2001/11/07

戻るホーム主張目次会議録目次


153 参院・憲法調査会

13時から2時間、憲法調査会。9月に行われた海外調査の報告と意見交換です。野沢団長から30分強、ドイツ、イギリス、スペインの憲法事情が報告され、民主党は私が、注目すべき点として(1)EUの将来、(2)ドイツ、スペインの憲法裁判所、(3)スペインの護民官(オンブズマン)、(4)各国の二院制を取り上げて、意見を述べました。EUは、第2次大戦直後のヨーロッパ石炭鉄鋼共同体から始まって、国家主権の壁をどんどん低くしており、将来の「地球政府」や「地球憲法」の可能性を示しています。


○江田五月君 調査団の皆さん、大変御苦労さんでございました。野沢団長の御報告と各団員の皆さんの御発言を伺って、大変有意義な調査をしていただいたと思っております。

 今回は急な事情が生じまして、私たち民主党・新緑風会から参加できなかったことをまず冒頭おわびを申し上げたいと思います。申しわけなく思っております。

 御報告を受けて、私から四点申し上げます。それは、EUの将来のこと、それから憲法裁判所、そして護民官、そして二院制、この四つです。

 まず、EUの将来、これは私も非常に強い関心を持っております。それは、EUのこれからの行き着く先に地球政府の可能性を見るからであります。

 御承知のとおり、ヨーロッパは第二次世界大戦の大変な惨禍を乗り越えた後に、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体からスタートをして、EEC、そしてEC、そしてEUと進んで、今通貨統合まで至っております。また、これと別にCSCE、全欧安保協力会議ができて、EUというかヨーロッパ統合の基盤をつくって、ベルリンの壁の崩壊の後、これがOSCEへと進み、ヨーロッパの統合はさらに広く外へと進みつつあると。

 先日、実は、日本・EU議員会議が我が国会で行われました。その中でEU側の議員の皆さんから、九月十一日の同時多発テロの後、ヨーロッパは結集の方向がさらに大きく進んでおる。例えば、刑事手続においては共通逮捕状まで発付できるところまで来たと、そういうことを伺いました。これは恐らくヨーロッパの特殊事情というものではないだろうと、ヨーロッパの特殊事情にむしろとどめてはならない、普遍的な性格を持った主権概念の意味合いの低下、そして国際社会の結集と、そういう動きだと思っております。

 翻って、私は現在の我が国の憲法、これを見ると、ここに二十一世紀の地球憲法のモデルとなり得る要素がたくさんあると思っておりまして、今回のテロ対策特措法でも一部議論されましたが、日本国憲法は、個別的自衛権についても集団的自衛権についてもこの行使を厳しく抑制あるいは否認をして、国連を中心とする集団的安全保障を信頼して、安全と生存を保持するという崇高な理想を目指したものであると思います。

 この参議院憲法調査会の議論も、二十一世紀の地球憲法の構想も視野に入れて、EUの将来、アジア太平洋の将来、中東、アフリカの将来にも関心を持って議論していきたいと思っております。この点では、特に御報告を伺って、イギリスの憲法問題特別委員会ですか、この議論に注目をしていきたいと思います。EUの人権条約やその他のEU諸条約、これも憲法論議の視野に入っているということです。

 それから、ドイツとスペインの憲法裁判所ですが、特にスペインの憲法裁判所の御報告を興味深く伺いました。私も法曹の一員として以前から憲法裁判所に関心を持ってまいりましたが、御報告を伺っていて、我が参議院憲法調査会の重要テーマの一つとして憲法裁判所を取り上げてはどうかと思いましたので提案をいたします。

 それから、スペインの護民官制度、これも先ほどもお話ございましたが、興味深く聞きました。私は、今から三十年以上前ですが、イギリスに二年間留学をいたしまして、憲法や行政法の勉強をいたしましたが、それ以来オンブズマン制度には注目をしております。スペインでは憲法上、憲法裁判所に提訴できる機関として内閣総理大臣などと並び護民官が挙げられているとのことですが、なるほどと思いました。

 最後に、二院制についてですが、特に首相公選制との関係で、これは我が国でも大きく議論になるところだろうと思っております。首相公選制は、二十一世紀のこの国の形の大きな選択肢の一つではありますが、首相公選制だけを議論しても仕方がない。議院内閣制のあり方、二院制のあり方、国民投票制度などとの関係も含めた議論が必要である、そういうものを含めて選択肢をつくっていく議論をしなければいけないと思っております。

 いずれにしても、今後皆さんとこうしたことを議論していきたいと思います。
 以上で終わります。


2001/11/07

戻るホーム主張目次会議録目次