2003/04/08

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4月8日 個人情報保護法案の審議入り 平岡秀夫議員「今日の一言」より

今日、衆議院の本会議で、「個人情報の保護に関する特別委員会」の設置が可決されるとともに、政府提出の個人情報保護法案とその関連法案、そして野党4党提出の個人情報保護法案とその関連法案について、その趣旨説明が行われました。また、本会議終了後、直ちに、個人情報保護特別委員会が開催され、委員長や理事の選任が行われました。ちなみに、私は、この特別委員会の委員になっています。

個人情報の保護は、現在、重要な課題であることは確かですが、政治休戦をする慣例となっている統一地方選挙の真っ最中のこの時期に、なぜ、法案の審議入りを強行したのか、その理由はハッキリしません。これまでの国会では、内閣委員会で審議されてきたにもかかわらず、今回は、特別委員会を設置して審議の主導権を取ろうとしていることと合せて、政府・与党は、かなり強引な議事運営を目論んでいるようです。

特別委員会における本格的な審議は、来週月曜日の14日から始まりますが、政府提出法案と野党4党共同提出法案とが、一緒に審議されることになります。市民団体の中には、野党が、「個別法」の形式ではなく、「一般法」の形式で対抗案を提出したことから、政府・与党と同じ土俵に乗ったとして、「敵に塩を送った」と評する向きもありますが、野党4党共同提出法案の内容は、政府提出法案の内容とは大きく異なっています。

これから、政府提出法案と野党4党共同提出法案について、両者の是非が論議されることになるわけですが、両者の主な違いについて、ここでご紹介しておきたいと思います。

違いの第一は、個人情報取扱事業者に対する指導、監督を行う主体を、政府案では、主務大臣(個人情報を取り扱っている業者が営んでいる事業を所管する大臣)としているのに対し、野党案では、政府内でも独立性の高い「3条委員会」である「個人情報保護委員会」としています。野党案は、これによって、時の政権の恣意的な判断を排除しようとしています。

違いの第二は、野党案が、「自己情報コントロール権」として、個人情報について、その取得、利用、第三者に対する提供等に関し、本人が関与することを権利として認めることを明記していることです。政府案では、個別の規定の中に、開示、訂正、利用停止などの制度を盛り込んでいるので、それで十分であるという態度でいますが、政府案では、「自己情報コントロール権」の権利性が希薄になっているように思います。

違いの第三は、野党案が、個人情報の中でも、思想、信条、医療、福祉に係る給付、犯罪の経歴、人種、民族、社会的身分、門地、出生地、本籍地などの情報を、「センシティブ情報」として、特に慎重に取り扱うべきこととしていることです。とりわけ、行政機関がセンシティブ情報を取り扱う場合には、予め本人の同意を得なければならないこととしています。

政府は、「センシティブ情報がどんなものであるかの定義が定かではない」としてその区別をすることなく、「これから国民世論などがどう成熟していくのかを待って対応していきたい」とし、「どうしても特別な扱いが必要な特別の情報についてはそれぞれの法令で手当していくべき」としています。しかし、現時点で「特別な扱いが必要な特別な情報」と考えられるのが、「センシティブ情報」と言えるのではないでしょうか。

私も、かつて個人信用情報に関する通達の策定をした経験があるということから、急遽、信用情報特別委員会の委員に選ばれましたが、これから、結構激しい与野党間の論争が予想されます。


2003/04/08

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