2002/03/07

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参・予算委員会 「外務省・鈴木宗男問題について」

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 今日は鈴木宗男議員、外務省疑惑問題について質問をいたします。

 私は、先週の土曜日、京都を、地元なんですが、立ちまして、札幌に土曜日入りまして、日曜日、月曜日、根室に行ってまいりました。やはり現場を見てこの外務省の疑惑、鈴木宗男議員のやっぱり行動を見てこないと判断できないと思って行ってまいりました。多くの北方領土の元島民の方々、それから地元の方々にお目に掛かり、お話を伺いました。私の今日の質疑は、自分の目で見、耳で聞いたことを基にしていますということをまずは申し上げたいと思います。

 そこで、最初に申し上げたいのは、やはり元島民の方々の声でした。多くの皆さんにお会いをしたんですが、ある島民の方は、役所の人間や政治家が北海道に入ったときに必ずこういうことを言いたいんだといってメモを作っておられました。そのメモを借りてきたので、まずは読ませていただきます。

 元島民の中には随分経済的に苦しんでいる人がたくさんおります。北方基金も返済のめどの立てられない人には貸し付けられません。現在は苦しいながらも何とか生活をしていますが、島から引き揚げた当時はどんなに苦しかったことでしょう。近いうちに必ず島に帰れると信じて、残してきた家や財産を案じて一日一日を送っていたのです。その間も政府からは何の援助も受けておりません。他人の家の物置や倉庫を借りての生活、またどうしても知人からの援助が受けられず、戦争中に造られた防空ごうで何年間も暮らした人がいるのです。そんな島民が現在の北方四島のロシア人への百億円にも及ぶ経済援助をどんな気持ちで見ているか。冗談じゃない。その援助は私たちの税金ですかと言いたくなるのも仕方がないでしょう。元島民の平均年齢は六十九歳とのことです。あと十年たったら当時のことを記憶している人はほとんどいなくなります。こういうメモをいただきました。

 昨日、予算案が通過いたしました。後でこの支援委員会の予算がいかにでたらめか申し上げますが、こういった予算が税金を通じて、ひいては鈴木宗男議員の政治団体に還流をしている疑惑がどんどん出ています。そんな中で、何でこの予算を通すんだという国民の声にまず小泉総理と川口大臣にお答えをいただき、今の元島民の方のお言葉について御感想をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 北方四島支援についてのいろいろな在り方については、今後検討する必要があると思っております。
 今御審議いただいている来年度予算案、これは国民生活万般にわたる予算であります。これは是非ともできるだけ早く成立させていただきまして、多くの国民にかかわる問題でありますので、早く執行できるように御理解をいただければ有り難いと思います。

○福山哲郎君 感想を、総理、感想を。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 北方領土問題をロシアとの間で解決して、早く平和条約が締結できるような環境整備に日々努力する必要があると思っております。

○国務大臣(川口順子君) 元島民の方、一万七千人ぐらいいると私は承知をいたしておりますけれども、やはり自分たちが暮らした四つの島に一日も早く帰りたいと思っていらっしゃると思います。私としても、それが一日も早く可能になりますよう、様々な努力をしていきたいと考えております。

○福山哲郎君 全く、お二人の御答弁は余り心がこもってなくて、本当に心の叫びなんです。この鈴木議員の問題で、どれほどこの北方領土返還運動がゆがめられているか。皆さん高齢で、そして自分たちは生活の苦労をしながらきた者に対して今どんな思いでいるか、もう少し考えていただきたいと思いますが、時間がないので次に行きます。

 具体的な問題で行きます。いわゆる鈴木宗男議員の私設秘書のように動いていたと言われている佐藤優外務省の主任分析官の件です。
 二〇〇〇年九月の五日、六日、七日の佐藤優さんの勤務状況をお知らせください。

○政府参考人(山中誠君) お答え申し上げます。
 佐藤前主任分析官は、平成十二年九月五日は本省に出勤しております。六日及び七日につきましては根室に出張しております。

○福山哲郎君 その際の出張の目的は何ですか。

○政府参考人(山中誠君) この出張の目的につきましては、北方四島の返還運動関係者との間でロシア情勢等につきまして意見交換をするということを目的として行われたものでございます。

○福山哲郎君 どういった会合がセットされたか教えてください。

○政府参考人(山中誠君) ロシア情勢に関する意見交換ということでございまして、それ以上の詳細については今承知しておりません。

○福山哲郎君 だって、目的があるということは、何月何日何時からどのような会議だったかは分かるはずでしょう。答えてください。

○政府参考人(山中誠君) 詳細を承知しておりませんで申し訳ございませんが、早急に調べまして御報告したいと思います。

○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 外務省に申し上げます。
 山中審議官の行動は、事前に調査してほしいということで通告されておるということでございますけれども、山中……

○福山哲郎君 佐藤です。

○委員長(真鍋賢二君) いや、山中審議官に申し上げますと。
 詳細な日程について、分かる範囲内でお知らせいただきたいと思います。山中審議官。

○政府参考人(山中誠君) 大変失礼いたしました。
 目的は、ロシア情勢に関する意見交換をその北方四島返還運動関係者と行うということでございました。その中身につきましては、詳細調べまして御報告したいと存じます。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 福山哲郎君、引き続いて質問してください。

○福山哲郎君 だって、質問できないですよ。

○委員長(真鍋賢二君) 今以上のことについて。(発言する者あり)
 指名したわけでありますから、不足するところを質問でただしてください。
 委員長の指示に従ってください。福山哲郎君。

○福山哲郎君 だれがその出張には命令を下されましたか。

○政府参考人(山中誠君) お答え申し上げます。
 外務本省職員の出張につきましては、外務事務次官が旅行命令権者となっております。
 したがいまして、今回のこの佐藤主任分析官の根室への出張につきましても、当時の事務次官が旅行命令を出しております。

○福山哲郎君 もう一度聞きます。どういう会合に出られるために行かれたのか、日にち、時間を特定してください。

○政府参考人(山中誠君) 繰り返しになって恐縮でございますが、九月の六日に根室入りをいたしまして、その根室におきまして先ほど申し上げました北方四島返還運動関係者との意見交換をしたということでございます。
 時間等につきましては、時間等につきましては今調べておりますので、分かり次第御報告したいと存じます。

○福山哲郎君 関係者はだれですか。

○政府参考人(山中誠君) この関係者と申しますのは、私の承知しております限り、千島連盟及び根室青年会議所と承知しております。

○福山哲郎君 仕方ありません。私がお答えしましょう。
 二〇〇〇年九月の六日、いや、でもね、これ答えないというのはけしからぬ話なんですよ。二〇〇〇年九月の六日水曜日八時、根室市大野屋、参加人数は二十名程度、そのうち元島民は八名参加。だれが出ていたか、鈴木宗男議員と佐藤優分析官です。どうです、間違いありませんね。

○政府参考人(山中誠君) お答え申し上げます。
 大変申し訳ございませんが、私、現在、その確認をする材料を持ち合わせておりませんので、後ほど確認をいたしたいと存じます。(発言する者あり)

○福山哲郎君 もう委員長、質疑できないです。

○委員長(真鍋賢二君) 外務省に申し上げますけれども、事前通告があったはずと思いますけれども、それに対しての答弁は用意いたしておりませんか。

○政府参考人(山中誠君) 大変申し訳ございませんが、昨夜、できる範囲での調査をいたしました結果、このように答弁させていただいている次第でございます。大変申し訳ございません。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 外務省に申し上げます。
 外務省で鳩首会談をして、知っておる範囲内のことは全部開陳していただきたいと思います。山中審議官。

○政府参考人(山中誠君) 私ども、承知していることはすべて申し上げております。それで、現在判明していない部分につきましては、関係者に至急連絡を取りつつございますので、本人にも連絡を取って事実確認をしておるところでございますので。(「昨日、通告を受けて、残ってやっておるわけだろう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)はい。昨日の夜です。

○委員長(真鍋賢二君) 御静粛に願います。御静粛に願います。

○政府参考人(山中誠君) 昨晩、夜、その質問の通告を受けましてからできる限りの調査をいたしました結果でございまして、大体、私、今聞きましたら、夜の十一時ぐらいに質問通告を受けたということでございますので、それから一生懸命調査をしたことでございます。

 いずれにいたしましても、現在、直接の関係者に連絡を取っておりますので、それで確認が取れましたら、また御報告したいと存じます。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 福山議員に申し上げますけれども、外務省として、でき得る限りの努力をして、分かり次第報告するということで御了承をいただきたいと存じます。
 質問をお続け願います。福山哲郎君。

○福山哲郎君 じゃ、外務省は出張のときには報告書は取っていないんですか。

○政府参考人(山中誠君) 出張の報告につきましては、ケース・バイ・ケースでやることになっているというふうに承知しております。

○委員長(真鍋賢二君) 福山哲郎君。(発言する者多し)
 川口外務大臣。
 御静粛に願います。

○国務大臣(川口順子君) 外務省の出張の出張報告の件については、実は私も来ました後で聞きました。それで、そのときの話では、海外出張が非常に多いものですから、その場合は、これは一般論でございますが、公電でそこのところでの報告があるということで、それをもって代替しているということでございました。

 国内についての実情は、これは私、実はそのときには聞かなかったんですけれども、今のお話ですと、必ずしもちゃんとした形になっているとは思われません。したがいまして、したがいまして、今、外務省の改革をやっている中で、現状についてきちんと調べまして、改めるべき点を早急に改めたいと私は考えております。

○福山哲郎君 先ほど、事務次官が出張命令を下したと言われましたが、その場合に、直属の上司には通告は必要なく出張できるんですか。

○政府参考人(山中誠君) 当時の課長とはどのような連絡があったかは必ずしもつまびらかにしておりませんけれども、通常のケースであれば、課員の出張でございますので、課長が十分把握しているはずでございます。

○福山哲郎君 この場合は把握していなかったんですか。

○政府参考人(山中誠君) 当時の課長が実際にどのようなやり取りをこの出張者としたかについては、現在つまびらかにしておりません。

○福山哲郎君 質問、委員長できないです、これじゃ。

○委員長(真鍋賢二君) だけれども、全力を挙げて調査した結果を御報告するということでございますから、報告を……(発言する者多し)
 継続して質問を続けてください。

○福山哲郎君 できないですよ、こんな。(発言する者あり)
 分かりました。じゃ、あくまでも六日と七日は出張でいいんですね。

○政府参考人(山中誠君) そのとおりでございます。

○福山哲郎君 分かりました。
 出席した元島民の方のお話を御紹介します。

 二〇〇〇年九月六日、鈴木宗男先生が日ロ首脳会談の報告をしたいということで島民が八名呼ばれる、八時からということだったが、自分はちょっと遅れた、大野屋で十時終わり。これは夜です。その中での話。鈴木宗男議員。多少記憶の違いがあるかもしれませんが。二島にしなければ話合いが前に進まない、四島一括といっていても駄目なら、根室の経済が厳しいので、島が二島でも返ってくれば経済が良くなるじゃないか。そこに佐藤分析官。鈴木宗男先生を心から尊敬申し上げます、こんなすばらしい政治家はいない、鈴木宗男先生に付いていって間違いない、外交はいつ変わるか分からないから、気長に皆さん頑張ってください。

 これは鈴木宗男議員の私的な会合ではないんですか。

○政府参考人(山中誠君) ただいまの先生の御指摘のございました会合につきましては確認をさせていただきたいと存じます。

○福山哲郎君 委員長、できないですよ、これじゃ。できない。

○委員長(真鍋賢二君) 質問の中で問いただしてください。(発言する者あり)
 福山君、委員長の指示に従ってください。質問の中でただしてください。

○福山哲郎君 これは私的な会合ではありませんか。

○政府参考人(山中誠君) 佐藤主任分析官はあくまでも、先ほど申し上げましたとおり、北方四島返還運動関係者とのロシア情勢に関する意見交換を目的として出張したものでございますので、その目的の中でそういう会合に出たのかどうかというところは確認をいたしたいと存じます。

○福山哲郎君 大臣、この発言については、じゃどう思われますか。発言についてはどう思われますか、大臣。

○国務大臣(川口順子君) 今の発言についてどう思うかというお尋ねですけれども、鈴木議員の御発言あるいはその佐藤、外務省の佐藤の発言、それぞれちょっと私は実際にそういうことがあったのかどうかということは確認できませんので、申し訳ございませんが、それについてのコメントは申し上げられないですけれども、二島先行返還論ということにつきましては、外務省としてはそういうことを今まで提案をしたことはございませんということを申し添えさせていただきます。

○福山哲郎君 そこの発言が正確かどうかが分からないのでコメントできないなら、私は今の会合の中身が、はっきりさせない限りは質問できません。(発言する者多し)

○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 福山質問者に申し上げます。御指名さしていただきますので、質問を続けていただきたいと存じます。

○福山哲郎君 じゃ、お答えください、外務省。

○政府参考人(山中誠君) 昨日、質問の通告を受けましてから、直接の関係者でございます佐藤前主任分析官も含めまして連絡を取った結果、先ほど申し上げたような情報を得ましたので、お答えを申し上げた次第でございます。

 ただ、いただいた質問が、要するに、勤務状況がどうだったかということ、それから、出張した場合にはだれが出張命令を出したのかということ、どういう目的で出張したのかという質問でございましたので、それについて調査をして、先ほどお答えをしたということでございます。

○福山哲郎君 分かりました。要はやぶの中だということですね、いまだに。
 ですから、佐藤前分析官を是非参考人として呼んでいただいてお伺いをしたいと思いますので、委員長、理事会で協議をお願いできませんでしょうか。

○委員長(真鍋賢二君) 後刻理事会におきまして協議いたします。

○福山哲郎君 佐藤前分析官と鈴木宗男議員の関係は、国際会議三十六回中十八回出席、その他、今の私が申し上げた根室での会合も含めて、更に言えば、先ほどの発言といい、私は外務省の方針に非常に逸脱をしていると思っていますし、報告書が残っていないことも問題だというふうに思っています。

 これは職務専念義務違反ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 佐藤が根室で何をしていたかということについて、ロシア情勢に関する意見交換ということでございますと、それは正に職務に関係したことだと思います。

 福山先生が、福山委員が今おっしゃったこと、発言を例に引かれたことにつきましては、そういう事実があったかどうか、ちょっと私、まだ確認ができていませんので、お答えを差し控えさしていただきたいと思います。

○福山哲郎君 ここでまた一つ、やぶの中のものが一つ増えましたが、次へ行きたいと思います。

 先日、報告書が出ました。この佐藤前分析官に対する人事介入も含めて、いろんなことが話が出ているにもかかわらず、実はこの報告書には人事介入に関しては一言も触れておりません。

 今の問題も含めてなんですが、何で佐藤前分析官に関する人事介入等の問題については報告書に入らなかったのか、大臣、お答えください。

○国務大臣(川口順子君) 先般発表させていただきました調査報告書は、これは北方四島支援、それからケニアのソンドゥ・ミリウ発電所、それからコンゴ大使館、コンゴ民主共和国臨時代理大使の件につきまして、予算委員会でお尋ねがあり、私どもが調査をすることをお約束したことについての調査でございまして、その時点で、人事の問題についての介入について調査をするべきであるというお話をいただいたと私どもは承知をいたしておりませんので、調査に含めませんでした。

○福山哲郎君 ということは、外務省は、この報告書では、予算委員会で出たこと以外は全く自らは何も報告書としての項目としてはやる気がなかったということですね。

○国務大臣(川口順子君) ということではございませんで、私どもはほかにも調査をしているということはございます。ですけれども、国会に予算委員会の場でお約束をして発表するというふうに申し上げたのは、予算委員会で御指摘があって私どもがそれについて調査をお約束をすると、御報告を申し上げますと言ったことについてであるということでございます。

 それから、なお付け加えさせていただければ、もし今後新しい事実の御指摘があるようなことがございましたら、それについての調査をするということについては当然そのつもりでおります。

○福山哲郎君 一つの、外務省の国際情報局分析第一課に六年十か月も滞在をし、そして更には今私が申し上げたような会合にも出張へ出ているような状況ですので、佐藤前分析官に対する鈴木宗男議員の人事介入その他について調査をしていただけると、この場でお約束いただけますか、じゃ。

○国務大臣(川口順子君) 新しい、何かこれについて調べてほしいという具体的な御指摘がありましたら、それについて調べさしていただきますし、その上で委員会の御指示に従いたいと思います。

○福山哲郎君 今私が申し上げた二点なんですが。

○国務大臣(川口順子君) 今の二点というのは、鈴木議員の佐藤に対する人事介入の問題と出張の件、今、根室への御出張の件だということだったと思いますけれども、それについては委員会の御指示に従わせていただきたいと思います。

○福山哲郎君 委員会の指示ということは、理事会で協議をいただければいいんでしょうか、委員長。

○委員長(真鍋賢二君) 先ほど御指摘をいただいた件につきましては、理事会において後刻協議をするということであります。

○福山哲郎君 理事会で協議していただいて結構なんですが、基本的にはこれは外務大臣の意思の問題だと思うんですが、いかがですか。(発言する者多し)

○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣。
 御静粛に願います。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど申し上げましたように、新しい事実について御指摘がありましたら調査をするつもりはありますと、やぶさかではありませんということは数分前に申し上げたところでございます。

○福山哲郎君 じゃ、六年数か月も異例に長く同じ課にいたことと、先ほどの根室の出張の件についてはお調べいただけますか。

○国務大臣(川口順子君) 委員会の御指示に従います。

○福山哲郎君 それは、だって、事実が出たらお調べするって答弁して、言ったら、委員会の指示というのはおかしいじゃないですか。(発言する者多し)

○委員長(真鍋賢二君) 指示に従うと言うんだから、哲郎先生が要望していただければ、そのように委員会で取り扱います。(発言する者あり)

○福山哲郎君 じゃ、委員長、お願いします。

○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣、もう一度明確な御答弁をお願いします。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど来申し上げていますように、外務省といたしましては現在改革を進めているところでございまして、外務省の判断で必要であるということについては改革をやっていき、その前提としては、もちろん現状がどうなっているかということを調べるということは入っております。

 ただ、申し上げておりますのは、福山委員が予算委員会の委員としてそれを調べて提出せよということをおっしゃっていらっしゃるわけですから、それについては委員会の御指示に従いますということを申し上げているだけでございます。

○福山哲郎君 もう、とにかく委員長、よろしくお願いします。
 もう時間がないので、次に行きます。

 問題になっている支援委員会、十年間で百億円近くも支援をしてきたわけですが、この支援委員会の設置に関する協定というのがあります。私は、この支援委員会の設置に関する協定に忠実にこの支援委員会の支援手続の流れを作ってまいりました。(図表掲示)お手元にお配りしてあると思います。大臣に、閣僚にもお配りしてあります。

 それで、現実問題として、昨日の衆議院でも多少明らかになったんですが、大臣がお認めになったんですが、支援委員会というのは、協定の締約国の要請に基づいて検討したものを日本国政府に要請をします。日本国政府はその要請に基づいて支援委員会に必要な支払を通報しなければいけません。そして、必要な支払を通報したときには、必要な支払を今度は支援委員会事務局に指示をしなければいけません。しかし、昨日大臣が明らかにされましたように、支援委員会自身が九七年の九月から一度も開かれていないんです。一度も開かれていないのになぜこの要請、通報、指示が流れるのか、お答えください。

○国務大臣(川口順子君) まずちょっと一般的なお話をさせていただきたいと思うんですけれども、支援委員会あるいは北方四島支援を含むこの国際取決めにつきましては、今までいろいろな方から、衆議院の予算委員会を含め、いろいろ御指摘をいただいております。それで、これは園部参与に調べていただいて、その調査報告書がございますけれども、私が見ましてもこの北方四島の支援の実際のやり方、施行のやり方については多々問題があると私も思っております。

 したがいまして、これにつきましては、予算の執行の仕方についてより透明性を付与するということを園部参与にも御指摘いただいておりますし、これについては私は、昨日の段階で早速それに取り掛かるようにということで指示を出しております。

 これについては、問題の性格上外部の専門家に入っていただいて、といいますのは、ロシアの専門家も必要でしょうし、それから会計あるいは弁護士、そういった法的なことについて詳しい方についても入っていただいてということが必要だと思いますので、これについては早速これから取り掛かることにしています。

 それから、今、委員が御提示いただいた資料につきましては、若干違っていると、その協定を解釈した場合に違っているという点もあるかと思いますので、これについては欧州局長の方からお答えをさせていただきます。

○政府参考人(齋藤泰雄君) お答えいたします。
 支援委員会の設置に関する協定第四条は、支援の具体的内容につきましては、締約国からの要請について支援委員会が行う検討を考慮に入れまして日本政府が決定するというふうに規定してございます。したがいまして、支援委員会が開催されること自体は支援実施のための要件とはされておりません。支援委員会が開催されなくとも協定上は支援を行うことが可能であるというふうに読めるわけでございます。しかしながら、このような事態は支援委員会の設置に関します協定の本来の趣旨に照らして望ましいものではございません。

 他方、ロシアの代表が不在であるという理由のみをもちまして本協定に基づくロシア向けの支援事業の実施を停止することは協定の目的にかんがみれば望ましくないという判断に立ちまして、我が国政府といたしましては、ロシア政府代表者が不在という事態の中で、ロシア政府、外務省等との間で連絡調整を図りつつ適時に支援活動を実施してきた次第でございます。

○福山哲郎君 済みません、今、実質的に参加している国は何か国ですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 当初、旧ソ連邦を構成しておりました十二か国との間で支援委員会の設立の協定に署名したわけでございますが、その後、ロシアとベラルーシを除く国々はODAの対象国に移行したこともございまして、現在、支援委員会を通じます支援を行う対象国としてはロシアとベラルーシ、現実的には圧倒的にロシアということでございます。

○福山哲郎君 圧倒的に、ロシアとベラルーシで、圧倒的にロシアで、ロシアの代表がいなくていいとはどういうことですか、僕はよく分からないんですけれども。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、ロシアの代表が不在であるということのみをもって本委員会の活動を停止することは協定の趣旨にかんがみまして望ましくないということで、必要なロシア政府との外務省等を通じます連絡調整を行いつつ実施を支援してきたところでございます。

 繰り返し申し上げますが、先ほども申し上げましたように、このような事態が望ましいものではないということは我々としても十分認識しているところでございまして、先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、その執行の改善に向けて努力してまいる所存でございます。

○福山哲郎君 協定に対する遵守義務はいかがですか。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 十分質問のあれが理解できていない。

○福山哲郎君 協定に対しての遵守義務はないんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この支援委員会を設置する協定そのもの自体は、依然として有効なわけでございます。

○福山哲郎君 よく分かりません。遵守義務はないのかと聞いているんです、日本国政府は。

○政府参考人(齋藤泰雄君) ただいまの御質問が日本政府としてこの協定を遵守する義務があるのかないのかというお尋ねであるとすれば、当然のことながら、日本憲法に基づきまして遵守する義務があることは当然でございます。

○福山哲郎君 ロシアはいかがですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシアも、所要の国内手続を経て、そのような義務を負っているものと理解しております。

○福山哲郎君 代表不在なんでしょう。

○委員長(真鍋賢二君) ちょっと、もう少しはっきりと言葉を。

○福山哲郎君 代表が不在なんですよね。どうやって要請が来るんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシアにおけます組織の改編等がございまして、残念ながら、ここ数年、ロシア側の代表が指名されていないという事態が続いているわけでございます。

○福山哲郎君 どこから要請が来て、どうやって決定するんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 北方四島住民支援に関連しての要請というお尋ねでございますれば、北方四島の地区長等から具体的な案件の要請に接しているわけでございます。これに……

○福山哲郎君 違う、違う。聞いたことに答えていません、委員長。

○委員長(真鍋賢二君) もう一度、福山哲郎君、もう一度しっかりと質問を。

○福山哲郎君 いや、だから、どちらの国から要請が来るんですか、代表がいないのにと。どうやって要請が来るんですかとお伺いしているんです。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 四島住民支援に関連します要請についてお尋ねだと思いますけれども、このような要請は、北方四島関係者、具体的には地区長ですとかそういった四島の行政関係者から私どもの方に要請がございまして、この委員会で規定しておりますのは、そのような要請がまず委員会で検討される、その検討を考慮に入れて日本政府がその具体的実施方法等について決定すると、こういう仕組みになってございます。

 なぜ日本政府が決定するということになっているかと申しますと、この協定を設立しましたときに日本が最大の拠出国というふうに予想されておりましたので日本がその決定をすると、こういう仕組みにしたわけでございまして、締約国各国の合意の下にこのような仕組みが作られたわけでございます。

○福山哲郎君 何言っているか分からない。

○委員長(真鍋賢二君) 質疑がかみ合っていないようでございますから、福山先生、しっかりした質問を。

○福山哲郎君 委員会の要請に基づいてと。
 ちょっと、もったいない、時間。

○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長、質問者が質問しておるときにはしっかりと聞いておいてください。打合せは別にして。福山先生が質問に立とうとしておるわけですから、あなたは座ってその質問を聞いていただいて、答弁席に立ってください。答弁席には必要ございませんから、お座りください。
 福山哲郎君、だから、分かっていないということですから。

○福山哲郎君 いや、先ほどおっしゃられましたね、要請に基づいてだとおっしゃられたじゃないですか、今、局長がね。要請に基づいてだけれども、そこのロシアの代表はいないわけで、それから支援委員会も開かれていないわけで、どうやってどこから要請が来るんですかと申し上げている。そうしたら、あなたは北方四島の支援の要請だと言うけれども、それは協定には何にも書いていないんです。締約国からの要請なんですから。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この支援委員会を通じます支援には大きく分けまして三種類ございまして、一つは、ロシアの市場経済化移行、このプロセスを日本政府として支援するという観点からの技術支援でございます。もう一つは、北方四島の住民に対する緊急かつ人道的な支援でございます。三つ目は、対ロシア、ロシアにおきます人道、ロシアに対します人道的な支援、北方四島を除きますロシア本土に向けての支援ということでございます。

 こういった三つの支援につきまして、先ほど私が御説明申し上げましたのは、四島住民支援に関するものについては四島の地区長等の行政関係者から来るということでございますが、ロシア政府、締約国の要請ということでロシア政府とも連絡を取りながら、また技術支援等につきましてもロシア政府からの要請を踏まえて委員会で検討されるということがこの協定の仕組みで規定されているわけでございます。

○福山哲郎君 北方四島に対する支援なんて一言も書いてないです。締約国が支援委員会を構成して、そこで要請に基づいて支援を決めるんです。勝手に三つ作らないでください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 正確に申し上げますと、要請に基づいて日本政府が決定するということではございませんで、先ほど御説明申し上げましたとおり、要請がございましたらその要請につきまして支援委員会で検討することになっておりまして、その検討を考慮に入れまして日本政府が決定すると、こういう仕組みになっているということを御説明した次第でございます。

○福山哲郎君 支援委員会で検討してとおっしゃいましたよね。確認させてください。検討してとおっしゃいましたね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 支援委員会で行われることは要請の検討でございます。

○福山哲郎君 ですね。支援委員会は九七年九月から開かれていないんですが、どうやって検討するんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど来申し上げているところでございますが、日本政府が決定するというのがこの協定の基本的な仕組みでございまして、この要請の検討を考慮に入れてということは日本政府が決定する場合の要件とは必ずしもなっていないというふうに御理解いただきたいと思います。

○委員長(真鍋賢二君) 齋藤局長に申し上げます。明快な答弁をお願いいたします。質問者に対する答弁が十分でないと思います。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 要請に対します決定、日本政府の決定につきましては、支援委員会による行為は支援実施のための要件とはされていないということでございます。

○福山哲郎君 いや、委員長、できない。だって、さっきと答弁違うんだもん。支援委員会で検討して要請とおっしゃったじゃないですか。(発言する者多し)

○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 改めて外務省齋藤欧州局長に申し上げます。
 この資料に基づいての答弁に一貫性がないという御指摘もいただきました。取りまとめてお答えをいただければと思います。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 協定が規定しているところによりますと、本来的には、締約国からの要請を受けまして、委員会においてその要請を検討いたしまして、その検討も考慮に入れた上で日本政府が決定すると、こういう仕組みになっていること、とおりでございますが、ただいま御指摘のとおり、委員会が、ロシア側の代表が不在だということで協定に規定されたとおりの形で運営できる状態にないという不幸な状態にあることは御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、この協定上、要請の検討がなければ日本政府として決定できないかというと、そういうことではないということで、日本政府が決定できるというのがこの協定の規定するところでございます。

 したがいまして、法的に申し上げますと、支援委員会の行為は支援実施の前提となるものではないということでございます。

○福山哲郎君 最初、冒頭、協定の締約国の要請について検討を支援委員会でして、それを日本国政府で決定をすると最初おっしゃられたじゃないですか。しかし、最後になったら、支援委員会の決定は要らないとおっしゃったんですよね、今、要請は要らないと。どういうことですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 繰り返し御説明いたしますが、この支援委員会の協定第二条でございますが、支援委員会は「協定の締約国の要請につき検討を行うこと。」ということが書かれておりまして、第四条におきまして、これを受けまして、「日本国政府は、委員会による」、途中省かせていただきますが……

○福山哲郎君 このとおりなんです、それは。

○政府参考人(齋藤泰雄君) その先生がお示しのチャートは必ずしも正確でないと思いますので、私、協定に基づきまして御説明させていただいている次第でございますが、協定第四条によりますと、「日本国政府は、委員会による第二条(a)にいう要請についての検討」を考慮に入れて実施方法を決定するというふうに書いてあるわけでございます。ですから、日本政府がここで行うことは、委員会における検討を考慮に入れるということでございます。

 したがいまして、考慮をする委員会が機能していないということは御指摘のとおりでございますが、繰り返し申し上げているとおり、この委員会における検討というのは支援実施の要件となっているわけではないということでございます。

○福山哲郎君 じゃ、支援実施の要件を述べてください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) それは日本政府の決定するところでございます。

○福山哲郎君 検討も要請もないのに日本政府は決定できるんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 日本政府が決定するというのがこの協定の骨格でございます。
 なぜそのような仕組みになっているかと申し上げますと、先ほど御説明したとおり、日本政府が最大の拠出国である、現実には唯一の拠出国である。したがって日本政府が決定する、こういう仕組みになっているわけでございます。

○福山哲郎君 だから、決定するのは私も認めているんです。何に基づいて決定するのかと聞いているんです。検討も要請もないのに何で決定できるんですか。いい加減な答弁しないでください。十年間で百億円近くも使われているんですよ。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 繰り返しで恐縮でございますが、協定第四条によりますと、日本国政府は、委員会による検討を考慮に入れて決定するということでございます。この考慮に入れるというのは要件ではない、こういうことでございます。

○福山哲郎君 委員会の検討を考慮に入れるのに、委員会は検討もしていないし開かれてもいないのにどうやって考慮に入れるんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシア側の要請はあるわけでございます。ロシア側の要請はあるわけでございます。ただし、その要請を検討する委員会が不幸にして近年開かれていない。ですから、考慮しようがないと申しますか、日本政府としては、日本政府としては、この協定に基づいて日本政府に与えられた権限に基づき実施を決定している、こういうことでございます。

○福山哲郎君 よく分かりません。

○国務大臣(川口順子君) こういうことを申し上げますと少し分かりやすくなるかなと思うんですが、委員のお書きになった図表のうち、「支援委員会」というのが一番上にありまして、「協定の締約国の要請につき検討」とございまして、その下に「日本国政府」というのがありまして、その間に矢印があって、「要請」という言葉がありますね。この「要請」という言葉が実は間違いでございまして、これは考慮に入れてというふうになるということでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、この支援委員会の構成が非常に今おかしい形になっているということは問題であると私どもも考えておりまして、したがいまして、実は私はもう既にロシア側に対して再度、この支援委員会に出席をする委員となるロシア側の代表者ですけれども、を早く指定をしてくださいということをロシアを通してお願いをするという行動を取るように指示はいたしました。

○福山哲郎君 いや、要請をされるのは、ロシア側に出てくれと言われるのは当たり前ですが、出てなかったときの問題はなぜ、じゃ、拠出されて支援事業が行われたんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど御説明したことの繰り返しになって恐縮でございますが、一九九七年九月にロシアの国際人道・技術支援ビューローという組織が分割、廃止されて以来、ロシア政府の代表者が不在の状況が続いているわけでございます。

 他方、ロシア連邦政府の代表者が不在であるという理由のみによって本協定に基づくロシア向け支援事業の実施を停止することはこの協定の目的にかんがみれば望ましくないと、そういう判断に立ちまして、我が国政府といたしましては、ロシア政府の代表者が不在の中で、必要な手続を踏みつつ、適時に支援活動を実施してきているというのが実情でございます。
 また、この状態が協定本来の趣旨に照らして望ましいものではないということは御指摘のとおりでございまして、ロシア政府がその代表者を指名してくるようにということを、先ほど大臣が申し上げたとおり、申し入れているところでございます。

○福山哲郎君 協定の締約国の要請なのに、締約国のロシアがいないのに、どうやって要請があって、検討して、考慮できるんですかと先ほどから私は質問をしているんです。そこにきっちり答えていただければ結構です。(「答えたじゃないか」と呼ぶ者あり)答えてないじゃないですか。だって、ロシアいないんですよ、締約国が。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、ロシア側からの要請はあるわけでございます。それがロシアの委員会政府代表を通じて要請が来るという形に残念ながら代表が不在のためになっていないわけでございますけれども、ロシア側の要請はいろいろな形で我々のところに殺到しているわけでございます。

○福山哲郎君 ロシアのどこから要請が来るんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 案件によって異なると思いますが、ロシア外務省であったり関係行政機関であったりする、でございます。

○福山哲郎君 いろんなところから来た要請に対して、協定にないような手続の中で支援委員会は支援を決めて百億円も十年間でつぎ込むわけですね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど来申し上げたとおり、この要請案件の検討というものは必要不可欠な条件で、要件ではございませんで、日本政府が決定していると、こういうことでございます。

○福山哲郎君 いいですか、支援委員会はないんです、開かれていないんです。支援委員会が開かれていないということは、ここもなくなるんです。いいですか。これはバツが付くんです。

 そうすると、残るのは日本国政府・外務省と支援委員会の事務局です。今の支援委員会の事務局長はどなたか、お答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 高野保夫と申します。

○福山哲郎君 前職をお答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 元コンゴ民主共和国駐箚の大使でございました。

○福山哲郎君 いいですか、支援委員会は開かれてはいないわ、結局日本の外務省と支援事務局だけで事業を決めて、そしてこの事務局長は今コンゴの大使ですよ、分かります、前の。こんなの、まともな支援委員会じゃないじゃないですか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃいますように、それから私も先ほど申し上げましたように、この実施のやり方については大変に、尋常ではないといいますか、問題があると私は認識をいたしておりますので、これを改善するということは園部参与にも御指摘をいただいていますし、私も事務当局には指示をいたしまして、これは早速始めることといたしております。

○福山哲郎君 大臣に聞きにくいことをお伺いします。
 あなたは報告書を出す前にこの委員会が開かれていないという事実を御存じでしたか。

○国務大臣(川口順子君) いつごろだったか忘れましたけれども、私が外務大臣になりまして割にすぐのころに、たまたまイワノフ、ロシアの外務大臣とお話をするという機会もありましたものですから、その説明を聞いたころか、その直後か、いずれにしても、そのころにロシア側の代表者というのが今空席になっている、ただこの空席になっている代表者に、決めてもらうようにロシアには再三再四働き掛けているということを聞きました。

○福山哲郎君 委員会が開かれていない事実とは、ということは、自動的に大臣は分かっておられたということですね。

○国務大臣(川口順子君) そのときにそこまで認識していたかどうか記憶がありませんけれども、論理的に言えばそこまで推測をしてしかるべきだったと思いますが、私自身の頭の中でそういう認識があったかどうかは、ちょっと今記憶にございません。

○福山哲郎君 その認識はいつはっきりされましたか。

○国務大臣(川口順子君) きちんと認識をしましたのは、昨日かおとといか、国会で御質問をいただいたときだったと思います。

○福山哲郎君 報告書の出た後だということですよね、大臣、ということは。ということは、報告書は精査をして、聞き取り調査をしてと書かれているにもかかわらず、支援委員会が開かれていない事実もこの報告書には出ていないんですよ。大臣にも報告がなかったということじゃないですか。おかしいじゃないですか。

○国務大臣(川口順子君) 今回の北方四島の支援についての調査報告書は、これは園部参与におまとめいただいたものですけれども、対象は北方四島の支援の事業のやり方について行政機関としての外務省の対応がどうであったかという事実関係でございまして、国際機関であるこの支援委員会とその事務局といいますか、支援委員会についてこれがどうだというのは園部参与にお願いをした調査の中には含まれておりませんでした。

○福山哲郎君 だって、支援委員会が事業をして、その事業について疑惑があるのに、支援委員会のことがそのものではないというのは、僕はよく分からないんです。

 この報告書の最後に、実は資料で「北方四島住民支援の流れ」といって、これが付いているんですよ、どうやって流れるかと。これは先ほど言った協定とは全く違うものが付いているんですよ。これ、虚偽じゃないですか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど申し上げましたように、この事業の実際の執行の在り方については、やむを得ない事情があったとはいえ、様々な問題があったと思います。

 それで、今ちょっと見ましたところ、ここの資料に付いているこの「支援の流れ」というのは、そういうロシア側の代表者がいないという状況下において、だけれども北方四島の支援は必要で、やっていく必要があるということを踏まえて、実際にこういう形でやっていますということの流れを表したものだと私は今認識をいたしております。

○福山哲郎君 それと本来の支援委員会が開かれていないことを報告しなかったことは、全く別の問題だと私は思います。
 それで、じゃもう一つお伺いします。

 いわゆるこの支援事業の疑惑の中心になっています一九九九年十月二十四日のいわゆるムネオハウスの完成式典に出席した鈴木宗男議員はどんな立場、資格で出席をされたのか。同じく国後で、二〇〇〇年十月二十九日、ディーゼル発電完成記念式典はどのような立場、資格で出席されたのか。お答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 鈴木議員は、国後島の友好の家及び同じく国後島のディーゼル発電施設の完成式典には、いずれも特別の資格はございませんが、事実上の団長格として参加したというふうに承知しております。

○福山哲郎君 だれが鈴木宗男議員を団長として行かせることを決定したのですか。支援委員会は開かれておりませんよ。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 鈴木議員は、かねてから北方四島住民支援に対しまして多大な関心を寄せておられまして、国後島の友好の家とディーゼル発電施設については現地での式典参加に強い意向を有していたわけでございます。
 そのような状況の中で、事実上の団長格として参加したというふうに理解しております。

○福山哲郎君 済みません。事実上という意味が分かりませんので、はっきりお答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど申し上げたとおり、この二つの完成式典にいずれも特別の資格を持って参加したということではなくて、事実上の団長格というふうに申し上げた次第でございます。

○福山哲郎君 じゃ、事実上の団長というのはどういう意味かと聞いているので、ちゃんとお答えください。御自身がおっしゃったんですから。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 正式に団長として手続を経て選ばれたとかそういうことではなくて、事実上、団長格というふうに申し上げた次第でございます。

○福山哲郎君 百歩譲って鈴木宗男議員が官房副長官の時代に電力事情の調査に行かれた、百歩譲ってムネオハウスのときに鈴木議員が北海道開発庁長官で一応尽力をされたといって、百歩譲ってその流れがあるから行かれたんだとしても、じゃ、外務省は過去の閣僚が手掛けた事業は全部前倒しの閣僚に、この方が道を付けたからといって全部式典に出るんですか。普通、式典はその現職の閣僚が出ていくのが普通なんじゃないんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど申し上げたとおり、鈴木議員は、かねてから北方四島住民支援に対しまして関心を、強い意向を、関心を寄せられて現地での記念式典に出席することを強く要望されたわけでございます。

 このような意向を踏まえまして、外務省としては、これらの機会に同議員が北方四島を訪問することは四島における我が国のプレゼンスを示し、我が国国民と北方四島住民との相互理解及び信頼関係の増進に貢献すると当時判断したものと承知しております。

○福山哲郎君 全く誠意がない答弁だと思うんですが、委員長、いかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今までの質疑を伺っていまして、この支援委員会は正常に機能していたとは思えない。要請があって検討して考慮して決定すると、この正常な手続を踏まないで決定していたおそれがあると。なぜこのようないい加減な決定がなされたのか、よく調査します。

○福山哲郎君 総理、いつまでに調査していただけますか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これはできるだけ早く調査します。

○福山哲郎君 できれば予算委員会の最中に報告を出していただきたいんですけれど、日にちをもう少し特定いただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるだけ早く調査します。

○福山哲郎君 もう時間がないんであれなんですけど、実は、根室に今こういう船が来ています。(資料を示す)

 いわゆる疑惑の希望丸というはしけでございます。これが今、根室に着いているんですが、この希望丸は一体いつ日本に戻ってきたのか、お答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 二月十四日に根室市花咲港に入港したと承知しております。

○福山哲郎君 何の目的で、だれが命令して、だれがこちらへ運航して運んできたのか、お答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この船につきましては、この船の所有者でございます南クリル地区行政府との契約に基づきまして、同船を管理しております港湾管理公社の船長及び船員が運航を担当したと承知しております。

○福山哲郎君 だれがクリルと契約したんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 南クリル地区行政府がこの船の所有者でございまして、その所有者と港湾管理公社との間で管理に関する契約が結ばれていると、こういうふうに承知しております。

○福山哲郎君 港湾管理公社との契約はだれが指示したんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) それは南クリル地区の中の問題だと思います。

○福山哲郎君 じゃ、南クリル地区が直接港湾管理会社と交渉して契約を結んだんですね。間違いないですね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この船の管理につきましては、南クリル地区行政府が港湾管理公社と契約したというふうに聞いております。

○福山哲郎君 委員長、答えていません。今の、答えていません。

○委員長(真鍋賢二君) 福山委員……

○福山哲郎君 全然私の質問に答えていません。

○委員長(真鍋賢二君) 質問者に……(「的確に答えろ」「再度答弁させてください」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 齋藤欧州局長に、再度答弁願います。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この船は南クリル地区行政府に供与された船でございまして、この所有者は南クリル地区行政府。で、この船の管理は、南クリル地区行政府が港湾管理公社に委託する契約に基づいて管理が行われているということでございます。

○福山哲郎君 じゃ、何で根室造船に上架しているんですか。上架というか、今こういう状況です、こういう状況です。(資料を示す)

○政府参考人(齋藤泰雄君) 破損が激しいために修理箇所を調べる必要が生じておりまして、その調査のために根室造船に上架しているというふうに承知しております。

○福山哲郎君 根室造船とはどこが契約をしていますか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 支援委員会がこの希望丸を上架し保管するための契約を根室造船と結んでいるというふうに承知しております。

○福山哲郎君 さっき私がどこと契約したかと言ったときには管理会社しか言わないのに、今ここまで詰めていったらやっと出てきたわけですよ。僕は非常に誠意がないと思うし、これじゃ本当に質問続けられないんですが、委員長御判断ください。ちゃんと注意をしてください。

○委員長(真鍋賢二君) 質疑応答でございますので、感情の変化についての答弁は委員長としてできませんけれども、誠意を持って御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この船の所有者でございます南クリル地区行政府と港湾管理公社との間でこの管理に関する契約が結ばれているわけでございますが、これは南クリル地区内での管理に関する契約でございまして、今回根室に回航されました希望丸につきましては、先ほどのように、破損が激しいために修理箇所を調べる必要が生じまして、支援委員会と根室造船との間の契約に基づいて上架、保管されているということでございます。

○福山哲郎君 最初からそうおっしゃってくれれば話が早いんですよ。
 支援委員会が根室造船と契約をされた根拠をお知らせください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 破損の激しい希望丸の現状を踏まえまして、安全を最優先にするとの観点から、国後島からの航行距離、時間を最短にする必要がございまして、根室市花咲港への受入れとなったと承知しております。

○福山哲郎君 入札は行われましたか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 上架と保管につきましては、随意契約と承知しております。

○福山哲郎君 上架と修理は幾らぐらい掛かる予定ですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 今、破損状況を調べているというふうに聞いておりまして、まだどのくらい掛かるかということを申し上げることはできません。

○福山哲郎君 支援委員会事務局の契約事務取扱細則によると、入札か随意契約か指名競争入札にするかは全部金額が決まっています。金額が決まっていて、まだ見積りが出ていないのに、この取扱細則によれば、まだ見積り出ていないんだったら随意契約できないじゃないですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 今、支援委員会が随意契約を結んだと申し上げましたのは、上架と保管に関する部分のみについてでございます。

○福山哲郎君 じゃ、上架と保管は幾ら掛かるんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 現時点で正確に承知しておりません。

○福山哲郎君 それじゃ随意契約できないじゃないですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 調べて御報告したいと思います。

○福山哲郎君 いいですか。冒頭から申し上げますように、九七年の九月から実は支援委員会開かれていません。

 そこから先、七億円の支援事業は、九九年三十億、二〇〇〇年二十七億、どんどん増えています。さらに、箱物も増え、そして問題のこの希望丸を造った、友好丸を造った根室造船には、鈴木宗男議員に九五年から二〇〇〇年までで二百四十万円の政治献金がある。そして、今回、希望丸が戻ってきたときに、またいつの間にか根室造船に着いている。
 これ、おかしいと思いませんか、大臣。

○国務大臣(川口順子君) その船はそもそも造られたのが根室造船で造られたというふうに聞きましたので、その破損の状況を調べるのはその会社がやるのが多分一番いいのではないかと思います。

○福山哲郎君 じゃ、保管と管理はして、ほかのところに修理が行く可能性もあるということですね。

 正直申し上げまして、これ実は希望丸がないと四島交流できないんです。これ希望丸、五月までにしないと四島交流できないんですけれども、これはどう考えておられますか、外務省。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 四島交流が支障なく行われることを希望しております。

○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長、答弁、再答弁願います。

○政府参考人(齋藤泰雄君) はしけがないと四島交流がうまくいかないという事情があるようでございますが、友好丸というはしけも供与してございますので、その利用をすることによって四島交流を行うことがどうか、私、現時点で断言できませんけれども、そういった可能性もあり得るというふうに思っております。

○福山哲郎君 前年度の予算と本年度の予算にその希望丸の予算は計上されていますか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) されていなかったというふうに聞いております。

○福山哲郎君 じゃ、どうしているんだ、ここに。予算もないのにどうしてここにいるんですか。よく分かりません。

 もう時間がありません。小泉内閣は、残念ながら小泉内閣の大臣、副大臣、政務官を含めて、内閣の中に十一人も鈴木宗男議員から政治献金をもらっている人がいます。これがリストです。金額の多い順に、松下内閣府副大臣、横内正明法務副大臣、それから滝実総務政務官、砂田圭佑財務政務官、下地幹郎経済産業政務官、木村太郎防衛政務官。小泉内閣の一員として、鈴木宗男議員から政治献金をもらった経緯と、今の鈴木宗男議員の疑惑について一言御所見をお願いします。(発言する者多し)いや、今の、今のそれぞれの皆さん。(「大臣か」「指名したら」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)指名しました、今。──分かりました。今指名しましたよ。

○委員長(真鍋賢二君) いや、それはちょっと質問で。

○福山哲郎君 じゃ、松下忠洋内閣府副大臣。

○副大臣(松下忠洋君) 当選回数の少ない人たちを政治活動の支援を通して育てていきたい、そういう気持ちを持っておられたんだと、こう思っております。
 以上でございます。

○福山哲郎君 いや、今の鈴木議員の疑惑の問題について、一言コメントしてください。

○副大臣(松下忠洋君) 国会での議論をお聞きして、幾つかの問題点が指摘されておりますけれども、それを通して、やっぱり政治と、政と官との関係、その在り方についての、深く考えさせられておるところであります。

○福山哲郎君 横内正明法務副大臣、お願いします。

○副大臣(横内正明君) 鈴木議員は、同じ政策集団であります平成研究会に所属する先輩議員でございまして、先輩として政治活動に役立ててくださいと、そういう後輩に対する応援の意味で提供があったものと考えております。

○福山哲郎君 滝実総務政務官、お願いします。

○大臣政務官(滝実君) 鈴木議員からは、私のこれまでの政治活動と申しますか、そういうものを見ていてくださって、資金支援をしていただいたというふうに私は理解をいたしております。

 もう一つ、もう一点のお尋ねでございますけれども、疑惑の解明に御本人も意欲的に取り組んでいただくと、それがこの今一番大切なことだろうというふうに考えております。
 以上でございます。

○福山哲郎君 砂田圭佑財務政務官、お願いします。

○大臣政務官(砂田圭佑君) 政治活動資金として鈴木先生から資金の援助を受けたことは事実であります。
 そして、その後の鈴木先生のことについては、次の証言をじっくり見させていただいて判断をしたい、かように思っております。
 以上です。

○福山哲郎君 下地幹郎経済産業政務官、お願いします。

○大臣政務官(下地幹郎君) 私も、政治活動費として、私が支部長をしております第一選挙区支部に北海道支部から寄附をいただいたということであります。
 そして、鈴木先生のこれからでありますけれども、三月十一日に証人喚問がありますから、それでしっかりと新たな形が出てくるんではないかというふうに思っております。

○福山哲郎君 木村太郎防衛政務官、お願いします。

○長官政務官(木村太郎君) お答え申し上げます。
 私も、同じ党の先輩後輩という交流、あるいはちょうど選挙区においても隣接道県という、そういった交流の中でひとつの寄附をいただいたと、こう思っております。

 なお、二つ目の点につきましては、私自身、事実関係というものを把握しておりません。委員御承知のとおり、十一日、国会の場におきましてその事実の解明がなされていくものと思っております。

○福山哲郎君 一連の質疑を聞いていただいたと思います。私は大変この状況を残念だと思っておりますし、小泉内閣に私も実は期待をした一人でございます。しかしながら、本当に政官財の癒着のひどい状況で、この状況がなければ、この状況を変えなければ私は日本は再生しないと思っていますし、小泉総理、決意とこの質疑を聞いての御意見、御所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回のこの支援委員会に対するいろいろな問題点、よく調査し、今後の外務省改革に生かすのはもちろん、政と官の在り方、これについても、我々同じ国会議員として、今後正すべきは正して、どのようにこの政治改革に進展させるか、真剣に考えていかなきゃならないと思っております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 終わります。


2002/03/07

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