2000/03/28 |
10時から法務委員会で、「裁判所職員定員法」の質疑。
今日が葬儀の同期同クラスの裁判官、大濱恵弘君のことに触れ、追悼の思いを込めて質問すると前置きして、司法制度改革と裁判官定数の関係、弁護士大幅増員時代に裁判官や職員はどうするのか、速記官の「はやとくん」のこと、家裁調査官と職員総合研修所のこと、そして最高裁判所裁判官のジェンダーバランスなどについて質問。
60歳代の男性ばかりで占められている15人の集団が、世間の常識と理にかなった判断を示せるとは到底思えません。過去に最高裁の女性判事は高橋展子さんただ一人。ぜひ女性を任命すべきだと求めました。法案には賛成。全会一致。
○委員長(風間昶君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 おはようございます。
けさ、実は私は大変心を痛めております。同期でクラスが一緒ですぐ隣の隣に座っておりました裁判官、大濱惠弘君がおととい病死をいたしまして、きょうは一時から名古屋で葬儀というんです。二十期ですから今五十七歳。裁判所のために命を落としたとは言いませんが、去年の暮れには同期の河本誠之君がやはり病気で亡くなると。現職の裁判官の皆さんが本当に苦労しているということを思いながら、半分鎮魂の思いを込めて裁判所職員定数関係の法律について質問させていただきます。
まず初めに、判事補の七十人の増員ですが、その前に、大濱君が実は病気だというのを聞きまして、二月の終わりでしたか、手紙を出しました。三月十二日というのではがきが来ておりますので、ちょっと現職の裁判官の思いですので御披露しますが、御多忙中にもかかわらず心のこもったお見舞いのお便りありがとうございました。
お便りをいただきました当時は自宅にいましたが、貧血がひどくなり、自力でトイレ等も次第に困難になったため、八事日赤に入院することになりました。現在は、食欲もほとんどなく困っています。何とか精神的な力で乗り切りたいとは思っていますが。
江田さんいろいろお世話になりました。どうか江田さんの政治的な信条をいつの日か達成されるよう祈っています。
乱筆乱文お許しください。最後まで心遣いのこもった、そういう思いを持った男でございました。
さて、気を取り直して質問ですが、判事補七十人の増員ということですが、提案理由の説明では、「地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び倒産事件の適正迅速な処理を図るため、」、こういうことをお書きですが、実際は、これは司法修習の制度改正でこの十月に修習終了者が出る。来年の四月まで半年遊ばせておくわけにはいかないというので、この四月とそして十月と来年度は二期にわたって人を採るという、そのための大幅増員ということで、何か七十人、民事事件その他の適正処理のために大変画期的なことをやるなというのはちょっと褒め過ぎという感じなんですが、もう少し詳しくそこの四月のこと、十月あたりのことを説明してください。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今回の増員には秋にも修習生が修習を終了して任官できる状況になるということが関係しておりますが、この間の充員の関係などについて申し上げますと、平成十一年十二月一日における判事補の欠員は十八人でございます。本年四月期の判事への任官やその後の退官等によりさらに欠員が広がりまして、この四月には現在員は合計で七十人程度不足するということが見込まれております。これに、今回の改正によりまして増加される予定の七十人のうち四月から予算上の手当てがされております三十人分を加えた枠で本年四月に司法修習を終える者から例年程度、最近は九十人程度が採用されておりますが、判事補を採用することによりましてほぼ充員される見込みでございます。
その後、十月までに現在員は退官や簡裁判事への任命分などによりまして五十人を超える程度不足することが見込まれております。これに十月から予算上の手当てがされております四十人分を加えた枠で本年十月に司法修習を終える者から例年程度の人員を判事補に採用することによってほぼ充員されるという見込みになっております。
○江田五月君 九十人程度というんですが、私がいただいた資料だと、小さなことですが、平成七年が九十九人、八年が九十九人、九年が百二人、十年が九十三人、十一年が九十七人。九十人というよりもむしろ百に近いあるいは百前後じゃありませんか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 委員御指摘のとおり、ここ数年はそのぐらいの数でございましたが、ことしは、現在願書を出しておりまして採用手続を進めております者が八十七人でございます。これにあと弁護士等からなったりするという可能性もございますが、一応九十人程度というふうに見ております。
○江田五月君 冒頭にも言いましたが、裁判官諸君、本当に現場で苦労しています。現場で苦労している裁判官と大体最高裁事務総局にいる人と相当の意識の差などがあるとかいうようなこともよく言われますが、現場で苦労している人たちのことを本当に考えてやっていただきたいと思います。
裁判所書記官と家庭裁判所調査官の十六人増員、これももう少し詳しく説明をしてください。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答えいたします。
裁判所職員十六名の内訳でございますが、これをいま少し詳しく御説明申し上げますと、裁判所書記官につきましては、四十人の純増のほか、裁判所速記官及び裁判所事務官から各百人を書記官に振りかえるという二百人の増員、合わせて二百四十人の増員をお願いしているものでございます。さらに、家裁調査官につきまして五名の増員をお願いし、合計二百四十五人の増員をお願いしているところでございますが、今申し上げましたように、振りかえ分としての裁判所速記官及び裁判所事務官各百名のほか、庁舎管理業務の合理化等により技能労務職員二十九人を減員することにしておりますので、以上の増減を通じますと、裁判官以外の裁判所職員の増員が十六人ということになるわけでございます。
○江田五月君 裁判官の方の増員、充実ももちろん大切ですが、裁判官だけでは裁判できない。補助職員といいますか、書記官その他が充実していないと裁判官だけ頑張っても空回りをするだけなので、この点は十六人増員、これで本当に十分かなという感じはいたします。
それから、速記官の転換ですが、速記官はもう新規の採用をやめておられる。しかし、それでいいのかなという感じもあるんですね。速記という仕事自体は速記官というものでなくてもそれはできるじゃないかということでしょうが、裁判所の速記官の皆さん方は大変苦労して独自のいろんなソフトを開発されている。
「はやとくん」というのを聞いたことがあるんですが、この「はやとくん」というのは、ちょっと突然になるかもしれませんが、どうされるおつもりですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 「はやとくん」をどうするおつもりかというちょっと質問の御趣旨がはっきりはいたしませんけれども、「はやとくん」を現実に法廷で使っている速記官はおります。
○江田五月君 それはおるから聞いておるわけですが、「はやとくん」という、きょうはもうここでいろいろ説明する時間はありませんから省略しますけれども、速記官の皆さんがいわば自主的に、なかなかすぐれもののソフトのような感じでしてね。時間がありませんが、国会の速記と違いまして裁判所の速記は速記タイプという器械でやりまして、全部紙に記号で出てくる。それにいろいろコードをつないで、ソフトをつけて、もう打つとすぐに反訳文が文章になって出てくるんですね。もちろん、誤訳はありますから、そこをいろいろソフトを開発すると。きょうは医療過誤だからというので、そういうソフトを入れると、そういう。きょうは労働事件だからというと、そういう。そういう非常に早く反訳文が出てくるというのを開発されている。裁判所速記官が勝手にやっていることで最高裁はあずかり知らぬところだ、こういう感じがにじみ出た答弁でしたが、さてそれでいいのか、そんなことも感ずるわけです。
ところで、今回の定員法の改正と司法制度改革との関係ですが、最高裁が昨年の十二月八日に司法制度改革審議会に対して意見陳述をされた「二十一世紀の司法制度を考える 司法制度改革に関する裁判所の基本的な考え方」という文書の中に、裁判所の体制の充実、裁判所の機能の強化ということも書いてあるわけですが、今回の定数増とこの考え方、これはどういう関係になりますか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今回の裁判官の七十人の増員は、民事訴訟事件等、近時の事件数の増加を踏まえるとともに、先ほど人事局長の方から御説明申し上げましたとおり、二期分の司法修習終了者から新任判事補を採用することが可能である、そういった特殊事情を踏まえてのものでございまして、法曹一元や陪参審制度などの司法制度改革論議とは何ら関連をしないものでございます。
○江田五月君 司法制度改革も、結論が出るまで改革を待っていろと言っているわけじゃない。そうではなくて、できるものは速やかにやれと。しかし、抜本的改革については、今の法曹一元、陪参審などを含めてこれから議論をするということで、できることはまずやるという意味で、とりあえず人員の充実、これをやろうと。ですから、司法制度改革と無関係じゃないけれども、別に司法制度改革の行く末を見据えた手を打っているということでもない、そう理解してよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) おっしゃるとおりでございます。
○江田五月君 司法制度改革の中で、言うまでもなく法曹人口の拡大、特に弁護士の数をふやす、これも今大きな課題になっております。もちろん、そのこと自体にも議論がないわけじゃありません。しかし、例えば時代の変化、これまでの規制社会から規制緩和で事後的な救済のそういうシステムにと大きく変わっていく。そうすると、司法の役割というのは今までと比較にならないほど重要になってくるとか、あるいはこれまでも司法に対して、どうも司法サービスは市民から見ると近寄りがたい、もっと市民の司法に変わっていかなきゃいけないんじゃないかとか、いろんなことを言われております。
そういう流れの中で、弁護士の数を大きくふやすということは私はやはり必要なことだと思っておりますが、今一万七千人の弁護士に対して、さてどのくらいかなというので、これは大づかみの数字で、細かな議論を組み立てた上でというわけじゃありませんが、見当としては五万人か六万人ぐらいの弁護士体制、そういう私論も中坊さんあたりから出てきておりまして、私もそう思いますが、仮に弁護士五、六万人体制ということを想定すると、裁判官は一体どのくらい、書記官どのくらい、調査官、事務官、それぞれどのくらいという、何かそういうビジョンというのはお持ちですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今後、社会の法曹に対するニーズというものは多様化することが予想され、弁護士が増加いたしますと、その職域が拡大し、従前の弁護士業務以外の分野に進出していく方も増加するでありましょう。また、弁護士が増加すれば契約書の作成等に関与するなど、紛争の事前予防が進むということも考えられるわけであります。そのようなことを考えますと、弁護士が増加したからといって、必ずしも正比例するような割合で裁判所の事件が増加していくかどうかはこれは一概には言えませんけれども、裁判所へのアクセスが容易になることは明らかでありましょうから、その意味で裁判所の事件数を押し上げる大きな要因になるというふうには考えております。
裁判所としては、そのような事件数の状況も見ながら、弁護士五万、六万ということならば、必要な人員、それに応じた増員というものを図っていかなければならないというふうには考えております。
○江田五月君 弁護士の大幅増員ということはいわば外圧かと思いますが、それだけでなくて、やはり規制社会から自由な社会へと、事後的な司法救済というのが非常に重要になる社会へと転換をしていく。あわせて、これまでの司法サービスというのは市民にとって近寄りがたいものであったという反省、そういうところから、やっぱりこれまでの司法サービスの提供体制ではだめなんだという思いはぜひ持っていただきたいと思います。次に、家庭裁判所の調査官の皆さん方から私のところにもいろんな要望が寄せられておりまして、その中に、家庭裁判所調査官研修所と書記官研修所を総合して裁判所職員総合研修所、これは仮称でしょうが、を建設するという最高裁の計画に対して、家庭裁判所調査官の専門性を損なうのではないかという強い懸念が示されています。
先日、最高裁の説明では、それは杞憂なんだ、こうはっきり言われた。なぜそれが杞憂であるのか。調査官の皆さん方が納得できるような十分な説明をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 家庭裁判所におきましては、家庭裁判所調査官は欠くことのできない基本的な柱でございます。その役割の重要性につきましては最高裁として十分認識しております。
新しい研修におきましても、人間関係諸科学及び家庭裁判所の実務に関する家庭裁判所調査官の専門性を一層充実発展させるということを基本に据えまして、研修体制、研修設備の充実をいたしまして、これまで行われてきた専門的な研修を質量ともに充実させたいというふうに考えております。
したがって、家庭裁判所調査官の専門性が薄れるというふうな懸念は全くないものというふうに考えております。
○江田五月君 今の言葉をそのとおり受けとめたいと思いますが、なかなかそうであるかどうか。
最近、裁判所の中でヒラメという言葉があるようでして、ヒラメというのは何かというと、目が上についていて、上ばかり見ていて、その上のとおりに自分を合わせるということのようで、ヒラメ裁判官じゃ困るんですが、調査官は特に医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識を要求される。その仕事の重要性というのは現代社会の中でますます重要になってくる。重要性が増すことはあっても減ることは決してない。しかも、司法体制全体の中でそういう人間諸科学とのつながりで仕事をする場面というのは調査官のところしかないと言ってもいい。そういう非常に重要なところなので、ここがおろそかになったらやっぱりいけないですね。重大な関心を持ってフォローしていきたいと思います。
職員総合研修所ということになると、例えばもちろん所長は一人、事務局体制も一つの体制になって、そうすると、どうしても今までの司法のあり方からすると、書記官の方に偏って調査官は隅の方にということになるんではないか。調査官の方の研修の事務局体制というものはしっかりとしたものをちゃんとつくるという覚悟がおありかどうか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 調査官の重要性というものは最高裁としても十分認識しており、職員総合研修所を、まだこれはどういった体制を組むかということは決まっておりませんけれども、今御指摘の点も含めてきちんとしたものをつくり上げていきたい、こういうふうに思っております。
○江田五月君 あわせて、今ヒラメというちょっとやゆ、ごめんなさい、どうも昔の仲間ですのでついついきついことを言ってしまいますが、調査官の皆さんの意見を十分聞くと。やっぱり伝統的司法の世界の中にいる人のところに調査官の皆さんが物が言いにくいということがあっては困るので、特に調査官の皆さんの言うことはよく聞いていただきたいと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 今回統合されます研修所につきましては、これまでも調査官の方々の意見を広く聞いております。これからも十分そういう意見を聞いて進めてまいりたいと思っております。
○江田五月君 次に、私たち民主党は、昨年暮れ、司法制度改革審議会にいろんな論点の追加の提言を行いましたが、その中で裁判所のジェンダーバランスということを言いました。特に最高裁のジェンダーバランス、これは性別のバランスということですが、最高裁のジェンダーバランスの問題を取り上げてみたいと思います。
官房副長官、わざわざお越し願って恐縮ですが、最高裁判所の判事、これは長官は内閣の指名、天皇の任命、それでそれ以外の最高裁判所裁判官は内閣が任命と裁判所法三十九条、憲法で定められておりますので、任命権者は内閣ですので副長官にお出ましいただきました。
現在、十五人の最高裁判所判事に女性が一人もいない。これはなぜこういうことになるんですか。
○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) 最高裁判事の任命におきましては、今、江田委員からお話がございましたように、内閣の任命でございます。
それで、識見の高い法律的素養のある四十歳以上七十歳未満の方で最高裁判事としてふさわしい方であれば、当然男女、年齢の別を問わず任命するということは言うまでもないことであります。
これまで女性の最高裁判事が少なかったのは、女性法曹の層が必ずしも厚くなかったなどの事情もあったのではないかというように思っております。しかしながら、近時、女性の社会進出に伴い、次第に最高裁判事の女性候補の層も厚みを増してくるものと思われますので、当然最高裁判事につきましても女性の進出が多くなってくるのではないかというように思っております。
○江田五月君 戦後新しい憲法ができて男女同権になって五十年以上たっているわけですね。この五十年以上の新しい最高裁判所体制のもとで最高裁判事がさて何人できたか。ちょっと数えていませんが、おそらく三けたもある、もうかなりの数になっているはずですが、それだけ大勢の中でただ一人しか最高裁の判事はいない。しかも今はゼロだと。ゼロは今だけたまたまというわけじゃないんですね。ちょっと調べてみますと、現在六十三歳から六十九歳まで、平均年齢は六十六・二七歳、全員男性。これで本当に社会のルールを最終的に決める裁判所としていいのか。
男女共同参画社会基本法をつくりました。前文には、「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。」と。あらゆると言うんですから、司法の場は例外ということはない。これはひとつ内閣の方針でなきゃいけないことで、当然、方針。
それで、そういう内閣の方針を持って、最高裁判事の任命のときにもやっぱりそういう二十一世紀の最重要課題を司法の場でも実現するんだ、そういう思いをぜひ披瀝していただきたいと思いますが、副長官、いかがですか。
○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) これまでは、今、委員のおっしゃったとおり、高橋久子判事のみでございました。しかし、ただいまのお話のように、男女共同参画社会の実現のためにも、できるだけこういった司法の場にも女性の登用が多くなっていくように私どもも願っているところであります。
○江田五月君 先ほど、法曹といいますか裁判官の中にこれまで女性が少なくて適任者がいなかった、そういう事情もあるのではないかということをちょっとおっしゃいましたが、高橋さんは司法畑の人ではありませんね。ですから、最高裁というのは司法畑の人を中心にということはありますけれども、司法畑の人でない人が入ってくることがまた最高裁判事の任用にとって重要なポイントでもあるので、女性が司法の世界に十分これまで育っていなかったということを余り言われない方がいい。
それだけじゃなくて、現実には今随分、かつてもなかなか優秀な女性の裁判官の皆さんがおられた。三渕さんにしても野田さんにしても大変すぐれた方々だったと思いますが、私どもが最初任官する当時は、女性は裁判官に向かないんだ、なぜなら山へ検証に行くのに女性じゃ困るからなんというようなことを、公のところでは言ったことはないと思いますが、実はひそかに言われていたりしましたが、今そんなことを言ったらもう裁判所はもちませんよね。そんな時代になっているので、これは最高裁判事の任命についてどういう手続でやるのかちょっと細かくいろいろ聞いてみたいところもあるんですが、最高裁の方としても女性の最高裁判事及び下級裁判所の裁判官についてお考えがあると思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 委員も重々御承知のとおり、最高裁判事の任命は内閣の重要な権能でございまして、三権分立の建前から申しまして、その権能の行使の当否について私どもが意見を述べるということは差し控えるべきと思いますが、今お話の出ております女性の最高裁判事ということに関しましては、官房副長官もお答えになりましたように、従前は女性法曹の数がそれほど多くはなかったわけでございますが、近年非常にそれが顕著にふえてきております。そういうことで事情が変わってきておるということが言えようかと思います。
下級裁判所の方の裁判官は、最近非常に毎年二十人以上女性が裁判官になることが多いような状況でございまして、全国各地で女性の裁判官が大変活躍しておられる状況でございます。
○江田五月君 最後になりますが、最高裁判事は内閣の任命ですから最高裁としてもなかなか物が言いにくいところだというのはよくわかります。わかりますが、現実には内閣、特に内閣総理大臣がさて最高裁だれにしようかなといってつらつら沈思黙考してというわけではないんで、やっぱりいろんな意見を聞いてやっておられる。裁判所、最高裁の方からのいろんな助言といいますか、意見の具申も当然あると思うんです。どうもそのあたりが甚だベールの中でよくわかりませんが、今、官房副長官のおっしゃるように、女性の登用も考えていきたい、そういうことで、内閣総理大臣の方からひとつ女性のいい最高裁判事の候補はいないかねと言われたら、最高裁どうですか、困りますか、それとも今はもう困るようなことではない、大いに人はいますということになりますか。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 今お話ありましたように、最高裁判事の任命につきましては最高裁長官が内閣総理大臣に対して意見を申し上げるという機会がございます。その際、今、言われたらどうかというふうに言われますと、これは仮定の質問でございまして、ちょっとお答えはしにくい問題でございます。
○江田五月君 しっかりやってください。
終わります。
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