2002/03/19 |
154 参院・法務委員会
角田義一さんに続き、私が13時40分から35分間、少年院の人員不足、司法制度改革(首相の姿勢、リアルタイム公開、弁護士報酬、行政訴訟改革)、ムルアカ秘書のパスポート疑惑、松岡・下地議員らの行政介入などを質しました。
○江田五月君 角田委員に続いて森山法務大臣に質問いたします。
今の人権擁護法案、これもまだまだ詳しく質問したいところですが、私どもは、この法案、このままではいけないと、是非、良識の府として参議院からスタートするわけですから、与党の皆さんの御理解もいただき、よりいいものにして衆議院の方に送りたいと思っております。これは今後の議論です。
それともう一つ、角田委員の質疑に──矯正局長は帰っちゃったか、矯正局長。質問通告していません。じゃ、大臣に申し上げておきます、質問じゃなくて。
少年院で暴行事件が起きたと。本当にあってはならぬこと。しかし、これはあってはならぬといって、そういう暴行事件を起こした少年院の法務教官か、彼を責める前に、我々自身が、大臣も副大臣も、そして法務省の皆さんも本当に反省しなきゃいかぬ、私たちも含めて。
もう声が聞こえてきているんですよ。少年院の中で、とにかく人手が足りないと。本当に、少年院というのは道を迷った少年、これに本当に矯正教育を行うのが一番の仕事なんです。しかし、その教科教育活動、そこへ手が回らないというんですね。
少年院に入っている少年ですから、そんなに穏やかな気持ちの優しい、良くできた少年じゃないでしょう。だから、それは荒くれもいますよ。その荒くれに対して保安、秩序維持、これをやるだけで手一杯で、それさえもうできなくて、自分自身の精神の安定も維持することさえ難しくなるような状況があるんだというのが、声が聞こえてきているんです、我々のところに。
それについて私どもがちゃんとしたことができていないという、これは是非ひとつ、関連ですから、角田さんの質疑に関連して私も申し上げておきます。お願いでございます。
さて、司法制度改革について今の質疑の関連でもう少し伺いますが、昨日の予算委員会で小泉首相にも質問したんですけれども、三月七日に司法制度改革推進本部の顧問会議が開かれて、翌日の毎日新聞、毎日新聞と言っちゃいましたが、小泉さんは司法制度改革に熱心でないという、識者から批判続出という、そういう記事が出ました。
私がそれを質問しようと思ったら、ぱっと推進本部の事務局の方が飛んでこられまして、あの記事は顧問の人が現実に言っていない発言が幾つかあって、誤報というか正確な記事じゃないんだと。そのことは新聞社の方も認めておって、近々対応を取るというようなことだったと思いますが、私も最近間違った記事で非常に迷惑したこともあるんですが、訂正してもらうというのは非常に困難です。
しかし、この場合は、これは小泉総理にも申し上げたんですが、小泉首相のそのときの答弁は、いや、まあ、総理大臣というのは一言言えばああだこうだといろいろ言われて、これが総理というものの宿命でとか、そんなことないんです。
ないと言うのはなぜかというと、あの顧問会議はリアルタイム公開ですから、新聞記者の皆さんが全部来ているわけですから、そこへ集まった皆さんが何を言っているかというのはみんながもう知っているわけですから、したがって記事が間違いというのは直ちに分かる、明らかに分かる、透明性が高いということで。これは私ども参議院の法務委員会、胸を張っていいと。この委員会でリアルタイム公開というのを附帯決議で付けたわけですからね。それが行われているということのおかげだと司法制度改革推進本部の事務方の皆さんもおっしゃっていたし、私どももそうだったのかなと思っておりますが。
さて、森山法務大臣、当然、あなたはこの推進本部の副本部長として七日の顧問会議におられましたよね。小泉総理は何と言われたか、顧問の皆さんはどういうことを言われたか、別に細かくでなくて結構ですから、大綱をお教えください。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、顧問会議に私も出席させていただきまして、ずっと傍聴させていただいておりました。
最初に、スケジュールの関係もあったと思いますけれども、顧問の皆さん方からお一人ずつ司法制度改革に関するそれぞれのお考えをお述べいただきまして、その最初の部分が全部終わるまで、あるいはそれよりももうちょっと後まで総理はずっと同席しておられまして、その意見をお聞きになっておりました。
いつもとちょっとそのプログラムの作り方が違いましたのは、恐らく総理が途中でお忙しくてお立ちにならなければならないことが多いものですから、せっかく顧問の先生方が何か御意見をおっしゃろうと思ってもそのときには総理がいらっしゃらないということがあってはいけないということで、最初に顧問の先生方の御意見の開陳というのがあったんだと思います。そういうことを見て新聞の方々がさっきおっしゃったような記事をお書きになったのかもしれませんが、実際にはそういうことではなくて、顧問の方々の御意見を、一人一人の御意見を直接伺おうという総理の姿勢でそのようなプログラムになったんだと私はそのとき理解いたしました。
それぞれに、例えばこの司法制度改革をして、例えば裁判を早くする、あるいは法曹を充実させるということになれば、裁判官とか検察官とか弁護士さんとかの数を増やさなければいけない。そうすると、それだけ人件費その他の財政的な負担も増えますが、その覚悟をちゃんとしているのでしょうかというような御意見が二、三の方から出ましたし、そのほかいろいろと非常に具体的な率直な御意見が全員から出していただきまして、総理のお耳にもそれが直接届いたということは非常に効果的であったというふうに私は思っております。
○江田五月君 そして同時に、それぞれの委員の声が直接本部長に、総理大臣に届く、同時にそうやってやり取りをしていることが直接国民に届く、これが極めて重要なことだと思っておりますが、その点の認識はいかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございまして、その最初のときから終わるまでずっと新聞記者さんも傍聴しておりましたし、その議事録は直ちに公開されるということでございまして、国民の皆様に全部そのいきさつ、やり取り、御意見、すぐに分かるような仕組みになっているということは大変いいことだと思っております。
○江田五月君 そのリアルタイム公開ですが、せっかくそうして、総理もそうした場で皆さんの意見も聞き、それが国民にすぐ伝わっていき、国民とのある種の対話の中で司法制度改革が進んでいくという、そういう画期的なプロセスが進んでいるのに、どうも一部不十分な点があると聞いております。
検討会十のうち五つ、リアルタイム公開ではあるが会議録で発言者の名前を伏せるという、非常に残念ですね、どの検討会がそうなのかよくこれから見ていきたいと思いますが、発言者名の公開に反対をしているのはどうも裁判所サイドから出てきた委員だというので私も肩身が狭くて甚だ困っておるんですが、それは事実ですか。五つが名前を伏せるということになっているというのは事実ですか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、結果的にそのようになっていると私も聞いておりますが、それぞれの検討会のそれぞれの委員の方に御相談というか御意見を伺いまして、全く個人の名前から発言内容まで全部公開してもいいというふうにそれぞれの検討会でお決めになったところはおっしゃるような一〇〇%のリアルタイム公開ですが、自分個人の名前は出さないで議事の内容だけ知らせるようにしてほしいというふうにお決めいただいたところは、そうでなく名前だけは伏せられているという状況でございまして、その結果がたまたま半分ずつになったということでございます。
○江田五月君 もうリアルタイム公開しているわけですから、だれがどういう発言をしたというのは分かっているわけですから、それを何か後で文書にするときだけは名前は隠してなんて、そんな、何ていうんですかね、こういうのを、けつの穴が小さいというような言い方はしちゃいけませんかね、今日は何かそういう話がよく……。それじゃ駄目ですよ、やっぱりね。自分の発言にちゃんと自信を持って司法制度改革に取り組める人が出てきていただかないといけないと思います。是非これは副本部長にリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが。
でき上がった会議録に、どうせだれが何を言ったかは分かっているわけですから、ですからそこへ第三者が、例えばマスコミなりどなたでもいいですが、そういう人が個人名を入れて事務局作成以外の会議録を作成したってこれは別にルール違反にはなりませんよね。
○政府参考人(山崎潮君) それは特段禁じられていないということになろうかと思います。
○江田五月君 確認しておきます。
顧問会議というのは、審議会報告がちゃんと尊重されているかどうか、これを言わば監督する機関だというように聞いておりますが、しかし現実には審議会メンバーとしては佐藤幸治会長しか顧問会議に入っていないので、先日、中坊公平さんにお会いする機会があったんですが、司法制度改革について随分心配をしておられまして、総理とか法務大臣、審議会メンバー、前のですよ、今の顧問会議じゃない、前の審議会メンバーの方々の御意見を聞く会など、せめて一年に二、三回でも開いたらどうかと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変長い間、しかも忙しく審議に御参加いただいて非常に貴重な御意見をちょうだいしました審議会のメンバーの方々には、佐藤先生以外にも大変御関心を持っていただいている方が多いかと思います。
折に触れていろいろお話は申し上げていると思いますが、そのような御希望があるんでございましたら検討させていただきたいと思います。
○江田五月君 あるんでございましたらもいいですが、是非こうなっていますよと、せっかく苦労いただいたんですから。二年間、本当にもうあの会議の数だけ見ても大変な御苦労だったわけだし、今も例えば中坊さんなんか心配しておられるので、是非とも、こうなっていますが、ほかからいろんな意見もお聞きになるでしょうが、どうでしょうか、聞かせてくださいと、そういう姿勢があった方がいいと思います。
さて、今日、司法制度改革推進計画が今朝の閣議決定になったということですが、まだよく中を見ていないんですが、一部、弁護士報酬の敗訴者負担制度の取扱いでございますが、これは書いてあるんですけれども、元々の意見書には「一律に導入することなく、」という文言が入っていた。ところが、その一律導入でなくという文言が消えている。
これは何ですか、何か敗訴者負担を審議会報告と意見とは違ったようなものを作ろうという、そういう隠れた意図があるんですか。
○政府参考人(山崎潮君) 特段の意図はございませんで、審議会の意見と同じ、同趣旨であるというふうに我々理解しております。
○江田五月君 今日は余り細かく入れません。確認だけしておきます。
「司法の行政に対するチェック機能の強化」というところ、これは審議会の意見の方も時間がなくて、これは大切なことだからというそれだけで、あとはもう推進本部の方に投げているというところもありますが、三行ほどしか書いていないんですね。行政裁判の関係、今回の司法制度改革の最重要課題の一つだと私は思っておるんですが、どうも従来、日本の司法というのは行政訴訟について非常に消極的な傾向が強かった。これが抜本的に改革されるのか、それともお化粧直しにすぎないことになるのか。
「「法の支配」の基本理念の下に、」というんですが、「遅くとも本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。」と。何だか何をしようというのかさっぱり分からぬことが書いてありますが、何をどうするつもりか。大方針、森山法務大臣の明確な、しかし大きな、短い大方針をひとつ聞かせてください。
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見におきましても、今、先生おっしゃいましたように、大変これが重要な課題であるということを言及していただいております。私どもも、当然御指摘の司法の行政に対するチェック機能の強化ということは重要な課題だと認識しております。
行政事件訴訟法の見直しを含めた行政に対する司法審査の在り方に関しましては、この意見においても述べられているように、法の支配の基本理念の下に、司法及び行政の役割を見据えた総合的、多角的な検討を進め、遅くとも本部設置期限までに所要の措置を講じてまいりたいと思います。
○江田五月君 私ども民主党も「行政訴訟改革について」ということで審議会の審査の過程で御意見を申し上げております。是非前向きに検討していただきたいと思います。
さて、実は私は、参議院における民主党・新緑風会という会派の疑惑解明プロジェクトチームというチームがありまして、その座長をやっておるんですが、若干この関係について伺います。
先般、自民党を離党された鈴木宗男衆議院議員の関係ですが、私設秘書のジョン・ムウェテ・ムルアカという人がおられますが、この人の現在の本邦在留資格、これは何ですか。
○政府参考人(中尾巧君) 永住ということになっております。
○江田五月君 済みません。その永住資格の申請の日とそしてこの許可の日、これをお知らせください。
○政府参考人(中尾巧君) お答えを申し上げます。
ただ、これは極めて個人のプライバシーにかかわる問題でありますが、本件につきまして差し支えない範囲で今回の事態をかんがみて限定的に申し上げさせていただきたいと思います。
委員お尋ねのムルアカ氏につきましての永住許可申請は平成十三年の八月になされておりまして、平成十三年の十月に許可になっております。
○江田五月君 八月と十月、この永住という在留資格の前の在留資格がありますよね。これは何でしたかね。
○政府参考人(中尾巧君) 日本人の配偶者等ということでございます。
○江田五月君 「等」というのは、何かその資格が「等」というのが付いているというだけで、本当は、本当はといいますか、配偶者等の中の何になるかというと配偶者という理解でいいですか。
○政府参考人(中尾巧君) 在留資格の名称自体はそれぞれ分かれておりまして、名称自体が配偶者等と、こういうふうな枠組みになっております。あとは御案内のとおりで配偶者という実態があると、こういうことでございます。
○江田五月君 この申請の時点と認定の許可の時点、日をお教えください。
○政府参考人(中尾巧君) 日本人配偶者等の変更許可でございます。変更許可の申請は平成十三年の五月にありまして、許可も五月ということであります。この間、審査期間をお聞きだろうと思いますのであえて申し上げますが、八日間でございます。
○江田五月君 テレビの報道などで、これがいやに短いじゃないかと、テレビがどこまで正しいかどうか、小錦はどうとか、相撲取りの、ほかの相撲取りはどうとか、小錦の場合は帰化ですから一律に比べるわけにいかないと思いますが、そういうようなことも言われましたが。
この配偶者等への変更、それから永住、こうした手続の過程で政治家の介入といいますか関与といいますか、それはありましたか、ありませんか。あった関係について、メモがあるかないか、あればお出しいただけるかどうか、お答えください。
○政府参考人(中尾巧君) ムルアカ氏の日本人配偶者等への変更許可及び永住許可につきましては、政治家等の要請その他は一切ございません。
なお、先ほど委員御指摘のありました短い云々のお話でございますが、具体的……
○江田五月君 聞いていない。聞いていない。
○政府参考人(中尾巧君) よろしいですか。
○江田五月君 永住者の在留許可、その証印というんですか、証明する判こ、証印、これはどこに押してありますか。
○政府参考人(中尾巧君) これは、証印は、一般論で申し上げますと、旅券をお持ちの方は旅券に押すことになっておりまして、旅券のお持ちでない方については在留資格証明書に証印を押してそれを証印ということで交付する、代わりに交付すると、こういうことになっております。
○江田五月君 彼の場合はどうですか。
○政府参考人(中尾巧君) 旅券が、所持をしておりますので、旅券に押してあるはずでございます。
○江田五月君 その旅券はどういう旅券ですか。
○政府参考人(中尾巧君) 当該旅券の種別につきましては私どもの方では正確に把握をしているところではございませんが、種別につきましては把握をしているわけじゃありませんが、先般、外務省から、ムルアカ氏のために作成されたとされる外交旅券は偽造文書であることが判明した旨のコンゴ民主共和国政府の口上書の写しをいただいておりますので、それを見る限りでは、現時点では一応その旅券は外交旅券だろうとは思われます。
○江田五月君 外務副大臣、お見えいただいておりますが、その今の口上書に係る、口上書が言及しているムルアカ氏の外交旅券、これが偽造だということ、これは今外務省はそう認定されているんだと思いますが、その経過について簡単に御報告ください。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
外務省で三月四日に発表いたしました報告書の中におきまして、同人の持っている旅券の種類について現在調査中であるというふうに報告いたしました。その中では、ムルアカ氏が現在使用していると思われる旅券の旅券番号に記載されているアルファベットは、通常、コンゴ民主共和国では外交旅券のみに使用されているものである。したがって、同人が所持している旅券は外交文書であるものと推測されるが、上記のとおり、同国政府から確認は得られていない。これが三月四日の時点でございました。
その後、引き続き先方政府に督促しておりました。そうしましたところ、コンゴ民主共和国外務・国際協力省より我が方の現地の大使館に対しまして、三月八日付けの口上書をもちまして、ムルアカ氏のために作成されたとされる外交旅券が偽造文書であることが判明した旨の通報がありました。
それですので、外務省は先般、これが偽造であるという通報があったということを発表した次第でございます。
○江田五月君 それで、通報があったと。そうすると、それはもう外務省としてはこれは偽造だという認識でよろしいんですか。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
今の口上書の中には、コンゴ民主共和国政府がこの旅券が偽造文書であると判断した具体的な理由その他の詳細について言及がございませんでした。それですので、先方政府に対しましてその理由につき確認しているところでございますが、これに対しての返事はまだ接到しておりません。
○江田五月君 法務省としてはこれどうですか、偽造というふうに、その旅券が本来、本来その旅券を発行する国がこれは偽造だと言っているわけですが、偽造の外交旅券で本邦で活動しているそういう人間がいるということは、これは法務省的には関心を持たなきゃならぬ事案だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(中尾巧君) 基本的には、私どもの入管で扱っている業務の関係から申し上げれば、在留資格と旅券とは必ずしもリンクするものではございません。当該在留資格というものは、当該国、それぞれの国で活動できる資格の問題でありまして、旅券というものはある国からある国へ渡航するための旅券でございます。したがいまして、その偽造旅券云々で直ちに、理屈の上では在留の方には直ちに影響するものではございません。
○江田五月君 直ちに影響しない。しかし、やっぱり偽造の旅券で我が国で活動していると。
森山大臣、たしか所信の中で、外国人の出入国の関係のことなど、厳しくというか適切にきっちりやるとおっしゃっていましたよね、うそじゃないですよね、当然。そうすると、これは今のようなことについては無関心ではいられないと思いますが、ちょっとおいておいて。
じゃ伺いますが、ムルアカさんという人はかなり出たり入ったりをしていると思うんですが、今現在は多分日本にいるんだろうと思いますが、今いるのはいつ入ってきたのですか。
○政府参考人(中尾巧君) 個人の出入国歴につきましては、これはプライバシーの関係もありますので具体的な日時等は申し上げることは差しおきたいと思いますが、少なくとも本年の一月にムウェテ・ムルアカ氏の名義での入国歴がございます。
○江田五月君 本年一月にムルアカ氏名義での入国歴があると。名ですから多分本人ですよね、普通に考えれば。そのときのパスポートは、もし今の外務省が発表されたように偽造パスポートだとしたら、これは入国は適法ですか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
当該旅券が、仮に偽造旅券で、入国の際の旅券が偽造旅券であるということになりますれば、有効な旅券を所持しないで本邦で不法入国したということになりますので、これは一般論で申し上げれば不法入国ということになろうかと思います。
○江田五月君 一般論はそうですが、特殊論はどうですか。
今、外務省の方からは、本国コンゴ民主共和国はこれは偽造であるという通報があったと、そのことを報告をした。さて、どういう経過でどう偽造であるかというのは調査中だと。そこまではいいです。それで、その調査の結果、一般論で不法入国になるものが、その調査の結果によって具体的にも不法入国になるんじゃありませんか。出入国管理及び難民認定法違反ということになるんじゃありませんか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
私どもの方の調査も踏まえ、外務省にお願いしている調査の結果も踏まえ、委員御指摘のとおり、それが偽造旅券ということが判明し、かつ、その旅券に基づいて入国したということが間違いないということになりますと、入国管理法に違反して不法入国ということになろうかと思います。
○江田五月君 やはり、外国人問題、今、私は厳しくするばかりが能じゃないと思いますよ。思いますけれども、いろんな事案が、気になることが起きているのも確かでして、こういうものが現に目の前にあるので、いやあれは国会議員の秘書だからということだったら、それは世の中通らないことになります。そこは、今まだ正に進行中のことですからそれ以上は詰めませんが、法務大臣、ちょっと御感想だけ伺っておきます。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、いろいろと御説明申し上げましたように、これから調べなければいけないことがありますし、まだ判明しないことがたくさんありますけれども、法律を犯して日本に入ってきたということがはっきりいたしますれば、それはしかるべき処置を取るべきだと思います。
○江田五月君 一九九九年二月、鈴木宗男議員からの要請で、外務省から法務省に対してムルアカ氏の在留資格についての相談があったということですが、だれがだれに相談したのか、法務省。
○政府参考人(中尾巧君) 一九九九年の二月に、当時の外務省中東アフリカ局長から当時の入国管理局長に対して相談があったというふうに承知しております。
○江田五月君 当時の入管局長、だれですか。
○政府参考人(中尾巧君) 竹中入管局長で、現トルコ大使でございます。
○江田五月君 法務省から外務省に出向してトルコ大使をやっているんですか。
○政府参考人(中尾巧君) 外務省から法務省に出向されて、入国管理局長に就任され、その後、外務省に戻られて、現在、トルコ大使をしておられると、こういうことでございます。
○江田五月君 外務省人脈。
天江局長の現職は。これは外務省かな。
○政府参考人(小田野展丈君) 現在はシリア大使をされております。
○江田五月君 中東アフリカ関係のオンパレードですね。法務省のそこまで外務省が出っ張ってきていた。今はそうじゃない、ないんです。それは御安心ください。ですけれども、当時はそういうことだったわけですよ。何だこれはと、こう言いたいわけです。
そこで、外務省の方に伺いますが、今年の一月二十四日の夜、松岡利勝議員の宴席に、当時の小町官房長、重家中東アフリカ局長が出席をした。だれがだれに何の目的でこういう出席を依頼したのか、答えてください。
○政府参考人(安藤裕康君) 一月二十四日、重家、当時の中東アフリカ局長と当時の小町官房長は、松岡利勝議員とチュニジア臨時代理大使との夕食会に急遽招かれて出席したというふうに承知しております。
○江田五月君 急遽招かれて出席して、そしてそこに今度夜十一時過ぎに鈴木宗男議員も来て、そんなに長くずっと、松岡利勝さんが呼んだからというので官房長や局長がいなきゃいけない、そういう関係にあったというふうに理解していいんですか。
○政府参考人(安藤裕康君) 当該会合では、在京シリア大使館が賃借権を有していると主張しております建物を競落いたしました民間会社が、東京地方裁判所の引渡命令に基づいて、平成十三年十二月十九日、この建物の引渡しを受けました件について、先方の求めに応じまして、その経緯及び事実関係を説明したというふうに報告を受けております。
○江田五月君 その関係は、何か記録、メモ、何かあるんですか。
○政府参考人(安藤裕康君) この会合、夕食会についての記録はないというふうに承知しております。
○江田五月君 いろいろ言い方あるでしょうが、この日がどういうときであったか、鈴木宗男さんが当時どういう状況にあったか、そういう場所に鈴木宗男さんが来て一体何をしたか。李下に冠を正さずというと、これほど冠を正したことはないような気がしますね。
松岡議員は外務省に非常に強い影響力を持っているようですが、私が予算委員会で要求した資料、鈴木宗男議員が会長を務める十六のアフリカ関係の議員連盟、そのリストを出してくれとお願いをしたら出していただきました。もちろん、これは外務省が把握をした当時の人のリストということなんですが、それを、アフリカ関係ごとに人の名前が書いてあるものを、人の名前ごとにずっと並べてみますとある種の構図が浮かび上がってきて、その議員連盟すべてに参加している委員が十五人、そのうち二人の議員が三つの議連で幹事長、事務局長とペアになってずっと役職に就いておる、これが松岡利勝議員と下地幹郎議員のその二人と。どうも、田中眞紀子さんの言う鈴木的な人とか予備軍とかいうのはまずはこの二人のことではないかなと、ちょっと私も勘ぐり深いもんですから、小川さんに負けずに、そんなふうに思ったりいたしますが。──いやいや、今のは冗談で。
この二人について、これまで外務省にどのような関与があったか、この二人、つまり松岡さんと下地さん、外務省にどのような関与があったか、それについてメモがあるかどうか、これを調査して報告していただきたいと思いますが、副大臣、いかがですか。
○副大臣(植竹繁雄君) 外務省は、今、委員お尋ねのアフリカ関係の十六の友好議員連盟の活動すべてを把握しておるわけではございませんが、その議員連盟から提出されましたリストの中に、今言われました松岡、下地両議員の名前が、コンゴ共和国を含めまして、鈴木宗男会長の下に幾つかの役職をしておるということはそこに記載されております。
なお、委員お尋ねの、外務省にこのアフリカに関して両議員からの働きがあったかどうかということにつきましては、その点ははっきり認識はしておりません。したがって、その調査ということは特段に必要はないと考えます。
○江田五月君 認識していないといったって、松岡さんの宴席に官房長、局長が呼ばれて夜十一時過ぎまで、夜半まで引っ張られるというようなそういうような関係があるわけですから、そこはひとつ是非調査をしてほしいと思っております。これは委員長、後ほど理事会で協議をしてください。
森山法務大臣、ひとつ、こういう政治家の関与、こうしたものが今問題になっていて、私どももいろいろお願いを申し上げたりしますから関与がいけないと一概に言っているわけじゃないんですが、メモを作る、情報公開する、そうした方向が今の小泉内閣の方向となっているやに伺うんで、是非そうした方向で御努力をお願いしたいと思います。
以上で終わります。
2002/03/19 |