2000/04/03

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参院・行政監視委員会

○江田五月君 昨日の午前一時ごろ、小渕総理が体調不良のために緊急入院をされたということでございます。

 これはやはり、私どもにとっても、もちろん国民にとっても大変な事態であって、私も、夜十時半過ぎでしたか、議員宿舎の自室に戻ってテレビのスイッチを入れたらテロップが出ておりました。それから、十一時半の官房長官の会見ももちろん拝見をさせていただいたし、あとインターネットのいろんなニュースを検索をしてみて、とうとう二時過ぎにまでなってしまった。

 二十二時間三十分これが公表されなかった。しかも、どうも聞くところによると、二日じゅうに何事もなく公務に戻られるということであればその事実はもう消してしまおうという、そういうことであったようなことで、そんなことでいいのかということを私のホームページに書き込んで、それから寝たら二時半で、きょうはいささか眠いんですが、しかし本当に我々にとっても国民にとっても大変なことでございます。

 私もドコモ株問題とか警察問題などで総理を追及いたしまして、私の追及なんかは蚊が刺したほどの刺激もあるかどうかと思いますが、しかし仮に総理の心労の一因をなしたとすればまことに恐縮でございます。総理の一日も早い御回復と公務への御復帰をお祈りしております。

 きょう十一時に青木官房長官から記者会見で国民に対する発表がなされておりますが、やはり国会を通じての国民への説明ということも非常に重要で、官房長官は首相臨時代理という大変な任務におつきになった早々ですから、きょうは官房副長官に御無理をお願いしました。事情の説明をお願いいたします。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) 小渕総理の今回の病状につきましては、官房長官が本日十一時に記者会見で発言したとおりでございまして、病名は脳梗塞であり、現在集中治療室において治療を受けているということでございます。集中治療室での治療の状況等につきましては私どもはまだ状況をいただいておりませんが、治療に現在専念をしているというように聞いております。

○江田五月君 青木官房長官が総理大臣臨時代理につかれた経緯についても簡単に御報告ください。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) 昨四月二日の日曜日の未明に小渕総理が体調の不調を訴えて入院されましたが、その際に青木官房長官がその旨の連絡を受けたと承知をしております。その際青木長官は、総理の従来よりの疲労が蓄積したものと考え、ゆっくり静養してもらった方がいいよという、その旨をお伝えしたというように承知をしております。

 その後、若干の連絡はありましたが、夕方になりまして、官房長官は夕方の七時ごろ病院へ行かれまして、その際総理より、青木官房長官の記者会見でありましたように、有珠山噴火対策など一刻もゆるがせにできないので、検査の結果によっては青木官房長官が臨時代理の任に当たるようにとの指示を受けられた、こういうことでございます。

○江田五月君 そして、きょうの朝九時に、青木官房長官の言葉によると、青木長官の私の一存という、一存でこれは昨夜の指示に該当する事態であるという判断をされて首相臨時代理になられた、こういうことですね。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) そのとおりでございまして、総理が心配をされていますように、有珠山噴火対策等一刻もゆるがせにできない諸課題に対応していく必要があることから、諸状況を判断して本日の九時に臨時代理をお受けすることとしたわけであります。

○江田五月君 昨日の未明一時、入院、その直後とおっしゃいましたか、その後いずれにしてもそれほど時間がたたないうちに青木長官、その連絡はいただいたと、そしてゆっくり静養されたらどうですかと。しかし、夕方連絡があって七時にお会いをした、この指示をいただいたと。八時ごろ集中治療室に入られたというわけですが、その八時ごろ集中治療室に入られたという連絡を青木長官はいつお受けになりましたか。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) 私が直接青木官房長官からは伺っておりませんが、恐らく七時に総理とお会いになってただいま申し上げましたようなお話をいただいて、それでお帰りになった後、秘書官からあるいは連絡があったのかと思います。

○江田五月君 もちろん、お会いになった後で、その前に受けるということはないわけですから後は間違いないんですが、後のいつごろなんだろうかと。けさの十一時の会見では、それから一時間ほどして集中治療室に入られたということだという御発表ですが、その入られた直後に連絡をお受けになっているのかそうではないのか、これはわからないですか。わからなきゃわからないでいいんですよ。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) 私の方ではわかりません。

○江田五月君 昨夜十一時半に官房長官が記者会見をされたときには集中治療室に入っているというようなことはおっしゃらなかったんですね。しかし、そのときには既に官房長官は知っていなきゃおかしいと思います。

 そして、実は夕方六時の新聞、マスコミに対するファクスですか、総理の動静。私の聞き間違いでなければ、たしか朝六時に起床して終日来客なく資料整理等という、こういうファクスを送られている。それについて青木長官は、きょうの十一時に記者の皆さんから質問をされたら、いやそれは私は承知していないと、こういうことだったので、通告をしておきましたが、そのマスコミの皆さんに対する総理の動静というのはだれの責任でだれがいつ発表されるんですか。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) 総理の動静については、マスコミ各社より、総理ないし総理秘書官に本日の動静について個々に記事をとるというように伺っております。

 当日の動静については、どういうような形で本日の総理動静というものが書かれたかについては全く存じておりません。

○江田五月君 これはもう日常のルーチンとしてやられていることで、個々にマスコミにそれぞれ聞かれて話すというようなシステムではないと思いますよ。そんなはずがないんで、しかも私、きょうのたしか十時ぐらいには通告をしていて、そんなに別に調べるのに手間のかかるような話じゃないんですが、今のお答えというのはどうも納得ができないわけですが、ここでとめてもしようがないので別にとめはしません。

 つまり、私どももちろん小渕総理が一日も早く回復されることを祈っている。しかし、総理大臣というのは国家のまさにかなめ中のかなめですから、この人がどういう事態であるかということは、もちろん病気のことですからそんなに根掘り葉掘りということは必要ありませんけれども、だけれどもやっぱり国民みんなの関心事であるのは当たり前なんですね。それが入院から二十二時間半も発表がなかった。しかも、どうもきのうの十一時半の発表のときだって、誠実な対応をされていたのではないんじゃないかと。もうちょっとわかったら正直に言いますということを二度か三度か繰り返し言われたんですが、ということは今言っていることは正直じゃないということを言っているようなものでして、しかもきょうの十一時の発表でもどうもいろいろ問題が残る。そして、今の動静の発表の仕方などを見ても、大本営発表という癖がまだ抜けていないんじゃないかという、そういう感じがします。

 いずれにせよ、きょうはとりあえず小渕総理の一日も早い御回復をお祈りする段階ですからこれ以上いろんなことをつつくのはやめますが、ひとつ副長官からも小渕総理にみんな心配しているということをお伝えいただき、同時にこのいろいろな事態についてはっきりとした正しいことを国民にもあるいは国会にも明らかにしてくれるように要望しておきますが、一言だけ、今の私の要望に対するお答えをください。

○内閣官房副長官(松谷蒼一郎君) ただいまの要望を長官にも伝えておきます。

○江田五月君 では、どうぞ副長官、次の方へ行ってください。お疲れなされませんように。
 さて、本委員会は行政監視を任務とする委員会で早速警察問題、どうもくどいようですが、これをさらに伺わせていただきます。

 保利公安委員長、大変御苦労さまでございます。
 申し上げるまでもないんですが、私が警察問題を取り上げるのは別に警察が憎いからということではありません。私も学生時代に逮捕、勾留なんかをされた経験ありますが、別に今ごろまでそのことを何とも思っているわけでもないし、むしろ逆に裁判官時代には、千葉に勤めているころなんかは令状当番もやりまして、夜中の令状請求なんかも担当しました。千葉からユンボが盗まれた、横浜から船で載せられてどこか外国へ持っていかれる、早く行かなかったらどうにもならぬ、早く審査してくれ、早くといったってこっちは一応資料を見なきゃ令状を出せないという、そういうようなやりとりの中で、警察官の皆さんは本当に御苦労されているということはよく知っています。

 そういう警察官の皆さんが国民から今信頼されないという事態になっていて、これを一体どうするんだと。台風が吹き荒れているときだから頭を下げて、また台風一過、秋晴れになれば大丈夫だから、どうせ人のうわさも何とやらだからと。そういう今をうまく繕って通り過ぎれば、過ごせばいいという事態ではないということ。

 ですから、むしろ警察というものを再構築しなければいけない。新しい警察制度をつくり上げるという、そのくらいなつもりでここは取り組まなきゃならぬということ。それには保利国家公安委員長でやれるのか、そこが問題というわけですが、その問題はちょっとこれからとして、そういうときだと思うんです。

 覚悟について、まず保利公安委員長、田中長官、簡単にお話しください。

○国務大臣(保利耕輔君) 今御指摘のとおり、警察におきましては数々のいろいろな不祥事が起こっておりまして、私も非常に悩んでおるところでございます。

 しかし、今、北海道で噴火をしております有珠山周辺には千名を超える警察官が動員されて交通整理に当たり、あるいは地域の住民の方々のいろいろな御要望に的確に対応していると伺っておりますし、さらにはまた中目黒で電車事故がございましたときには急遽警視庁管轄下の五百名の警察官が動員されて、そこで交通整理あるいは状況点検等に動いたというようなことがございました。そういうことから見ますと、やはり警察の組織というのは現在きちんと動いていると思っております。

 しかし、一部不心得の者がおりまして、国会あるいは国民の皆様に大変御心配をおかけしているところでございますが、私は、そういう警察の現在持っております力というのをそぐようなことがあってはいけない、このように思っておりますので、そういう意味でも、現在持っております警察の力というのを日本の治安の維持のためにきちんと動かしていく体制を整え直すという、そういう気持ちで取り組んでいかなければならない、こんなふうに思っておりまして、私自身、公安委員長として努力をしてまいりたい、このように考えております。

○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘のように、昨年来、神奈川県警を初めとする一連の不祥事案がありまして、不祥事案再発防止対策に組織を挙げて取り組んでいるさなかにまた新潟県で最高幹部らにかかわりますところの不祥事案が発生いたしました。そのほかにもいろいろ不祥事案が発生しているということは委員御指摘のとおりでございます。

 そのような現状を見ますときに、国民の皆様からの厳しい御批判、そういうものを我々は真摯に受けとめて、警察の原点に立ち返って一から出直す、やはり再生の道を歩むという気持ちで頑張っていかなければならないというふうに考えております。

 国家公安委員会に警察刷新会議も設けられました。いろいろ御議論もあろうかと思います。そういう御議論も受けとめ、また我々自身の手で我々自身が再生の道を歩むというような覚悟のもとで渾身の力を振り絞って、全国警察官一致団結して再生の道といいますか新しい警察づくりに努力をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。

○江田五月君 公安委員長もあるいは警察庁長官もその言やよし。しかし、そこに内容が本当に伴うのか、行動が本当に伴うのか、ここが問題なんです。

 例えば新潟における例のマージャンの件ですが、だれに聞いても、私はマージャンを知らないから何ともわからないと言う人はいます、しかしマージャンを知っている人は、いや、あれはうそだよと言うんです。だれに聞いてもそう言うんですよ。それはうそじゃない、本当はああだったのかもわかりません。だけど、皆そういうふうにしか聞かない。うそだと皆笑うけれども、それはわかっているけれども、まあいいやというようなことでしか受け取られていないので、それで事が済むならそれでもいいんです。私も警察ににらまれたくないし、できればもみ手ですり寄っていい子だいい子だと言ってもらえればその方がずっといいんですけれども、しかし私どもはそれでは国民から負託をされている任務にこたえることにならないので、やはり嫌われてもしようがないというので言っているわけです。

 テロリストにミサイルと言うと言い過ぎだと私は言ったら、その言い過ぎだのところを除いて新聞がどこか書いたんですが、そうすると警察の皆さんが江田五月はひどいやつだとか言っているそうですが、私の方をにらむんじゃなくて、そういうような世間の受け取り方をされているということをひとつよく認識していただきたい。

 マージャンについて言えば、マージャンのことなんか本当はどうでもいいんです。だけれども、聞いたら、いや、日本じゅうの警察官の勤務時間後の私生活というのはまじめでございまして、勤務時間はちゃんとやっているわけですから、マージャンのことなんか日本じゅう調べるような必要を認めないので調べない、こういうお答えでした。木曜日でしたか。そうすると、金曜日の朝には、どこでしたか、あれは三重県警管内ですね。捜査の最中に携帯電話で連絡とり合ってマージャンをやって、それはかけていたというようなことを報道されるわけで、私は、私が調査をしてくれと言ったことの答えはどうでもいいんだけれども、ちょっと何かなきゃいかぬと。わかりますか、それ。何かなければ、そういう対応だけでは警察制度の信頼は取り戻せないという、そこは私の悩みでもあるけれども、保利委員長も田中長官も悩んでいただきたい、もっともっと悩んでいただきたいと思います。

 さて、なかなか大変な事件が起きました。先週木曜日、金曜日の週刊誌とかテレビの報道で千葉県警の船橋東署留置場レイプ事件、衆議院の法務委員会でも取り上げられましたが、この事実関係、これを説明してください。

○政府参考人(石川重明君) 今、委員御指摘の事案でございますが、平成七年十一月二十六日の夜でございますが、千葉県船橋東署の留置場で当時看守係をしておった巡査長が留置中の女性の体にさわるといった不適切な行為を行った、こういう事案であります。

 当時、関係者から事情聴取をするなど事案解明に努めたわけでございますが、女性に被害申告の意思がない、刑事立件のための供述が全く得られないということから刑事事件として検察庁には送致はしていない、こういうものでございます。

 ただ、看守勤務員としてあるまじき行為であるということで、内部処分といたしまして関係職員を同年の十二月二十五日付で諭旨免職といたしまして、監督責任として署長以下関係警察官に対して減給等の懲戒処分をした、こういう報告を受けているところでございます。

○江田五月君 ちょっとはっきり聞こえなかったんですが、女性に被害者としての意識がなくて供述が得られないと、そういうお答えだったんですか、今。

○政府参考人(石川重明君) 事情聴取を行って事案の解明に努めたわけでございますが、女性に被害申告の意思がなく刑事事件の立件のための供述が全く得られなかったということから刑事事件として検察庁へ送致はしていない、こういうことでございます。

○江田五月君 被害申告の意思がないと。しかし、これはマスコミなどでも言われていますが、事件の後のことは別として、事件そのものの事実関係というのは、今、体にさわったというような言い方をされましたが、非常にきれいな言い方をされますけれども、それほど当事者間に争いはないようで。そうすると、これは今マスコミで言われていることだけが事実だというわけにはいきませんが、少なくとも言われている事実関係を前提にすると特別公務員暴行陵虐罪に当たる事案であって、親告罪というようなことではない。

 女性に被害を申告する、そういう意思がなくても、特別公務員という身分の人のとるべき行動を著しく逸脱して暴行陵虐に及んでいるということですから、仮にその被害者に被害申告の意思がなくていわゆる親告、告訴ということをしないでも、これはやっぱり全体の公務の信頼性の確保のためにもああいう報道があれば事案というものを認知してもいいのではないか、むしろしなきゃいけないんじゃないかと。捜査の端緒というのは何でもいいわけですね、報道を通じて捜査機関が認知をするということがあっても十分できるので。

 これは捜査をする意思がないということでいいのかどうか、大変私ども疑問に思いますが、いかがですか。

○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘の事案につきましては、ただいま官房長から御説明申し上げたとおりでございますが、その後国会等でもいろいろ御指摘を受けました。

 千葉県警の報告によりますと、被害届をする意思がない、事件の立件ができなかったという報告を受けておりますけれども、今、委員御指摘のように、特別公務員暴行陵虐罪の成否も含めまして、そういう場合でも公判とかいろいろ考えますとどの程度に被害女性の御協力が得られるのかどうかも含めまして現在千葉県警に対し調査を指示しております。

 したがいまして、今、委員御指摘のような問題も含めまして県警において現在調査をしているというふうに私は考えております

○江田五月君 調査をしておる、しかし捜査に着手はしていないということですか。

○政府参考人(田中節夫君) 今お話し申し上げましたように、被害届を出す意思が当時なかったということでございますけれども、具体的にどのような御協力が得られるのかどうかというのも含めまして、それは調査の中には今お話しのように捜査ということもあろうかと思いますけれども、それも法と証拠に基づきまして捜査するわけでございますので、そのような証拠等も含めまして、そういうことが可能なのかどうかということにつきまして、全体を含めて千葉県警において目下調査をしているところでございます。

○江田五月君 保利国家公安委員長、あなたはこの事件の報告は受けておられますか。

○国務大臣(保利耕輔君) 本件につきましては、先週三月三十日の国家公安委員会でこの件の報告がございました。

 今、長官から答弁がありましたように、警察庁が指示をいたしまして千葉県警において調査を進めているということを私どもも伺っております。私ども、これは非常に重要なことだと考えておりますので、国家公安委員会におきましてもこの調査結果に関心を持っております。そして、事案の処理方針あるいは再発防止対策等について警察庁から十分に聴取し、指導してまいりたいと思っておるわけでございます。

 なお、先ほどお触れになりました特別公務員暴行陵虐罪につきましては、時効が七年と承知しておりますのでその期間内にあるものと、七年と聞いておりますのでまだその期間内にあるものと承知をしております。そういった観点からの調査もあり得るなということを私ども頭に入れておるというふうに申し上げておきます。

○江田五月君 公訴時効が七年ですかね。これは七年以下の懲役ですから、公訴時効は五年じゃないかと思いますが、違いますか。私の間違いかもしれません。

○国務大臣(保利耕輔君) 警察の方からの説明を七年で受けておりましたが、今、五年と訂正がございましたので、謹んで訂正させていただきます。

○江田五月君 済みません、余計な注意をしまして。

 この事件は、事件自体も報道されているとおりとすれば極めて深刻で、そしてその後のことについてはまだ事実が報道でどこまでのものであるかというのが確定はちょっとできないですが、しかし神奈川県警と同じ組織的な隠ぺい工作の疑いもある。警察幹部が金銭を使って事件のもみ消し工作を行っていた疑いもある。何より、重大な犯罪の事実を知りながら意図的に捜査をしないという、まことに警察への信頼の根本的な失墜につながるような事件かもしれない。

 加害者の留置場を担当していた巡査長は、もちろん職はやめましたが、警察の御厄介になって、御厄介というのは中に入れられてじゃありません、警察の世話をいただいて、一年間でしたか警備会社に勤めさせていただいてというような、身内でちゃんと面倒を後まで見るという、そういう体制がうかがわれるんですが、今、三月三十日の国家公安委員会で報告をされたということですが、しっかりひとつ個別の事案ではありますが注意を払っていただきたい。

 もう一つ、新潟県警でまた重大事件、白川勝彦元国家公安委員長の私設秘書逮捕、交通違反もみ消し事件、この事実関係を説明してください。

○政府参考人(林則清君) お尋ねの事件は、国会議員私設秘書が上越市在住の会社員を介しまして、平成十一年十月八日、上越市内においてスピード違反で検挙された自営業者から同人の交通違反点数を抹消するよう依頼を受け、その旨当時の県警交通機動隊長に依頼し、依頼を受けた交通機動隊長が平成十一年十月下旬ごろ、かつての部下である当時の県警運転管理課員をして県警運転管理課内の電算機端末装置を操作させ、運転者管理ファイルに記録されていた自営業者の交通違反歴を抹消の上、同ファイルを事務処理の用に供したというものでありまして、公電磁記録不正作出、同供与の容疑で三月十九日に当時の交通機動隊長と当時の運転管理課員の二名を、三月二十六日に国会議員私設秘書、仲介した会社員、違反者の自営業者の三名をそれぞれ逮捕したというものでございます。

○江田五月君 この事件は政治家と警察との癒着の事件でもあります。確かに、私どもの事務所も、私も問い合わせたら過去に依頼が来たことはあるというようなことで、私どもも反省をしなきゃならぬと思います。これを機会にこの種の問題を根絶する必要があるし、そういう意味で今回の新しい新潟県警本部長の果断な処置を私は警察再生へ向けての強い決意のあらわれと見て評価したいと思います。

 この事実関係ですが、公電磁記録不正作出、どこにある公電磁記録ですか。警察庁のホストコンピューターが書きかえられたということじゃないんですか。

○政府参考人(林則清君) さようでございます。

○江田五月君 新潟県警のコンピューター、どこどこ県警のコンピューターとかと思っておったら、そうじゃなくて警察庁本体の、全国を統一的に管理するんですからそうなってなきゃならぬでしょうが、警察庁のホストコンピューターが書きかえられているというんですから、これはやはり相当重要、重大。

 公安委員長、警察庁長官、これを機会にいわゆる交通違反もみ消しはもう根絶をするんだと、そういう決意がおありかどうか聞かせてください。

○国務大臣(保利耕輔君) 今回の事案は私どもも非常に心配しておりまして、三月二十三日の国家公安委員会でこの問題が取り上げられまして、いろいろ御議論があったところでございます。私からも発言をさせていただきまして、こうした不正行為が望ましくは物理的にできないようにしなければならない、人の手にゆだねられているという状態ではまだ心配であるというようなことを言って、それができるかできないかわかりませんが、そこのところの研究をしてもらいたいということを私からもお願い申し上げたところでございます。

 今後、問題点等を十分に洗い出してそういった抜本的な対策をきちんととっていかなければならないと思いますし、国民の皆様方にも御協力をいただいてこうしたことのいわゆるもみ消しというようなものが起こらないように我々も注意をしなければなりませんし、また一般の皆様方にもぜひ御協力を願いたい、このように考えておるところであります。

○政府参考人(田中節夫君) 大臣から御答弁申し上げましたように、今回の事案、決してあってはならない事案が起きたわけでございます。

 このコンピューターシステムそのものにこのような違反行為といいますか違法行為が生まれる余地があるとすれば、これを基本的に直していかなければいけないということで、今回、先ほど大臣の御答弁の中にございましたように、国家公安委員会におきましても、単に通達を発してこの種の事案を防止するのではなくて、システム的にこれを防止するというようなことを考えるべきであるという御指摘をいただきました。

 私どもは、今回このような御指摘も踏まえまして、この種の事案が起きないように努めてまいりたいと思いますし、またいろいろ私どもにはお問い合わせ等がございます。具体的ないろんな問題等につきましては、これは真摯に対応していくのは警察として当然でございますけれども、この種のお申し出がもしあるとすれば、それは窓口におきましてもきちっと対応してお断りをするということを徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○江田五月君 一つ方法として、どうも私は、聞きますと、各県警本部のコンピューターの操作によって警察庁のホストコンピューターに入力もできるし削除もできるということのようで、入力はできても削除は各県警本部からではできないというようなことぐらいのことはそれほど難しいことではないという気がしますが、そういうことをやるおつもりがあるかどうか。

 それから、これは委員長に要請ですが、全国の警察のコンピューターの抹消件数が幾らあるのか、あるいはコンピューターの記録の都道府県ごとの数、保存年限分の反則切符の数、あるいは一たん切られた後是正された反則切符の数などの調査によって、いずれにせよコンピューター記録の抹消とコンピューターに入力される前の段階で交通違反のもみ消しがあったかどうか全国の総点検作業を行ってほしいと思いますので、後ほど。

○委員長(浜田卓二郎君) ただいまの資料要求につきましては、後ほど理事会で協議をさせていただきたいと思います。

○江田五月君 さっきの入力と抹消の関係のこと。

○政府参考人(坂東自朗君) こういった違反の登録は、先ほど刑事局長等からも答弁がございましたように、県警本部の行政処分課において点数というものを入力して警察庁の電算機に登録するということになっております。したがって、登録いたしますのはすべて県警でございますので、その時点で抹消登録しなきゃいけないような案件も生じてまいりますので、基本的にはやはり抹消登録というものも県警においてすべきではないか、このように考えております。

○江田五月君 ホストコンピューターの抹消については警察庁の方でやるという、そのくらいのことはできるんじゃないかという気がするんですが、御検討ください。

 もう一つ問題提起。これは内閣特別顧問に就任されるときに中坊公平さんが新聞のインタビューで言われているんですが、警察署長とか警察本部長などの警察幹部の人事異動があるときに、任地のさまざまな方面から祝い金やせんべつやらがたくさん集まって、人によっては何百万あるいはそれ以上のお金が集まる、それが裏金となってプールされて交際費などに使われていると。私のところに出入りする新聞記者の皆さんと雑談をしていますと、異動のときには警察幹部からせんべつなどをもらうんですよねとかいうそんな話もあるので、接待なども頻繁に行われておる、こんなことも聞いております。

 委員長、人事異動にまつわる警察幹部への祝い金、せんべつ、そしていわゆる裏金、その実態調査、総点検、これもぜひひとつ取り上げていただきたい。

○委員長(浜田卓二郎君) ただいまの資料要求につきましても、後ほど理事会で協議をしたいと思います。

○江田五月君 警察問題、まだまだいろいろ聞きたいんですが時間がありません。長期的テーマの財政投融資機関の問題に移ります。

 もう時間がほとんどないので、いろんなことを聞きたいんですが、きょうは特に郵政省に来ていただいておりまして、財投機関の情報公開、そして財投機関だけではないけれども、ちょっと広がって特殊法人の情報公開ということが今議論になっていて、特殊法人の中でも会社組織のものは一体どうなんだろう、NTTの情報公開というのはどうするんだろうなどということが議論になっておりまして、きょうはそれらすべてにわたって聞くことはできませんが、郵政省電気通信局長の天野さん、わざわざ済みません。今そういうことで、実は私ども民主党の正式の機関として小渕総理・株疑惑解明プロジェクトチームをつくって国政調査権のもとで疑惑解明作業を行っております。しかし、NTTとNTTドコモが大変非協力で困っております。本当に困っております。

 最初は個人のプライバシー以外は国政調査権に最大限協力すると言っていたんですが、最近では例えば地域ドコモ八社の株主の数とか名前、名前まではいいから法人何社で個人何社か数だけ明らかにしてほしいと言うと、NTTドコモ九州は法人五十社、個人十三社と明らかにしてくれたのに、その他はだめだと言う。なぜかというと、個人の中には会社の代表者もいるのでそういうあいまいもことした数字は出せないと。

 何があいまいもこか。個人と法人だったら、それは、実は会社の代表者という資格だけれども個人として株主になっていれば、会社はその個人を株主として相手にして、配当もその個人に出さなきゃいけないので、もし法人に配当を払っていたらこれはおかしいことになりますよね。あいまいもこじゃないんですよ。名義上法人と個人の区別ははっきりしている。全くナンセンスな言いわけだと思うんです。あるいは、NTT出資の会社の合併の際の合併比率の基礎となるデータなどについても、委員会の議決による国政調査権か裁判所の決定以外は出せないと。

 これではNTTやNTTドコモも疑惑の一員ではないかと思われてしまうわけですが、電気通信局長、どうですか、せめて郵政省が持つ資料については積極的に情報提供したり、あるいはNTTやNTTドコモに対して、個人のプライバシーなどにかかわらないものは積極的に協力してはどうか、そういうアドバイスぐらいやってくれませんか、これは陳情なんですが。

○政府参考人(天野定功君) NTTは確かに政府が株を保有している特殊法人でございますが、一九八五年、昭和六十年に電電公社から民営化されました以上、国会の附帯決議もございますが、NTTの経営の自主性に配慮しまして政府の関与は必要最小限とするべきであるということになっておりまして、先生御指摘のようなNTTの個々の経営判断にかかわる資料の提出等につきましてはNTTの自主的な判断で行われるべきであるというふうに考えているわけであります。

○江田五月君 やはり私は、そういう答えをお聞きすると、だって職員は贈収賄の適用もあったりするわけですよね、情報公開制度の中にやはりNTTは加えなきゃいかぬのじゃないかと。もちろん、何から何までと言っているわけじゃありませんよ。そういうことを強く思います。

 きょうは長期的テーマについてはそれ以上触れられなくて、また次に回します。
 私の質問を終わります。

2000//04/03

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