2000/03/13 |
○江田五月君 国家公安委員長、そして警察庁長官、綱渡り的な委員会のはしご出席をさせまして申しわけありません。間に合って本当にありがとうございます。 私は、先週の金曜日に実は参議院で民主党・新緑風会、それから日本共産党、社会民主党、三会派で警察問題追及野党連絡協議会というものをつくりまして、その座長をやれということでお引き受けをいたしました。そんな立場もありまして、本日は国家公安委員長と警察庁長官に質問をいたします。 先週の月曜日に同僚の小宮山委員から総括的、網羅的に質問をしていただいておりまして、きょうはそのうちの幾つかのところだけを取り上げて、ちょっと細かな質問にあるいはなるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。 まず最初に、本日の私の質問通告に対して警察庁から国家公安委員長は参議院の予算委員会に出席でこちらの行政監視委員会には出席できないという連絡があって、いろいろ調整をしまして出席していただいたんですが、公安委員長はこの間のてんまつは御存じですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 私は、きょうは予算委員会にずっと出席をしておりましたので、委員が予算委員会の部屋においでになっているのは遠くの方から見ておりましたけれども、どういうお話がされたかということについては承知をいたしておりません。 ○江田五月君 私どもの方のてんまつは、それはおわかりになっていないのは当たり前。ですが、警察庁あるいは国家公安委員会サイドで大分やりとりをされた経過があるんだと思うんですね。 つまり、私が言いたいのは国家公安委員会というものを代表して国会で国民に説明をする人は国家公安委員長一人だけだと。しかし、現実には警察法の中に代理がいるわけですよね。ですから、公安委員長が来られないときには代理がやってきて国民に説明を国会でしてくれればいいじゃないかというのに、それはできないんだと。では、他の国家公安委員の方に来てもらったらどうなんだと、それもできないんだと。しかも、それを警察庁が国会に対して答える、このシステムはどんなものか、こういう話なんですが、いかがですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 私は国務大臣として、政治の場と申しますか、議会あるいは政府と国家公安委員会との連絡役を持っていると思います。そういう意味におきまして、私が代表して議会には対応しなければならない、このように考えております。 ○江田五月君 国家公安委員長が国家公安委員会を代表するんだと、それはそのとおりでもちろんよろしい。しかし、国家公安委員長に故障があるときにはその代理を決めておけとなっていて、決めているんですね。その代理の人がなぜ一体国会に来られないのか。 公安委員長が来られることは、それはそれでもちろんいいんです。しかし、今ここで私、いろいろ調整をして国家公安委員長に来ていただいています。そのかわりに予算委員会の方には国家公安委員会を代表する者はだれも今いないんですね。そういう体制でいいんですかということを聞いているんです。 ○国務大臣(保利耕輔君) そこはできるだけ議会の中で御調整をいただいて、私が両方に出られるように、きょうのような御配慮をいただきますと大変ありがたいわけでありますが、国家公安委員会が議会の場に参りましていろいろお話を申し上げる、審議に加えていただくということについては私は適切でないと思っておりますので、私が代表して答弁をさせていただくというのが私の考えであります。 ただ、公安委員が出席すべきであるかどうか、これは議会対独立した公安委員の皆様との関係でありますから、各党各会派でよく御相談をいただきたいなと、このように思います。 ○江田五月君 余りくどくど言ってもしようがないんですが、警察法の六条というものがあって、そこには国家公安委員長が国家公安委員会を代表する、故障がある場合にはその職務を代理する者、これをあらかじめ決めておけと。現に決めている。この規定だけ見ると、公安委員長一人で対応できないときには代理が対応するということは当然あり得べしと思うんです。 ところが、保利さん、運営規則というのがありまして、その運営規則の六条では故障がある場合とは次々のことであるということが書いてあって、そして国家公安委員会の会議を国家公安委員長が自分で主宰できないときというような規定になっているんですね。つまり、法律で書いてあることを運営規則で狭めてしまって、それがあるからというので国家公安委員長代理は国会に出るという職務は行わないんだというようなことを言われているので、これは本末転倒じゃないかと。後でまたゆっくり議論したいと思います。 いずれにしても、国家公安委員会というのは、これはもう委員長に申し上げるのは釈迦に説法で、国民主権のもとで警察庁や警察運営を民主的にコントロールする国民にとって極めて重要な任務を担っているわけです。この国家公安委員会が職務を十分果たしているかどうかというのは国民の重大関心事。国家公安委員長は当然ですが、五名の国家公安委員の皆さんも国民に対して重大な説明責任を負っている。当たり前ですね。国家公安委員の皆さんも国民に対して説明責任は負っているんです。その説明責任を果たす、果たすということで記者会見やテレビ出演などいろいろ行われているんじゃないかと思うんです。それは大変結構ですが、テレビに出られる、記者会見もやられる。それなのに国会には出ない。 それで、委員長、今、出ない方がいいんだというお答えをされましたが、本当にそれでいいんですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 私が申し上げたいのは、国家公安委員はそれぞれ独立して御判断になる、そういう立場の方だと思っております。その方々はいろいろな御意見等もあるということはお耳にはされるんでしょうけれども、御自身の良心に基づいて御判断をされるという方々であります。 委員御承知のとおり、昭和二十三年に施行された旧警察法では国務大臣は入っておりませんでした。二十九年の改正で初めて、これは大改正でありますが、国務大臣が政府の治安責任というのを果たすという、そういう連絡役で入ったというふうに理解をいたしております。 そういう観点から申し上げますれば、委員の中立性、独立性というのはやはりきちんと守る必要が私はあると思うのであります。政治の場との連絡役は私が全責任を持って国家公安委員会を代表してお話を申し上げるという立場にいるものだと、このように思っておりますものですから先ほどのような答弁をさせていただいたわけであります。 そういう意味で、国家公安委員が個々にお答えをするというのではなくて、やはり私が代表してお答えをさせていただき、またそういう御意見があったということについては私からまた国家公安委員の皆様方にお話を申し上げる、そういう形をとるべきだと私は思っております。独立性を尊重したいと思っておるのであります。 ○江田五月君 警察が政治のしもべになっちゃいけない、それはもう戦前の大変苦しんだ歴史の教訓として我々は戦後警察が政治のしもべになることのないようにという制度をつくった。それはそのとおりで、これは私も今のようなこういう事態があって、そして警察制度を改革しようというときに角を矯めて牛を殺すようなことがあっては、これは絶対いけない、そう思っております。 しかし、警察といえども国民に対して説明義務というものはあるんですよ。一人一人の公安委員が独立して政治的中立で職務を行う。ただ、政治的中立といってもこれはちょっと、同じ政党に何人属したらどうするこうするという規定がありますよね。つまり、公安委員というのはそういう意味では政党に属するようなこともある、そういう任命なので、公安委員会という合議体、会議体でいろんなことを決していく、そういう仕組みになっているわけですね。 ここは行政監視委員会です。大変申しわけありませんが、行政のやっていることを監視させていただく委員会、別に我々が偉いから行政の皆さんを監視しているんじゃないんです。偉いことはありません。私どもだっていろんな失敗もしますし、そんなに人間的にすぐれているかどうかわかりません。それでも国民からそういう任務を負託されて我々は行政の皆さんを監視している。その行政監視委員会に公安委員の皆さんがテレビや新聞に出ていろんなことをおっしゃるのに来られない、そんなばかなことはないと思いますね。 もう一度。 ○国務大臣(保利耕輔君) 法律の専門家の江田委員のお話でありますから私は真摯に拝聴させていただいております。ただ私は、やはり独立して判断をなさる国家公安委員の方はできるだけ外では物を言わないようにお願いをしたいと思っているのでありますが、そういう独立性を私は尊重したいと考えておりますがゆえにそのような御答弁をさせていただいたわけであります。 先ほどもお話を申し上げましたとおり、国家公安委員をこの権威ある行政監視委員会にお呼びいただくかどうか、そういうことについてはぜひ委員会の中で、あるいは国会として御論議をいただいて御結論をいただきたいものと思っております。 ○江田五月君 権威あると言っていただいて大変恐縮ですが、我々個人に別に権威があるわけじゃないので、制度としてそういうことになっているんだということ、これを繰り返して言っておきたいと思います。 委員長、国家公安委員会に独立した事務局もない、あるいは国家公安委員の皆さんが国家公安委員会へ行ってもそれぞれの部屋もない。どんなものですかね。常勤扱いでしょう、年収二千六百何十万という事務次官待遇でしたか、それでまさか忙しいから国会へ一々行って何かできないなんて、そんなことはないと思いますよね。これはこの程度にして、次の問題。 今回の警察問題、新潟のことを特に考えておるわけですが、この焦点の一つは二月二十五日の国家公安委員会の持ち回り方式の議決、これが適法、適切だったのか、その内容は適切だったのかという点にあると思います。 国家公安委員長、保利さん、二月二十五日の持ち回り議決は自分の責任で行ったんだ、この判断が間違っているということであれば任命権者の判断に従う、こう再三にわたって国会で答弁をされていますね。非常にまじめな真摯な態度だと、私が日ごろ尊敬をしておる保利さんらしい態度で、まことに敬服をします。しかし、議論することはしなきゃいけない。 任命権者である総理大臣というのは別に公安委員長の判断が間違っていようが間違っていまいが、ほかのどのような理由であれ、あなたを罷免するということはできるわけです、いつでも。ですから、国家公安委員長の答弁の意味というのは、判断が間違っているということになればみずから責任とって辞職するという、こういう意味だと思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) ちょっとお許しをいただきまして、国家公安委員会のあり方について先ほどちょっと江田委員からお話がございましたので、私が思っていることをまず申し上げさせていただいてその後の御答弁をさせていただきます。非常に重要なことだと思っております。 私、国家公安委員長に任命されました十月五日以来、警察庁に入ってみて大変不思議だなと思ったことがあります。それは、国家公安委員長室というのはございます。しかし、委員の部屋というのは会議場があるだけでありまして、そして事務局体制も必ずしもきちんとした事務局体制ではなかったように思います。つまり、その意味は独立した事務局体制ではないということであります。そこで、私はお願いをいたしまして事務局体制として専任の審議官を置いていただいた。この審議官は国家公安委員会のことだけを仕事としてやっているというのが現在の状況でございます。 それで満足かといえば、私はまだ満足をいたしておりません。少なくとも、国家公安委員会という非常に重要な委員会は独立した部屋を持ち、独立した事務局体制を持って、そして一般から言われております警察の言いなりになっているではないかというような国家公安委員会であってはならぬ、こう思っておるわけであります。 先ほどの御答弁の中で私ちょっと間違えましたが、審議官ではなく監察官でございます。謹んでおわびをして訂正を申し上げますが、監察官が国家公安委員会の専任の仕事を現在はやっております。 しかし、それでも十分ではないと思っております。やがて新しい庁舎ができますので、その場では、どうぞおいでいただいてごらんいただきたいと思うのでありますが、国家公安委員会としての大きな看板を掲げ、そこには事務局があり、そして各委員が、個別の部屋というのはなかなかこの時節難しいと思いますけれども、少なくとも常駐できる自分の机を持つ、そういう形の姿にしていきたいと、こう思っております。余計なことでございましたけれども、大事なことでございますからつけ加えさせていただきました。 その上で、二十五日の判断につきましては、再三申し上げておりますとおり、警察庁長官からこれで持って回っていいかというお話がございました。そこで、これを持ち回りで処理しろと指示をしたのは私でございますから、その責任は私にあります。 余りくどくなるので申し上げたくありませんけれども、任命権者から特段のお言葉がない限り私はこの仕事を続けて日本の治安の維持と、そしてまた警察の秩序立て直しのために懸命の努力をしていきたいと思っておるのであります。 ○江田五月君 今、監察官のお話がございまして、そうすると監察官はあるいは他の政府参考人のような扱いができるのかなという感じがしますが、ちょっとそれはおいておいて。 私どもは、国家公安委員会の持ち回り会議というものは、これは違法なのではないかと思っております。違法じゃないんだという見解もあるようなんですが、保利国家公安委員長が二十五日の会議について持ち回りでやってよろしいと警察庁長官に指示をされたと。 その指示が違法であったら、これは保利さん、どうされますか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 法律の専門家の江田委員とこういう議論をするのは私は非常につろうございますけれども、私は特段の違法はなかったと、そのように判断をいたしております。 なぜならば、基本的な合意というのは既にその時点で五人の委員がつくり上げておりますし、それに基づいて処分案が作成され、それを持ち回ったということでありますので、手続に完全かと言われますと完全じゃない部分もあるかもしれませんけれども、私は委員会の決裁をいただきますその形というのはとれておったと。したがって、私は違法性はないと考えております。この判断についても私は任命権者におゆだねをしたいと思っております。 ○江田五月君 今の御答弁はかなり核心部分なんですが、まず基本的合意は形成されていたんだとおっしゃいました。これはよく言われる二十五日の午前中に警察育英会で、四人の公安委員が出席をしておられて、そして警察庁、だれでしょうか、長官自身ですか、ずっとお話をされたと、これで基本的合意はできておると、さらにもう一人の公安委員と委員長、委員長は今、二十五日に持ち回り決裁の決裁書を見て、これでよろしいということで合意をしておると、そういう形の基本的合意ということをおっしゃるわけですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 基本的合意の問題につきましては田中長官からお話を私は受けております。また、処分案についても田中長官から示されております。私は、この処分案でいいという判断をするものは、まず最初が各委員の皆様方の御判断があって、その上で代表し総理する立場から最終的にはいいと判断をしなきゃならぬと、私はそう考えました。 したがいまして、各委員の先生方がこれで異存がなければよろしいよと言ったのはその意味でございまして、そういう意味で指示をいたしましたのは私であります。 ○江田五月君 確認といいますか、はっきりしないんですが、二十五日の午前中の育英会でのことをちょっと伺いますが、このときは四人の国家公安委員の方はこのテーマで話し合いというものはされたんですか、されていないんですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 私はその会議に出ておりませんので田中長官をして答弁させます。 ○政府参考人(田中節夫君) 一連の経緯を申し上げますと、二十四日の午後に中田…… ○江田五月君 二十五日だけでいいです。 ○政府参考人(田中節夫君) 二十五日の午前中に中田前関東管区警察局長から二度目の事情を聴取いたしました、また小林前新潟県警察本部長につきましては電話で事情を聴取いたしまして事実の全体が把握できたということでございます。 前日、大臣から各公安委員にも報告すべしというお話がございましたので、警察育英会の会合が終了した時点におきまして、私がそこに出席しておられました四名の方に直接遊興等の事実を中心とする小林前本部長、中田前局長の行動を報告いたしました。そして、小林前本部長の処分及び人事措置に関する基本的方針、すなわち更迭と小林本部長につきましては厳しい処分をなすべしという御判断をいただきました。 このときの厳しい処分というのは、私どもといたしましては、懲戒処分には、委員御承知のとおり、懲戒免職、停職、減給、戒告とございますが、停職ということについては考えられませんでしたので、私どもといたしましては委員の御判断はこれは減給の最高のところだというふうな理解をいたしました。 そこで、委員の方にお話を申し上げました…… ○江田五月君 もういいです。時間の関係があって、大変恐縮なんですが、私がここを聞きたいというところを答えていただければ、そのほか、それだけ答えたんじゃ意が伝わらないという思いはあるでしょうけれども、また聞きます。 私が聞いているのは、四人の方は育英会のそのときに話し合いをされたんですかということを聞いているんです。 ○政府参考人(田中節夫君) 四人の方が一緒に部屋に集まったということはございませんで、一部の方はお集まりになる、それからまたお座りになって、そこを踏まえてこういうことでありますけれどもということで御説明をするということで、全体がこれでこうなりますけれどもよろしいですかと言ったら、そうしてほしいと、こういう御意見で基本的合意はあったということでございます。 ○江田五月君 大変恐縮ですが、あなた方はやっぱり会議というものの大切さというものがわかっていないのではないかと思うんですね。会議というのは、みんなが集まってそれぞれ意見を言い合って、そして人の意見も聞いて、自分の意見がそこで変わるかもしれない変わらないかもしれない、人を説得するということもあるかもしれない説得されるということもあるかもしれない、そういうことがあって、いろんな意見が闘わされた上で合議体の結論が出る、これが会議なんですよ。 私は前に裁判官をやっていました。三人の合議というのはどうやるか。もちろん、判決ですから担当者が起案します。しかし、その起案されたものがくるくるっと回っただけ、だれも話も何もしない、そんなことではそれはだめなので、やはりそういう意見をみんなで寄せ合って、ここはこうしましょうという、裁判官の場合には三人の判事室があっていつも顔を合わせていますから、そこでしょっちゅういろんな議論をしているということがあって合議で結論が決まるということが認められているので、顔を合わせて話し合いをするということは会議の本質なんですよ。 田中長官がお一人お一人ずっと説明をされた、それでいいですと皆お答えになった、それでは国家公安委員会というものが戦前の反省を踏まえて警察を民主的にコントロールする、そんなことはできないんですよ、そういうやり方では。やっぱり警察庁の方が全部国家公安委員会を動かしているということになるんじゃないですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) この場合は二十六日に処分をするという方針が決まっておりましたから、二十五日中にこの決裁をしなければならないという緊急性がございましてそういう形がとられたのであります。ただ、私はそれが全く正当であったというふうに言い張るつもりはありません。しかし、やむを得なかったと申し上げたいと思います。 ○江田五月君 もっともっと詰めなきゃならぬところですが、また別の機会にもいろいろ質問させていただきたいと思うんですけれども、育英会のときに田中長官がずっと説明をされた、それで基本的合意ができたというその基本的合意自体が私はおかしいと思います。 次に、保利さん、二十五日に臨時会議を開くという、そのことは全く思い及ばなかったですか。臨時会議を開くということは脳裏に浮かばなかったですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) この処分案が最後に示されましたのは夕方のことでありました。私は、予算委員会分科会、これは衆議院の方でございましたけれども、そういうところに出席をしておりまして、これは委員の先生方の御意思はほぼ決まっているという判断から、持ち回りで委員の先生方が文句なく、問題なくサインをされるようであればそれでいいというふうに指示をいたしました。その責任は私にあります。 ○江田五月君 従来そういう運営をされているのでそれほど問題だというふうにお感じにならなかったということなんだろうと思うけれども、それならばより根は深いということも言えると。警察法の第十一条第一項、そして国家公安委員会運営規則の第二条、そういうものに照らせば、それは定足数や何かのことも書いてあるわけですね、ちゃんと。持ち回りでということでいいんだったら定足数なんかないですよね。 そうすると、二十五日は持ち回り会議じゃなくて、持ち回りで最後の決裁の判こだけもらったんだと、実は合意形成はその前にあったんだというような説明、しかしその前にあった合意形成というのは会議だったのかというとその会議もないというわけですから、やはり相当に瑕疵ある議決だと言わなきゃならぬと思うんですが、二十五日の議決決裁書類を資料として提出していただけますか、公安委員長。 ○国務大臣(保利耕輔君) それは私自身最終的にはサインをしておりますから当然存在いたします。ただ、これを従来お出ししていたのかどうかについては、一般的に懲戒処分等に係る決裁文書につきましては職員の身分取り扱いという個人のプライバシーにかかわるものでございますから、公表するということは現在しておりません。 ○委員長(浜田卓二郎君) ただいまの江田五月君の資料要求に関しましては、理事会において協議をさせていただきます。 ○江田五月君 これはぜひ委員長、理事会で十分な協議をして、ひとつ出させるようにしていただきたい。 どこにプライバシーがあるんですか。すべてもうわかってしまっている。 二十五日の持ち回り議決については内容も非常におかしいと思いますね。二十四日の夜に中田局長から申告があったんだと、そして翌二十五日の午前中に中田局長、小林本部長、双方に聞いて二人の言うことが一致した、そこで遊興の事実が判明したんだと、こういう警察庁長官の繰り返しの答弁ですが、二十五日の午前中の時点でこの二人が行ったのはかけマージャンではないから賭博罪には当たらないんだ、ホテルの支払いは私費で払ったので公金横領には当たらないんだと、そもそもこの官官接待は公務員倫理法などそういうものには抵触しないんだ、あるいは贈収賄にも当たらないんだと、こういうことをちゃんと裏をとって事実を確定したんですか。警察庁長官、どうですか。 ○政府参考人(田中節夫君) 当日の私どもの判断でございますけれども、二十四日の夕刻、それから二十五日の午前中に両名から聞いた事実は、マージャン等の事実もこれは把握してございます。かけているかかけていないかということにつきましては、これはかけていない、それから宿泊につきましては私費で負担しておるというようなことにつきましては確認をしております。 それから、これが倫理規定といいますかいろんな規定に違反しているかどうかにつきましては、これは私どもといたしましては、今回両名の行為につきまして、国家公務員法第八十二条に言うところのいろんな規定に違反しているという事実は確認をしておるわけでございますのであのような処分案を国家公安委員会に御提出し、また私どもの中田前局長の処分につきましても、違反はしている、しかしながらこのような措置をするという判断をしたものでございます。 ○江田五月君 どうも国会で余り細かく聞くのも本当に恥ずかしいようなことなんですが、二十三日の終わるまでの間に、二十四日になる前に警察庁の特別調査班の調査というのは終わっていますよね。その段階では今のことはすべてわかっていたんですか。 ○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘のとおり、二十日に新潟県警察に調査チームを派遣しております。その結果につきましては地方行政委員会でも御報告申し上げておりますけれども、その段階におきましてはこの遊興の事実は把握しておりませんでした。したがいまして、二十四日、中田前関東管区警察局長が私のところに申告するまでは両名の遊興の事実、マージャンの事実、むろん把握しておらなかったということでございます。 ○江田五月君 遊興の事実、マージャンの事実、特別調査班の皆さんがいろいろ調べて発覚していなくて、そして翌二十四日夜、申告があって二十五日の午前中に二人に聞いて一致したのでこれが事実と判明したと。非常に甘いんじゃありませんか。仲間内の口裏合わせで事実を認定してしまっている。 何をどういうふうにかけたか、かけなかったか。図書券というのは、私、たまたま今ここに持っているんですが、図書券をだれかが提供して、それが商品になっているから、したがって財物の得喪という関係にないから賭博に当たらない、そういう持って回った大変ややこしい理屈ですが、国民は信用しないんですよ、それでは。しかも、二人の口裏合わせだけで事実と判明したというんじゃ。 ちょっと聞きますが、通常のマージャンですか、これ。半チャンごとにずっと切っていく、二回回って半チャン終わってそこで一遍精算してと。精算のときには点棒というものはあるんですか、ないんですか。 ○政府参考人(石川重明君) 満貫賞を図書券で出したと、そして順位がございますので恐らく点をつけた通常のマージャンのルールだと、こういうふうに認識をしております。 ○江田五月君 また後でどこかで詳しく聞きます。どうもここでは恥ずかし過ぎる。 だけれども、満貫賞ですから満貫が出たときにはこれが、図書券が動く。だけれども、もしそれだけであとは何もないんだったら点棒なんか要らないですよね。あるいは、半チャンでちゃんと切って精算しながらというならそういうことも要らないですよね。もっともっと聞きたいことはあるんですよ。例えば、チートイツのときはどういうふうに数えるかとか、赤ウーはあるのかどうかとか、いろいろ私も知らぬわけじゃないので。恐れ多くもといいますか、かけマージャンはやったことがあるので、別にそれがいけないというんじゃなくて、そういうことについてはっきりと国民が信頼できない、そこを問題にしているんです。 これは、しかも二人の口裏が合ったから、二人の話が一致していたから事実と判明したんだという、そういうことで、やっぱりそれは幾ら何だって甘いですよね。 一つ、二十五日は、これは国家公安委員会の会議はあったという位置づけなんですか、それともなかったという位置づけなんですか。どっちなんですか。──公安委員長じゃないんですか、公安委員会のことですから。 ○国務大臣(保利耕輔君) 二十五日は金曜日でございまして、定例日ではございません。したがいまして、公安委員会が開かれたという記録はございません。 ○江田五月君 二十八日は臨時会ですね。これは会議はあったんですね。 ○国務大臣(保利耕輔君) そのとおりであります。私が招集をいたしました。 ○江田五月君 なぜ二十八日に招集されたのか。それは二十五日の持ち回り議決がどうもぐあいが悪いと、そこで追認ということなんじゃないんですか。そこでさらに追加の処分ということをお考えになったのかどうか、そういうこともあるかもしれませんが、二十五日のものがどうも据わりが悪いので二十八日にもう一遍ちゃんとという、そういうことじゃないんですか。 ○国務大臣(保利耕輔君) 二十八日は、二十六日に処分を田中長官が記者発表しております、これは夕刻だったと思います、それに対していろいろな世論等がございました、それをどういうふうに国家公安委員会としては受けとめようかということで小林本部長に対する処分、さらにまた中田局長に対する処分について論議をさせていただきました。 その結果、小林本部長に対する減給百分の二十については全員が一致して全く問題なし、こういうことでありました。それから、中田局長のことにつきましては、警察庁長官からあわせて再び事情聴取をいたしまして、五人の委員の方々が一致してこの裁決を了とするという旨の御意思の表明がありまして、それを取りまとめて私は外へ向かって話をいたしましたけれども、それは追認という形式のものではありません。 ○江田五月君 二十五日に持ち回りで議決をした、それは緊急の必要があったからだと、新潟県議会との関係でどうしてもとかいう話ですね。新潟県議会が、三月一日からでしたか、何か本会議場を使ってみんなで委員会全部一緒になって議論する、そこへ小林本部長を出すわけにいかないからという、そんなことのようですが、そうすると、それもどうもおかしいと思うんですがね。それもどうもおかしいと思うんですが、もう時間がない。 もう一人の中田局長を緊急に処分の決定、処分なしと決めたということなんですが、緊急に決める必要というのはどこにもないですね。 中田局長については処分なしという決定をされたんですか。 ○政府参考人(田中節夫君) 中田前関東管区警察局長に対しましては、懲戒権を持っておりますのは私でございますので私から答弁いたしますが、処分なしというふうに言われておりますのは、国家公務員法上言うところの懲戒処分の規定につきましては違反はしているけれども、本人の申告等をもってこれは処分をしないという判断をいたしました。 ただ、これは何回も申し上げておりますけれども、職を辞すべきであるというようなことを申し向け、本人も職を辞しますということも考慮に入れながら、大変悩みましたけれども、本来ならば受けられるであろう退職金も二千万近く減額した上での措置でございますので、それを私は受け入れて国家公務員法に言うところの処分はしないというふうにいたしました。 また、今お話しのように、緊急性というお話がございましたけれども、これは小林本部長が処分をされる同時にやはり私は処分をすべきであるというふうに判断したわけでございます。 ○江田五月君 もう時間がありませんので最後、ちょっと急ぎますが、処分しないという処分があったのなら一事不再理ということはあるけれども、処分しないというそういう決定が特にあったわけでなければ一事不再理ということはないので、二十八日の、これは一事不再理ということをだれが言ったかちょっとよくわからないところがありますが、もやもやしていますね。 二十八日の会議録、それから会議資料、これをひとつ提出してください。委員長、後ほどこの点はお計らいをいただきます。 ○委員長(浜田卓二郎君) ただいまの資料要求の件に関しては、後刻理事会で協議いたします。 ○江田五月君 済みません、もう少し。 保利国家公安委員長、田中警察庁長官の判断と行動、これは違法不適切、重大な職務懈怠、信用失墜、続けていただくわけにいかないと思っておりますが、我々その点を強く求めていきます。 最後に、警察庁に対してちょっと調査の要求だけしておきます。 第一は、全国の警察でマージャンをするときにどんなやり方をしているか、満貫賞のみ図書券を渡すというルールでやれというようなことになっているのかどうか、実態調査をしてください。 それから第二。柏崎警察で、これはちょっとお話がございましたが、被疑者の母親が相談に行った、ところが相談記録簿がないと。これは変なんですね。五年たったらなくなるというんだけれども、五年たった十二月三十一日からじゃない。一年間のものが、一月一日から十二月三十一日まであって、その十二月三十一日になってその翌日の一月一日から五年間ということだろうと思うんですが、そうすると三年間のものがなくなっただけじゃなくてもっとなくなっている勘定になるんですが、いずれにせよ全国の警察で防犯相談記録簿その他保存義務のある帳簿がちゃんと保存されているかどうか、総点検をしてください。 ○委員長(浜田卓二郎君) 江田君、簡潔にお願いいたします。 ○江田五月君 はい、わかりました。 では、次の点は飛ばしまして。 私はやっぱり、委員長、この行政監視委員会は重要だと思うんです。こういうことをやるといったらすぐに、これはたしか東京都のある人が私のホームページに情報を入れてくれて、それでつい先日警察庁の方に尋ねたら、いや、言われることはそのとおりでした、早速善処しますというようなことがありまして、そういうことをどんどん取り上げれば幾らでも出てくるんですよ。やはり警察オンブズマン的なものをつくらなきゃいけない、それができるまで私どもこの委員会が十分に機能しなきゃいけない、つくづくそう思います。 その点を最後に申し上げて質問を終わります。 ○委員長(浜田卓二郎君) 簡潔にお願いいたします。 ○国務大臣(保利耕輔君) ただいまのことにつきましては、私の代になりましてから国家公安委員会としてのホームページを開いております。多数の御意見が寄せられておりますが、やがていろいろな形で市民からの御要望というのが寄せられると思います。そういったものを真摯に受けとめて、私どもとしては国家公安委員会の再生に向けて、警察の再生に向けて努力をしてまいりたいと思っております。 よろしくお願いいたします。 ○委員長(浜田卓二郎君) ただいまの江田五月君の調査要求に関しましても、後刻理事会で協議いたします。 |
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