに活用してまいりたいと思っております。
○辻泰弘君 今おっしゃった国民生活センター、昨日から大事に考えて御答弁いただいているわけですが、ただ、これは独立行政法人になるわけですね。その場合、国の窓口ということで独立行政法人、それは形としてはあるかもしれないんですが、そうであれば、この法案にあるなり何らかの規定に基づくべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 確かに、独立行政法人化という問題もございまして、国との連携をしっかり取っていかなきゃなりませんので、基本方針等において対処することが大事ではないかと思っております。
○辻泰弘君 結論的にはそれでいいと思うんですが、ただ、その御答弁のときに国民生活センターを前面に出されるのであれば、何らかの形で事前にそのことは、法律に書く以外のこともあるのかもしれませんが、そういうことで明示されるべきだと私は思っておりまして、その点は法律上はちょっと問題があるんじゃないかなというふうに、というか、あるいは御答弁の対応がそういうふうになってしまったのかもしれませんけれども、その点はちょっと、いずれにいたしましても、基本方針に書かれるなら、それはそれで一つの、苦情処理も一つの基本方針の項目になっていたと思いますので、それはあり得ることかもしれませんが、基本方針に書かれるということで理解していいですか。
○国務大臣(細田博之君) 独立行政法人の中にはそのような業務をやっているところもほかにございます、投資保険、貿易保険のような問題とかですね。したがいまして、独立行政法人であればそういうことができないということはないわけでございますけれども、委員がおっしゃいましたように、国としての責任体制をはっきりさせるために主体をどこかで明確にせよということもごもっともでございますので、そういったことを今後配慮してまいりたいと思います。
○辻泰弘君 次に、本人確認のことについてちょっとお聞きしたいと思います。
個人情報保護の法案で見ますと、二十五条に、「開示」というところで、「本人から、」、「本人に対し、」ということで「本人」ということが出ているわけでございますけれども、これが、本人の確認ということが必ずしも、その確認手段についての言及がないといいますか、私は率直に言いますと、その角度から見ると少し重要性とか必要性につながるような文言がないように思ってしまっているんですけれども。
例えば、民間のことではありますけれども、例えば、さっき言いましたカルテの開示のことでいいますと、現行は、日本医師会が診療情報の提供に関する指針というのを定めて、それに基づいてやっておられるわけですけれども、それで見ますと、例えばこういう指摘があるわけです。「住民の移動が少ない地方の診療所などにおいては、お互いが顔見知りであり、顔を見るだけで誰であるかを確認できるが、大都会の病院などでは、申請者が誰であるかを確認することは容易ではない。大規模医療施設などでは、これまでも必要がある場合には、印鑑証明書、運転免許証の写しの提出等によって、本人であることの確認をすることも行われているので、それらを参考にするとよい。」と、こういうふうな言い方で一つの指針を示しておられるわけです。
一律的に決めることにもならないかもしれませんが、やはり本人確認の部分も大変重要なことだと思いますので、何らかの形で、こういうもので確認できますよといいますか、「参考にするとよい。」というこの医師会の表現ですけれども、こういうようなことがあって、何らかの形であっていいんじゃないかと。また逆に、求めるときに、こういうことがあるので出してくださいということで言いやすいということもあるかと思うんです。
だから、その意味において、確認手段について何らかの例示を示すことがどこかの段階であるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) おっしゃいますように、開示を求めてきた人が他人が成り済ました者であって、それで他人の情報をそこで開示されたのでは大変なことになって、法の目的にもとることになるわけでございます。法の二十九条第一項において事業者が「その求めを受け付ける方法を定めることができる。」ということになっておりまして、「政令で定めるところにより、」云々と書いてございますので、政令におきまして、今、辻委員がおっしゃいました方法も含めまして、確実にこれが本人のものであるということを確認し得る手段を取りたいと思っています。
金融機関等でも今いろいろ、免許証の提示を求めて写真等あれをするとか、照合するとかいろいろな手段を持っておりますし、また特別に住民票等を要求する場合もあったりいたしますので、これらをまた総合的に考えてしっかりとした対応を取らなければならないと思っております。
○辻泰弘君 総務省の方にお聞きしたいんですけれども、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の方の本人確認のことになります。
これは、十三条に「開示請求の手続」というのがありまして、その中に「開示請求に係る保有個人情報の本人であることを示す書類を提示し、又は提出しなければならない。」というふうになっているわけです。そこで、総務省として考えておられるこの書類というのは何を考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
既に現行法の電算個人情報保護法におきましても開示請求の制度が認められておりまして、その際、本人確認の必要が当然生じてまいります。したがいまして、現行法におきましては施行令で、開示をするに当たり運転免許証、健康保険の被保険者証等法令の規定により交付された書類であって本人であることを確認するに足りるものの提示を求めることになっているところでございます。また、郵送による開示請求の場合もございますので、そういう場合は住民票の写しなどをコピーしたものによりまして、開示請求者の住所が真正であることを確認した上で当該住所に送付するという規定を施行令で設けておるところでございまして、新しい行政機関法の施行の段階においては同様の考え方で対処してまいりたいと考えております。
○辻泰弘君 これは、住基台帳カードの交付の手続について、これはおとといになりますか、五月十二日に住民基本台帳法施行規則というのを公布、施行されているというふうに伺っておりまして、それを持っていますけれども、その中では、「いずれかの書類及び法定代理人にあっては、戸籍謄本その他その資格を証明する書類とする。」という規定がありまして、一番に、「住民基本台帳カード又は旅券、運転免許証その他官公署が発行した免許証、許可証若しくは資格証明書等」、そしてその後に、「(本人の写真が貼付された物に限る)であって」ということが一つある。もう一つは、「郵便その他市町村長が適当と認める方法により当該交付申請者に対して」と、こういうことで、要は、郵便を出して、その文書が届いて、その文書を持ってきた人だったらオーケーだと、こういうことになっておるわけなんですね。ある意味では今おっしゃっていただいたのと基準が幾つかあるということで、それはそれであるかもしれませんが、しかしある意味では厳格なものをひとつ政府として作って、そのことを貫徹したらいいんじゃないかということも一つ思うんですけれども。
いずれにしましても、今の、おととい出された交付手続の施行規則ですけれども、これの二項の方は郵送の文書だけでいいわけですから、私は、さっきおっしゃったように、写真、一番の方は写真で把握するということになっている、これは厳格になるわけですね、本人の出頭も義務付けているわけですから。しかし、二番の方は、顔は分からないし、郵便届いたものだけ持っていきゃいいということになっているわけですけれども、私は、それに、顔は付いていないけれども、健康保険証だとか年金手帳だとか、そういったものをかませるということによってであれば理解もできるんですが、この部分、少し私は、この三十七条の二項というやつですか、この部分ちょっと欠けているように思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 先生御指摘の住基カードの申請の場合の本人確認、大変重要なことだというふうに私どもも考えておりまして、そのため政省令でその手続等を規定しているところでございまして、先生先ほど御指摘のとおり、原則は写真入りの身分証明書を提示していただくということが原則でございますが、中にはそういう写真入りの身分証明書をお持ちでない方もおられますので、その場合には、交付申請者が本人であること及び申請が本人の意思に基づくものであることを確認するため、市町村が郵送等により文書で照会し、その回答書を提示してもらうということを規定しております。
これは、市町村の意見を聞きましたところ、印鑑登録の際の本人確認方法として各市町村において広く定着した方法でございまして、まずこの方法で問題ないということでございましたので、市町村の現場の意見も聞いた上で、こういう方法、印鑑登録の際の方法を取り入れているわけでございますが、さらに、その上で十分でないというような事例が出てきた場合は、また市町村の意見等も聞きながら、適宜な方法、運用で適宜な方法があるかどうかについても検討していきたいというふうに考えております。
○辻泰弘君 これからの情報化社会、しっかりと築き上げていくという上で、当然この本人確認の一番出発点の部分は大事なことだと思うわけです。それで、今のお話ですとこれまでの地方自治体の意見ということでしょうけれども、やはりこれからのことを考えたときに今までの延長線上で考えていいのかということはあろうかと思うわけです。ですから、ここの二項の部分は、私はもう一つかませるということでやはり厳格さを追求するということがあってしかるべきだと思うんです。
そのことを含めて、本人確認のことについて、総務大臣、その厳格な本人確認の徹底ということについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 本人確認は大変重要なことでございますし、今まで市町村もいろいろやってきておりますけれども、そういうものを全部総ざらいして、特に今度のカード、住基カードについては厳重な本人確認審査をするように努力してまいります。
○辻泰弘君 次に、代理人のことについてお聞きしたいと思います。
これ、個人情報の保護に関する法律の方では、二十九条に「開示等の求めは、政令で定めるところにより、代理人によってすることができる。」と、こういうふうな規定になっております。また、行政機関の保有する個人情報保護法案の方は、これは十二条でございますか、に規定がございまして、「未成年者又は成年被後見人の法定代理人は、本人に代わって」「請求をすることができる。」と、こういうふうになっているわけでございまして、書き方が、政令で定めるものと明示しているということとの違いがあるわけなんですが、この書き方の違いといいますか、そのことには意味があるんでしょうか、何らかの含みがあるんでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
まず、個人情報の保護に関する法律案の二十九条の関係から御説明に入りますが、この二十九条第一項の趣旨は、本来、やっぱり個人情報というようなのは本人に直接開示されるべきであるということは当然のことでございます。しかしながら、本人が未成年であったり、あるいは成年被後見人であったりする場合、こういった場合に代理人を認めないということになれば、逆に未成年等の権利行使というものを妨げるということになりかねない。それで、こういった場合に代理人を置くということを認めるという方向で、この三項に基づく政令で規定したいと考えているところでございます。
一方、御指摘の行政機関法十二条、これも基本的には同様の趣旨なんでございますが、これで、行政機関法については、はっきり法律の条文上に「未成年者又は成年被後見人の法定代理人」と明記されているわけでございます。
この点でございますが、行政機関法制の場合は、基本的に、国民の権利義務関係に対する手続規定ということについてはできるだけやっぱり条文で明確にするというような考え方が一つあるということでございます。
それともう一つは、逆に、民間部門についてでございますが、民間部門も基本的には未成年あるいは成年被後見人の場合、これがもうほとんどなんでございますが、ただ、民間部門については事業の性質とか内容とかによってはもうちょっと弾力的に代理人の幅、あるいは、もう当然本人の御意向が必要なわけですが、そういう本人の意向を前提として若干弾力的に対応することも可能にするというようなことから、政令でゆだねているというところでございます。
○辻泰弘君 そうしますと、「未成年者又は成年被後見人の法定代理人」という以上に書き込むことがあるということをおっしゃっているわけですね。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
大幅に広げるつもりはございませんが、若干やっぱりそこは弾力的に幅を広げることがあり得るということでございます。
○辻泰弘君 次に、手数料についてお伺いしたいと思います。
これは、行政機関の方は二十六条でございますか、それから個人情報保護の方が三十条にかかわることだと思いますけれども、まず、やはり手数料というようなものも、余りに高いとそのこと自体でハードルになってしまうわけですから、それは行政機関の方に書いてあるように、「できる限り利用しやすい額」にしなければならないというのは、それはそうなんですけれども、しかし、実費もあるということではあろうと思います。
ただ、その民間の方は、「実費を勘案して合理的であると認められる範囲内」と、こういうふうになっているわけでございます。また、行政機関の方は、「実費の範囲内において政令で定める額の手数料」と、かつ「できる限り利用しやすい額」と、こういうふうな規定になっているわけでございます。
理解できるようにも思うんですが、その書きぶりの違いですね、このことについてどういうふうな考え方の下に書き方が変わっているかといいますか、その書きぶりがどういう意味合いを持っているのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
基本法制の方では「実費を勘案して合理的であると認められる範囲内」としておりまして、一方、行政機関法制では「実費の範囲内」にしているということの表現ぶりの違いの理由についてのお尋ねというふうに御理解いたしますが、基本的には、手数料につきましては、それに、その事務処理に要したコストを回収するというところで共通でございます。と申しますのは、利潤とかそういうふうなものは入れちゃいけないということでございます。
ただ、同じようなんでございますが、行政機関法については、実際は国の行政機関、一律に大体実費の平均的なコストを定めて、それで政令で定めるというふうなことをやるというふうに考えているところでございます。
一方、民間部門についても基本的にはそういうことなんですが、場合によっては事業者ごとの手数料というのが基本だと思いますけれども、それだけではなくて、グループ企業内での統一的な手数料とか、あるいは業界単位等の統一的な手数料と、そういった方がより事業者の側にもあるいは個人の側にも合理的であるというような場合もあり得ると考えているところでございます。
そういったことも可能なように、しかしそれはあくまで合理的である必要があるということでこういう規定ぶりにしているということでございます。
○辻泰弘君 まず、行政機関の方の「できる限り利用しやすい額」ということ、もう一つ「実費の範囲内において政令で定める額」という言い方があるわけですが、率直に言って、実費では恐らく「できる限り利用しやすい額」にならないという理解の上に成り立っていることじゃないかと思うんですけれども、そのことは、要は行政機関でこのことをやるについて、確認、決裁に手間暇掛かるとか、そういうことがあってこういうふうになっているんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
基本法制を通じた全体の考え方は先ほど内閣官房の方から御答弁があったところでございますが、行政機関法の方におきましては、基本的に実費の内容として、開示決定等の通知書の発出ですとか、あるいは請求者に交付する写しの作成等の開示請求の処理、あるいは開示の実施のための事務における人件費、光熱費、消耗品費、輸送料等の費用、そういうものを念頭に置いて考えるわけでございますけれども、情報公開法等におけるいろんな審議の過程でもいろいろ御議論ございましたように、できるだけ国民が利用しやすい制度にするということで、本法案におきましては第二十六条第二項、行政機関個人情報保護法案におきましては第二十六条第二項におきまして、「できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならない。」という規定を置いているところでございます。
現行の電算機個人情報保護法における手数料は二百六十円、それから情報公開法の開示請求手数料は三百円ということになっておるわけでありますが、このできる限り利用しやすい額とするように配慮するという規定を踏まえて政令の立案の段階で判断してまいりたいと考えております。
○辻泰弘君 そうしますと、大体それに準拠するようなことになると、こういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(松田隆利君) 今申し上げましたように、できる限り利用しやすい額とするように配慮するという規定にのっとって、現状の、現行の手数料等も勘案しながら定めてまいりたいと考えております。
○辻泰弘君 民間の方の実費の部分ですけれども、一つ確認しておきたいんですが、これは各事業者があらかじめ決めて明示しておくと、こういうことなのかということと、算定根拠は示す必要があるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) まず、事業者があらかじめ示しておく必要があるかどうかということでございますが、これについては法案の第二十四条第一項第三号の規定により本人の知り得る状態に置く必要があると、そういう情報として位置付けておるところでございます。
また、積算根拠の点でございますが、これは法律上義務付けてはおりません。しかしながら、やはりその公正性のようなものは非常に重要だということで、むしろ主務大臣の言わば関与の対象に置いておりまして、これも第三十四条第一項の規定によって、実費を勘案して合理的であるかどうか、そういうようなものについて問題があれば勧告等が出せると、そういう仕組みにしているというところでございます。
○辻泰弘君 次のところに移りますけれども、権限、事務の委任ということについてお伺いしたいと思うんです。
これも個人情報の方の五十二条でしょうか、それから行政機関の方は四十六条に「権限又は事務の委任」という条項がございます。ここで、「主務大臣の権限又は事務に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。」、あるいは「行政機関の長は、政令で定める」「権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。」と、こういう規定があるわけでございます。
そして、かつ先般、参議院本会議において、五月九日ですけれども、私どもの高嶋議員の質問に対して、小泉総理が、この点について、主務大臣の権限が下位機関に委任される場合においても行政責任は最終的には大臣が負うこととなるものでありますと。これは当たり前のことだと思うんです。
ですから、そう思うと、何ゆえこの権限、事務の委任というのを明示しなきゃいかぬのかということが私は率直に言って疑問に思うんですけれども、これは何ゆえ必要になるのかということを教えていただきたいと思います。
○大臣政務官(大村秀章君) お答えをいたします。
委員御案内のように、この法律は、いわゆる民間事業者のサービス・事業活動をトータルで所管をするということで主務大臣が担当するという構成になっておるわけでございまして、今おっしゃいましたように、個別の事業法で大臣の権限、事務というのを所属の職員に委任をしていると、これは御案内のとおりでございまして、例えば鉄道事業法で国土交通大臣の権限を地方運輸局長に委任するとか、また電気事業法で経済産業大臣の権限を経済産業局長に委任をするとか、そういう法律幾つかございます。
そういう意味で、正におっしゃるように、主務大臣がやるわけでありますけれども、全国的にやるときに地方の局長等に委任をする、そのことを各事業法でやっておるものですから、これをこちらの基本的なこの法律におきましても、個人情報保護法案においてもそのことを、ある意味では明示的にそのことを示すという趣旨でこの条文を置いたところでございます。
○辻泰弘君 では一つ、このことによるメリット、委任することによるメリットは何だと思っていらっしゃるか、教えてください。
○大臣政務官(大村秀章君) メリットといいますか、やはり主務大臣ということで、主務大臣は全部東京におりますからあれでございますが、やはり全国的に各それぞれの地域、地方におきましてもこういった点についていろんな意味で疑義が生ずる、そしてまたいろんなお問い合わせをいただくといった点で、やはり各ブロック、ブロック、拠点、拠点におきましてそういった御相談に応ずるということがやはりこの法律の円滑な運用ということに資すると思いますので、そういう意味で、各事業ごとにそういう委任をしているという形式を取っているところにおきましては、各局長等その職員に委任をすることがその円滑な運用に資するということで置いておるものでございます。
○辻泰弘君 そうしますと、この委任する対象事項については政令で定めて公表するということになるんでしょうか。
○大臣政務官(大村秀章君) この法律に書いてありますように、政令で定めて委任をする、下ろすということでございます。
○辻泰弘君 どうも何か、あえてここに明示されているというのは、ちょっと分からないところもあるんですけれども、その点については、何といいますか、官僚の権限が強くなるのじゃないかとか業者との癒着が云々とかいうふうな議論もあるわけですけれども、そういうことはないものと思いたいわけですけれども、あえて書くことについてどうもちょっと釈然としないものがございますが、それはそれで御答弁を了としていきたいと思います。
次に、行政情報の法案の方についてちょっと幾つか聞いておきたいと思うんです。
まず一つは、目的外利用の関連でございまして、総務大臣は五月九日の本会議において、目的外利用や提供については毎年施行状況調査をやって、その結果も公表するわけでございまして、その意味では大変透明性が確保されておりますと、このようにおっしゃっておられます。また、昨日の答弁等でも、現在は施行状況調査で公表している、内容の充実を検討しているというふうな政府の御答弁があったと思うわけですが、やはり分かりやすい公表の仕方を考えるべきだと思うわけですけれども、このことについての御見解をお示しください。
○国務大臣(片山虎之助君) 今お話しのように、現行法でも施行状況調査で目的外利用や提供の状況を公表しております。新法でも同じようにやりたいと、こういうふうに思っておりまして、今お話しのように、できるだけ分かりやすくしたいと。それから、必要が、更にもう少し追加することがあるなら内容も重視することも検討いたしたいと、こういうふうに思っております。
○辻泰弘君 今回追加されたことになる、紙に記録された個人情報にも適用されるというふうに考えていいんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 紙についてはいろんな議論があるんですけれども、しかし前向きに検討いたしたいと、こう思っております。委員が言われるんですから、検討いたします。
○辻泰弘君 前向きの御検討を期待しておきたいと思います。
それで、もう一点ですけれども、個人情報ファイル簿への記載のことについてなんですけれども、これについても紙に記録された個人情報簿の新たな取扱いということがやはり一つの課題になってくると思うんですが、この点についてどのように取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、一定の重要な電算処理個人情報ファイルは名称、利用目的、記録項目、記録範囲、提供先、収集方法等をファイル簿に記載して事務所等において一般の閲覧に供しております。今、紙ファイルについても電算処理ファイルとほぼ同様の事項を公表したらどうかと考えております。
○辻泰弘君 これも少し御説明聞きましたら、必ずしも一般の人が見やすいようになっていないじゃないかというふうに思いました。すなわち、やはり全機関が一括して、またリアルタイムで見られるようにするということがやはり一つ大事なポイントじゃないかと思うんです。是非、そういう方向でのお取り組みをお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) インターネットを使えという御議論は当然あるので、こういう時代ですから、インターネットを活用してリアルタイムで公表することも検討いたしたいと、こういうふうに考えておりますし、インターネットのホームページ上に総合的な窓口を設けまして利用しやすいようにもいたしたいと、こう思っております。
○辻泰弘君 是非、その点についてもお取り組みをお願いしておきたいと思います。
次に、非開示、非訂正、利用停止却下と、そういうような場合の理由説明ということについてお伺いしたいと思います。
これは、個人情報の保護の法案の二十八条には「理由の説明」というのがございまして、「個人情報取扱事業者は、」「本人から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、本人に対し、その理由を説明するよう努めなければならない。」と、こういう規定になっておりまして、理由を説明するようにということの明示があるわけでございます。
また、そのようなことを見ながら、行政機関の方を見ますと、実は開示しない旨の決定をしたときにはその旨を書面により通知しなければならないと、これだけになっておりまして、理由の説明のことが書いていないなと、このようになっているわけです。
この点について確認いたしますと、それは行政手続法の第八条の「理由の提示」というのがあると。その行政手続法第八条には、「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。」と、こういう書き方になっていて、これとのセットで結果として通知のときには理由を付けて出すんだと、こういう理解だという御説明になっているわけなんですけれども、率直に言って非常に分かりにくいなと思うわけです。
法律的にはそうなるかもしれませんけれども、何か法律の技術に引きずられて、何か非常に分かりにくくなっているように率直に言って思うわけなんです。しかも、「許認可等」ということになるとすると、このこと自体が許認可なのかというふうにも思うわけです。「等」で読むということもあるのかもしれませんけれども、この点についてひとつ事実関係として理由は付されることになるということについて、その点、確認したいと思います。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
先生おっしゃられましたとおり、この個人情報の開示請求等に対する拒否の決定につきましては、行政手続法が定める「申請に対する処分」に該当するということで、同法第八条の規定によりまして、行政庁は申請者に対し拒否処分と同時に当該拒否処分の理由を示さないといけないというのが行政手続の一般通則として定められております関係上、この個人情報保護法、行政機関個人情報保護法の方におきましては特にそこまで書いていないわけでございます。
行政手続法におきましては、申請行為としまして「行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの」というものが対象になるわけでありますが、今申し上げました開示請求等についての決定もこれに該当することになりまして、その後、行政不服審査法とか、そういうものも適用になる、そういう処分であると考えております。
○辻泰弘君 一つ、もう一遍、今のことを念を押して聞きたいんですけれども、開示請求等は許認可なのかどうかということを一つ。それから、やはり条文中に、これは大事なポイントですから、その理由、民間の方は理由の説明というのはある、もちろん行政手続があると言ったらそれまでなんですけれども、やはり条文の中に入っているべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
行政手続法におきまして、第二条の第三項でございますが、「申請」の定義としまして、「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為」ということになっておりまして、必ずしも狭義の許可とか認可とかというものに限られませず、幅広くそういう法律上の利益を付与する、そういう処分を対象にしているわけでございます。
したがいまして行政手続法の対象になるわけでございますが、今、先生御指摘の、行政機関個人情報保護法におきましてそういう理由の明示の方も書いた方が分かりやすいのではないかという御指摘であるわけでございますけれども、そういう考え方もあり得るかとは存じますが、一方で、法律の作り方といたしまして、全体として明確にするという趣旨で、行政手続法におきましてこういう処分に関する手続等に関し共通的な事項を定めて、そういう手続に関してはこれを見れば分かるということで、国民に分かりやすい形で規定をいたしております、言わば一般法でございます。
そういう、そちらの方で規定した方が分かりやすいのではないかという趣旨で、そういう整理をしているわけでございます。
○辻泰弘君 一つ確認しておきたいんですけれども、そうしますと、一部不開示、一部非訂正、一部却下と、こういう場合はやはり八条対象という理解でよろしいですね。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
逆に、その残りの部分については拒否の決定をするわけでございますので、同じように理由の必要がございます。
○辻泰弘君 それからもう一つ、独立行政法人や認可法人についても行政手続法が適用されると、こういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
独立行政法人等につきましても、この法律に基づきます言わば処分に関する決定を行うわけでございまして、行政手続法上、行政庁に該当することに相なります。
○辻泰弘君 次のテーマに移らしていただきますけれども、行政の方は四十七条、独立行政法人の方の四十六条にかかわることなんですけれども、例えば行政機関の方で見ますと四十七条、「総務大臣は、この法律の円滑な運用を確保するため、総合的な案内所を整備するものとする。」という規定がございます。また、独立行政法人の方にも同様な、「総合的な案内所を整備する」、こういう規定がございます。
総合的な案内所というのはちょっと、どういうものかというのがよく分からないので、非常に優しいところかというふうにも思うんですが、どんなことをイメージしておられるのか、教えていただきたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) 私といたしましては、行政機関並びに独立行政法人における総合的な案内所という観点からお答えいたしますが、いわゆる政府全体として、開示請求、訂正請求、利用停止請求、これを行おうとする者が、自分の個人情報がどの行政機関にどのように保有されているか、これが不明な場合に、その参考となる情報を提供するなど、全行政機関を通じまして開示請求に関して総合的な案内を行うことを目的とする、こういうことでございますが、御存じのように、今、e―Govという政府全体のいわゆるポータルサイトがございます。こういった電子政府、電子自治体、こういった技術をもっていわゆるワンストップサービスというのがかなり可能となっておりまして、そういったイメージも含めまして、全行政機関を通じての総合的な案内というものを今着々と進めているところでございます。
また、地方在住者の利便を図るという観点からお答え申し上げますと、都道府県の区域ごとに一か所程度今整備をしておりまして、具体的には総務省本省、管区行政評価局、さらには行政評価事務所並びに行政評価分室、こういったところにその地方在住者の利便を図るための一つの事務所というものを設置されることになっております。
具体的には、そういった場所で、制度の概要、請求書の記載方法、手続に関する教示、アドバイスですね、さらには個人情報ファイル簿の検索案内、さらには各行政機関の組織、業務内容などの参考情報の提供を行っておりまして、そういったものを含めて総合的な案内所と私どもは考えているところでございます。
○辻泰弘君 そうしますと、各都道府県に一か所ぐらいのものが窓口となるという理解でよろしいですか。
○副大臣(若松謙維君) 現在も最低一か所以上のものはできているというふうに認識しております。
○辻泰弘君 それから、独立行政法人の方も、これも地方に相談所的なものができると、こういうことになるんでしょうか。
○副大臣(若松謙維君) 独立行政法人につきましても、行政機関と併せて行っておりますので、同様の効果を提供しているところでございます。
○辻泰弘君 次に、公安調査庁の方にお伺いしておきたいと思うんですけれども、公安調査庁の方でいろんな調査をなさっているというふうに理解しておりますけれども、その現状とこの法案が成立したときの対応ということで、ちょっと御見解をお聞きしておきたいと思うんです。
この法律の十七条で、いわゆる存否応答拒否というふうな条文があるわけですけれども、こういうことでの対応とかも含めてのことになるかと思うんですが、どういうふうなことを対象として考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(増田敏男君) お答えを申し上げます。
公安調査庁は、破壊活動防止法第二十七条及び無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第二十九条等に基づき、両法律に規定する規制に関し調査を行っております。
そこで、公安調査庁が、本法案第十四条により、本来は不開示の要件を備えてあるにもかかわらず、開示請求者について同人に係る個人情報が存するか否か答えるとしますと同人が調査対象者になっているかが明らかとなってしまい、その結果、不開示情報を開示することとなるもので、本法案第十七条に基づき、存否応答拒否をすることになろうかと思います。
それから、続いてお尋ねがございましたが、存否応答拒否を相手方に通知する際にはというような意味の御発言がありましたけれども、それもお答えしてまいりますか。
○辻泰弘君 いや、通告していたことでしたので、そのことも言っていただくということだったのかもしれませんが。
その場合、拒否の場合、その理由の提示はやはり先ほどと同じ行政手続法に沿って行われると、こういう理解でいいかということです。
○副大臣(増田敏男君) お説のとおりであります。
○辻泰弘君 次に、独立行政法人の保有する個人情報の保護に関する法律について、ちょっと一点聞いておきたいと思うんです。
この中に、二条で、この法律において独立行政法人等とは独立行政法人通則法に規定する独立行政法人及び別表に掲げる法人をいうと、こういうふうな規定になっているわけでございます。その別表というのが後ろの方に資料が付いておりまして、独立行政法人とあと特殊法人、認可法人の中で一部除いた形で書いて列記されていると、こういうふうになっているわけなんです。
この取捨選択の基準といいますか、どういう考えで分類されたか、このことについてお伺いしたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) 今、独立行政法人の対象法人についてのお尋ねでございますが、これは、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律のいわゆる対象法人の考え方を基本としまして、行政機関と同様に扱うことが必要な法人を対象としたものでございます。
具体的には当該法人の設立法の趣旨によることとしておりまして、その判断に当たりましては、まず独立行政法人、特殊法人又は認可法人におきまして、設立法においてその理事長等を大臣が任命すると、こういったもの、又は法人に対して政府が出資している場合と、こういったところが対象法人としております。
ただし、今言った条件以外に、次の特殊法人等につきましては、その設立法の趣旨からこのように取り扱っております。幾つか例示させていただきますと、まず一点目として、公営競技関係法人、これにつきましては対象法人としております。特殊法人は対象外としております。共済組合等の専ら組合員等の相互の扶助、救済を行う法人は対象外としております。日本放送協会は対象外としております。日本銀行は対象法人としております。さらに、郵政公社につきましても対象法人でございます。
以上です。
○辻泰弘君 ここでちょっと総務大臣にお伺いしたいんですけれども、この分類見ても一つの考え方でそれはそれであると思うんですが、私は、この中の特殊会社で、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、これが本法律案の対象外とされる法人だと、こういうふうになっているわけで、これはこれで一つ理解します。当然のことながら本州の方は除外されているわけで、すなわち、当然ながら特殊法人じゃないということの位置付けになっているわけです。
これはこの法案の議論とは別の話になるんですけれども、先般、私、総務委員会で片山大臣にお伺いしたときに、これは郵政公社法の問題でございましたけれども、JRを見てくださいと、JRでこういうことをしているんですから郵政公社もこうだというふうな御議論があった。しかし、ここでも明らかなように、郵政公社はもちろん特殊法人ですし、こういうことから見ても除外されると、そういう対象で、やはり当然違うわけです。ここの議論ではないんですけれども、そのことはこの公社の運営の在り方ということについて私は大事なことだと思うんで、その点についてはやはりしっかりと違うということを御認識いただいて、釈迦に説法にはなるんですけれども、この点について申し上げたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) 済みません、先ほどの答弁の中で特殊法人と言いましたが、これは特殊会社でございます。訂正いたします。
○国務大臣(片山虎之助君) 郵政公社にしましたのは、やっぱり自律的、弾力的な運営を可能にすると。やり方としては民営と同じようにやってもらうと。ただ、国営公社ですよ、職員の皆さんは国家公務員なんだけれども。そういうことを考えていましてね、そういう意味では、空きスペースなんか本当にJRになってから駅舎をくまなく利用していますよね。ああいうことは私大変いいことだと、こう思っておりますので、そういう精神で民営的ないろんな工夫をしてもらいたいと、こういうことでございまして、もうそれは、JRは株を今どんどんどんどん売って、これは民ですからね。公社はそうじゃありませんで、これは持ち株会社でもない公社ですから、そこはもう画然と違うと思います。
ただ、精神は民営的な精神で経営をやってもらうと、こういうことでございまして、三百平米以上だと総務大臣の認可が要るんですが、三百平米未満だと公社の判断で空いているところが使えるものですからね。そこが例えば、実験的に今やっているようなフラワーショップをやってもらうとか、文房具を売ってもらうとか、そういうことはいいと思っております。
ただ、御心配の、公社とJRは一緒じゃありません。元々JRは国鉄だったんです。国鉄は公社だったんです。今はもう完全に民営でございますので、その点はもう十分認識いたしております。
○辻泰弘君 このことで時間費やすつもりはないんですが、ただ、JRを出されるなら、公社時代に、今のJRが公社時代にやっていたことと比較されるのなら分かるんですが、この四月から出発した公社について、それを比較の対象に出されるということがいかがかということと、そのことは要はこれからなさろうとしていることにつながるわけで、総務大臣が昨日の記者会見でも、投資信託を郵便局で販売するということについて前向きな記者会見されておりますけれども、すなわち、この間も私、委員会で言いましたけれども、この間の郵政公社法の改正で、コール市場における資金の貸付けを行うということで公社法の改正をした、四月一日から立ち上げたと。このことについて、業務、業容の拡大につながることをやった、次の臨時国会でもまたやると、こういうことで、公社ということで税制上優遇されているということで、それは公社の公たるゆえんでそういうふうになっていると、そのことについて、出発して早々からどんどんどんどんやっていくというのは、これは少し私は抑制的であるべきじゃないかと、このように思うわけです。
そこの部分につながる御認識と、失礼ながらそういうふうにもお見受けするものですから、そのことについて一言言っておきたいと、このような思いなんですが、そのことについてちょっと御見解をお示しください。
○国務大臣(片山虎之助君) 私は、今回の郵政公社は、民のいいところと、公社ですから、官のいいところと併せ持った公社になってもらいたいと。かつての公社はそうでないという批判が、事実は知りませんけれどもありますので、そういう意味では、民間のいいところは大いにまねてもらったらいい、しかし公共性というか、官の持つ意味というのも十分考えてもらいたいと、こういうふうに思っておりまして、そういう意味で、今は株式がこういうことで、日本経済のある意味ではアキレス腱になりつつあるんですね。どうやってこれを、株式市場を育成していくか、あるいはいわゆるリスクを取る金を必要なところに流していくかということが大きな課題になっているものですから。ただ、郵貯、簡保の金で株式を買えと言われましても、それはそうはなかなかいかぬのです。
そこで、郵便局としてできることをいろいろおっしゃるものですから、それじゃネットワークを活用して、例えば投信等の、私は証券会社が少し工夫をして、もっと小口、個人の人が乗りやすい商品を開発すべきだと私は個人的に思っていますよ。今の商品が全部いいとは思わない。だから、商品を開発してもらって、そういうものを郵便局で販売するということはあってもいいんではないかと、こういうふうに思っておりまして、それは民業圧迫やなんかのことは全く考えておりませんよ。民でどんどんやってもらったらいいんです。民もやればいいし、郵便局も場合によってはそういうことも検討してもいいと、こう考えておりますから。
公社のやり方についてはいろんな議論ありますけれども、よく、辻委員を始め、国会の御議論も踏まえて今後しっかりやっていきたいと思っております。
○辻泰弘君 このことは本委員会の主たるテーマではございませんので、また総務委員会で御議論させていただきたいと思って次のテーマに行きますけれども、総務大臣の本会議での御答弁にドメスティック・バイオレンス等の場合のことがございました。これは言わば住民票の四情報の公開の問題ということになるわけです。
それで、あの折に、最後のところは、市町村長さんの適切な判断を期待したいというふうなことで終わっておりまして、その後、私は必ずしもこの例えばドメスティック・バイオレンスなどの場合、すなわち、私のは出さないでほしいという、請求開示のときに厳格にしてほしいといいますか、拒否といいますか、そういうことの要請があったときどうするのかということのルールが、ルールといいますか、今どうなっているのかが必ずしもはっきりしなかったということでありまして、その点、現在どうなっているのかということについて御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
ドメスティック・バイオレンスと住民票の写しの閲覧等の関係のお尋ねでございますが、先生もう御案内のとおり、大臣も御答弁しておりますとおり、住民基本台帳の一部、四情報でございますが、氏名、生年月日、性別、住所については何人も閲覧できることになっております。同時に、不当な目的によることが明らかなとき又は知り得た事項を不当な目的に使用されるおそれがあることその他の当該請求を拒むに足りる相当な理由があると認めるときは、市町村長はその一部の写しの閲覧の請求を拒むことができるというふうに規定されているところでございます。
そこで、ドメスティック・バイオレンスの例で申し上げますと、市町村長は、裁判所からの保護命令の有無等を勘案しまして、その閲覧を認めるか否かの判断を行っているものでございます。具体的に申し上げますと、東京都の区の例でございますが、条例又は要綱を定めております。まず、DVの被害者から暴力行為があった旨とか住民基本台帳法に係る支援をお願いしますという申出がございます。こういう申出がございますと、市町村長は、裁判所の保護命令があるかどうか、それから被害者が警察等に、支援センターもございますが、に相談している事実があるかどうかを確認いたしまして、そういう事実があると確認した場合は住民台帳の閲覧とか写しの交付の請求を拒否する、場合によっては閲覧のリストから被害者の名前とか住所を削除するという措置を取っているところもあるというふうに聞いております。
○辻泰弘君 一部その情報を見えないようにするというところもあるとおっしゃいましたけれども、ある意味ではそれが全国貫徹されていれば一つのあれだと思うんですが、必ずしもそれが中心にはなっていないといいますか、その点が少し、何といいますか、不安なところがあるわけなんですね。その四情報自体もどうかという議論が、昨日、内藤委員からもさせていただいたわけですけれども、やはりこの部分、先進的なところはおっしゃったようにいいところもあるのかもしれませんが、いい加減なところがかなりあると思うんです。
その点について、やはりしっかりとした、全国すべての、日本じゅうしっかりしたルールとなるようにお取り組みをお願いしておきたいと思うんですけれども、その点についてお願いします。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
昨日も内藤先生の御質問に対し、総務大臣からもお答えがございましたとおり、住民台帳の閲覧の在り方につきましては、実態等を把握しまして、関係者の意見もお聞きし、必要があればどういう措置が取れるか検討してまいる所存でございます。
DV被害者に係る住民基本台帳の一部の閲覧の在り方につきましても、地方公共団体とか関係省庁の御意見を聞きながら検討してまいる所存でございます。
○辻泰弘君 次のテーマに移らせていただきます。
医療情報ということで、カルテを中心としたことについて厚生労働省の方にも聞きたいと思うんですけれども、今回の法律によって対象となるということになるわけです。例えば四月三十日に出された医療提供体制の改革のビジョン案というのを拝見いたしますと、これは厚生労働省が書かれた、作られたやつですが、これを見ますと、「診療記録については現在国会で審議されている個人情報保護法案では原則開示とされている」と、こういうふうになっている、明定されているわけです。
そこで、お聞きしたいんですけれども、今回の法律によっても開示しなくていいカルテ等というのは何になるか、これについてお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えをいたします。
個人情報保護法案におきまして保護の対象となる個人情報でございますけれども、生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものとされておりますので、診療記録に記載されている診療情報は一般的にこの個人情報に該当するものというふうに考えております。
また、同法案によりまして、個人情報取扱事業者でございますけれども、国の機関とか地方公共団体とか独立行政法人、一定の小規模事業者等は除かれておりますけれども、それ以外の医療機関につきましては個人情報の取扱事業者に該当するものというふうに考えております。
○辻泰弘君 ある意味で当然のことですけれども、そのカルテ以外のいろいろ患者記録とかあるわけですが、それらもその当然対象になると、こういう理解でよろしいですね。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えをいたします。
診療記録に記載されます診療情報が個人情報に該当をいたしますと、個人情報保護法案による開示の対象になるわけでございます。したがいまして、診療録でありますとか看護記録、手術の記録、検査記録など、診療記録に記録されるような診療情報につきましては個人情報に該当するということで、開示の対象になるというふうに考えております。
○辻泰弘君 医療機関の場合、先ほどの五千件というのが一つの基準にあるわけですが、それはすなわちカルテが五千人分あれば、基準になるかということになろうかと思うんです。そのことの確認と、そういった基準で考えたときに、新しく開業された医療機関というようなことが対象にならないとかいうことになろうかと思うんですが、その辺、どれぐらいの医療機関がカバーされることになるのか、このことについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 個人情報の件数が五千件ということであれば対象になるということでございますので、私ども、単純に試算をいたしますと、一医療機関当たりの今カルテの保有件数を推計いたしますと、病院では約三万件、それから医科の診療所では約六千件、歯科の診療所では約四千八百件というふうに推計されております。
これは単なる推計でございますので一定の仮定を置いておりますけれども、医師法上、カルテの保存義務は五年間となっておりますので、実際には五年を超えて保存をしていらっしゃる医療機関もかなり多いわけでございますので、私どもの認識としては、新規に設立された医療機関以外の多くの医療機関はほとんど対象になるのではないかというふうに考えております。
○辻泰弘君 カルテの開示についてはかねてより議論があったわけでございまして、現在も検討会でやっていらっしゃるようでございますけれども、現状は、先ほど最初に申し上げましたけれども、医師会の一つの指針があって、それに基づいてなされているわけですけれども、そのことの状況について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 現状について申し上げますと、個人情報の保護法案が成立をして施行されますと、当然のことですが、医療機関も患者本人から求めがあった場合には原則として開示をする義務というのを負うわけでございますが、実は厚生労働省に診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会を設けておりまして、その検討会では法制化についていろんな議論がございます。
早急に法制化を求めるべきだという議論と、法制化については懸念があるといったようなこともございまして、一応今の現状でいいますと、まずは一致をしておりますものは、個人情報保護法以外の、適用対象以外のものについてはまずはガイドラインを策定するということによって診療情報の提供を進めることが重要ではないかというふうに考えております。
○辻泰弘君 今おっしゃった検討会でやっていらっしゃるんですけれども、四月二十八日に報告書の案が提出されて、それをベースに五月中に最終報告になるんじゃないかと、こういうふうにお聞きしているわけですけれども、この中でも、「法制化についての懸念を示す意見としては、」ということで三つございまして、その二つ目がメーンの理由だろうと思うんですけれども、書いてあるのは、「法制化によって、見せるために書く診療記録と診療のために書く診療記録とが書き分けられるおそれや、診療記録に最小限の事項しか記載しなくなり、診療に差し障りが出るおそれもある」ということが出ております。その下に、法制化はメリットよりデメリットの方が大きいと、こういうことになっていて、この二番目のことがデメリットというふうに読めるわけなんです。
私は、こういう程度と言ってはあれですけれども、こういうレベルと言っては失礼なんですが、そういうことであるならば、やはりこの開示を制度化していくにはやはり法制化によってやっていくしかないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 今御指摘にございましたように、報告書の案でございますけれども、その中ではいろいろな記述がございまして、早急な法制化を求める意見としては三点ほど指摘をいただいております。また、法制化について懸念を示す意見としては、今の御指摘の点を含めた三点挙げてございまして、そこは意見の違いがあるということでございます。
ただ、法制化については種々議論があるところでございますけれども、今後、個人情報保護法案の施行の状況等、あるいはこの国会審議の状況も勘案しながら、診療情報の提供の更なる促進に取り組んでいく必要があるということについては意見の一致を見ているというふうに認識しております。
○辻泰弘君 この点については医師会の了解を得られないということで遅々として進まないというのが現状だと思うんですけれども、この点について規制改革推進三か年計画、三月二十八日閣議決定ですけれども、この中に患者情報の開示ということがあるわけです。そして、平成十四年度に措置済みというふうになっているんですが、ですから、本来十五年の三月三十一日に措置済みになっていなきゃいけないということであるべきものができずに終わったということを聞いているわけです。このこと、この計画自体も二十八日閣議決定したものがもうすぐにできていないというのもちょっとよく分からないところがあるんですけれども。
このことについて、どういうふうに取り組んでいかれるのかということと、この三か年計画のフォローアップということになるかと思いますが、それをどうこなしていかれるのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えをいたします。
カルテ開示につきましては、平成十五年の三月二十八日の閣議決定、規制改革推進三か年計画におきまして、診療情報の開示に関するルールの確立とかガイドラインの整備を行うということでされておるところでございます。
これに関しましては、先ほど申し上げましたように、昨年七月から、診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会において検討を重ねておりまして、平成十四年度中に最終的な報告の形となっておりませんけれども、現在、最終報告の取りまとめに向けて再度努力をしているところでございます。今後、できるだけ早く早急に結論を取りまとめまして、所要の措置を講じたいというふうに考えております。
○辻泰弘君 これ最初に細田大臣にお伺いしたことに帰ってくるんですけれども、やはりこういうことで、ある意味で電子カルテ、後で聞こうかと思っていますけれども、電子カルテによって大分進む部分もあるかと思うんですけれども、しかし、やはりこういう状況ですので、是非、閣議決定自体は法制化とは言っていませんけれども、その精神をできるだけ前進させる意味合いで督励を大臣としてもお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 今、厚生労働省も積極的なお取り組みをいただいております。一方、一部の方々からは御懸念も示されているようでございますが、基本的には、個人情報保護の観点から透明度の高い制度をしっかりと作っていく必要があると思っておりますので、委員の御指摘を更に各省、関係省において具体的に進めていただきたいと思っております。
○辻泰弘君 もう一点、厚生省、聞いておきますけれども、数点、残り時間聞きますけれども、いわゆる審査支払機関ですね、社会保険診療報酬支払基金あるいは国保連合会ですか、こういったものが審査中のものについては今回の対象事業者となって情報開示の対象になるかということについて確認をしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。
個人情報の取扱事業者でございますが、これは個人情報を検索することができるデータベースなどを事業の用に供しているという者ということになっております。
したがいまして、審査支払機関でございますが、審査支払機関には医療機関からレセプト、電算処理されたレセプト情報が提出をされまして、それらの情報から個人情報を検索するということができることになっております。したがいまして、審査支払機関が取り扱うレセプト、電算処理されたレセプト情報が一定以上に当たる場合には、その審査支払機関は個人情報取扱事業者に当たるものというふうに考えております。
○辻泰弘君 それで、さっきも言いました規制改革三か年計画にも出ているわけですけれども、あるいはいろんな局面で言われているわけですが、電子カルテ、またレセプトのオンライン請求と、こういうことが一つの大きなテーマになっているわけです。
そこで、最後の質問になると思いますが、電子カルテ、レセプトのオンライン化の進行状況ということと、それらが、その進行が個人情報の開示、また保護制度の推進に与える影響ということについて、厚生労働省、御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答え申し上げます。
まず、進捗状況でございますが、電子カルテにつきましては、医療の情報化の基盤整備を進めるために、用語コードの標準化を平成十五年度までに完了するということにしております。また、医療施設における普及を促進するために、平成十三年度、十四年度の補正予算において電子カルテの補助を行いますし、また、平成十六年度には全国の二次医療圏の中核的医療施設における電子カルテの普及を目指しております。将来的には電子カルテを基礎とした地域での医療情報化を目指したネットワークが期待されますので、これに必要なセキュリティーの確保に向けまして技術的な基盤整備に取り組んでいるところでございます。
また、レセプトのオンライン化でございますけれども、十四年度に十分なセキュリティーを確保したシステムを設計し、実地における試験事業を実施しておりますので、今後はセキュリティーに関するガイドラインの整備、伝送方式等の運用ルールの構築など、必要な準備を進めてまいりたいと思っております。
また、御質問ございました今後の診療情報の開示等の影響でございますが、電子カルテ、レセプトオンライン化を始めとする医療の情報化というのは、患者本人に対する診療情報等の開示の推進に非常に資するものというふうに認識をいたしております。ただ、セキュリティーなどの技術的な対応が必要でありますので、それにつきましても医療機関における適切な運用も確保していく必要があるというふうに考えております。
以上でございます。
○辻泰弘君 以上で終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時五十分まで休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
─────・─────
午後一時五十分開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから個人情報の保護に関する特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○山下英利君 自由民主党の山下英利でございます。今回の特別委員会、個人情報の保護法案関係につきまして質疑の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
参議院では昨日から実質的な審議が始まりまして、そして今日午前中と審議を伺って、いろいろ各委員が質問になっていらっしゃることで随分私自身も確認もさせていただいておるわけでございますけれども、私自身が、この個人情報の保護ということに関してやはり改めて政府に確認かたがた、そして御答弁をいただきたいと思っているわけでございます。
個人情報の保護法案については、これまでいろいろな議論がされておりまして、メディアとの関係でありますとか、それから個人情報の取扱事業者の範囲であるとか、主務大臣制の是非であるとか、いろいろな質問等が議論されているわけでありますが、ここで政府のお考えを改めてお聞きするその必要を私は感じているわけであります。
冒頭でございますけれども、まず、この法案のそもそもの必要性、そしてその目的につきまして両大臣より改めてお聞かせをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(細田博之君) この個人情報保護法案でございますけれども、我が国は、官民一体となって世界最高水準のIT国家を目指しているわけでございます。また、e―Japan基本戦略、あるいは毎年のe―Japanの計画等を定めまして、まずは教育面あるいは高齢者の教育も含めまして環境を整備する、そして光ファイバーの敷設、そして目指すところは、我が国の社会を、個人の関係につきましても企業、政府の関係につきましても、インターネット等でつなぎまして効率的な社会を作るということが二十一世紀の日本にとって本当に必要なことだということから進めてきておるわけでございますけれども、山下議員も御承知のとおり、逆にそういう時代になりますと、大量の個人情報の漏えいが起きましたり、あるいは個人情報の売買事件等が起き、プライバシー等の侵害を防止しなければならない、国民生活を守るための基盤法制を整備しなければならないということになっておるわけでございまして、国際的に見ましても、OECD加盟国中、三十か国の中で二十五か国は民間部門を包括的に対象とする個人情報保護法を有しておりまして、我が国を含めまして五か国が民間包括法を有していないという状況になっております。
そのような観点に立ちますと、やはり早急な個人情報保護法案策定の必要性が出ておりまして、二年以上前に法案の提出をさせていただいたわけでございますが、当時、当初、そこまで予測していなかったような報道関係等から強い御批判をいただきまして、昨年には廃案になり、また、修正を施して提出を、再提出をさせていただいた経緯は御存じのとおりでございますが、先ほど来申し上げました必要性というものは日に日に高まっておりますので、一日も早い御審議と法案の成立を期待いたしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○国務大臣(片山虎之助君) 行政機関の関係は、既に電算処理の情報については一定のルールを決める法律がございましたけれども、現下のようなITが急速に進む中で、もう一遍それを見直すべきだろうと、もっと対象も拡大して。
公的な機関が、行政機関がかなりな個人情報を持っているわけですよ。それは行政の必要のためにやむを得ないんですけれども、ただ、同時に個人の情報は保護されなければなりませんので、そこの接点ですね。行政のための有効な活用と、それから個人情報は守っていく、行政は必要最小限度しか使えないと、こういうことのルールをもう一遍全体を見直してやり直すと、こういうことでございまして、今お話がありましたように二年以上前に出たんですけれども、なかなか難航しまして。
御承知のように、今回は装いを新たに、与党の修正要綱に沿って直して出させていただいたわけであります。一日も早い審議と成立を心からお願い申し上げます。
○山下英利君 ありがとうございました。
今、お聞きいたしまして、やはり今までになかった状況として、このITが進んだという状況は本当に大きい社会変革の要因であるというふうに思います。ITが進むことによって瞬時に大量の情報が流れ出る。そして、個人のプライバシーという問題が瞬時に広範囲にわたって影響を受けるというふうな状況というのが、また今のIT化の流れの中でこれは避け難い。避け難いけれども、それをきちっと歯止めを掛けて個人のプライバシーというものを守っていかなければいけない。正にここの接点で、今、片山大臣がおっしゃった接点をどうやって見いだすかというところに尽きるのではないかと、そういうふうに思っております。
したがって、この接点というところで考えますと、私は、プライバシーの保護と、それからもう一つは国民生活の向上を目指した活用というこの両面だと、そういうように思っております。その中にはやはり社会規範というものをしっかりと位置付けなければいけないと。正に今、先ほど細田大臣から御答弁いただきましたように、欧米の先進国でもそういった形での法制度がなされているというふうなお話でありますけれども。
ちょっとここで私がお伺いをしたいのは、個人情報保護法制の国際比較という意味で、OECD各国における法制化の現状、それは五か国だけまだできていないというお話がございましたが、もう少し具体的に御当局の方から御説明をいただきたいのと、また、その法制度ができて、それを実際に運用している状況がもし分かりましたら概略教えていただきたいと、そのように思っております。
○政府参考人(藤井昭夫君) まず、OECD参加国における個人情報保護法制制定の状況でございます。
現在、三十か国ございますが、そのうち、公的部門、民間部門、これを双方対象としている国が二十五か国ございます。これはむしろほとんどの国でございますので例示を挙げるまでもないんですが、ただ、普通は一つの法律で双方の分野を対象とする法律の作り方が多うございまして、二十五か国中二十四か国が一つの法律でやっております。
カナダのみがちょっと違った作り方をしておりまして、まず公的部門のプライバシー法が一九八二年に先行したんですが、その後、民間部門については、これは日本とよく事情が似ているんだろうと思うんですが、非常にIT化が進んだというようなこともありまして、民間部門については個人情報保護及び電子文書法というものを作っているということでございます。
それで、じゃ、民間部門を対象としない国にはどういうものがあるかということでございますが、五か国あるわけですが、うちトルコはまだ法律、法案全体制定してございません。公的部門のみを対象としているのが、日本を始め韓国、アメリカ、メキシコの四か国となっております。
それで、各国の法制がどうかということでございますが、OECDの八原則自体は皆共通に各国法制の中に具現化しておるわけなんですが、実際の各国の法律の内容を見てみますと、これは一つは国の体制が違うということもありますし、あと基盤となるような法制、物の考え方も違うということもあるのかもしれませんが、実際の条文というのは非常に言わば抽象度の高いものから具体的にきめ細かく書いているものからいろいろございます。
ただ、あえて特色的なことを申し上げますならば、ヨーロッパ諸国の法律というのは、民間部門も含めて、私どもは自主規制型にしたんですが、最初に事業者が個人情報ファイルを保有する段階から、通例は第三者機関が多いわけですけれども、事前にファイル保有を通知、登録すると、それで審査を受けると、そういう形で、言わば最初の段階から行政が関与していくと。あと、いろいろ管理者制度みたいなものを作りまして、その管理者を通じて安全管理なんかを徹底するというような作り方をされているということでございます。
では、実際の運用面はどうかということなんでございますが、これは私どももそんなにしょっちゅう外国へ行けるわけじゃなくて時々行って調査をしておるわけですが、末端の運用面というようなのが一番実は把握しにくいところでございまして、ただその中でも、例えば今申し上げましたファイル保有の登録の励行状況なんか、これどういう具合なのかというようなことを調査させたりしているんですが、どうも余り励行されているような状況じゃないようでございます。むしろ、結構条文自体はきちっとしているんですけれども、運用の方がちょっとよく分からないという状況だというふうな、調査に行った者なんかからは聞いているところでございます。
○山下英利君 ありがとうございます。
今のお話の中で、実際の運用面のところというのは、やっぱりまだまだ新しい法律であり、これをやはり日本の今の現状に即した形で見ていかなきゃいけないと。言ってみれば、この種の法律というのはやはり走りながら考えていかなきゃならない部分も多々あるんではないかなと、そのように私は思います。
ちょっと追加でお聞きをいたしたいんですけれども、欧州型と言われている今回のこの法案なんですけれども、実際、欧州で適用対象外と、今回のこの法律の中では適用対象外という、義務規定の適用除外の対象ということで幾つかうたわれておるんですけれども、実際、欧州なんかではどのような感じでございますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) これも率直に申しまして、なかなか一律に申し上げることは難しい問題かと思っております。
と申しますのは、各国いろいろな形でうまくその適用関係を調整していると。日本なんかの場合でも、最初に法律の対象そのものから除いて、あるいは条文だけで関係ある部分を除くとか、あるいは実際の条文の例えば不開示の基準なんかで除くとか、いろんな調整の仕方をしておるんですが、そこはなかなか一律難しいんですが。ただ、一般的に申し上げますのは、やっぱり外交とか防衛それから警察関係とか、そういったものの個人情報の取扱いについてやっぱり各国法制ともちょっと違った作り方を、ほかの情報とは違った取扱いをされているということが言えるかと思っております。
あと、前、衆議院でもいろいろ御論議があったんですが、いわゆるセンシティブ情報というもの、これは確かにヨーロッパの諸国の法律ではそういう類型を設けておられるところが多いわけですが、ただ、これも今申し上げましたように、やっぱりセンシティブ情報でも本当に必要な場合もあるわけですから、むしろその必要な場合を例外として除いた上で、その範囲内で適正な取扱いをさせるというような形になっているということでございます。
基本的には、なかなか本当に一律に申し上げにくいところではあるんですけれども、それは各国いろいろな事情はあるんでしょうけれども、やっぱり守るべきものは守るとか、あるいは除外すべきものは除外しているという面では共通するところがあると思います。
そうだ、失礼しました、あと一番やっぱり関心の深いのは報道関係、ジャーナリズム関係の取扱いなんだろうと思うんですけれども、これも我が国でも問題になったんですけれども、やっぱりEU諸国なんかでもああいうジャーナリストとの調整をどうするかということは大きな論点とはなっているようでございます。
ただ、これも前から各方面に御説明しているんですが、基本的にはやっぱりジャーナリズムも個人情報のもっと適正な取扱いというようなのはやるべきなんであって、ただ、支障のある範囲でやっぱり除いていくというような形、例えば目的制限とか非常に厳しいようなものは除いている、ただ安全管理なんかは残しておくとか、あるいはジャーナリズム自体に自主的な取組をさせることによって対象から除くとか、そういうような、いろいろ各国では工夫はしておられるようでございます。
○山下英利君 ありがとうございました。
今のお話のとおり、やはり欧米においても、今回の法律、言ってみれば包括法という形で基本的なところをまず押さえて、あとは、欧米でも、ヨーロッパでもいろいろ試行錯誤しているようですけれども、そういった努力を積み重ねていかなきゃいけないんではないかなと、そういうふうに私は思っておる次第であります。
したがいまして、今回の、ヨーロッパ型と私は認識をしているんですけれども、こういった包括型の法案を作ったというところで、これ欧州型と申し上げてよろしいんでしょうか。それからまた、でき上がったというか、今回審議しているこの法案自体、欧州で実際に行われている法案に比べて遜色のないものかどうか。言ってみれば、海外から日本に来てその個人情報の取扱いについて違和感を感じないかどうか、その辺についてのお考え、お聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) アメリカの場合はやはり判例法、慣習法の国でございますので、プライバシーの問題を含めましてこの個人情報に対する保護の問題も実例を積み上げていくと。しかも、非常に裁判も迅速であり、かつ弁護士制度も発達しておりますものですから、そちらで自主的に対応することによって国民の権利利益が非常に速やかに守られるという面もございます。もちろん、訴訟社会と言われておりますが、欠点もあるわけでございますが。
したがって、米国型にはなり得ないわけでございますが、ヨーロッパ型というのも、届出制等を取っているということは若干、欧州各国と違うわけでございますが、我が国の特殊性として特に申せますのは、歴史的に非常に各官庁が、言わば血液が社会にきめ細かく流れるように、非常に広範な行政の責任をこれまでも持ってきておりますから、これを活用すると非常にきめ細かな形での個人情報の保護が図れるという面もございます。そこで主務大臣制というのも取っておるわけでございますが。
ただ、日本のこの個人情報保護法も、これまでの法制と違いまして、官が何でも許可制を取ったり事前チェック制を取ったりというのではなく、あくまでもこれは個人の権利として当事者間でまず話し合ってもらうと。どうしても大きな問題があって、これを行政庁に申し出る等によって処理する必要がある、あるいは司法の場、行政、司法の場に持っていかなければならないような状況が生じたときに初めてこれを取り上げていくというような仕組みになっておりまして、非常に効果的には大きいと思います。
もう一つは、事前の言わばガイドライン、基本方針の下でのガイドライン等をきめ細かくやりますので、その面では、これまで非常に大きな比重を占めております過失のような、ソフトウエアとかいろんなものの運用を間違って過失によって情報漏れが起こるというようなことは、ほぼ完璧に防げるのではないかなということを期待しております。
○山下英利君 ありがとうございます。
今の細田大臣の御答弁に関連してですけれども、そうするとこの法案の目的というものにおいて、先ほどちょっとお話があったのは、プライバシーの保護と、それから、要するに接点ですね、国民生活上の向上のための活用であるとか、そういったものの接点を見いだすということは大変大事なことなんですけれども、今回のこの法案において、プライバシーの保護、これはもちろん必要であると。だけれども、要するに規制と申しますか、これが過度になれば、むしろITが進むIT社会の中で民間のビジネスチャンスを摘んでしまうのではないか、そういった懸念の声も聞かれるわけでありますけれども、その辺についてのお考えをちょっとお聞かせください。
○国務大臣(細田博之君) これまでも各党の御意見を衆議院、参議院ともにお伺いしておるわけでございますが、お一人お一人の議員におかれましてもそれぞれ揺れている面があるんですね。
つまり、個人情報が非常に保護されないような実態に陥ったときには厳しくしてほしいと、それはデータ業者であれその他の業であれ、それはもう是非プライバシーの侵害を防ぐために厳しくしてほしいという一方の社会的要請と、それから日本の官庁を始め、何か言わば権利の規制のように、逆に非常に厳し過ぎる対応をすることによってIT社会の健全な発展を阻害する面があるのではないかということを御質問になる方がおられます。第一条の規定等にもございますように、その点はバランスを取っていかなければならないというのが第一点。
それから第二は、やはり個人が被害を受けるという観点からいいますと、個人が自分の問題として個別に処理をするのがまず第一のステップでありまして、そういうことが非常に難しいというような段階におきましては、行政庁に申し出て、また関係団体、関係企業との間の調整、指導をしていくと。それでも、どうしても故意あるいは悪意を持って対応しておるようなところがある場合には更に勧告、命令、罰則というようなところまでいくという多段階な方式を取っておるわけでございますので、その両方をにらんでいるというふうにお考えいただきたいと思います。
○山下英利君 ありがとうございます。
実際、民間企業であれば顧客の情報、これに対する管理、これは要するに大事な資産でありますから、これには十二分に気を遣うと、更には内規で厳しく規定をするというふうなところが多いわけであります。
今日は、金融庁から伊藤副大臣が来られていますので、金融業界ということでお話をお聞きしたいなと、そういうふうに思っているんですけれども。
最近、コーポレートガバナンス、要するにその中でもコンプライアンス、要するに法令遵守というようなところが盛んに金融界も言われておりまして、特に金融業の場合にはもう本当に膨大な量の個人の、しかも非常に重要な情報を管理しなきゃいけないと。その中でそれだけの膨大な量の情報が管理ができるのも、これはコンピューターがどんどん進んで、IT進んでいるわけです、それが可能になってきているわけなんですけれども。
今この機会に何が非常に大事かという点を考えてみますと、やはりそれをきちんと管理すると。要するにチェックし管理する機能、これを持っていかなければ、なかなかこの法律が施行されても、自主努力という形でも前へ進んでいかないのではないかなと、そういうふうに私は思うわけですけれども。
金融庁、実際に金融検査をやっておられまして、銀行のこういったコンプライアンス、特にシステムの部分ですね、それから情報管理、この点についてのちょっと今状況、お聞かせいただけますでしょうか。
○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきます。
先生はもう金融実務に大変精通をされておりますので、今御指摘がございましたように、その顧客情報に対するコンプライアンス体制の在り方、あるいは管理の状況というのは非常に重要だということでありまして、私どももそうした問題意識を強く持っております。したがって、検査におきましては具体的には、例えば預金取扱金融機関におきましては、顧客情報は法的に許される場合及び顧客自身の同意がある場合を除き第三者に開示をしていないかどうか、顧客データの取扱いについては管理責任者、管理方法及び取扱方法を定め適切に管理しているかどうか、その具体的な検証項目を設けて検証を行っているところでございます。
また、消費者金融を含む貸金業者の検査におきましては、信用情報の収集に当たり顧客からの書面による事前の合意を得ること、そして信用情報の目的外の使用の禁止あるいは信用情報の適切な管理、こうした留意すべき事項について検証を行っているところでございます。
○山下英利君 ありがとうございます。
それで、その金融検査における検査項目の中にどういったものが入っているかということなんですけれども、コンピューターを、例えばアクセスする、重要な個人情報、幾つかの段階に分かれていると思うんですが、それを実際に内部管理者の段階によってきちんと使われているかどうか、きちんと取り扱われているかどうか。これももちろん管理もチェックもされると思いますし、それから、いわゆる専用回線であればそこから漏れるということはまずないわけで、やはり情報が漏えいする場合には人的な要因、あるいはコンピューターに、要するに通常考えられないようなアクセスをした場合は必ずその記録は残るというようなところのチェックの体制ですね。この辺のところはその検査項目の中に入って見てられるかどうか、その点をちょっとお答えください。
○副大臣(伊藤達也君) 今御指摘のありました点でございますが、これも金融検査マニュアルの中で「顧客等のデータ保護」ということで具体的に検査のチェック項目が設けられておりまして、先生御指摘の点については、その点についてしっかりチェックをし、そしてリスク管理の体制を整えていくということになっております。その点を私どもとしても検査として検証しているところでございます。
○山下英利君 どうもありがとうございました。
伊藤副大臣への質問はこれで終わりますので、お引き取りいただいて結構です。
〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
今の、これは銀行でございますけれども、細田大臣にお聞きをしたいんですが、やはりそういった、銀行であれば金融庁、これは多重債務者という関係から、やはり個人情報を法的に許されるならば、貸出しといいますか、そういったリスク判断のためにやはり個人情報をできるだけ蓄積をしなきゃいけないといったニーズが出てまいるわけで、その辺のところは金融界というものの特性に合わせたやっぱり対応というのも考えていかなきゃいけないのかなと、そのように思うわけですけれども。
今回、衆議院の附帯決議でも、事業分野によってやはり個別法というようなことも検討するというようなこともうたわれているわけなんですけれども、こういった事業特性を個別に考えていくということに対しましては、細田大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(細田博之君) 一般的にまず申せば、金融にしろ医療にしろほかの業種にしろ、自分の大切なお客さんの情報を自ら扱う場合には、それがいやしくも、患者さんはお客さんと言わないかもしれませんが、その人の情報がほかへ漏れてしまうというようなことは極めて営業的にもまずいわけで、社会的な指弾を受けるわけですね。現に、この八年半の六十六件ほどのこれまでの大きな個人情報漏えい事件の中でも金融機関が若干入っております。そういったものは、しかしほとんど過失でございまして、これはしかるべき担当の行政庁が注意をし、それがないようにすれば足りるということだと思っております。
ただ、だんだん微妙な情報が出てきて、金融機関の間でも、先ほど言われました多重債務者などは、いろんなところへ来て金融機関に迷惑を掛けて、借りては踏み倒すといいますか、返さないような人も出てきておりますから、若干の情報交換をしておるような実態もあるようでございますが、そういったものについて特に価値が大きいということで、不心得者がおって、それを外に流してしまうと、対価を取ることも多いんでしょうけれども、そういうことをする者をしっかりと取り締まってもらわなきゃいけないわけで、それは正に金融機関の信用にもかかわってくるわけですから、言わば一種のガイドライン、行政指導によってそのようなことがないようにということをきちっと指導することによって、私はそういった案件はほとんど防げるものだと思っております。
それから、五千件で切るということによってもうほとんどの金融機関はカバーができると。ただ、それで本当に大丈夫なのかという点について、個別にはいろいろな特有な課題はあると思っておりますので、この個人情報保護法によって相当程度カバーはされるけれども、特別なものについてカバーされないケースを今後救済していくべきであると。これは若干の今後の発生する事態を研究しながら、それに迅速に対応するということが最も適当であると思いますが、そういった意味で個別法も検討に値するということを申し上げているわけでございます。
○山下英利君 ありがとうございました。
走りながら考えるというところは、実際そういったいろんな想定をしないことももちろん起きてくる、そういった環境にあるんじゃないかなと、そのように思っているわけで、今の御答弁聞かせていただいて心強く思っております。
続きまして、今回の修正点につきましてお話を伺いたいんでございますけれども、今回の修正点のポイントで、やはり報道というところが除外されたということが出ておりますけれども、この報道の定義をめぐっては大変議論があったわけですけれども、報道をこのように定義された理由について、参考にされた最高裁の決定等を含めて整理してちょっとお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) 今回の再提出法案では、与党修正要綱において報道の定義をすべきというような御指摘がございまして、それを受けて今回の法案に定義規定を置いたところでございます。
そういった点、なぜ定義規定を置く必要性があったかということにつきましては、元々、この法案は報道を規制する意図もそういう内容でもなかったわけでございますが、結局、報道の適用除外をするということになりますと報道という概念を使わざるを得ないわけでございますが、その報道という概念、これが結局除外されるかどうか、どこかの行政機関に苦情なんかを持ち込まれた場合、だれが判断するのかと。それで、主務大臣なり行政機関の長が判断するんであれば、結局、行政機関が裁量的と申しますか、恣意的に判断するんではないかというような不安、懸念というのがジャーナリズム界を中心に非常に強く御指摘があったということでございます。もちろん国会の場でもそういうような御指摘があったということでございます。
それに対して政府側としては、報道の定義はこういうことですよということで国会で御答弁、大臣からも御答弁、何度も差し上げていただいたんですが、なかなか国会での御答弁でも、そういうような報道という概念を行政機関が勝手に解釈して恣意的に判断するんじゃないかという不安、懸念というのが払拭されなかったということでございます。
そういうこともございまして、与党の修正要綱では、言わば私どもがというか、政府側が国会なんかで答弁していた報道の定義というものをおおむねはっきりと条文の形で確認的に規定すべきというような御指摘だったというふうに理解しております。
そこで、この報道の定義、ちょっと読み上げますと、報道とは、客観的事実を事実として不特定かつ多数の者に知らしめることと、意見、見解を含むという、こういうような趣旨になっているわけですが、こういう文言をどういうことで作ったかというような御質問かと思うんですが、私どももいろいろ調べまして、あるいは法制局とも御相談申し上げました。
結局、どういう考え方になったかというと、まず報道というのは広辞苑等ではどういうふうに理解されているかということでございますが、ちょっと広辞苑なんか見てみますと、社会的な、社会の出来事を広く告げることであると、そういうことが書いてあるわけですが、言わば事実の報道と言われていることでございますけれども、そういう社会の出来事を広く告げること、これが一般的な認識というふうに私どもは理解したわけでございます。
〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
また、いろいろな判例等も調べたところでございますが、なかなかしっくり、ぴったりと判例そのもので報道の定義をしたものはございません。ただ、今も事実の報道ということをちょっと申し上げましたが、最高裁の決定の中においても、これは労働組合のような機関紙、これが特定広報の統制を目的として単なる宣伝文書にすぎないという、こういうものについては報道の自由の対象外であるという趣旨を述べられているものがあったわけでございますが、言わばこの決定は、報道を直接的にしてというものではないんですが、単なる宣伝というような主観的な意見、見解のみを述べるということは報道に当たらないと。やはり、客観的事実を知らせるということが報道の一つの本質的な要件ではないかというふうに判断しておられるということを私どもとして判断したということでございます。
こういうようなことを参考にしながら、一般的な意味での報道をそのまま表現するというような観点に立ちまして、現実の報道は、今申し上げましたような事実、客観的な事実を事実として知らせると、そういう要素だけではなく、これに基づいての意見、見解を述べると、こういったものは通例もう随伴しちゃっているということから、先ほど述べましたように、第五十条の第二項で、報道を、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)」と定義することとしたものでございます。
なお、こういう報道の定義を各方面に御説明したときにまず不安、懸念が示されたのは、客観的事実というような文言を使っているものですから、仮に誤報であったり、結果的に誤報であったという場合もあるんでしょうけれども、そういう場合は報道なのかというような懸念を示されたんですが、この客観的事実の意味は、冒頭申し上げました広辞苑の意味そのものでございまして、言わば社会的な出来事という意味で使っておるわけでございまして、言わばそういうような社会的な出来事を知らせるということを目的で活動をされている報道、そのことを言っているわけでございまして、内容について一々客観的事実であるかどうかということを問うているものでないということは念のため申し上げておきたいと思います。
○山下英利君 丁寧な御答弁、本当にありがとうございます。
と申しますか、ここの部分というのが一番私も議論を聞いていて分かりにくいという部分でもあったわけですけれども、今回の修正の中に、報道に加えて著述というものが適用除外されたということで、先ほどちょっと話が出ました個人のプライバシーとそれから今度は表現の自由というところの接点についての議論であるかというふうに思うわけですけれども、今回、著述、報道に加えて著述が除外されたことによって、表現の自由に関係するものはすべて義務規定から適用除外されたと、そういうふうに私、認識しておるんですけれども、例えば出版物とか放送番組で報道にも著述にも当たらないと、そういったものというのはあるんでしょうか。
○大臣政務官(大村秀章君) 委員御指摘のように、このたび、著述というのを今回適用除外ということにさせていただきました。
これは、著述の定義といいますか、これは御案内のように、小説、評論などのジャンルを問わず、人の知的活動により創作的な要素を含んだ内容を言語を用いて表現をするということで、その表現方法、手段というのは、出版物でありますとか放送、インターネット、そういう手段を問わないということでございますので、そういったことからいきますと、今、委員御指摘のように、報道か著述かということどれかに当たればいいということ、一部でも、ちょっとでも入っていればいいということでありますので、そういうことからいきますと、出版物や放送番組でこれに入らないというものは考えられないということでよろしいんではないかというふうに思います。
ただ、報道にも著述にも当たらないというもので、例えば、出版にあっては紳士録とか住宅地図というものがあると考えられます。また、こういうものももちろん、それはもちろん今これを実際に作って売られる方がおられるわけでありますけれども、これは例えば、とある有名人の方で住宅地図からうちの名前は、これは載せてほしくないということがお申出があれば、これは今でももちろん外しておるわけでありますけれども、そういったことを今回の法律では明らかにしたということで御理解いただければと思います。
○山下英利君 どうもありがとうございます。
それに加えて、今回の法案で、報道機関等が義務規定の適用除外になる事業者について自主努力義務というのを、規定が残されているわけでありますけれども、先ほど、例えば銀行であれば金融庁、事業会社であれば所轄官庁、そういったところがチェック、管理をするということになるわけですけれども、この報道機関の場合に、その自主努力義務規定、これをチェックしたりする組織というのは特にないんではないかなと思うんですが、この辺のところはどうやって検証というか、考えたらよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 報道の自由は、御指摘のように、憲法上もはっきりと保障されておりますし、何よりも報道に従事する機関あるいは個人が自らの良識と判断によりまして報道に従事する、そしてその内容は問われないということで本来律すべきことであると思っております。
ただ、もちろん民事法その他、刑法その他の規定はございますので、そういうものに当たって、例えば非常な損害を受けた、精神的損害を受けたという場合には、民事訴訟の対象になったりすること、あるいは名誉毀損や侮辱その他の項目に該当することも前例としてはあるわけでございますが、この法律はあくまでも個人情報を保護する、そして大量に処理されるものを中心として個人情報を保護するということでございますので、言わば保護法益から除外したというふうに本来は野党提案の法案でもあるいは前の与党の法案でも、マスコミ辺りから、ちょっと怪しいんじゃないか、これで読めるんじゃないか、本当に訴訟になったらこの点がむしろ援用されるんじゃないかというようなことも大分指摘されましたので、そのような懸念に及ばないということを明確にする規定にいたしました。
しかし、それは報道機関等の自主努力を否定するものではなくて、むしろそれは当然期待すべきものでございますから、自らの身を処していただきたい、あるいは、報道機関の中での自律的な組織もあるようでございますから、そういった中でよく御検討を願いながらプライバシーの保護等に留意していただきたいと、こう思っておるわけでございます。
○山下英利君 ありがとうございました。
先ほど私、ちょっと申し上げたかと思うんですが、要すれば自主努力目標、これは社会規範的な意味合いの非常に強いものであって、それは国民一人一人が努力して積み上げていかなきゃいけない部分だというふうには思うわけであります。そこまで法律で縛るというふうなことでやると、かえって私は、活力を阻害する、あるいは表現の自由に対しても影響を及ぼしかねないというふうなところもあるのではないかなと思っております。
それで、この参議院の委員会でも昨日もお聞きをしておりまして、いろいろ質問が重複するかもしれませんけれども、衆議院の議論あるいは参議院の議論でも、やはり細かい事柄につきまして、これはどうだあれはどうだという議論、これは、この法律の性格上は限定列挙しているわけではございませんから、やはりこういうケースにはどうなんだろうかというようなところは議論されてしかるべしといいますか、そうすることによってより中身が見えてくるというようなところもあるのではないかと思いますので、私の質問も重なるかもしれませんけれども、その辺はちょっと御容赦をいただきたいと、そういうふうに思います。
細田大臣にもう一度お伺いをしたいと思いますが、例えばカーナビであるとか検索エンジンであるとか、最近の新しい新事業という分野がこの法律によってかえって過度に規制が及ぶことになるのじゃないかというふうな意見も出ております。
これにつきましてちょっと事務方にお聞きをしたいんですが、実際、カーナビなんかは欧米でも出始めているようなんですけれども、ヨーロッパの方の法制上は、これに対する議論というのはいかがでございますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 恐縮ですが、ちょっと聞き取りにくかったんですが。
○山下英利君 済みません。だから、カーナビ出てきて、先ほど言っていたOECD諸国の法体系の中でそのカーナビに対する議論というのは何かお聞きになっていらっしゃいますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 失礼しました。
カーナビということ自体について議論があったという話は聞いておりません。ただ、最近、モバイルというか、移動型のコンピューターみたいなものが登場しておるようですが、こういったものについては外国の中でもどういうふうに法規制するのかということを検討しているという話は聞いたことはございます。
各国とも新しい製品なんかについては関心は持っていることは事実だろうと思っております。
○山下英利君 ありがとうございます。
それで、細田大臣にお聞きしたいんですが、そういった新事業分野について過度の規制が及ぶんではないかなという懸念が報道されるわけですけれども、言ってみればこれから出てきたことに対応するというようなところで、担当大臣のこういった報道等に対する御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) まず、個人情報処理事業者というものを定義しなければならないということで定義があって、他方、主務大臣がいろいろな指導監督その他の命令、その他の措置を取るという規定があるものですから、そこにちょっとでも引っ掛かると何でも規制を受けて、単純にどこかでカーナビを買ってきたり、あるいはその他の名簿を買ってきたものが自分のために動かしておると、それだけでけしからぬと言われるんじゃないかというような御懸念が随分、特に衆議院で議員の中から提起されて議論をしたわけでございますが。
そもそも、本当はこの法案の形について誤解もありまして、そもそも個人に対する情報の扱いによって、その個人の権利利益を侵害するという事態があって初めてこれはその個人から問題が提起されて、その問題提起が更に当事者間の調整で済まなくなって、非常に大きな問題で、もう相手も言うことを聞かないし、自分は非常に困っているといって駆け込むところが国民生活センターであったり主務大臣であって、そこで、駆け込んだところ、やっぱりそこまではいきませんよというと話合いをしなさいということになって、さらに、やはり大変問題であると、これは波及効果も大きいし、何とかすべきである、そういうところで初めて主務大臣が公式的な権限を行使すると、こういう枠組みになっておりますね。
したがって、今まで主務大臣は許認可権を有するとかなんとかという法律はたくさん日本の中にあったんですが、全く違う法律の構成になっておるということを御理解をいただきたいと思いまして、主務大臣があるからとか、定義があるから直ちにあらゆる新規技術によって外から何万人分のデータを買ってきてそれを自己の用に供したからといって、すぐ何か監督を受け、処罰を受ける可能性があるというふうにお考えになられる方があるとすれば、それは全くの誤解であるというふうに私は申し上げたいと思います。
ただ、そんなことは言っても心配なんじゃないかと、大丈夫かというふうなお尋ねも何回もありましたんで、それはもう全く大丈夫であると。そして、できるだけ政令で定めるときに御心配のないように抜けるだけは抜きますと。単純に買ってきて自己の用に供するとか、そういうものは抜きますと。しかし、大量のものを事業の用に供して、またいろいろ悪意を持って運用する人もいるかもしれないんで、それは情報を売り買いしてみたり、あるいは過失も含めてですけれども、そういう大きな問題が生ずる可能性のある業態とぎりぎりのところでは境界不分明な場面もございますので、五千というような形式論ではもちろんはっきりさせようというわけでございますが、そこの、それ以上の境界不分明なところについてはやはり一件一件前例を積み上げていくという、言わばプライバシーの権利でも一件一件判例等によって積み上げていくように、個々の御相談あるいは行政上の処分等で積み上げていく。最終的には判決によって裁判所の判断を積み上げていくという筋合いのものではないかと思っております。
○山下英利君 どうもありがとうございました。
続きまして、行政機関、今度は民間ではなくて行政機関ということに話を置き換えてちょっとお聞きをしたいと思うんですが、先ほど民間の場合の、民間のチェック体制というふうな話を私はちょっとさせていただいたんでありますけれども、行政の場合の今そういった個人情報のチェック体制につきまして、総務省の方からちょっと御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
行政機関の場合でございますが、民間に比べまして、民間が自主的な規律を基本といたしているものに対しまして、行政機関の方は、行政の公開性、透明性の向上の観点を加味しまして、詳細かつ厳格な制度にいたしているわけでございます。
基本的には、行政は各省、各大臣によって分担管理されておりますので、この行政機関個人情報保護法に基づきまして各大臣が厳格に管理をしていただくことになるわけでありますが、これに対しまして、本人からのいろんな開示請求あるいは訂正請求それから利用停止請求という請求権によるチェックに加えまして、主要な個人情報ファイルにつきましては総務大臣への事前通知を制度化いたしておりまして、事前チェックをする。
さらに、開示請求、訂正請求等々に対する御不満がある場合には不服審査ということになるわけでございますが、これは、情報公開・個人情報保護審査会というものを設けさせていただきまして、第三者的な立場からも審査をしていただくというような形でチェック体制を整えているところでございます。
○山下英利君 どうもありがとうございます。
今のそのチェック体制についてですが、行政の方もIT化、ネット化が大変進んでいる状況なんですけれども、要するに、システムの管理状況とか、そういったところのチェックはどういうふうにされておりますですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
既に現行の電算機個人情報保護法におきましても、正に電算個人情報の処理でありますから、電算処理システムについてきちっとした安全管理を行うというようなことを法律上規定しているわけでございます。
したがいまして、これに基づきまして安全管理のガイドラインを策定させていただいておりまして、それに基づきまして各省において安全管理をしていただくということでございます。そういう安全管理を含めまして、総務大臣がその施行状況を調査をするということで、施行状況調査を行っておりまして、そういう観点からのチェックも行わせていただいているところでございます。
このような仕組みは引き続き、現在は電算個人情報保護だけでございますが、幅広く個人情報保護全般に今度の行政機関個人情報保護法案によって広がるわけでございますので、その体制を更に整備してまいりたいと考えております。
○山下英利君 どうもありがとうございました。
総務大臣にお伺いをさせていただきます。今の御報告いただきましたとおり、やはりそういった個人情報の保護に対して、情報保護法が整備されるわけでありますけれども、地方公共団体において個人情報保護条例の整備状況、これについてちょっとお答えをいただきたいのと、またそういった場合、早急に個人情報の保護条例を整備できていないところはしていかなければいけないんじゃないかなと、そういうふうに私も思っているんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 地方は個人情報保護条例でやっていただくと、こういうことでございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、昨年四月一日現在では条例を制定している団体は全団体の約三分の二に当たる二千百六十一団体、それから条例でなくて規則や規定によって対策を取っているものを加えますと二千六百三十三団体、全団体数の八〇・一%でございます。
そこで、条例なんですけれども、規則や規定よりも条例が一番法的効力ありますから、全部条例でやってくれと、それから今まで作った条例を点検して見直してくれと、特に今回は開示に訂正に利用停止まで、そういう請求権が入ったわけでありますから、そういうことも見てくれと。それから、地方団体の場合にどこまで事前チェックの必要性があるかということもありますけれども、そういうことを含めて、今回の行政機関個人情報保護法を一つの参照にしてそれぞれの条例を見直して強化してくれと、こういうことをもう既に申しておりまして、住基の第二次稼働も始まりますから、セキュリティーの点検をいたしましたけれども、併せて個人情報保護対策の万全を期すために再度地方団体に要請し、その結果をフォローするようにしてまいりたいと考えております。
○山下英利君 どうもありがとうございました。
先ほどのチェック体制をきちっとやっていく、それから今、大臣に御答弁いただきました、条例を完備させていくということは正に今的を得た、時期的なものだと思いますし、これを進めることによって不安も解消の一途に進むというふうに私も考えておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。
そういうことで、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○荒木清寛君 それでは、まず個人情報保護法案につきましてお尋ねをいたします。
まず、第一条の目的規定に関してでございます。
この法案の名前自体が個人情報の保護に関する法律案でありますし、第一条もこうした内容になっております。さらには、法律成立後は内閣府国民生活局において所管をすることになっておりますし、個人情報保護に関する基本方針というのは国民生活審議会の意見を聴いた上で作成をするということになっております。
こうしたことからは、この個人情報保護法案というのは消費者保護法制の一環といいますか、その同じ範疇の国民を保護するための法整備である、法律であるという位置付けを改めて確認したいんですが、大臣、それでよろしいですか。
○国務大臣(細田博之君) 荒木議員のおっしゃるとおりでございます。
従来ですと必ずしもこういう法制が必要であったかどうか、十年前でしたら分かりませんけれども、今日、IT社会、コンピューター社会を迎えまして、ありとあらゆる個人データが集積され、中には不心得な人がいたり、あるいは過失があったりして、それが漏えい、流出して個人に非常な迷惑が掛かるということも発生しておるという現状にかんがみまして、プライバシーの権利あるいはそれに関係する権利利益を幅広く保護をするという必要が生じましたので、そのためにこの法律を制定する必要があるということでお願いしておるわけでございます。
○荒木清寛君 そこで、第一条を見ますと、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」というふうにあります。それは、広い意味でいえば、法律というのは行政権を制約をするものであって、全部が個人の権利利益を保護するものということに行き着いてしまうわけなんですが、今も細田大臣がおっしゃったように、この「個人の権利利益」という中にはプライバシーの権利が入る、を始めとしてという話ですね。
OECDの勧告、あるいは我が国における法整備に至る各種の報告等の中でも、このプライバシーの保護と、プライバシー、個人情報の保護というふうな言い方をずっとしてきているわけですから、私は、この法律をもっと国民の方に国民保護法制だということをよく分かっていただくためには、こうした個人の権利利益の保護というふうなことじゃなくて、プライバシー権の保護ですとかプライバシーの保護ともっと端的に言うべきであったんではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(細田博之君) 荒木議員は法律の専門家でいらっしゃいますから釈迦に説法になるような気もいたしますが、今、日本のプライバシー権につきましても、民法における不法行為等を中心としながら次々に判例が積み上がっております。
学説が出て、伊藤正巳先生とか有名な先生が言われてはや三十年ぐらいがたって、「宴のあと」、三島由紀夫「宴のあと」事件で初めて言わば判例として定着し、それから様々な角度で広がっていってプライバシーの権利が出ておりますが、まだプライバシーの権利というものがこれであるというようなことがなかなか決めにくい、多種多様であることも事実でございまして。
今、最高裁において、某大学が某外国政治家を呼んで講演会をしたときに名簿を取ったと。全部、出席者はどういう人であるかを取ったということをめぐって二つの裁判が行われておって、二審で片や有罪、片や無罪じゃないですけれどもおかしいと。プライバシーの権利侵害、片や侵害でないという判決が出て、最高裁で間もなく総合的な判決が下るようでございますけれども、そのくらいやっぱり非常に微妙な問題を含んでおりまして、やはり判決の積み上げをしながら、日本なりのプライバシーの権利というものの具体的内容を積み上げていくことが必要だというふうにも考えますので、政府の提出する法案でこれなりというのは、なかなかそこまでは決断し難い面があったことに加えまして、野党提案の中には個人情報の自己情報コントロール権というものでそれはすべてを律したらいいじゃないかというお話もありましたが、この自己情報コントロール権も、非常にまだ判例、学説等におきましてもまだ未分化、不分明な面がございます。もちろん、そういう権利が徐々に確立されていって、プライバシーの権利のまた一種である、自己情報コントロール権というものは。
しかし、自己情報を全部コントロールできるかというと、例えば禁治産者、準禁治産者というと、戸籍上ちゃんとそれが付記されたり、財産権も抵当権や何かもみんな含めて問題になる。また、住基情報でも四情報でもそれを問題にする人がいるというふうに、一体個人から見て自分の情報をコントロールする権利というのは何なんだろうか。社会の公益性との関係、あるいは抵当権等の言わば公示能力といいますか、対抗力とかそういうものが全部絡んできておりますので、まだ法律的な整理をしなければならない段階で、このIT社会で大きな問題が起こったというのが実態だと思うんです。
そういった中で、最小限のきちっとした個人の情報の保護をするにはどうしたらいいかという観点で、個別的にその手続等を定めるということをこの法律に盛り込んだところでございますので、一つの概念を定義付けて権利とするにはまだちょっと時期が早いというようなことを、内閣法制局等とも相談しながらこのような形になったことを御理解いただきたいと思います。
○荒木清寛君 これ以上議論はいたしませんが、プライバシーの権利というのは、憲法にはそういう書き方がないという意味で、講学上のいわゆる新しい人権というような言い方をされます。しかし、大臣がおっしゃったように、もう判例を始め、もう三十数年来の中でも確定したこれは権利でありまして、というふうに言っていいかと思います。
いわゆるもう裁判規範として活用されるほど確立をされた権利であって、大臣がおっしゃったような理由で書くのを避けたんだということですと、何かそういう新しい人権について政府が少し腰が引けているのではないかというような印象さえ持たれかねませんので、この辺はもう少し世の中の潮流というのを踏まえて今後法律を作っていっていただきたいというふうに思います。
そこで、第五条の「地方公共団体の責務」という中で、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体の区域の特性に応じて、」「これを実施する責務を有する。」と。先ほど片山大臣がおっしゃったこの個人情報保護条例の制定を求めていくというのは、正にこの第五条の規定のことをおっしゃっているわけですね。
そこで、それはそれで必要だと思いますけれども、果たして個人情報の保護の必要性、程度ということについて、そんなに広くない日本でありますし、割といわゆる意識の共通性というのがある中で、この「区域の特性」というのは果たして何を意味するのか。私、勉強してもいま一つこれが何を意味しているのかよく分からないんでありますけれども、どういう特性を考慮してそれぞれ条例の内容に差を付けていくということになるんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) こういうときに書くのは必ずこういうことを書くんですよ、法律というのは。区域が違いますよね、いろんな状況が。しかし、個人情報保護の基本はそんなに違うわけはないと思いますね、私は。
ただ、いろんな個人情報の保護の措置等で、こんなこと言うとまたややこしくなるんですけれども、例えば、あるところはセンシティブ情報の収集禁止を割にきつく書いているんですよ。あるところは全く書いていない。あるところはふわっと書いている。しかし、それはそれで私は、それぞれ地方団体が考えて、議会とも相談して、まあこれでいこうということになったら、それはそれでいいんじゃないかと私は例えば考えているわけであります。
○荒木清寛君 私も、地域によっていろいろ人権、差別の問題もありますから、恐らくはそうしたことも十分配慮するんであろうということも想定はしております。
そこで、主務大臣の問題について先般来いろいろ論じられております。事業者ごとによってこの主務大臣が異なるわけでありますから、この関与の仕方、個人情報取扱事業者に対する関与の在り方にばらつきがあってはいけないわけでありまして、内閣府国民生活局として、この主務大臣の個人情報取扱事業者に対する関与の在り方の統一性をどう確保していくのか、この点の方針をお尋ねいたします。
○国務大臣(細田博之君) 主務大臣がその事業の内容によりまして分かれていくわけでございますけれども、内閣府におきましてこれは責任を持って全体を統括していかなければならないと思っておりますので、今後、基本方針を定める場合にも国民生活審議会の意見を聴きますし、それから実際の起こりそうな問題点について更に詰めていかなければならないと思っておりますので、やはり内閣府を中心といたしまして関係省庁の間で、例えばこれは仮称で、仮に申すことでございますが、個人情報保護の各省連絡会議のようなものを開いてガイドライン等も示してまいりますので、基本方針、ガイドライン、それで個別の問題への対処というものについて密接に連絡しながら、不均衡が生じないように、また様々な行政上の問題が生じないように注意をしてまいりたい、そのように運用してまいりたいと思っております。
○荒木清寛君 次に、これも論じられてきておりますが、第九条で苦情処理のための措置を国が取ると、これは非常に大事な規定かと思います。
先般来、国民生活センターというお話も出ております。そこで、ある個人が個人情報取扱事業者の情報の問題について大臣、国に苦情を言いたいという場合に、国民生活センターに行くのか、それとも各省庁に直接行って申出をするのか、どうしたらいいんですか。それはもう自由にやってくださいということなんでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘のとおり、やはり国民というか消費者の立場に立って、苦情がスムーズに受け付けられて対応をされるというような体制を作ることが大変大事だと思っております。当然、各省の中でもその業についての主務大臣と言われる人たちが国として直接に苦情を受け付ける機関ということになるわけでございますが、実はそれだけじゃなしに複層的な苦情処理システムということの構想の上に立っていて、それこそ大臣から何度も御答弁いただいているように、国民生活センター、市町村、それからまずは事業者、それから認定保護団体ですか、そういうような複層的な、それぞれがいろいろな苦情処理の窓口があるわけですから、そういう全体としてやっぱり総合的、一体的に運営されていくということが必要かと思っております。
もちろん、役所の中に、大臣が先ほど、今ほど御指摘されたところでございますけれども、いろいろ連絡体制をやっぱり整備するということも重要だと思いますが、何よりもそういうような全体的ないろいろな担い手がいるわけですが、その担い手がそれぞれどういう役割で何をやるのかというようなことを、第七条の基本方針を策定することになっておるわけですが、やっぱりそこに明確に位置付けた上で、政府全体として取り組んでいくと、そういう形をやるということが大事だと思っております。
○国務大臣(細田博之君) 国民生活センターは、やはり言わばセンターとしてこの問題の重要な役割を担ってもらいます。今でも消費者相談はあらゆる消費者の立場からの苦情その他について受け付けておりまして、これは高輪にあるんですが、年間九千件ものものを受けておりますし、それから消費者といいますか一般の個人等にとって明らかな場合もあります。例えば、医療機関であれば厚生労働省へ行けばいいということは大体の人は知っていますし、食品の関係等であれば農林水産省だとか、あるいは一般の産業については経済産業省、あるいは教育は文部科学省というふうに御存じですから、そこにあります消費者相談窓口というような組織は非常に膨大なものに今なっておりまして、例えば経済産業省でも年間一万数千件のそういう処理をしているんですね。
ただ聞くだけじゃなくて、それをちゃんと担当に伝え、それを処理し、また個別の対象となる企業等にも照会しながら一件一件問題を片付けているというのが実態でございますので、そういったノウハウは十分これからも活用できると思いますし、それから、もっと国民の皆さんに、この法案が通りますとそういうふうにどこでも行けますよ、分からない人は国民生活センターに行ってくださいということはしっかりと広報してまいりますし、そして加えて、都道府県等に非常にたくさんの、先ほど調べますともう大変多数の窓口がございますので、そちらでも処理できると思っております。
例えば、都道府県単位では今、百六十七の消費生活センターがあり、市町村立で合計で二百九十六か所ありまして、都道府県、市町村の合計で四百六十か所もございまして、そこでも当然受け付けられるように、統一的な運用をしてまいりたいと思っております。
○荒木清寛君 そういう相談、苦情を扱う窓口がたくさんあるということは、逆に間違えるということもあるわけですね。旅行業者の場合に、これが国土交通省なのか経済産業省なのか間違えるということもあるわけでありまして、そういう間違えた場合、相談をする先を間違えた場合に、たらい回しにされたという印象を国民の方が持たないためにどういう措置を考えていきますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘のような場合は、やっぱり窓口で親切に対応されるということがやっぱり一番大事なんだろうと思っています。
ただ、それだけじゃなしに、むしろ最近、IT絡みで非常にいろんな情報の提供ツールがございます。そういった情報提供で窓口をはっきりと国民の方々にお示しするとか、あるいは最近は双方向のやり方もありますので、むしろ相談なんかも、むしろそういうITを使って受け付けて、そしてそれを受け付けた後がむしろ大事なんだろうと思うんですけれども、そういった受け付けた苦情案件をそれぞれ担当セクションにうまく回すようなシステムとか、そういったものをむしろ今後の一つの検討課題としていろいろ努力していかなきゃいかぬというようなことになるんじゃないかと思っております。
○荒木清寛君 先ほど、市町村レベルでも、この消費生活センターですか、等々、たくさん窓口がありますということでした。
第十三条には、地方公共団体は苦情処理のあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めなければならないという、こういう義務があります。都道府県レベルではそれはいいんだと思いますけれども、市町村といった場合には、全国三千二百の町や村も入るわけですね。そういう小さな町や村にも全部この法律に精通して相談をする窓口を設けなければいけないのか。この第十三条の規定に基づいて各市町村ではどういう対応を取ったらよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) やはりこれから市町村合併等も進みますから、どういう体制になっていくかということが分かりませんけれども、一つの地方公共団体には少なくとも一つの窓口は置くと。ただ、そのセンターという名前を冠したところは先ほど申した数でございますけれども、やっぱり一市町村一窓口をしっかり置くべきであろうと思っておりますので、今後の体制の整備のときにそういうことをやっていきたいと思います。
そしてまた、大きな違反事件になりますと全国共通の大きな問題になりますので、その場合はやはり中央で、この国民生活センターを中心にしながら中央官庁と連絡を取り合ってやることが効率的かなと。例えば東京とか大都市に本社があるようなケースも多いと思いますので、そう考えております。
○荒木清寛君 少し、ちょっと後先になって申し訳ないんですが、先ほど細田大臣に主務大臣の関与の問題をお尋ねをいたしました。この法文で言いますと、第三十二条から三十四条にこの主務大臣の関与が書かれております。これは、個人情報の保護に問題が生じた場合に、これを保護するために実効性を担保するための措置でありますから、私はこれは必要な措置であると。むしろ、こういうことがなければ、幾ら義務規定を設けたとしても履行されないわけですね。
ただ、このことについては昨日もいろいろ批判がありまして、この個人情報取扱事業者といえばかなりこれは広範になるではないかと、論者によっては小学生や中学生も含まれるのかという、これはもうちょっとためにする議論ではないかと思いますけれども、しかしある程度広範になることは間違いないですね。そういう広範な、いわゆる国民各層が主務大臣の日常的なそういう監督監視の下に服するんではないかと、これは監視社会だという、分かりやすく言いますと、そういう論調もあるわけですね。
しかし、私は、この法文を読む限り、そのような仕組みになっていないはずですし、あくまでも個人のプライバシーの保護がこの法律の目的ですから、そういう主務大臣の関与の仕方というのも極めて私は抑制的であるべきでありますし、またそういう仕組みになっているはずだと思うんです、私は、勉強した限り。
そうした形で、この主務大臣の関与というのは、もう極めてそういう抑制的、限定された場面であるという理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 補足説明、事務方でもいたすかもしれませんが、正におっしゃったとおりでございます。法律の御専門の議員がお読みになったとおり、これは非常に特別な形をしておりまして、まず本人の求めを個人情報取扱事業者にいたしまして、そこで二十四条、二十五条、二十六条、二十七条等の利用目的の通知とか、開示、訂正、利用停止等について話合いを行うということがまず基本の、言わば一階建ての基本原則でございます。
そういった中で、どうしても解決が付かないような個人情報取扱事業者による苦情処理、三十一条から、もう一つ認定団体における苦情処理等も経て、経ない場合も、直接の場合もありますけれども、そこで初めて主務大臣が出てきて、三十二条、三十四条の報告徴収、勧告、命令に至る、そして最終的に罰則に至るんですが、そこは本当に例外的な事項でございます。
そこで、私は過去の例も調べておるわけですが、過去八年半で七十件程度の大きな違反事件といいますか問題事件がありました。これは資料にして議員の先生方にも、こんなことがありましたということで、かなり広範にお見せしておるわけでございますが、そういう中で、これはどうも過失だなと、企業としてもメンツがないような、名前が漏れてしまったとか、そういうような、ホームページにアクセスしたらほかのアクセスした人の名前が漏れたとか、そういう過失が大半でございまして、これはちょっと故意ではないか、あるいは内部の者がわざと漏らして売買したのではないかという案件というのは、この八年半で集計しても十五ないし二十件なんですね。ですから、まずはこれは個別の話合いをすると、いや、申し訳ないと言って、企業、関係企業も個人情報事業者もそれを訂正するケースがうんと多いと思っているんです。
それではもうどうしようもないようなケース、わざとそれを事業としてやっておったり、他人に迷惑を掛けながら、それをむしろ対価としてもうけを上げておるような、そういうところに対しては主務大臣が乗り出していくというのが基本でございます。
そして、主務大臣も、もちろんその前にガイドラインその他でそういうミスが起きないように、あるいは企業内の体制が、社員の不心得な状況によってデータを盗んで人に売り渡すようなことができないようにかぎを掛けたり、そういうことをまずやってもらうことが先決でございますので、そういう立て方をしておるということは正に議員のおっしゃるとおりでございますので、若干これまでの議論が、その点が、主務大臣制というものが規制強化で大変な公的権力の介入であるかのような誤解を持った議論が行われたことはいささか残念でございます。
○荒木清寛君 そういう意味では、主務大臣の関与というのはいわゆる伝家の宝刀であって、めったに抜くものではないというふうに私は思います。
そこで、先ほども議論になりましたが、これはやっぱり一番大事といいますか、論点になっておりますので、私も重ねて第五十条の適用除外の問題をお尋ねいたします。
報道機関による人権侵害ということが大きな問題になり、いろいろ議論をされております。
そこで、今回のこの個人情報保護法案というのは、そうした形で報道機関によって人権が侵害された場合、それを是正するために行政が乗り出していく、規制をする、あるいはそうしたことを事前に防ぐためにチェックをしていく、そういうことがこの立法趣旨、立法の意図の中には含まれているんですか。
○国務大臣(細田博之君) この五十条第三項においてこの規定がございます。
しかしながら、報道の分野におきましては規制をする意図は全くございません。前の修正、前の法案ではそのような意図はなかったわけでございますが、本当に大丈夫なのかという報道関係者からの非常に強い疑念が呈されて、そして、国会において様々な御議論をいただき、このままでは法案を通すわけにいかないというような与野党間の話合いも行われたわけでございますが、その点も私どもの意図に必ずしも沿った内容の御議論でなかったんですが、やはりこういう法律も社会のかがみでございますので、しかも個人情報の保護という喫緊の課題をクリアしなきゃいけないということもございますので、はっきりと報道関係あるいは著述の関係等表現の自由に関連する部分はすべて除外と。
〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
ただ、政党にいたしましても個人にいたしましても、たまたま心なき報道、実際は、結果的には事実でなかったような報道とか、あと訴訟をして謝罪広告が出るとか、そういう例はもう枚挙にいとまがないわけでございますけれども、そういった問題はこれまでどおり民事法においてやっていただくと、あるいは刑事法でやる場合もあると思いますけれども、名誉毀損その他ですね。そういうことにゆだねまして、基本的にはそういうことでなく、大量に情報を収集し、また扱うことを事業とする者が既に引き起こしているような大きな問題を対象として処理するための法律というふうに限定しておるわけでございます。
○荒木清寛君 この法案立案者が報道を規制する意図は全く持っていないということはよく分かりました。しかし、もちろんこの内閣はまた替わっていくわけでありますし、将来にわたってこの法律がそういう報道の規制というようなことに乱用されるかどうか、されないというきちんと担保があるかということは確認をしておきたいと思うんです。
そこで、近時言われておりますことは、出版社という文言はここにないし、雑誌はこの適用除外ではないんだと、だから雑誌はこの個人情報保護法案で規制をされる可能性があるという、この論調がかなり強く行われております。
私は、衆議院で法案が通過をしたときにニュースを見ましたら、あたかも雑誌はこの個人情報保護法案の規制を受けるんだというような前提でインタビューをしている番組を見ました。そうやってインタビューされたら、国民の方はとんでもない法律ですということになるに決まっているわけですね。
そこで、これは先ほども確認されておりますけれども、いわゆる週刊誌、写真週刊誌、月刊誌、あるいは旬刊誌というのもあるかもしれませんが、そういう雑誌というのはこの第五十条の適用除外になるんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) いわゆる出版業が問題になっておりまして、そして、もちろんその中で雑誌を出すと。雑誌というのはいろんなタイプの雑誌がありますけれども、それはスポーツの雑誌があったり娯楽の雑誌があったり、様々な週刊誌等、雑誌がございますが、雑誌はすべからくやはり報道目的で出しておるというふうに私どもは基本的に割り切っております。
ただ、出版をそもそも全部抜かないのかということについては、私、一つ例を持ってきているんですが、これは東洋経済新報社とかダイヤモンド社が、「役員四季報」と書いてあって、二千六百八十社の重役、四万名の人事データをということで売っておるわけでございますね、三千六百円で。これは雑誌社が売っておるんです。しかし、雑誌社が雑誌として売っているんじゃなくて、出版社として定期刊行物のように年に一回、年に二回出しておりますけれども、その中には、会社の概要と、会長から始まって常勤監査役まで事細かに、その役員の生まれた誕生日から、出身の県から、どこの学校を何年に出たか、どういう住所であるか、その役割は何を管掌する取締役であるのか常務であるのかというようなことまで全部書いてあるんですね。これをまた買ってそれを活用する人がいる。
そして、これを見ますと、もう一つ特徴的なことは、私もこれ十年来買っておりますが、十年前にはほとんど役員は本当の住所が書いてあった。今は、これだけあって、本当のその役員の住所が書いてある企業は、こうやって見ますと比較的新しい個人企業のような企業で、百もないんですよ。全部会社の所在地、住所はみんな削ってあって、会社の所在地。しかし、やっぱり誕生日だとか出身地だとか大学の略歴とか、例えば親会社の何々製鉄から来た人であるとか、本業は弁護士である常勤監査役とか、そういうのが書いてあるんですね。だから、立派な個人情報ですよね。
だから、出版業というものが、すべてこういうものから除けと言われましても、正に個人情報を売っておるような場合、あるいはこれはCD―ROMにもなって、もっと、こんな重いものじゃなくて、一枚のROMに全部入っておって売っておるわけでございますから、そういう場合まで除外するわけにいきませんねと。
あるいは地図も、何々地図と有名な会社もありますけれども、もう買えば全部地図が出てくるようなものは、たとえ出版社が出したとしても、これはやはり個人情報処理事業者として一定の規律に従ってもらわなきゃならないなという意味で出版と書いてないだけでございまして、その出版社が、この会社が週刊誌を出しております、経済雑誌を。そんなものまで報道でないなどと言うつもりは全くなくて、そういうものは全部報道であるし、一部でも報道的な要素があれば全部報道であると、こういうふうな割り切りをした上でこのような条文になっておるわけでございます。
○荒木清寛君 もう一つ、第五十条の第三項の報道機関の努力義務についてお尋ねいたします。
私は、こうした規定は必要であると思います。法的な個人情報取扱事業者としての義務はないにせよ、実質的なことはもちろんやっていただかなければいけないと思います。そこで、この第三項という規定は、例えばある人が報道機関を名誉毀損で訴える場合の裁判規範といいますか、あるいは裁判官が判決を書く場合の判断根拠として援用されるような性質の規定なのかどうか、教えてください。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
むしろ五十条第三項というのは、必要な措置の内容についてもすべて適用除外されるものは自ら判断し、自ら措置するという、言わば正に自主規制にゆだねているということを明確に規定した趣旨でございます。
したがいまして、いかなる場合にいかなることをやるべきかというようなのはこの法律上は全く何も求めていないわけでございまして、そういった規定の趣旨を根拠に不当な圧力とか、あるいはそれでもって直接何かやられていないから裁判に訴えるということは、それは通例難しくて考えられないことだと思っております。
○荒木清寛君 次に、行政機関個人情報保護法案につきまして、一つお尋ねをいたします。
いわゆる情報公開法のときには、当初の政府案を修正しまして地方での裁判の管轄権が認められました。すなわち、情報公開の開示決定等をめぐる司法的救済が取消し訴訟を起こすというような形で行われる場合に、行政事件訴訟法第十二条第一項の特例として、原告の住所地を基準とする全国八裁判所にも裁判を起こすことができると。ですから、外務省の情報公開が拒否をされたという場合に、私が名古屋に住んでおれば名古屋の裁判所に訴えることができるというふうになったわけであります。そのおかげで、情報公開に関しましては名古屋地裁を始め東京以外の裁判所でも優れた判決がたくさん出ているということは新聞でも報道されております。
そこで、片山総務大臣にお尋ねをいたしますが、もちろん今回の行政機関個人情報保護法案につきましても、不開示等の決定につきまして、不服審査をするとともに、するほかに、司法上の救済を求めることもできるわけであります。いわゆる抗告訴訟を提起することができるわけでありますが、この管轄について、情報公開法と同様の特例を設けることを検討しませんでしたか。
○国務大臣(片山虎之助君) これはもう既に当院の本会議でもあるいは委員会でもお答えしたかと思いますけれども、これも釈迦に説法ですが、行政事件訴訟は被告である行政庁の所在地の裁判所ですよね。それから、情報公開法のときは大変議論になりまして、あれは閣法では原則どおりだったんです。それを衆議院で議員修正したんですね、衆議院の。それはやっぱり今、荒木委員が言われたような便宜の議論なんですけれどもね。
そこで、今回も同じような議論があったんですが、今、司法制度改革というのが大きい議論取り上げられていますよね。そういうことの中で、行政事件訴訟の所轄裁判所の在り方も場合によっては議論してもらおうではないかと。筋は筋だと、行政事件訴訟は被告ある行政庁のところだと。
〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
そこで、運用上ですよ、運用上できるだけ地方の機関の長に権限を委任して、そういう権限を委任すれば、そこで開示請求を認めたり拒否したりするわけですから、そこで訴訟が起こせるんではないかと。
それで、これも何度も申し上げておりますように、中の件数を見ますと、教育と医療が多いんですね。場合によっては八割以上というところがある。七割、八割、九割。こういうことですから、できるだけ大学だとか、地方にある大学だとか地方にある病院だとかそういうことに権限を下ろしていくと。こういうふうに今運用上は考えているわけでございまして、私は議論があるところだと私も思います。
しかし、これは筋としては、今回はこうやらせていただいて、司法制度改革における裁判管轄の問題として大いに議論していただいたらどうだろうかと、こういうことでございます。
○荒木清寛君 確かに大臣おっしゃるように、これは行政訴訟の在り方全般にかかわる問題でありますから、そうした議論として詰めていくのが正しいのかもしれません。
ただ、素朴に考えまして、私、名古屋に住んでおりまして、いわゆる外務省が情報公開に応じなかったという場合には名古屋に裁判を起こせるわけですね。ところが、私個人の情報について裁判を起こそうと思ったら、それは愛知県庁は関係ないのでということで、東京に起こさなければいけないというのはやはりちょっと釈然としない気持ちがあるわけですね。
したがって、今の大臣の、なるべく権限を地方に下ろして移譲していくから現地でこうした不服申立てといいますか、裁判が起こせるのであるということを期待したいわけでありますけれども、しかし実際、この法律が施行されまして運用状況を見ないと、実はもう全部東京地裁に裁判が掛かるということでしたら、これはやはり考えなければいけないと思いますので、問題提起だけさせていただきます。しかし、私としては大きな問題意識を持っておるということを申し上げておきます。
そこで、時間が半端になりましたので、最後に一つだけ。
これは、個人情報保護というよりも、情報通信といいますか通信の問題にかかわるわけでありますけれども、一つだけ大変気になっておる問題がありますのでお尋ねするのは、やみ金融業者からのお悔やみを装った取立て電報への対応策についてという問題であります。
今週の月曜日の朝刊にも載っておりました。法外な高金利で貸し付けるやみ金融業者から、だれも死んでもいないのに脅迫めいた内容のお悔やみ電報が届く等の被害が全国で多発をしております。これは、強引に取立てをする新たな手口でございます。
私も、やみ金融をやっている弁護士から写しをちょうだいをしましたんですが、例えば一つ紹介をしますと、これは五月十七日午前、去年なんでしょうかね、埼玉県川口市、住所云々で、持ち逃げ犯、名字があって、詐欺師、名前があって、様というあて名で出すわけですね。その内容というのは、早く入金しないと、おまえら身内、友人迷惑掛けるぞ、おまえらも危ないから気を付けろよ、連絡早くしろといって業者の名前が書いてあるわけです。これは、もうだれが読んだって恐喝ですね。もう疑いがないと思います。
こういう電報を配達をしなければいけないNTTの職員の方の私は苦渋というのもよく分かるわけであります。しかしながら、配達された側からすれば、こういう脅迫的なものについて、当然オペレーターなり、この電報の配達員は内容が分かるわけでありまして、そういうことが分かっていながら届けてくるというのは、あなた方はそういう恐喝に手をかしているんじゃないかというふうに言われているわけですね。それはそれでよく分かるわけです。この業者の、業者といいますか、NTTの方の苦渋も分かりますけれども、もらった方は、よりによってNTTがとおっしゃっているわけです。
どうも、憲法の通信の秘密の不可侵あるいは検閲というようなことがあって、配達したくないんだけれども届けなければいけないんだということをおっしゃっているようですけれども、しかし、そんな憲法の第二十一条第二項の規定が、そんな通信事業者がそのような犯罪的な行為を助長することまで求めているといいますか、容認する規定ではないと思います。これは、もう早急に法律改正が必要であれば改正して、このような事態が起こらないようにしてもらいたいと思いますが、総務大臣の見解をお尋ねします。
○政府参考人(鈴木康雄君) お答え申し上げます。
今、御指摘にございましたが、借金の取立てを内容とする脅迫めいたお悔やみ電報がやみ金融業者から送られてくるという苦情が各自治体の消費センターに寄せられていることは承知いたしております。
この脅迫電報が受取人に不安や恐怖心を与えているということから、NTT東西におきまして、脅迫電報が架空の名義あるいは多重債務者の携帯電話から大量に申し込まれている、そしてまた、結果として料金の回収を免れているということからいたしまして、携帯電話発の電報につきまして、月間五通を超える場合、六通目からはクレジットカード払いにすることにいたしておりまして、この五月九日から実施をいたしております。
また、電報につきましては、現在も受取の方で内容も差出人も確認した上で受取を拒否できるというふうになっておりますので、総務省におきましても、この旨を消費生活センターに周知してまいりました。
また、今御指摘のNTT東西の配達人のことでございますが、電報の申込みのときあるいは配達において、東西、NTT東西の職員が電報の内容の適否を判断して電気通信サービスの提供を拒否するというためには、そういう場合には電気通信事業法上禁止されております検閲、電気通信事業法第三条で検閲をしてはならないというふうな規定をされておりますが、それを行うことになってしまいます。そういうわけで、電報の申込時あるいは配達時に内容を見た上でその種の電報の配達を拒否するということは法的にはできないものだと考えております。
総務省といたしましては、先ほど申し上げましたが、電報の受取拒否の取扱いにつきまして総務省のホームページに掲載するとか、あるいは電報の配達人が配達の際に受取を拒否できるということをお伝えするとか、あるいは消費生活センターへの周知徹底を行うというふうな措置を講じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○荒木清寛君 それはおかしいと思います。例えば、空港における税関検査でわいせつ図画を発見したら、これは差し止めるわけですね。それは検閲でないという判例もあります。
したがって、私は、オペレーターがそういう脅迫的な言辞だと認識した場合にこれお断りをするということは、何ら憲法に違反するものではないと思いますし、法律がそうしたことができない建前であれば変えていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) こういう話があるということは私も聞いているんです。
そこで、この電報がどういう、まあ脅迫的圧力を与えるんでしょうけれども、与えるために出すんですから、与えないと出す意味がないと、こういうことになるんでしょうが。
今、言いましたように、現行法でここまではできるというのは受取拒否なんですね。それから、携帯電話でやるんですよ。架空の名前だとか、借金している人が、取り上げて、無理やり取り上げて、それでどんどんどんどん掛けるんですよ。で、これは止めるようなことをしたんです。
それは、受取拒否という仕組みは、これはやろうと思えばできるので、それは徹底するということがありますが、それでどうにもならないようなら一歩進んで考えなきゃいけないかもしれませんね。それは法的な対抗手段と、こういうことになるものですからね。
今、荒木委員は専門家ですから、もう当然にそれはいけるんだと、検閲じゃないんだと、こういう解釈が確立すれば、それはそれでやれますけれども、どうもNTTさんの方もそこは、そこまではよう解釈してやるというところまで行っていないんですよ。だから、NTTとも相談をして、今言ったようなことではこれが止まらないなら、もっとひどくなるようなら、何らかの法的な措置を含めて対抗手段を検討いたします。
○荒木清寛君 終わります。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
防衛庁の自衛官適齢者名簿について質問します、まずですね。
防衛庁の自衛官適齢者名簿作りは、行政府による個人のプライバシーが丸ごとさらされ、侵害される危険性を改めて示しました。政府が国民の知らないところで個人情報を大量に収集し、勝手に使っています。公開されている四情報だけではなく、センシティブ情報も収集していました。これでは行政の個人情報取扱いについて国民の不信感は高まるばかりです。住基ネットが本格稼働をさせようとしている下で、不安が大きくなるのは当然です。今審議中の法案がこういうプライバシー侵害を防げるのかどうか、質問します。
まず、七尾市の中学生徒名簿の提出問題ですけれども、防衛庁は、自衛官募集のために、能登地方の七尾市から十三歳から十五歳の中学生名簿を提出させていますが、この適齢者名簿の存在を隠してきました。今もその他の提供市町村を隠しています。中学生は防衛庁が自分の情報をひそかに集めているということを知らされていません。行政機関、ここでは防衛庁ですが、個人情報ファイルを保持することは総務大臣に届けなければなりません。しかし、防衛庁は届け出ずに、ファイルは公表されていないわけです。
防衛庁は、その理由を、行政機関の保有する個人情報保護法第六条二項の三号、行政機関の職員又は職員であった者に係る個人情報ファイルであって、専らその人事、給与若しくは福利厚生に関する事項又はこれに準ずる事項を記載するものということを根拠に、総務大臣へ事前通知は要らないと言っていました。しかし、どう考えても中学校の生徒が行政機関の職員、元職員であるはずがないわけで、この規定は当たらないと思います。何で防衛庁はこんな変なことをおっしゃるんですか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
この適齢者情報の電子ファイルの適用関係でありますけれども、適齢者情報に係る電子ファイルについては、防衛庁としては当初隊員の採用業務に関連して使用するためのものであると考え、行政機関電算処理個人情報保護法第六条第二項第三号に規定される行政機関が行う職員の採用試験に関する個人情報ファイルに該当するものであると判断したところであります。
その後、しかし、本件に係る調査の過程において、各地方連絡部から当該電子ファイルの内容を取り寄せ再度検討したところ、適齢者情報等に係る電子ファイルに記載されている、記録されている適齢者は必ずしもこの採用試験を受験するとは限らないため、この同ファイルが行政機関が行う職員の採用試験に関する個人情報ファイルに直接結び付くものと解することは困難であるということ。
一方、適齢者情報等に係る電子ファイルは当該年度の募集に使われるものであるということで、防衛庁文書管理規則及びこれを受けた陸上自衛隊文書管理規則において定められている行政文書保存期間基準の一年以上の保存を要しないものに該当するものとして取り扱われております。
要するに、募集に関して、当該年度の募集に関して使われるものでありますから、その用が終われば後は廃棄されるということで、一年以上の保存を要しない扱いをしているわけでございまして、こちらの方に該当するということで、調査結果を公表した四月二十三日の時点では、この同ファイルを行政機関電算処理個人情報保護法の第六条第二項第六号に規定される一年以内に消去することとなる処理情報のみを記録する個人情報ファイルに該当するという判断をしたところでございます。
○吉川春子君 どう考えても職員、元職員に中学生は当たらないわけですから、この答弁を維持することはできない。
そこで、次に考えたのは、一年以内でこのファイルは消去するということでやはり総務大臣に届け出る必要はないんだと、これ、こういう態度を防衛庁は取っているわけですけれども、七尾市では中学一年から三年生の名簿を自衛官適齢者名簿として三年ごとに提供しているわけですね。このファイルは何年間保存するんですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは適齢者情報の、情報についてちょっと分けて考えていただきたいと思うんですけれども、電子ファイルに記録するものと紙媒体のものとございます。
○吉川春子君 紙媒体のものでいいんです。
○副長官(赤城徳彦君) 紙媒体のものでございますね。
この石川地方連絡部七尾出張所において、三年に一度、紙媒体で中学一年生から三年生に係る適齢者名簿の提供を受けていたものであります。これは紙媒体ですから先ほどの電子ファイルとはまた別でございます。これは一年生から三年生分でありますので、ちょうど募集の適齢に達するときに実際には使用されるということで、一年生、中学一年生分及び二年生分については五年間、五年たつとちょうどその年齢になるということです。中学三年生分については三年間を保存期間としております。
○吉川春子君 ペーパーで出してもらって、その名簿は五年間使用するということですね。そして、しかも、自衛官の募集案内、これは防衛庁からいただきましたけれども、これね、いただきました。いろいろな種類の募集があって、それに適合するダイレクトメールを発送するわけで、一人の生徒が複数回この名簿に基づいてメールを受け取る、ダイレクトメールね、パソコンのメールじゃなくて、ダイレクトメールを受け取るんではありませんか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
この紙媒体での保存は、今申し上げましたように、中学一年生分及び二年生分については五年間、中学三年生分については三年間であります。その電子情報ファイルはどういう場合に使うかということですけれども、これは要するにダイレクトメールを送付するときのそのあて名を、何というか、インデックスというか、あて名を貼付するということで、その当該年齢に達したときにそれを使う、こういうことになります。
今の御指摘の七尾市の場合ですけれども、このダイレクトメールの送付がどういうふうにされたか、ちょっと正確な記録がないのでありますけれども、確たるところは申し上げられませんけれども、判明されたところによると、判明しているところでは、例えば平成十一年度に提供を受けた適齢者名簿のうち、中学三年生分であってその名簿に記載された者が十八歳となる、要するに平成十一年度に提供を受けた中学三年生分、三年たつとちょうど十八歳になりますから、その十八歳となった平成十四年度に一回ダイレクトメールを送付した例がございます。
いずれにしましても、そのダイレクトメールを送付するときに電子ファイルに入れて、用が済めば、送ればもうそれで用は済みますので廃棄するということで、電子情報として一年を超えて保存しているというわけではございません。
○吉川春子君 ちょっとそのことはもう一度聞きますが、要するに一人の人に一回だけダイレクトメールを送るわけじゃないですよね。一人の生徒に、これだけいろんな項目があるので、その生徒に適したダイレクトメールを一年に一遍か、また二年目に送るか、とにかくレクで、事務局でもいいですけれども、複数回送っていますよね。そこだけ確認してください。
○政府参考人(宇田川新一君) お尋ねのダイレクトメールの送付方法でございますが、今、副長官から申し上げましたように、例えば十八歳のときに送りますが、そのときに、十八歳のときに受験資格ができる数種のものがございます。いろんな試験科目がございますが、それはそのとき同時に送る場合もありますし、一つの種目だけ送る場合もございます。平均してどうかというと、おおむね一回が標準になっております。まれに、場合によっては二回送ることもありますが、おおむね一回が基準になっております。
○吉川春子君 複数回送る場合、一年以内に送るとは限らないと私は思うんですよ、この要項を拝見して。その場合に、ペーパーでもらって、それをパソコンで入力して、一回ダイレクトメールを送ったらもうそれで消去する、そしてまたその次に送る必要があればまた入力して名簿を作る、こういう面倒なことを防衛庁おやりになっているということですか。
○政府参考人(宇田川新一君) 私どもがやっていますのは、適齢のときになりますので、仮に次に送るときには三年後とか四年後とか、そういうことになりますので、それからまたそれは持っていても、そのときには役に立ちますが、次の三年後に役に立つ、それは予想されることはされるわけでありますが、基本的にはそのときにまた判断することになりますので、一回送りますとそれは消去しているというのが通例でございます。
○吉川春子君 私はそこは信じられないんですね。一回打ち込んで、あれは大変ですよ、何百人か何千人か分かりませんけれども、打ち込んで、それでデータにしているのに、また消しちゃって、ペーパーがあるからまたその次使うときにもう一度名簿にするなんということを、私は信じられないわけですね。
普通、だってそうじゃないですか、あれ大変な作業だもの。でも防衛庁はお金があるから、一度使っちゃチャラにして、また次はもう一度、アルバイトか職員か分かりませんけれども、名簿を作ってまた送る、そういうふうにするのかどうか分かりませんけれども、本当にきちんとして一年で処理した、こういう証拠は出せますか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、実際の扱いにつきましては、ただいま宇田川人事教育局長から答弁申し上げましたように、そのとき一回で用が済めば廃棄すると、こういう扱いでございます。これは、そんなはずないだろうと言われましても、そういう扱いでやっておるということでございまして、それは電子ファイルは当該年度の募集に使われるものでありますから、先ほど申し上げました文書管理規則、またそれを受けた陸上自衛隊の文書管理規則で、保存期間基準の一年以上の保管を要しない、保存を要しないものというふうに取り扱っておりまして、その規則に従って、保存期間満了後は速やかに廃棄するということになっております。また、そのことをきちっとするという意味で、先般、陸幕長通達、平成十五年四月二十五日に発出いたしまして、その趣旨を徹底を図っております。
ですから、まれにダイレクトメールを何回、複数回発送するという場合があったとしても、一年未満の保存期間、これは満了後には速やかに廃棄するということになっております。
○吉川春子君 だったらば、その適齢期のときの名簿だけ集めればいいんであって、中学生の、中学一年生の名簿を五年間も保存しておくと、ペーパーで、そういう必要はないわけですよ。複数回、あるときは十四歳、あるときは十五歳、あるいは十八歳と、何回か使いたいからこそ五年間保存しているんでしょう。当該年度だけ、まあ防衛庁の言うことを信じれば、ペーパーをファイルに打ち込んで、そしてそのときだけ使ってそれで消去するんだったら、五年間も前に、十三歳の中学生から、その名簿を学校から提出してもらう、あるいは住基台帳を閲覧するなんという必要はないわけであって、私はそこは非常に不明朗で、きちんとやっておりますとおっしゃるんだけれども、なかなか証拠がつかめないというふうに指摘しておきたいと思います。
それで、やっぱり私は、一年間で消去するかどうかって、五年間保存しているんだから、電子ファイルじゃなくてペーパーというふうにおっしゃいますけれども、私は電子ファイルの方も、五年間か分からないけれども、一年で消去をするというふうには信じられないし、これはもうファイルを公表しないための口実で一年で消去していることにしているんじゃないかと、このように思って、それはあくまで口実だというふうに、私は証拠がない以上そういうふうに思わざるを得ません。
それで、文部省に伺いたいんですけれども、ちょっと質問を変えますが、新規中学校、高等学校の卒業者の就職に対する厚生省あるいは文科省の局長通達の中で、中学生に文書募集を行ってはいけないとなっていますが、その理由はどういうことでしょうか、お伺いします。
○大臣政務官(池坊保子君) 文書募集については、厚生労働省の労働者募集業務取扱要領によりますと、募集主が労働者を募集する旨の広告を新聞、雑誌その他の刊行物に掲載し、又は文書を掲出し、若しくは頒布することによって労働者を募集することとされております。ハローワークで受け付けた上で直接本人に対して募集できる形態でございます。
今、委員の御指摘にございました新規中学校卒業生を対象とする文書募集は行わない、なぜかとおっしゃる質問に対しましては、まず中学校段階では社会経験が浅いです。そしてまた、職業についての知識が少なく、職業能力、選択能力も十分ではございません。また、求人広告等に記載された内容だけに基づいて就職先を選択することは、生徒にとって著しく不利な労働契約を結んでしまうという可能性もございます。
それらの原因によって、中学生に対する文書募集を行わないように文部科学省としては通達をいたしております。
○吉川春子君 文部省はこういうふうに中学生に直接ダイレクトメールを送ってはならないと通達を出していますが、防衛庁はなぜ直接中学生に文書を、ダイレクトメールを送るんですか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
これは、ただいま文科省から御説明ありましたように、文部科学、厚生労働両省の方針で、新規中学校・高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日並びに文書募集開始時期についてと、こういう趣旨を発出されました。
防衛庁としましては、この趣旨を徹底するために、四月三日に中学校在校生に対する自衛隊生徒の採用試験に関する募集広報要領等についてという文書を発出しまして、中学生に対する募集広報は原則として保護者又は中学校の進路指導担当者を通じることなどを内容とする、そういう文書を発出した、通達を発したところでございまして、今後ともその文部科学、厚生労働両省の方針を尊重して、中学生本人に対する文書募集は行わないなど、適切な募集に努めてまいりたいというふうに考えております。
○吉川春子君 中学生をあて名に、中学生あてにはダイレクトメールを送らない、保護者あてに送ると、こういうことですか。ちょっともう一度確認します。イエス、ノーでいいです。
○副長官(赤城徳彦君) こういうふうな扱いになっておりまして、募集広報の要領、中学生に対する募集広報については、当該中学生の保護者又は当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者を通じて行う場合に限ると。ただし、新聞、雑誌、ポスター、テレビ、ラジオ、ホームページ等で広く一般に対して行う募集広報はこの限りでないと、こういうふうな扱いにしております。
○吉川春子君 要するに、中学生あてに送るダイレクトメールはもう今後やらなくて、父母あてに送ると。教師を通ずる場合は別として、父母あてに自宅に送ると、こういうことですか。もう一度、そこだけでいいですから。
○副長官(赤城徳彦君) 御指摘のように、中学生本人に対してではなく、中学生の保護者又はその進路指導者ということですが、保護者に対してということで行っております。
○吉川春子君 中学生本人と保護者と連名で行うということも私、防衛庁のレクで聞きましたけれども、そういうことは絶対なさらないように。今日は就職の問題ではないので、そこだけくぎを刺しておきます。連名で送るということも本人に送ると同じですよ。それはいけません。
もう一つ、情報公開、個人情報保護法の問題で言うと、各自治体に依頼しているのは住基台帳の四情報、つまり氏名、生年月日、住所、性別、この四情報の提供を求めているんじゃありませんか。保護者の氏名は含まれていないんじゃないですか。保護者の氏名はどのように集めるんですか。そして、二つの情報はどういうふうにドッキングしているんですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは午前中の委員会でも御説明いたしましたけれども、防衛庁として募集事務もやりますし、法定受託事務として地方公共団体も行っております。その地方公共団体が、募集の目的のために必要であれば一定の情報は適齢者情報として集めることができますし、また自衛隊法施行令百二十条の趣旨に基づいてその情報の提供を受けるということでやってまいりました。
その募集のために必要な情報としては、必ずしもその四情報に限るものではなくて、例えば親御さんに御説明したり資料を送りたいということであれば、その保護者氏名とか、あるいは郵便番号とか電話番号、連絡を取るために必要であるということであればそういうように情報をいただいてきたわけであります。
ただ、今後は必要最小限に限るということで、四情報、何人も閲覧できるという四情報に限定するということで通達を発出したと、こういう扱いでございまして、これまで保護者名とか、そのほかの情報を得ていたということが問題があるとかいうことではありませんで、これも法律に基づき、また募集のために必要があるということで情報をいただいていたということでございます。
○吉川春子君 平成十五年四月二十三日、今年の、二十三日に、石破防衛庁長官が衆議院の個人情報保護に関する特別委員会で報告をされていますね。その中に、個人情報の取扱いについてはより慎重であるべきこと、また、無用の誤解を招かないようにするべきであることから、防衛庁としては、適齢者情報として入手すべき範囲については、四情報に限定することが適切であると考えていますと、こういうふうにおっしゃっていますね。
保護者の名前を集める、今後はもう集めないと、四情報に限りますとおっしゃっているじゃないですか。その舌の根も乾かないうちに、保護者の名簿を集めて保護者に送りますというのであれば、この態度は矛盾していませんか。
○副長官(赤城徳彦君) それは正に私が今説明したとおりのことでございまして、これまで四情報以外の情報を得ていたと、これはその法律に基づいて必要があってやってきたことでありまして、今後は必要最小限に限るということで、何人も住民基本台帳法上閲覧できるという氏名、住所、生年月日、性別と、この四情報に限るということであります。それは、今後そういうことになります。
今後どういうふうに扱うかというのは、必要最小限のその四情報をいただくということですけれども、それは情報として提供いただくのはその四情報に限るという意味で通達を発出したということでありまして、募集の事務については地連、防衛庁の地方連絡部と各地方公共団体とそれぞれが行っていくということについては変わりはないということでございます。
○吉川春子君 そうしますと、衆議院に報告した防衛庁長官名での適齢者情報、適齢者情報ですよ、自衛官の募集のことでしょう、適齢者情報というのは。適齢者情報として入手すべき範囲については四情報に限定することが適切だと、このように長官がおっしゃっているじゃないですか。あなたは今、いや、保護者の氏名も集めるんだと。今後はもう集めないということですか。そこをはっきりしてください。今後は、いいですか、今後は、今まではもう集めていたけれども、今後は保護者の氏名は情報として集めないと、こういうふうに理解していいんですか。それとも、これとは矛盾して、保護者の名前が必要なので集めるということなのか。どっちですか。
○副長官(赤城徳彦君) 全く矛盾しているわけではありませんで、募集事務というのは防衛庁の地方連絡部が行います。各地方公共団体も法定受託事務として行います。議論になっていたのは、この各地方公共団体の持っている情報を防衛庁が協力していただくというときに、どういう情報を協力して提供していただくかということで、これまではその募集事務に必要だということで四情報以外幾つかの情報をいただいていた、しかし今後は各地方公共団体からいただく情報、提供していただく情報の内容として、項目として、住民基本台帳法上の四項目に限るのが適切であるということで、その四項目に、地方公共団体から提供していただく情報の項目としては四項目に限るということでございまして、その募集事務は各地方連絡部もやりますし、各地方公共団体もやります。必要があれば、その親御さんのところに連絡を取ったりということはありますけれども、あくまで地方公共団体から提供していただく情報は四情報に限るということでございます。
○吉川春子君 そうすると、保護者名簿は今度は自衛隊が独自に集めますと、そしてファイル化しますと、こういう話ですか。
つまり、その四情報だけは公表しても構わないと、私は異議ありなんですけれども、そういうふうになっていて、それ以上の必要な情報を集めてファイル化していくことは好ましくないということで四情報ということが厳しく言われているでしょう。
だから、だれが集め、地方自治体が集めるからよくて防衛庁が集めるから悪いんだという話じゃなくて、もう四情報だけに限ると、公表するのはね。それを、だって別の方法で、じゃ保護者の名簿を集めますというのであれば、やっぱり個人情報保護にならないじゃないですか。
今後も、今後も保護者の名簿は何らかの形で防衛庁が集めて、そして保護者あてに自衛官募集のダイレクトメールは送りますよと、こういうことなんですね。
○副長官(赤城徳彦君) ちょっと繰り返しになりますけれども……
○吉川春子君 いや、繰り返さないでください、端的に。
○副長官(赤城徳彦君) 地方公共団体の関係では提供いただく情報は四情報に限ると、こういうことであります。募集事務はそれぞれやっているわけでありますから、その募集のために必要なものについてはそれぞれの判断で、各地方連絡部が判断でやるわけです。その各地方連絡部なり地方公共団体がどういう判断でその働き掛けをするかとか、そういうのはそれぞれでありますから、一概にどうだということは申し上げられないということであります。
○吉川春子君 防衛庁長官がおっしゃっているのは、入手すべき範囲については四情報と言っているんですよ。入手すべき、防衛庁が入手すべき範囲については四情報に限定することが適切だと。保護者名簿なんて入らないじゃないですか、四情報に限定したら。矛盾していますよ。
ここちょっと、ちゃんと整理して、委員長、答弁させてください。もうさっきから時間だけ食いますので、ちょっと委員長、整理をお願いします。
○副長官(赤城徳彦君) 全く矛盾しておりませんで、各地方公共団体が法定受託事務として募集を行うと。ですから、その情報の、適齢者情報のどういう項目を地方公共団体から提供していただくのがいいのかということで、これまでは四情報以外にいただいていたけれども、必要最小限に限るということが適当だろうということで、その四月の通達を発出して、地方公共団体から提供していただく情報は何人も閲覧できる四情報に限ると、こういうことにしたわけでありまして、そのことには全くそごはございません。
○吉川春子君 そうすると、防衛庁は保護者のところにダイレクトメールを送れないんですよ。本人に送ってはいけないと文部省と厚生労働省がおっしゃっている。だから、本人、四情報に基づいて中学生本人にはダイレクトメールは送れない。そして、今度、防衛庁長官は、もうその四情報しか入手すべきではないとはっきり衆議院でおっしゃっている。そうすると、どちらかを踏みにじらないと、どちらかを踏みにじらないと文書による中学生に対する募集というのはできないんですよ。分かります、私の申し上げていること分かりますか。
どっちを踏みにじるんですか、文部省通達の方を踏みにじるのか、あるいはこの防衛庁長官の答弁を踏みにじるのか、二つに一つしかないんですよ。それとも、募集はダイレクトメールではやめると、この第三の道ですか。ちょっとかなり整理して聞いていますので、端的に、一、二、三、どれ選ぶんですか。
○副長官(赤城徳彦君) これまで御説明したように、いずれかを踏みにじるとか、そういうことではありませんで、中学生本人に対しての募集活動を行わないことはそのとおりでありますし、中学生本人に対してのダイレクトメールを発出するということはしないという、その文部科学省、厚生省両省の方針に従ってやっていくわけでございますし、四情報以外については各地方公共団体からの情報提供をいただかないという、先ほど、発出したそれについても、その地方公共団体から提供いただく情報は何人も閲覧できる四情報に限ると、こういう扱いにしていくわけであります。しかし、その募集については各地方連絡部が行うわけでありますから、各地方連絡部が独自にその募集活動をするということは、これはまた別の問題であります。
そういうことで、矛盾なりそごというのはないということでございます。
○吉川春子君 委員長、お分かりでしょう、もう成り立たないんですよ。ちょっと整理して──もう整理できないんですよ、矛盾しているから。
○委員長(尾辻秀久君) 赤城防衛庁副長官。
○吉川春子君 いや、もうこれ、何遍おっしゃっても同じじゃないですか。
○副長官(赤城徳彦君) ちょっと実際の扱いについて……
○委員長(尾辻秀久君) それでは、指名を変えます。防衛庁宇田川人事教育局長。
○政府参考人(宇田川新一君) 副長官からの御説明申し上げていますが、委員御指摘の適齢者情報というものの定義、ちょっと書き忘れたかもしれませんが、そこで書いてある適齢者情報というのは地方公共団体から提供いただく情報のことを指しているところでありまして、決して矛盾しているものではございません。
○吉川春子君 ちょっと委員長、私、この部分保留しますわ、今日ちょっと決着付かないと思いますので。皆さんもお分かりのように、全然相入れないんですよね。ですから、ちょっとこれは次回に保留させていただきまして、何を踏みにじるのかということをはっきりさせた上でですね、いいですか、委員長、私、ほかにも質問がありますので。
○委員長(尾辻秀久君) 質問を続けてください。
○吉川春子君 はい。じゃ、それは保留させていただきます。
それで、もう一つ防衛庁にお伺いしますけれども、防衛庁は自治体から自衛官適齢者名簿として提供させた個人情報を警察に提供しているんですね。調査に利用しています。警察は防衛庁から、防衛庁に対して具体的にどういう協力を行ってきたんでしょうか、伺います。
○政府参考人(奥村萬壽雄君) お答えをいたします。
警察は、自衛隊法の九十七条二項に基づきまして、防衛庁からの依頼を受けまして募集に関する事務の一部につきまして必要な範囲で協力を行っておるところでありますけれども、その具体的な内容につきましては、協力依頼をされている防衛庁の方がお答えを控えておられますので、警察庁といたしましても答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○吉川春子君 じゃ、防衛庁、言ってください。何の協力を求めているんですか。中身じゃなくて、何のために警察に協力を求めているんですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、今答弁がありましたように、この自衛隊法九十七条二項で、「長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。」と、こういう規定に基づいて警察庁に対して必要に応じて協力依頼を行っているものでありまして、これはあくまでその募集に関する事務の一部について協力を求めるということでありますから、御指摘のようなものではないということでございます。
○吉川春子君 済みません、まだ何も御指摘してないんですよ。これから聞こうと思っているんです。
要するに、国家公務員法三十八条の欠格事由、こういうものに対して警察に協力を依頼しているんじゃありませんか。その点は防衛庁も私にさんざん説明しているんだから、そういうことで依頼しているということは言えますよね。ちょっとそこだけおっしゃってください。
○副長官(赤城徳彦君) 先ほど御指摘のようなものではないと申し上げたのは、適齢者情報を流しているというような意味のものではなくて、あくまでその募集に関しての事務の一部について協力を求めることができるという規定に基づいて行っているものでありまして、その中身につきまして、例えば志願票に記載された事項を確認するとか、あるいは欠格事由の有無とか、そういうものについて必要な調査を行うということでございます。
○吉川春子君 ということを警察に依頼しているということですか。そこ、語尾がはっきりしなかったので。
○副長官(赤城徳彦君) その協力の具体的内容につきましては、採用業務の適正な執行及び警察庁との信頼関係が損なわれるおそれがあることからお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○吉川春子君 人事院、お見えいただいていますでしょうか。
人事院が国家公務員を採用するときにも、国家公務員にはやっぱり欠格条項というものがあって、それによって採用できない者がありますね。この国家公務員の採用に当たって欠格事由について警察の協力を求めていますか。
○政府参考人(佐久間健一君) 国家公務員の採用試験と欠格条項の関係のお尋ねということでございますが、人事院の行います採用試験につきましては、採用試験の受験申込書、受験申込書において欠格条項として規定されております国公法の第三十八条各号に該当しないということについて受験者本人の署名を求めるということで取扱いをさせていただいているところでございます。
○吉川春子君 警察のお世話になっていないということですか。そこだけ聞きます。
○政府参考人(佐久間健一君) 私どもの方としては、そういうことをしておりません。
○吉川春子君 一般の公務員の採用のときには欠格事由の問題は生じますが、警察とは全く関係なしにやっているのに、防衛庁はどうして警察が必要なんでしょうか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、あくまで法律上、この九十七条二項で募集に関する事務の一部について協力を求めることができるという、法律上なっているものでございますけれども、なぜそういう規定が置かれるかということにつきましては、これは国防という自衛官の任務の特殊性にかんがみて置かれているものというふうに考えます。
○吉川春子君 国防という任務だから採用については警察の力をかりなくてはならない、こういう答弁だったと思います。もうけしからぬじゃないですか、そんなこと。一般の自衛官だって国家公務員なんだし、わざわざ警察にセンシティブ情報を提供して、そして身元調査をさせるなどということは、これは私は絶対やってはならないと思いますし、やめるべきだということを強く要求しておきます。
それで、細田大臣にお伺いいたしますけれども、今、防衛庁とのいろいろなやり取りをお聞きいただいたと思うんですけれども、やっぱり今度の個人情報保護法で本当に個人の情報が適切に保護できるようにしなければならないと思うんですけれども、そういう四情報以外の情報を集めたりファイル化したり、あるいは五年間、これペーパーだと言い張っているんですが、五年間持っている情報を公表しないと、そういうような問題について、ちゃんと一年間で処理するとか、そういうことがきちっと今度の個人情報保護法で担保されるのかどうか、その辺について、御認識というか決意というか、それを大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) やはり行政がどのように、行政が持っている、行政であるがゆえに持っている情報を処理するか、使うかという問題は、この個人情報保護法、私の方で提出しております言わば民間の個人情報処理事業者等を中心とするこの法律の対象とやはり性格的にも相当違うんではないかと思います。
したがって、民間においての個人情報の処理についてはそれに適した在り方で行うべきである。つまり、私的な企業として経済活動等をやっておる企業も多いわけでございますし、あるいは様々な活動を展開している民間の企業、団体等を対象としておりますので、一律には論じられないのではないかと思っております。
それに、様々な情報の中には、むしろ長年にわたって蓄積してそれの変化を見るとか、様々な情報も有益であることも事実でございますので、ちょっと性格が違うような気がいたします。
○吉川春子君 片山大臣、総務大臣にお伺いします。
午前中、大臣もやっぱり四情報の扱いについて言及されまして、これもやっぱりすべてオープンでいいかどうかということは今後の課題だということをおっしゃいました。
今の自衛官の募集にかかわる議論をお聞きになっていただいたと思いますけれども、やっぱり四情報に限る、そしてその公表についてももうちょっと考えていこうというときに、やっぱり私は、防衛庁の今までやってきた個人情報の収集の仕方、それから保存の仕方というのは大変疑問があるんですけれども、こういう問題について、やっぱり住基ネットの担当大臣として、四情報の担当大臣としてこの運用を厳密にやっていただかなきゃならないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 住基ネットと住民基本台帳からの情報は全く違うんです。
○吉川春子君 総務大臣、四情報で言ってください。
○国務大臣(片山虎之助君) 住基ネットは全然関係ないの。
○吉川春子君 またそれは後でやりますから。
○国務大臣(片山虎之助君) 住民基本台帳は、公開といいますか、基本的な情報が四情報ですから、四情報で募集の用が足りれば一番いいんですよ。ただ、四情報じゃちょっと不安だというので、例えば御両親か何かの情報や何かを今まで取ってきたと思うんだけれども、そこは四情報で済ますという方が話が分かりやすいじゃないかと。その方がみんなの、吉川委員のような大変な心配性の方もおられるんだから、だからそういうことはいいんではないかということで私どもの方も申し上げ、防衛庁もそれでいきましょうと、こういうことですから、そこはそれでいいと思いますが。
やっぱり自衛官というのは国の第一線で国の安全保障のために頑張るんですから、普通の採用試験、募集や採用試験よりは丁寧にやると。自衛官としてふさわしい人を丁寧に採ると。ほかの公務員がふさわしい、丁寧じゃなくていいという意味じゃないですよ、ほかの公務員も丁寧に採ってもらわないかぬのだけれども。
そういうところで、法律の仕組みがそうなっているんですよ。吉川委員御承知のように、九十七条の一項で市町村に法定受託事務で募集の仕事もやらせますと。市町村は必要で求められたら、もちろん必要な限度ですけれども、その情報を出しなさいと、あるいはいろいろなことを報告しなさいと、こういう仕組みにしているんですね。その仕組みを決めたのは国会ですからね。防衛庁が悪いわけじゃない、国会が決めたんですから、国民の合意として決めたんで、だからそれは適切に運用してもらうと、こういうことなものですから、我々としては四情報で済ませてもらえれば一番いいなと、こういうふうに思っております。
○吉川春子君 住基台帳の四情報の閲覧問題について、あと残された時間で質問したいんですけれども、本会議でも私、ドメスティック・バイオレンスの被害者、早く言えば夫婦間暴力で、男性が被害者になるということもあるかもしれませんが、今は圧倒的に女性が被害者です。そして、もう身一つで夜中に逃げてくるという例も多いんです。
そうしますと、シェルターに駆け込んで、そして夫からも居どころを隠して、そして新しい生活にスタートするときに、大臣がおっしゃるように保護命令が取れればまたいいんですけれども、保護命令が取れない、又はそれの前の段階の女性というのは一杯います。そして、しかし住民台帳がないと新しい生活スタートできないんですよね、子供の学校にしても医療にしても、いろんな問題で。
そのときに、大臣は各自治体が適切に判断すべきだと。それはそうなんですけれども、例えば戸籍の方もオープンになっているものですから、いろいろな方法で必死で探すわけです、加害者である側はですね。ですから、住基台帳、その四情報がオープンということがこういう女性にとっては本当に大変で、身の置きどころもなくなるし再起ができなくなるということで、こういう事務を取り扱っております住民課、区役所とか市役所の住民課の方からも私、陳情を受けております。
こういう問題について、やっぱり基本的にオープンよと、自由に見てくださいということから何らかの、自治体レベルはもちろんやっていただくとして、国レベルでも法律レベルでも考えていただかないとならないというふうに思うんですけれども、その辺、もう一歩積極的な御発言あったらお願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) このドメスティック・バイオレンスの問題はケースがいろいろなんですね。例えば、私が聞いたのは、離婚するからそれで住民、その情報くれと言ってくるようなケースもあるんですよ。離婚ならさせた方がいいじゃないかと、こうなるわけですね。ところが、必ずしもそれが本当かうそかというようなことがあるんで、ケースがばらばらなんで、そこはどういうふうに考えるかということなんですが、本当はDV法をお作りになったときにそういうことも書いておいたらいいんですよ、法律で。
○吉川春子君 今度書きます。
○国務大臣(片山虎之助君) いや、だから、それが落ちているから、住基法はこれは基本法、一般法ですからね、そこでDVのときどうだこうだというのを書くのはなかなか法律的にはつらいんですよ。だから、運用上、正当な理由があったら拒否できるということにしているんですから、そこをちゃんと運用してくれということを我々はお願いしているんでね。
だから、そこのところは、いろいろ吉川委員を始め皆さんからお話があるものですから、状況をもう少し調べてみましょう。それから、必要があれば考えますよ、必要があれば。調べてみて、それから自治体の意見も聞いて、市町村の。
○吉川春子君 個別的な対応といいますか、そういうことが、確かに個別法で対応ということが必要になるかもしれません。
それで、これは内閣府の男女共同参画局が配偶者からの暴力に関する事例調査という中で、既存の制度による不都合について切実な訴えが載っているわけですね。
住民票を、例えば五十代の女性ですが、住民票は前の除票を、除く票と書きます、を取ってしまえばどこに転出したか分かるし、それが分かれば次の住民票も取れますと。戸籍はだれでも取れるし付票も取れるので、住民登録を移すと分かってしまうと。それから、もう一人の四十代の女性は、家を出るときに住民票を実家に移したが、そのとき出張所の人に住民票をどこに移したか夫が聞きに来ても教えないでくださいと頼んだと。でも、それはできないと言われました。戸籍も隠すことができないと、このように言われたという、これは政府の文書の中から取り出した事例ですけれども、そういうものが載っております。
それで、今参議院の共生調査会でもドメスティック・バイオレンスの保護法の改正をどうしようかと中身の検討に入っているわけですけれども、そこでも検討しなくてはなりませんが、是非その四情報の元締である総務大臣に、そういう問題があるから四情報を、ただ公開しているんじゃないと思いますが、やっぱりこれは一定の絞る点は絞らなきゃいけないということを申し上げたいわけです。
それでもう一つは、全国連合戸籍事務協議会、ここの団体が毎年のように大量閲覧について住民からの批判の声が強いと、で、公共目的以外の閲覧を禁止する法改正を総務省に要望されています。総務省、御存じでしょうか。
私は今DVに絞って申し上げたんですけれども、公共目的以外の閲覧を禁止してほしいということを、プロの集まりですよね、戸籍事務協議会で出されているというんですけれども、これには総務省、どのように対応されていますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 昔は、居住関係の公証ですし、行政の基礎だから、少なくともこの基本的な情報は公開したらいいじゃないかと、こういうことだったと思うんですね。ただ、それを使って商売で悪用したり別なことに使ったりということで、御承知の、あれは昭和六十年ですか、法律を改正して、とにかく拒否できるというのを入れたんですよね。
しかし、それでもまだいろんなケースがありますんで、やっぱり時代やこういう、情報の判断というんじゃいけませんけれども、そういう情報化時代の中で公開というのがどこまでいいのか、公共目的は、一切見せないというのはちょっと狭いような気もしますけれども、しかしかなり不適切な目的のためでも公開せにゃいかぬのもこれもいかがかと、こう思いますので、この辺は少し学識経験者の方を含めていろんな議論をしてみたいとは実は思っております。直ちにそれが法改正に結び付くかどうか分かりませんよ。しかし、問題意識は持っておるということは申し上げます。
○吉川春子君 今、四情報、住所、生年月日、氏名、性別ですか、片山大臣は中高年の女性は年齢は公表したくないんじゃないかと昨日ここでおっしゃいました。私は国会議員ですから公表していますが、今、性別についても、やっぱりこれはセンシティブ情報で公表したくないという、そういう方々もいらっしゃるわけですね。だから、時代が物すごく変化されていますので、そういうことも含めて、そして商売用の個人情報の活用などについてもちょっと考え直していただきたいなと思うことがあります。
そういう問題について最後に細田担当大臣から答弁をいただきまして、決意の答弁をいただきまして、私、終わりたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 今までの御議論を踏まえて、おっしゃることは、今個人にとりまして自分の情報、個人情報というものがどこまで自分の意思によって隠したり公表したり、それからどこかのデータから削除したりできるかという、非常に基本的な御指摘がありました。
だんだん世の中の流れが、人に過大な自己の内容を教えたくないという要請として高まっていることも事実でございます。また、他方、財産とかその他の問題、もちろん戸籍、住民票も含めまして、例えば不動産所有、それに関係する抵当権の設定等、財産等についても大事な要素がもう全く公表されなければ個人の取引や何かに障害を与えるんだということで公表されておりますね。だれでも閲覧できるようになっているという面も、財産についても大きな問題なわけでございますし、それから健康情報についてもそうでございます。
したがいまして、これは絶えず世の中の動きによって変化に対応することは私は必要であると。正に個人情報保護法案が、この大量な情報処理時代に初めて法律的必要性がこの国会で論じられたように、更に更に今後社会の変化に従って変わっていくことは予想されますので、常に柔軟な立場と、それからプライバシーの保護と社会の権利利益の増進とのバランスを取っていくということが大事だと思っております。
○吉川春子君 終わります。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
本会議、そして昨日の質問に続きまして質問させていただきます。
本会議では、私、わざとそういう表現をしたんで、小泉総理には、あの口の悪い女はだれだというような御感想があったやに聞いておりますが、表現の、わざとそういう表現を使ったわけで、私の質問が、伝わらなかったのか、真意が伝わらなかったのかなという心配もありますので、ここで再度質問させていただきたいんですけれども。
つまり、この法案の根底にある精神ということについて、相変わらず官尊民卑という発想があるのではないかという表現の仕方で聞きましたけれども、別の言い方をさせていただきますと、日本の官僚の皆さんというのは大変優秀で、そして大変親切である。国民が間違わないようにいろいろ気を配って、事前に、こうしない方がいいよ、ああしない方がいいよといろいろ気を配って、そのために事前規制ということで、いきなり刑法でレッドカードを突き付けられないように気を配っていただいている。その中で、例えば業界団体に対する指導ということがあり、そういうところで公益法人等も生まれ、まあ公務員の数はそんなに多くはないんですけれども、見えない政府と言われる公益法人等、そういうものを含めますと大変官僚が多い社会であるということが言えると思います。
やっぱり、そろそろそういう考え方をやめて、そうではない、もちろんこの個人情報保護ということに、保護ということになると必ずその裏側に管理という言葉が出てくるわけでして、ある面で仕方がない部分もあるんですけれども、自己責任、国民に自己責任の必要性を感じさせる、体験させる、そういう法律を作るべきではないかと思います。
それで、その質問、各項目に入る前にお二人の大臣にお聞きしたいんですけれども、そういう在り方について、官尊民卑ではなく、自己責任、自律した個人を前提としたその法案作りということに関して、今回提出された法律についてどのようなお気持ちを持っていられるか、お二人の大臣にそれぞれ伺いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(細田博之君) 実は、この個人情報保護法は日本の法制度の歴史からいうと極めて特異な内容になっております。今までの法律はえてして、電波の監理が必要だからこういう許認可にしようとか、こういう事業、環境についてはこういう規制を、基準を設けて、これ以下のものは絶対駄目ですよという規制をしようとか、そういうことで、それぞれの主務大臣が、決まってもう直接的に、官公庁が公の立場から、それが環境であったり、あるいは公の電波とか土地だとか、そういうものの使用の制限であったり権利の制限であったりして、直接の規制がかぶるような法律はこれまで戦前戦後を通じて極めてたくさんあって、そういうものがないと法律にならないというぐらいたくさんの法律も存在するわけでございます。そして、その中で規制緩和等が行われているわけですが、なぜこの法律が非常に特異かというと、正に森議員がおっしゃいますように、この法律は、少なくとも本人が自分の情報、個人情報に関連して、個人情報取扱事業者の様々な扱いがおかしいぞと感じたときに、自ら求めてそこへ問い合わせると。そして、利用目的を通知せよ、あるいは開示せよ、訂正せよ、利用停止をせよと、そこでこの第一弾、三階建ての一階建てというのが極めて広範に行われておるわけですね。
これは正に民間レベルの自主的なやり取りによって実現すべきものであって、これがベースである。かつ、様々な請求がある場合には当然ながら開示義務等が掛かって、その本人との間で、ではこういうふうに開示いたしましょうとか、このように訂正いたしましょうということで応対するような仕組みになっているわけですね。
それを前提といたしまして、さらに、そこでらちが明かないと、あるいはどこかに、政府のどこかに苦情を申し込みたいという場合には、窓口を設定をいたしましてそこに苦情を持ち込むと。これもまずは、こういう業界団体もございます、あるいは直接のそういう企業が問題になっているのなら企業に御照会いたしましょうというような、これまでも消費者行政等でもう多岐にわたる問題で行政庁が行ってきておりますような個別の照会、苦情処理、これも行政権限があるわけではなくて、あくまでも、この人が個人的に非常に困っているようですから聞いてあげてくださいという非常にソフトな形のものを法律上位置付けているわけですね。
そこで、その次でございますが、それじゃそれだけで用が足りるのかというと、この八年半に起こった六十六件ほどの大きな案件でそれで足りそうなものは大体八割でございます。だから、大体足りるんですね。それはどういうケースかというと、苦情を申し立てると、いや、これは申し訳ない、こういう過失がありましたと、例えばホームページに懸賞で応募したらその情報が漏れて人に分かるようになっておる、これはおかしいんじゃないかと言えばもうこれは企業側は申し訳ないと謝るしかないような事態、これが八割ぐらい実はあるわけでございますので、これはほとんど全部是正されるであろうというふうに私は現状では考えております。
しかし、どうもそのうち、この八年半で起こった事柄のうち、どうも故意があるようなもの、つまり何か意図的にわざと情報を流して金を稼いだとか、会社内で違法にデータを取得した、これは十五件ほどあるわけです。したがって、二割強ですね。
しかし、この二割強においても、何ゆえにそのような故意の、悪意のデータの移転が行われたかということを考えますと、その企業の管理が悪いわけです。つまり、企業は社会的存在でありますから、データを集めた場合に、それが安易に人に漏れておる、その元が○○銀行であるとか○○デパートであるということが分かれば大変な信用失墜になりますから、それは申し訳ないと、ここは、あなたのところから悪いやつが出てこういうものが漏れましたよと言えば当然その人を解雇するでありましょうし、今後の問題としては、ソフトウエアをちゃんと変えて、そして特定の社員がその中から引っ張り出せばその証拠が残る、残ればそこまで犯人として分かってしまいますからそれをやらなくなるというような自己責任による改善が非常に可能なわけでございます。そういうものはまた、この十五件のうち私の見るところでは七、八割です。つまり、悪意、故意、社内の管理が悪いために起こった事件ですね。
一番悪質なのは、もう会社ぐるみが悪いことをしている、あるいはデータを扱う、名簿業などを扱う者が、金になりそうな情報を集めて会社ぐるみで、多重債務のこういう情報がございますよ、一件三十万円で買いませんかというのは、もうこれは企業ぐるみの悪意、それからそれで金をもうけようという言わば違法行為に近いもので飯を食おうという企業でございますから、これは断固取り締まらなきゃいけないんです。しかし、今の法律上は、社内で取ったものでも、本当は刑法上窃盗だとか横領だとか背任だとかいって捕らえたいんだけれども、法律がない。そして、せいぜい会社は首だというぐらいですが、会社の信用は失墜する。そして、ソフトウエアか何かを変えるか、セーフティーネットをきちっと張らなきゃならないということで対応するわけですね。
したがいまして、最後の悪いところは主務官庁が出ていって、あなたのところはこれはひどいことをしていますねと。そして手続としては、ちゃんと報告しなさいというところまで来る。そして、どうしても直さない、これはけしからぬと勧告をする。そして、こういうことを是正しなさいという命令をする。それでも聞かないで同じことを繰り返す場合には懲役、罰金もありますよと。
したがいまして、もう今まで八年半に起こった中で、本当に主務官庁なるものが出てきて、悪質なものに対して懲役、罰金まで取れるようなものが幾つあるかというと、実はほとんどないのであります。ないのでありますが、そういう担保もないと、これはやはり法治国家の中で、それは構わないじゃないか、やっても別に刑罰もないし何もないよということでも、今の時代にこれはきちっとした対応が取れないじゃないか。だから、最終の、もう何%か分かりませんが、極めて小さい確率ではあるけれども、そこはきちっと押さえて、処罰までできる規定があることが個人情報の保護に関して最終的な担保となると。あらゆる罰則についてはそういう性格があると思うんです。
何でも罰則があるからというのは、昨日もちょっと申しましたけれども、こんな軽微なものを取ったから、刑法で窃盗罪は十年以下の懲役としか書いていないんだけれども、十年以下の懲役とは重過ぎるから、罰金のケースと何か禁錮のケースと懲役のケースと決めるべきだとかなんとかというんじゃなくて、これは最悪のケースについて書いてあるけれども、それまではいろいろ指導をしたり、可罰的違法性がないから無罪ということもあるでしょうし、起訴猶予もありましょうし、説諭で済む場合もあるし、中で、企業内で処分する場合もある。
いろんなことでこの対応ができるわけですから、この法律を、主務大臣というのがあるということと処罰規定があるということをもってこれが物すごい規制であるということを感じられる議論が今まで多かったんですが、決してそうではない。むしろ、今までの許認可問題の法制というのは、その許可を得ずして何かをやったらもう必ず罰則が付くようなそういう法規制形態になっておったのに対して、これはまず本人の対応前置主義であって、かつその団体等による処理もし、直接の指導も行い、かつそれでどうしようもない部分について一応処罰の担保があるという法体系は、極めて我が国法制度においては珍しい提案をしているわけでございますので、やや長くなりましたが、誤解のなきようお願い申し上げます。
○国務大臣(片山虎之助君) もうあんな長い話、私しませんから。十二分か三分やったんだから。
行政機関も今個人情報を相当持ち出す、これは行政に活用するためにしようがないんですね。ただ、今のままでは行政機関、妙な気を起こしたり妙なことをやられちゃ困るんで、そこはしっかりルールを作ろうということなんです、基本的には。
昔作った法律は電算処理の情報だけでいいだろうと、こういうことだったんですが、それだけじゃ不十分なんで、今度は電算処理だけじゃなくて紙も全部入れますと。それから、いろんな、例えば開示請求と、今までは訂正の申出だけだったんだけれども、訂正も利用停止もきっちりした請求権にしますと。その場合、開示、不開示の基準はきちっと法律に書きます、どういう場合にどうだと。それについて不服があれば、第三者機関もかませてそれをしっかりと救済しますとか、あるいは事前チェックで総務大臣への通知も制度化きっちりしますと。こういうことで、相当、前の法律よりはしっかりしたものになりました。
私はそれを、これは個人の情報を守るだけじゃないですよ、個人の情報も活用せにゃいかぬのです。だから、活用のルールをしっかりして、活用しながら個人のプライバシーを守っていくと、こういうことでございますので、そういう意味では、よく官に甘く民に厳しいって、もうそういうことは言いたがる、みんな。全然事実と違うんです。官に厳しく民に甘いんです。しかし、それは当たり前なんです。民は自律でやりゃいいんですから。だから、民の場合には対象もデータベース化された情報だけですよ。こっちは全部なんだから、そこはよく、そういう俗説に惑わされずに、森委員がやっぱり正当にこの法律を評価するということをお願いいたしたいと思います。
○森ゆうこ君 さすが大臣だなと思って、その件につきましては、また後日質問をさせていただくことになっております。
それで、今、細田大臣が私の三十分の質問の中で十二分も使っていただいて、丁寧に御答弁をいただいて大変有り難かったんですが、今の御答弁によりますと、要するに当事者間で自律的に問題が解決できないと、それを超えて今度は社会的問題になるときに、解決する必要が生じた場合に限り主務大臣という、その権限を行使し得るということについてお答えいただいたんだと思いますが、じゃそれでは、確認しておきたいんですけれども、その報告徴収ということについて、必要な限度において行うとされておりますけれども、大臣が必要かどうかというのを具体的にどのように判断されるのでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) これは実は法律用語で今まで必要な限度においてという文言が入る場合、実は一般の言葉の感覚からいうと、必要でないようなところでも自由に取れるんじゃないかというふうにも、必要なと主務大臣さえ考えれば取れるんじゃないかというふうに解釈される方がおられるんですが、実はそうじゃございませんで、こういう法規制、法文上必要な限度においてと書いてありますのは、決して主務大臣は、必要な限度を超えて、客観的な事象に対して必要な限度を超えて報告をさせたり、その他の事項も含めて行為をしては、行政処分的なことをしてはならないということを言っておるのであります。
したがって、これは裁判等で問題になるときに、その報告徴収等が限度を超えておると判断されればこれは必要最小限の限度を超えておると、したがって違法な報告徴収であると、こういう解釈に役立つような規定でございますので、そこはあいまいにしておる、あるいは緩く報告徴収を何でも取れるかのようにしておるのではございません。したがって、本当の意味で、これはこの法律の施行において必要な限度を一歩も超えていないということを要求しているわけでございます。
○森ゆうこ君 ただいまの答弁で、客観的に見て必要な限度を超えるものではないという御答弁があったわけです。それで、その客観的な範囲ということをやはり何らかの調査審議を経てきちんと慎重を期す必要があろうと考えます。
主務大臣の処分及び個人情報取扱事業者等の申立ての理由等について、客観的な調査審議を経て慎重を期すため、並びに個人と個人情報取扱事業者等との間の紛争を迅速かつ簡便に解決することによって個人の権利利益の確保を図るため、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会に相当する機関を設置するか、同審査会を活用することを検討すべきではないかと考えますが、大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(細田博之君) まず、主務大臣が事業者に対して報告徴収を行うときに、必要な限度ということを考えるときに、まず通常考えられますのは、たった一件の苦情がたまたま寄せられて私は困りますというような状況でないと思います。これは一つの個人情報を大量に、ある種の情報、多重債務だとかなんだとかという問題を漏らすことによって、非常に大勢の人から苦情が寄せられ、かつ、当然そのことが分かるわけでございますから苦情が寄せられ、かつ多数の人がその情報処理の事業者と幾ら交渉してもらちが明かないと。それから、そこからまた移転をされたものがあって、それについては様々な要求をするけれどもらちが明かないというように、どうしても事態が改善されない場合に限っての規定であるというふうに考えていただきたいと思っております。
それで、実際にいろいろな組織において、例えば個人情報保護審査会に相当する機関の設置云々ということについては、この命令を発するかどうかについては、実は行政不服審査法に基づいて不服申立てが可能であるということが法律的にはっきりしております。これは、同法は一般法でございますけれども、行政不服審査法は、審査会制度を有しておらず、上級行政庁への審査請求か、上級行政庁がない場合は異議申立てを行うということとされているわけでございます。
それから、不服申立てについて個別の審査会を設けることにつきましては、どの程度の申立て件数が生ずるか、判断の専門性の有無、申立ての性格上、特に第三者による見解を加味する必要があるか等の観点から慎重に検討する必要があると考えております。
なお、個人情報の本人と個人情報事業者との紛争については当事者間で迅速な解決をすることを基本としておりまして、事業者及び認定保護団体の体制整備を図るとともに、行政機関や消費者相談機関の国、地方を通じたネットワークの活用等により、複層的な苦情処理の仕組みを設けることとしているわけでございます。
また、情報公開・個人情報保護審査会は行政機関における本人情報の開示等に関する諮問機関でありまして、民間の当事者同士の紛争の解決にはなじまないのではないかと思っております。
○森ゆうこ君 今の御答弁ですと、私の質問にちょっと答えていただいていないのかなと。客観的なその範囲を超えて権限を行使することはないと、その客観的かどうかですね、きちんと客観的にチェックするところがどこなのかと。主務大臣がいて、その主務大臣の判断したことが客観的に見て必要な限度においてということを超えないということをどこが判断するのかということについて、ちょっと疑問がまだ残るんですけれども、それについてお答えいただきたいと思います。簡潔に、大臣のお言葉で。
○国務大臣(細田博之君) ちょっとどういう場合を想定しておられるか分からないんですが、もう個人が一生懸命これをやってくれと言って泣くようにしてみんな、大勢の方で頼んできたと、行政庁に。行政庁は、ちょっとそれは取り上げるわけにいきませんよと言って知らぬ顔したような場合を指しておられるのか、ああ、それは大変だと、法によって手続をしましょうと言って一生懸命手続をしようと思って、その措置がおかしいんじゃないかという不服を申し立てる場合と、両方あると思うんですけれどもね。
これは基本的に、やはり行政庁がケース・バイ・ケースに、やはりこれは確かに大変な社会的な影響があり、個人情報の漏えい等が大きな権利利益を侵害しておるから、これは取り上げようと考えるかどうかということはやはり主務官庁に任せるといいますか、ゆだねることが必要であり、それに対する不服あるいは手続等については、別のそういう行政処分に対する不服の申立て等を行うべきであるという角度で、その両様についてお答えしているつもりでございます。
○森ゆうこ君 その主務大臣ということなんですけれども、ちょっと前後するかもしれないんですけれども、その主務大臣というのが、じゃ、中立な立場であるかどうかということがやっぱり問題になるんだろうと思うんですね。その事業所管大臣であって、主務大臣というのは、その判断が事業者側に有利となるのではないかというおそれがあるんですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 社会的にこういう案件については大変に問題となって、あるいは国会でも問題になるかもしれません。そして、これは是非とも処置をすべきであるというような世論が起こってくることが通常でございます。そういったときに、行政庁が何か意図的にこれは大した事件じゃないから取り上げないというように、その事業者に甘い対応を取るとは私は思っておりません。まして、その企業の信用が懸かっておるわけですから、十分に忠告を与え、アドバイスを与え、あるいは業界団体等もこれはおかしいということを言うことによって、当然是正措置が取られるものと思っております。
主務大臣というのはそういった事業の所管をしておりますから、そういう非常に大きな意味でのバランスが取れた判断は最もできるところでございまして、それに対して衆議院の段階では野党提案で第三者機関というものを設けてやった方が客観的な判断ができるんだということが御指摘があったんですが、これも逆にいろんな問題を抱えていく。つまり、それぞれの業の実態というものが分からないまま規制を目的とするような、あるいは指導そのものを目的とする機関を自律的に作って何人もの定員を抱えて発足させるということは、かえって行政の面では不適当な場合も発生するのではないか。
いずれにしても、国家のために働くパブリックサーバントとしての国家公務員でございますので、そこまでも信用しないという前提では法律は作っておらないわけでございます。
○森ゆうこ君 そうなんですよね、元々はそうだと思うんです。
ところが、例えば事業所管大臣ということで、今回の法案でも様々な相談業務に応じる認定団体等が今後できると思うんですね。それが事業所管大臣ということで、いわゆる今問題になっております、先ほども申し上げました見えない政府という公益法人等がこの法律を根拠に幾らでも作れると思うんですよ。
それは、元々の目的は正しい目的であると思うんですけれども、それがだんだん増殖していって、業界寄りの、要するに官業癒着の原因になるのではないかと思うんですけれども、これは余りにもうがった見方なのでしょうか。これについてきちんとした、通告していないかもしれませんが、答えていただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) その点については、団体と言っておりますけれども、新規の団体を作るつもりは全くありません。
ただ、日本は非常に多くの業界の、産業界の中において意見交換をしたり自律的な規制、お互いに業界の中での社会的存在としての様々な活動をする団体が多うございますので、あくまでも既存のものに、あなた方の責任で自律的な問題としてやりなさいと。
例えば、それがデータベースの処理業者であるとかソフトウエアの企業であるとか、あるいは鉄鋼業であるかもしれない、自動車産業であるかもしれない。そういう場合に、既存の団体に是非あなた方の業界でおかしなことが起こらないようにお互いによく話し合って対応策を取ってくださいと、自動車業界には自動車業界なりのやり方があると思うんですね。それから、個人情報に関連して問題の起こり方というのもあるかもしれませんので、そういったことをまず検討してくださいということを申し上げるので、新しい組織は作ることは今考えておりません。また、そのための組織を作ることは余り意味がないと思っております。
○森ゆうこ君 もう時間なので、残りの質問はまた後日にしたいと思います。
ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
昨日、報道についてお聞きをしましたが、ちょっと分からなくなったので引き続いて質問いたします。
衆議院の長妻さんの質問主意書を今日いただきました。「政治家のスキャンダルを追う、自称フリーライターを、これは報道でないと憤る政治家本人が、当該フリーライターが情報取扱事業者なのか、あるいは個人情報保護法案五十条の適用除外の対象か否か、調査を政府あるいは当該政治家が指名する主務大臣に依頼することは可能か。依頼された場合どのような調査を実施するか。」ということに関して、「報道機関すなわち報道を業として行う者の個人情報の取扱いが法案第五十条第一項第一号の規定に該当するかどうかについての質問が行政に寄せられた場合には、主務大臣は、その報道機関の個人情報の取扱いの目的に報道の用に供する目的が含まれているか否かを判断することになる。」と回答しています。
私は、実はびっくりしました。ジャーナリストが政治家の腐敗を追う、とすると必然的に個人情報を一生懸命調べることになるわけです。そうしますと、主務官庁が報道の目的に合っているかどうか、そのジャーナリストを呼び出すことにもなりかねないと。つまり、一律にジャーナリストは除外されるというふうにちょっと昨日の答弁で思ったんですが、この質問主意書を見ますと、一々やっぱり調べるわけですね。それは、そのジャーナリストにとっては極めて負担ではないかと。要するに、報道や出版にストップが掛かるということもあり得るのではないかと考えますが、いかがですか。
○国務大臣(細田博之君) これは衆議院からもずっとお答えしておるんですが、本来の、このフリーライターその他の方が書いたものについては、すべてこれは報道に当たるものとして除外をするつもりでございます。少なくとも報道の形を取っていると思います。これは、この政治家がこういうことがあったぞと、もう言った瞬間に報道でございます。
○福島瑞穂君 であるならば、この質問主意書の回答は、報道であるのでそもそも除外されているというふうに書くべきではないですか。
○国務大臣(細田博之君) まあ公文書でございますので、これはいろいろ詰めたものだと思いますが、これは「主務大臣は、その報道機関の個人情報の取扱いの目的に報道の用に供する目的が含まれているか否かを判断することになる。」と。だから、私は、今お答え申し上げているように、それは恐らくもうほとんどのケースは、特に政治家、現職あるいは過去の政治家についてコメントしておるものであれば、当然、この報道の用に供する目的が含まれていると判断いたしますということを申し上げているわけでございます。
○福島瑞穂君 ただ、懸念を感じますのは、例えばこの質問主意書の回答が報道の用に供する目的が含まれているか否かを判断する、つまり、私はちょっと思ったのは、「著述を業として行う者 著述の用に供する目的」も五十条で除外になっています。そうしますと、報道の目的かどうかに関係なく、ジャーナリストはこの著述を業として行う者、これに当たるのではないですか。
○国務大臣(細田博之君) フリーライターというものの性格も分からない面がございますけれども、普通よく我々の周りにもたくさんおられますよね、そういう方は正に報道を業とする方であり、また著述をされる方であると思っておりますので、こういう方は全部除外でございます。
○福島瑞穂君 であるならば、なぜこの質問主意書の回答がこうなっているのか。つまり、どうしてみんながメディアに対する報道規制に関してかなりぴりぴりなるかといいますと、主務官庁から呼び出される、それはテレビ局でも、テレビ局はちょっと除外して、フリーライターであれ、だれだって呼び出されれば、あなたは何の、だれの取材を今しているんですかということを聞かれるわけですね。そうすると言わなくちゃいけない。何でだれだれの、大政治家の妻の財産を洗っているのか、これ個人情報じゃないかというふうになると、自分は今この事件の疑惑を追っているということを言わなくちゃいけないわけですね。要するに、ジャーナリストやそういう性格上、主務官庁から呼ばれて取材の中身あるいは取材以前の下調べを言わなくちゃいけないことそのものがやっぱり非常に大変なわけですね。
ということからすると、この答弁書が、要するに主務官庁が「報道の用に供する目的が含まれているか否かを判断する」となっていて、ジャーナリストであったら除外する、報道の目的だったら除外するとなっていないので確認をしているんです。
○国務大臣(細田博之君) 呼び出してどうこうというのは今、福島議員が言われたわけですが、そういうことはあり得ませんし、また主務大臣もおらないわけですし、それから解釈としては私が申し上げたとおりでございますので、このやり取りは国会における、参議院の正式な委員会における議員と国務大臣のやり取りでございますので同じく重い価値がございますし、この書面というのはなかなかやり取りの上でどこまでのことを言っているかということについて紛らわしいところもないわけではない、それを具体的に今、福島議員の御質問に対して明確にお答えいたしまして、これは議事録としてしっかりと出てまいりますので、御心配には及びません。
○福島瑞穂君 では、ジャーナリストは初めからこの除外事由になると。それは著述を業とするからですか、報道だからですか。それだけ、済みません、申し訳ありません。
○国務大臣(細田博之君) ジャーナリストという場合は、その語感、あるいはその英語の意味からして、これは報道でございますね。はっきり、報道でございます。
○福島瑞穂君 実は報道が定義に初めて入りまして、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること」というふうになっています。
ただ、例えば、かつて有名な「田中角栄研究」といった本がありました。事実と評価、あるいは事実と分析という、要するに一つの本そのものは客観的事実のみを書いているのではないわけですね。そうしますと、その客観的事実、必ず評価、分析、検討、意見、全部入ってくるわけですから、この辺はどうなるのでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) この規定は報道を除外した関係で、除外するためには定義を書かなきゃいけないということで、過去に定義がございません。過去の判例でちょっと似たようなものがありましたけれども、相当やはり傍論、傍らの論と書く傍論でございまして、その中身はちょっと参議院で初めてでございますから言いますと、選挙違反があったんですね。で、労働組合の機関紙で次の市長に何のたれべえと書いて配ったわけで、そうしたらこの被告が選挙違反で、公選法違反で捕らえられたときに、いや、これは新聞に書いたんだから報道であると言って逃げようとしたんです。だけれども、それはひどいじゃないかと。今だってそんなことする人いませんね、もう公選法違反ですから。もう選挙間近になっての話ですから、これをもって報道などとはとんでもないと。これは主観的にこの人物を名古屋市長として当選させようと思って書いた記事であって、とんでもないということで否定した判決がありまして、このことを若干念頭に置いたことは事実でございますけれども。
結局、書くには、事実を事実としてという感じなんですが、やはり「客観的事実を事実として」と書くしかないだろうということで法制局と合意を見たんですが、その意味は私どもも確認しておりまして、社会の出来事と。社会の出来事を事実としてというふうに言っているのと同じであると。
ただ、社会の出来事というのもまた法文上前例がないということでございますので、客観的とか事実とかということは法文上前例があるというので、法定の定義をいろいろ作ってまいりましてそれを運用しておる我が国の法制局としては、客観的事実を事実としてということによって社会の出来事という意味であるということでいいということを解釈論としてはっきりさせておりますので、これも議事録にきっちり載るわけでございますが、この法律の目的は、我々が何度も申し上げているように、もうここにございませんので、御安心いただきたいと思います。
○福島瑞穂君 重みのある発言ということで。
どうしてこう食い下がるかといいますと、客観的事実というと、様々な出版物、様々な報道のやはり一部なわけですよね。世の中には、分析、検討、誹謗、中傷、称賛も含めて様々な言説があり、それが言論、出版の自由ということなわけですから。
そうすると、今日の答弁によりますと、基本的にいわゆる出版社が業として本を出版したり、自称、他称ジャーナリストが何か取材をしたり本を書いたり記事を書く、これはそもそも除外されるということの確認でよろしいですね。
○国務大臣(細田博之君) そのとおりでございます。
そして、衆議院でも野党のある議員からは、強く逆に、そうはいってもひどい場合があるじゃないかと、それを頭から除外していいのかと、本当に真剣な反論がありました。全部削ってしまって、全部報道を除外していいのかと。そういう質問に対しても、私ははっきりと、それでも除外でございます、どんなにうそを書き並べてあったとしても除外でございますということを申しております。
○福島瑞穂君 確かに、うそであれば、うそであったり名誉毀損であれば刑法の名誉毀損罪が成立するわけですから。
ところで、私がまたもう一つ懸念を感ずるのは、これは衆議院の議論で出ておりますが、報道の定義が、先ほどおっしゃった公選法違反の組合の機関紙の判決の、あるいは決定でしたかの例であるということから、果たしていいのかと。ちょっとまた済みませんが、企業広報だとかNGOのニュース、これはこの報道に当たるのでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 広く一般に読んでいただくために、あるいは聞いていただくために、あるいは見ていただくために作成したものであれば、私は報道だと思っております。
○福島瑞穂君 今インターネットの世界は非常に花盛りで、一人の人でたくさんのメルマガを出したり、ホームページを持っている一個人の方もたくさんいらっしゃいますし、情報も持っています。
ある人間が例えば、そうすると例えばジャーナリストかどうかというのも自称、他称分からない。例えば、ある人間がある人間のことをよく調べてそれをホームページで書いた、これは報道になるのか著述になるのかどうなのか、この辺が実はあいまいになってくると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 法文上は報道機関と書いてありますので、そもそも報道機関かどうかという判断はあると思います。そうでないと、ない場合、いろんな組織が自分の広報的な活動としていろんな自分たちの考えを世の中に知らせる場合はむしろ著述に当たるようなケースも多いのではないかと思っておりますが、いずれにしても基本的に除外されていくと。
ただ、特にちょっと関連で申しますと、さっき出版について役員四季報をお見せしながら申し上げたんですけれども、出版業の方が非常に御批判なんですよ。出版業は雑誌も出しておられる、なぜ出版を全部抜かないかというので、これを例示してさっきお答えしたんですが、これは雑誌社で、週刊誌などを出している会社ですね、そこが二千六百八十社の重役四万人の最新人事データを出して、そしてなおかつ姓名と役職と、いつから取締役になったか、今どういう担当か、そういうことを、趣味とか生まれとか生年月日とか全部、学歴とか書いてあるわけです、住所も。こういうものはやっぱり出版であっても、個人情報を処理してそれを販売しているので、こういう場合だけは抜かなくちゃいけない。
だから、出版であれば一〇〇%いいとは言えない状況があるから出版業とは書けないんだけれども、その中身が、例えば東洋経済とかダイヤモンドというのであれば、そういう雑誌であればもうこれは当然報道でありますし、一般の雑誌についても当然報道とかその他表現の自由にかかわる業であるというふうにして除外されると、こういう割り切りでございます。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
とすると、出版社が、昨日の答弁でもありましたが、出版社がこの個人情報取扱事業の対象として問題になり得るのはその四季報の場合だけであるということの確認をいたしました。
それで、「著述を業として」と条文はなっておりますので、さっき言った例は、著述であってもそれを仕事としていなければこれに当てはまるということになるわけですか、例えばインターネットなどで大量のメルマガを出しているというのは。一個人の場合です。
○国務大臣(細田博之君) 個人であって事業者でない者は元々法律の対象になりません。
○福島瑞穂君 次に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案の方についてお聞きをいたします。
例えば、三条の三項は、「行政機関は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」と書いてあります。しかし、この範囲を超えて行った場合にはだれが文句を言うんですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
相当の関連を超えて利用目的の変更を行った場合であるわけですが、それはいろんなチェックがあるわけでございます。一定のファイルについては総務大臣への事前通知という制度がございます。それから、総務大臣はまたこの法律の施行状況の調査をするということになっておりまして、正にその個人情報ファイルの取扱いの状況を調査をするということで明らかにしていくことになるわけでございます。
さらに、そういうところでチェックされないものにつきましては、本人が開示請求あるいは訂正請求あるいは利用停止請求という請求権が認められているわけでございまして、その請求権に基づく本人によるチェックが行われる。さらに、そのチェックが行政機関において拒否されるというような事態には、不服審査、不服申立てという形になりまして、第三者機関による審査が行われると。このような形で重層的にチェックが行われることになるわけでございます。
○福島瑞穂君 私は、どれだけ事前通知がなされるのかどうかというのも思いますし、実は今のでは、本人がそのことを知っていなければできないわけですね、開示請求など。しかし、国会で問題になった、例えば情報公開法にのっとって情報公開請求をするとそのリストが作られたという問題などは、本人はそういうリストがあることを知る由もないわけですね。
つまり、行政情報の方の問題点は、行政が物すごく大量に、物すごく情報を持っていて、それを使い回ししたり、あっちゃこっちゃしたり、新たなリストを作ったとしても、普通の人たちはそれを知る由もないわけですね。そもそも知らないでそういうリストが作られている。とんまなことに、そんなリストがあるなんということを、通常は明らかに、内部告発でもない限り外に出ないわけですから、そもそも開示請求、訂正要求なんかできないわけですね。
ですから、みんなが、今日の質問でも、昨日でもありますが、民に厳しく官に甘いと感ずるのは、民には全部、ほとんど主務官庁があって、主務官庁が勧告をするし、その主務官庁の勧告に従わなければ罰則が付くわけですね。ところが行政は、その行政を本当の意味で監視するところがないわけですよ、だってみんな知る由もないわけだから。その点はどうですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
まず、行政機関におきましては、個人情報の取扱いは正に法令に基づく事務のために取り扱っておるわけでありまして、その必要な限度で取り扱う、以下、あと目的外利用、提供等が厳しく制限されているわけでございます。
それから、今お尋ねの事前通知、あるいはその公表の仕組みを整備しているわけでありますが、確かに重要なファイル等につきましてそういう取扱いをいたしております。しかし、この個人情報を今回電算ファイルからすべての情報に拡大いたしておりますので、そういうものの中には一過性、正に作ってすぐ消去してしまうようなものですとか、あるいはいろんな資料の発送リスト、そういうものも個人情報ファイルになります。そういうもの等が含まれておりまして、こういう個人の利益、権利利益の侵害のおそれが少ないもの、そういうものについてもすべて事前通知、公表をするというのは、国民に対する行政の遅延、あるいは行政機関に過大な負担をもたらしますので、そういう対象にしていないわけでございます。しかしながら、そういうものにつきましても、当然、先ほど申し上げました利用目的、目的外利用、提供等々の規制は掛かるわけでございまして、それを開示請求あるいは第三者機関によるチェックによって担保していくということになっているわけでございます。
かつ、そういう事前通知、公表の対象になっていないファイル等におきまして、自分の情報がどういうことになっているのか。法律の四十七条だったと思いますが、各行政機関は、自分のファイル、個人情報について特定に資するようないろんな情報提供をする必要があるという規定があるわけでございまして、そのためのいろんな努力をしてまいりますし、総務省におきましても、先ほど御説明、副大臣から御説明申し上げましたように、総合案内所を設けまして、開示請求等々の関係者に適切な便宜が図られるようにしてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 いや、答弁になっていないですよ。つまり、本人が知る由もないにもかかわらず、いろんなリストが作られている。そして、今の話だと、公務員は法令にのっとってやるので大丈夫だと、官僚性善説ですよね。もちろん、ほとんどの官僚の人たちはそうだと思いますが、大量の情報が、つまりどんな企業よりも多くの物すごい情報が集積しているわけで、法令にのっとってやっているから大丈夫ですという回答では駄目ですよね。
つまり、役所に問題があった、役所が内部でデータをマッチングしたりリストを作ったときに、普通の国民はそのことを知る由もない、内部告発でもない限りそれは分からないわけです。そうしますと、野党が対案として出した第三者機関をきちっと設けるとかをしない限り、行政官庁のチェックはできないというように考えますが、いかがですか。
じゃ、これは逆に大臣、どうですか。ばんと言ってください。
○国務大臣(片山虎之助君) 総務省が所管の役所なんですよ。だから、総務省が事前通知ももらうし、利用状況の調査もやるし、公表もやるんです、向こうにもやらせますけれどもね。そこで、そこがしっかりしないと、何でも第三者機関、雨後のタケノコみたいに作ったり、人を集めたり、それではちゃんといかないんですよ。
だから、そこは今回こういうことでいろんな仕組みを作りながらスタートしますので、行政は必ずデータマッチングをやるとか、悪いこと使うとか……
○福島瑞穂君 ことがある。
○国務大臣(片山虎之助君) いや、それはありますよ、それはある、大勢おるんだから、組織も大きいから。だから、これをどうやってなくしていくかということでみんな知恵を出すんですよ。
だから、そこは、これから法律が仮に通していただきますと、施行まで少し時間がありますから、どういう体制でやるのがいいのか。委員が言われるように、国民の一人一人は自分の情報がどう使われたか、それは分かりませんよ、それは分からない。ただ、できるだけ開示請求したりして、状況を自分で明らかにする努力もしてもらわなきゃ。それは優秀な、今日はいないね、優秀なマスメディアが一杯おるんですから。もう何かあれば発表しよう、発表しようと思っておりますからね。
こういう請求以外の一種のチェック機能があると思いますが、とにかく我々としては前の法律よりは相当進んだ仕組みにして、それをちゃんと国民の皆さんに安心できるようなことでスタートしようと思っておるんで、もう最初から駄目だとか、おかしいとか、ちゃんとやらないだろうと言うことだけはやめていただきたい。賢明な福島議員に是非お願いいたしたいと思います。
○福島瑞穂君 総務省自身が物すごくデータが集積している役所でありまして、総務省自身が問題があったときに、じゃ、だれがチェックをするのかというふうに思ったわけです。
ですから、野党側がその第三者機関をきちっとチェックをすべきだということも大変実は理由があるというふうに、つまり、もう情報が命ですから、そのことを強く申し上げたいと思います。
ところで、民間の場合は、十七条で「個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。」とあり、これが主務官庁による勧告、命令に従わなければ罰則ということになります。ところが、行政の方にはこれがありません。行政の、これは衆議院の方の議論では、いや、公務員は一般的にきちっと守秘義務もあるし法令を守るしという回答や、先ほどありました、例えば事前の総務大臣への通知、開示請求等ありますからという回答になっております。
しかし、やっぱりおかしいですよ。というのは、適正に情報を収集するというのは当たり前で、法令違反のことがあり得るわけですよね。じゃ、ある役人が適正収集しなかった場合に、それは処罰はできないわけですよね。それについてはいかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) これは衆議院でも相当議論していただいたんですが、今の日本国憲法にも国家公務員法にも法令に基づいてやれと、法令遵守義務というのを課しているんですね。したがいまして、またここでこのためだけに書くと情報関係は何にもやっていなかったのかと、こういうことになる。それ全部書かなきゃいけませんよ、全部の法律に、公務員は法律に基づいてやれということを。だから、それは憲法なり国家公務員で総括的に書いてあるからこの法律で特に適法にやれということは書かないと。
適正にやれということももちろん書いておりませんが、もし適正にやらない、適法にやらない場合には、これは懲戒処分です。懲戒処分の対象になる。これはもう明らかであります。
○福島瑞穂君 懲戒処分の対象になるのは当然として、私が今日問題提起をしているのは、民間の場合は罰則が最終的にあると、しかし行政の場合はないんですよ、それ。懲戒処分になるけれども、懲戒処分以外はないわけですね、基本的に。それはおかしいのではないかということです。
○国務大臣(片山虎之助君) 収集については、職権を利用して、自分の職務以外のことで個人の秘密に属する文書等を収集した者の罰則ありますよ。これは新しい法案の五十五条です。これは一年以下の懲役、三十万円以下の罰金。それはあるんです。
○福島瑞穂君 私は、公務員が、例えば国会の中で問題になっているのは、その公務員が自分の利益のためにやっている場合でなくて、例えばいろんなリストを作ったりとか、ちょっと微妙かもしれません、今日も議論になっている自衛隊の勧誘のために資料をもらうとか、それは例えば適法ではないんではないかという意見が非常に出ているわけですね。
そうしますと、その人間は実に上司の命令で役所として忠実に職務を執行している、こういうのがしかし客観的に見ると適法収集じゃないじゃないかということもあり得るわけですね。こういう場合は罰則の規定が掛からないじゃないですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 今言いましたように、五十五条に事実認定されればそれは罰則の適用があります。それから、一般の職権濫用罪の対象になれば、これは罰則が私は掛かると思いますけれども、しかし、基本的には、不適正な情報の収集なんかはやっぱり懲戒処分の対象にして特別権力関係から排除するというのが普通の私は考え方ではないか。やっぱり刑罰には、専門家ですから釈迦に説法ですけれども、やっぱり当罰性、刑罰に掛けるに値するような行為でないと。やっぱり行政処分の対象にした方がそういう場合にはいいんじゃないでしょうかね。
○福島瑞穂君 でも、例えば情報公開請求した人間のリストを作った、ちょっと例が悪いかもしれませんが、その場合に、あれはいろんなデータがある中から情報公開した人間のリストをアップして作ったわけですね。リストを作った。データにしていたわけです。そうすると、しかしあれは職務の用以外の用に供する目的とはならないので、私は、その本人がひどい人間で職務の用以外の点に作ったならともかく、実は役所がみんなの情報を熱心に集めている結果起きている事例の方が非常に多いと思うんですね。
じゃ、それはこの五十五条には当たらないが、適法収集からいうと問題だということもあるんじゃないですか。だからこそ適法収集について条文を入れるべきだ、あるいはそれの罰則を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) そうですね、役所の場合には自分の職務以外の職務のためにやるというよりも、職務に熱心過ぎてやるんですね。そういう場合には、やっぱり当罰性が低いということで懲戒処分の対象にするというのが今の考え方で、だから防衛庁の場合にはちょっと事実認定が、私、事実を、もう少し詳しくないんで分かりませんけれども、やっぱりあのケースなら懲戒処分かもしれないと、こういうふうに思いますけれども。
そこは、どこまでを刑罰にするかというのは、これは刑罰政策の大議論ですよね。どこまでを、何でも刑罰にすりゃいいというものじゃないですからね。そこのところは、やっぱりどこかで線を引く場合に、今回は五十三条、五十四条、五十五条という新しい刑罰の仕組みを特に入れたわけでございまして、これについては、もう時間もないようです、また後日に。
○福島瑞穂君 民間の場合の罰則が非常に厳しくて官庁の場合がやっぱり低いと。職務熱心な余りにやることで国民が大変迷惑を受けているので、その点についてはやはり議論の余地がある。それは、やっぱり民間に厳しく官に甘いことが罰則に出ていると思います。これはまた引き続きやらせていただきます。
ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時三十一分散会