2000/05/08 |
日本中央競馬会の件。場外馬券売場のことで、私が以前山本富夫農水大臣に正した件の続きです。岡山市新福に業者が設置しようとしている売場の件で、平成2年4月私が衆議院予算委員会で質問し(一井淳治さんも別の機会に質問されました。)、同年5月中央競馬会は断念を決めました。ところがまた最近動きが出てきて、住民に不安が広がっているのです。中央競馬会も農水省も、以前と考え方は変わっていないと明確に言明されました。
またこの業者は、施設建設を中止するようにとの指導に挑戦して、建設を続行し、行政との信頼関係を自ら破ったので、競馬会も農水省も「遺憾」の意を表明しました。これは重要です。刑法で禁止されている賭博を公認するのですから、監督官庁との間の信頼関係を守る業者でないと、あぶなくって認められないからです。この「遺憾」の意は、組織として表明されたのであって、人が変わってもこの表明が消えることはないことも言明されました。
次に、民主党の行政改革の基本的考え方を説明。特殊法人改革について、続総務庁長官に正しました。政府には改革の意欲もビジョンもないことがはっきりしたと思います。最後に、特殊法人改革につき3つの提案。(1)情報公開、(2)内閣のリーダーシップ、(3)公法人に倒産法制を適用することです。
○江田五月君 この通常国会の会期は六月十七日までなんですが、どうも今月中にはもう国会は事実上終了する、いやいや、今月中どころか衆議院はもう十何日までだとか、参議院だって早く持ってこなきゃだめよとか、いろんな話が今出ている、そんな情勢のようです。
そこで、きょうは私は民主党・新緑風会を代表しまして、本委員会のこの国会での長期的テーマである財政投融資対象機関の点検について民主党の基本方針を明らかにして総務庁長官と議論をしてみたいと思います。
本題に入る前に特殊法人の一つである日本中央競馬会についてちょっと質問をしておきたいと思います。
日本中央競馬会は財投対象機関ではない。しかし、資本金の構成を見ますとざっと五十億ですか、平成十一年版の特殊法人総覧によりますと。これが全額政府出資であるということで、しかも日本中央競馬会法という法律で設立をされている。その法律の第一条は「競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与する」、そこで中央競馬会をつくるんだと。中央競馬会の定款を見ますと事業の目的は「競馬の健全な発展を図って、馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与することを目的とする。」、こういう大変高邁な公益目的が書かれているわけでございますが、やはり行政監視委員会が財投対象機関について議論をするというその主旨に合致する、そういう機関であろうと思っております。
初めに総論ですが、日本中央競馬会というのはそういう機関で、しかも一方で刑法では賭博というものは禁止されています。賭博を一般的に禁止するかどうか、どういう立法論をとるかというのは立法政策上の問題であって、我が国では一般的に禁止をして特殊な場合にこれを許すと。一般的に禁止するというのは、やはり賭博というのは射幸心をあおるといいますか、刑法の本などによると国民の健全な勤労意識を阻害するからというような、昔何かそんなことを読んだような気がしますが、そういう特別に許されている競馬というものを管理する日本中央競馬会で、これがどんどんとにかく日本中に競馬が愛されて広がっていけばいいというものではないということなんだろうと思います
そこで、場外馬券売り場というものについて一定の制約的な態度でこれを設けておる。昭和三十六年に長沼答申というものがありまして、それは増加しないことを原則とする、しかしその後のみ行為のことなども考えて昭和五十四年に吉国答申というものが出て、ある程度節度を持ちながら、いろんな調整を図りながら多少ふやしていこうという、そんな方向で来ているかと思いますが、現在はこの昭和五十四年の吉国答申の考え方から変化はあるんですか、ないんですか。お願いします。
○政府参考人(樋口久俊君) お答え申し上げます。
基本的にはその当時の考え方を踏襲していると考えていただいて結構だと思います。
○江田五月君 そこで、これは私の地元の問題で恐縮なんですが、岡山市新福というところがございます。住居地域で場外馬券売り場をめぐってもうかれこれ十年以上にわたって議論が続いております。この問題について、以前といってもかなり以前ですが、平成二年に私は、衆議院議員時代だったわけですが、国会で当時の山本富雄農水大臣に質問をいたしました。現在の高官山本一太参議院議員のお父さんでございます。そして、地元の同意がない限り開設はしないということで決着をしたと思っていたんですが、最近またどうもいろんな動きが出てきたようで地元の皆さんは大変心配をしておられます。
この件について何か事情が変わったのでしょうか。まず中央競馬会の方からお答え下さい。
○政府参考人(高橋政行君) この案件につきましては、先ほどちょっと申しましたように、平成二年五月二十二日付でしっかりと我々としては断念するという事を関係機関、つまり岡山市長であるとか地元の皆さん方にも表明しております
それから、その後も動きといたしましては平成四年三月二十三日に岡山市議会で新福町と表町の二ヶ所に場外発売所の設置請願というのが出されまして、しかも市議会でこれを採択するというようなことがございました。
これに関連して国会でもちょっと議論がございまして、その時にJRAの態度を問われておりますが、同年三月二十七日に参議院の農水委員会におきまして、当時の理事長が参考人として出席をいたしまして、JRAとしては断念するという姿勢は変わっていないということを答弁しておりまして、その後現在に至るもその態度に変わりはございません。
○江田五月君 同じ質問、何かその後事情が変わったことがあるのか、あるいは事情の変化について何か事態を把握しておられるのか、農水省の方はどういう認識ですか。
○政府参考人(樋口久俊君) 今、理事長からも御答弁がございましたけれども、本件、岡山の新福地区の馬券売り場につきましては、かなり以前からの話でございますけれども、その当時、いったん仕切がされてございまして、その扱いについて日本中央競馬会から平成二年五月二十二日付で設置断念をしたということを設置希望者の他行政当局などにきちっと通知したという旨の報告を私どもにもきちっとされております。
それ以後、競馬会からは本件をめぐっての報告は受けておりませんので、私どもとしましては現時点でも日本中央競馬会の姿勢は当時と変わっていないと承知をいたしております。
○江田五月君 そういうお答えをいただければ大変安心するんですが、しかしいろんな事があるんですね。地元では反対をしている町内会の役員さんにその人のいろんな人間関係を調べて各方面から手を回してくるとか、家を建ててやるからそっちへ移ったらどうだと言ってくるとか、いろんな事が聞かれる。反対している町内会を二つに割って馬券売り場のあるところの町内会だけを賛成に持っていこうとか、よその方の町内会と二つくっつけて賛成派を多数にしようとかいろんな話があります。
それは町内でそういうことが話題になるんですからやはりそういういろんな動きがあるんだろうと思いますが、そういうこそくな、強引なことをして、それで地元に同意があるという事にこれはなるんですかね。
もう平成二年の時に確認をしておるんですが、地元の同意というのは、何が地元かというので、地元というのは言葉の定義を何平米とか何キロとかそれは難しいけれども、要するに場外馬券売り場が設置されることによって影響を受ける地域社会の生活環境を共通にする区域、そういうところの同意と。
つまり、たとえば住居地域であればそこは良好な住まいの環境がなきゃ、壊されてはいけないわけですから、そういう馬券売り場が来ることによって、人が車に乗って、あるいは自転車であるか何であるかわかりませんが、大勢やってきて、馬券に目を血走らせると言うと言い過ぎかもしれませんが、地域の良好な生活環境が害される、そういうコミュニティーが地元である、そこの同意が要るという事なので、町内会を二つに分けるとかくっつけるとかということで強引に同意を取り付けるといった、そういう性格のものではないと思うんですが、日本中央競馬会はどう認識しておられますか。
○政府参考人(高橋政行君) ただいま先生お話ございましたように、地元の範囲というものは場外発売所設置に伴って想定される影響を受ける範囲ということで、具体的に一般的にこういう範囲だということを明言することはなかなか難しいわけでございますが、当時、岡山市のこの案件につきましてどういう範囲であったかといいますと、新福町と豊浜町を地元というふうに考えておりまして、それを何か分割するとかしないとか、そういう議論はしたことはございません。
○江田五月君 農水省の方はどうですか。
○政府参考人(樋口久俊君) 一般論で申し上げますと、市の場合は基本的に町内会同意ということでございまして、その範囲は今理事長からお話があったとおりでございます。
○江田五月君 要するにこれは、私もしつこいかもしれませんが、業者もかなり強引なんですね。いろんな強引な方法で地元の皆さんに対して介入をしてきて、そして何とか同意を取り付けようということをやられる。しかし、そういうことはされない方がいい。
平成元年十一月にこの問題が取り上げられまして、当時の鹿野農水大臣が答弁されて、これはやはり地元の同意、調整というのが必要なんだ、それがなきゃできないということで、そして平成元年十二月には日本中央競馬会はこの業者に中止の要請をされた。そして、二月の上旬に、建築確認は出てしまって建物ができた。十二月に中止要請があったのに建物までつくったのですからやや強引ですが、それでも建物ができた。ところが、まだそれでも四月初旬まで内装であるとか周辺であるとかいろんな工事を続けた
平成二年四月二十六日に私が衆議院で質問させていただいたときには、農水省もそういう行政指導に対して、これにいわば反抗するがごとき態度で既成事実を積み重ねて持っていこうとするやり方は遺憾であるとおっしゃった。日本中央競馬会の当時副理事長さんがお見えだったと思いますが、かなりいろんなやりとりの結果、やはりそれは遺憾だということをお話になった。山本農水大臣も、どういう言葉でしたか、地元の方々の調整が行われない限りは承認を行うつもりはないということをはっきり申し上げておきたいと思いますと言う答弁をされて、この業者についてはある意味でクリーンハンドがないんじゃないかということがみんなの共通の認識になっていたと思うんですよ。
冒頭にも申し上げたとおり、一定の行政目的があって一般には禁止されている賭博を特別な形で許可するわけですから、何でもかんでも行政の言うとおりにしろ、行政というのはいつも強い権限を持ってというのがいいとは思いません。いろいろと規制緩和もしなきゃならぬ、行政も手を引かなきゃならぬところがいっぱいある。しかし、この場合に限っては、国会の国政調査のもとで行政がやっている。その行政の言うことを聞く業者でなければ困るので、行政の中止要請などに平気で挑戦をしてくるような業者にこういう場外馬券売り場というようなことを認めてはいけないと強く思いますが、この業者は競馬会の皆さんもよく知っている競馬サークルの一員なんですから、強引なやり方を金輪際しないように厳しく指導してほしいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(高橋政行君) ただいま先生の方からお話がございましたように、まさに我々といたしましては場外馬券場の設置にあたっては地元住民の意向を尊重するという、これを基本方針としてやってきておるわけでございまして、これに反するような強引なやり方、特にそういうようなこともありまして、さらに住民の感情を逆なでするというようなことも現にあったわけでございます。
したがいまして、いろいろ紆余曲折はございましたが、平成二年五月二十二日に設置断念と言うことに踏み切ったわけでございまして、我々といたしましてもこの場外設置に当たっては先ほど申しました基本的な方針に立って対応をしていきたい、こういうふうに思っております。
○江田五月君 確認ですが、平成二年の段階で日本中央競馬会としてはこの業者に対して非常に心証を害されているわけです、遺憾であるということをおっしゃっているわけです、組織として。
人はかわったかもしれませんが、害された心証がいつのまにやら時効でいえてしまったなんということはないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(高橋政行君) まさに、心証を害したといいますか、そういうようなこともありまして断念に至ったわけでございまして、その時の気持ちは現在もかわっておりません。
○江田五月君 その時の気持ちは変わっておらないと。
農水相はその点、そのとおりだという認識をお持ちになりますか。
○政府参考人(樋口久俊君) 現状について全く情報を有しておりませんので何とも申し上げにくいんですが、私どもが従来からやってきております地域社会との調整を十分図るようにという指導方針は全く変わっておりません。
○江田五月君 しっかりと指導監督をお願いいたします。
どうもありがとうございました。
さて、本題ですが、財投改革、財投機関の点検、その一番もとはやはり行政改革であろうと思います。私たち民主党は昨年五月に、私が責任者だったのですが、「行政改革に対する基本方針」というものをまとめました。
ちょっと長くなって恐縮なんですが、一人で演説しても仕方がないんですが、ちょっと我々の考え方をここでおさらいしてみますと、まず基本的な考え方としてこれまでの行政改革が、何度もやっているんですね、行政改革、行政改革、いずれも不徹底に終わってしまった。去年やったものが不徹底に終わったか、それともちゃんとなっていくか、それはこれからと言われるかもしれませんが、私どもはこれも不徹底に終わると見ております。
今までのものがなぜ不徹底に終わったか。理由は三つある。一つは、行政改革の基本理念が不明確なまま作業が進んだ。二つは、行政改革は不断の営み、絶えざる営みでなければならないのに、いずれも短期でこれでおしまいということになってしまった。そして三つは、行政改革を責任を持って行う主体、だれが行政改革をやるんですかという、これがどうも定められなかった。この三つが理由であると思います。
したがって、私たち民主党の考える行政改革は、二十一世紀の新しいこの国の形について明確なビジョンを持ち、それに向かって一貫性を持って不断の取り組みをし、しかもその責任主体を明確に定めて行う。具体的には、首相府設置法とか内閣府設置法とか、そういう法律を提案していたんですが、これによって権限と能力が強化をされた内閣総理大臣と内閣、これを責任主体として行政改革に不断に取り組む、内閣府の中に行政改革を行っていくことを所掌任務とする機関もきっちりつくる、そういうものでございます。
一方、政府の中央省庁再編による行政改革は、政府が何を実現するために省庁の再編をするのか、その最も基本的なことが明確になっていないんですね、理念なき形だけの行革。私が行政改革特別委員会で今回の中央省庁等改革法案で国の人間と権限と財源はどのくらい減るんですかと質問したら、当時の太田誠一総務庁長官の答えはゼロ、つまり減るものはないということだった。ちなみに私たち民主党は半分以下に削減をすると、こう申し上げております。
民主党の行政改革の基本理念は明治以来のよらしむべし知らしむべからずという国家主義的な行政を民主主義の理念のもとに抜本的に改革するんだと。すなわち、国の行政分野をスリム化する、原則として国でなければ行えない外交とか防衛あるいは通貨、法務などの権力行政、それと行政サービスを提供する給付行政のうちの最低基準、ナショナルミニマムと調整ルールづくり。もう一度言いますと、国でなければ行えない外交などの権力行政、これはやっぱり国がやらなきやいけない。それから、行政サービスを提供する給付行政については最低基準を決める、そしてそれに向かって調整ルールをつくる、ここに限定して国が行う。その他については徹底して市場へ、市民へ、地方へという振り分けを行う。その結果、給付行政、サービス行政、公共施設、社会保障、資金助成などは地方自治体の事務になると。
こうやって簡素、効率、透明というものを実現するということで、省庁再編についてもまず官民関係の基本を決める。地方に移譲する権限と財源を決めて、これは移す。中央省庁の事務の中で廃止するもの、外部化するものを決めて、これも移す。こうして中央省庁の総仕事量を決定して、しかる後にいかなる省庁再編が必要かを決める。そうすると、なるほどこの仕事があるからこういう省庁でやろうということが出てくるわけで、人間も権限も財源も滅るものがゼロで、今のままの国の人間、権限、財源のもとで中央省庁を幾ら再編したってしようがないというのが私たちの考え方で政府案は順序が逆だと。したがって、政府の行う十二省庁再編は、申しわけないけれども、それ自体が私ども民主党の行政改革の対象になる、こう我々は考えている。
独立行政法人については、民主党は、そういうふうにして減らした中央省庁の事務をさらに企画部門と実施部門に区分して、実施部門を独立行政法人として外部化する、これは賛成なんです。しかし、私たちは政府の出してきた独立行政法人の関係法案に反対した。それはなぜかというと、政府の独立行政法人というのは私たちの考えている独立行政法人と似て非であって、言葉が同じなのでなかなかややこしいんですが、政府の独立行政法人は市場へ、市民へ、地方へという振り分けを全く行っていない。中央省庁の人間、権限、財源をそのまま温存、政府の周辺部だけを形だけ独立行政法人にしたもので従来と本質は変わらない。民主党の考える民主党型独立行政法人というのは、中央省庁の人間、権限、財源を半分以下にスリム化した上で中央省庁の事務の実施部門を独立行政法人とする。公募で選ばれた法人の長に権限、責任を集中させて民間との競争に耐えられるようなものにする。
随分長い説明で申しわけありません。
さて、特殊法人改革、これもやらなきやいけません。私どもはこれについては今後五年の間に現在の特殊法人を民主党型の独立行政法人、それから民営化、さらに廃止、そのいずれかに区分をして以後特殊法人という行政形態はとらないと。民主党型の独立行政法人か民営化かあるいは廃止するか、この三つに分けてしまって、その分けた後に特殊法人という概念は残さない、こういう考え方で、そして同時に現在の官僚制度の弊害の大きな要因である天下り、これを禁止する法案を提出する、PFIについてはこれを活用して公共事業の効率化を図る、こういう柱を立てました。
そこで、総務庁長官に質問ですが、私たち民主党は今申し上げた特殊法人は五年以内に独立行政法人、民営化、廃止のいずれかに区分して全廃する、こういう考え方ですが、政府はこの特殊法人というものを一体どうするつもりか、改めて説明してください。
○国務大臣(続訓弘君) ただいま江田委員から民主党の行政改革等々について示唆に富むお話を承りました。
もとより、政府が目指す行政改革も理想は全く私は同じだと存じます。ただ、現実の問題として組織が動いております。現実にございます。そういう中で、理想に向かって一つ一つ着実に今お話がございましたような方向に向かって私どもは汗を流す、こういうことであります。
特に、最後に御指摘がございましたように、五年間で特殊法人を完全に見直すということにつきましては、かつて新進党の時代にも実は具体的な法案を提案するという準備までしたことがございました。しかし、現実の問題として、例えば特殊法人が当時は九十二ございましたけれども、今は七十八でございます。政府としては、三次にわたる特殊法人の大胆な見直しを図ってただいま七十八という法人になっておりますけれども、依然として不断の見直しは必要だ、こんな考え方で進ませていただいているわけであります。
いずれにいたしましても、御指摘のような国民の立場から大胆な見直しは必要だ、不断の見直しは政府としても実行してまいる、またまいらなければならないテーマだ、こんなふうに思います。
○江田五月君 御一緒にいろんな作業をしたこともある仲でございますから余り厳しいこともどうも申し上げにくいんですが、しかし総務庁長官、平成七年に九十二あった特殊法人が平成十一年十月には七十八になった、これだけ減らした、一つ一つ一生懸命努力しているんだ、四年間でそれでもこれだけ減ったんだとおっしゃいますが、減った分のほとんどは統合であったり新法人に変わったということだけで、職員数についてはどうだと。特殊会社などを除いてみれば、十一万四千人が十一万人になった、四千人減っただけだと、こういうことのようですが、これで胸を張って着実に一つ一つやっているんだ、理想に向けてと、こう言えますか。十一万四千人が十一万人になっただけだということじゃありませんか。
○国務大臣(続訓弘君) 確かに御指摘のとおりだとは存じますけれども、いずれにいたしましても現実に法人が動いているわけですね。その法人を動かしながら、なお今御指摘のような不断の見直しを図って四千人の削減を断行したと。これからもその姿勢は変わらない。したがって、財投、今までの仕組みが今度変わるわけです。変われば私はそれなりの、外部的な改革と内部的な改革とあわせて人間の削減も、また組織の見直しも、そしてまた法人の見直しも当然あり得る、こんなふうに思います。
いろんな意味でやはりお互いが切磋琢磨して一定の結論を出す、そういう努力を我々はしなければならない、こんなふうに思いますのでぜひ御指導をお願い申し上げたいと存じます。
○江田五月君 どうも余りへりくだられますとこっちも困ってしまうんですが、御指導と言われても我々は野党でして、皆さんは与党であり大臣ですのでやってもらわなきゃ困るので、それは現に動いていると言われますが、もう特殊法人というのは水膨れをしていて、その中にはむだがいっぱいある。動いているから何もできないというんだったら、これはどうにもならぬですよね。そこはやはり大臣のリーダーシップ、政治のリーダーシップでなすべきことをしなきゃいけない。
昨年四月二十七日閣議決定は「特殊法人について、累次の閣議決定等を踏まえつつ、徹底して見直し、民営化、事業の整理縮小・廃止等を進めるとともに、存続が必要なものについては、独立行政法人化等の可否を含めふさわしい組織形態及び業務内容となるよう検討する。」というので、私たち、書いてあることだけで見れば、それはそうだなと、このとおりやってくれるんだろうなと。一見して、民営化とか廃止とか独立行政法人とか、我々と同じキーワードが使われているんですが、しかしあいまいな書き方とも言えるわけで、本当に動いているから、それはわかりますよ、現に動いて、そこに人が給料をもらって生活して、家族もいる。しかし、それでは改革というのはできないんですよね。知恵はもちろん使わなきゃいけません。生首を切るというやり方がいいわけじゃありません。しかし、知恵を使いながら本気で閣議決定のとおりにやってほしいと思いますが、総務庁長官、政府の考え方としては、こういうスピードの問題などいろいろあるとしても、政府の今の方針、理想を追い求めて、これが実現レたときには特殊法人という形態はいずれはなくなるんですか、それともなくならないんですか、どっちなんですか。
○国務大臣(続訓弘君) 特殊法人ができたその理由につきましては、それぞれ当時の状況に私はよるものだと存じます。具体的には、それぞれの法律がございます。そういう必要な法律のもとに特殊法人が設置されたわけであります。
例えば本四架橋公団、この問題について先日報道の指摘がございました。それによれば、当時の収支見込みと現在の収支見込みでは大変な状況になっている。これはアクアラインもしかりであります。しかし、そのアクアラインにしても本四架橋の問題にしても必要と国民が望まれたために特殊法人の法律ができて、そして今申し上げたような橋はでき上がったと。ところが、実際に当時の収支状況と今の収支状況とでは大変な違いが出てきている。となれば、特殊法人は整理すべきだという理論と現実の問題とは私はかみ合わないんじゃないのかなと。
いずれにいたしましても、そういう最初に本当につくるべきかどうかについて国会でとことん議論をしていただく、そして法律審議の際にそれを国民の側に立って生かしていただく、そういうことも私は必要ではないのかなと、こんなふうに思います。
いずれにしても、政府と国会とが相携えて、そして国民の意見も十分反映をしながら議論に議論を尽くして必要なものはつくる、必要でないものは廃止するという方向で臨む必要があるのかなと、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○江田五月君 いかがでしょうかと言われてもどうも困るんですが、それは国会と政府が相携えて、そして議論を尽くして、いいですけれども、いつまでそんなことをやっているのかですよね。
閣議決走で徹底して見直して民営化とか整理縮小とか廃止等を進める、そして存続が必要なものについては独立行政法人化等の可否を含めふさわしい組織形態、業務内容となるようにするというんですから、それをやっていけば、もともと特殊法人というのは中にいろんなものが入っていて、あれもこれもなんですよ。法人についてその設立が一定の根拠法でなされているという共通の特徴があるだけの話で、あとはもういろんなものが入っているわけですね。
その特殊法人というカテゴリーというものがそんなに意味のあるカテゴリーじやないので、しかしその中にもう本当にいろんなむだなものが山ほど入って、それが国民のお金のむだ遣いになっていたり、あるいはいろんな腐敗の温床になっていたり、だからここへメスを入れて変えていこうというわけですから、変えてしまってちゃんといろんなところへ整理をしたらもう特殊法人というカテゴリーは要りませんということになっていかなきゃおかしいんじゃないかと思うんですが、それは違いますか。長官はそういう思いじゃないんですか。そうなんですか。どっちなんですか。
○国務大臣(続訓弘君) 行政改革の議論の中で情報公開法ができ上がりました。そして同時に、政策評価の法律が近々できると思います。それは衆参両院の委員会の決定でもございました。すなわち、今、税を国民に負担していただいている、その税金の使い方に対して、やはり厳しいまなざしでこれを検討し、直していく必要があるんだと、こういう前提の中で今申し上げた情報公開があり政策評価が私はあると存じます。
そういう意味で、これからの特殊法人のありよう、あるいは現実にある特殊法人の見直し等々につきましても、そういう中で大いに議論をしていただく必要があるんじゃないのかなと私は思います。
いずれにいたしましても、政府も当然この問題に対しては真剣に取り組む必要がございますけれども、あわせてやはり国会の力でこの問題の解決に一層ひとつ御助力をお願い申し上げたいと存じます。
○江田五月君 いずれにしてもじゃないんですよ。いずれなんですかと聞いているんです。特殊法人というのはずっとこれからも要るというのか、もう特殊法人というそういうカテゴリーはなくなってもいいだけここへ徹底的なメスを入れるというのか、いずれにしてもじゃなくて、いずれなんですか。
○国務大臣(続訓弘君) 必要なものは私は残らざるを得ない、必要でないものはやはり整理しなくちゃいかぬと。
○江田五月君 そうじゃないんです。特殊法人というカテゴリーはこれからも必要なんですか、それともそういうカテゴリーは要らなくなるんですかということを聞いているんです。
○国務大臣(続訓弘君) 要するに、例えば予算の枠の中で検討しなければならない問題と、そうではなくて民間の力を大いに利用する、そしてある行政目的を達成する、そういう意味では私は特殊法人は必要ではないのかなと。
要は、現実に予算で勝負できるものと、そうではなくて、やはり問題を解決するためには中長期にわたって民間資金を活用するという必要がある、そういうときには特殊法人は依然として必要ではないか、こんなふうに私自身は思いますけれども、いかがでしょうか。
○江田五月君 徹底したメスを入れてちゃんと振り分けをして、縮小するとか廃止するとか、いろんな組織を変えるとかやれば特殊法人というカテゴリーを残しておく意味はなくなるんだろうと私は思いますが、しようがありません。
財投改革について今、法案、これは法案の議論で法案審査に譲りますが、私たちはどうもこの財投改革法案では、今の長官のお話を聞いていても、果たしてこれで本当に改革ができるのかなと、結局は全部財投債で同じことが続いちゃうんじゃないかなという見方でして、この法案には賛成できないと思っておりますが、それはそれとして三つ提案をしたい。
一つは情報公開。これは先日の参考人の猪瀬直樹さんがおっしゃいました。やっぱり財投機関、特殊法人、こういうものにメスを入れるにはまず情報を公開して、国民的なメスでなかったらなかなか切れ味鋭いメスにならないというわけで、そうだと思います。
それから、二つ目は内閣総理大臣と内閣のリーダーシップ。もう今の答えを開いておりますといらいらするんですが、やっぱりリーダーシップが必要。
情報公開はきょうでパブリックコメントは終わりですか。どのくらい来ていますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 特殊法人情報公開検討委員会では関係各方面からの幅広い意見を聴取し、検討をさらに深めるため、これまで検討成果を先月の四月五日に……
○江田五月君 どのぐらい来ているか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 本日が一応締め切りになっておりますが、四十八通ぐらいの意見が……
〇江田五月君 四十八通ね。やっぱりそれは、パブリックコメントを始めたときが例のたしかあれでしたかね、小渕さんから森さんへというあのころだったんでしたかね。いかにもしかし少ないですね。これは延ばした方がいいと思いますね、期間を。
また、政府の一部を構成すると見られる法人という枠組み、これもどうもしっかりした枠組みとは言えないので情報公開、私ども議論しますが、もっとしっかりしたものにしなきゃならぬ。
内閣総理大臣のリーダーシップ、これは本当に今の内閣ではできないと、こう言わざるを得ない。
三つ目、倒産法制。現在の特殊法人の中で債務超過に陥っているものが幾つかある。超過額もはっきりしている。
そこで、法務省民事局長、お越し願っていますが、公法人への倒産法制の適用。御存じのように、国鉄清算事業団、平成十年十月に解散で日本鉄道建設公団国鉄清算事業本部に承継をされまして、この承継された長期債務というのは二十八兆三千億、清算事業団発足時の二十五兆五千億よりもふえてしまって、やはり適時にぴしっとした対策をとらなければこういうことになる。
そこで、債務超過に陥っているそういう公法人もさまざまな倒産法制のもとで法的処理をするということは可能なんじゃないかと思いますが、民事局長、いかがですが。
○政府参考人(細川清君) 御指摘の公法人につきましては、破産手続が適用なるかどうかにつきまして、その他の倒産法におきましても明文の規定がないということでございますし、またかつてこれに対して破産の宣告等の申し立てがあったという事例がございません。
見解につきましてはさまざまな見解がございまして、公共性の濃淡によるという意見もあるし、一切認めないという意見もあるわけですが、いずれにいたしましてもこの点につきましては立法的な解決が必要だというふうに思っておりまして、法務省では倒産法制全体の見直し作業を現在進めております。御指摘の公法人の破産能力等のあり方の点も重要な論点の一つとして今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
〇江田五月君 時間がありません。
慎重に検討もいいですが、公法人は破産の当事者能力なしという伝統的な議論に対する反省は随分今強くなってきていて、しかも現実的必要も随分出てきているわけですから、ここはひとつ法務省としてもそういう法的枠組みの整備にもう本当に真剣に前向きに、急いで取り組んでいただきたいと思いますが、局長の覚悟を聞いて私の質問を終わります。
○政府参考人(細川清君) 法務省では平成八年の十月から倒産法制全体の見直しを進めているところでして、昨年の秋の臨時国会では再建型の基本的な倒産手続として民事再生法が成立いたしました。本年の秋ごろまでには現在問題になっております住宅ローン等を抱えた個人債務者の再生手続あるいは国際倒産についての成案を取りまとめまして、国会が開かれれば臨時国会でも提出させていただきたいと思っています。
その残った破産法等の大きな全面改正の問題でございますが、その後に精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
○江田五月君 終わります。
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