2010年6月23日 |
平成22年 沖縄全戦没者追悼式
江田参議院議長 追悼の辞平成22年6月23日
於 糸満市平和祈念公園平成22年沖縄全戦没者追悼式に当たり、先の大戦の犠牲となったすべての戦没者の方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。
65年前の3か月にわたる戦闘は、「鉄の暴風」と表現されるほど激しく、焦土と化した沖縄各地で、兵士はもとより老若男女も国籍の別も問わず多くの住民が命を奪われ、その数は20万人以上に達しました。傷を負い病に侵され、かけがえのない肉親や友人を失った方々も数知れません。沖縄は、長く素晴らしい文化と伝統を培ってきたわが国の貴重な宝なのに、この地に全くふさわしくない理由で、未曾有の犠牲がここに集中しました。犠牲者の無念やご遺族の悲しみ、そして生活のよりどころを失った方々の苦難を思うと、今も痛恨の涙を拭い去ることができません。
「県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」との大田司令官の言葉は、今も心に重く響きます。現在、私たちが享受している平和と繁栄の陰には、沖縄での多くの悲しみと苦難があることを、決して忘れてはなりません。そして、毎年6月のこの機会に、改めて戦争の悲惨さを振り返り、二度と悲劇を繰り返さない決意を固めなければなりません。
昨年から今年にかけて、普天間基地の移設問題をはじめとする米軍基地のあり方が、国政の大きな論点になりました。この問題の歴史を遡ると、どうしても熾烈な沖縄戦に行き当たります。つまり、沖縄戦は単なる歴史ではなく、現代につながる課題です。私たちは、記憶を風化させずに語り継ぎ、沖縄の問題を一地域のこととして傍観するのでなく、自分たちの課題と捉え、よりよい選択のために議論を深め心を通わせ、精一杯の汗をかかなければなりません。私は今、この「平和の礎(いしじ)」を前に、政治の役割の重大さを痛感しています。
結びに、すべての戦没者の方々のご冥福を心からお祈りし、ご遺族の皆さまのご健勝とご多幸、そして沖縄の今後の発展を願って、追悼の言葉といたします。
平成22年6月23日参議院議長 江田 五月
2010年6月23日 |