2004年11月10日 | >>会議録本文 |
(民主党ニュース)
年金 集中審議に応じよ 岡田代表が党首討論で迫る
民主党の岡田克也代表と、小泉首相との党首討論が参議院で10日開かれ、イラクでの人質殺害事件、年金改革、イラクからの自衛隊撤退で激論が交わされた。主な論戦は以下の通り。
■イラク人質殺害事件 喧嘩を売るような言い方は問題
岡田 首相の人質事件発生時の言い方は犯人グループに誤ったメッセージを与えたのではないか。
小泉 どういう言い方が良かったのか。
岡田 日本人を救うとの思いが伝わってこない。あれでは喧嘩を売っているようなもの。1人の日本人を何が何でも救うのだとメッセージが伝わってこないのは残念と言っている。
小泉 あの時言ったのは今でも適切だと思っている。
岡田 犯人が凶悪だと言うのなら、救出を放棄していることになる。総理は大変重い責任を負っているので、そうした発言を求めたい。今後の反省材料に。
■年金改革 方向性示し、党内を押さえよ
岡田 国民年金を含めての一元化の抜本改革は今でも必要と思うか。
小泉 一元化はできれば望ましいと思っている。一元化の一番の問題点は納税者番号。自営業者の納税者番号は可能かどうか、現実には無理。所得を把握しないと年金の一元化はできない。早く民主党も三党合意に基づく協議に加わって。
岡田 所得の把握をあきらめていいのか。ごまかす人が得するのがいいのか。納税者番号でより良い制度をつくる、と言っていただければ協議はできる。
小泉 民主党もどういう納税者番号がいいのか言っていない。そういうことを含めて協議を。
岡田 具体的なこと何も言っていない総理に言われたくない。総理は党の中も押さえられないではないか。道筋を決めたうえで協議すればいい。厚生労働委員会で集中審議をしようではないか。
小泉 集中審議のための合意ではなかったか。避けている避けていると言っているが、民主党が避けている。早く協議に参加を。
岡田 参議院で強行採決をしたのは誰か。信頼関係を壊したのは誰か。強行採決したことも忘れずに。
■イラクからの自衛隊撤退 イラク特措置法廃止法に賛成を
岡田 ファルージャに攻撃に際しての発言にも違和感を覚える。命を落とす市民も考えながら、違う言い方があったのでは。
小泉 失敗してもいいと言うわけにはいかない。どういう言い方があるのか。
岡田 総理の言い方は攻撃が前提。2万人も投入しての攻撃がいいのかを問うている。イラクの大統領も「馬の上にいるハエを拳銃で撃ち落とすようなもの」と言っている。ハエは逃げるということだ。サマワが非戦闘地域の根拠は。
小泉 戦闘が行われていない。
岡田 イラク特措置法上の定義は。
小泉 法律上は、自衛隊が活動している所は非戦闘地域。
岡田 自衛隊の活動の期間を通じて、戦闘行為が行われなという根拠を聞いている。
小泉 法の趣旨は自衛隊の活動している所は非戦闘地域とはっきり申し上げる。
岡田 政府が定義をつくった。1年間戦闘が行われないと言えなかったでないか。この非戦闘地域かそうでないかは、憲法につながり、疑義がある。8回にわたり攻撃があった。オランダ軍が3月に撤退した後、自衛隊を誰が守るのか。
小泉 予断を許さない状況ではあるが、戦闘地域ではないので、人道、復興支援をしていく。手を引け、というのはイラクの人がどう思うか。
岡田 自衛隊は給水をしているが、1日200トンから280トン、フランスのNGOは600トンから700トン。自衛隊でなくてもできる。自衛隊でなければできないのならいいが、それを強制することが正しいのか。オランダ軍1300人の穴は簡単ではない。派遣へ期限は12月14日で切れる。野党三党で提出するイラク特措置法の廃止法案に自民党、公明党の皆さんの賛同を得たい。
平成十六年十一月十日(水曜日) 午後三時開会
○岡田克也君 民主党代表の岡田克也です。
総理、答弁は簡潔に是非お願いしたいと思います。
まず第一に、イラク人質事件について一言申し上げたいと思います。
香田さんがああいう形で殺害されたことは極めて遺憾であり、そして、御家族、関係者の皆様に対して心からお悔やみを申し上げたいと思います。
この事件が報じられたのは実は二週間前、この党首討論のその日の朝でありました。私は、この事件について当初から、小泉総理やあるいは政府の対応について幾つか問題があったというふうに考えてまいりましたが、しかし重要なことは人質の無事解放でありますので、それまでは批判がましいことは言わない、そう考えて、二週間前の党首討論でも批判は一切しなかったつもりであります。
ただ、今後のこともありますから、やはり今振り返って、そしてきちんとした検証が必要であると、そういうふうに思っております。幾つかポイントありますが、一つだけ申し上げます。
私が非常に違和感を覚えたのは、この事件が報じられた直後の総理のカメラに向かっての答え方であります。総理はあのときに、自衛隊は撤退しないと、テロは許すことはできない、テロに屈することはできないということを非常に強い口調で言われました。私は、その物の言い方が相手方に、犯人側に誤ったメッセージを送ったのではないか、その可能性があったのではないか、こういうふうに思いますが、総理はどういうふうにお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) たしかあの日は、台風の災害の視察に行く直前、六時前だったと思うんですが、第一報が入りまして、直ちに私は、人質が誘拐されたこの事実を確認しなさいと、そして確認されたならば人質救出に全力を尽くしなさいと、そして、テロリストグループの要求である自衛隊を撤退させろと、これはさせないということをはっきり言いなさいと、テロに屈することはできないと、こういう方針の下に政府を挙げて人質の解放に向けて努力すべしという指示を現地に向かう飛行機の中で指示いたしました。
そして、今、岡田代表が指摘された現地での記者とのインタビューで、自衛隊は撤退させないということでの御批判だと思いますが、私は、あのときに、それでは、自衛隊は撤退させないと、テロには屈しないと言わなかったらどういう反応を受けるだろうか、それを考えていただきたいと思うんであります。あのとき、あれ以外にほかに言い方があったかと。もしこれが問題あるんだったら、どういう言い方がよかったか、聞かせていただければと思っております。
○岡田克也君 テロに屈する形で自衛隊を撤退させるべきではないということはそのとおりであります。私もそのように述べております。
しかし、総理の言葉の中に、一人の日本人の命を助けるんだという、そういう思いがこもっていないんです。犯人に対して、こういった人質の解放、人質を取るというやり方が自衛隊撤退につながらないんだということを、もっとメッセージを込めて言うべきでなかったんでしょうか。あれではもうけんかを売っているようなものですから、もし犯人グループがあの総理の発言を聞けば、これはもうどうしようもない、交渉の余地なし、そう思われても仕方ないと思うんですよ。
日本人一人の命、それを何が何でも救うんだという、そういう総理の気持ちが伝わってこなかったこと、そのことが私は残念だというふうに申し上げているわけです。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 自衛隊は撤退させないということと同時に、人質救出に政府を挙げて全力を尽くしなさいということも言っているんです。
あのときに、私が、その自衛隊は撤退させないということをちゅうちょして、ほかの言い方で、あるいは犯人グループの要求、いわゆる人質を解放するためには自衛隊を撤退させるかもしれないという誤ったメッセージを与えたらどうなったか。私は、そういうことから、あの時点で自衛隊は撤退させないということを言ったのは今でも適切だったと判断しております。
現に、犯行グループはイラク人と結婚している外国人まで誘拐して殺害しています。全く自衛隊とは関係ない外国の、イラクの発展を願い、復興に努力している人たちも人質に取って殺害しております。そういうことを考えますと、あたかもテロリストと妥協して、場合によっては自衛隊を撤退させることも考えているのかなというメッセージを与える方が、逆に日本政府の立場としてどうかなと思っております。
残念ながら、人質、釈放できませんでした、救出できませんでした。このことについては本当に香田さんの御家族の方々にお悔やみを申し上げたいと思っておりますが、あの時点では、私の、自衛隊を撤退させないと、テロには屈しないという発言を、あの時点で、しない方がよかったというんじゃなくて、した方が適切であったと今でも私は思っております。
○岡田克也君 私が申し上げているのは、テロに屈して自衛隊を撤退させないというその方針に異を唱えているのではありません。その総理の言い方、そして今の答弁をお聞きしても、犯人は非常にそういう民間人も平気で殺してしまう過激な存在だと、そうであれば、今の総理の答弁からは、最初から香田さんの救出をもうあきらめていたと、そういうふうにも聞こえますよ。
総理、香田さんのお母さんがこういうふうに葬儀で述べられました。遺体は帰ってきたが、魂はイラクが平和になるまでは戻ってこない。お父さんはこう言われました。息子の生還を自分のことのように祈ってくれた全国の方々にお礼申し上げる、一日も早くイラクに平和が訪れるように祈らずにはいられない。
自分の子供がああいう形で殺された、その御両親が葬儀で、どういう思いでこういう発言をされたのか。やはり我々、政治家として、特に総理は重い責任を負われているわけですから、一人一人の命に対してもっともっと配慮をしたそういう物の言い方を是非期待をしたいものだと、そのことを申し上げておきたいと思います。
何かございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 香田さんの御両親の悲痛な思いを思いますと、何と言っていいか分かりませんが、政府の谷川外務副大臣が現地の対策本部、そして香田さんの遺体とともに日本に帰国し、香田さんの御両親始め御一家にお会いいたしました。
その報告を受けまして、谷川副大臣はいたく感銘しておりました、自分の息子が殺害されてさぞお怒りではないかと、政府の対応に御不満を述べられると思っていたと、しかしそういうことは一切言わずに感謝の言葉を述べられたと、いたく感銘したと谷川副大臣は感心しながら私に報告しておりました。本当に悲痛な思いを隠しながらそのような言葉を発せられる香田さんの思いは、さぞつらかったと思います。
これからも、私どもとしては、こういう悲惨な事件を起こさないように、一日も早くイラクに安定した政権ができるように、できるだけの努力をしていかなきゃならないと思っております。
○岡田克也君 香田さんの御両親がどういう思いでその副大臣に対する感謝の意を述べられたのか、本当に政府や小泉総理の対応に対して十分満足をして、そして言われたのか、私は必ずしもそうは言えないというふうに思います。是非、今後の反省材料としていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
次に、年金の問題について少し議論したいと思っております。
参議院選挙において年金は最大の争点でありました。私は、参議院選挙において有権者の皆さんに対して二つのことを申し上げてまいりました。一つは、少子高齢化の中で、これから負担は増える、そして給付は残念ながら削減せざるを得ない、そのことをやっぱりみんな覚悟してくれと、そのことをまず率直に申し上げました。そして、その負担の一つとして、消費税を三ポイント上げて、この少子高齢化の中で持続可能な年金制度を維持していくために使わせてほしい、そのことを申し上げてまいりました。
いろんな、当然意見はあります。もっと給付が減ることは困る、当然でしょう。負担が増えることも困る。しかし、国民は、私はほとんどの国民の皆さんはある程度のことは理解して、そして我慢しなきゃいけない、そういう思いの中で、民主党の、あるいは私のその発言に対しても理解を示してくれたと、そういうふうに思っています。
問題は、持続可能かどうかということです。持続可能でない制度、そこに国民の皆さんは大きな不安を持っています。それをどうやって克服していくのか。
総理も、今回の改正年金法だけではなくて、抜本改革が必要だということを言われているわけですから、そこは同じ思いではないかと、そういうふうに思うわけですが、しかし、具体的な改革の方向性が政府からもあるいは自民党からも示されていません。私たちは具体的な案を提示しています。
本会議において、私はそこを半歩進めて三つの、三つの項目を挙げて総理に質問をいたしました。しかし、総理からは、木で鼻をくくったような、こういう問題がある、ああいう問題があるという答弁しかいただけませんでした。やっぱりここは真剣に国民の立場に立って持続可能な年金制度を考えていかなければいけないと思います。
そこで、私がまず申し上げたいのは、三点指摘したうちの一つでありますが、一元化の問題です。やっぱり国民年金を含む一元化ということを目指さなければいけない、それが私たちの考え方です。
今までのように、一つの会社あるいは勤め先に入れば四十年間ずっと勤められる、そういう時代ではありません。途中で職業も変わります。自営業の方が会社勤めになったり、その逆もあります。あるいは今のままではどんどんどんどん、企業の負担が重いですから厚生年金から国民年金の方に追いやられていきます。
そういうことを防ぐためにも一つの制度に一元化すべきではないかというふうに私あるいは民主党は主張しているわけですが、ここについて総理のあの参議院選挙における答弁は二転三転したと思います。ここは、本当は総理はどう考えておられるんでしょうか、まずお述べいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この年金の問題に関して岡田代表が言われるように、今までのように給付は厚く、負担は軽くというわけにはいかないと、その点については私は同感であります。少子高齢化の時代にどういう年金がふさわしいか、お互い支え合う、高齢者と若い世代が支え合うという場合には相応の負担を分かち合っていこうと、そして持続可能な制度にしていこうという点については同感であります。
そういう中で、一元化の問題、言われました。私も一元化ができれば望ましいと思っております。そして、本会議での質問におきましても、それぞれの一元化に関する問題点を指摘いたしました。
一元化、全部を言うつもりはありませんが、今言われたように、職業も変わる時代、そういうことから、今までの厚生年金、共済年金、国民年金、分かれていいのだろうかと。できれば一元化したいと思うんですが、その中で一番大きな問題の一つに、民主党は納税者番号を適用しようということであります。
これ、できればいいんですが、現在……(発言する者あり)やる気があればできると言っていますが、必ずしもそうじゃないんです。利子所得、配当所得、金融所得については、納税者番号、やろうと思えば可能だと思いますが、それでもプライバシーの侵害、嫌がる人はたくさんいます。
もっと大きな問題は自営業者の場合です。自営業者の場合の納税者番号は本当に可能なのかどうか。これは、私は、八百屋さんにしても魚屋さんにしても、これどうやって把握するのか、現実に無理だと思いますよ、何人買ったのか、どうやって受けたのか。
だから、そういう点も含めて、私は民主党は早く協議に加わっていただきたいと思っているんです。自由民主党と公明党と民主党で年金一元化を含んだ社会保障全体の問題を協議しようと。で、国会、両院で委員会を立ち上げようということで、岡田さん、当時はたしか幹事長だったと思います。自民党、公明党、そして岡田さん、三人で合意したわけです。
そして今、質問に私は丁寧に答えているんです。一元化するためには所得を把握する。これ、しないとできません。所得を把握する手段として、今、納税者番号入れると。厳密に所得を把握する場合に、今言ったような、本当に自営業者の皆さんまで納得できるような納税者番号というのはどういうものかというのを、岡田さん、民主党が入って、こうやればできるということを協議する場がなきゃしようがないじゃないですか。
なぜ、私にこう言っていることを、その場で民主党の専門家も交えて協議をしないのか。私はそういう点、お互い率直に協議する場を合意に基づいてできるだけ早く立ち上げた方がいいんじゃないか。そして、今、自民党の案はこうだ、公明党の案はこうだ、民主党の案はこうだといって、それを持ち寄って協議すると、お互いの党の立場があります。むしろ、協議案、率直に、政権交代が仮になされたとしても急激な変化が起こらない、安定的な給付と負担、持続可能な制度として、私は協議の場を早く作るべきだと。今言った議論というのは、その協議の中で十分詳細にできるのではないでしょうか。
○岡田克也君 今の総理の御答弁は、参議院選挙の前にテレビ討論などで私とやり合ったときと全く変わっていません。この前の本会議における三つの提案は、実は私としては半歩前に進めて提案しているつもりなんです。総理は全く変わっていないじゃないですか。
それじゃ、今総理おっしゃいましたが、所得の捕捉がきちんとできるんであれば、一元化、国民年金を含む一元化には賛成なんですね。そこだけはっきりしてください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 所得の把握も、どのように把握するかというのはいろいろ方法によって違います。だから私は、所得を把握するためにはどういう納税者番号がいいかということをまず議論して、国民に分かりやすく示す必要があると思います。
今も、納税者番号できれば望ましいということでありますが、貯蓄から投資へという、そういう税制に変えていこうということで、金融の中でも今分離課税取っております。だから、そういう面も含めてよく協議しようと。納税者番号で皆大勢が賛成だと言えば、私はこれは望ましいと。しかし、そこになるまで、今国民の皆さんには納税者番号というのはどういうものかというのはまだはっきり分かっていないんです。そういう点も含めて協議しましょうと。
納税者番号も、党によってどういう納税者番号がいいかというのは違いますよ。どの部分納税者番号を導入するのか、自営業者まで含めて納税者番号を導入するか、これだって大議論が展開されるんです。
そういう点も含めて、私は、せっかく合意したんですから、協議の場を設けて、そういう点を早く議論を始めた方がいいのではないでしょうかということを申し上げているんです。
○岡田克也君 総理、総理のその御発言聞いておりますと、所得の捕捉は頭からあきらめているような、そういう発言ですよね。
所得、これ正確に捕捉をしていく努力を放棄したら、所得税というのはどうやって取るんですか。あるいは健康保険や介護保険だって所得に関係しているんですよ、そういうものを全部いい加減にしていいということですか。やはりでき得る限り所得はきちんと捕捉するようにする。国民に対して、それはいろいろ議論あるでしょう、しかしそれを説得していく。お互い、ごまかした人が得するんじゃなくて、そういう人はごくわずかです、お互いが支え合っていくきちんとした国つくっていこうという、それが政治家の私は取り組むべき態度じゃないですか。
そういう意味で、納税者番号制を導入するというそういう前提の中で、それは一〇〇%捕捉するというのはいろいろ技術的な難しさもあるでしょう。しかし、より良い制度、納税者番号制を入れるという前提の中でより良い制度を検討していく、そこまでおっしゃっていただければ、我々はこの納税者番号制についての議論というのはできるんですよ。やるかやらないか分からないという中では、これ議論しても意味がないんです。
そこを是非、総理、はっきり言っていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今でも所得を把握しているんです。ただ、一〇〇%把握する、そういう場合と、納税者番号でどの程度まで一〇〇%に近づけるかというのとは、それぞれ具体論が入ってくればくるほど難しい問題になってくるということを私は申し上げているんです。
今でも所得は把握しています。しかし、必ずしも、サラリーマンと自営業者とは職業も収入も違うし、経費も違います。そして、会社から給料をもらう方と多くのお客さんを相手にする自営業者と違います。今でも、所得の把握の仕方、サラリーマンと自営業者、それぞれしっかり把握しようということを努めておりますが、これはそれぞれ違いがあります。
そういう点も含めて、じゃ納税者番号で一〇〇%に近づけていくまでにはどういう方法があるかということも含めて、早く議論をしようというのが我々の立場であります。それを決めないと協議に応じないというのはいかがなものでしょうか。それは、民主党の案がはっきりしているかというと、納税者番号を導入しなさいということは言っていますけれども、じゃどういう納税者番号かということは具体的に示していないんです。そういうことも含めて、お互い率直に議論する場を設けた方がいいと私は言っているんです。
○岡田克也君 具体案ゼロの総理に民主党の具体案が十分でないからと言われたくないですね。
ですから、先ほどから申し上げているように、納税者番号制度を入れる方向で具体的中身を検討しよう、そして納税者番号制を入れた上で国民年金を含めた一元化をやろう、そういう道筋を書いた上できちんと議論に入ればいいわけですよ。それが何にもないままで議論していても、結局、制度は詰めたけれども、やっぱりやめた。だって、総理は党の中ですら抑えられないじゃないですか。そういう中で何か与野党で議論してもほとんど意味がないと思われるからです。
もちろん、我々議論することにはやぶさかじゃありません。ですから、まず議論を、本当は自民党が、あるいは政府がきちんと案を作って、そして方向性だけを合わせた上で議論すべきだと思いますが、まずそれじゃ総理、国会の中で厚生労働委員会、厚生労働委員会の中で集中審議やろうじゃないですか。集中審議やろうじゃないですか。
議論を避けているのは与党の方ですよ。この前の参議院選挙が終わって、我々は一か月以上の期間、国会の期間を作って、そして年金問題についてしっかり議論しようと提案しましたが、結果的には、わずか八日間のその期限の中で衆参半日ずつしか議論しませんでした。ですから、この国会も厚生労働委員会開かれています。一般質疑の中で、あるいは集中審議の日にちを確保して、まずしっかりとした議論をこの厚生労働委員会でやろうじゃありませんか。いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 集中審議をするために合意をしたんじゃないですか。民主党の案も入れて、自民党、公明党、民主党は国会で集中審議をするために衆参両院の厚生委員会の中にそのための小委員会を作ろうと言っているんじゃないですか。(発言する者あり)その小委員会が集中議論できないといったら、どういう委員会があるんですか。
何のために合意したんですか。正に、年金一元化を含んだ社会保障問題、集中審議をするために小委員会を衆参両委員会に作ろうというのが合意じゃなかったんですか。それを、避けている避けていると言っていますが、私は、今の協議に応じないという民主党の方がこれ議論を避けているんじゃないかと私は言いたいと思いますね。
○岡田克也君 三党合意では、小委員会を委員会の中に作るということは合意しました。しかし、その小委員会で具体的にどういったテーマについてどういう形で議論するかというのは、これは委員会決議で決めることになっています。そこに至るまでの間、まず今の委員会の中で集中審議やろうと、国会開会中ですから。もちろん閉会中なら小委員会という議論もあるかもしれませんが、開会中ですから、今の国会で、厚生労働委員会で集中審議したらいいわけですよ。なぜそのことを総理は逃げられるんですか。我々は大いに議論しようと言っているんですよ。そして、大いに議論していく中である程度の接点が出てくれば、そうすれば小委員会を設けて専門的に議論することも可能になってくるでしょう。しかし、大枠の議論をまずしなければ、今の総理の御答弁では具体的な小委員会での議論に入れません。
是非、厚生労働委員会で集中審議をすることについて、総理の御答弁をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は答弁しているつもりなんですけれども、なかなか御理解いただけないけれども、正確を期すためにこの合意の文書を読み上げます、簡単ですから。
「三党合意」。「社会保障制度の全般的見直しについて」。「衆議院と参議院の夫々の厚生労働委員会に「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般のあり方に関する小委員会」を設置し、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、平成十九年三月を目途に結論を得て、随時実施を図るものとする。」と。これが1なんです。「1にあわせ、与野党により、平成十六年から年金の一元化問題を含めた社会保障制度全般の一体的見直しのための協議会を設置し検討する。」。
これ、これを、当時の自由民主党の幹事長の安倍さん、民主党の幹事長の岡田さん、公明党の幹事長の冬柴さん、この三名が三党合意として「下記の通り合意する。」という文書を交わしているんですよ。
このとおり早くやりましょうやりましょうと我々は民主党に働き掛けている。そして、経済界の代表も労働界の代表も政府に、早く与野党の立場を超えて協議をしてくださいと私に申入れしたから、じゃ政府もやりますよということで、今、経済界の代表、労働界の代表も入って今協議を進めているんですよ。進んでいないのは政党なんですよ、国会なんですよ。しかも、民主党は合意したんですよ。
私は、合意を重んじて、民主党も早く協議に参加していただきたい、この際、強く改めて申し上げたいと思います。
○岡田克也君 総理、重要なことを一つ言い忘れておられますよ。つまり、参議院において、ならなぜ委員会であんな形で強行採決したんですか。そこでいったん信頼関係壊れているんですよ。壊したのは皆さんなんですよ。そのことをお忘れになって三党合意を持ち出されても、もちろん私自身は小委員会を設けて議論すること、意味があると思っていますから、まだ三党合意破棄するなんということは一回も言ったことありませんけれども、しかし、強行採決をされたということも是非お忘れなく。
そういう中で、いかにして国民の立場に立ってしっかりとした議論をしていくか、そのためにまず厚生労働委員会で集中審議をすべきである、そのことを私は申し上げているわけであります。
次に、イラク戦争、自衛隊派遣の問題について、時間も非常に限られておりますが、申し上げたいと思います。
まず、総理は、ファルージャにおける米軍の攻撃に対して、これを成功させなきゃいけないというふうに言われました。私は、この言葉も非常に違和感を感じました。ファルージャの人口は三十万と言われています。前回、四月の戦いでは八百人の市民が命を落としたと、こう伝えられています。市街戦ですから、今回も空爆もやっていますし、多くの市民の犠牲が出る可能性がかなりあります。
そういう中で、簡単に、こういった問題について、それを賛成するとか支持する、そういうふうに断言していいのか。やはり命を落とす市民の、そのことも考えながら、もう少し違う言い方があったんじゃないか、そういう思いが私は非常にするわけですが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、イラクの暫定政府がファルージャにおける治安の回復というものを重視している、そして来年一月の選挙に向けてファルージャにおいての武装勢力、何とか選挙を妨害させようというテロリストグループ、これを排除しようという強い決意を固めて、今回非常事態宣言をしてファルージャの作戦を展開している。
この作戦というのは、治安を回復するために極めて重要だと思っています。だからこそこれは成功させなければいけないと。成功させない、失敗するということは、あの地域が言わば武装グループ、テロリストグループの拠点になってしまう、一月のイラクの議会を作るための選挙、これに支障になる、だからこそ成功させなければいけない。
また、成功させなければいけないということについて、言い方が悪いと岡田さんは批判しておりますが、失敗してもいいなんて言えるわけないでしょう。(発言する者あり)そう言うと、やじの皆さんはそんなことを言っていないと。成功させなければいけないと言うのはいけないんでしょうか。治安回復のために成功させなければいけないと私は今でも思っていますよ。成功させなければいけないという、違う言い方はどういう言い方が適当なんでしょうか。
○岡田克也君 総理は議論をすり替えておられるんですよ。問われているのは、こういう形でファルージャに市街戦という形で二万の兵力を投入して、そして攻撃をすることがいいかどうかが問われているんですよ。総理は、攻撃があることを前提にして、そして、それは攻撃するという前提で考えれば失敗したら困る、それはそうなるでしょう。しかし、攻撃そのものが問われているんです。
そして、総理はイラク暫定政府のアラウィ首相の発言を引用されますが、しかし一方で大統領は何と言っていますか。大統領は、ファルージャに、ここを攻撃する、こういう形で攻撃することはまさしく馬のその上にいるハエをけん銃で撃ち落とすようなものだと。馬は死んでしまう、ハエは逃げる。現実に今そうなりつつあるじゃありませんか。テロリストグループは逃げていると、もうそういう報道があるじゃないですか。つまり、こういうやり方が本当に良かったのかどうか、そのことが問われているんです。私はそのことを申し上げているわけです。
そこで、自衛隊のサマワにおける活動について、総理はサマワは非戦闘地域であると、こういうふうに言われました。非戦闘地域であるという、断言されたその根拠は何なんでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 根拠といえば、戦闘が行われていないということ、だからこそ非戦闘地域である。(発言する者あり)
○岡田克也君 じゃ、総理、お尋ねしますが、お尋ねしますが、その議論の前提としてイラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラク特措法に関して言えと、法律上、いうことになればですね、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域なんです。(発言する者あり)
○岡田克也君 私が申し上げたのは、イラク特措法における非戦闘地域の定義を言ってくれと言ったんです。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは定義は、それは文書を持ってくればすぐ言えますよ。党首討論ですから、考え方を言っているんです。私は、特措法というのは、自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である、これがイラク特措法の趣旨なんです。(発言する者あり)
○会長(北澤俊美君) 御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。
○岡田克也君 総理、この問題は私、いつか官邸で一度総理に申し上げたことあるんですよ。非戦闘地域の定義は、現に戦闘行為が行われておらず、ここまではいいですね、かつそこで実施される活動の期間を通じて、つまり一年間です、戦闘行為が行われることがないと認められる地域なんです。ですから、私が総理に聞いたのは、これから一年間サマワにおいて戦闘行為が行われないと、そういうふうに言う根拠は何ですかと聞いているわけです。どうですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、将来のことを一〇〇%見通すことはできません。非戦闘地域でなくなった場合には、これは自衛隊は特措法に基づいて撤退しなきゃならない。しかし、特措法についての定義上何かと問われたから、自衛隊の活動している地域は非戦闘地域である。これは法律の趣旨なんです。将来、組織的、計画的、継続的に戦闘が行われるかどうか、これは将来、はっきり一〇〇%、いつどうなるかというのをこの際断言することはできません。しかし、はっきり申し上げますが、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域、これがイラク特措法の趣旨なんです。
○岡田克也君 まあ、まともに議論する気がだんだんなくなっていくんですが、総理、このイラク特措法の中で、非戦闘地域についてあえて、あえて将来戦闘行為が行われることがないと認められる地域と、こういうふうに書き込んだのは非常に重い意味があるんですよ。そして、この定義は政府がお作りになったんですよ、総理がお作りになったんですよ。先ほど総理は、今戦闘行為が行われていないと言われましたが、しかし本当にこれから一年間、新たに自衛隊が十二月十四日以降派遣されて一年間戦闘行為が行われないという説明できなかったじゃないですか。そうであれば、やっぱりこれは非戦闘地域と言えないんです、法律上。言えないんですよ。だから、私たちは自衛隊をサマワに引き続き送ることに対して法律上の問題がある。そして、この法律のここのところは憲法につながる話ですから、憲法上の疑義もある。そのことを申し上げているわけです。
それでは、もう一つ申し上げたいと思いますが、じゃ、この自衛隊員の皆さんの安全の問題です。もう時間もありませんから幾つかまとめて申し上げますが、まず一つは、八回にわたるロケット砲やあるいは迫撃砲による攻撃が行われました。そして、その中にはコンテナを貫通したという、最近一番新しいものはそういう非常に危険な状態になっているというふうに思います。同時に、今まで自衛隊を守っていた、サマワにおいて、あるいはムサンナ県において活動していたオランダ軍が三月十五日をもって撤退をする可能性が高い、こう言われています。その後どうするんでしょうか。一体だれが自衛隊を守るんでしょうか。そういったことについて、まずきちんとした説明、総理の口から聞きたいと思います。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) サマワの地域に、オランダ軍が三月には今の時点では撤退を検討しているということであります。三月の時点になってみなきゃ、三月どうなっているかというのは、まだ私の立場から、オランダのことですからはっきり申し上げることはできませんが、現時点では三月に撤退を検討しているということであります。
私どもとしては、現在の状況につきまして、予断を許さない状況でありますが、いわゆる特措法にある戦闘地域ではないと判断しておりますから、自衛隊の人道支援、復興支援活動を展開していきたいと思っておりますし、そして、私は、一月にイラクの暫定政府が国民議会選挙をやろうと思ってその情勢を作ろうと今必死に治安活動等展開している。そこで自衛隊も、サマワの住民からもまたイラク暫定政府からも、自衛隊の活動に対しては高い評価と感謝を表明を受けているし、引き続き自衛隊の活動を継続してくださいという要請も受けております。
そして、私は民主党も、たしか昨年だと思いますが、新たな国連決議がなされればイラク復興支援のための自衛隊の活動も検討するという基本的見解を述べられているということを承知しております。民主党の主張されたような新たな国際決議が採択されたんです。開戦の経緯はともかく、開戦の経緯は、たしかフランスとかドイツとかロシアとアメリカとの見解は違いました。しかし、その後、国連におきましては、フランスも含めて、ドイツもロシアも中国もアメリカも全会一致でイラク、安定した民主的政権を作るために各国それぞれの国にふさわしい支援をしようという全会一致の決議がなされているんです。それを民主党は希望したんじゃないですか。そういう地域には自衛隊の活用も検討しようという基本的見解を民主党は述べられているはずであります。
私はそういう点について、私は今の時点で自衛隊が、戦闘地域だ、手を引けということは、これだけイラク国民が自分たちの国づくりに必死になっているときに、どういうメッセージを与えるかということも私は考えていただきたい。
○岡田克也君 総理、民主党の言っていることをつまみ食いしないでもらいたい。
我々が申し上げたことは、二つ条件が付いているんですよ。一つは、きちんと選挙が行われて、そしてイラク国民の手に成る政府ができること。今の暫定政府はそこまでまだ行っていません。そしてもう一つは、イラクの状況が安定をして、現在のような状況ではなくて、きちんと、戦闘が行われないそういう地域が特定できること。そういうことが満たされることが自衛隊を出す前提であるということで申し上げているんです。ですから、一部だけつまみ食いして言われると非常に誤解を招くと思います。
総理、もう時間も大分なくなってしまいましたが、もう一つ、この水の問題。自衛隊の皆さんは、本当に現地では御苦労していただいていると思います。しかし、本当に自衛隊でなければできない仕事かという問題もあります。
これはもう既に伝えられておるように、自衛隊は一日当たり二百トンから二百八十トンの給水、まあ水をきれいにする作業をしていますが、しかし、その日本の無償援助四千万円でフランスのNGOが中心になって、もうフランス人は撤退しておりますが、現地の人たちが中心になって一日六百トンから七百トンの給水を行っています、水をきれいにすることはできていないかもしれませんが。しかし一方で、日本国政府は経済協力の中でムサンナ県、つまりサマワのあるムサンナ県に対して送水装置五台の供与などもしています。つまり、自衛隊自身がやらなくても、別のやり方で同じだけの効果あるいはそれ以上の効果が上がることはできるはずです。それが数千万の、あるいは数億のお金でできる。
私は、自衛隊の皆さんも、本当に自分たちでしかできない仕事であればそれは喜んで活動するかもしれない。しかし、本当に何のために活動しているのか分からないような状況の中で自らの命をさらすような、そういう在り方を我々は自衛隊の皆さんに本当に強制することが正しいことなんでしょうか。
私は、ここも含めて、そしてもう一つ、先ほどのオランダの話も、オランダがいなくなった後、果たしてだれが守るのかと。千三百人の穴を埋めるのは簡単なことじゃありませんよ。
そういったことを総合判断したときに、本当に、十二月十四日、期限が切れます、引き続き自衛隊を出すという決断をすべきなのかどうか、私は、是非総理にここは冷静に考えていただいて、そして撤退という決断をしていただきたい。
我々民主党、そして野党三党が出すこのイラク特措法の廃止法案に対して、是非総理、そして自民党の皆さん、公明党の皆さんの賛同をいただきたい。そのことを申し上げておきたいと思います。(拍手)
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もう時間過ぎましたから多く言いませんが、自衛隊は、現地の方にも活動していただけるように、給水活動、自衛隊でなければできないことは自衛隊がやっています。民間人の方は今できません。そして、現地の方ができることはできるだけ現地の方々にもやってもらおうと努力しております。
そういう中で、自衛隊は人道支援、復興支援、現地の皆さんから、一番苦しいときに自衛隊は我々の国づくりに助けてくれたんだなと、協力してくれたんだなという評価を受けるような活動を今後も展開していきたいと思っております。(拍手)
○会長(北澤俊美君) 以上で岡田克也君の発言は終了いたしました。
以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。
次回は、参議院、衆議院、それぞれの公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十九分散会
2004年11月10日 |