憲法・外交・軍事について 1998年4月30日
「憲法・外交・軍事」は非常に重大な課題ですが、要点のみ記してみます。
まず、「憲法」について。
日本国憲法は、その成立過程につきいろいろ議論がありますが、そのことはこの憲法がわが国の基本法であり、その内容が基本的に優れていることを左右しません。20世紀中期の憲法としては、「戦争放棄」をはじめ、極めて優れたものです。
しかし、環境権、知る権利、先住民の権利、子どもの権利などの発展を見てもわかるとおり、世界史はその後もこの憲法を超えて発展しています。又、今の憲法ははじめから地方自治が不十分でした。今後の課題としては、集団安全保障(集団的自衛権とは異なる)のシステムを世界に実現することがあります。
ですから、そうしたことを踏まえた「憲法論議」をすることは大賛成ですが、それをいわゆる「改憲論議」に直結させるべきではありません。私は、憲法に準ずる法規として、例えば「安全保障基本法」、「環境基本法」、「地方自治基本法」などを制定し、これらにより今の憲法を豊富にし、2010年ごろを目処にこれらを総合した憲法の書き直しをするのがよいと思います。
次に、「外交・軍事」について。
旧革新はとかくきれいごとだけに逃げがちですが、それではいけません。厳しい現実があります。
例えば、北朝鮮には核開発の心配はないと言い切れるでしょうか。社会主義国イコ−ル平和勢力という方程式は否定されました。北朝鮮の崩壊と難民化の可能性もリアルに考えておく必要があります。
その上で、それでも私は、わが国はあくまで平和外交に徹すべきだと思います。すなわち国際社会の賛同の下に国連のなかで重要な役割(たとえば安保理常任理事国)を分担し、集団安全保障システムとその地域展開としてのアジア太平洋安全保障システムの確立を図るべきだと思います。
自衛隊は、基本法の下で合憲とし、専守防衛のための組織だから、海空を主力とし、また、集団安全保障の役割(その系としてのPKOを含む)は別組織で担い、その指揮権は各国の主権の下から外し、国連に移すべきだと思います。もちろん国連改革はその前提です。
地域安全保障のシステムとしてOSCAP(ヨ−ロッパのCSCEのアジア版)の確立をめざし、その一部として日米安保条約を位置づけます。この視点から見ると、今度のガイドラインは極めて問題です。集団安全保障の視点が欠落していますし、台湾をめぐる事態を想定すべきではありません。又、日米関係は、単に軍事だけでなく、もっと広い基盤を持った基本条約に基づいて展開すべきです。
日中友好は、アジアの安定の基礎です。大切にします。日韓関係ももっとも近い隣国ですから、相互の尊敬の上にしっかりした関係を作ります。
世界のなかの日本を考えるとき、重要な点が3点あります。