第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第7号
平成十五年五月十九日(月曜日) 午前十時開会
○委員長(尾辻秀久君) 個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○岡崎トミ子君 おはようございます。
個人情報保護に関する特別委員会が始まりまして今日で六日目となります。様々な問題点が指摘されました。今日は、防衛庁に対しての集中的審議をすることになりまして、石破防衛庁長官にもおいでいただきました。ありがとうございます。
私は、自衛官募集等の適齢者情報収集問題について質問をさせていただきたいと思います。
今朝、ただいま、この「地方公共団体から地連への四情報以外の情報提供の内容」ということで資料をいただきました。市町村の数、五百五十七となっております。四月二十三日には三百三十二、そして二十五日には四百四十一ということで、百、百、およそそういう見当で増えてきたというふうに思っておりますが、これをさっと見ましたところ、四情報以外の情報として、親の職業を、それも会社名まで含めて提供していたというケースがございました。それからまた、「自治会等」というふうにありまして、この「自治会等」の表を見ますと百六十二あったということ、それから本籍地まで提供していたものがあったというのが特に目に付いたところでございますが、石破長官は、これ、資料、全部、これで全貌というふうなことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 本日提出申し上げました資料は、十四日、委員会で委員から御指摘を受けまして、私どもとして出させていただいたものでございます。
おっしゃるとおり、数の異動も、四情報以外の情報で御提供いただいている市町村数が四百四十一から五百五十七となっておる、そのとおりでございます。現時点におきまして私どもとして可能な限り、というのはもういい加減な意味ではなくて、本当に当たり前のことでございますが、この問題が提起をされまして以来、全地連挙げまして不眠不休でやりまして、今知り得る限りで最大に精査をいたしたものでございます。
○岡崎トミ子君 可能な限りということは、これからもまた出てくる可能性があるということでございますか。
○国務大臣(石破茂君) それは調査をいい加減にしたとか、そういう意味でおっしゃっておられるのではないのだと、私は思います。そしてまた、私どもとして、本当にこれは私もよく厳命をしたところでございますが、もうとにかく全部出せということを申しております。そうしますと、これから先、例えばこの数字が異動いたしておりますのは、私どもとしてこういうものを出してくださいというふうに申し上げた、その意味が一〇〇%きちんと伝わっていなかったというような、そういうことによるものが相当数あるように承知をいたしております。
ですので、これから先、仮にあるとすれば、それは本当のもうケアレスなもので、本質的、本質的という言葉はどういうものを指すか分かりませんが、今御議論になっております、そういうような事柄の本質にかかわるようなものではないと思っております。もちろん、これから先も、これがきちんとしたものであるかどうかという点は気を付けてまいりますし、仮に、もしケアレスなものであれ何であれ、間違っておるということがあれば国会にその点を御説明しなければいけない、そういうものだと思っております。
○岡崎トミ子君 前回の質問で、北海道留萌市が四情報以外の提供を行っていたケースということで、先月の二十四日までの防衛庁の報告には入っていなかったということを指摘をしております。今回もこれは入っておりません。つまり、これは、十三年度以前については現物がなければ省かれているということでありますけれども、この省いた合理的な理由は何でしょうか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
これは、調査をするに当たって、ただいまの石破防衛庁長官から説明いたしましたように、徹底的に調査をしろと、もうあらん限りの力を尽くしてこれは調査したわけでございます。
ただ、もちろん調査するに当たっては、ないものについてはこれ調査ができませんので、一定の区切りといいますか、基準としまして、「平成十四年度以降に市町村から提供を受けその事実が確認できるもの及び平成十三年度以前に提供を受け現存するものを対象とし、」ということで、かつてあったんではないかとかその記憶があいまいだというようなものについてはこれは調査のしようがありませんので、こういう基準でもって地方連絡部内に保有している資料等を用いて防衛庁として把握している限りにおいて作成したと、こういう性格でございます。
○岡崎トミ子君 今回の報告でもなおこれまでの適齢者情報の提供を実際にカバーするには遠いということがこの表を見て分かります。
十三年度以前のものについては、現物が残っていなくて記録や記憶だけがあるものはここに載せなかったというような今の御答弁でありますけれども、しかし留萌のように明らかになっているものが記載されていないというのはこれはもうおかしいというふうに思います。せめて留萌市のようなケース、これは入る、こういう基準で見直さなければ全体像が出てこないというふうに思いますが、いかがですか。
○副長官(赤城徳彦君) これ、全体の調査をするに当たっては、今申し上げたような基準で一定の基準をもって、どんな調査でもそうですけれども、一定の基準でもって調査するというのが適当だと思います。
御指摘の留萌市のものですけれども、これはその資料が現存していなかったからその報告に含まれていないということでございますけれども、個別にそういう報道がございましたので、前回の委員会におきましてはこういうことですということでお答えをいたしました。
それは、確かに個別にはそういう報道がされたりとか指摘がされることがありますけれども、調査報告としては一定の基準をもってきちっとした報告をするということが大事だというふうに考えております。
○岡崎トミ子君 例えば、記憶と記録というのは違うわけですね。記憶だけされていて記録がないものについて入れると不正確になってしまうというのは、説明があればそういうことは理解できるわけなんですけれども、記録があるものぐらいは前広にとらえて私は記載すべきだというふうに考えるんですね。
これまでの実態について確かめられないこと自体が本当に問題です。今回は安心して報告できるくらい正確な記録として私は残すべきだというふうに思いますけれども、長官、いかがですか。
○国務大臣(石破茂君) 今回の調査におきましては、市町村からの適齢者情報の提供に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、十四年度以降に市町村から提供を受けその事実を確認し得るもの、そして十三年度以前に提供を受け現存するものを対象とした。それはなぜかといえば、今、副長官がお答えをしたとおりでございます。
十四年度の資料に関しまして、現存するものに限るとするならば、毎年提供を受けているような場合にも、十四年度の文書は既に破棄し、十五年度はいまだ受領していない、そういうケースがあるわけでございます。そういう形になりますと、提供を受けている実態とそれが大きく異なってしまって、かえって正確な像が分かりにくいのではないかということ、もう一方で、過去のことについて記録等によって調査をする場合には、時間をさかのぼるほど不確かなものになってしまうということだと思っております。
したがいまして、記録の裏付けが取りやすい、比較的記憶が鮮明である、また調査の実を上げるために不可欠な十四年度に限って提供の事実を確認し得るものを調査範囲にしたということでございまして、他意は全くございません。
○岡崎トミ子君 留萌のように無職の人を抽出してデータを提供させたのはいつからで、そしてなぜかということについてお聞きしておきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) これ、資料は現存しておりませんので、確かなところというわけではございませんが、留萌募集事務所は平成十一年九月から十四年三月まで、留萌市は平成九年三月から十四年三月まで名簿の提供が行われていたと認識していると。これ、資料は残っていませんので、そういう認識はありますけれども、繰り返しになりますけれども、報告には現存していないということで記載されていないということでございます。
○岡崎トミ子君 非常にずさんですね。
大体、十八歳から二十八歳までの無職の男性だけを抽出してそのリストを上げるというのは、大変私は重要な問題だというふうに思っておりまして、ただいまのような答えだけでは納得できないわけでありますが、この親の職業について、ケースについて次に問題にしていきたいと思いますが。
結局、この親の職業について情報提供をした市町村というのは三つありました。具体的には、これはなぜ、何を聞いていたということになりますか、親の職業に関して。
○副長官(赤城徳彦君) これ、親の職業として、例えば公務員とか会社員とか自営業とか、そういうふうな区別、あるいはその勤務先、そういったものの記述でございます。
○岡崎トミ子君 親の職業の情報がなぜ必要ですか。
○副長官(赤城徳彦君) これ、保護者の方に説明する場合に、いつお訪ねしたらいいか、自営業であるか、勤め人であるかによって大分違いますので、そういったことのために必要であるというふうに考えています。
○岡崎トミ子君 そんなつまんないこと言わないでください。
勤めている人の場合には土曜日とか日曜日とか祝日とか、そういうの決まっているじゃないですか。別に職業を聞かなくても、訪ねていくことはできるというふうに思いますよ。到底理解できません。
これまで、会社名まで集めているというところ、何々銀行、何々工業、○○製作所等ですね、会社員、公務員、自営業、今おっしゃったような、そういうふうに正に必要限度を超えた情報提供ではないかというふうに思いますが、こういうふうに職業に関して調べるということは、思想、信条、家庭環境までうかがわれる、そういう情報だというふうに思いますけれども、いかがですか。
○副長官(赤城徳彦君) これ、今後は四情報に限るということですけれども、これまで四情報以外にいろいろな情報をいただいていました。これはあくまでその募集のために必要な情報と、必要な限りにおいてでありまして、決して健康とかそういうふうなセンシティブ情報を得ていたわけではありません。
それでは職業がなぜ必要かということについて、ちょっとおかしいじゃないかと言われますけれども、正に親御さんに説明に伺うとかそういうときのために、伺ってもそれは不在では意味がありませんので、平日でもいつもうちにいらっしゃるような職業の方か、あるいはその勤め先に出向いた方がいいのか、そういうことのためにこれまで必要があるということでこの数件については報告されたということでございますが、これは、必要性についてはこれは程度問題でございますので、必要性が特に強いものから、それほどでもないというものまであるでしょうし、そういうことで、今後は必要最小限にしようということで四情報に限定してそういう扱いにしたということでございます。
○岡崎トミ子君 親の職業について聞いたというケースは本当これしかないんですけれども、それは本当か私は疑問に感じます。しかし、確かめようがありません。
この報告を前提に聞くわけなんですけれども、あんなに胸を張って防衛庁が、これも必要な情報だということで収集するというふうにこれまでおっしゃってきたわけですけれども、この情報を出しております地連は、長野県九十八、それから福井県六、そして石川県十二ということで、これを足しますと自治体数の数で百十六あるんですね。百十六もありますのに、その中で職業を聞いた市町村というのは実際に山梨県、長野県、静岡県の三つだけで、この情報がやっぱり、たった三つですよ、ですから必要ない情報だったんだということがこの少ない例を見ても分かるんですけれども、いかがですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、親の職業として記述があったものは三件でございます。
それは少ないではないか、あるいは必要ではないんではないかと、こういう御指摘でございますけれども、これは前回も御説明をいたしましたように、制度として地方公共団体も法定受託事務として募集事務の一部を扱うと、こういうことになってございますから、基本的にその市町村が募集のために必要であるということで適齢者情報名簿を作ります。その名簿についての提供をいただいていたということでございます。これは施行令の百二十条の趣旨に基づいていただいていたわけです。
そうしますと、そのそれぞれの地方公共団体においてその募集のために必要性があるかどうか、そういう御判断で、今申し上げたような理由で、職業については必要性があるということでこれまで適齢者名簿が作られていたと、こういうふうに考えます。
我々としても、そういう募集に当たってその親御さんに説明する場合の必要性が一定程度あるということでそういう扱いになっておりましたが、それは、必要性については濃淡、程度がありますので、どれほどの必要性かと、こう言われますと、本当に必要最小限というのはやはり四情報で、地方公共団体から提供いただくのは四情報でいいんではないかと、こういう判断をしたということでございますから、これまで全く必要性がなかったということではございません。
○岡崎トミ子君 手引に職業について情報収集することが記載されている地連が三つ、長野、福井、石川ですね。そして、四情報以外の提供をした自治体の数が百十六あって、そして、それこそ市町村は山梨、長野、静岡の三つだけで、本当に少ないということに驚いて、これしか本当になかったのかという疑問を持ちながら実は私は質問をしているわけなんですけれども、そのことについてはこちらの方に置いておきまして、この中でまた、本籍を聞いているケースもありますけれども、これはなぜ本籍が必要ですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、本籍を確認、提供を受けたというのはなぜかということでございますけれども、これは当然のことでございますけれども、日本国籍を有しない者はこれは自衛官に応募できないわけでございますので、その国籍を確認するためにこれまた有用性があったというふうに考えております。
○岡崎トミ子君 それもそんなに多いわけではないんですけれども、本籍を知られたくないという人もいて、人によってはセンシティブ情報だというふうに思うわけですけれども。必要ないのに私は収集したのは甚だ不適切だというふうに思います。きちんと確かめて報告をしていただきたいというふうに思います。
もう一度、今日出されたこのデータの中で自治会というのは物すごく多いんですね。びっくりしました。この自治会を報告させていたという、これは非常に、百六十二ですね、大きな数字だと思います。この自治会名をどのように使ったのか教えていただきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) これは自治会等として、自治会名とか行政区とかこういうものの提供をいただいていたわけですけれども、これは実際の募集の現場活動において例えば町内会の方々にも御協力をいただくというふうなケースがあるということで、これもその有用性がないとは言えないということでございます。
○岡崎トミ子君 地縁、血縁、町内会、有力者、そういう人たちの様々な情報をいただいてというようなことで、これを自治会というのは必要としていたということも考えられますよね。どうですか。
○副長官(赤城徳彦君) 募集に当たって町内会の方々に御協力をいただくということでございまして、その町内会の何かを更に調べるという趣旨ではございません。ちょっと御指摘がよく分からなかったんですが、先ほど答弁申し上げたとおり、町内会の方々の御協力を得るという必要性上のことでございます。
○岡崎トミ子君 今まで必要必要という言葉が度々出てきておりまして、これからは最低限必要な四情報に限るという言い方をしているわけなんですけれども、赤城副長官は職業情報も必要だから取っていたというふうに答弁をされ、四情報以外の情報も必要であれば取れるというふうに言ってきておりまして、片山総務大臣は、先日の私の質問に対しては、必要性の判断は一義的にはつかさの人の判断だというふうに言っておりました。仕事熱心であればあるほどたくさんの情報が必要になってまいりますから、本当に仕事熱心な人が情報が必要だというふうに言えばどんどんどんな情報も取れて、この情報に歯止めが利かないというふうになるのではないかというふうに思うんです。
防衛庁は、三つの市町村しか提供していなかった親の職業についての情報を必要だというふうに説明をこれまでしていたわけですね。防衛庁若しくは自衛隊全体として必要だと判断していなかった内容ではないかなと思うんです、余りにも少なくてですね。そういう内容を防衛庁は国会の場で必要だというふうに説明をしているというふうに私自身は思うわけなんですけれども、幾らでも必要だから認めるという範囲が拡大するということでは歯止めを掛けることができないのではないかというふうに思うんです。
この自衛隊法施行令百二十条で、必要な資料の提出を求めることができるという、この求めることができるというふうになっているこの必要なものというのは、最低限必要なものということに確認してよろしいでしょうか。防衛庁長官に確認しておきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) それは先般私が通知を出しまして、これから先、市町村から御提供いただく場合には四情報に限るということを徹底をしたところでございます。これは百二十条と直接連関をするというものではございませんが、この四つの情報以外はいただかないんだということで、防衛庁長官名で徹底をし、確認をしておるところでございます。
それから、先ほど来必要なのかどうなのかという御議論です。委員御指摘のように、仕事熱心な人であれば、これもあった方が便利でしょう、これもあった方が便利でしょうということで御提供いただくことはございます。
今でこそ自衛官の募集というものは多くの方々の御協力もあって大勢の方に来ていただいております。しかし、委員も御案内かと思いますが、一昔前というのは本当に一人の自衛官の応募をいただくだけでも大変なことでございました。あちらにお願いし、こちらにお願いしということで、志願制ではなくて懇願制ではないかなんて言われたこともありましたけれども、本当にお願いしてお願いして、やっと日本の自衛力というのは確保できてきたという経緯があるわけでございます。
したがって、これもあった方が便利だ、これもあった方が便利だということであって、決して思想信条とかそういうようなものを調べようということだったと私は思っておりません。しかしながら、もうそういうようないろんな御議論もございますので、私どもとして、この四つに限るんだということにした次第でございます。
○岡崎トミ子君 四情報だけだということで確認した上で、更にお聞きしたいと思いますが、自衛隊法施行令百二十条は一般的な内容を述べたものにすぎないというふうに思うんですね。個人情報保護の観点は持っていない。個人情報の保護の観点に立った具体的な規定を持つ住基法の規定が優先するのではないかと私はずっと考えてきておりますけれども、この住基データは住基法に基づいて管理されるべきだというふうに私は今でもそのように思います。
政府の個人情報保護法法制化委員でありました明治大学の新美教授も、自衛隊法や施行令は一般的な規定で具体的な記載はない、住基法、住民基本台帳法に明文規定がない以上、提供はできないと厳格に解釈すべきだというふうにインタビューで答えておりますけれども、住民基本台帳法の趣旨に照らして厳格に運用すべきで、明記されていないことはできないという解釈だという、こういう御意見なんですけれども、まず石破長官に伺って、片山総務大臣にも、このことに関して厳格に運用すべきだと、明記されていないことはできないんだという解釈でよろしいかどうかお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 先ほどお答えをいたしましたとおり、私どもとしてこの四情報に限るという運用をするということで、防衛庁長官名でこれを周知徹底したということでございます。
実際に行われますのは、この四情報以外の提供というものがあったとしてもそれはもう受けてはいけないということであり、私どもとしても四情報以外は集めない、そういう運用をしてまいるということでございます。
○国務大臣(片山虎之助君) 住基ネットと住民基本台帳は違うんですよ。住基ネットは何も今回関係はないんですから。住民基本台帳法の例えば閲覧だとか写しの交付だとかその他については住民基本台帳法の手続でやる。今回のこの自衛隊といいますか防衛庁に対する情報提供は、自衛隊法九十七条一項と、それに基づく施行令百二十条一項かな、二項かな、の規定に基づいてやっているわけで、法令の根拠があるんですから、住民基本台帳法、それが問題だとかなんとかということはない。
ただ、必要な限度ということについてはいろんな議論があるかもしれないんで、客観的に見て必要な限度に限る必要があると、こういうことで、それは自衛隊法なり自衛隊法施行令の問題として必要な限度に限る必要があるんで、住基法の四情報が必要な情報だと、こういう御判断ならそれでやってもらうと、そういう話であります。
○岡崎トミ子君 私が申し上げましたのは、今回のこの個人情報保護法に関して、法制定委員だった新美教授が厳格にすべきだということについて言っているということでございますので、この法律を、法案を作った方の御意見として私は申し上げたので、それを確認したかったわけなんですね。
今後は四情報に限ることとしたということなんですけれども、これまでの理由では十分に、私は、なぜいろんなものが提供されてきたのかということに関して、問題がなかったが、より理解を得やすいために四情報に限るという、そういうふうに私は聞いたわけなんですが、この四情報以外の情報提供は不適切だったので改めるという解釈でよろしいでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 四情報で必要なものは十分とは言えません。しかし、それ以外のもの、例えば今、副長官がお答えいたしましたように、では、保護者の方がどこにお勤めなのかということが、そんなことが要るのかという御意見もあるかもしれませんが、行って御理解をいただくということは必要でございます。本人が僕は自衛隊に行きたいんだと言いましても、親御さんの御理解というものを得なければいけない場合もございます。それは、じゃ親御さんがどこにお勤めなのかということを我々の方で一生懸命調べるということでございます。
ですから、市町村から提供をいただくものは四情報に限るということなのでございまして、後のことは本当に自衛官募集の実効を上げるために、そしてきちんとした手続を踏んでやるために必要な情報というものはございます。ですから、不適切であったかと言われれば、不適切でしたとお答えするのは、私はちょっといかがなものかなと思います。必要なもの、本当に必要なもの、後は、私どもの努力で集めるものというのはまた別なのでございますから、これから先は本当に必要な四情報に限るということだと思います。
○岡崎トミ子君 総務大臣にも伺いたいと思いますけれども、四情報に限るというふうにしまして、今お話を伺いながら、この問題が例えば改善されたとしても、じゃ政府全体で管理を行うという場合には、私はこの法の精神にのっとってきちんと四情報だということを徹底していかないと、それ以外のことを取れる、そのようなふうになれると思いますけれども、総務大臣はいかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 今度の行政機関個人情報保護法制は、必要な、目的に応じて必要な限度で最小限度の情報を取って、それを有効に活用していくと、こういうことですよね。だから、目的外利用・提供も極めて限定的に考えていると、こういうことですから、法の精神として必要な限度を四情報に限ると、しかし本当はもうちょっとあった方がいいんだけれども、もうちょっと我慢して必要なものをぎりぎり行くんだと、こういう防衛庁の考えは、それはそれで私は大変適当ではないかと思っております。
○岡崎トミ子君 百二十条を根拠にということを防衛庁長官もおっしゃってきておりますけれども、東大の小早川教授も百二十条はあくまでも求めることができるというふうに言っておりまして、政府の住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会で座長を務めていらした小早川教授でありますけれども、この百二十条に個人情報保護の観点はないと、政府側は自治体に何でも要求できるわけではなく、自治体側も無制限に提供できるわけではないというふうに指摘をしておりまして、全く当然だというこの四情報を最低限のことだということについて改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。四情報でよろしいということでございますね。
○国務大臣(片山虎之助君) 施行令のできるという書き方は、小早川先生も御存じだと思いますけれども、これは権限があるということなんですよ。何々できるということは、権限があるということを書いているので、できると書いているから云々というのはちょっと今の小早川先生の御趣旨がもうひとつぴんとこないところがありますけれどもね。
何度も言いますけれども、個人情報保護法制がこれできちっとできるわけですから、必要最小限度に限るという、これはもう正しいわけでありまして、自衛隊法であろうが施行令であろうが、その精神は全部かぶるわけであります。
○岡崎トミ子君 それで、これまででも提供していないという自治体もあるわけなんですけれども、この自衛隊法施行令は提出を求めることができるというふうな定めであって、提供はその義務ではないと、住基法などの趣旨に照らしてもこれは要請を断ることはできるという、これは最低限のことだということを確認しておきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 権限を行使したら私は義務は生ずると思います。ただ、今までの自衛隊というか防衛庁は、百二十条も、施行令の百二十条があるんだけれども、事実上の要請として行ったと思うんです、権限行使でなくて。権限が後ろ、後ろにある権限に基づく要請行為としてやっているから、要請を断っているところはそれはそれでよろしいという扱いだったと思います。
詳しくはひとつ防衛庁の方にお聞きくださいますように。
○岡崎トミ子君 それは今、総務大臣の所管のところで私は今言っているわけなんです。きちんとそれ以上のことに関して、最低限、今まで出していないところもあるわけですから、それについてはきちんとそのとおりに、最低限そのことは守られるということでよろしいですよね。
○国務大臣(片山虎之助君) 事実上の要請ですから、要請を断ることは当然あり得ます。
○岡崎トミ子君 今、その問題にされております情報提供が、これまで一つ一つ根拠を確かめながら行われてきたのでないことはこれまでの防衛庁の説明に揺れがあったことからもうかがわれるわけなんですけれども、今後、行政機関の間で個人情報のやり取りをする場合に、一々提供する情報の具体的な項目、使用目的、それから提供を求めている側の根拠、提供する側の根拠を文書で明確にしておくべきだというふうに思います。
そうしたやり取りをきちんと記録にすれば、今朝いただきました資料も、皆さんに徹夜でもって作業を急いでいただいたということがありますけれども、そんなことをしなくても正確なものがすぐに出てくるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか、総務大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) 質問をちょっと丁寧に聞いていなかったので、ちょっと水を飲む方にあれしていまして申し訳ないんですが、文書で出すべきだと、こういうことですか。
○岡崎トミ子君 はい。
○国務大臣(片山虎之助君) いや、これは文書でなくても、口頭でもはっきりと確認できれば私いいと思います。それは文書の方がベターかもしれませんね。
○岡崎トミ子君 ベターであるということは、やはり文書にすると。で、記録に、ベターであることをやってください。まだ成立以前なんですから、是非記録をするということで、正確なものを出せるようにするということでいかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 私は、口頭でもはっきり確認できればいいと思いますけれども、出す方も受ける方も文書の方がいいというのなら、文書の方がベターでしょう、ベター。
○岡崎トミ子君 確認をしたいと思います。是非、そのベターである方法を採用して行っていただきたいと思います。
ところで、先月二十四日の報告によりますと、四情報以外の情報を取っていた地連のうち、提供を受けた情報を電子データ化していた地連が十一ありました。特に山形、山梨というのは、本籍地や親の職業という特に不必要と思われるデータを取っていたわけなんですけれども、この不必要なデータを電子化するという、電子的に保存をするということに関して禁止をしました現行法の第四条の保有制限に違反するのではないでしょうか。
○政府参考人(宇田川新一君) 行政機関が行政目的の達成のために所掌事務の範囲内において必要な個人情報を体系的に集積して電子ファイル化することは当然あり得ることでありますので、その場合には行政機関電算処理個人情報保護法の規制を受けることになりますが、今申し上げましたように、副長官の方から申し上げましたように、必要であると考えられる情報を電子ファイル化してありますので、格別の問題はないものと考えております。
○岡崎トミ子君 いや、やっぱり駄目ですよ、これは。不必要な情報を電子データ化するというのは、現行法の第四条の保有制限に引っ掛かりますよ。大臣、防衛庁長官ですね。
○副長官(赤城徳彦君) 電子ファイル化についてはこの法律上の手続に従って行っているわけでございますけれども、その必要性があるかどうかにつきましては、先ほど答弁申し上げましたように、それぞれ一定の必要性があるということでございます。今後四情報に限るということと、これまでの一定程度の必要性があったということは、また別でございます。
○岡崎トミ子君 いや、先ほどの法文に言う必要というのは、最低限の必要だということで確認をしたと思いますけれども、その必要の範囲を超えたこうした情報の保有、あるいは公務員法の法令遵守義務ということに背いた情報の取得というのは、私は違法ではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
○副長官(赤城徳彦君) 施行令百二十条の趣旨に基づいて提供いただいていたわけで、それの範囲がどこまでかということについては、先ほど来説明していますように、必要性、募集のために必要なものについてでございます。その募集のために必要だという一定の必要性があるということで四情報以外についても提供をいただいていたわけでございまして、それは法律、政令に違反するということではございません。
ただ、今後の運用として必要最小限に限るということで四情報に限ったということでございまして、これまでいただいていた情報がその法令にもとるということではございません。
○岡崎トミ子君 私は、法文の解釈としては、現行法の個人情報ファイルの保有、第四条にある「法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、」というふうになっていまして、その目的を特定しなければならないというふうになっておりますので、法文の解釈としては私は違法ではないかというふうに、ここで私自身の解釈についてだけではなくて、これは実際に法令で違法だというふうに私は思います。
この必要性の判断ですね。法令遵守義務に適合しているか否かの判断にはやっぱり幅があり得るというふうに思います。その判断というのは、現場の担当者やそれぞれの官庁に任せ切りにする問題ではありませんで、先ほども申し上げましたけれども、職務に大変熱心な人は職務を遂行するためにいろんな方法を考えるだろうというふうに思うんですね。そのいろんな方法で取り組もうとすれば、そのためにより多くの情報、手段が必要というふうに感じられてしまうと。
そこで、この個人情報保護の観点で仕事をする機関あるいはそういう部署、そういう目でチェックをすることがどうしても不可欠だというふうに考えますが、総理も見直しの際には第三者機関の設置について検討するということについて否定をされませんでした。見直しを検討する際に、少なくとも第三者機関の設置ということの必要性についても改めて検討すべきではないかというふうに思いますが、これについては総務大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(若松謙維君) お答えいたします。
委員の第三者機関を設置すべきではないかと、こういう御指摘でございますけれども、これは、我が国の行政制度、いわゆる内閣法に基づく各主任の大臣がそれぞれの行政分野を分担管理すると、こういうことが原則でございまして、さらに国会に対して連帯して責任を負うと、こういう制度になっております。そのために、行政機関の長がそれぞれの分担管理事務を行う中で個人情報の保護を適切に図ることが適当であると、このように考えております。
そこで、政府案でございますが、適法でない目的外利用・提供がある場合には行政機関に利用停止を請求することができると。また、行政機関の決定に不服があるときは情報公開・個人情報保護審査会において第三者的な判断がなされる仕組みがございます。
ということで、個々の個人情報の目的外利用・提供やいわゆるセンシティブ情報の取扱いにつきましては、あらかじめ第三者機関がチェックすることは行政全体にとって大変過大な負担と、またそれがかえって行政の遅延ということで国民に対する迷惑にもなると、こういう問題もございまして、私どもとしては、現在の制度がベストではないかと考えております。
いずれにしても、本法案の施行に当たりましては厳格な法の適用が大事だと考えておりますので、しっかりと対処してまいりたいと考えております。
○岡崎トミ子君 多大な負担の方が何か重きを置かれていて、個人情報を保護するという観点で仕事をする機関、その重要性は、これから何か問題が起きてきましたときに、私は、大変この第三者機関設置ということが更に問題になってくるのではないかというふうに思います。
少なくとも、今お話をされた情報公開・個人情報保護審査会でこれが強化される、あるいは活用ということは考えるべきだというふうに思いますが、例えば本人の同意ですね。または本人提供以外の目的外利用についてはその目的と理由を記録をするということを義務付けるということについてはいかがでしょうか。その義務付けるという問題と、同時に、行政機関の長は情報公開・個人情報保護審査会の意見を聞くことを原則とすべきではないかと思いますが、この二点についてはいかがでしょうか、総務大臣。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
本法案におきましても、目的外の利用を行う場合におきましては本人の同意を得るというような条項もあるわけでございます。さらに、その他の目的外利用としましてるる御説明いたしておりますように、非常に厳格に個人の権利利益を侵害しない、法令に基づく所掌事務の必要のため必要最低限でと、かつ相当な理由、だれもが納得するような理由によって目的外利用をするという、厳格に目的外利用をチェックすることになっているわけでございます。
したがいまして、それ以外の言わば個人の権利利益に余り侵害のおそれが少ないような、そういう案件も含めまして、こういう個人情報保護審査会の第三者機関の事前の同意を得るとか、事前の承認を得るとか、あるいは一々に記録を取っておくとかいうようなことになりますと、先ほども副大臣から御答弁申し上げておりますように、行政に対する負担のみならず、行政それ自身が大変な遅延をもたらしまして、国民の皆さんにもかえって御迷惑になるというようなことになろうかと思います。
目的外利用等につきましては、主要なものにつきましては、事前の公表制度におきまして公表されるものに、経常的な提供先については公表されることになっておりますし、また総務大臣による施行状況調査で、その都度起こります目的外利用につきましては調査公表することになっておりますので、それによって対応していきたいと考えております。
○岡崎トミ子君 何かこうすっきりしなかったんですけれども、本人提供以外のものについてはやはり目的外利用について目的と理由を記録をするということが、後々の問題になっていかないということで、再度私は義務付けるべきではないかということを申し上げておきたいというふうに思いますし、行政機関の長もこの保護審査会の意見を聴くことということを原則にしていただきたいというふうに思います。
こうした仕組みを取っても、なお権利の主体である個人に不服が出ることがあり得るわけなんですけれども、その不服の申立てに機敏に対応することとしては、裁判に訴える場合にそれを不当に阻害しないということが必要だというふうに思います。その不服の申立てがあった場合の回答期限を三十日以内にすべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
開示請求等々につきまして期日が定められておるわけですが、今御指摘の不服申立てにつきましては、そういう案件が出ますと、審査会に諮問をするということになっておるわけでございます。不服申立てに係ります案件につきましては、そういうことで、非常に慎重な判断を要するものからその他様々でございますので、一律に諮問の結果の期限を法定するということは適当ではないのではないかと考えております。
いずれにしましても、本法案の施行に当たりましては、不服申立てのこの審査会の諮問に当たりまして速やかな諮問がなされるように厳格に運用してまいりたいと考えております。
○岡崎トミ子君 是非、回答期限三十日以内とすべきではないかということについて、強く要求をしておきたいと思いますが。
管轄権、訴訟の管轄権の問題ですね。これにつきましても、東京地裁でしか訴えられないというのでは大変不合理でありますので、最低限別の地裁あるいは沖縄で訴えることができるようにすべきではないかと思いますが、この点についていかがですか。
○副大臣(若松謙維君) この行政事件訴訟は、いわゆる被告であります行政庁の所在地の裁判所の所管が原則だということでの今のお尋ねだと思うんですが、これもいわゆる地方の機関に各行政機関の長が委任すると、そういうことであれば、現在の裁判管轄でありましても、地方の機関の所在地の裁判所に提起できる、こういった制度がございますので、正に私どもはそういった委任を進めて国民の便利を図ってまいりたいと考えております。
○岡崎トミ子君 これまで、防衛庁といたしましては不必要なというふうに私たちは思う、あるいは不適切な手法でというふうにも思います情報を、様々に市町村に対して協力という形ではあるかもしれないけれども受け取っていた。そういう問題が大変センシティブな情報であったり不必要な情報であったりということも含めまして、これからはその四情報に限ってということだということを今日は確認をすることができたというふうに思っております。
是非とも、これからも問題が出ました場合には、私は別な部署でもこの問題について追及をしていかなければならないというふうに思っております。
時間が大変短くて、もう一つ防衛庁に対しては聞かなければならない問題がございましたけれども、それは次の機会ということにいたしまして、まずは、今日までに徹夜の作業をして名簿を出してくださったということに感謝をしておきたいというふうに思っておりますが、これからの運用についてはよろしくお願いをしたいと思います。
ありがとうございました。
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○委員長(尾辻秀久君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、平野貞夫君が委員を辞任され、その補欠として岩本荘太君が選任されました。
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○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
まず、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
募集業務の意義について、今日いろいろと変化が起きてきていると私は理解しております。かつてこの募集はなかなか国民のコンセンサスが十分に得られない中で大変苦労をした経過があったと思います。近年、特に冷戦終了後、国際業務等が加わることによって、国民の期待や理解も徐々に広がって募集環境も変わってきたというふうにも思うわけでありますけれども、今日、いわゆる有事法制、武力事態に関する法制が国の法体系の中に今位置付けられようと、そういう議論が進んでいる中にあって、私は、一層この募集業務の意義と重要性が増してくる、大事な業務になってくると、こう思っております。
その上で、これは単に防衛庁の一部の仕事というだけではなくて、政府全体を通じてこの募集業務、これが強制力を用いない、あくまで一つの職業の選択肢の一つとして位置付けられていくわけでありますから、これについての政府全体の取組ということを再検討しなければならないと思います。
その上で、防衛庁長官として、今日あるいは今後における募集業務の意義、重要性についてどのように御認識されているでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 先生御指摘のとおりだと思っております。
有事法制が衆議院において九割の方々の賛成を得て可決され参議院に送られている。この九割というのは大変に重要なことだと思います。これから参議院で御審議を賜るわけでございますけれども、衆議院段階においてはそうであったということ。すなわち、これだけ多くの広範な国民の皆様方が、国の平和と独立があっていろんな議論ができるんだということを御理解いただいたというふうに私は思っております。
その中にあって、それでは自衛官というものをどうやって募集をしていくか。私どもは志願制を取っておるわけでございます。確かに、今就職の状況が変わってまいりましたので、大勢の方が来ていただけるようになりました。しかし、もうそれでいいんだ、たくさん来るからそれでいいんだと、そんな話には絶対ならないはずでございます。どうやって国の平和と独立を守り、精強性を維持するか、そして国民の皆様方の御期待にこたえるかということにおいて、更に自衛官の募集には心してまいりたい。
防衛庁、自衛隊だけの問題ではなくて、政府全体の問題であるということ、そして、委員がよく御案内のことでございますが、私どもの自衛隊の現役の在り方あるいは予備役の在り方というものも含めて、私はもう一度きちんと議論をしていかなければいけないことだというふうに思っておる次第でございます。
○山口那津男君 一口に自衛官と言いましても、多様な職種がありまして、しかも自衛官の仕事というのは一面危険なものを伴う、そういう面もありますし、また一方で、資格や技術、知識、幅広い情報を入手するという、そういう有用な面もあるわけですね。こういった自衛官の職種に対する正当な理解を得られた上で応募していただくというのが一番望ましいわけであります。
そういう中にあって、中学を卒業する人たち、こういう人も生徒として募集する枠組みはあるわけですね。しかしながら、この中学卒業生については、職業選択の判断力といいますか、そういうものが必ずしも十分に形成されていないということもありまして、例えば文書募集を禁止されるとかあるいは保護者を通じて行うとか、そういう制約を行政側が自ら課しているわけであります。
これについて、そうなりますと、一方で募集の必要性があって、一方でその職業選択能力を補う必要があるということを考えた場合に、広報のためのダイレクトメールを保護者に送るためには、今、住基法との関係で四情報の提供に限ると、こういう制約で保護者の名前は必ずしも入手できないわけでありますから、別な方法で入手しなければこの募集業務はできないということになるわけですね。これをどのようにやろうと思っていらっしゃいますか。
○政府参考人(宇田川新一君) 中学生に対する募集広報でございますが、これは、当該中学生の保護者又は当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者を通じて行うこととしております。このようなことから、自衛隊生徒の採用試験のダイレクトメールを発送する場合については保護者を通じて行うことになるということになります。
したがいまして、地方連絡部におきましては、募集広報官の日ごろの活動を通ずるなど、あるいは地域の実情に精通しました募集相談員などから提供いただくことにより、適齢者の保護者の方の氏名に係る情報を得るということになろうかと思います。
○山口那津男君 先ほど来の議論の中で、地方公共団体から防衛庁に提供するのは四情報に限定するということで、それ以外の情報の扱いについていろいろと議論があったわけでありますけれども、しかし、今答弁がありましたように、その募集広報官が保護者の情報について地方公共団体以外のところから、町内会その他民間のところから情報を入手する努力をするということ、これ自体は違法なんですか、不適切なんですか。どうなんですか、やっていいことなんですか。ここを明快に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) それは違法なことではございません。それ、当然の業務として行うことでございます。
つまり、保護者の方が分からなければ保護者の方を通じてということができないわけですね。それはもう、例えば山口那津男さんのお父様あてなんというような、そういう手紙を出すわけにはいかぬわけでありまして、その方のお名前というものをいろんな努力によって知る、そして保護者の方、そして御本人という方に自衛隊募集の情報をお伝えするということでありまして、違法なことだとは全く思っておりません。
○山口那津男君 それでは念のためにお伺いしますけれども、これまで市町村等がいわゆる氏名、住所、年齢、性別等四情報以外の情報を地連に提供していたということがありました。今後はこういうことはしないということでありますけれども、じゃ、今までやってきたことが違法だったのか、不適切だったのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) その点につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、これまで法律、政令に基づいて適法に行ってきたわけで、その必要性についてはいろいろレベルはありますけれども、今後は必要最小限ということで四情報に限定したということでございます。
○山口那津男君 防衛庁の仕事の中には、例えば情報を保全する業務のように積極的に個人情報を収集することが職務とされている分野もあります。また、この募集業務も、募集の端緒を得る、端緒を与えるという点では一定の慎重さ、制約が必要でありますけれども、しかし、自衛隊にふさわしい人材を確保するという面ではやっぱり個人情報はたくさん入手する必要性もあるだろうと、こう思うんですね。また、防衛庁には一方で、情報公開制度のように、その限りで必要な情報に限定をする、そして、そこで得た情報をいたずらにその個人情報を積極的に入手する部門に回してはいけないと、こういう自ら制約を課す部分もあるだろうと思います。
そういう意味では、防衛庁の多様な仕事に即してその個人情報の取扱いについてやはり周知徹底をする、この個人情報保護の精神、情報公開の保護の精神、こういうことと、それから、情報を積極的に入手する必要性とその限界、こういうことについてやはり徹底をする、理解をさせることが必要だろうと思います。この点について防衛庁長官の御認識を伺いたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) 御指摘のように、防衛庁には様々な情報がございまして、それをきちっと管理をしていくということが大事でございます。
もちろん、適切に保管したり、募集担当者以外が閲覧しないとか募集目的以外に使用しないと、こういうふうな管理を行っておりまして、例えば、情報ファイルに管理する場合の扱いについてはこんなふうになっておりまして、個人情報ファイルを複製する場合は管理者の許可を得るとか、管理者は関係職員以外は閲覧できないようにアクセスの制御の措置を取るとか、そういうことをきちっと、これは訓令、通知で決めております。ファイル以外についても、同様に文書管理規則できちっと定めておるということで、今後とも、それを徹底してまいりたいというふうに考えております。
○山口那津男君 是非、当委員会の議論の趣旨も踏まえて、その徹底を図っていただきたいと思います。
最後に、片山大臣にお伺いしますが、自治体の防衛庁への対応、これがかなりばらつきがあるわけですね。情報提供してくださった自治体があるといっても三割前後にとどまっているわけであります。しかし、この募集業務というものが国の法体系の中にきちんと位置付けられようとしているわけでありますから、これは、自治体においても、この協力関係というのがばらつきがないようにこれから図っていく必要があると考えております。あわせて、防災の関係でありますとか、あるいは国民保護法制、これから制定に向けて努力が行われていくと思いますけれども、こういうことの御理解も通じて、このばらつきをなくすような努力ということも一方ではお願いしたいと思うんですが、その点の御認識を伺います。
○国務大臣(片山虎之助君) これは、何度も申し上げますように、法律に基づく受託事務なんですね、法定受託事務。したがいまして、それは誠実に市町村は執行してもらわなきゃいけません。だから、ばらつき等があるとすれば、まず、防衛庁において十分話し合って、ばらつきをなくするように、全部協力してもらうように。もう自衛隊もこれからは国民の自衛隊ですから、災害出動その他いろいろやっているわけでありますので、そういう意味での、自治体との、地方自治体と防衛庁・自衛隊とのコミュニケーション、連携を私は十分やっていただくようにお願いいたしたいと思いますし、総務省としてもできることは協力したいと思っております。
○山口那津男君 終わります。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
住基台帳四情報その他の情報の提供について伺います。
防衛庁は、四情報であれ親の職業であれ、今まで提供させてきたことは違法ではなかったと、こういう答弁に終始しまして、驚きました。そもそも、自衛隊が自衛官適齢者名簿として市町村から住基台帳の中学生の氏名、住所、生年月日、性別の四情報の提供を受けることができるという法的な根拠をまず確認します。何ですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、もう何度もお答えしているところでございますので、また繰り返しになろうかと思いますが、自衛官等の募集について、これは地方連絡部が行っているんですが、それと同時に、この自衛隊法第九十七条です。この規定に基づく法定受託事務として都道府県知事及び市町村長が自衛官の募集事務の一部を行っていると、こういうことでございます。
さらに、その規定を受けて自衛隊法施行令第百十九条で、都道府県知事及び市町村長は自衛官の募集に関する広報宣伝を行うものとされております。そのため、地方公共団体においては、自衛官の募集に関する広報宣伝を効果的に行うために、自衛官に応募する可能性がある者を把握するという観点から必要に応じて適齢者名簿の作成を行っていると。要するに、地方公共団体の法定受託事務で、その募集のために必要があるということから適齢者名簿の作成を行っていると。
それの提供を受けていることの根拠につきましては、自衛隊法施行令の百二十条で、内閣総理大臣は云々云々というその規定の趣旨を踏まえて、これは防衛庁の人事教育局長から都道府県募集事務主管部長にあてた依頼文書によって、市町村に対し、地方連絡部に対する適齢者情報の提供について依頼を行うと、こういう法律、政令関係でございます。
○吉川春子君 質問に入るについてちょっと確認しました。
それで、自衛隊九十七条の、都道府県知事及び市町村長は自衛官募集に関する事務の一部を行うということを受けて政令が制定されていて、今言われました百十九条、百二十条、雑則ですね。
この規定は、百十四条の募集の告示から始まりまして、百二十条も自衛官の募集事務、実務が規定されたものですね。その中で、知事、市町村長の自衛官募集の広報宣伝、そして百二十条は、内閣総理大臣が自衛隊員募集が全体としてどうなっているか知るための必要な報告又は資料の提出であって、個々の市町村に住む中学生が自衛隊に応募できる年齢になったかどうかという、こういう個人情報じゃないですよね。
防衛庁長官に伺いたいんですけれども、その四情報を市町村に提供させておりますが、これは個人情報であって、百二十条で言うところの資料には入らない、文言的にも入らないと思いますが、どうですか。資料の定義をおっしゃってください。もう、せっかく防衛庁長官お出ましいただいたので。
○副長官(赤城徳彦君) これは先ほどお答えした仕組みでございますので、その各地方公共団体が募集事務を行う、そのために……
○吉川春子君 いや、資料の中に入るのかということを。
○副長官(赤城徳彦君) ですから、そのために必要なものについて適齢者情報名簿を作っております。
その提供については、この施行令百二十条では、「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、」「必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」でございますから、当然これは入っているわけでございまして、これはこの百二十条の趣旨にのっとって、先ほど総務大臣からの答弁にありましたように、この趣旨にのっとってお願いベースで資料の提供をいただいているということでございます。
○吉川春子君 この資料を、個人情報を含めて読むということでいいですか。イエスかノーで時間がないので答えてください。
○副長官(赤城徳彦君) これは募集に関し必要なものというふうに書いてあるわけで、その必要なものについては当然資料の提出を求めることができるということでございます。無限定に何でも個人情報を得ているということではございません。あくまで募集のための必要ということでございます。
○吉川春子君 資料の提出というふうになっていますので、この資料の中に四情報プラスアルファの個人情報も含むと、こういうふうに解釈していいですかと聞いています。簡単でしょう、答えてください。
○副長官(赤城徳彦君) これは当然その募集のために必要があれば報告又は資料の提出を求めることができるわけですから、そういうこの規定の趣旨を踏まえて資料の提出をいただいていた、四情報以外についても、当然必要があればそういうことでいただいていたということでございます。
○吉川春子君 資料の中に個人情報も含むということでいいですね。防衛庁長官、うなずいていますので。いいですか。
○国務大臣(石破茂君) それはそういうことでございます。
○吉川春子君 総務大臣にお伺いいたします。
住民基本台帳の閲覧の規定はあるんですけれども、国の機関に個人情報を提供できる規定はあるんでしょうか。根拠規定を示してください。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 住基法の規定のお尋ねでございますが、住基法では、何人に対する閲覧と何人からの交付請求について規定がございます。
○吉川春子君 提供の根拠は何条でしょうか、住基法の何条ですか。提供の規定がありますかと聞いています。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 適齢者情報の提供の根拠規定についてお尋ねでございますが、これは先ほど赤城副長官からお答えになったとおり、自衛隊法の九十七条一項……
○吉川春子君 違います、違います。住基台帳のこと。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 住基台帳には先生が御指摘の趣旨の規定はございません。
○吉川春子君 住基台帳には根拠規定ないんですよ。
それで、私は、この自治省が発行したコンメンタールを持っているんですけれども、それによりますと、住民基本台帳法三十七条で、国の行政機関又は都道府県知事は、それぞれの所掌事務について必要があるときは、市町村に対し、住民基本台帳に記載されている事項に関して資料の提出を求めることができると、こうありますが、これは今、根拠規定ではないということを言われたわけです。
それで、これによりますと、求めることのできる資料というのは、元々国の行政機関又は都道府県知事が統計資料を得ようとする場合を想定しているもので、したがって、国の行政機関又は都道府県知事が公証力のある、公に証明という意味ですね、公証力のある個人の特定できる資料を必要とする場合は、本条に基づく資料の提供ではなく、第十一条の住民基本台帳の閲覧又は第十二条の住民票の写しの交付の請求によるほかはないと考えると、これは自治省がコンメンタールで明言しているところです。たとえ行政機関の要請があっても、右から左へ情報を提供することはしないという取扱いになっています。住基台帳はプライバシー保護の厳密な取扱いを求められているからですね。
こうした住民台帳の規定に照らせば、この規定でも提供できるのは資料であって、個人情報ではない。防衛庁に四情報を提供することはすべきではない。それとも、自衛隊は別なんですか。総務大臣、どうですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 住基法は、もう何度も言いますように、何人でも閲覧や写しの交付ができるんですよ。今回のこの適格者情報は、なるほど、住基法に載っている情報ではありますけれども、これは自衛隊法九十七条の一項と施行令百二十条に基づいての資料として求めているんですよ。住基法に根拠があって求めているわけじゃない。自衛隊法や施行令について求めているんですよ。だから、今回の場合には、自衛隊の、自衛隊というか防衛庁の場合には法令に基づいているから、そういう法令がないほかの省庁は閲覧や写しの交付でやってもらうと、こういうことであります。
○吉川春子君 多くの国民は、住民基本台帳に提供できる根拠があるから自衛隊が求めているんだなというふうに考えていらっしゃるんじゃないでしょうか。
それで聞きます。総務大臣、政令による委任の問題について伺います。
住民基本台帳に、ほかの行政機関に対して住基台帳の四情報等の個人情報を提供できるという規定はありません。にもかかわらず、自衛隊施行令百二十条、政令ですね、この資料に、住民基本台帳の個人情報が入るというふうに防衛庁長官もさっき答弁されましたけれども、こんな政令を勝手に防衛庁が作るということは委任立法の限界を超えていますよ。
つまり、政令というのは、いいですか、政令というのは法律を実行するために内閣が決めるものであって、国会の手は経ていないんですよ。法律というのは国会の手を経て決めますけれども、一応基本的に法律で決められていることを実行するために政令というものは作られるわけであって、各省が政令で住基台帳の個人情報の提出を決めれば、総務庁はどの省庁にも四情報の提供を認めるということではないと思うんですね。政府の機関がこういうふうにして勝手に、政府の機関というのは防衛庁ですけれども、法律に根拠のない政令を作って、そして法律の域を超えて四情報を提供させているということは恐るべきことじゃないですか。法律のイロハさえ知っていればこんなこと分かることですよ。どうですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 政令というのは今の憲法の下では授権と執行なんですよ。授権というのは、法律によって授権する、権限を委任する。それを、細かいことは施行令でいく。根拠は法律なんですよ。あとは、法律に決まったことの細かい執行を書く、この二種類なんですよ。
この施行令百二十条は、九十七条一項を受けての授権の施行令なんで、法律と同じなんですよ。だから、住民基本台帳法の、自衛隊法は、この四情報の提供については、これは特別法になるんで、国会で決めた法律なんですよ。国会で決めた法律でそういうことを明定しているわけですから、それは何ら法律違反ではない。
○吉川春子君 自衛隊法にそんな提供できるなんという規定はないんであって、自衛官の募集をするということで、そしてその募集をする一応日にちはいつにするか、いろいろ事務を、それを政令で決めているわけであって、個人情報という非常に重要なものを住基台帳はやっぱり大事に守らなきゃいけないから、国の行政機関であってもそれは閲覧だと、複写だということを決めているじゃないですか。これはそのコンメンタールでちゃんと今……
○国務大臣(片山虎之助君) 勝手に書いているんだよ。
○吉川春子君 勝手に書いたんですか、大臣。このコンメンタール、勝手に書いたと言われましたけれども、こんなもの勝手に書いたなんと言われたら、それは……
○国務大臣(片山虎之助君) 政府が出したものじゃないでしょう、それは。名前が書いてあるでしょう、それを書いた人の。
○吉川春子君 違いますよ、違いますよ、これ。このコンメンタールはですね、自治省行政局振興課編、こうなっているんですよ。これを勝手に、勝手に書かれたなんということであってはとんでもないことですよ、大臣。
それで、ここには……
○国務大臣(片山虎之助君) 委員長、ちょっと。
○吉川春子君 ちょっと待ってください、私が質問しているところですよ。
ここには、ちゃんとその資料の中には、個人情報は含まれないと。これはやっぱりその四情報あるいは住民基本台帳に決められている個人情報というのは大事にしなきゃならないと、守らなきゃいけないという、これは自治省のきちっとした態度なんですよ。それが法律にも決められているんです。その法律に決められていないものを勝手にまた法律で、特別法との関係と言ったけれども、特別法というのは法律同士ですから、政令が特別法になるなんということはありませんよ。そういうものを国会も通らないで政令で決めて、四情報の提供は求められると、いや、そのほかのセンシティブ情報だっていいんだと、こういうめちゃめちゃな議論は、少なくともやっぱり法律、法治国家でしょう、きちっとそういうものに基づいて執行しなきゃいけないんじゃないですか。
総務大臣、何か言いたいことがあるんですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 吉川委員に教えるわけじゃないけれども、あれしますけれども、コンメンタールというのは、振興課が何か書いたか知りませんが、それは立法者としてのいろんな準備や思いを書いたんで、正式な政府の見解というのは、通達だとかあるいは行政実例だとか内閣法制局の解釈だとか、こういうものなんですよ。だから、それは立法者としていろんなことは書いたかもしれぬ、しかしそれは役所の名前じゃなくて何かの研究会か何かじゃないですか。よく調べてください。
○吉川春子君 違いますよ、役所の名前ですよ。
○国務大臣(片山虎之助君) ただ、これは公式な見解になるかもしれぬけれども、そういう手続は経ていないんですよ。だから、それが書いてあることはほとんど正しいと思うけれども、一〇〇%それが正しいわけじゃないです、公のあれとしては。それは単なる解釈の本なんですよ。
それから、四情報は公開情報なんですよ。その公開情報を自衛隊法及びそれに基づく施行令に基づいて出すのが何がおかしいんですか。ちゃんと法令の根拠もあるじゃないですか。(発言する者多し)静かにしなさいよ。質問者はこっちなんだ。
○吉川春子君 法令の根拠なんてないですよ。
○国務大臣(片山虎之助君) 公開四情報じゃないですか。それについて、それ以外は住基法以外のところから市町村が資料を取って提供しているんですよ。
○吉川春子君 今、片山大臣、大変重要なことを言われましたよ。これは、各法律について、立法者の意思ということで、労働基準法についてもありますし、いろんなものありますよ。それに基づいて私たちは質問しているのに、これは政府の見解じゃないと、いい加減なものだみたいなそういうおっしゃり方だと、もう論戦の根拠が失われるじゃないですか。
それで、もう一つ私質問します。
憲法上の権利の委任についてなんですけれども、政令に対してどういうものが委任できるかというのは、学者の間でもあるいは判例の間でもいろいろと積み上げられてきているわけですよ。それで、憲法上の権利、精神的自由を制限する場合の立法の委任は明確であり厳格でなければならない、これは憲法のコンメンタールに書いてあります。
そして、今度のその個人情報というのは、憲法十三条の幸福追求権から導き出されるプライバシーの権利でしょう。その個人情報がやっぱり法律に根拠がないというふうにおっしゃるわけですから、それを政令でもって、政令でもって出させるということはもう大変重要なことなので、防衛庁が言うんだったらまだ分かるんですけれども、総務大臣が、この個人情報を守る立場にある方がそういうふうにおっしゃることはとんでもないと。防衛庁というのは、今まで個人情報を不当に集めたり、何遍国会で問題になってきたんですか。この防衛庁の情報収集の問題性が国会で何遍も何遍も問題になってきているけれども、全然改められていない。そういう中で、やっぱり住基台帳という、一番大事な個人情報ですから、これの管理はきちっとしてもらわなきゃならないんです。
それで、総務大臣、今、私、憲法の問題も言いましたけれども、本当は法制局長官でも来てほしいところですけれども、今日は呼んでません。呼んでませんので──いやいや法制局長官の役割務まりませんよ。
そうじゃなくて、こういう問題について防衛庁が今まで繰り返しいろんな問題を国会で追及されてきたけれども、こういうものをきちっと防ぐという、そういう担保が今度の個人情報保護法にあるんですか。何条にあるんですか。あるいは、個人情報じゃなくて、機関が持っている情報でもいいですけれども、何条でそれが、こういうようなことが防げるという条文があるのか、それをきちっと示していただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 自衛隊法の九十七条の一項は、政令で定めるところにより、自衛隊の募集に関する事務を行うと書いているんですよ。政令の定めるところにより、自衛隊の募集に関する事務、その政令を受けて施行令にずっと規定があるんですよ。その一つが、募集のために必要なら報告をしたり資料の提出をするということがあるんですよ。したがって、これは法律の授権に基づいているわけですから、全く何の問題もないと、こういうわけですよ。
それから、今あなたが言われたことは、個人情報保護法の、条文については聞いてください、あちこちに規定がありますよ。必要最小限度の目的に応じた情報の範囲でやりなさいと、目的外の利用や提供はもう特別の場合にだけに限定的に認めると、こういうことでございますから、今まで防衛庁がやったやつが、それは違法だとかなんとかという問題じゃない。しかし、いろんな議論があるんで、今回は公開四情報に限ると、こう言っているんで、我々もその方がいいでしょうと、こう言っているんですよ。
我々も、個人情報、行政機関の保有する個人情報の保護をするという観点から、今完全に意見は一致しているんですよ。今までのものが違法だとかなんとかということじゃありませんよ。しかし、いろんな御懸念や御議論があるんなら、この際、四情報で我慢してもらって、その範囲でしっかりやってもらうと、こういうことであります。
○吉川春子君 自衛隊法の九十七条は、都道府県知事及び市町村は、「政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」。自衛官の募集に関する事務の一部ですね。そして、その「協力を求めることができる。」と第二項でなっています。
これは、そういうことを、防衛庁がその事務をしますよと、でもほかの法律に抵触するようなことをしていいという授権ではないと思うんです。そうですよね。これはやっぱり日本が、日本の国会が決めているいろんな法律の整合性の中で授権することができるんであって、住基台帳でこういう個人情報はきちっと保護されていると、国の行政機関といえどもその提供はできないんだという立法者の意思です。立法者がそういう解釈をしているんですよ。
防衛庁長官、首ばっかり振っていないで答弁してください。そういうようなことを、法律を踏み外して、法律を踏み外して政令を作って、何度も言いますけれども、政令というのは官僚が作文すればそのままいくんですよ。国会で議論するわけじゃないんですよ、政令は。そういう政令で、住基台帳の認めていないものまで政令で決めて、そしてしかもいろいろ問題が起きていると。こういうようなこと、おかしいんじゃないでしょうか。それに対する反省は全然ないんですか、防衛庁長官。
○国務大臣(石破茂君) どうも委員の法理論が実を言うと理解できなくて恐縮なのでありますけれども、要は、私どもは法に基づいて政令を作っている。そしてまた、四つの情報というのは、これは公開をされている情報であって、その部分について法定受託事務になっている。我々がお願いをし、いただくと、そういう形になっておるわけでありまして、そこには違法というものは全くどこにも存在をしないわけでございます。委員が何を問題にしようとしておるのか、私はどうも今ひとつ理解しかねるところがございますが。
政令というのは確かに、そういうようなもう法律ではない、国会で通るというようなものではございませんね。しかしながら、そこに基づいている政令が法的根拠、先ほど来、総務大臣も述べておられますとおり、法的根拠はきちんとあるものであり、そしてそこにおいて違法なことは何ら行われていないわけでございます。ですから、委員が何を問題にしようとされておるのか、もう一度御教示いただければ大変幸いだと思います。
○吉川春子君 こういう感覚の防衛庁長官が住民基本台帳の情報を集めて、そして、集めてとおっしゃいましたでしょう。自分で集めなきゃいけないんですよ。これから自分で集めると言ったじゃないですか。そういうことをやられるということに対して、国民は物すごく不安を感ずると思います。
もう一つ聞きます。
新美先生が、さっき岡崎議員も取り上げましたけれども、この方は政府の個人情報保護法案制定化委員会のメンバーでいらっしゃると伺っております。この先生が、自衛隊法や施行令は一般的な規定で、具体的な記載はない、住基台帳に明文規定がない以上提供はできないものと解釈すべきだと、このように言っているんです。それから、小早川先生も、この人は住基ネット関係で政府の座長もお務めになった方で、情報公開審議会委員もされていますけれども、言ってみれば、政府から招聘されて、そういう法律作りにお二人とも絡んだ先生ですけれども、百二十条に個人情報保護の観点はないと、このように言っているわけですよ。
防衛庁長官、私の言っていることが全く分からない、これはもう本当に恐るべきこと、悩ましい、嘆かわしいことですよ。そんな防衛庁長官に個人情報を大事にするなんていうことはもう期待できないじゃないですか。
でも、片山大臣、こういう先生方がこの施行令に対して、非常にこういうのは住民台帳法に明文規定がない以上提供はできないと、こういうふうにおっしゃっていることについてどう思うんですか。政府が一生懸命お願いして法案を作っていただいた先生方じゃないですか。こういう学者の意見については耳を傾けないんですか。
○国務大臣(片山虎之助君) インタビューの記事というのは大変圧縮されて出ますからね、正確に先生方の御意見かどうか私は分からないと思うんですよ。
ただ、吉川委員、お分かりいただきたいのは、四情報は公開情報なんですよ、そうでしょう。これはだれでも何人でも閲覧できるし、写しの交付ができるんですよ。それについて自衛隊法や施行令に基づいて資料として市町村長が出す、法定受託事務なんだから。何がおかしいんですか、何のおかしさもない。元々だれでも見れるんですよ。見る代わりに法定受託事務になっているから資料として出す、それのどこがおかしいんですか、四情報。
○吉川春子君 私は、自分の考えはもちろんそうなんだけれども、自治省の考えに基づいて今日は質問しているんですよ。その自治省、今は総務省ですけれども、名前が変わっただけじゃないですか。この仕事については引き続きやっているわけでしょう。だから、そういうことで、その資料の中には個人情報は含まれないんだと、こういうふうにおっしゃっているんですよ。
それで、担当大臣にお伺いしたいんですけれども、もう時間がなくなりましたので。
政府の法律の中に、資料の提供というのをあちこちに書いてあるんですけれども、この資料の中に全部個人情報というのを含めて考えるんでしょうか。どうですか。細田先生、大臣、どうですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
資料というのは、ちょっと法制的には正確でないかもしれませんが、いろんな行政文書ですとかあるいはそのほかの図画、場合によりますと電子的記録等々も含まれると思いますけれども、当然、個人情報はそういうものに記載されておりますので、資料を提供するという場合にはそれに記載される個人情報も提供されることになるわけでございます。
今、正にこれまで行政機関における個人情報の取扱いは基本的にはルールがございませんで、唯一、電算機個人情報、ファイル化されたものについてのルールしかなかったわけでございまして、それを抜本的に強化すべきということで、今新しい行政機関法案ですべての個人情報を対象にして規制の制定をお願いしているところでございます。
○吉川春子君 もうとんでもない答弁ですよ。資料の中に個人情報が含まれるなんて、そんな解釈、できます。
担当大臣にもう一度伺いますけれども、法律の中で、政令も含めて資料という言葉がたくさん出てくると思いますけれども、そういう中に果たして個人情報を一般的に含めていいのか悪いのか、その点について慎重な検討をしていただきたいと思いますが、その点は明言できますか。
○国務大臣(細田博之君) ちょっと私は個人情報保護法案の担当として出ておりまして、政府に関連する情報の問題についてはやはり総務大臣にお答えいただくのがいいと思います。
新法で今定義をしておりますのは、「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいう。」。括弧書きがありまして、「(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と書いてあるわけでございます。その他、これは重畳的に個人情報データベースとかまた別の法体系になっておりますので、今の御議論と直接関連させることができるかどうかはちょっと分かりません。
○吉川春子君 今度は、そうすると、提供するという場合、個人情報ということをきちっと書くということは最低限必要じゃないかと思いますけれども、その点についてはどうですか。大臣、もう時間がないので、大臣。
○国務大臣(細田博之君) 行政の話をしておられるんですか。
○吉川春子君 いや、行政の話ということも含めて一般法ですね、基本法ですね。だから、個人情報を提供するとか個人情報についての問題についてはきちっと個人情報という概念を明確にしなきゃいけない、個人情報ということを明らかにしなきゃいけないと思いますが、その点は、基本的なお考えで結構ですが、伺います。
○国務大臣(細田博之君) 第二条で定義を先ほどお読みしましたようにはっきりしておりますので、その中身が何であるかということは今後やはり判例とかいろいろな法令の適用に応じて次第にでき上がっていくべきものだと考えておりますが、基本はこの第二条に規定しておる定義でございます。
○吉川春子君 すごくやっぱり、四情報だったらば当然のことのように提供していいんだと、こういうことでは全然ないということを、私は、旧自治省、現在の総務省のコンメンタールに基づいて、また学説、判例に基づいて指摘をいたしました。これがあいまいになるということは非常に行政機関に対する不信感も高まりますので、その点は防衛庁長官、総務大臣、くれぐれも個人情報の扱いについてはもう万全を期してもらいたい。
この問題についてはまた引き続きやることといたしまして、時間ですので、私の質問は終わります。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
防衛庁リスト問題、適齢者情報の収集問題を教訓に、防衛庁にはしっかりした情報管理、危機管理をしていただきたいと思います。防衛庁長官に今後の取組についての私は決意を伺いたいと思います。
昨年の防衛庁リスト問題、そして今回の自衛官募集のための適齢者情報収集の問題、この二つの問題の本質は一体どこにあったのでしょうか。世間では、今回の問題が起こったことをきっかけに、防衛庁のみならず行政機関が個人情報を収集すること自体が悪いことだという意見まで出ています。そのようなところに問題の本質があるのではありません。国家機密を預かる防衛庁が必要な情報を収集し適正に活用することは当然のことであり、それが悪いことであるはずがありません。大臣がむしろこの点について、国民に対してよく理解、そして納得していただけるよう明快なメッセージを勇気を持って発するべきだと私は思います。
今回の問題は、国の安全保障と、それを担当すべき防衛庁の情報収集、情報管理、危機管理の在り方そのものが問われた問題ではなかったかと。すなわち、防衛庁リスト問題でも新聞記者に内部情報が漏えいしたことがそもそもの事の発端であり、防衛庁においてそのようなずさんな情報管理が行われていたことの方がむしろ大きな問題であると考えます。
また、防衛庁リスト問題や今回の適齢者情報問題に関し防衛庁の対応を見ていると、本当に適切な危機管理が行われていたのか、首をかしげざるを得ません。国家の安全保障を担う組織がこのようなずさんな情報管理、危機管理しかできなかったことがこの問題の本質であり、今後の我が国の安全保障を考えた場合、最も大きな問題なのだと私は思います。
有事法制も衆議院を通過し、本日から参議院で本格的に審議が始まるわけです。今後、我が国の安全保障に対して、防衛庁の果たす役割はますます大きくなると考えますが、これまでのような対応しかできないような組織に、我が国の安全や国民の生命をゆだねてよいものか不安を感じざるを得ません。もちろん、防衛庁の職員には猛省を求めるとともに、今後の情報管理の徹底、危機管理を徹底していただき、二度とこのような失態を起こさないようにしていただきたい。
防衛庁長官に、今後の取組について決意を伺います。
○国務大臣(石破茂君) リスト問題をどう思うかということですが、私は長官に就任いたしましたときに、情報公開法の趣旨というものをきちんと理解し徹底させることが大事だということを就任の記者会見で申しました。
今度の問題も同様なんだろうと思っております。今度の問題は、四情報に限る、じゃそれが必要なのか十分なのか、そういう議論が何か交錯をしてしまったような気がします。私は、四情報以外というものの提供があったとしても、それが即違法だというわけではございません。そこのところをきちんとした上で、しかしながらいろんな御議論もある、御懸念もあるので、四情報に限って私どもはちょうだいをする、そこから先は自助努力でやるわけですが、本当に精強な自衛隊というものを作るためにそれ以外の情報を収集することは、これはむしろ当然のことでございます。そうしなければ精強な自衛隊というのは作れない。委員御案内と思いますが、服務の宣誓ということがあって、事に臨んでは身の危険を顧みずという人を集めるわけですから、それはもう私どもきちんとして必要な情報は今後も集めてまいります。
しかし、市町村からいただく場合には四情報に限って、あとはやるということで、私どもは今までいい加減なことをしてきたというような御指摘は当たらないのだろうと思っております。ただ、やはり、今回も思うのですけれども、この法の趣旨というものをきちんと徹底させる、これもやはりシビリアンコントロールで大事なことなんだろうと思っております。
私ども、二十四万人の組織でございますので、地方連絡網全国各地に何百か所とあるわけです、何十か所とあるわけですね。そうしますと、本当に第一線の広報官たち、みんなよく法の趣旨は分かっているわけですけれども、そこで先ほど総務大臣から三割の自治体しか御協力いただけないというお話がありました。そういう厳しい中で本当にみんないろんなことを考えながらやっておるわけでございます。彼らの努力というものがあって自衛隊は成り立っていると言っても過言ではないわけでありますけれども、そこでもう一つ大事なのは、法の趣旨というものをよく御理解いただき、そういうような御懸念をいただかないようにもう一度徹底をしてまいりたいと思っております。
危機管理もできないような防衛庁にこの国を任せられるかというような御指摘は、一部からいただいております。しかしながら、私は私どもの防衛庁がそんなにいい加減な組織だとは思っておりません。きちんと申し上げるべきは申し上げ、徹底すべきは徹底をいたしまして、国民の御負託にこたえる、一番大事なのは法の徹底、シビリアンコントロール、そういうことだと私は思っております。
御指摘を踏まえまして、今後更に努力をしてまいりたいと存じます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
個人情報保護、そして情報公開、さらには国家機密の保護ということも防衛庁には求められるわけでございます。この点に関しまして今、ただいま長官からもはっきりとしたお考えを述べていただいたわけですけれども、この委員会の審議におきまして、やはり御答弁がはっきりしないと様々なまたそこから議論を呼ぶわけですので、きちっとした質問に対して回答をいただくということをこれからも望みまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
四情報以外の情報の内訳を見てびっくりしました。戸籍の情報などが入っています。本籍は現在一切民間の履歴書には載せない、部落差別などを引き起こすので載せないというのに、わざわざ本籍を取っています。
保護者あるいは家族のことですが、家族欄も一般の履歴書のマニュアルからは削除をされています。それは、本人の能力によって採用するのであって親の職業は関係ない、親の職業を書かせるということは様々な差別につながるので履歴書からは削除されています。
先ほど、いい加減なことをやってきたとは思えないという答弁がありましたが、ひどいですよ。もうどこの履歴書にも載っていないようなことを勝手に取っているわけじゃないですか。こんな情報をなぜ取っているのか。
続柄欄、これは戸籍の続柄ですか、住民票の続柄ですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、続柄の欄には子というふうに書いてありますけれども、それがどちらのものであるかということは必ずしも明確ではありません。
○福島瑞穂君 それでしたら、住民票ですね。その戸籍の情報、筆頭者というのはこれは戸籍しかありませんし、本籍があります。家族の欄を、家族を書かせる。保護者はこれは戸籍でも住民票でも取れません。そうしますと、戸籍の情報、本籍地を書かせる、家族を書かせる、それ以外の情報を取っているわけですね。どこの履歴書にももう存在しないようなことを取っている。
先ほど本当に問題だと思いました。親の職業を自助努力で調べると、これは様々な差別を引き起こしたことから批判をされている身元調査そのものじゃないですか。本籍地だって問題だ、部落差別につながると、家族だっておかしい、職業だっておかしいと何十年と言われてきたことを防衛庁が全く分かっていなくて今回このようなものを出してきた。どうですか、これは問題ないんですか。
○国務大臣(石破茂君) それは、私どもの募集において必要な範囲において調べるということでございます。ですから、先ほど答弁申し上げましたように、では親御さんがどこにお勤めで、どの時間に行けばお話ができるのかということが必要な場合があるとすれば、その範囲において調べるということでありまして、すべてそういうものを調べてというようなつもりは全くございません。
それは調査をいたしますときに、当然これは本当に必要なものなのかどうなのかということがきちんと確認をされなければいけないことで、必要な範囲においてということにおいて何ら変わりはございません。
○福島瑞穂君 これを一般の民間企業や他のところが言ったら、本当に大問題ですよ。つまり、本人の能力においてのみその人を採用するということが崩れるじゃないですか。親を捜してということ自身も問題ですし、職業欄を書かせることも問題ですよ。家族欄を書かせることだって差別につながるという議論があり、本籍地だって今ないですよ。どうしてこんなことをやるのか、そのことについての一切の反省がない。今日ここの答弁で言っていることが一般的に通用すると、これは大問題です。
それと、四情報。ですから、親の職業を調べるとか、それは身元調査ではないんですか。本籍地を書かせるのは何の意味があるんですか。
○副長官(赤城徳彦君) この四情報以外にいろいろ情報をいただいていたわけですけれども、これは履歴書に何を書くかというものとはちょっと性格が違っていまして、地方公共団体が法定受託事務としてその募集事務の一部を扱うと、それに必要なものについて適齢者情報としてあの名簿を、適齢者名簿を作っていたわけでございますから、それは募集の事務に必要なものだということで、個々については先ほど御答弁いたしましたように、例えば親の職業についても、親の方に連絡をする便宜という募集の事務に必要があってそういうことを行っていたと。
それから、本籍については、日本国籍かどうかを確認するとか、そういう募集の事務のための必要であって、履歴書として応募するときにどう書くかというものとはまた別でございます。
○福島瑞穂君 珍妙な回答ですよ。しかも、人権感覚やっぱりないと思います。住所が分かっていればそこに親が通常はいるわけですね。親の会社に電話をするわけでもない。
それから、おかしいですよ、なぜ履歴書に本籍地を書かせないか、なぜ履歴書に家族欄を書かせないか、親の職業を書かせないか、それは差別を生むから、問題があるから書かせないのに、募集の際に必要だから取ればいいとすると本当に問題ですよ。それは差別を生むからやめろと言われてきたことがさっぱり分かっていないですよ。いまだに、いい加減なことをやってきたとは思えない、違法ではなかったと言うんであれば、それは本当に問題だと思います。
それから、四情報でも、取るのは、内部で動かすのは問題であると考えます。閲覧、交付を請求すれば、閲覧、交付においては正当な目的があるかどうかを窓口が判断します。交付を、住民票の交付を受ける、四情報について受けるためには、そのためには料金を払わなくてはいけません。また、それは窓口でもチェックができるわけです。内部で四情報が行けば全然そのチェックができないじゃないですか。先ほど他の委員からも指摘がありました。
私は、四情報についても内部で流すのは何のチェックもできずにこれは問題であると、こういう個人情報について内部の提供ができることを認めることは極めて個人情報の観点から問題であると考えますが、いかがですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、まず住民基本台帳法上の根拠ではなくて、自衛隊法施行令に基づいて行っている事務ですから、そこで募集のために必要があればということで一定の情報についてはいただいていました。それを必要最小限に限ろうということで今回限ったわけですけれども、それが四情報です。
その基準としては、住民基本台帳法上、これ何人も閲覧できる四情報に限ろうということで限ったわけで、これは何人も閲覧できるものでございますから、しかも元々は自衛隊法、また施行令に基づいて、募集のために必要があれば資料の提供、報告を受けることができるというその規定の趣旨に基づいて行っていたもの、それを更に必要最小限の何人も閲覧できる四情報に限ると、こういう趣旨でございますから、それがいかぬというのはちょっとどうかなと、正に適法に適正にやっているというふうに感じております。
○福島瑞穂君 閲覧や交付については個別的にきちっとやらなくちゃいけない。それが内部で流通をしてしまって他のチェックができないことが問題です。
それから、ちょっと話が戻って済みませんが、どうして住民票の閲覧、交付において四情報に限られたのか。それは、他の情報が外部にというか、出ることによって、ほかの人が知る、本人以外の人間が知ることによって差別を生んだりプライバシー侵害ができるからです。ところが、今日出てきたのは、続柄はあるわ本籍はあるわ保護者はあるわ、筆頭者ですよ、これは戸籍筆頭者だから。戸籍って普通の人は見れないんですよ、戸籍は本籍地も戸籍筆頭者も見れないですよ、身分事項欄も見れないですよ。
ですから、住民票上四つの条項に無理やり、無理やりというか、四条項、プライバシー侵害の観点からこれしか閲覧できない、交付ができないとなっているのに、自衛隊は今まで戸籍情報も含めて取っていたんですよ。しかも、保護者欄が入っていますから、戸籍、住民票に限っていないんですよ。これは問題ないんですか、今問題ないんですか。
○副長官(赤城徳彦君) これはまず法体系が違うという、根拠法が違うということをまず申し上げました。自衛隊法施行令に基づいて情報をいただいている、その元々は、自衛官の募集は防衛庁の地方連絡部と法定受託事務として地方公共団体が行います。つまり、地方公共団体が法定受託事務として自ら募集事務を行うという自らの事務でございます。その募集のために必要があれば適齢者情報という形で様々な情報をその中で集積をしていく、これはどういう、会社であれ何であれ、募集をするために必要があればどこにその働き掛けをすればいいか、どこへ連絡をすればいいか、ダイレクトメールをどういうふうに発送すればいいか、そのための情報というのはそれは独自に努力をして蓄積をしていくものだと思います。
しかし今回、限るというのは、地方公共団体から提供していただく情報としては四情報に限定しよう、これは必要最小限だ、その基準は何人も閲覧できるものだと、そうことで四情報に今後限定をしていくということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○福島瑞穂君 私は、今までやってきたことに対する反省も全くなく、必要な情報は取れるんだ、そして四情報についても内部であればチェックなく取れるんだと、こういう答弁だったら、本当にこの個人情報保護法案できたら、行政内部で情報がどんな形でたらい回しにされるか、本当に危ないですよ。
普通の企業が本籍地を知ったら、これは大問題です。普通の企業が親の身元調査、職業を調べて、それをやったら大問題です。先ほどおっしゃったじゃないですか、親の職業を調べるとか。それは、もしそれが普通の企業が、例えば公務員でもそうです、身元調査をしたということが明らかになったら、例えば本籍地の特別なリストが出回ったこととかあります。それは本当に大問題、大人権問題になったわけです。そういう例えば身元調査をすること、本籍地を入手すること、例えばそれが部落差別になったり、外国人差別になったり、あるいは様々な、婚外子差別になったり、親の職業による差別になったり、(発言する者あり)いや、それはそうですよ。これは、普通の企業がやったら大問題のことを、一般的な条項があるということを利用して、理由として防衛庁が取ってきたと、そのことに対する反省が全くないじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) 必要なことを必要な範囲において調べておるということでございます。それは、そういうことが分からなければ私どもは国を守る、精強な自衛官というものを募集することができないからやっておるわけです。自衛官は必要ないとか、そんなことはそもそも要らないとか、そういうお考えにお立ちであればそれは議論はまた別でございますけれども、私どもは必要なものを必要な範囲において、日本国の平和と独立を守る自衛隊、それを構成する自衛官を募集するためにやっておる、何ら違法なことはいたしておりません。
○福島瑞穂君 また答弁がずれると思います。
その人がどういう人なのか、どうして本籍、じゃ、本籍地と何か関係があるんですか。本籍地を知ることが、その人が国を守るかどうかについて必要があるんですか。それはおかしいじゃないですか。
つまり、本人の能力や本人の適性や、というか、差別ということが分かっていないですよ。本人の能力以外のことによって身元調査をされたり差別をされるのがおかしいのに、様々な情報を取って、しかもこれは行政に頼んで、内輪で取って、全部、それが全く問題ないというのは全くおかしいですよ。
じゃ、次に行きます。結構です。
八条の、今回の議論が非常に問題だというふうに思うのは、今回、個人情報保護法案八条二項の三には外部提供の規定があります。そうしますと、この法律がもし通った暁には、この「前項の規定は、保有個人情報の利用又は提供を制限する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。」と。これまでできなかったはずの適齢者名簿のような外部提供が逆にできるようになってしまうのではないか。つまり、この条項の解釈が、特に第八条二項二号もそうですけれども、「内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。」ということで、外部提供ができるわけです。そうしますと、この法律が通った暁には、もっともっと内部における外部提供が行われるのではないか。大変危惧をされるのですが、この点についてはいかがですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
本行政機関法案におきましては、個人の権利利益の保護の観点から、目的外の提供を厳しく制限していることは既にるるお答えを申し上げているところでございます。
すなわち、目的外提供を原則禁止といたしまして、これが例外的に許容されますのは、法令の定める事務の遂行に必要な限度である場合であり、かつ個人の権利利益を不当に損なうおそれが認められない場合、その上で、その相当な理由ということで、だれもが納得できる客観的な理由が必要であるということを御説明申し上げているわけでございます。
この法案は、これも既に申し上げているところでございますが、これまでは、この個人情報の言わば保護の法制としては、電算処理された個人情報を対象とした現行法があるわけでございますが、これをすべての行政機関が保有する個人情報に拡大して、これまで以上にそういう意味で目的外の情報、個人情報の提供を制限しようというものであるということは是非御理解いただきたいと存じます。
○福島瑞穂君 しかし、今日の答弁でも、四情報に限ることが望ましいが、かつてにおいて別に違法でもなく何ら問題がなかったという答弁ですね。そうしますと、この二号の「相当な理由のあるとき。」、そして三項の「他の法令の規定の適用を妨げるものではない。」、この解釈によりますと、別に、私は四情報であっても内部提供は問題であると、何らチェックが働かない、閲覧、交付であれば窓口でのチェックが働くけれども、何の根拠もなくやっていると思いますが、今日の答弁だと、四情報に限ることは望ましいが、別に今まで問題はなかったということであれば、この解釈によっては、四情報以外でもやってもこの法律に反するとは言えないんですか、どうですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
先ほども御答弁申し上げておりますように、目的外提供については原則禁止ということで、その例外的に許容される場合は、三点申し上げたわけでありますが、法令の定める事務の遂行に必要な限度であり、かつ個人の権利利益を不当に損なうおそれが認められない場合で、その上で相当な理由がある場合ということで申し上げているわけでありますが、今御指摘のこの防衛庁の自衛隊の、自衛隊員の適齢者情報につきましては、正に法令に基づくということで、自衛隊法に基づいて行われているものでございますし、そして、これまでは募集事務に当たって必要な事務ということでいろいろな御指摘のような情報も取られておったわけでありますが、それを四情報に限定をしていこうということで、更に厳格に運用されるということで聞いておるわけでございます。
この四情報以外のものにつきまして、必要か必要でないかの判断というのは第一次的には行政機関の長が判断することになると思います。私どもから今この段階で、この募集事務に必要でないとはなかなか言えないんではないかと考えております。
○福島瑞穂君 それでは、どうですか、もしこの個人情報保護法案が成立していたとして、この四情報以外について外部提供したことに、内部提供といいますか、したことについて、これはこの個人情報保護法八条に反するのか反しないのか、大臣、いかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) あれ、地方団体は、今回の行政機関個人情報保護法の適用ありませんから。
○福島瑞穂君 ただ、内部で出すとして、例えば、これは条例が必要ではないか、あるいは条例がなくて提供できるかという論点も出てくると思います。
そうしますと、大臣、もう一回確認をしますが、今日の答弁だと、四情報に限るといっても、今までの在り方が違法であった、問題であったという答弁はついぞ出てきませんでした。そうしますと、個人情報保護法案ができて、今のように個人、四情報以外についてもし提供があったとして、この法律上、何ら問題がないということですか。
○国務大臣(片山虎之助君) この行政機関個人情報保護法は、あなたが言われることには関係ないんですよ。問題は、住民基本台帳法と自衛隊法及びその施行令の関係なんですよ。四情報については何ら問題がないと思いますし、募集に必要な限度において、それ以外についても私は違法の問題は直ちに生じないと思います。
○福島瑞穂君 いや、違いますよ。
この八条は、「行政機関が法令の定め」、ちょっと条文を読むのはあれですけれども、例えば「保有個人情報の利用又は提供を制限する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。」と、八条は利用及び提供の制限を言っております。ですから、今日だと何も問題がないことになってしまう。八条は結局ざるになってしまうのではないかというふうに非常に思います。つまり、今の今日の話で、情報提供、問題なかったということであれば、内部で情報をほかのようなやり方で提供したとしても問題がなくなるわけで、そのような感覚でこの法律が運用されるのであれば本当に問題であるというふうに思います。
時間ですのでこれで終わりますが、本当に今までの個人情報の取扱いについて問題がないと言い、そして今後も内部で提供するというのであれば、本当にこの個人情報そのものの行政情報のたらい回しが内部で行われるというふうに強く危惧を申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
これより、本会議の間、休憩いたします。
正午休憩
─────・─────
午後二時四十一分開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから個人情報の保護に関する特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、質疑を行います。
─────────────
○委員長(尾辻秀久君) この際、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) 午前中の答弁について、答弁の正確性を欠いた点がありましたので、改めて答弁いたします。
「住民基本台帳法逐条解説」による住民基本台帳法第三十七条の解釈に関してでありますが、この「住民基本台帳法逐条解説」は、自治省行政局振興課編著でありますけれども、担当者の私見によるものも含まれておるものであり、必ずしも政府の公定解釈を示しているものではございません。
「住民基本台帳法逐条解説」においては、第三十七条第一項の資料の提供には、公証力のある個人が特定できる資料を想定していない旨を記述しておりますが、これは、住民基本台帳法においては、住民基本台帳の閲覧及び住民票の写しの交付の手続が規定されていることを踏まえ、このような解釈をしているものであります。
しかし、住民基本台帳に記載された情報については、住民基本台帳法上他の法律の規定に基づく情報提供がなされることを否定しておらず、例えば刑事訴訟法第百九十七条第二項に基づく照会に応じる場合など、情報提供がなされることもあり得るところであります。
自衛官の募集に係る適齢者情報の提供については、自衛隊法第九十七条第一項及び同法施行令第百二十条の規定に基づき市町村長に対して依頼しているものであり、住民基本台帳法の関係で問題となることはないものと考えております。
以上であります。
─────────────
○委員長(尾辻秀久君) 質疑のある方は順次御発言願います。
○内藤正光君 民主党の新緑風会の内藤でございますが、先週に引き続きまして、今日も七十分ほどお時間をいただきまして、質問をさせていただきます。
まず、片山大臣、ちょっと事前レクなかったんで恐縮なんですが、裁判管轄の特例についてお考えをお尋ねしたいと思うんですが、私たちは、この委員会、衆議院の委員会においてもそうなんですが、やはりこの個人情報保護法においても裁判管轄の特例を行うべきだということを主張をしてまいりました。
そういった主張に対しまして片山大臣は、こういった問題は司法制度改革全体の中で議論していくべきだということを何度もおっしゃったわけでございます。私もその辺の司法制度改革の推進本部のことをいろいろ調べておりまして、片山大臣も、また細田大臣も本部員として加わっているわけでございまして、確かにそのおっしゃった項目も行政事件訴訟の見直しというところに入っております。これらを期限を区切ってちゃんと結論を出すというふうに書いてありますね、平成十六年十一月三十日までに措置を講ずべきものと。この措置を講ずべきものの措置とは何かと聞いたら、これは法律、もし必要ならばそういった趣旨の法改正を行うんだというちょっとお返事もいただいてはいるわけなんです。
中でも、現時点における状況、その議論の状況なんですが、幾つかはその方向性がおおむね一致しているものがあるようですね。その一つが、行政訴訟へのアクセスを容易にするために行政訴訟の管轄裁判所を拡大する。これこそ正に裁判管轄の特例ですね。これは、大体この本部の中では議論の方向性は一致している。つまり、実現すべきだという方向で一致しているという話を伺いまして大変安心しているところでございますが。
そこで、総務大臣にお尋ねしたいのは、本部員として片山大臣のこの裁判管轄の特例について、これ、個人情報保護法というものにくっ付けてのお考えでなくても結構です、司法制度改革という流れの中で裁判管轄の特例についてどういうお考えをお持ちなのか。やるべきなのか、いやいや、ちょっと慎重にすべきだと、そういう個人的な政治家としてのお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 私も細田大臣も司法制度改革本部のメンバーでございますが、余り、大変熱心なメンバーというところまでは実は行っておりませんで、いろんな会議に出て議論を聞かせていただいておりますけれども、自分自身のしっかりした考えを必ずしも持つに至っておりませんが、私は行政事件訴訟というのは、これは必要なことだと思いますね、よその国では行政裁判所もあるところあるんですから。だから、司法裁判所が行政事件裁判所的な性格を持ってやっていると。そういう意味では、基本的にはやっぱりアクセスをできるだけ広くするという方が方向としては正しいと思います。
ただ、今の行政事件訴訟が問題なのは、やっぱり被告庁が、被告の行政庁が大変いろんな負担を被るんですね。その場合に、例えば東京にありますよね、各役所は、それがブロックに出掛けていっていろいろやる、証拠の資料をどうするこうするということになると、大変これは手間が掛かる、時間が掛かるということもありまして、そこの見合いですね。国民の皆さんには私はアクセスを広げる方がいいと思いますけれども、受けて立つ行政庁の方の、これは行政が遅延するということは国民にマイナスを与えるわけですから、だからそこのところの見合いなんですよね。それで、情報公開法のときは大議論やって、御承知のように衆議院で修正でああいうことになりまして、私は正直言って一つの方向だと思いますけれども、ただ、もう少し司法制度改革の中で議論をして、今私が言ったようなことのうまい接点で方向付けをする必要があるんではなかろうかと、こういうふうに思っております。
これは大変専門家でない者の意見でございますけれども、かなり認識としては近いところあると思いますけれども、私は、やっぱり行政庁側のことも少し考えてやる必要があるんじゃなかろうかという点が幾らか違うのかなと。昔ちょっとおりましたものですから、ひとつそこを御理解いただきたいと思います。
○内藤正光君 是非、まずはちょっと熱心な本部員として頑張っていただかなければいけないとは思いますが。
やはり、絶えず行政というのは国民からの監視があるという、この緊張感の中でよりよいものになっていくんですよね。ですから、もっと住民のアクセスを容易にするために、裁判管轄の特例というのは本来、今回この保護法の中でもやっていくべきものだと私は思うんです。
また、情報公開法ではいろいろな議論の中で特例的措置として入れ込んだということなんですが、しかし、この個人情報保護法、行政機関個人情報保護法の場合は、情報公開請求とはちょっと異なって、個人的な切実な事情から個人の立場で訴えるというケースが多いわけですよ。どちらかというと、情報公開請求というのは運動論的な動きの中でやっていく。運動論的なものと個人の立場で訴える、どちらが弱いかというと、やはり個人の立場で訴える方がなかなか難しい。ハードルが大きいわけですよ。だからこそ、情報公開法で認められたのだったらば、当然のこととして、私はこの個人情報保護法の中でも認められるべきものだと思うんです。
ちょっと、再度お考えをお伺いしたいと思いますが。
○国務大臣(片山虎之助君) 内藤委員の言われるのは一つの考え方だと、私もそういうふうに思います。
そこで、基本的な方は司法制度改革の中で結論、方向付けをしてもらうことにして、当面は、できるだけ権限委任しまして、地方の機関の長に、そういうことで運用上アクセスができやすいようにはいたしたいと、こう思いまして、情報公開法と、議論はありますよ、考え方は。しかし、なるほど個人情報の方が極めてそういう意味では特殊個人的ですよね。情報公開の方がもう少し広いというのか評論家的というのか、そういう観点がありますので、そういうものを踏まえながら、司法制度改革の中でしっかり議論していくべき事項ではないかと、こう思いますが、お気持ちは、お考えはよく分かります。
○内藤正光君 本当に、ちょっと事前通告していなくて、答えられればということでお尋ねしたいんですが、結論を出すまでの間、委任ができるんだ、委任でやっていくんだということをおっしゃるわけなんですが、もう既に、具体的にどういう場合が委任できるとか、そういった分かりやすい形になって表に出されているんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) それは、各省はそれぞれ御検討かもしれませんが、まだ、私は承知しておりません。
ただ、何度も答弁させていただきましたように、多いのは本当に教育と医療なんですよ。九割ぐらい、年次によってはあれがございますので、まあ七、八割というところでしょうか。そういう意味では、やっぱり関係の省庁にはそういう意味での十分な御検討を賜ろうと、こういうふうに思っております、法案が通りましたら。もう既に検討はしているかもしれませんけれども、まだ私だけ承知していないのかもしれませんが、そういうふうに考えております。
○内藤正光君 この行政機関法の所管大臣として、少なくとも、この九割を占めるという教育と医療の分野において具体的にどういったケースが委任できるのか、それを早急に分かりやすい形で出すようにお約束していただきたいんですが。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
今、大臣からもるる御答弁申し上げましたように、情報公開法のケースとちょっと違いまして、個人情報の場合は、個人情報を実際保有しているのが現地機関に相なるわけでございまして、したがいまして、できるだけ地域の方のそういう抗告訴訟上の便宜に資するというようなことで委任を推進していきたいということで申し上げているところでございますが、現状はそういうことでございまして、大臣からも御答弁申し上げましたように、この法律の施行後、各機関において現地機関への開示に絡む権限を委任していく、そういう方向で努力していきたいと思っております。
○内藤正光君 済みません、施行後というのは、正確に言うとどういうことですか。全面施行なのか施行後なのか、その辺も、言葉の定義もはっきりしてください。
○政府参考人(松田隆利君) 恐縮でございます。
公布後でございます。この法律が成立いたしましたならば、そういう方向で努力してまいりたいと考えております。
○内藤正光君 事務方の方では努力してまいりたいとおっしゃっていただいたわけなんですが、やはりここは、所管大臣としてやはりその辺の決意をまずお示しいただく必要があろうかと思います。お願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) 公布から施行まで少し時間がありますから、その間に方針を出してもらいます、各省庁に。
○内藤正光君 また、ちゃんと期限を区切って方針を出していただくという大臣のお約束をいただきましたので、関連の省庁にはそういった方向で速やかに準備を進めていただくようお願いしたいと思います。
さて、では、通告をしてありました一般法について何点か質問させていただきたいと思います。
まず、中小企業への配慮という点でございますが、情報化時代の今日、どの事業者も生産性向上だとかマーケット拡大のためにインターネットを利用するというのは不可欠なんだろうと思います。
衆議院の審議でもそうだったんですが、五千以下の個人情報しか持たないところに対しては、そこを元々対応しないというか対象としないということでかなりの配慮がなされているようにはお見受けはいたしますが、では、個人情報取扱事業者になると、結構多いですよ、そういうのは。とはなるんだけれども、自ら法務部門のようなところを持たない大企業ではないようなところ、いわゆる中小、ベンチャー、そういったところへの配慮はどうなのかということなんですが、この個人情報保護法の第四章第一節の事業者の義務というところで、事業者が判断求められているところ、結構多いわけですよね、いろいろな条文の中で。
例えば十八条の四項、例示をさしていただきますと、例えばこういうふうに書いてあるんですね。十八条の第四項の一号で、これは利用目的通知の適用除外のところだとは思いますが、「利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合」、こういった場合は適用除外になるわけですね。
そして、その次の第二号では「利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合」というように、随所にこういうふうに各条文に「おそれがある場合」だとか何々すべきだとかいうような決まりというか、ところがあるんですが、ただ、事業者にしてみると、「害するおそれ」とはどこまでを言うのかとか、あるいはまた、どこまでの義務を果たさなきゃならないのかとか等々、いろいろ判断といいますか、事業者が本当に真剣に考えて判断しなきゃいけないところが随所に散見されるわけなんですが、実際に私の周りでITベンチャーの経営者がいるわけなんですが、この点でもやはりかなりの不安を感じているわけなんです。
以上の観点から、私は、これを読めといったってなかなか難しいと思います、これだと単に平たく条文しか書いてありませんから。ですから、例えば分かりやすくかみ砕いてガイドラインを策定するなど、中小企業への配慮、負担とならないような私は配慮が行われるべきだと考えますが、その辺どのように考えていらっしゃるのか。もし、既に着手をされているのであれば、その辺の現状についてもお話しいただければと思います。
○国務大臣(細田博之君) おっしゃいますように、ぎりぎり五千ということで線を引くと言っておりますが、中小企業の中にはそれを超える、若干超える程度の規模で、法律上過大な負担があるとむしろびっくりされるというか、それほどの実態でないにもかかわらずいろいろなことをしなければならないというようなことになることは、事業の円滑な推進にとりまして障害がある可能性はなきにしもあらずでございますが、まあ元々、まずこの法の目的から申しますと、特に通常の活動で問題なき限りやかましいことは言わないといいますか、そういうことが前提ではございますから、こういう法律があることで何か身構えたり恐れたりする必要はまずないということだけは申し上げておきたいと思いますし、また、国が主務大臣として乗り出してくるというのはむしろ社会的に見て大きな問題が生じたときであって、個人からの苦情等があった場合には照会があって、こういうことがあったから御相談してくださいよというのが基本だと思うんですね。
それから、それじゃ一体どういうところからそれぞれの事業者についてはガイドライン等で言わばこの法律の円滑な実施のために指導といいますか助言をするかということでございますが、その事業者がいわゆる、例えば情報処理業界とかデータベースの関係の業界ですとか、何らかの団体に入っているようなケースでは、そういう団体はくまなく各省から御連絡をして、こういうケースはこういうふうに考えておりますよというガイドラインは、これ全部作成準備段階に入っております。
まあ、これは法律が厳密に言うと通らないと着手できないことになっておりますが、やはり事態は緊急を要しておるということで、関係各省、本当に努力をして、いろんなひな形を基にしながら、しかし業界、産業界の実情を考えるとこういうこともあるなということでガイドラインの案文を作っておりますので、今後、それに基づく広報啓発など、必要な団体には当然やりたいと思っておりますし、それから、個別に来る人もあると思うんですね、自分は団体に属していないけれどもどうしたらいいだろうかと。これはまた、しかるべきサービスをして余り迷惑が掛からないように、これは私が今初めて申すことでございますけれども、そういうことも、広報的な活動もしっかりやっていきたいと思います。
この法律ができたから自分で読めというわけにいかないというのは正に内藤議員がおっしゃったとおりでございますから、しかもそれが、しっかりした運用が個人情報の保護という意味では一番いいわけでございますから、事前に、例えばソフトウエアをちゃんと整備するとか、社内の管理をきちんとやってもらうということがまず最初のこの問題のイロハでございますので、そういったことをやっていただけるようなことを今後やりたいと思いますし、今のところ中小企業団体がどうするかというと、業種別団体でございませんのでどうしようかということでございますけれども、事実上、例えば商工会連合会とか中小企業の商工会とか、そういったルートにも流れて、皆さんにお役に立つようなこともしていきたいと考えております。
○内藤正光君 その関連ではありますが、第三十七条以降、言ってしまえば第二節なんですが、「民間団体による個人情報の保護の推進」ということで認定個人情報保護団体のことが述べられ、また規定されていると思います。
この団体、ぱっと見れば分かるように、民間発意の団体であって、その役割は何かといったら、第四十二条にも書いてありますように、苦情処理が主な仕事だろうなというのは分かるんですが、ただ、この団体について衆参を通じて余り取り上げられてはいないようなので、私自身もまだイメージがはっきり描き切れていないところがあります。
そこで、この際、委員会の審議を通じてこの団体のイメージをよりはっきりさせるためにお伺いしたいんですが、民間発意の団体とはいいながらも、条文にこういうふうに書き込むからにはあるイメージを持っているだろうとは思います。どんな設立形態を予想してこういう条文を書いているのか、あるいはまた、苦情処理のほかどんな活動を期待しようとしているのか、この辺のところを分かりやすく、イメージが膨らむように教えていただけますでしょうか。
○大臣政務官(大村秀章君) お答えを申し上げます。
今、委員言われましたように、この第二節、三十七条以降に十数条にわたりましてこの認定個人情報保護団体という制度の条文がある、もうおっしゃるとおりでございまして、これは、民間団体による自主的な取組を尊重する。この個人情報保護法案そのものが民間同士の、民民の個人情報の保護に関するルールとか、そういう在り方を規定をしているものでございまして、そういう意味では、その趣旨を、よりその趣旨に沿って円滑にルールを更にきめ細かく作っていただくとか、また民間同士で解決に向けてやっていただくという趣旨からこういう団体の制度を設けているわけでございます。
おっしゃいましたように、事業は、ここに書いてありますように、条文で言いますと四十二条、「苦情の処理」と、四十三条の「個人情報保護指針」、いわゆる民間による自主的なガイドラインの作成ということでございまして、これが、この二つが中心になるわけでございますけれども、こうしたものを主な目的にする団体、会員を持った団体を主務大臣が認定をする、そういたしますと、その認定個人情報保護団体という名前を使えるわけでございまして、その団体が自分のメンバー、会員を公表して、うちの会員というのはこういうふうにしっかりと個人情報の保護についてルールにのっとってきちっとやっていますよということを周知をするという制度でございます。
それについて、一般の消費者とか実際のそういった一般の国民の皆さんが、いやどうも私の情報、ちょっと問い合わせしたいとか、うちの、私が取引しているこの相手はどうもこの個人情報の保護についてちょっとまだ足らないところがあるんじゃないかというようなことがあれば、それをこの団体の方にお申出をいただければ、いろいろと情報を提供したりまた仲裁に入ったりということもしていただけるものじゃないかというふうに期待をいたしております。
具体的には、もう既に、具体的に一番典型的なのはやはり業界団体ということに、事業者の団体ということになると思いますが、既に例えば百貨店協会でありますとかチェーンストア協会とか、またインターネットプロバイダー協会などなど、もう既に自主的なそういう個人情報の保護についてのルールといいますかガイドラインといったものを作っている、そういったものもたくさんあるわけでございまして、そういった団体を、これを想定をいたしているわけでございます。
そういう意味で、これも先ほど大臣が言われましたように、国、各府省も、役所もこのガイドラインを、行政としてのガイドラインを今作っていただくように鋭意作業を進めていただいているわけでありますけれども、この法律が成立をした暁には、是非こういった認定個人情報保護団体、この制度も是非活用していただいて、そして多くの団体が自主的にそういうルールを作って活動していただくようにお願いをしたいというふうに思っております。
○内藤正光君 この団体がしっかりとした指針を示して傘下の会社にこの指針に従うよう協力を求めると、あるいはまた何かの苦情があった場合にはこの団体が窓口になるということは分かりました。これは大事なことだろうと思います。
と同時に、逆に、苦情といっても、いわゆる本当に善意に基づいた苦情というんでしょうか、そればかりであればいいんですが、中にはクレーマー等の悪意の行為も当然のことながら予想され得るわけでございますが、そういった悪意の行為に対して傘下の企業を守るということも必要だとは思います。大きな企業だったらば、それなりの法務部門だとか総務部門があるからそれはそれでいいんでしょうが、先ほどから申し上げておりますように、大体そういったところを持たない企業が多いんだろうと思います。例えばIT系のベンチャーであるならば、もうぎりぎりの人員でやっていると。そういった場合はそういったクレーマー等の悪意の行為から守らなきゃいけない。
そこで、この団体はそういったことに何らかの役割を果たすことができるのか、期待されているのか、あるいはまたそれは法的に可能なのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○大臣政務官(大村秀章君) お答え申し上げます。
正にこの点は内藤委員おっしゃるとおりかなというふうに我々思っておりまして、この法律は、先ほど私申し上げましたように、やはり民民同士のルール、そして取扱いを決めているものでございまして、苦情につきましてもやはりその個人と、個人本人とそして事業者との間で自主的に話合いをしていただいて解決をしていただくというのが基本でございますし、そういう意味で、法案、この法律の第三十一条に事業者の努力義務というものも規定をしているわけでありますけれども、今おっしゃいましたようにクレーマー的な、ある意味で悪意を持ったといいますか、なかなか扱いが難しい、そういう方は中にはおられることも想定されるわけでございまして、そうなりますと、なかなか当事者間で解決をしないという場合も予想されるわけでございます。
そういう場合に、この認定個人情報保護団体というのは正に、直接当事者同士というよりも、本人からその団体の方にも話をしていただいて、そして四十三条でガイドラインを作っておりますし、また四十二条でそういったことで苦情の受付そして相談とか助言、そういったものを間に入ってやるという制度でございます。そういう意味で、もちろん、どうしても最後までおれは納得しねえと、こういうことで訴えられる場合は、もちろんその後に行政主務大臣への申出といいますか苦情ということもあると思いますし、また最後は、最終的にはやはり裁判でということにもなろうかと思いますが、あくまでも民間同士の自主的な解決ということであれば、その各事業者が加入しているこうした事業者団体が一応想定されますこの認定個人情報保護団体、相当大きな役割を果たすものだというふうに我々は思っておりますし、是非そういうふうな団体としてこれを育てていきたいというふうに思っております。
○内藤正光君 だんだん分かってきました。基本的にはこういった認定団体をベースにして、まず問題が発生したら民民間の調整で問題解決を図ってくれというところがまず第一段階にあって、しかしそれを超えるような事案、社会的に大変大きな悪影響を及ぼすようなそんな大きな事案に対してはなかなかこの団体で解決はできないかもしれない、そこでそのときになって初めて主務大臣なるものが出てくるという仕組みになっているなというのはだんだん分かってきたんですが、だから余り心配するなとおっしゃるかもしれませんが、しかしやはりそこには一抹の不安があるわけです。
といいますのは、やはり主務大臣制というものの問題なんですが、私どもがこれまで何度も訴えてきましたのは、やはり主務大臣制では所管が複数の省庁にまたがるような事業者の場合あるいは案件の場合どうなるのか、いろいろ勧告権だとかそういったものをかざしながら複数の省庁がいろいろ介入してくるんじゃないか、これは何としても避けなきゃいけないと、そういうようなことは申し上げてきました。
そこで、具体的には三十六条の三項にしっかり書いてあるわけですよね。三十六条の三項、二十五ページではありますが、「各主務大臣は、この節の規定の施行に当たっては、相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない。」というふうに書いてありますが、さて、じゃこれを、この条文を具体的にどういうふうに理解したらよいのかということで確認をさしていただきたいと思いますが、主務大臣がやるべきことは助言だとかあるいはまた勧告だとか命令等々があろうかと思いますが、この条文を素直に読むならば、複数の省庁から、こういった勧告だとかあるいは助言が複数の省庁からなされるということはまずあり得ないというふうに理解してよいのかどうか、お尋ねします。
○国務大臣(細田博之君) この委員会でも、各党各議員の皆様方から、この点非常に強く御懸念の声があります。今非常に御理解いただいて、そもそも個人のベースでできるだけ自分の力で話し合い、また自分の個人情報を守るように交渉していただく、そしてさらにそこに事業者団体等が入っていただいて、あらかじめ指導あるいは基準等もお話しして自主的な調整を図っていただくと。しかる後に、社会的に非常に大きな問題とか、なかなか個人のみでは対応し難い大きな問題、これについては主務大臣がいよいよ乗り出していかなきゃならないんですが、これは初めて今具体的に申し上げることですが、やはりこの法律通りましたら内閣府に各省連絡会議を設立しようと思います。そして、関係全省に入ってもらいます。
こういう例は過去にもいろんな例でございます。全省に、関係省入ってもらって、それを基本方針で書いてもいいし、書くかどうかは今後の問題としても、きちっとそういう対処をするということにいたしまして、いやしくもこれは国で取り上げざるを得ないぞと、大変な社会問題でこういうマスコミにも取り上げられた、あるいは政党からも取り上げられている、社会問題化していると。それだけ大きな案件については、内閣府であるかあるいは関係省庁であるか、問題提起をしてもらって、自分の省としては報告徴収に踏み切りたい、皆さんどうでしょうかということを言って、それについて、ああ、この業は私の省も関心ありますと、だから私も連名で報告徴収等もしたいというようなことができたときには、その希望する省は、それで所管がどういう前例にするというような議論なく、共同いたしまして意思決定をして、その連絡会議で、それではここから、この企業から報告徴収をいたしましょう、それに続くいろんな手続もそうでございますが、それだけ逆に言うと大きな案件であると思っておりますので、こういうものにかかるのは。
それを単に一省の判断で、自分は自分の省の関係からいうとこれは必要だから報告を勝手に取るぞというような体制よりは、協議をして、かつ、何本もそういう対応が出ることも迷惑が掛かりますので、意思統一をしながら、それでは共同で出しましょうと、こういう仕組みをしっかり作ってまいりたいと思います。それで、そこで判断をしてその手続を進めるということで、この所管の問題とか時間の遅れとかそういうものは排除して、速やかな法目的が達成できるように工夫してまいりたいと思います。
○内藤正光君 分かりました。どうも。
続きまして、片山大臣にお尋ねしたいと思います。よろしいですか。お尋ねしたいと思います。
言うまでもなく、この夏から住基ネットの広域稼働、本格稼働が始まるわけでございますが、それとの絡みで地方自治情報センターというものについて改めていろいろ御議論させていただきたいと思います。
地方自治情報センターがなぜできたのか、経緯を簡単に申し上げさせていただくならば、本来、国だとか地方自治体がやるべき事務を、行政事務を、効率化という観点でやはりひとつまとめてやってもらった方がいいだろうということで、民間であるところの地方自治情報センターというものを指定してそこにやってもらうと。で、業務を委任したわけですね。
そこで、私の関心事は、万が一そのセンターの違法行為等で個人の権利侵害があった場合、どこが責任を取るのか、国、地方自治体の法的責任はどうなっているのか、そういったことについてちょっと関心ございますので、何点か詰めさせていただきたいと思いますが。
まず確認したいのは、地方自治情報センターが担うのはやはり行政事務そのものですよね。本来、国だとか地方自治体がやるべきことを効率化という観点でやってもらうということですから、正に行政事務そのもの。そしてまた、その重要性にかんがみて、万が一のことがあったら、そのセンターの職員に対しては公務員法を上回る罰則を用意してあるということですよね。
そういったことを前提にして、じゃ国の責任はどうなのかということなんですが、やはりそこは公権力の行使というところがどういったところで法律の中で規定されているかというのがポイントになろうかと思いますが、見ると余り多くないんですよね。一つは指定情報処理機関の指定ですよね、これが一つ。あと、同機関に対して、センターに対して安全管理上必要と認められたらば監督命令ということ、ここが大きな公権力の行使、国の同センターに対する公権力の行使になろうかと思いますが、しかしこの二つ、どう見ても、それ相応のことをやっていればその公権力の行使について国が何か大きな責任を問われるんだろうかといったときに、私はちょっと問いにくいんだろうと思います、正直申し上げまして。
そこで、私は大臣にお尋ねしたいのは、センターの違法行為により権利侵害が起きても国は法的な責任を負いにくいという構図になっていやしないかというふうに思うんですが、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えをいたします。
住基法上の規定では、市町村、都道府県及び指定情報処理機関がそれぞれその管理する部分について責任を負うことになっておりますが、一方で都道府県知事は指定情報処理機関に対して、先ほど先生御指摘ありましたように、「必要な措置を講ずべきことを指示することができる。」ということとされておりまして、また、本人確認情報処理の実施の状況に関し必要な報告を求め、又は指定情報処理機関の事務所に立入検査を行うことができるものとされておるところでございまして、こういった権限の範囲内において都道府県知事も責任を負うことになっておるものでございます。また、総務大臣も、総務大臣は指定情報処理機関に対して監督規定もございますので、その範囲において責任を負うということになるというふうに考えております。
○内藤正光君 確認させていただきたいのは、いろいろな監督義務だとか、いろいろあります。本来、これは行政事務なんですよ、紛れもない。紛れもない国だとか地方自治体がやるべきものを、効率化という観点で、ちょっと存在がはっきりしないこのセンター、正に民間ですよ、民間にやらせておいて、何か問題が起きて、権利侵害が起きても、これだと国家賠償法が適用されないんじゃないんですか。適用され得ますか、何か問題が起きた場合。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 国賠法のお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、総務大臣は法律の規定に基づきまして、例えば三十条の二十二で監督命令等をすることができる、それからまた報告を聴取し、立入検査をすることができるという規定がございまして、また指定の取消し等の規定もございます。
それで、こういう監督責任を懈怠してそういう事故が発生したということになれば、その監督責任の懈怠に対する責任が生ずるということになろうかというふうに考えております。
○内藤正光君 条文では、正におっしゃっていただいたように、監督上必要な命令をすることができる、できる規定ですよね。しなければならない、義務じゃないですよね。というように、かなりダイレクトに国だとか自治体が法的責任を負いにくいような構図になっているんですよ、これは。
〔委員長退席、理事若林正俊君着席〕
私の問題提起したいのは、繰り返しになりますが、本来、国だとか地方自治体がやるべき行政事務を、効率化という観点で、民間であるところの指定機関、すなわちセンターですよ、そこに委任させて、問題が起きても国が直接責任を負わないというのは私はいかがなものかと思うんですが、そこを言っているんです。これだと、することができるというふうになっていて、本当にこれなかなか国だとか自治体に法的責任を問うということは難しい仕掛けになっているんですよ。そこを私は問題提起しているんです。いかがですか。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
本来、この住民ネットのシステムにつきましては市町村と都道府県の事務でございまして、責任問題云々ということからすれば、市町村又は都道府県がその管理する範囲で責任を負うというのが第一義的な責任の帰属だというふうに考えられるんじゃないかというふうに考えております。
○内藤正光君 市町村あるいは都道府県の管理の範囲内で責任を負うと。
じゃ、例えば、いろいろな細かな事例が、細かには言えませんが、例えばこのセンターの違法行為によって権利侵害が起きた場合、これは市町村あるいは自治体に直接法的な責任を問うこと、どういう場合があり得ますか、逆に言うと。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
先ほどもお答えしましたとおり、指定情報処理機関が不注意な事務処理で御本人というか他人に損害を与えたという場合は、第一義的にはその指定情報処理機関の責任ということになろうかと思います。
先ほども申し上げましたように、三十条の二十九でございますが、「都道府県知事又は指定情報処理機関は、当該本人確認情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の当該本人確認情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」という規定がございまして、第一義的には都道府県又は指定情報処理機関が責任を負うと。
それで、その都道府県知事又は総務大臣の監督責任がございますので、そういうことが起こる可能性があるのに不注意を見逃していたというふうな、見逃して適切な措置を取らなかったということになれば、その範囲で都道府県知事又は総務大臣の責任が生ずるということになろうかというふうに考えております。
○内藤正光君 例えば住基法のたしか三十条の十の三項、ごらんいただけますか。三十条の十の三項ですね。よろしいですかね。これ行わない規定と、つまり都道府県が──そこの条文見付けられましたか。これ読んでいただければ分かるように、都道府県が本人確認事務をだれかに委任した場合は、もう委任してしまった限りは都道府県自体は行わないものとすると、行わないというふうになっていますよね。つまり、もう全部委任してしまったら、後、都道府県は一切その事務は行わない、委任しちゃっているわけですから。
そういった条文がある中で、本当にこれ責任って、問えます。もう都道府県は一切これで行わないというふうに言い切っちゃっているんですよ、この条文で、事務は、それに関する事務は。私は、この条文があるとなかなか自治体の法的責任というのは問うことは難しいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
先生今御指摘の三十条の十の第三項でございますが、これは指定情報処理機関に委任して指定情報処理機関が行っている事務については都道府県は行わないという規定でございまして、これは当然のことでございまして、それは二重になるからでございまして、指定情報処理機関で行っているものについては都道府県が行わない、当然のことを規定したものでございます。それのみの規定でございまして、また、それのみの規定でございます。
それで、都道府県知事が責任を負わないんじゃないかということでございますが、先ほども申しましたように、市町村、それから都道府県、それから指定情報処理機関はそれぞれの管理する範囲において直接それを責任を負うということでございます。
例えば、市町村はCSですね、コミュニケーションサーバーの管理責任を負います。都道府県は、都道府県サーバー、都道府県の住民の本人確認情報を保存しておりますが、と、都道府県ネットワークの管理責任を負います。それから指定情報処理機関は、指定情報処理機関サーバー、全住民の本人確認情報を保存しておりますが、これと全国ネットワークの管理責任を負うということでございます。これは第一義的な責任ということでございます。
〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
そのほかに、当然監督責任という、委任をしておりますので、その監督責任ということも当然考えられますので、その範囲でその監督責任が生ずる場合もあるということを先ほどからお答えしているところでございます。
○内藤正光君 ちょっと視点を変えて、これもしかしたらそもそも論になってしまうのかもしれませんが、センターが保有する情報というのは基本的には原則公開になっていますよね。となると、たとえそれらを外部に漏えいしても何の罪が問えるのかっていって、問えないんですよね、きっと。原則公開になっているものですから、ちゃんとした手続を経て入手すれば入手できる情報を外部に漏えいしたといっても、これは問えないと思うんですよね。
で、ここでちょっとお尋ねしたいんですが、そういった情報を扱うセンターに対して、なぜ公務員法を上回るような厳しい罰則規定を科しているんですか。ちょっとお尋ねします。その辺が分からないんです。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
先生御指摘のように、四情報につきましては、これはネットの話でございませんで、基本台帳法上、何人も閲覧できるということになっておりますが、ネット、住基ネットにつきましては、その四情報のほかにプラス二情報、住民基本台帳、住民票コードですね。失礼しました、コードとそれらの変更情報を計六情報扱っておりまして、特にこの住基コードにつきましては慎重な取扱いを要すると。例えば法律上も、何人もその住基コードの告知を求めてはいかぬということを書いてございますので、住基コードにつきましては慎重な取扱いを要すということで、市町村、取り扱う職員のみならず、指定情報処理機関につきましても国家公務員、地方公務員の守秘義務規定以上の守秘義務規定を課しているところでございます。
○内藤正光君 時間の関係もありますので、ちょっとここで確認したいのは、やっぱり普通に読むと、何か国だとか地方自治体が直接に法的責任を負うことを何か巧みに回避しているような構図になっているような気がしてならないんですが、そうではないということでいいんですね。
○政府参考人(畠中誠二郎君) そうではございません。それぞれが責任を負うという法律上の規定になってございます。
○内藤正光君 なぜちょっとこういう質問をしてきたかというと、実は行政機関法の方の問題に戻るわけなんですが、保有の定義をお尋ねしたいと思います。
第二条第三項で保有の定義がなされていますよね。簡単に読ませていただきますと、「この法律において「保有個人情報」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」と。
そこで、この保有の概念なんですが、仮に同法が定義する行政機関以外が持つ情報を、他の機関が持つ情報をネットワーク上で見た場合、これは保有に当たるんですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
保有の概念ですが、当然、個人情報を管理する責任といいますか、権限を持って、例えば廃棄することができるとかいうようなことで保有しているということになるわけでございまして、一時的にどこかで閲覧をする、アクセスをするだけの状態では保有とは考えておりません。
○内藤正光君 では、ダウンロードをするような場合は、これは保有に当たるんですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
ダウンロードしまして、その機関として、行政機関としてその情報を保有する、処理する、管理する状態になれば保有ということになろうかと存じます。
○内藤正光君 分かりました。
ネット上で一時的に閲覧する場合は保有には当たらない、しかしそれをダウンロードして行政が物理的に所有する場合は、これは正しく保有に当たるということですね。
そこを確認させていただいたならば本当にあとの質問はある意味いいわけなんですが、やはり先ほどの地方自治情報センターとの関係、ちょっと私はここで問いたいわけなんですね。
例えば、地方自治情報センターはどうもやはり今の六情報だけで私はとどまるものではないのかなと。なぜかといえば、国家公務員、公務員法を上回る罰則規定を設けて、なおかつセンター内に第三者機関の設置までこの住基法でもって定めているわけですよね。ちなみに、たしか第何条でしたか、あるんです、第三者機関。これ、普通、民間のセンターにそんなものを設置は義務付けないですよね。大体、通常は行政機関の中に設置を義務付けるものなんですが、そこまでやるのはなぜなのかといったら、これは将来的にはやはりこの四プラス二情報だけのみならず、もしかしたらいろいろ膨らんでくるんだろうと。
そういったときに、例えば行政機関が物理的には直接保有しないまでも、そういったセンターの情報を閲覧し、またダウンロードすることでこの個人情報、行政機関法を、適用には当たらなくなってしまいますよね。私はそういうことはあり得ないんだということをちょっと確認をさせていただきたいんですが、まず、そもそも六情報以上将来的にも増やさないんだということを言い切ってしまえばそこで終わってしまうんですが、その辺の見解を。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
現行法上、六情報以外に持ち得るということはあり得ません。
○内藤正光君 誤解をしていただきたくないのは、こういった委員会の場で言うのは問題かなとは思うんですが、私は、個人的にはやはりいつまでも六情報でいいのかなという気持ちはします。やはりこれからITを活用して行政サービスの向上を図っていくためには、本当それだけじゃ何の意味もないと思います、何の意味も。だからこそ私は、公務員法を上回るような罰則規定を設けたりとか、民間でありながらそこのセンターの中に第三者機関の設置を義務付けたんだろうと私は見ています。
で、私は、ここで大事なのは、これは本当にさっきの一番最初の話に戻るわけなんですが、やはり個人情報の物理的な所有形態、保有形態はともかく、あくまで最終責任は、そういったセンターだとか訳の分からないところに帰するんじゃなくて、国だとか地方自治体に直接法的な責任が帰するような仕組みにしなきゃいけないということが私は大事だと思います。で、そのことを、別に答弁は要りませんが、申し上げ、総務大臣、何かございますか。もしあったら、答弁お願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) 地方自治情報センターは、元々は地方団体のいろんな共同のシステム開発のためできたんですよ。税のことをやる、あるいは給与やいろんな内部管理事務をやる場合に一つの団体だけじゃなかなかできないという、能力もない、お金も掛かるというので、共同開発のためにできたんですね。
ただ、長い歴史がありますから、ここを指定情報処理機関にしたらどうだろうかということで法律ができたときの指定行為があったと思いますけれども、私も財団法人でいいのかなという気はいつもしているんですよ。総務委員会でも、衆議院の、何度もお答え申し上げておりますけれども、もう少し県と、都道府県と市町村と指定機関の事務と権限と責任の配分をきちっと整理する必要があるかもしれませんね。私は今一応できていると思いますけれども。
そして、基本的には行政機関個人情報保護法とは違うんですよ。住基というのは、これは都道府県と市町村の共同の事務といいますか、共同のネットワークですから、それの委任を受けて情報センターが仕事をやっていると、こういう関係ですから、ストレートに行政機関個人情報保護は出てこないんだけれども、しかし精神はそれは同じじゃなきゃいけませんよね、扱いや精神は。だから、そういうことを踏まえて、今の指定情報処理機関である地方自治情報センターの在り方、位置付け、これは少しいろいろ議論させていただきたいと。
それから、今はそれで責任を取るようになっているんですよ、指定情報処理機関も都道府県も市町村も。ただ、総務省の方は、これはこの監督だとかあるいは企画立案だとか、そういうことなんですね。制度を作るとか、いろんな安全上の監督をやったり、そういうかかわり方はしておりますが、元々は市町村や都道府県の事務を共同でやるんですから、その限りでは直ちにストレートな責任は出ない、監督責任は出ると、こういうことでございまして、今いろいろお話聞いていまして、やっぱり正鵠を得たというんですな、正鵠を得た指摘も相当ございますので、十分今後検討させていただきたいと、こういうふうに思っております。
○内藤正光君 ちょっと、行政機関法ではございますが、多少テーマは変わりまして、ちょっと十四条についてお尋ねしたいと思います。
ページ数で言えば十七ページだと思います。三項のロなんですね、三項のロをごらんいただきたいと思います。ちょっと読ませていただきますと、「行政機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」というような条文がございます。
条文読むとちょっと難しいんですが、要は、ケースとしては、企業の秘密情報だとか医療情報等のことを想定しての話だと思うんですが、必要だから秘密にするからちょっと行政機関に渡してくれないかという約束の下で譲り受けたもの、当時の状況においてはこれは公開すると問題があるからということで譲り受けたものの情報の扱いについて言っていると思いますが、しかし、問題は現在開示することの可否であるわけですから、現在の状況こそがやはり重要なんだとは思います。
だから、この現在と当時というものの意味合いですよね。しかし、幸いなことにこの条文では、「当時の状況等に照らして」と、「等」と書いてありますが、平たく言えば、現在の状況というのは「等」に含まれるのかどうか。つまり、当時は確かにいろいろ状況があって公開するとまずいということで譲り受けた情報も、時間の経過に伴って、時間の経過というのは外交機密でも意味を持つものですよね、時間が何年かたてば大分状況は違っていると、十年たてば、あるいは二十年たてば。そういったときに、この「等」に、現在の状況というのは「等」に含まれるというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
第十四号、第三号ロの趣旨は、今、先生お尋ねありましたとおりでございますが、法人等から開示しないとの条件の下で任意に提供された情報については、当該条件が合理的なものと認められる限り開示しないというのが通例だというふうに法案で、法文では書いてございますが、そういうものは不開示情報として保護しようとするものでございまして、情報提供者の信頼と期待を基本的に保護しようとするものでございます。
開示しないとの条件を付すことの合理性の判断に当たりましては、基本的には当該情報が提供された当時の状況に照らして判断することになるわけでありますが、現在の状況を含めまして、その後の事情の変化に照らして判断することも全く排除するわけではないと考えております。
○内藤正光君 十分明確な答弁をいただいたとは思いますが、当時は不開示が適当だということで、当時はですよ、開示しちゃいけないということで譲り受けた情報も、今現在の状況に照らし合わせて、やはりここはオープンにしても構わないだろう、開示しても構わないだろうという判断をされたら開示することもあり得るという理解でよろしいわけですね。端的で結構です。
○政府参考人(松田隆利君) 先生御指摘のとおりでございます。
○内藤正光君 はい、分かりました。
では、続きまして、第十五条の部分開示という規定について質問をさせていただきたいと思います。
これでは十九ページになろうかと思いますが、もっと正確に言えば、私が興味があるのは、部分開示と一部墨塗りによる文書の公開の権利性というものの関係なんですが、御案内のように古い話なんですが、二十年前の大阪府の知事の交際費の問題に関連して、これを公開するかどうかというときに、最高裁は平成十三年に出した最高裁判決は、一部墨塗りをしたものの公開というものの権利性を否定した判決だったと思います。
しかし、その後、各地方自治体の公開のありようを見てきますと、決して必ずしもその最高裁判決にのっとったものでもないし、また、元々のことをいえば当時の大阪府の特殊な事情があったんだろうとは推測はいたしますが、ちょっと確認までに質問をさせていただきたいのは、一部墨塗りによる公開の権利性というものについて、この十五条はどういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
先生御指摘の最高裁判決でございますが、これは、大阪府の公文書公開条例、ここでは部分開示の規定がないということで、今おっしゃられました一部墨塗りではなく、一体的な情報を更に細分化してまで公開することは義務付けていないというふうに最高裁判決では判示されておるところでございます。
それに対しまして本法案におきましては、行政機関の長に対しまして、開示請求があったときは原則として開示する義務を明記しておるわけでございまして、第三者あるいは公共の利益を保護するために必要があるため開示できないことがありますけれども、本法案ではその部分開示の規定も設けておりまして、そういう部分的な開示を容認をしているということでございます。
○内藤正光君 ちょっと十分早く、まだ残っているわけなんですが、私の今疑問に思っている質問はすべてさせていただきました。ただ、まだまだこの個人情報保護法、我が党、あるいはまた野党四党、まだどういう対応をするか全くもって決まっておりません。しかし、まだまだこれで私は十分だとは思っていません。
繰り返しませんが、本当に包括法でありながら主務大臣制でいいんだろうかという問題もありますし、なかなか総理との質疑で明言はしていただけなかったんですが、やはり万が一漏れたら、漏えいしたら社会的に大変な影響を及ぼし得るような、例えば医療だとかそういった分野に個別法の制定ですね。総務大臣は、全面施行までに何らかの結論を出すと明確におっしゃっていただいたのに、なかなか政治のリーダーであるところの小泉総理がその辺の明言がなされなかった。私は本当にこれはいかがなものかというふうに、数々、私はまだまだ不満はございますが、取りあえず今日の質問はこれで終えさせていただきます。
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○委員長(尾辻秀久君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま議題となっております五案の審査のため、本日の委員会に厚生労働大臣官房審議官青木豊君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○吉川春子君 この休憩後の冒頭の時間、私は内閣委員会の理事懇談会に出ておりましてちょっと席を外しておりました。
総務大臣からの答弁をそういうわけで聞けませんでした。議事録等を読みまして、次回以降にこの問題について決着を付けたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。
それで、主務大臣制と取扱事業者の問題について質問いたします。
細田大臣にお伺いしますけれども、五十条一項の適用除外は、メディア、学術研究機関、宗教団体、宗教活動、政治団体の政治活動となっていて、市民団体や労働組合は入っておりませんけれども、その理由は何でしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 法案第五十条で適用除外することによりまして、担保措置としての主務大臣の関与のみならず、個人情報の取扱いに際しての義務や本人関与についても除外することとなることから、除外の外延を明確に限定する必要があります。このために、事業者の主体と取扱いの目的の二つの要件で範囲を定めているわけでございます。
これは、仮に目的のみの限定では、例えば、これは例示でございますが、金融事業者が個人情報を事業用に利用している場合に、例えば政治家の支援にも利用したから一部でも政治活動目的を含むので除外であるとか、これらに言わば引っ掛けて主体でない者がこういう目的でやったということになりますと、そういうことを許すことが不適切な場合が種々想定されると、こういうことによったわけでございます。
また、主務大臣の関与に関しましては、法案第三十五条第一項で、主務大臣は政治活動の自由を妨げてはならないとしておりますので、この場合は、主体にかかわりなくすべての政治活動に対してその自由を妨げてはならないとしているところでございます。
このように、法案は憲法上の配慮が必要な範囲については十分手当てされておりまして、政治活動の自由を尊重したものでございます。
なお、NPOや市民団体、労働組合であっても政治団体に該当する可能性もあり得るところであります。労働組合の多くは、その目的の中に例えば政治活動というのが入っておるところが多いわけでございますけれども、そういったところに該当する可能性もあり得るということから、その場合に、実態によりまして適用除外になる場合も多々あるというふうに考えております。
○吉川春子君 労働組合をダイレクトに適用除外にしなかった理由は何でしょうか。今、大臣がおっしゃったように、政治活動にかかわる部分があるときは適用除外になるというお話でしたが、労働組合の活動自体、適用除外というふうになさらなかった理由を伺います。
○国務大臣(細田博之君) これにつきまして、法案の第五十条一項は、表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由については憲法上も保障されており、個人情報保護法案においてもその自律性が確保されるべきとの観点を踏まえまして、これらの分野について法案第四章の個人情報取扱事業者の義務について適用除外するものでありまして、これ以外の分野について適用除外にする必要性はありません。
なお、市民団体、NPO、労働組合についても、例えば法案第五十条第一項に規定する著述を業として行う者に該当し、個人情報を著述の用に供する目的で取り扱うような場合には、法案第四章の義務規定は適用除外となるわけでございます。その他のものについても同じでございます。
○吉川春子君 労働組合は、憲法の二十八条、労働基本権、労働三権が規定されておりますし、これの総則規定は憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を有するということの保障、つまり生存権の保障でありまして、これも正に非常に憲法上の重要な存在だと思うんですけれども、これを除かれた理由、憲法上重要な権利ということからすると労働組合も入ってくるように思うのですが、そこはどうでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 個人情報保護法の目的等からいたしまして、もちろん議員がおっしゃいますような労働に関する基本権は明確に憲法上規定されているわけでございますが、本来、この個人情報に関連する基本的な自由というのは、やはり表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由について非常に大きな関連をしておる。
したがって、労働組合の労働運動自体は当然、憲法上の問題、保障されるあらゆる権利がありますわけでございますが、これが例えば個人情報の取扱いをして、それが例えば労働組合が、一般人に対して何らかの大変大きな社会問題を惹起するかもしれない、あるいは摩擦を起こして、それに対して個人がクレームを言ってきても、それでこの法律から除外するというところまではやはり至らない、一線を画するべきところではないかというふうに法論理として考えたわけでございますが、ただ、一般の労働組合なりNPOや市民団体が普通に活動して、こういった問題に巻き込まれたり、抵触したり、報告徴収を受けたりということはまず考えられないことでございます。
○吉川春子君 それは、適用除外になっている各団体についても同じことが言えるわけです。そして、憲法上の重要性ということからいっても、日本国憲法の場合は伝統的な自由権だけではなくて、いわゆる社会権を規定しているということが最大の特徴でございまして、これを担って活動している団体を自由権の憲法の規定にないからという理由で適用から外したということは、私は理解に苦しむわけです。
それで、労働組合の主務官庁になるのは厚生労働省だと思うんですけれども、労組の活動を個人情報保護の観点から報告を求め、命令を発する、こういう監視を厚生労働省ではすることになるんですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 厚生労働大臣が主務大臣として関与することが可能になると思いますが、個別具体的にどういう関与があるかというようなのは、やっぱりまず具体的なケースを見た上で適切に判断していただきたいと思っております。
○国務大臣(細田博之君) ちょっと私から。
今お答えしましたが、主務大臣というときに、実は先ほどちょっと、これも早く始まったものですから重ねてちょっと申しますと、こういうことに方針を今決めたところであります。
委員会としては今日初めて申し上げるんですが、主務大臣というものについて非常に大きな御懸念が各議員からも示され、また、二つ、三つとあったらどうするんだ、運用はどうするんだというようなお話がございますので、一般的、一般論でございますけれども、厚生労働省は後で見えたときにまたお答えいただきたいと思いますが、内閣府において、この法律について、この運用の基本的な各省連絡会議を持ちます。そして、どういうことが今起こっているかとか、どういうふうに対処したか、どういう苦情が出てきたかという相互の連絡体制を密にすることも大事でございますし、どんな例が、いろんなところで出てきて、出てくる可能性がありますから、そしてなおかつ、個人のレベルでこれは基本的にはこの法律は処理されるわけですけれども、個人のレベルのみにおいてはとても処理できない、政府が乗り出して報告徴収やら命令やら勧告やら、こういうことをやらなければならないというときには──すぐ終わりますから、見えたようですから。
それはその場で、我が省はこういう報告徴収をしたいと思うということを言い出してもらいまして、それじゃ、私の省も実はこういう関係が深いですから、じゃ一緒にやりましょうということでその場で合議しまして、それは相当悪質な場合ですから、もう世の中で取り上げられたり、いろんな問題があってこれは是非報告徴収しなきゃならないということになる場合は相当な大きな波及効果がある場合でございますが、そういった場合には共同で、対象に御迷惑が掛からないようにきちっと統一して、しかし、もちろん主務大臣はその手を挙げた省の連名で出し、その後もそのように扱おうということで、そういう方針を取る所存でございますので、その点申し上げます。
担当省、来たようですから。
○吉川春子君 ちょっとテンポが速過ぎて、厚生労働省が今到着されたようなんですけれども。
主務大臣として労働組合に対して報告を求めるということになると思うんですけれども、どういう場合にどんな内容の報告を求めるのか、その点、今一部、細田大臣の方からも補足的に御答弁いただきましたが、主務官庁であります厚生労働省から答弁をしていただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 法案の三十二条で規定されているとおり、報告徴収につきましては、個人情報を保護する観点から、その四条の、施行に必要な限度において個人情報の取扱いに関して行うというふうに非常に限定されておりますので、そういったことで、これを踏まえて個人の権利利益の保護に最小限必要なものであるということでやっていきたいというふうに思っております。
○吉川春子君 重ねて伺いますが、その必要な限度とは何ですか。それで、だれがこの限度を判断するんですか。
○政府参考人(青木豊君) これは、必要というのはこの条の、法律条文の施行を行います厚生労働大臣というふうに思っておりますけれども、この必要な限度というのは、具体的な基準とかそういうものは規定されているわけではございませんので、この規定の趣旨からしまして、必要最小限度で行うということだというふうに理解をしております。
○吉川春子君 非常に必要な限度というのはあいまいな表現であると同時に、これは主務大臣が判断するということで非常に無限定ではないか、何でもできるんじゃないかという感じがいたします。
それで、細田大臣、これは市民活動萎縮法であってはならないと思うんですね、個人情報保護法はね。そういう点で、やっぱり主務大臣制とあいまいな条文で市民活動に介入する結果になるということが非常に恐れられております。主務大臣による三十四条一項の勧告、命令の規定はもちろんですけれども、一般の団体は報告を求められただけでもう非常にびびるわけですね。だから、やっぱり自由な市民活動を萎縮させる結果にならないような保証がどこにあるのかということを伺いたいと思います。
それで、ちなみにやっぱり第三者機関を作って行うべきであると私は考えますが、それはできないんだと繰り返し答弁いただきましたので、それはそういうふうに聞いておきますけれども、要するに市民活動を萎縮させるような、そういうことにならない保証がこの法律のどこにあるのか、その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) この三十二条の報告徴収の規定のように、「この節の規定の施行に必要な限度において、」とあるわけでございますけれども、実は「必要な限度において」という文言は、この法令におきましては、主務大臣が必要と判断すれば報告徴収を認めるという趣旨ではありません。これは全くテクニカルタームとしてそうなっておるんでございますが、主務大臣が無限定に報告徴収を行ったり権限を振るうことのないよう、むしろ、とにかくどうしても、必要な場合においてという言葉の代わりに、つまり報告徴収しなければどうしても事態が進まないという事態に限ってできるという意味でございます。
その点は前例その他から見て明らかでございますので、例えば、こういう場合はもう非常に多数の人からこれはおかしいと、何とか調べてほしい、それに対して役所は、まあそうはいっても法律上は個人との間でやってくださいよと言って話をそちらにお任せして、どこへ、じゃ行ってどうぞ相談してくださいと言うけれども、どうしてもらちが明かないで、かつ相当悪質で社会問題化する、新聞や国会等でも取り上げられるほど非常に問題になるということになると、先ほど言いましたような各省幹事会で協議をして、この団体にはどうしても、これは違法な情報漏れ等を毎度繰り返して、しかもあまつさえこの情報を売買しておると、微妙な情報をですね、というようなことでどうしても報告徴収をせざるを得ないのでどうだろうかと、関係省もそれに賛成という場合にのみ行う規定でございます。
○吉川春子君 市民活動を萎縮させるような法律にならないように、引き続きこの点はほかの項目でも質問をしていきたいと思います。
それで、時間の制約がありますので、住基ネットの稼働の条件について総務省、総務大臣にお伺いいたします。
住民基本台帳法の附則一条二項におきまして、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」となっております。これは、個人情報の保護に万全を期するという意味なんですけれども、個人情報保護法ができればいいというふうには読めないんですね。その辺はどうですか。
○国務大臣(片山虎之助君) これは議員修正で入った法案なんですね。そこで、住基法についていろんな御心配、御懸念について議論があって、その結果、与野党で御相談になってこういうのを入れて、この際の国会審議で当時の小渕総理から、住民基本台帳ネットワークシステムの実施に当たり、民間部門をも対象とした個人情報の保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提であると認識と、こういう有名な答弁を、もう何度も議論しましたね、これ。懐かしくなって今読んでおりますが。こういうことになりまして、それで二年前の、二年の、二年何か月前に個人情報保護法案、今回の五法案の前身を出させていただいたと。
そして、これは、住基法そのものは、何度も言いますけれども、個人情報保護法基本法制の特別法が行政機関個人情報、さらに、特別法でございますからこれは地方でございますけれども、国じゃございませんが、法的な位置付けとしてはそういうことなので、住基法全体で完結した安全措置を取ることが必要だと、こういう考えで今の規定を置いているんです。
ただしかし、住基は住基ですけれども、それ以外の個人情報保護の法制がないということは、やっぱり国民の皆さん何となく不安になるから、個人情報保護ということで官も民も全部網を掛けよう、国も地方も網を掛けようと。また、行政機関については、民よりもきつく透明性や適正性というのを確保しようということで今回の法律ができたわけでありまして、この法案が通るということが、この附則第一条第二項の「所要の措置」のもうほとんど大部分だと私は思っております。
○吉川春子君 要するに、ほとんど大部分、ほとんどですか。つまり、政府は、三千二百ぐらい今、自治体があるとして、全部をつないで本格的に稼働しようとしているわけですけれども、人口の少ない自治体もいるし、人口が多くても、コンピューターを運営したり管理したりする技術者がいないという自治体も一杯あるわけですね。
例えば、長野県、私、長野県出身なのでちょっと長野県のことを言いますと、人口が数百人、五百人とか六百人とか、こういう自治体が結構あるんですよ、村。そういうところまで全部つなぐわけですから、やっぱりきちっとこういう村にも町にも、あるいはもっと大きなところでも整備ができていないところはあると思うんですけれども、そういうことも含めて、やっぱりその体制がきちっと取れない限り非常に危険なものですよね、個人情報を全部つなぐわけですから。
〔委員長退席、理事林芳正君着席〕
そういう意味でいえば、さっき質問をいたしました内容は、法律ができればいい。でも、法律が、私はこの法律に異議ありで反対で、穴だらけだと思うんですが、百歩譲って、万全な法律ができても、実際にこのシステムを動かす、そういう管理体制、そういうものもきちっとしなければ大変危険なものになると思いますが、その点はいかがですか。もうそういう準備は万端整っているということでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 民の方を含めた話は細田大臣からお願いすればいいんですが、あれですね、この住基ネットにつきましては、今も言いましたように、制度的にも技術的にも運用面でも我々は万全のセキュリティー対策、プライバシー保護対策を取っていると思っておりますので、去年の八月五日以降、何度も言いますけれども、致命的な問題一つも起こっていないんですよ。機械のトラブルやなんかはありますよ。しかも、先ほども内藤委員からも質問がありましたし、せんだっても小林委員からもありましたように、ちょっと安全措置が過剰じゃないかという、こういう御意見がありましたよね、お二方。一万円のものを守るのに百万円の設備をしていると。そういうあれもありますので、我々は万全だと思っているんですよ。
だから、ただ、ここで今ほとんど大部分と言ったのは、この法律ができてしっかり運用すれば私はもうほとんど大丈夫だと思いますが、これから先いろんなことがあるから二、三%は残しておかにゃいかぬから、ほとんど大部分と言ったんです。まずこの法律を作ることがここで言っている所要の措置になると。これは、この附則は「政府は」と書いているんですよ、「政府は」と。こういうふうに書いていまして、地方自治体の方は、何度も申し上げますように、我々は個人情報保護条例を全部作ってくれ、あるいは中身も点検してくれと、こういうことを言っておりますから、これはこれで、住基を除く、そういうプライバシー保護、セキュリティー対策というのは地方自治体にやってもらうと、こういうふうに思っております。
〔理事林芳正君退席、委員長着席〕
○吉川春子君 大臣が具体的に地方自治体のそういう担当者なり村役場まで出ていって車座でお話しされたことがあるかもしれません。でも、実際そういう担当者と話してみますと、もう不安が一杯なんですよね。これは非常に、漏れるんじゃないかとか、そういう形、それから専門の技術者がきちっと置かれているというところもそんなにはたくさんないんですよね。そういう実情は御存じですよね。
だから、そういうことも含めて、私は、個人情報の保護に万全を期する、いろいろ不法に漏れないようにするとか、それは法律ができるということはもちろんでしょうけれども、実際にコンピューターを扱える、私はもう全然扱えないんですよ、アナログ人間で。でも、そういう人ばっかりではなくて、本当にそういうものを扱える技術者がきちっと端末にいる、市町村レベルにいると、そういうことがやっぱり個人情報の保護の万全を期すると、こういう意味じゃないですか。そういうことが必要なんじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 長野県は少し合併してもらわにゃいかぬのですよ。百人や五百人がそんなに大勢あると、やっぱり専門の職員もなかなか来てくれないし、確保が難しい。やっぱりそういう意味でも合併をして、市町村を強く、大きく、元気にして、専門家も入ってきて、ちゃんとこういうことをやるということが必要なんですよ。
だから、そういう職員の我々は教育やこれから研修をやっていきますよ。それから、いろんなこれから援助をしていこうと思うし、小さな市町村は共同でやってくれと言っているんです、いろんなことを共同で。一つの町村だけじゃ駄目なんだから、介護保険と同じように、市町村連合でも何でもいいんですから。
そういうことで全体をしっかりやっていこうと思っておりますし、今とにかく全国じゅうつないで、何度も言いますけれども、基本的には四情報なんですから、あとは住民票コードと変更情報なんですから。何にも問題起こっていないじゃないですか。起こっていれば、どうぞひとつ御指摘を賜れば、即時に対応いたします。
○吉川春子君 各自治体の担当者、担当部局に本当に万全なのかということを、じゃお調べになったらいいと思うんです。不安の声が一杯出てくると思います。
私は長野県が準備が整っていないよと申し上げたんじゃなくて、人口が、たまたま自分が育った県ですから、人口がこんなに少ない村がたくさんありますよと、こういうところでも全部コンピューターを管理する、そういう体制はできているのかどうか心配だということを申し上げたんであって、それは長野県に限りません。四十七都道府県どこでもある問題だと思うんです。
だから、法律の整備ができることとコンピューターの一番末端の接続する市町村がそういう管理の技術者、担当者がきちっと備わっているということと別じゃないですか。そういうことも含めて個人情報の万全を期するというふうにここで書かれているんだろうなと思うんですけれども、そういうことですか。
○国務大臣(片山虎之助君) だから、去年から今年にかけて自己点検をやってもらって、全部点検リストはこっちが作ったんですよ。県や、都道府県や指定情報処理機関作ったんですが、点検してもらった結果をせんだって発表しましたように、一割ぐらいは満点じゃないというんで、この中をこれから分析をして、個別指導をやるんですよ。二次稼働が八月ですから、七月ぐらいまでにはそういう、きっちり、今、吉川委員も御心配のような、少し長野県は丁寧にやらせてもらいますけれども、そういうことで指導してまいりたいと思っております。
○吉川春子君 合併を進めるなんということは政府が言うべきじゃなくて、これは地方自治ですよね、地方分権ですから。そんな発言はちょっと取り消していただきたいと思うんですけれども、それは合併するかどうかは自治体に任せればいいんであって。
しかし、大臣、非常にこの住基ネットに対する不安が多くて、これからもし八月の下旬に大量に抜けるというような事態が起こらないとも限らないでしょう。それぐらい不安なんですよ、末端は。
ですから、個人情報の保護に万全を期するということで、そういうことも併せてちゃんとした体制を整えてやる、一片の紙切れの法律ができればそれで済むというほど単純なものでないということは、地方自治のベテランである総務大臣はもうよく御存じのはずと思います。そういうことの確認なんですけれども、それはそれでよろしゅうございますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 住基の二次稼働については万全の対応を取っていきたいと、こういうふうに思いますけれども、不安だ不安だと言って、具体的に何がどう不安か言わないと、不安だけあおっちゃいけませんよ。むしろ、不安があればそれを具体的に言っていただいて、それに対応してクリアしていくということが必要なんですよ。
これだけ、国会で作った制度なんですよ。しかも、一次稼働は始まって、今四つか五つかありますよ、違法なんですから、これは。やっぱり違法状況は解消してもらわないと。地方団体も一つの自治権を持つ小型の国ですからね。それが違法の状況をそのまま残すようなことじゃ私は困ると思っておりますが、それぞれの事情やお考えがあるから、できるだけ話し合って深い理解を求めていきたいと思っております。
○吉川春子君 国会で作った作ったと言いますけれども、中間報告求めて、私はもうあのとき徹夜で、議運の理事していましたから全部知っていますけれども、国会で十分審議して成立した法律じゃないんですよ。これはもう委員会の採決さえしていないんですよ、委員会の採決さえしていないんですよ。それで、強引に、強行採決よりもっと悪いですよ、そういうことをして通った法案なんですよ。だから、十分に体制が整っているということはとても言えないし、国会が作ったなんて、そんなことを言えるようなまともな通り方していないということを私は指摘したいと思います。
そういうことで、法案が作られたから万全の体制、保護に万全を期するというふうにはなっていないと、ややそれに近い答弁をいただきましたので、私の質問はこれで終わりたいと思います。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
先週に引き続いて、民間金融事業者からの警察情報流出問題を議論したいと思っております。
先週の金曜日、私は、前回の委員会で配付をさせていただいたあの資料の黒塗りをしていないもの、生のものを全部警察庁にお渡しをし、これについて聞くので読んできてほしいとお伝えをしてあります。
まず、警察庁に聞きたいんですが、資料はきちっと読んできておられますね。
○政府参考人(栗本英雄君) 拝見させていただいております。
○宮本岳志君 私は、この中身について、生のものを渡すから正確なものかどうか調べよと要求いたしましたが、お調べになりましたか。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、委員の方から示されました資料は拝見をさせていただきました。
その資料を拝見させていただきまして感じましたことは、一つの資料につきましては、大変特定の個人に関します非常に具体的な記載がございまして、その方の名誉、プライバシーにかかわるような内容の資料だと判断をしております。
それからまた、もう一点は、前回の委員会のときも答弁申し上げましたが、先生御指摘の資料につきまして、どのような経緯で先生が入手されましたかについては存じておりませんけれども、既に報道されております資料とも非常に同様の内容であるというように拝見をさせていただいて見ております。それは、すなわちは、既に報道されております内容の資料につきましては、その報道内容からも、現在、恐喝事件で捜査中の被害会社から持ち出したその資料であるということが報道されておりますが、その内容と非常に同様の内容だというように判断をいたしているところでございます。
それらを踏まえまして、照会したか否かというお尋ねでございますので、先ほど申し上げましたように、第一の特定の個人に関します具体的な記載があるものにつきましては、今申し上げましたように、警察として、その種の資料に該当する資料があるのか否かにつきましては、正に個人の名誉またプライバシーにかかわる大変重要な問題だということでございますので、照合したか否か含めまして、その資料の存否については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
それからまた、他の資料につきましては、前回も御答弁申し上げましたように、これまでの捜査の中で、現在、警視庁におきましてその買取り要求の対象となりました内部資料を精査をいたしました。その資料が作成され、また入手された状況、犯行に使用されるに至った経緯、資料に記載されている事実の有無等について現在解明をしているところでございまして、先生御指摘の事実関係についても、その捜査の中で、視野に入れて現在捜査を進めているところでございます。
また、警視庁におきましては、当この恐喝事件の捜査状況、またその事件の捜査の中で明らかになった事実関係を踏まえつつ、お尋ねの件についても所要の調査を尽くした上で、厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
○宮本岳志君 捜査に差し支えると言えばすべて良しというわけじゃないんですよね。
それで、前回私がお示しをした資料というのは、そんなややこしい説明をするまでもなく、はっきりしているじゃないですか。この金融会社から、大手金融会社からどこどこのだれだれという警察官、十人余りの警察官に毎夏冬に付け届け、ビール券が何枚という枚数で配られていると、そういう資料だったでしょう。そんなもの、調査するのはすぐできるんじゃないですか。すぐ調査して、それをここに報告すると約束できますか。
○政府参考人(栗本英雄君) 拝見させていただきました資料につきましては、その当該消費金融会社において作成されたものとの御指摘でございます。したがいまして、私どもとして、どのような作成の経緯かについては現時点でつまびらかになっていないわけでございますので、そのような点も含めまして、先ほど申し上げましたように、現在の恐喝事件捜査の中で、当該資料等についての作成、入手の状況、またその犯罪に至った経緯、また資料そのものの事実関係の有無等、これを真剣に解明した上で、その中において警察職員等の被疑事案あるいは犯罪に触れるような行為があれば、厳正に対処してまいりたいと考えておりますし、また、先ほども申し上げましたように、この捜査の状況を踏まえつつ、所要の調査を行った上で、厳正に対処してまいりたいと申し上げているところでございます。
○宮本岳志君 この資料ですね、これ。この資料ですね。これ、全部名前が出ていて、どこの警察署かまで出ているじゃないですか。これを調査して、これが事実であるかどうかということを調査もできないと。駄目です、そんなの。話、進みませんよ、そんなのじゃ。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、先ほどの、捜査できちっと解明をいたすと、それを踏まえて、その事実関係を踏まえて、さらに所要の調査を行って、厳正に対処するということで御理解を賜りたいと思います。
○宮本岳志君 駄目ですよ、そんなの。駄目です。
○委員長(尾辻秀久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
宮本君、質疑をお続けください。
○宮本岳志君 恐喝事件は恐喝事件でしょう。しかし、ここに書いていることは恐喝事件じゃないんですよ。皆さん方のところへビール券が配られたということでしょう。これを事実を調査していただいて出してもらわないとこんな法案の審議は続けられないと言っているんです。約束してください。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほどそのような資料が、恐喝事件の中で使われておるわけでございますから、その資料がどのような経緯で作成されたのか、またそれが事実なのか否か、そういうものをきちっと踏まえた上で私ども所要の調査をきちっと行って厳正に対処すると申し上げておるわけでございまして、よろしく……。
○宮本岳志君 事実なのかどうかを調べて出せと言ってるんじゃないですか。事実なのかどうか確かめて出せばいいじゃないですか。話にならぬじゃないですか。事実なのかどうかと、あなたが言ったんじゃないか。
○政府参考人(栗本英雄君) ですから、先ほど申し上げましたように捜査状況、捜査の中で明らかになった事実関係などを踏まえて、その上で所要の捜査を行い、厳正に対処しているということを申し上げておるわけでございますから、よろしく御指導を……。
○宮本岳志君 駄目ですよ、そんな答弁。言ってくださいよ。駄目です、今のは。駄目です。
○政府参考人(栗本英雄君) 今の資料はあくまでも報道等によりましても消費者金融会社の作成した資料であるということが報道されていると私は認識しております。
○宮本岳志君 おかしいじゃないですか。私が──駄目ですよ。駄目ですよ、そんなの。
○委員長(尾辻秀久君) 質問を続けてください。(発言する者あり)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
○宮本岳志君 調査して報告できますね。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、捜査状況を踏まえつつ、しっかりと所要の調査を行った上で厳正に対処してまいりたいと考えております。
○宮本岳志君 これがどういう事件かということを本当に深刻に受け止めなきゃ駄目ですよ、あなた。こんなことが報道もされ、私は事実まで突き付けて、事実文書までその一つ、その調査もできない、国会に報告できないと先に進められないじゃないですか。そうでしょう。
それなら、私、じゃ、もう一つ言いましょう。
先週指摘した週刊誌の次の号、更に深刻な問題が出されております。これは明日が発売日ですけれども、一部はもう既に店頭に出ております。
警察からの犯歴データの漏えい、この見返りとして武富士から警察幹部に渡っていたのはビール券だけではなかったんです。何と、信用業界から決して外に出てはならないはずの個人信用情報が違法に提供されていたと。それが次のこの号で明らかになっていますよ。私、それに関する資料、ここに持っています、すべて持っています。
これが正に前回指摘した武富士からの資料を持ち出したとされている人物、仮にN氏といたしましょう。このN氏が武富士の在職中に警察からの依頼で行ったジャパン・データ・バンク、JDBのデータベースへの不正なアクセス記録の証拠です。何時何分、だれがどうアクセスしたかまでここに出ていますよ。
そして、正に局長に見てもらった、贈賄リストに常連のように登場している元警察署長、今は警察庁交通企画課の課長補佐をやっている方ですよ。その方に対して、その方、仮にTとしましょう。このTが不正なアクセスの依頼に関連して武富士のNに出した手紙の表書き、これですね。(資料を示す)
これがNあての表書きですね。そして、これがその手紙の文面なんですよ。N様、御多忙のところ申し訳ありません、よろしくお願いいたします、取扱いについては万全を期しますと、こう言って、つまり、自分の、自分の部下の警察官の信用情報を武富士を通じて調べさせて、それを受け取っていたと。そのことが、この、これは正に動かぬ証拠なんです。
ここまで事実が明らかになっていて、警察と武富士との癒着について、国会に対して責任持った報告する、当たり前じゃないですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、現在は捜査中でいろいろ支障がございますが、ある段階に至った時点で所要の捜査を厳正に行って対処するということを申し上げたわけでございますから、御理解を賜りたいと思います。
○委員長(尾辻秀久君) 宮本君、質問続けてください。
○宮本岳志君 調査をして報告をするという約束をしていただきたい。いかがですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げました、所要の調査を行い、その中身がきちっとした段階において、その内容を判断した上で適切に、報告も含めて、判断をしてまいりたいと。
○委員長(尾辻秀久君) 宮本君、指名しましたから続けてください。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
宮本君、もう一度質問してください。
○宮本岳志君 調査をして、報告を国会に対してしていただけますね。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げたように、厳正な調査を行った上で、その調査状況を踏まえて国会に報告してまいりたいと思います。
○宮本岳志君 この事件は、この事件は重大な問題なんですよね。いいですか、いいですか。細田大臣、これは金融信用情報なんですよ。御存じのように、貸金業の規制等に関する法律、このJDB、ジャパン・データ・バンクのデータバンクというものは、この法律に、三十条二項で、この信用情報機関の情報は、「前項に規定する情報を資金需要者の返済能力の調査以外の目的のために使用してはならない。」と明確になっているでしょう。これを警察がもし、この武富士を通じて取ったということであれば、重大な問題なんですよ。
私、既に確認しました。この当事者、JDBは、情報漏えい事件としてこの問題の調査を本日開始しております。もはやこれをいい加減にすることは許されない。責任持って、先ほど調査して報告するという答弁ありましたが、政府としてもこれは当然、絶対明らかにするということはお約束いただけますね。
○国務大臣(細田博之君) ちょっと私の所管であるかどうかという問題があります。
私は、今、個人情報の保護法というのはまだ、これから成立をお願いしているわけですが、今、十分な資料を伺ったわけじゃありませんけれども、今伺ったようなことが事実で、金融機関から情報漏れがある、不正な提供があるとすれば、この法律が施行されれば非常に大きな事案になり得ると思いますけれども、ただ、いろいろ環境が分かりませんので、それから、正にそういった事態がもし事実とすれば、そういったものに早く対処をするためにもこの法案が必要でございますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○宮本岳志君 この資料をざっと見ますと、警察官の情報ばかりを集めている。アクセス時間がありますから、どの時間にどういうアクセスの仕方をしたか全部分かるわけですよ。警察官ばかりです。しかも、これと、こうやって依頼して、警察官の名前、ここにこのN氏の部下の名前全部ある。これ全部、警察官、現に警察官ですよ。これを渡して調べてくださいと。つまり、警察官がそういう金融業者からお金を借りて不祥事という事例がある、だから事前に上司が調査しているわけですよね。そういうことのためにこの名簿を渡して、そしてJDBにアクセスして、全部、自分の部下の一人一人について調べてくれということで引き出している。これ、実は記者が一人一人当たってみたら、なるほど自分が借りた直後に、この時期に、引き出された時期に、君は借金しているそうだねという話が上司からあったと、当事者の証言までこの記事に出ていますよ。
こんな問題を解明することなしに、この法案を粛々と審議するというわけにいかないですよ。大体、我々みんな選挙区に帰って、個人情報保護法というのができたらしいですね、しかし雑誌を読んだら、金融会社と警察とがツーツーで、犯歴データが流れたり個人信用情報が流れたり、好き勝手やっているそうじゃないですかと、こう聞かれて、いや、実はその辺については大した調査もしてもらえなかったけれども、一応法律はできたんですと。そんなばかなこと言えますか。この問題を徹底的に解明して、そして本当にこの穴をふさぐにふさわしい法律になっているかどうかということをしっかりと議論するというのは当然、当委員会の国民に対する責任だというふうに思います。
そういう立場で今後とも質問を続けていきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○森ゆうこ君 大変緊迫した雰囲気になったわけですけれども、私も前の委員会でも申し上げました、きちっと質問にはきちっと答えていただきたい、そのことが大変重要であると思われます。(「当たり前のことだ」と呼ぶ者あり)当たり前のことをなぜ言わなければならないのでしょうか。
それでは、私の質問に移らせていただきたいと思います。
センシティブ情報、今も問題になりました。センシティブ情報について、私はそもそも原則禁止にすべきであると思っております。その上で、本当に必要最小限のものはこれこれであると規定すべきであるというふうに考えておりますが、今回の法案については、大臣は、センシティブ情報など特別の取扱いが必要な分野については個別の法制度を検討すべきであるとの答弁をされておりますが、内閣府で各省連絡会議も設置され、各省庁間の連絡も十分今後図っていかれるという旨を先ほど答弁されております。
では、どのような、今後どのような分野において個別法を整備することをお考えなのか、具体的に例示していただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 法案の第六条三項では、本法案の規律を上回る追加的な保護措置を講ずる必要がある個人情報とは、その性質や利用情報によりましては個人の権利利益侵害のおそれが高いもののことでございます。
分野の問題ございましたけれども、電気通信分野について総務大臣の御答弁がありました。そのほか議題に上ってきておりますのは、例えば金融分野とか医療分野がございます。ただ、これをどのような形で規制するような個別法を定めたらいいかということについては、実は相当詰めていく必要があると思います。なぜかと申しますと、これは一度御答弁申し上げたことがあるんですが、五千というこれは言わば一般の中小企業等も含めた小規模な人と、五千を上回るというところでどこかで線を引く必要はあろうということで、この線を引くのはもうある程度必須のことであると思いますね。そうしないと、だれもかれもが個人情報処理事業者になって、これも国会で御心配いただいたようなことになります。
しかし、五千以下ならだれでも縛れ、医療分野ならだれでもしっかりやらせろというときに、今までは医師の、医師という資格に着目した守秘義務、それから、つい先日は看護師、衛生士、保健師ですか、その他の資格に基づいた守秘義務、ここまではいいと思います。しかし、病院において個人情報を処理するのは、実際に病院に行ってみられると分かりますけれども、これは外注が多いんですよ。あるいは事務員が多いんですよ。そして、外注した結果、また電子的に電子カルテというのがあるんですね。そうすると、事務員が扱っている、そしてレセプトなんかはやっぱり外注が扱っている。もうデイリーのレセプトやれとか、IT戦略本部としてはいろんなことを言っていますけれども、いろんな問題があるんですが、そうなったときに、一体だれが責任なのかと、まず病院の中で。じゃ、病院というもの、あるいは個人の医院も必要ですが、だれがどういう責任を持つのか。これは医療法人で何か責任を持つべきことなのか、資格なのかということがもう一度問われなきゃなりませんね。
しかも、検査なんかたくさん行っているんですよ。遺伝子情報、病気との関係を取るから血液検査をしましょう。また外注するんですよ。そうですね。それから、医療情報はもちろんあります。そうすると、それをどこでいかなる形で規制したらいいのかということは相当検討しなきゃいけません。
それからもう一つあります。
いったん出た情報がありますね。皆さんが問題にしているのはみんな出た情報なんですよ、金融なんかは。さっきの御指摘は、正に金融機関が直接漏らした例として言われましたけれども、普通はそうじゃないんです。それはもちろん、金融機関がそんなことをしたら大変になりますよ。これから大問題になるかもしれません。しかし、金融から漏れて、漏れて更に先へ行くんですよ、この金融情報というのは。だから、先へ行ったときに、これは金融機関なのかと。
これはどういう銀行であるのか、金融庁が監督できるのかという問題があって、金融庁はそういう情報を、元が金融情報であるからといって新法で、新しい制限法で縛れますか。金融機関の何とかに関する法律といって、金融庁が仕事をすることにするような法律を一生懸命作って、金融情報が二段、三段で漏れたときにどうするかと。その方が社会問題が大きいときにどうするかというと、これは、いろいろ考えた挙げ句、実はこの法律に戻ってくるんです。あらゆることがこの法律に実は戻ってくる面があります。
したがって、戻らずに特別法をどのような形で作るかというのは、皆様方も立法府の議員として大変大きな問題として御検討いただきたいし、正に立法問題というのは、私は衆議院でも申し上げたんですよ。政府で立法しろ政府で立法しろと言うから、各省がなかなか言をはっきりしないからそれを申し上げると、実は各省も立法したいところもあるでしょう。しかし、立法というのは国会で立法するんですから、だから国会と、与野党と我々政府側がよくすり合わせて、与党もあるし野党もある、本当に必要なものはやるということは当然やるんですよ。
ただ、その範囲がまだ決まらないし、どういうことをやったらいいかということを、それからいつまでにやったらいいかということは非常に事態が区々に分かれておりますから、その中で最も効果的な、かつ個人の権利を守るような方法でやらなくちゃいけないんです。そのことが一番大事なわけでございますから申し上げておきます。
○森ゆうこ君 いや、演説ありがとうございました。
でも、何か検討すべきであるというふうにこの間御答弁になったんですけれども、今のだと、いや、あれが大変で、これが大変でというふうな話になって、でもやるということでいいですね、やりますと。それだけはっきり確認させてください。
○国務大臣(細田博之君) 何らかの措置を取るべき社会的実態が生じていますということは申し上げています。
ただ、そのときに、立法技術的にも本当に効果のあるやり方は、単純に問題があるからできるはずだというようなことを考えないでいただきたい。むしろ、立法府と行政府が、本当に個人の権利利益を守りつつ、しかも営業の利益もありますね、それから悪い人が出る、悪い人をまた捕まえる法律というのはどうするのかということも含めて総合的に考える必要があるということを御認識いただきたいんです。
ちょっと、何か金融機関を対象とする特別法と、また病院を対象とする特別法だけ作れば事は足れり、終わりましたというわけにいかないのがこの個人情報の保護の大きな問題なんですよ。
○森ゆうこ君 いや、だから必要なものは作りますということでいいんですねと。いいですね。
○国務大臣(細田博之君) そう言っているじゃないですか。
○森ゆうこ君 じゃ、ということを確認しました。
それで、今お話しになりました医療の分野について、厚生労働省に来ていただいているはずですので、医療過誤の訴訟ではカルテの開示が重要な問題となっていると思いますが、カルテの開示についての取組状況、どうなっていますでしょうか、お願いいたします。
○政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘のカルテの開示を含む診療情報の提供につきましては、まず患者と医療従事者のよりよい信頼関係の構築、あるいは情報の共有化による医療の質の向上、また医療の透明性の確保などの観点から大変重要であるというように認識しておりますので、これまでも診療録管理に従事する者に対する研修を行ってまいりました。また、診療情報を提供している旨を医療機関が広告できるように広告規制の緩和を行いました。そういうような取組をいたしまして、診療情報の提供促進に向けた環境整備を進めてきたところでございます。
さらに、昨年七月からは診療に関する情報提供の在り方に関する検討会というのを設けまして今検討中でございまして、次回で十回目になりますけれども、今後、この取りまとめを行われるであろう報告書を踏まえまして、カルテ開示を含め診療情報の提供が促進されるように積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○森ゆうこ君 それで、通告していないんですけれども、細田大臣にちょっと確認させていただきたいんですが、このカルテの開示、医療情報等で問題になることの中に死者の個人情報があります。細田大臣の衆議院での四月二十二日の答弁によりますと、大臣の答弁ですけれども、言わば家族としての特定の情報であって、亡くなられた方に限らず、本人に極めて大きな影響があると申しますか、正に本人の情報であると言えるような種類のものであれば、これは個人情報に、対象になるという旨の御答弁をされておりますが、つまり大臣は、生存する個人の識別性を問わない、今この個人情報保護法案で定義されております個人情報の定義、生存する個人の識別性、これを問わない死者の個人情報があり得ることを示唆されていると思うんですけれども、そのようなことでよろしいでしょうか、確認させてください。
○国務大臣(細田博之君) 生存する方にとっての情報でもある場合には、その生存する個人に関する情報として法案の対象となります。
そういう、例えば治療上のミスとか、そういうことを念頭に置きながら、亡くなった方の情報を一般論として対象として取り込めないかということになりますと、例えば父親とかおじいさんとか、過去にいろんな刑事訴追を受けた、しかし名誉がある、こんな情報じゃ困ります、もうどんどんどんどん広がっていく、お亡くなりになった方を追い掛けるようなことになりますので、むしろ、別の目的であれば、別の目的によって何らかの改善策といいますか、対処策を考えるべきであって、個人情報保護法という一般論によって死者に対する個人情報はこれで追及できるようにしろというような話はなかなかできないんで、そういった意味から、死者に対する情報が今生きている自分にとって大事な欠くことのできない情報であるということが分かるようなことについては、対象としようというところに限度を設けているわけでございます。
○森ゆうこ君 厚生労働省に伺いたいんですけれども、医療機関におきましては、ほかにも遺伝子情報などセンシティブな個人情報を取り扱っております。大臣からは先ほど、医療関係で個別法を制定するに当たっては大変難しい、しかし必要であれば取り組まねばならない、取り組んでいくというふうなお答えがあったわけですけれども、厚生労働省ではこのような分野についてはどのような検討を行っていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(篠崎英夫君) 医療に関する情報、センシティブ情報の一つであるという認識をいたしておりまして、このために、個人情報の保護につきましては、刑法あるいは医療関係法規におきまして資格に着目した守秘義務規定が既に設けられております。例えば医師、歯科医師、助産師などにつきましては刑法で規定されておりますし、その他の職種につきましてはそれぞれの資格法で規定をされておりまして、医療関係職種二十四種類ほどございますが、すべてそこで守秘義務が規定されているということでございます。
また、遺伝子等の情報についても、これも非常にセンシティブな情報でございますが、これにつきましては、平成十三年に文部科学省、経済産業省と共同で作成をいたしました倫理指針というのがございまして、これの適切な管理を行っていきたい、これで対応していきたいと思っております。
また、カルテ開示につきましては、先ほどの検討会のことを申し上げましたけれども、その中で、遺族へのカルテ開示についても対応していくべきだということに意見が大体集約をしておりまして、私どもとしては、ガイドラインを策定をして、きめ細かくこの辺のところに配慮しながら、ガイドラインを策定することによってこの問題に対応していきたいというふうに思っております。
○森ゆうこ君 続けて厚生労働省に伺いますが、個人情報の保護に関する法律が施行されるまでの間にカルテの開示や遺伝子情報など重要な分野についての検討を行い、制度化すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(篠崎英夫君) 次に十回目でございますが、今、先生の御指摘のようなところが最大の議論の争点になっておるところでございますけれども、私どもとしては、まずはこのガイドラインを策定することによってある程度きめ細かく対応できるのではないかなというふうに考えております。
○森ゆうこ君 細田大臣、今ほどの厚生労働省の見解、報告を聞いて、いかがでしょうか。ガイドライン作成後、必要であれば、それが個別法の制定の参考になるとお考えでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) まず、一番大事なのはガイドラインの作り方だと思うんですよ。病院なり、お医者さんなり、そういうところで本当にしっかりと情報を守れるだけの仕組みを作ってくれれば余り今後大きな問題に発展しないんですよ。ただ、お医者さんの資格、保健師さんの資格、助産師さんの資格に着目して、それでいいということにもならないわけですしね。
だから、逆に言うと、この個人情報保護法は非常に大事であって、厚生労働省がああやって答弁になるのも、正にこれを待っていますよと。これは非常に役に立つ法律です、つまり組織としてガイドラインできちっとある程度押さえることができますからと。それで、なおかついろんな問題があるかどうかという点をまた検討していただいていると思っております。
○森ゆうこ君 この委員会では度々指摘されております、ネットワーク社会においては個人情報の保護は極めて重要な課題であります。
この法律ができますと、ネットワーク社会での制度面での整備はまず第一歩ということでなされることになると思います。したがって、今後は、システム面での整備、すなわち情報システムのセキュリティー対策に重点的に取り組んでいかなければならないと思いますが、この点に関しまして、先日お話がありました情報セキュリティー文化の構築、そしてまた、それを根付かせるということにつきまして、この個人情報保護法というものがどのように資するのかという観点も入れて、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 私はIT担当の国務大臣でございますので、現在、IT基本戦略の練り直しの作業中でございます。六月には新しい基本戦略を発表いたします。
最初の基本戦略は、日本は非常にインターネットでも、光ファイバー網その他の設置、社会資本環境が遅れまして、もう大変だと。世界で二十位になった、二十五位になったという話で。それから、大変、子供から高齢者まで、コンピューターに親しむ環境がないと。それから、あらゆる法律が、政府も自治体も対応できていない。個人の取引についても対応できていない。それ、全部やったんですね。これは大変な国会の御苦労も得て、一応環境整備しました。
しかし、環境整備までは行ったんですけれども、その次の段階がある。これは実際に利活用することが大事だということで、これはもう一生懸命今対応して発表しますけれども、その中の重要な問題の一つはやはり情報セキュリティーでありまして、非常に外からの攻撃に弱いわけです、企業も政府も個人もですね。
なかなかこれは問題があるわけで、これに対する対策をきちっと取ろうということで、余り詳しい中身に入りませんけれども、今まで内閣官房に、三年前に情報セキュリティ対策推進室を設置いたしまして、サイバー攻撃等から守るにはどうしたらいいかというような検討を専門家の間で進めていますけれども、やはり欧米各国等に比べますともう余りにも体制が弱いんじゃないかということで、政府も、あるいは各省も含めて、それから地方公共団体、企業、それぞれにこの情報システムのセキュリティー対策を充実しようと。具体的には、例えば国家の予算を付けてでもいろんな具体的な対策を取ろうという中身の提言が間もなく、もう提言の中身は書いてありますが、採択自体がパブリックコメントに付しますので、その段階でもまた皆さん方にも、案ができておりますから、お読みいただきたいと思いますが、そういう段階でございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
先ほど、警視庁の中における個人ファイルの問題、それからそれの流出の問題、あるいは部下の借金の状況についてそれを上司が情報を得ているという問題等の指摘がありました。衆議院の議論を聞いておりましても、実は民間と行政とありますと、行政機関の保有する個人情報についての正直言ってまだ議論が、衆議院の場合は正直言って弱かったんじゃないかというふうにも思っております。その意味で、行政の方が莫大なる情報を持っているわけですから、先ほど提起された問題、先日、私も少し質問をしましたが、集中審理をしてくださるように強く要望をいたします。
今朝、自衛隊の公募の防衛庁適齢者名簿問題について議論になりました。その中でも、個人情報収集の根拠規定が明確でなければ収集の範囲は行政機関の解釈次第になってしまうのではないかということが明らかになったというふうに思っております。
ところで、この行政機関の保有する個人情報ですが、開示請求の場合の除外規定、それから第五章の四十五条「適用除外等」、かなり規定が設けられております。それが、一体何がそれに当たるのかということについてよく分からないので教えてください。
例えば四十五条は完全に適用除外となっております。例えば刑若しくは保護処分の執行については適用しないとなっているんですが、先日も保護房に収容されている自分の記録に関して出してほしいといった場合、これに当たるという──これ、当たるんでしょうか当たらないんでしょうか、まず、ちょっとその確認からさせてください。
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
第四十五条の適用除外は、いわゆる犯歴、前科等に関する個人情報であるわけでありますが、これはこの個人情報の開示請求を認めますと……
○福島瑞穂君 済みません、結論だけで結構です。
○政府参考人(松田隆利君) よく分かりました。
○福島瑞穂君 ごめんなさい。それはこの間聞いたので、結論だけで結構です。当たるか当たらないかだけ。
○政府参考人(松田隆利君) この条項に先ほど先生御指摘のものが該当するかどうかにつきましては、私ども、その情報の詳細を承知いたしておりませんので、直接お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
いずれにしましても、四十五条の適用除外等のいわゆる前科等に該当しなければ開示請求は可能であるということでございます。
○福島瑞穂君 この間質問してちょっと分からなかったので、今日、結論をお聞きしたんですが、自分が例えば保護房で、いつ革手錠入れられて、何時に入れられてというような情報で、前科前歴とは違うので、ではこれは除外規定にはならないということでよろしいですね。
○政府参考人(松田隆利君) この四十五条の刑若しくは保護処分の執行ということですね、そういう、に係るものについては適用しないということになっておりますが、今おっしゃられました刑務所の中におけるいろいろな取扱いの問題につきまして詳細を承知いたしておりませんので、それについての直接のお答えは差し控えさせていただきたいということを申し上げたわけでございます。
○福島瑞穂君 いや、どれが当たって、どれが当たらないかは重要で、除外事由が条文に書いてあるので、何が当たり、何が当たらないかはやはり教えていただきたいというふうに思います。というのは、自分の情報なんだけれども一切出てこないということが結構あるので、実際自分が知りたいあるいは裁判を起こしたいというときに情報が出てこなければ困ると思うんですね。いかがですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
繰り返しになりますが、今突然のお尋ねでもございますし、それから刑の執行に係る規定につきましては、係るものにつきましては適用しないということで適用除外になっているわけでありますが、お尋ねのその取扱いがこれに該当するかどうか、直接の詳細は私ども承知しているわけではございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○福島瑞穂君 短い時間で食い下がるとあれですが、これはこの間質問しました。それから、情報公開法にのっとって不開示、開示が争いになっている事案なので、要するに、コンメンタールではありませんが、何が当たり、何が当たらないかがやはり具体的には実際は重要になってくると思い聞いているのですが、今日に至るも回答がないと。これは先日もお聞きしたことで、今日も回答がないということは非常に残念です。
将来、結局、開示されると思っていたけれども開示されないという、あるいは適用除外になることも結構広範囲ではないかというふうに思われます。また今後もこれについては、では質問しますので、どういう事案かを御説明しますので、事前に資料を示しますので教えてください。
十四条、「保有個人情報の開示義務」で、一号、開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報は出てきません。これは例えばどういうものが当たるのでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) 十四条の第一号の、二項のロで……
○福島瑞穂君 第十四条の一です。
○政府参考人(松田隆利君) 十四条の何号でございましょうか。
○福島瑞穂君 一のロですね、はい。
○政府参考人(松田隆利君) 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要で、認められる情報でございますか。
○福島瑞穂君 いや、ごめんなさい。第十四条の一号です、一項。
○政府参考人(松田隆利君) 分かりました、はい。
お答え申し上げます。
これにつきましては、開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報について不開示情報にするということであるわけでありますが、例えば国立病院等におきまして、例えば難病に関する個人情報がございまして、その個人情報を本人に開示することによって逆に本人の生命、健康に重大な害がといいますか、害するおそれがある情報の場合には開示しなくてもいいということでございます。
○福島瑞穂君 統計や学術研究であれば、統計の作成又は学術研究であれば個人情報が提供できるというふうになっています。統計の場合も若干問題だとは思うのですが、学術研究であれば個人情報が提供できるとなっておりますが、例えば治療前と治療後の経過を写真で見せるとか、事例報告で患者の個人情報が学会などでかなり詳細に報告をされると。現在では遺伝子解析は本人同意がないとできないという指針ができておりますが、それでも過去には国立循環器センターが健康診断で集めた血液を無断で遺伝子解析を行うという問題も起きております。
ですから、学術目的の特別な理由というのはどのようなもので、どのようなものは駄目で、だれが決めるのか、その判断の客観性をどのように担保するかについて教えてください。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
この四号でございますが、これは行政機関、他の行政機関等に提供するのと同じぐらいの公益上の理由があるということで、公益法人とかその他の機関に提供することが目的外提供としてできるという、そういう特別の理由ということであるわけでありますけれども、今おっしゃられました判断をするのは正にこの提供主体でございます行政機関の長ということでありまして、その判断の基準は、先ほど申し上げましたように、他の行政機関に提供するのと同じような公益上の理由が認められるということでございます。
○福島瑞穂君 是非、本人の同意なく学会などで発表されることが嫌だという声なども聞こえておりますので、この学術目的のため、あるいは統計上使えるということについては限定的にしてくださるようにお願いをいたします。
報道について質問してきましたが、実は同じようなことが、ちょっと細かくなりますが、弁護士の場合も問題となり得るのではないか。例えば、ちょっと例が悪いかもしれませんが、弁護士がある人からセクシュアルハラスメント被害を受けたという女性のために交渉し、訴訟提起、告訴等の準備をしていたところ、相手から、自分の情報開示請求、訂正、利用停止請求を受けるというような場合、このような場合は情報開示請求に応じなければならないのでしょうか、どうでしょうか。つまり、他人のプライバシーや情報を集めるということが、メディアもそうですが、弁護士なども非常に対立的な場面で生ずるので、これはいかがでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えします。
個人情報の保護に関する法律案第二十五条で、個人情報取扱事業者が開示に当たって判断すべき基準を設けているところでございます。それぞれ一号、二号、三号あるわけですが、大体、一号は、言わば依頼者なんかも含めてだれか第三者、本人あるいは、依頼者本人あるいはその他の第三者の権利利益を侵害するかどうかというのが判断基準になると。それから二号は、これは事業者自らの業務運営でございますから、今御指摘の例なんかでは、弁護士自らの業務の適正な遂行に支障があるかどうかというのが判断基準になると。
いずれにしても、そういうものに支障があるということであれば開示しなくてもいいということを法律案は明記しておるわけですが、ただ、御指摘の例の場合は、それぞれ、刑法、それから弁護士法で守秘義務が定められているようでございます。したがいまして、他法令で出してはいけないという言わば禁止規範があるという場合は、第三号に「他の法令に違反することとなる場合」はこれは開示しなくていいという基準になってございますので、この場合は、競合と申します、法律用語で競合というのは並び立つという意味で申し上げているんですが、その競合関係、どちらかに掛かって、開示しなくてもいいということになるというふうに考えております。
○福島瑞穂君 例えば、担当している刑事事件で、被害者が問題があるんじゃないかと、被害者について人柄やいろんな点について調査をする、調べているというような場合に、相手方から自分のことをそんなに調べるのはおかしいと、個人情報開示請求、訂正、利用停止請求を受ける、このような場合はいかがでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) その弁護士の方が実際そういう被害者の方の実情を調べる必要性があるかどうかというようなのは、正にその弁護士の方々のお仕事の目的からいって、そういう仕事が、そういうデータ収集が必要かどうかという判断になると思います。通例の場合は当然のこととして必要だということでやっておられるということですから、それをこの法律案が拒否するということはまずないと思います。
いったん収集された情報は、その弁護士の方の事業の目的のために使っていただくということで、その範囲内であれば当然この法律は許容しているわけでございますので、弁護士さんの仕事がやりにくくなるという話にはならないと思います。
○福島瑞穂君 ちょっと細かくなって済みませんが、例えば弁護士法二十三条の二に基づく照会がありますが、例えば離婚事件やっていて、夫が外国人で、外に、海外にもう行ってしまったか、日本の中にまだいるのかという場合に、入管などに問い合わせても、それは個人情報ですから一切示すことはできませんというようなことで教えていただけないんですね。つまり、相手がどこにいるのか、あるいは外国に行ったかというので随分訴訟のやり方が違ってくるわけですが、その弁護士法二十三条の二の照会の件で、これは何か制約を受けるようになるのか受けないのか、あるいは戸籍の、弁護士は職務上必要があれば戸籍が取れるわけですが、そのような点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 情報の受取の場合は必ず提供する側と受ける側の二つの論点があろうかと思います。この場合、提供を受ける側、弁護士さんの立場からいきますと、別にこの法律は他の法律で禁止するものとか目的外でなければ収集すること自体は何ら禁止はしていないということでございます。
提供する側の、入管の方が弁護士さんの業務のために協力するかどうかというなのは、それはまた入管法なりのいろいろな法律の趣旨等にも関係してくることだろうと思いますので、後は行政機関法の、個人情報保護法の問題かもしれませんが、若干関与するかもしれませんけれども、ちょっとそこは私の方からはお答えするのは難しいと思っています。
○福島瑞穂君 行政機関の保有する個人情報の八条の方で、「前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。」、二号は、「行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。」というふうになっています。
実は、今朝の防衛庁における適齢者名簿問題なども若干影響するかと思うのですが、要するに所掌事務の遂行に必要な限度で内部で利用するときに相当な理由があればできるわけですよね。そうしますと、この判断によって物すごく広くなったり、内部でいわゆる情報のたらい回しと言うと言葉が悪いですが、起き得るわけで、この判断については、「所掌事務の遂行に必要な」というのであれば、極端に言えば何でもオーケーという場合に必要な場合になってしまうのか、どのような場合に限定するのか、総務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 国の役所は全部法令に基づいて仕事をして、役所の中の局、部あるいは課というのを全部それぞれの委任のいろんな規定に基づいてやっているんです。だから、所掌事務というのは割にはっきりしているんです。だから、所掌事務の範囲内でやるということはいいんです。
それからもう一つは、ほかの人の権利利益の侵害になるようなことは目的外の利用や提供ではできないと。更に相当な理由がある、だれが見ても、なるほど、そうだなと、こういう客観的な理由があるような場合にやると。
いつか私申し上げましたが、郵便局で恩給を交付してくれという意見があるんですよ。だから、それはやる。そういう場合に、恩給局が郵政公社に、前は郵政事業庁ですけれども、そういう場合には恩給の個人データを見せる。あるいは、出入国管理で、妙な者が入ってきてはいけませんので、そういう場合には旅券のデータを入国管理局に見せる。それはそれぞれが事務の所掌の範囲ですよね。しかも、相当な理由があると。
こういう場合でございまして、委員は何か行政というと悪いことばかりやっていると、何をやってる、そういうことはないんですよ。法令に基づいてちゃんとやっている。だから、最終的にはそれについてはいろんな争いができるんですね、いろんな請求ができるし、ですよ。そういうことでございます。
○福島瑞穂君 いや、行政が悪いことばかりやっているというのではなくて、行政情報が膨大な情報を持っていると。今朝の防衛庁の問題でもそうですけれども、過去、かつて本籍も、例えば家族の情報、保護者、続柄、戸籍の、今とても民間だったら駄目だと言っているような情報も含めて実は取っていたと。それが、別に恬として恥じず、当然だという見解で、四点に今絞られているけれども、それについても今日の朝議論になったように、根拠規定については非常に、自衛隊法施行令百二十条でできるかどうかについて争いがあるわけです。
そうしますと、今、片山大臣がおれに任せておけと、行政はいいんだと言っても、それはとてもですね。だって、現に、先ほどほかの委員が言ったように、現に警察や、残念ながらいろんなところから情報が、つまり物すごく重要なセンシティブ情報を持っているのは、まさしく大量に持っているのは行政であるからこそ漏れたときに大変であると。それについては、この条文はやっぱりどう解釈するのかがまだはっきりしていないというふうに非常に思います。その点ではまた今後もちょっと詰めさせていただきたいと思いますが、時間になりましたので終わります。
先ほど集中審理を是非してほしいというふうに申し上げました。衆議院では防衛庁の問題が出ましたが、参議院ではこの警視庁の問題についてとことんやるのが参議院の良識ある府の役割だと考えますので、是非集中審理をお願いいたします。
以上で終わります。
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
午前中十分しか質問の時間がありませんでしたので、主として午前中取り上げられたテーマの延長としてこれから幾つか質疑させていただきたいと思います。
まず、再三御答弁で現れていることでありますけれども、一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。
自衛隊の地方連絡部が市町村から適齢者名簿を入手すること、それ自体違法な面があるんでしょうか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
地方連絡部が市町村から適齢者名簿を入手することについてのお尋ねでございますが、ちょっといま一度整理してお答えをさせていただきたいと思います。
これは、自衛官等の募集については、地方連絡部、防衛庁の地方連絡部が行っております。それと同時に、自衛隊法の九十七条の規定に基づいて、法定受託事務として地方公共団体が募集事務の一部を行っております。この規定を受けて、隊法九十七条の規定を受けて、施行令の百十九条ですけれども、これが、地方公共団体が自衛官の募集に関する広報宣伝を行うものとしております。
つまり、地方公共団体が法定受託事務として募集事務の一部を行い、広報宣伝を行うと。その広報宣伝を効果的に行うという必要性のために適齢者名簿の作成を行うと。要するに、地方公共団体がその募集事務の一部を行う、広報宣伝を行う。その必要上、適齢者名簿の作成をすると、まずこういうことでございます。
一方、防衛庁としては、地方連絡部が自衛官の募集を行います。その円滑な実施のために、自衛隊法施行令の百二十条、これは再三出ておりますけれども、「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」というこの規定の趣旨を踏まえて適齢者情報の提供についての依頼を行ってきたところでございます。
こういう関係でございまして、したがいまして、地方連絡部が市町村から適齢者情報の提供を受けるということは適法であるというふうに考えてございます。
○山口那津男君 今のお答えですと、まず地方公共団体が自身の法定受託事務として適齢者名簿を作成するということはあり得るということでしたね。そのできている名簿を自衛隊、防衛庁側から提供を求める、それに応じると、こういう関係であるというふうに理解をいたしました。
そこで、この適齢者名簿を入手するに当たって、その内容、盛り込む情報の範囲、内容、これについて法的な制約というのはあるんですか。
○副長官(赤城徳彦君) この入手に当たり、適齢者名簿の入手に当たり、その内容の法的な制約ということでございますが、まず、先ほどお答えいたしましたように、地方公共団体が法定受託事務として募集事務の一部を行い、その必要上から適齢者名簿を作ります。したがって、地方公共団体がこの名簿を作成するに当たって、当然ですけれども、地方公共団体の所掌事務を遂行する上での必要性と、まずそういう限定があると思います。
その作成しました適齢者名簿、これについて、自衛隊法施行令百二十条の規定の趣旨を踏まえ提供を受けるわけでありますけれども、ここにも自衛官の募集に関し必要があると認められるときと、こういう限定があります。
いずれにしましても、何でも作っていいとか何でも提供を受けていいということではありませんで、自衛官の募集に関し必要があるというふうな限定があるということでございます。
○山口那津男君 しかし、自衛隊法施行令百二十条というのは、「必要があると認めるとき」としか書いていないんですね。何が、じゃ必要なとき、「必要があると認めるとき」なのかというのは必ずしもこれだけでは明確ではありません。そして、現に自治体から提供される情報は、これまでの実績からすると、相当なばらつきがあったと。そしてまた、一般の国民から見れば、情報が行き過ぎている、提供し過ぎている、それに懸念を持つと、こういう不安もあったわけであります。ですから、この「必要があると認めるとき」というのは、これはちょっと明確性を欠くのではないか、もうちょっと絞るような考え方を取る必要があるのではないかと思うわけであります。
先ほど来の答弁では、防衛庁自らこれを制約する、縮めるという方針をお取りになるということでありましたけれども、この施行令の決め方自体、これに問題はないかどうか、この点はどう認識されていますか。
○副長官(赤城徳彦君) この一連の法律、政令、この制度上は、自衛官の募集に関し必要があると認められるときに適齢者名簿を作り、またその提供を受けと、こういうことでございます。
したがって、純粋に法令上どうかと、こういうことでありますと、広報宣伝をします。例えば地方公共団体がいろいろな広報宣伝をする、それに当たって、例えば郵便番号が必要だとか、あるいは電話番号で直接当たりたいとか、そういう必要性があって適齢者名簿を作る、これは法令上も認められたことです。それから、施行令百二十条の趣旨を踏まえて、それを提供を受けるという、これもその地方連絡部が募集の事務を行うわけでありますから、その募集事務を行う上でそういった情報が必要であるということであれば、それも法令の範囲、募集のために必要なものであります。
ただ、それは必要だと、必要についてはその濃淡はある、午前中の質疑の中でもここまで必要なのかねということがありました。例えば職業について、それは実際にそこへ出向いていくときに、あるいは連絡を取るときに一定の有用性は認められるし、それはこれまで必要性があるということでやってまいりました。国籍についてもそうでございます。しかし、そこは程度問題がありますので、今後はその必要最小限に限ると。慎重な扱いをするという意味で四情報に限定をするという、そういう扱いをするということでございます。
○山口那津男君 もし地方公共団体から提供を受ける情報を四情報にこれから限るということを明確に実施していくのであれば、この施行令もその限度で変えるというお考えはないですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、これまでそれぞれの地方公共団体もそういう事務を行いますと、法定受託事務で。地連、地方連絡部も行いますということで、それぞれの地域の実情とか必要性に応じてそういう名簿を作り、またその情報の提供をいただいていたということで、法令上は、それ、必要性が認められれば適法にそういうことが行えるわけです。
ただ、その必要性といっても最小限に限るという意味で四情報に限るわけでございますけれども、これは運用として、運用としてといってもきちっと長官からの文書でそれに限定をするわけでありまして、そういう必要最小限の四情報に限定をするという扱いをするわけでございますけれども、それは運用としてそういうふうにきちっと行ってまいるわけでございますので、施行令上必要性、募集に関し必要なものと、こういうふうに書いてある、そこをいじくるという必要性はないだろうと。
要するに、運用上四情報に限定をしていくという扱いをきちっとこれからしていくわけでございますから、それで足りるんではないかというふうに考えております。
○山口那津男君 念のため聞きますが、この募集に関して必要と認める、必要な情報というのは、何も地方公共団体から得られる情報に限られているわけではないはずですね。いろんな必要性に基づいていろんなところから、ソースから情報を得るということになるだろうと思います。ただし、今、運用上、地方公共団体から提供を受けるのは四情報に限ると、こうお決めになったわけでありますから、この部分については少なくとももっと明確なルール、施行令に細かく書くかどうするかは別にして、もっとはっきりこの点を分かりやすく説明する必要があるんじゃないですか。どうお考えですか。
○副長官(赤城徳彦君) 先ほど申し上げましたように、これ、施行令上は必要性があるというふうなことで書かれております。そこがあいまいではないかとか、あるいはきちっと限定がされるのかどうかというところでございますが、これ、四情報に限るという扱い、これについては昨年の十一月に担当者会議でその趣旨を伝えたところなんですが、その指示を徹底するために、この四月の二十四日、防衛庁長官の命により通達という形で発出をいたしました。これは決していい加減なものではありませんで、防衛庁長官の通達でございますので、この通達の趣旨は今後とも維持される、徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
○山口那津男君 じゃ、ちょっと言い方を変えましょう。この施行令百二十条というのは、地方公共団体から募集に関して得る情報に関してのみ決められたものなんですか。それとも、地方公共団体以外のところからも必要に応じて得る情報についても当てはまる施行令なんですか。どっちなんですか。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
ちょっと今、施行令そのものがすぐ出てこなかったのであれですけれども、そこには都道府県又は市町村と、こういうふうに書いてありまして、そこに限定した規定になっております。
○山口那津男君 そうやって限定した規定になっているんだったら、地方公共団体から入手する情報は四情報に限ると、こうやって運用方針を決めたんですから、それに倣って施行令を変えるということも選択肢の一つだと私は思います。ちょっと検討していただきたいと思います。答弁は要りません。
それと、募集については幾つかの段階がありまして、まず応募する端緒、きっかけ、これを応募対象者に与えるという場面で必要な情報と、実際に応募してきて、その人が採用するにふさわしいかどうかという段階で得る情報というのはやっぱり密度が違うと私は思うんですね。それを一律に扱っているとどうも誤解が生ずるという気もいたします。
私は、実際に応募したいという希望があってアプローチしてきた方に対するその方の持っている情報については、より詳しい情報を入手するということは認められて当然だろうと思います。そして、両者にとって最良の選択が得られる、こういうことを目指すのは当然だろうと思います。ですから、その情報入手の必要性も段階によっていろいろ違う面もあるんではないかと、その点についても御検討いただきたいというふうに思います。
さて、それで念のためにお聞きしますけれども、総務大臣、住基台帳の四情報、これは何人も閲覧できるわけですから公開情報だという答弁でありました。
〔委員長退席、理事若林正俊君着席〕
そうすると、自衛隊の募集関係者が募集のために必要ですから閲覧してくださいと仮に請求に行ったとします。その場合に、何らかの正当な理由がないから拒否すると、こういうことがあり得るんでしょうか。それとも、それは、募集のために閲覧請求に来たら、それはもちろん閲覧させるのは当然だということになるんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) それは正当な理由があるんですから、閲覧をさせたり写しの交付を求めるのは当たり前なんです。しかし、そんなことをする必要はないんですよ。施行令の百二十条があって、知事と市町村長は、報告を出したり、資料の提出を求められたら出さなきゃいかぬのですから。ただ、それを権限の行使としてじゃなくてお願いベースでやっているんですよね。だから、うちは困ると言ってお断りになっているところもあるようですし、出しましょうと言って出しているところもあるんで、それは当たり前の話で、本来、募集の事務の一部は地方団体がやるんですから、だからわざわざ閲覧だとか写しの交付というややこしいことする必要はないんですが、今お願いベースだから、お願いベースではうちはそうはいきませんよというところは、閲覧したり写しの交付を、写しの交付をもらうということはありますね。その場合に、断る理由には正当な理由があるんですから。
○山口那津男君 もうおっしゃるとおり、当たり前のことなんですよ。閲覧を拒否する理由なんかないんです。ですから、お願いベースで自発的に提供いただけないとしても、閲覧に、請求にわざわざ来ればこれを拒否する理由も何にもないんですね。
ですから、こういう前提を御理解いただければ、私は自治体の側からもっと積極的な対応があってしかるべきだと思うんです。それが、残念ながら自発的に提供いただいているのは三割の自治体にとどまっているということの方が私はこの制度の趣旨を十分に御理解いただけていないんではないかと、こう思うわけですね。
午前中も質問いたしました。このたび武力事態対処の法制が整備されるに当たってこういう点も広く御認識、御理解いただいて、もう少し足並みがそろえるような対応をお願いしたいという、御質問したのはそういう趣旨であります。今は念のためにお伺いしたわけであります。
さてそこで、自衛隊の募集業務というのは少子高齢化時代を迎えてなかなか別な側面で困難な点も出てきているだろうと思います。また、地連が市町村から提供された適齢者情報、これが今後四情報に限られた場合であったとしても、これをどう使うかというのはいろいろ考えようがあると思います。
これまでその提供された情報を用いて募集業務にどの程度の因果関係があったか、これ、私なりに調べてみました。二士の募集に関して言いますと、これ、必ずしも提供情報がなくても募集実績の上がっている地域、あるいは同世代における採用比率といいますか、これが高い地域もあるんですね。逆に、提供情報率が非常に高い地域であっても、そこの募集実績は必ずしも高くはない、比率もそう高くはない、こういうこともあるんですね。ですから私は、その提供情報を利用して募集に生かすとはいっても、それが直ちに募集の結果、実績との因果関係というのは明確ではないように思います。ですから、それ以外の、つまり提供された情報以外の様々な募集の努力によって実際の募集の結果が確保されているということも十分にうかがえるわけですね。
この点について、この提供情報と募集の因果関係について何か防衛庁としての御所見があったらお聞かせください。
○副長官(赤城徳彦君) これは、確かに御指摘のように、提供情報だけから見て募集の実績を判断するというのはなかなか難しいでしょうし、募集に関しては、現場がいろんな苦労とか、地域差、実態もあると思いますので、先ほどの話にちょっと戻りますけれども、これ、我々としても各市町村と円滑な関係を築いていきたいし、この制度の趣旨も十分御理解をいただきたいと思っております。
そういう様々な努力の結果として募集の実績というのは上がってくるものだと思いますし、地域差もあると思いますから、一概にどの情報をいただいたからそれが即募集実績につながるという性格のものではないというふうに思っております。
○山口那津男君 つまり、自治体から提供された情報というのは、募集のための有力な手段の一つであるけれども、それが主たるものとも必ずしも言えない、やっぱりいろんな多方面の努力によって現在の募集業務が確保されていると、こういうことだろうと思います。
ところで、実際に応募した人にアンケートを取りますと、この自衛隊という、自衛官の仕事にまず何をもって興味を持ったか、このきっかけは何だったかと、こういう調査があるわけですね。こういう時代でありますから例えばホームページを見たとか、ダイレクトメールもらったとか、あるいは新聞広告見たとか役所のパンフレットを見たとか、いろいろあるわけであります。
その中で、このダイレクトメール、これは正に自治体からいただいた適齢者情報を活用してダイレクトメールを送ると、こういうことを多分行ってきたんだろうと思います。これはかなり私は効果は上げているんではないかと思うんですね。この点についての認識をまず伺いたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) 委員御指摘のアンケート結果と同じものかどうかちょっと分かりませんけれども、平成十四年度の一般曹候補学生のアンケート結果というものがございまして、何をもって自衛官募集を知ったかということを一つだけ選んでいただいた。その中で一番多かったのが御指摘の地連からのダイレクトメールということで、これは九・一%ございました。ほかにパンフレットとか市町村の掲示板、ポスターとか、あるいはホームページとか、そういうものがございましたが、一番大きかったのがこのダイレクトメールという、大変効果的な手段であるということがこのアンケート結果から表れていると思います。
○山口那津男君 つまり、適齢者情報がそういうダイレクトメールの形で使われる、それがきっかけとなったというアンケート結果に基づきますと、実際の募集の実績との明確な因果関係は見られないにしても、微細に見ると、やっぱりこのダイレクトメールをお出しするということがかなり有力なきっかけになり、それが募集に結び付いている、またそういう地域もあるということはある程度言えるだろうと思うんです。是非詳細に分析していただきたいと思うんですね。
それで、これからは少子化がますます強まる傾向にありますから、言わば国全体の人材、これを資源という言い方をしていいかどうか分かりませんが、これがいろんな分野、民間やその他の公共部門やいろんな分野に適切に生かされていくということを考えると、防衛庁、自衛隊だけでその人的資源を独占するということはもちろんできないわけであります。
そしてまた、その募集活動も時代によって力点の置き方も違ってくる。例えばホームページをきっかけに募集を知ったという人はこれからもっと増えるでしょうし、また、そこで提供できる情報というのはもっともっとたくさんある。これは、文字だけではなくて、映像を通じて多様なことが可能だろうと思いますね。ですから、もっともっとこれを活用していただきたいと思うんです。
そういう少子化の時代の流れを受けて、これからの募集業務の在り方について御所見がありましたら聞かせてください。
○副長官(赤城徳彦君) これは、御指摘のように、募集というのは時代とともに随分変わってまいりまして、かつては、なかなか自衛官になるという、募集をするのが厳しい時代もございましたし、最近でこそ、経済情勢も厳しい中ということもありますし、また自衛隊に対する、任務が広く知られて、国際的な任務とかあるいは災害支援とか、そういうものに対して、非常に自衛隊の活動に対しての関心が高まっているという、そういう状況もございます。
しかし、これから先を考えてみますと、委員御指摘のように、これは大変難しい時代がこれから来るんだろうなと。ちょうど適齢期に当たる方々が少なくなって、もう既に、現在、平成十五年度でもピークと比べて募集の対象人口が一八・四%も減少しているという、もう既にそういう状況ですから、そういう限られた人的な資源をいかに確保していくのかという、これは大変難しいことになってくるかと思います。
したがいまして、その中で、自衛隊の、あるいは自衛官の役割というもの、その大切さというものをいかにPRしていくのか、御理解をいただくのか。それも、御指摘のように、ダイレクトメールという手段ももちろん有効でございますけれども、これからは新しいIT時代にふさわしいような、ホームページとか様々な工夫をしながらこの自衛隊の役割というものを十分御理解をいただき、応募していただくという環境を考えてまいりたい、努力してまいりたいというふうに思っております。
○山口那津男君 午前中も申し上げましたが、この自衛官の職種というものは、ある面で危険を伴う重要な職種であります。そしてまた、一定の経験を経れば、そこで資格を取ったり重要な情報技術を取得したりということもできるわけであります。ですから、その言わば負の面、プラスの面、いずれをも過不足なくやっぱり情報提供した上で、一つの職業の選択肢として国民に理解をされるように、かつてのように何か申し訳なさそうに細々と募集業務に携わると、こういうことではこれはいかぬと思うんですね。
ですから、是非とも、そういう新しい時代に合った募集の在り方を是非検討していただきたいと思います。そして、その際に、この個人情報保護の法律の精神、これをやっぱり現場の方々はよく理解していただくということです。
情報保全業務を職務とする人たちが情報公開で提供した情報を何でもかんでも利用してしまう、こういう情報の横流しが勝手に自由に行われるということでは信頼を得られないと思います。同じことはこの募集業務にも当てはまるわけでありまして、その点の職員の教育も徹底していただくということでこれから頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。
○森元恒雄君 ただいままで個人情報保護法を始め五法について様々な観点から質疑が行われてまいりました。私もずっと聞かせていただきまして、その中で、私なりに考えるところ数点ございますので、この個人情報保護法が成立した後の運用あるいは今後の課題を中心にお聞きをしたいと思います。
片山大臣からお話がありましたように、本当に最近のこの情報を取り巻く技術の進歩は秒進分歩でございますか、本当に一年前と今日では考えられないようなぐらいのスピードで物事が進んでおりまして、しばらくこの世界から遠ざかっていると何がどうなっているのか分からなくなるというような状況でございます。
だんだん技術が進むことによって、確かにこの世の中便利になってきておることは間違いないわけでございますけれども、その反面、情報が大量に、しかもスピーディーに、瞬時に移動し、蓄積し、加工されるというようなことから、そのマイナスの面といいますか、いろいろな心配事がまたそれに伴って発生しているというのも事実でございまして、今回のこの個人情報保護法は、そういう状況の中で個人のこの大切な情報をいかにして民間を含めて安全に管理、取り扱っていくかということでございますので、私はやっぱり、いろいろまだまだ課題はございますけれども、一日も早くこういう法律が整備されるということが大変大事ではないかなというふうに考えております。
しかし、法律そのものの中にもこれからの課題というふうに残されておる部分がたくさんあるわけでございまして、一つはセンシティブ情報の取扱いでございますし、もう一つは、金融、医療、通信というような個別分野の個人情報の取扱いをどうするかと、そういうような点でございます。
そういう中で一点お聞きしたいと思いますのは、ここでも議論になりましたけれども、報道機関が扱う情報、個人情報については、今回のこの法律では直接行政が関与するというような部分は適用しないと、基本的には報道機関の自主性に任せると、こういう形になっておるわけでございますけれども、確かに報道の自由ということは民主主義を確立していく上で非常に重要な、基本的な事柄でございます。しかし、同時に、個人情報の扱いということにつきましても、思想、信条、表現の自由、そういう憲法上保障された基本的人権のそのまた前提になる事項ではないかなというふうに思います。
〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
両方ともこの憲法に保障された権限でございますし、権利でございますし、そういうものがどちらかが優先されて、どちらかがお粗末にされていいというものではないというふうに私は思います。報道機関そのものが自らやはりそこはきちんと正すべきところは正して、本来の役目を国民の信頼の下に果たしていただくというのが望ましい姿ではないかなというふうに思うわけでございます。
具体的に数点お聞きしたいと思いますが、一つは、この法五十条の三項の中にも、報道機関を始め除外対象とされた個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱い、苦情処理などについて自主的措置を講じ、それを公表するよう努めなければならないと、こういうふうに規定されておるわけでございますが、私は、できれば、この法七条に規定する基本方針があるわけでございますので、今後この基本方針にどういうものを定めようとされるのか、もし可能であれば、この中に報道機関のいわゆる自主的な措置等についても規定することが望ましいんではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、細田大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 衆参両院において委員会答弁等で報道の定義についてこれまでもいろいろ議論ございました。しかし、よく雑誌を出版しております会社とか著述業を営んでいる方から、なお、どうも自分たちは除外されていないんじゃないかというような御指摘もありますので、私どももよく販売されております週刊誌を軒並み拝見しまして、例えば週刊現代とか週刊ポスト、ヨミウリウイークリーあるいはアエラ、週刊朝日、サンデー毎日、週刊文春あるいは週刊プレイボーイ、それから週刊新潮、写真週刊誌あるいは女性関係週刊誌、そして園芸誌とか健康誌とか様々あります。これらはやはりよく読みますと全部報道を内包しておりますので、これは全部適用除外であるというふうに私どもは認識しておるということをまず申し上げたいと思います。
ただ、全くフィクションだけを扱う雑誌の中にも何とか読み物とか何とか文芸とか、これはみんな著述の対象であって、そこには直接報道には当たらないようなものばかり満載している雑誌がございますので、それらはむしろ著述であるとこれははっきりしておると、これは著述の関係で除外されると、こういうことでございます。
そういって、新聞等のたぐいはみんな除外でございますが、そういった報道機関について、衆議院でも参議院でもございましたけれども、もう余りにもこれは自由勝手じゃないかという御指摘もありますし、本当は個人の権利利益が侵害される場合もあるんじゃないかという御指摘があって、ケース・バイ・ケースでは確かにあると思います。
ただ、これまでのように、これは個人が自分の尊厳を傷付けられたということから民法上の救済措置、名誉毀損等これはできますし、記事の訂正等を求める措置も取っておられる方も多い。特に政界ではいろんなことがあって、これまでもいろんなそういう対応が取られておりますから、それが十分であると認識するかどうか、否かを問わず、私は、個人情報保護法の対象としてはむしろこういうものは除外されるのであって、むしろ大量な情報処理の結果、大きく個人の情報が漏れ、そして使われていくということに対応するということがこの法案の対象であるというふうにはっきりと認識しておるわけでございまして、そういった中におきまして、法案五十条第三項におきまして、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を報道機関等においても自ら講じ、かつ当該措置の内容を公表するよう努めなければならないと書いてありますのは、それぞれの報道関係者等の自主的な対応を求めているものであります。
したがいまして、政府が今後この法律に基づきまして基本指針等を第七条に基づいて定めますときに、この自主的措置をかくあるべしというようなことは、一切内容的にそれを包含することは考えておりません。
○森元恒雄君 そこはちょっと、私はできればそうしていただきたいなと思うのとはお答えが違うのはいささか残念ではありますけれども、今の時点ではそれ以上踏み込めないのかなということで、一応了解といいますか、お答えはそういうことだということで承知いたしました。
そうなりますと、次にお聞きするのはなかなか難しいんですけれども、今JIPDECという民間の団体がプライバシーマークというような、これも自主的な団体の中の措置でございますけれども、一定の個人情報の取扱いについての要件、基準を満たしたところについてはいわゆるマル適マーク的なものを交付するというようなことをやっておるわけでございますけれども、こういうものについて、やっぱり報道機関に対しても自主的にそういうことを自らやったらどうかと。あるいは、個人情報保護管理者というようなものをやっぱり各社の中に設けるというようなことで、そういう人たちがやっぱり絶えず社内のそういう個人情報の扱いをチェックするというふうなことは非常に実効を上げる上で、自主的な取組を実効あらしめるために大変有効じゃないかと。
そういうものを政府が、法律に基づいて指導するというふうなことではなくて、働き掛けるというふうなことはあってもいいんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(細田博之君) 先ほど申しましたように、明確に対象外になるということは、それだけ報道関係者の責任は重いということだと思うんですね。
EU指令等を見てみますと、あるいはほかの規約等を見てみますと、実は第三者委員会的なもので、何でも受け付けるという中では、何でも受け付けるんですよ。それで、本当に報道の中身があるかどうかは審査をするんですね。やっぱり報道ですねということになると、まあセーフということになるんですが、そうでもないぞということになるとアウトになる可能性があるんですね。審査を受けて、それを審査しなきゃならない機関あるいは仕組みを作るとそうなるんです。したがって、そういう考え方はあると思うんです。
委員の中でもそういう御指摘はあって、森元議員も、それは余りにも事によりけりじゃないかと、うその上にうそを塗り固めたようなことであったらこれは問題じゃないかという御議論はあり得るんですが、ただ、我が国の報道に関する国全体の今の流れ、これまでの議論からしますと、はっきりと割り切りまして、むしろ、それこそ何らかの自主規制的な措置ができるんであれば、それはそれで、自主規制というのは変でございますが、何かこれは幾ら何でもおかしいからちょっとお互いに注意しようやという中でそういう議論がおありになるならば、それは先ほど申しました法案の五十条三項の中の自主的な取組でございますけれども、それをやれということは政府は一切申し上げません。
○森元恒雄君 今、大臣の答えの中に第三者機関が苦情処理を受け付けるというような話がちょっとありましたのでお聞きしますが、法律の九条には、国の施策として、「国は、個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情の適切かつ迅速な処理を図るために必要な措置を講ずるものとする。」と、こういう規定がございますが、それでは、これは具体的にどういうことをお考えなのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) この個人情報保護法案における苦情の処理というのは、これは堀部先生の中間報告の考え方に沿っているんですが、複層的な救済システムというものを整備していくと。むしろ幾つか、たくさんの救済のための組織が言わば相互に連携を取りながら、できるだけ消費者等を中心としたいろいろな苦情について対応できるようにするというような考え方になっております。
そこで、当事者としては、当然、事業者自らの苦情窓口、それから認定保護団体の苦情窓口、それから、大臣からも御答弁申し上げましたように、国民生活センターとかあるいは市町村の中の消費生活センター、そういった既存のネットワークの活用、それに加えて、国の行政機関自らも自分の所管事業についてのいろいろな苦情の窓口が整備されなければいけないということになるわけでございます。
そういった複層的な苦情処理の窓口がやっぱり一体的、整合的に機能するためには、いろいろ、まずは連携、役割分担、そういったもの、これがきちっとされなければいけませんし、あとの情報の相互の、共有すべきものは共有しますし、あと必要な情報は、これも大臣から御答弁いただきましたけれども、迅速に必要なところに連絡されると、そういうようなシステムがやっぱり必要かと思っております。
そういったことについて、今御指摘の基本方針の中で、基本的にこういうような機関がこういう分担でこういうことについてやっていくんだというような方針を明確にすると。その方針の下で、それと、大臣から御答弁いただいておりますけれども、それを支えるやっぱり連絡会議的な事務局的機能も整備する必要があろうかと思いますけれども、そういったものをも併せて整備するという形で、複層的なシステム、苦情処理のシステムというのが極めて有効に機能するという形に持っていく、そのための方針を書くということになると思います。
○森元恒雄君 そうしますと、各省にそういう苦情を受け付ける窓口体制は作るけれども、独立的な色彩の強い第三者機関は作らないと、こういうお考えかと思うんですが、そうしますと、報道なり著述とか、そういう機関が扱った個人情報についての苦情は、役所としてはどこへ持ち込むということになるんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) そういった専ら報道に関連するようなことが苦情であることが分かれば、役所としては主務官庁もなく、かつ例外でございますので、除外措置でございますので、お断り申し上げます。ただ、個人的には、民法上その他の救済措置はございますので、もしもいろいろございましたら、そういうことでいろいろ御相談になったり請求されたらいかがでしょうかというアドバイスぐらいはすると思いますけれども、それはあくまでも民法上、私法上の措置、救済措置という意味でございます。
○森元恒雄君 報道機関の中でも放送局にはこのBROと言われる放送と人権等に関する委員会ですか、ここで権利救済を、外部の有識者を入れた形で苦情処理等を扱うという組織がありますけれども、新聞、雑誌については、私が聞いている範囲ではそういう、社内的にそういうものを設けているところもあるようではありますが、新聞あるいは雑誌のそういう業界全体を通じて第三者的なそういう機関はないようでございます。これに対して日弁連なり労組の方からそういうものが是非必要じゃないかというような声もあるやに聞いておりますけれども、こういうものについてやはり政府としてどういうふうにお考えか、お考え方だけお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) テレビ局の報道をめぐりまして何年か前にいろいろな議論が起こり、報道機関内部においてもこれはやはり自律的に組織を作って、放送と人権等権利に関する委員会機構、BROを作って、そこでよく番組内容等をウオッチしようという自主的な機関を作られた経緯がございますが、それはそれで大変意味のある、一歩前進でございます。
新聞等について、あるいは雑誌等についてそういったことが望ましいのかといえば、私どもとしては特に判断しておりませんで、あくまでもこれは社会において現にいろいろ問題が生ずるということもあります。日本においてだけではございませんので、某国の大変な重鎮、首脳の事件とか、某国の王族の事件とか、報道をめぐって様々なことが起こり、かつそれぞれの国においてそういった問題を処理してきておるという伝統や実態がございまして、我が国としても、これからいろいろそういった例を経験しながら自らの国民的な意識の高まりを期待するということが最も大事なことではないかと。そのためにはっきりと、この個人情報保護法ではすっぱりと割り切った方が、御不満のある方もおられましょうが、その方が長期的には我が国のためにもなるんじゃないかと思っております。
○森元恒雄君 それじゃ次に、政治団体もやっぱり五十条で適用除外になっていますね。その点について一つだけお聞きしておきたいと思いますが。
この政治団体という書きぶりの中には、報道あるいは著述の、あるいは学術のところで書いてあるような書き方とちょっと違いまして、個人が含まれないという扱いになっていると思いますが、まずなぜ政治団体に限って政治家という個人を対象にしなかったのかという点と、それから、政治団体が扱う個人情報についてはこの法律の第四章の規定は適用除外になるわけですけれども、政治団体に提供する個人情報という、要するに、いったん政治団体が扱ったものについては政治活動の本来のもう制約になってはいけないというようなことからそれを除外しているのは分かるんですけれども、政治団体がこういうような情報を集めるという過程の中において、当然相手がおるわけですから、相手方から見てその活動がこの法案では適用になると思いますけれども、そこをなぜ除外しなかったのかと、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) まず、五十条第一項第三号ですか、適用除外を受ける主体が個人を含むかどうか、政治家個人を含むかどうかということについてでございますが、この法案では政治団体としておりまして、この政治団体という概念自体、政治資金規正法の政治団体という概念をそのまま使っております。別に届出とか、そういうことを要するまでもなく、とにかく政治活動をやっておられる方々ということになろうかと思うんですが、実質的に相当範囲は広いというふうに考えておりまして、お尋ねの政治家個人の政治活動も実態上はすべてこの言わば適用除外を受ける政治団体の活動で含まれておるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
また、政治団体に対して個人情報取扱事業者の情報提供をするという部分についての法律の適用関係でございますが、これは御指摘のとおり、個人情報取扱事業者が第三者に情報提供するという意味では、相手は政治団体であるかどうかということ、これは別として、一応法の適用対象ということになるんですが、ただ相手方が政治団体である場合は、これは公権力行使である主務大臣の関与、これはしないということを、三十五条ですか、明記しておるところです。
その趣旨はどういうことかと申しますと、やっぱりこの適用除外の考え方にも通ずるんですが、やっぱり政治活動のようなことに伴って扱われる個人情報の取扱い、これに公権力としての立場の政府が関与するのがやっぱり望ましくないという一つの判断があろうかと思います。
政治団体が情報収集するというようなのは、反対側から見れば個人情報取扱事業者が政治団体に情報を提供するという行為でございますので、いかに政治団体の側だけを適用除外していても、結局反対側の、事業者が、提供する側がこの法律の適用になるということであれば、これはちょっと、実質的にそこの部分で公権力が関与することによって政治家への行政が不当な干渉をする可能性も出てくるわけでございますので、そういう意味ではむしろ大臣が権限行使というのを関与しないということを明記すればそれで十分だという考え方に立っているということでございます。
○森元恒雄君 一点、確認、今のお答えで確認ですけれども、要するに、政治家個人は特に除外対象になっていなくても、それは政治団体が対象になっておれば何ら実際上の活動において支障がないじゃないかと、そういうお考えだということでよろしいでしょうか。
それから、相手方の問題については、行政機関が介入さえしなければ政治活動を何ら支障を及ぼすものではないと、そういうこれまた考え方に立っているということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 最初の点は御指摘のとおりでございます。政治家の通例の政治活動で取り扱っておられる個人情報の取扱いについて、この法律が特段とやかく言うということはまずないということでございます。
第二点目については、あくまで主務大臣の関与としての権限行使が適用除外になっているということでございます。言わば改善命令とか勧告とか、そういう対象にはなりませんということでございます。
○森元恒雄君 私は、この運用がどういう形になっていくのかということを見ないと分かりませんけれども、その部分が仮に適用されないとしても、実際問題としては多少影響は出てくるのではないかなというふうにいささか懸念しておりますけれども、それはこの法律の施行後の話でございますので、少し見守っていきたいというふうに思っております。
次に、センシティブ情報の件について、これまた一つだけお聞きしておきたいと思いますが、個々の議論でもありましたように、いわゆる医療情報的なものの中にそういうセンシティブ情報がかなり含まれているというのはそのとおりですけれども、私はこれまた一つ気になるのは、情報そのものは何らセンシティブとは思えないんだけれども、長年にわたって一つの事象を追い掛けて、ある個人に関して追い掛けていくと、それを合算するといいますか、積み上げると一つの人格なり思想なりというものが浮かび上がってくると、こういう今時代になってきているんじゃないかと。ですから、一見センシティブ情報と思えないで、扱い上それは特別の扱いしないということになるのかもしれませんけれども、そういう恐れがあるということについてどう御認識されているのか、まずお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 個々の情報の内容自体が問題にならないということでございましても、例えば図書館の貸出し情報のように、一冊一冊借りていく本を見ると全体として何らかの性向、性癖、信条等もはっきりしてきて、それが全体としてセンシティブ情報になり、個人情報になるというケースもなきにしもあらずと思っております。
図書館は非常に膨大な個人情報をそういった意味では扱っておるとも言えますので、こういったものについては厳重な措置をきちっと取るということが大切でございまして、これは国立、公営あるいは教育機関、市民の図書館その他もございますので、こういったところに対しては、図書館関係の団体等を通じてそのようなことがないように、今この扱い方についてはよく指導等をしていきたいと思っております。
○森元恒雄君 今、大臣の方からは図書館の例がお話ございましたけれども、同じようなケースは多分民間の事業者、民間の方々がいろんな御商売でやっておられる情報の中にも同じようなものが出てくると思うんですね。そういうようなものについても、やっぱり扱い方は、将来は特別法でございますか、それを制定するにしても、当面はこの基本方針の中に何らかの形で触れていただければ有り難いなというふうに思います。
最後に一点、技術的な面でお聞きしておきたいと思います。
個人情報の保護を実効あらしめるためには、法制度それから技術、運用と、三つの面で万全の措置を講じるということが大事かと思いますが、特に技術的な面で私は個人認証というものに着目をしております。
近々、日本でも地方団体が中心となった公的個人認証システムというものができるわけです。これは、第一義的な目的は、電子上での文書のやり取りをする際に本人証明をするということが一つの目的、機能でございますけれども、同時に文書を暗号で、暗号化するというようなことから、やっぱり情報のセキュリティー度を飛躍的に高める、本人確認と併せてそういう文書そのものについての規制を技術的に可能とする手段だと思うんです。これをやっぱりもっと、そういう機能があるんだということをもっと広く普及させる必要があるんじゃないか。
そして、また活用方法も、これが国民の間に広がっていきますと、いろんなところで工夫がなされてくるとは思いますけれども、政府自らもやっぱりそこのところをもっと認識して、しっかりと踏まえて制度、システムを作っていくということが大事だと思いますが、そういうことについてどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 前の国会でおかげさまで公的個人認証の法律を通していただきました。行政手続オンライン化三法の中に一法入っているわけでありまして、現在、今準備を進めておりますが、公的な権威のある認証が、しかも安くできるわけですね、全国的に。
あれは、市町村長が受け付けて、証明は知事がやるんですよね、認証は。それで、これがちゃんと普及しませんと、今の電子政府、電子自治体と言っても、まあ大したものないのは別に認証がなくてもいいんですけれども、しかし重要なことはやっぱりきちっと証明が要るわけですから、あるいは金のやり取りに係るような電子申告、電子署名になりますと、これはもう絶対要るわけでございまして、今、森元委員が言われたように、しっかりとしたシステム設計その他準備を進めて、できるだけ早くと言っても、まあすぐというわけにはいかないかもしれませんが、これをしっかりとした具体化のベースに乗していきたいと、こういうふうに思っております。
○森元恒雄君 私は、本来のシステム、言いたかったのは、本来のシステムはもちろんきっちりと作っていただくわけですけれども、そうじゃなくて、せっかくカードに一人ずつが電子上で署名し、暗号化するというものを持つわけですから、それを多方面に使う方法、策も併せて考えていただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 言われましたように、できるだけ多方面に使うこと、まだみんな知らないですよね。もうこれPRをちゃんとしなくちゃいかぬ。それから、仕組みが割に分かりにくい。私は何度聞いてももう一つ分からぬところがあるんですけれども、是非これをしっかりと皆さんに分かるような努力をしてまいります。
○森元恒雄君 終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後六時二十分散会