2000/05/15 |
小渕内閣総辞職のこと、公明党入閣のこと(相手が続総務庁長官だから)、財政投融資の情報公開、警察問題などを質問しました。
続長官は、首相臨時代理の指名は「以心伝心」でも「目と目が合って」でもいいとの認識。また閣議は秘密との認識。
全国の警察の交通違反揉み消しは国の行政ではないから、総務庁の行政監察は及ばないとの認識。いずれも大間違いです。白川代議士秘書による揉み消しは、警察庁(中央官庁)のホストコンピュータがいじられたことをどう思っているのでしょうか。
○江田五月君 昨日午後四時七分に小渕前総理が脳梗塞でお亡くなりになりました。謹んで御冥福をお祈りいたします。
考えてみますと、私は小渕さんと直接対決したのはたしか三月十七日の参議院の予算委員会の締めくくり総括だったと思いますが、その際、ドコモ株のことなんかも聞きながら、人柄の小渕はどこへ行ったと、そんな質問もしましたが、しかしその中で小渕さんというのは私も好きなタイプの一人なんだということも言いました。困ったときは困った顔をするし、うれしいときはうれしい顔をするし、まことに平凡、しかし本当に非凡な凡人で、そこがまた人をまとめ上げていく非凡な才能であったのではないかと思ったりしています。本当に悔やんでもといいますか何といいますか、心中いかばかりかと思います。
中村紘子さんというピアニストがおりまして、その人があるパーティーをやって小渕さんの奥さんがお見えになって、いや小渕もぜひ行きたいと言っておったと。彼はピアノが大好きで、寅さんも泣けるけれどもチャイコフスキーも泣けるな、こういうことを言っておったと。まことに小渕さんらしい表現でして、そういえば中村紘子さんのお宅でちっちゃなコンサートをやったりしまして、おととしの秋でしたか、小渕総理の就任をお祝いするホームコンサートをやって、私もバイオリンを弾いたりしまして、そんなおつき合いもあったりで、本当に心が痛む思いでございますが、続総務庁長官、小渕前総理の御逝去に対して何か思うところがあれば一言いかがですか。
○国務大臣(続訓弘君) ただいま江田委員から今は亡き小渕総理に対する心からのお悔やみのお言葉をいただき、本当に内閣の一員であった私としては感謝申し上げます。
私自身も、小渕前総理から総務庁長官を拝命するときに、論文を書けとかつてない指示がございました。そして、その論文を見て、私にこんな言い方をされました。自分の内閣はまさに行政改革を大前提として考えていると。今、君の論文にあったかつての都政におけるあの果敢な行政改革を我が内閣においても断行してほしい、泥もかぶり水もかぶるという私に対する指示がございました。その指示に私は懸命に従う、その思いで十二月のあの定数削減に努めました。
十二月二十四日でありました。閣議の席上で、九千百八十五人のかつてない削減を果たしてくれてありがとう、ここにおられる閣僚各位の御協力にも感謝すると。私は、あの総理として閣議の席上で当然の仕事をやった私にそういうお褒めの言葉、ねぎらいの言葉、これをかけられた小渕総理、まさにこの人のためならば、そんな思いを深くいたしました。
これだけではありません。ここに田中長官がおられますけれども、例の神奈川の不祥事の際に、私はこれらの根源はキャリア制度にあるのではないか、ついては総務庁が持っている監察あるいは組織あるいは人事、こういう面で厳しくという記者会見を申し上げました。その直後、やはり同じく総理から電話がありました。
そういう一つ一つのことに細かく心を砕いていただいた総理、私、本当にこんな総理のもとで仕事ができて幸せだった。これは一つ二つじゃありません。何回も私はそういう電話をいただいた。そういう思いを今感謝しているわけであります。もう意は尽くせませんけれども。
○江田五月君 いろんなエピソードをすべてお話しいただくと時間がありませんので、申しわけありませんが。
本当に私は、小渕総理、無念の思いが強く残った御逝去だったという気がして仕方がないんです。続長官はこの人のためならと一生懸命努力をされる。私どもは一生懸命小渕総理を批判する。しかし、それは議会制民主主義を動かしていくお互いの立場でして、別に立場だからというわけじゃなくてそれは一生懸命やりますが、だからといって人間的に別にそこに恨みも何もあるわけじゃないので、私どもの批判が仮に小渕総理の病に倒れられる原因になったとすればそれはまことに遺憾ですが、しかしそのことをもって野党は人を批判するなというのはおかしな話、批判をするべきはさせていただきたい。
しかし、好敵手といいますか、私なんかが好敵手と言うのもおこがましいですが、そういう気持ちでやらせていただきたいと思っておるんですが、私はやはり四月の二日から四日にかけての一連の出来事、これは本当に小渕総理にとって無念やる方ない、小渕総理にもし本当に御自分の意思をしっかり表明することができていれば私は森内閣は誕生していなかったと思っております。
そこで、多少聞きますが、続長官、これは前に聞いたかもしれませんが、小渕総理が倒れられたという第一報はいつ、どなたからお聞きになられましたか。
○国務大臣(続訓弘君) 私は、当日はある方の結婚披露宴がございました。夜の七時から十時二十分までその会場におりまして、帰ったのが十一時近くでありました。報道によれば、十一時半から緊急記者会見がある、官房長官の緊急記者会見があるというニュースを見ました。十一時半のニュースを見て小渕総理の倒れられたということを知ったわけであります。
○江田五月君 官房長官の記者会見は、小渕総理がちょっとぐあいを悪くして、過労でという言い方でしたかね。検査で入院をしておられると、そういうことでしたね。
そうすると、小渕総理が青木官房長官を首相臨時代理に指定をしたと、これはいつ、どこで聞かれましたか。いつ聞かれましたか。
○国務大臣(続訓弘君) 翌日の三日の十二時四十分に臨時閣議が開かれました。そのときに青木官房長官から小渕総理の病状について報告があり、かつ九時に臨時代理に就任をしたという報告をいただきました。
○江田五月君 その三日の午前十時でしたか、記者会見で青木官房長官は首相臨時代理への指名のことを記者の皆さんにお話ししているんですが、それはお聞きになっていないですか。
○国務大臣(続訓弘君) 十一時に青木官房長官の記者会見があって、病名の公表があり、本日九時に臨時代理に就任したという記者会見、これは拝見いたしました。
○江田五月君 十一時でしたかね。私の間違いだと思います。
十一時、臨時代理に就任九時、それはいいんですが、どういうことを言われて指名を受けたかということはその会見でおっしゃったと思いますが、それは耳にされましたか。
○国務大臣(続訓弘君) 当日のことはよく記憶しておりませんけれども、いずれにいたしましても九時に内閣法に基づく総理の臨時代理を受けたという報告を私は伺いました。
○江田五月君 警察庁長官は第一報はいつ、だれから聞かれましたか。
○政府参考人(田中節夫君) 四月二日に小渕前総理の入院及びその発表につきまして報道されましたが、その報道される少し前に警備局の担当官から報告を受けました。
○江田五月君 報道というのは十一時半の会見のことですか。その十一時半の会見の前に刑事局のどなたから聞かれたと言いましたか、今。
○政府参考人(田中節夫君) 十一時半の報道があります前に、既に十一時前後にNHKで十一時半ごろ発表があるという報道がなされておりました。時間はわかりませんけれども、その前後に報告があったわけでございます。
○江田五月君 刑事局のどなたとおっしゃいましたか。
○政府参考人(田中節夫君) 警察庁の警備局の担当官でございます。
○江田五月君 その後、保利公安委員長には報告はされましたか、されませんか。したら、いつですか。
○政府参考人(田中節夫君) 国家公安委員長に対する報告でございますけれども、それは翌日、四月三日に報告をさせていただいたところでございます。
○江田五月君 続長官、ここは細かなことと言えば細かなことなんですが、憲法七十条の総理が欠けたときとか、あるいは内閣法九条の臨時代理の話とか、やはり法律で決まっていることがきっちり行われているかどうか、行われていないとすれば、じゃ行えなかった状況、それはやむを得なかったのか、法律や憲法に決まったとおりに行えなかったんだとすると、じゃそのときはどうやったらいいのかというようなことをみんなで真剣に考えるところなんですよね。そこであえて伺っているんです。
青木官房長官は、後に四月十日の衆議院本会議の答弁あるいは記者会見で「有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼む」と言われたと。これは前の言い方を実は修正していまして、前の言い方、つまり四月三日の記者会見では、検査結果によっては青木官房長官が臨時代理の任に当たり、一刻もゆるがせにできない課題に対応するようにと言われたと、こうおっしゃっているんです。
しかし、この四月三日の発言ぶりは違うということは四月十日に青木官房長官御自身がお認めになっており、さらにきのうの医師団の説明によると、この四月十日のものもどうもこうであったのかどうか。
いや、もう細かなことは言うなと、それは親兄弟よりももっと深い総理と官房長官の関係なんだから発言の順序などなど、そんなことはもう細かなことで、まあ言ってみれば目と目が合えばわかるか、あるいは以心伝心だと、そういうような口ぶりなんですが、私どもは本当に臨時代理に青木長官が指名されているのかということをやはり強く疑っているわけですが、続長官はその総辞職の閣議の際に……。
総辞職の閣議はだれが招集されましたか。
○国務大臣(続訓弘君) 青木臨時内閣総理大臣であります。
○江田五月君 青木内閣総理大臣臨時代理ですね。そして、その閣議はだれが司会をされましたか。
○国務大臣(続訓弘君) 青木官房長官御自身であります。
○江田五月君 それは、司会は官房長官としてということですね。
では今度は、総辞職の発議というのはだれがされたんですか。
○国務大臣(続訓弘君) 青木臨時総理代理です。
○江田五月君 そうすると、その臨時閣議の招集、そしてその閣議で青木官房長官が司会する中で、総辞職の発議を青木内閣総理大臣臨時代理がなさったと。青木臨時代理になっていなきゃいけませんね。その青木臨時代理になることについては、今の続長官の説明だと記者会見で九時の段階で自分がなったということを聞いたというだけで、その前の指名のことについては長官は余り意識をされていないということですか。
○国務大臣(続訓弘君) 内閣法によれば、小渕前総理から口頭でもいいと、とにかく臨時代理を頼むと、こう言われればそれは成立するんだと、このように私は理解をしています。
○江田五月君 したがって、続長官は、四月三日の午前の青木官房長官の記者会見でおっしゃった、検査結果によっては青木長官が臨時代理の任に当たり、一刻もゆるがせにできない課題に対応するようにというその言葉を根拠に、ああこの人が臨時代理になったんだなと、こう思われたわけですね。
○国務大臣(続訓弘君) そのとおりです。
○江田五月君 ところが、それが違ったんですね、その言葉が。だって、後で青木官房長官は「有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼む」と修正した。しかも、その言葉自体も、きのうの医師団の発表によれば、多少びっくりしたとか。どうもそこまでのことが言えたのかと大変疑問になってくる。
そうすると、四日ですか、閣議で総辞職を提案されたとき、この人が臨時代理になっていると思った、それはきつい言葉で言えばうその説明でそう思い込まされてしまった、そうなりませんか。
○国務大臣(続訓弘君) 私は長い間行政経験者であります。知事が仮に副知事に、先ほど江田委員がおっしゃいましたように、以心伝心、目と目で指図ができるという官房長官であり総理大臣の関係だと私は思います。
したがって、今お話しのように、言葉がどういう言葉であったか、その辺のところはわかりませんけれども、少なくとも内閣法に基づいた臨時代理を頼むということは当然あったと私は理解をしております。
○江田五月君 以心伝心、目と目でそういう指示ができる関係。さて、それでいいのか。これは大変疑問が私としてはありますが。
青木官房長官の首相臨時代理の就任と小渕内閣の総辞職、これが内閣法九条、憲法七十条に抵触するのではないかという我が国憲政史上まことに重要な疑惑が出てきているわけで、私はやはりそこはもう目と目とか以心伝心じゃなくて、やはりこうこうこういうことになった、大変だ、臨時代理という明確な指名はないが臨時閣議をとにかくみんなで集まって開いて、あるいは閣僚懇談会という手もあるかもしれません、その中で十分議論をして乗り越え策というものを考えれば、閣僚みんなの支持のもとに青木さんが臨時代理にとにかく就任して、そして乗り越えていくというようなやり方をやってその後に、ここはとにかく窮余の一策でそうやったが、ちゃんと臨時代理をあらかじめ置いておくような、そういう制度をつくろうというようなことをすればこれは問題なかったと思うんですが。
どうも憲政上の最重要事項を閣議も開かず、国民に真実を伝えず、自民党の五人のボスたちだけで勝手に決めた、こう言わざるを得ない。自民党の役員の皆さんが集まって、役員会か何かで今後のことを決めるというならまだしもわかりますが、本当にそういうことを考えれば、小渕さんの無念さいかばかりかと思います。
続さん、小渕さんから森さんになって閣議なり閣僚懇談会の様子というもの、雰囲気というもの、変化はまるっきりないんですか。やっぱり総理がかわればこんなに雰囲気が変わるんだなというようなことがあるんですか、どうなんですか。
○国務大臣(続訓弘君) 先ほどの官房長官と前総理とのやりとり云々というお話の中で、私はきのう医師団の発表を見ておりました。責任ある医師団の発表では、意思は伝えられたというお話がありました。私は、そのことからしても青木官房長官と小渕総理とのやりとりはあったと信じて疑いません。
同時に今、今度は森総理と小渕総理との閣議の模様はどうかというお話でございますけれども、これは江田委員御自身が閣僚経験者であります。その閣僚の閣議の模様を公開するということは、これはできません。したがって、これは閣僚経験者の江田先生がよもや私にそういう御質問があろうとは知りませんでした。
○江田五月君 閣議の内容を公開できないということはないですよ。それは皆それぞれ、閣議が終わったらそれぞれ記者会見するじゃないですか。そしていろんなお話をしますよ。閣議の中で、あるいは閣僚懇談会の中でこのことは伏せておこうというようなことをお互い申し合わせることはある。その場合には申し合わせに従って伏せておくこともあるけれども、申し合わせはあってもさらに記者の皆さんに話してしまうという場合だっていっぱいある。閣議の中身は公開しないということになっているというのは、本当にそれはよろしいですか。
○国務大臣(続訓弘君) その雰囲気なんですね。要するに、前小渕総理のときと森総理のときとはかくかくこうこうですというようなことはやらないと。ただし、今おっしゃるように、閣議の中であったことは記者会見で申し上げます。
○江田五月君 政治は人がやるのでトップの人がかわったらいろんな変化は出てくる。閣議の中の雰囲気一つとってみてもやはり変わる。そのことは個性といえば個性ですが、国の動かし方にとって非常に重要で、私は、続長官は小渕内閣の閣僚になられたので、今回、他の大臣全部、一人残らずかわらず引き続いて総理だけがかわったということではあるけれども、やっぱり続長官も総務庁長官を受けるかどうかについてはだれから言われたかということは極めて重要なことだと思う。それはお受けになるのは続さんで私じゃありませんから余計な心配かもしれませんが、やはりそこはだれになっても同じことだというわけではないと思います。いずれにしても、それはよろしい。
もう一つ、政治家同士の議論をさせていただきたいんですが、最近、我が党の鳩山代表とか菅政調会長と公明党の神崎代表と大分火花が散っておりましてはらはらしているんですが。
私自身は、公明党の皆さんが連立政権に参加をして閣僚になられる、そのこと自体が憲法違反だと、そういうふうには思っておりません。現に細川内閣で公明党の皆さんとも一緒に閣内にあって政治改革などの仕事もいたしました。しかし、公明党の皆さん自身が非常に気を使っていらっしゃるので、例えば今月十日発売の文芸春秋六月号、野中自民党幹事長へのインタビュー記事で野中幹事長がこう言われています。
連立がスタートするとき、神崎さんがわざわざ官邸に来られて、「連立に参加し閣内に入ります。しかし、我々には条件があります」と切り出されたことを思い出します。公明党は、検察と裁判と法を扱う法務大臣は遠慮する、宗教法人を管轄する文部大臣、それから警察を所管する自治大臣、国家公安委員長も遠慮します。さらに我々は「福祉の党」と言ってきましたが、我々が厚生大臣を持つことによって、公明党の政策を政権のなかで押しつけたと誤解されてはいけないので、厚生大臣も遠慮しますと言われた。それ以外のポストで、しかも、今回は初めての入閣ですから創価学会員でない続参議院議員を、ひとりだけ入閣させてください、という申し出があったのです。
と、これは私が言っているんじゃなくて野中幹事長が公然と雑誌の中で言われているわけです。
続長官、このような事情があって総務庁長官になられたと、こうなるんですが、なぜ公明党は、文部大臣、厚生大臣はともかくとして、法務大臣、自治大臣、国家公安委員長、これを遠慮されるんですか。どうお考えになりますか。
○国務大臣(続訓弘君) それは神崎代表がそういうお考えで野中幹事長代理にお話をされたんですか。その辺のところは私よくわかりません。どういう意図で今の申し出があったかということを私自身はわかりませんので、御理解賜りたいと思います。
○江田五月君 文芸春秋に出ている記事によればですよ、記事が違っているといったらまたこれは違うので。記事によれば野中幹事長がこう言っていると言って、その中で神崎さんが来られてこう言った、そういう構造になっているわけですから、幾つか伝聞の部分がありますから、そのとおりであるかどうかわからないので尋ねてみたわけですが、続長官としてはそれはわからないということですね。わからないということかもしれません。その方が正しいんだろうと思いますが、しかし公明党の皆さんがそこまで気にされるということは何か気にしなきゃならぬことがあるのかと、こういうことになるので、私はそんなに気にされることがあるようじゃ困るなという気がいたしますが。
これもそういうことでどうぞ、私自身は自公保政権、実質自公の連立政権はこれは反対です。それは、長く自民党を批判し反対してきた公明党の政権へのすり寄りということもあるけれども、何より自公政権では公明党のよさが失われる。逆に悪いところばかりが表に出てくる。
私は、長い間公明党の皆さんとずっとつき合ってまいりました。平和、環境、人権、福祉あるいは政治倫理、行政改革、このようにすばらしい政策を高く掲げておられて高く評価をしてまいりましたが、どうもしかし自公政権の中でそういうよさが見えなくなっている。地域振興券とか児童手当ばらまきという、こんなものが目立つようになる。政治倫理にしても、藤波元官房長官は事実上許す、ドコモ疑惑も、これも最初に国会で取り上げたのはここにおられる益田洋介さんなんですよ。しかも本会議で公明党の代表質問でやられた。そういうところを高く評価しているのに、どうもこの一年取り上げようとされない。
公明党のよさが失われるじゃないかと思いますが、反論はございますか。
○国務大臣(続訓弘君) 私は、お言葉ではございますけれども、公明党は公明党としての立党精神がありますし、そしてまた、連立は組んではいるものの、譲るべきところと譲るべきでないところとはちゃんと峻別をしておられる、こんなふうに思います。
○江田五月君 譲るべきでないところは断固譲らないでいただきたいと思います。警察法の改正なんというのは、やっぱり先送りをせずに断固やってほしいと思います。
政府参考人の皆さんに通告した質問をいたします。
大蔵省理財局ですが、理財局は国の財政投融資が有効に活用されているかどうか、この結果について責任を持っている、そういう役所だと、これはこう理解してよろしいですか。
○政府参考人(中川雅治君) 財政投融資制度は財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応する施策を効率的、効果的に実施する仕組みでございまして、理財局は各省庁、各機関からの要求を審査し、財政投融資計画を作成する事務について責任を有する部局でございます。
今お尋ねの財政投融資の有効活用に責任を有する部局かどうかということでございますが、理財局といたしましては、今申し上げましたように、各省庁、各機関からの要求を審査し財投計画を取りまとめるという意味で財政投融資の有効活用に責任を有しているというふうに申し上げてよいと思います。
なお、財政投融資が社会経済情勢等の変化に的確に対応し、将来においても適切に役割を果たしていくため、財政投融資改革を実施することとしておりまして、現在そのための法案について御審議をお願いしているところでございます。
○江田五月君 各省庁、機関からの要求の審査と取りまとめをする、その意味で責任があると。
ちょっとよくわからないんですが、審査と取りまとめをする責任であって、その結果がどうなろうとそれは責任ないという意味ですか。結果がおかしければ、やっぱり審査がおかしい、取りまとめの仕方がおかしいということになるんですか。何か責任があるようなないような、責任逃れをするつもりでおっしゃったのか、そうじゃないのか。
○政府参考人(中川雅治君) 責任逃れをするつもりで申し上げたわけではございません。
もちろん、個々の特殊法人の事業につきましてはそれぞれ主務官庁が第一義的には責任を負うべきだと思いますが、私どもといたしましても、きちっと審査をしている以上、その審査結果と違うような状況にならないようにいろいろな形で努めていく必要があるというふうに考えております。
○江田五月君 審査結果と違うようにならないようにと。
例えば国鉄清算事業団、当初のもくろみと違って十年間の土地と株の売却収入は利払い費にも満たず、債務は二十五兆から二十八兆に膨れ、国民負担も二倍になった、これは当初の審査の結果、こういうことは見通しておられたんですか。
○政府参考人(中川雅治君) これは、昭和六十二年四月に国鉄の分割・民営化が行われたわけでありますけれども、そのときの債務処理につきましては十年間要したわけでございます。
もちろん、この国鉄に対する財政投融資の使い方というのは、これは国の資源配分といった本来の財政投融資の目的とかけ離れたものであるというふうに言えるわけでありますけれども、本格的な債務処理までの間の資金繰りはいずれにしてもつけなければならなかったということがございますし、それから本格的処理の実行までの間における例えば地価高騰に対処するための土地売却が見合わされたと、それはその時々の政策判断で、いろいろ当初見通していなかったような、十年という非常に長い期間がございましたので、その間それぞれの時点において政策判断をしたといったような要因がございまして債務の額を減少できなかったという事情があるわけでございますので、当初の見通しと違ったということで、それで政策の失敗だったとかあるいは問題があるというふうには考えていないわけでございます。
○江田五月君 当初の見通しとは違ったんですか、違っていないんですか。当初ここまで見通したんですか、見通していないんですか。
○政府参考人(中川雅治君) これは恐らく、地価高騰に対処するための土地売却を見合わすというような政策判断をするということを当初見通していたというふうには思っておりません。
○江田五月君 役所の皆さんは非常に言葉巧みでいらっしゃるのでいろんな説明をされるでしょうが、やっぱり十年かけてこうなったと。成功だったとはとても言えないんじゃないかと思いますがね。
先日の理財局の御説明では、本四連絡橋公団、それから年金福祉事業団、日本下水道事業団、この三つが債務超過であるということですが、三つの事業体の財務の健全性、事業の存続可能性、これは、簡単にお答えください、どうお考えですか。
○政府参考人(中川雅治君) 今御指摘のように、年金福祉事業団、日本下水道事業団、本四公団が債務超過になっているわけでございますが、まず年金福祉事業団の自主運用につきましては、安全かつ効率的な運用に努めているものと理解いたしておりまして、その累積欠損につきましては、現在作業中の十一年度決算におきましては、国内株式などの収益が貢献して、時価ベースで累積赤字を上回る黒字が発生する見通しであるというように聞いております。
それから、日本下水道事業団のこれは建設業務勘定でございますが、そこで行っております下水汚泥処理事業につきましては、当面、施設整備に要する費用が先行し汚泥処理料金収入を上回っているため損失が生じているわけでございますが、今後、汚泥処理量の増加や料金見直しにより欠損は漸次解消していくことが見込まれていると認識いたしております。
それから、本州四国連絡橋公団につきましては、現在いわゆる創業赤字の状況にあるわけでございますが、昨年の三ルートの全線開通に伴いまして本格的に業務が開始されることから、順次収支が改善し、採算の確保が図られる見通しであるというように聞いております。
これらの機関に対する財政投融資は、これらの機関の事業は当初より超長期の期間で実施されることが前提となっておりまして、その財務状況が今後改善することが見込まれていることを踏まえれば、現在債務超過となっていることが直ちにこれらの機関の財務の健全性を問題視することにはつながらないと考えております。
いずれにしましても、今後は政策コスト分析の活用などによりまして財政投融資の適切な運用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○江田五月君 国鉄清算事業団のようにならないよう祈る御検討ですが、しかし先例、前例がありますので大変心配です。
毎年予算編成期の九月から十二月にかけて財政投融資の審査が行われますね。そこで理財局の担当者の皆さんが担当の方々とかんかんがくがくの議論をすると。その議論の内容、これは国民にとって国民の財産の有効活用のための判断材料として大変有益、貴重だと思いますが、私は、そのやりとりの資料は、行政機関の意思形成過程の資料というよりも、むしろ意思形成の基礎となる資料ですから、そしてそれぞれ出てくるときには別に意思形成過程というので出てくるんじゃなくて、それぞれ最終的な資料として出てくるわけですから、こういう資料は国民に対してぜひ情報提供してほしいと思います。
当然情報公開法施行後はその対象になると思いますが、簡単にこれも一言でいかがですか。
○政府参考人(中川雅治君) 来年四月の情報公開法の施行後におきましては、財政投融資に関する行政文書につきましても法の趣旨にのっとり適正に作成、管理、公開されていくものと考えております。
○江田五月君 ちょっと話を変えます。もう時間が非常に少なくなりました。
議会の中の努力でストーカー行為の規制法、これを仕上げようという合意ができました。ストーカー、この委員会でもいろんな角度から質疑が行われましたが、先日、法務委員会では例えば参考人質疑の中で女性の性暴力の被害者は、取り調べの警察官も診断や治療する医師も弁護士や検察官やカウンセラーなどの専門家も全部女性であることを望んでいるという、そういうお話もございました。
ストーカー行為の被害者のほとんどは女性だと。六カ月後の法律施行までに、平成八年二月の被害者対策要綱やあるいは昨年十二月の女性・子どもを守る施策実施要綱にあるように、少なくとも八時三十分から十七時十五分までの通常勤務時間中は必ず女性の警察職員の相談員を、全国約千二百ですか、すべての警察署に配置をすべきだと思います。
現在、女性の警察官、八千五百人と聞きましたが、生活安全部は五百五十人、これを大幅に拡充してこの相談員に女性を充てないと。今までも耳に入ってくるんですよ。警察に相談に行ったら、いや、まあ痴漢に遭って認められてよかったじゃないのなんということを言われてかえって傷つくという、そういう心ない対応ではだめなので、そういうストーカー根絶のための努力を具体的にする決意がおありかどうか、いかがですか。
○政府参考人(黒澤正和君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、各都道府県警察におきましては、実情に応じてでございますが、可能な限り女性警察職員を担当者とする女性に対する暴力対策係を各警察署で設置いたしまして、被害女性からの相談に適切に対応できる体制を整備するようにということで都道府県警察に対して指導をしたところでございまして、現在これに基づいた取り組みが推進されているものと承知をいたしております。
現在御論議をいただいておりますストーカー規制法案が法律として制定されますれば、警察のストーカー事案に対する取り組みの万全を期する必要があると認識しておりまして、被害女性からの相談により迅速的確に効果的に対応することができるように各署の相談窓口への女性警察職員の配置の推進につきまして警察として可能な限り努力してまいる所存でございます。
○江田五月君 もう一つ、犯罪被害者支援ネット、東京中野の野方被害者支援ネットワーク、こういうものをつくったという新聞報道がございます。これは去年の五月一日にできたということのようですが、犯罪被害者だけではなくて医師、弁護士、カウンセラーなど女性の専門家のネットワーク、これもすべての警察署ごとに整備をすべきであると。いかがですか、そういう提案は。
○政府参考人(黒澤正和君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、野方警察署におきましてはネットワークづくりを先進的に始めたわけでございますが、現在、被害者対策につきましては、都道府県単位でございますが、被害者支援連絡協議会、こういったものがございます。そこでは性犯罪被害者対策分科会でありますとかあるいは女性被害等の分科会、これは夫婦間暴力における被害者支援のための分科会といったようなものでございますが、あるいはまた警察と産婦人科の医師会等とのネットワークの構築などに努めておりまして、先ほど申し上げました性犯罪被害者対策分科会につきましては三十数都道府県、それから夫婦間暴力などの被害者支援のための分科会につきましては二十数都道府県、それから警察と産婦人科医師会等とのネットワークにつきましては三十九府県警察本部、それから二方面本部で構築をいたしておるところでございまして、今後ともこういった点に努力してまいる所存でございます。
○江田五月君 ストーカー法案について一つ心配なのは、警察の皆さんに働いてもらう、その警察が実は今国民から大変信頼を失っているということでございまして、警察の信頼回復がすべてのこの種行政の基礎に必要なことだと思います。
警察庁長官に、女性であればいいというわけでもなくて、訓練、教育、啓発、こういうことをしっかり積んだ人たちを配置していただいてストーカー根絶のために努力をしていただきたいと思いますが、そういう決意を伺いたい。
それから最後に、今国会の行政監視委員会で警察不祥事について私は六項目の資料を調査要求しました。二月二十五日の国家公安委員会の持ち回り議決の書類、二月二十八日の国家公安委員会会議録、全国の警察のかけマージャンの実態調査、全国の警察の要保護記録簿の総点検、全国の警察の交通違反のもみ消しの総点検、全国の警察の裏金の実態調査、いずれも口にするも恥ずかしいという、初めの二つを除きですが、しかし残念ながらどうも答えはすべてそういう調査はしない、あるいは資料は出さない。そんなことでは警察の信頼回復につながらないということでさらに引き続き資料調査の要求をし続けたいと思います。
総務庁長官、特に交通違反のもみ消し問題は極めて重要で政治家と警察とが国民から信頼されない根本問題の一つだと思うので、ひとつ思い切ってうみを出し切って、警察と政治家に対する国民の信頼回復の第一歩として交通違反もみ消し問題を総務庁の行政監察の対象にしてほしいと思いますが、警察庁長官は今の覚悟のほどを、総務庁長官はもみ消しのことを行政監察で取り扱ってはいかがかと、二つのことを聞いて終わります。
○委員長(浜田卓二郎君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
○政府参考人(田中節夫君) ストーカーに関するところの法律案につきましてはただいま国会で御議論されているところでございますが、この法律が真に実効が上がり、そして国民の警察に対する信頼回復につながるよう第一線に立ちまして教育訓練その他体制の整備等に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
また、資料要求等につきましては理事会で御議論されているというふうに私どもは承知をしているところでございます。
○国務大臣(続訓弘君) 江田委員も御案内かと存じますけれども、私ども総務庁の仕事は国の行政機関を対象にするということでございます。本件の場合はいわば地方の警察の問題でもございますので、その辺のところはひとつ御理解を賜りたいと存じます。
○江田五月君 要するにやらないと。わかりました。
2000//05/15 |