2002/03/26 |
154 参院・予算委員会 BSE集中審議
13時から4時間強、予算委員会で、小泉首相も出席し、TV中継付きで、食品安全と医療問題に関する集中審議。2時20分から70分間、私と小川勝也さんで質問。チームの連携は、結構うまくいったと思います。先日公表されたBSE調査検討委員会の報告書案に基づき、委員会が指摘する農水省の「重大な失政」と「政策判断の間違い」等を、8項目に整理し、これに熊沢前次官の件など4項目を加えて、私の事務所でパネルを作り、これを2人で使いました。
私の質問の要点は、(1)高崎市の業者が製造した代用乳につき、徹底調査が必要、(2)死亡牛についても全頭検査が必要、(3)全頭検査は、安全な畜産体制の再生のために必要なのであって、全頭検査をしているから安全というのは間違い、(4)自民党農水族議員の行政関与についての調査を要求、(5)外相に、松岡利勝議員らの外務省行政への関与につき調査を要求、(6)パネルにより失政を指摘、(7)肉骨粉という「共食い飼料」を止めるべき、(8)明確な畜産再生計画を作り、生産農家にも厳しい協力を求め、その間の所得保障を行うべき、(9)トレースアビリティーを確立し、消費者にも、畜産再生過程への参加を実現すべしというものです。
(民主党ニュース)
江田議員、政府のBSE対策の不徹底を批判
26日、参議院予算委員会のBSE問題集中審議で、民主党の江田五月議員が質問に立ち、BSE感染源究明の遅れ、牛肉の安全確保の不徹底などをめぐって、政府の畜産行政の歪みを追及した。
江田議員は冒頭、いまだにBSEの感染源が特定できずにいることについて追及。まず、3頭の感染牛が共通に与えられていた動物性油脂を摂取していた牛がどのくらいいるかを質した。武部農水相は「推定3万頭」としたものの、その検査については「大部分は出荷される時に検査されることになる」などと悠長な回答。また、24カ月齢以上の死亡牛に対する検査についても、「全頭検査に近い形にしていく」としたものの、いつまでに検査体制をとるのかについては答えられなかった。江田議員は「なぜいつまでもできないのか」と厳しく批判した。
また、小泉首相が“全頭検査をやったから牛肉は安全”などと発言したと伝えられていることについて、「間違っている」と指摘。再度首相の認識を確認した。首相が、相変わらず「検査によって安全な牛肉しか市場に出回らなくなった」などと述べたため、江田議員は「24カ月齢以下の牛はプリオンが蓄積していても検査ではわからない。全頭検査は必要だが、それで安全が確保できたとは論理的に言えない。国民にあいまいな認識を伝えるべきでない」とたしなめた。
さらに江田議員は、BSE調査検討委員会の中間報告が肉骨粉について「近代畜産の陥穽」と述べていることを紹介しながら、「草食動物に共食いをさせてリサイクルするなどという考え方はいいのか。これはセンスの問題だ」として、BSEの背景にある畜産思想の是非について首相に質した。首相は、「(BSE問題は)食物こそ人間の基本であること、また自然を大事にすべきことを教えている」などと述べ、江田議員に共感を示した。
自民党農水族議員のBSE行政への関与をめぐっては、鈴木宗男、松岡利勝、江藤隆美の3議員の名前を挙げ、実態を調べて報告するよう農水省に求めた。
○委員長(真鍋賢二君) 次に、江田五月君の質疑を行います。江田五月君。
○江田五月君 BSE、いわゆる狂牛病問題について集中して質問をいたします。
BSE問題で、消費者あるいは生産者、流通事業者、食肉関連事業者、飲食店の皆さんまで含めて、すなわち日本国民全体に計り知れない損害が生じた。生産者は何も責められるところないんですね。畜産農家も責められるところは何もない。一部の業者で不心得者がおりました、雪印食品とか。しかし、多くの業者も何も責められるところない。焼き肉屋に至るまで、皆さん本当にまじめにやっている。ところが、これだけの損害が生じた。さあどうするんだと。行政というのが一番やっぱり責任が重いわけです。
その行政は、いや、まじめに取り組みますといったって、それはまじめに行政に取り組むのは皆当たり前のことなんで、それだけでは責任ということに、責任を取るということにならない。やはり私は、これだけ国民に損害が生じている、恐らく損害二千億というんですね、いや、もっとかもしれませんよ。そういう事態になって国民みんながこれだけ苦しんでいるのに、だれも責任取ろうとしていないというのはおかしいじゃないか。
私たち野党一致して、武部農水大臣、あなたの辞職あるいは更迭、これを求めております。しかし、なかなか自ら責任を取ろうとしない。
小泉さん、田中眞紀子外務大臣については三方一両損とかいう訳の分からぬ理由で更迭に踏み切られましたが、武部大臣についてはどういうわけかかばい続けておると、誠に残念であります。
そこで、今日は改めて武部大臣の責任を追及をしたいと思いますが、まず最初の質問ですが、三月十五日にBSEの感染ルートの調査の第二次中間報告が出されました。担当者の説明では、九六年十一月の三菱商事がイタリアから輸入した百五トンの肉骨粉、それが一つ。群馬県高崎市の株式会社科学飼料研究所の代用乳、製品名ぴゅあミルクですか、これは原料がオランダから輸入された動物性油脂、この二つが感染源として危険性が、感染源として完全に排除できない。そのほかに、香港のこととか魚粉のこととかあるけれども、これは今関係ないということの確認の作業中だということですから前の二つに絞り込まれたという、そういう担当者の説明だったんですが、農水大臣、それはそれでよろしいんですか。さっきもちょっとありましたが、簡単に答えてください。
○国務大臣(武部勤君) 今、委員御指摘のようなことがまだ可能性として排除できないということで、今後、感染源としての可能性を排除できない事項について更に調査を深めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
今のこと全部述べる必要は……
○江田五月君 いえ、結構です。
○国務大臣(武部勤君) よろしいですか。
いずれにいたしましても、BSEの感染経路の究明に当たりましては、BSEの潜伏期間が二年から八年と長いわけでありまして、調査対象期間が数年前にさかのぼること等から、かなりの困難が予想されますけれども、その見通しについてどうかということについては今直ちにお答えすることはできませんが、迷宮入りにはさせないとの覚悟で、全力を挙げてこのことに農林水産省としても最大のエネルギーを費やして努力してまいりたいと、かように考えております。
○江田五月君 今日は、我々の言葉で往復と、こう言うわけですが、質問と答弁と合わせた時間ですので、ひとつ答弁の方もよろしくお願いをいたします。
私が聞いた以外のことも既にお答えになったんですが、これは、何、長い期間掛かっているから、つまり食べたときから発症したときまでが長い期間掛かっているから解明も時間掛かる。迷宮入りにさせないというのは分かりました。しかし、いつごろまで、めどは立たないんですか、全然。
○国務大臣(武部勤君) 先ほども申し上げましたように、第二次中間答申、報告におきまして、そういう質問であれば一つ一つお答えしなくちゃならなくなってくるわけでございますが……
○江田五月君 立つか立たないか。
○国務大臣(武部勤君) それは今もう、私ども、もう今日、明日にでも究明したいと思っておりますが、しかしかなり絞られてきたことも事実だろうと、このように存じます。しかし、今申し上げましたように、迷宮入りはさせないとの覚悟で、体制も増強して、今全力を挙げて取り組んでいるという次第でございますので、御理解くださいということです。
○江田五月君 要は、めどが立たないということのようですね。
我が国のBSE感染牛、患畜、三頭、これは一九九六年の三月から四月のほぼ同時期に生まれた。そして、三頭ともこの株式会社科学飼料研究所の代用乳ぴゅあミルクを飲んでいたんですね。この時期、このぴゅあミルクを飲んでいた牛をすべて調べましたか。農水大臣。
○国務大臣(武部勤君) オランダ産の動物性油脂につきましては、その原料は牛の脂身等であると、率直に言って感染源となった可能性は、純度の高いものである可能性が高いこと等から低いと、こういうふうに言われております。
しかし、三例に共通する飼料であるということは委員御指摘のとおりでありまして、この可能性は完全に排除できないということで、現段階ではこれを一つの重点に絞って究明をしているわけでございますが、現段階で、単にオランダ産動物性粉末油脂を含む代用乳を起用されたことのみをもって検査のために強制的に殺処分するということは適当ではないと、かように考えているところでございます。
○江田五月君 要するに、疫学的に言えば、この三頭が全部同じものを飲んでいたわけですよ、高崎のぴゅあミルクというのを。ですから、それを飲んでいる牛は全部でどのくらいいたのか。しかも、時期も限られているわけですから、その間に飲んでいた牛はどのくらいいたのか。それを全部調べる、それはやっていないという話です、今の話は。
なぜかというと、全部調べたら、これ、調べるということは、その牛、かわいそうですが、殺すわけですから、それはかわいそうだからやれていないと。こういうことですか。いいですか。それでいいんですね、武部さん。
○国務大臣(武部勤君) 今のいわゆる三頭と同じ当時に、一九九六年に生産された現在飼養されている乳牛の頭数は約十万頭でございます。一九九六年に生産された牛で、現在飼養されている乳牛の頭数は十万頭です。当該代用乳のシェアは約三〇%、したがって推定頭数は約三万頭ということでございまして、これは、搾乳牛の場合は、委員御承知のように、廃用になりますと当然屠畜場に出荷されまして全頭検査を受けるわけでございますね。そういうようなことで、私どもは、今搾乳している牛ですから、これはこれで非常に貴重な資源でもございます。しかし同時に、あと何年もこの牛が搾乳を続けるということでないことも御理解いただけると、こういう次第でございまして、大部分は一、二年のうちに出荷され、屠畜場においてBSE検査を受けることになると、このように考えているわけでございます。
○江田五月君 じゃ、確認しますが、今はもちろんまだ全部調べるところまでいっていない、なぜなら乳を搾っている最中だからと。しかし、お乳を搾るというのは生まれてからどのくらいですか。何年かまで、七年とか八年とか、そこまでいくかな、ぐらいに限られるから、もう大体六六年ですから、生まれたのが。ほぼ終わりの時期に来ている。全部把握をしていると考えていいんですか、三万頭は全部一頭残らず把握をしていると考えていいんですか。
○国務大臣(武部勤君) 死亡牛、既に死亡している牛もございます。既に死亡している牛は確認はできておりません。
○江田五月君 しかし、ある時期以後の死亡牛は確認できるんじゃありませんか。
○国務大臣(武部勤君) 今、サーベイランスの強化をしておりまして、二十四か月齢以上の牛については、今、各都道府県に協力をお願いしておりますが、大体平成十四年度でいろんな機材といいますか、キットが準備される、こういうことでございますので、だからといって、機材がそろったから全部直ちに死亡牛についても全頭一気にいくというふうには、なかなか困難なことがあろうと思います。
いずれにいたしましても、私どもは、二十四か月齢以上の牛については都道府県の協力をいただくように今お願いをしているところでございます。したがいまして、順次そういった牛についても、死亡牛についても全頭検査に近い形に整備されていく、こういうことで御理解いただけるのではないかと、かように思います。
○江田五月君 ではないかと、かように思いますという、何か人ごとじゃないんですから。死亡牛、これについても私は全頭検査すべきだと思いますよ。今その体制を整えつつあるというお話ですが、じゃ、ちょっと近いうちにというのじゃやっぱりちょっとはっきりしない。いつごろまでに死亡牛全頭検査体制を取れるんですか。
○国務大臣(武部勤君) 二十四か月齢以上の死亡牛のうち年間四千五百頭を対象にしてBSE検査を行いつつあるわけでありますが、このような中で、我が国におけるBSEの早期根絶を図るために、御指摘のように死亡牛の検査体制の強化を急がなきゃならない、かように考えておりますが、ただいま申し上げましたように、各県、各都道府県の協力を得るということと、それから検査システムというものについて一日も早く準備するというそういう努力をしているわけでございまして、予算、人員を含めた体制作りを整える、急ぐ必要がある、このように考えております。現在、都道府県等と調整を行っているところでございます。
○江田五月君 いや、私もそんなにいらいらする方じゃないんですけれども、それはテレビでごらんになった国民の皆さんも今のような答弁だとやっぱりいらいらされると思いますよ。やっぱり、いや、難しいのはよく分かりますよ、都道府県の協力も得なきゃならぬ、農家の協力も得なきゃならぬと。
しかし、例えば屠場での牛については全頭検査、これは一か月ですか、ちゃんと整えられたじゃありませんか。なぜ一体死亡牛の全頭検査が、早急に早急にと言いながら、いつまでかというのが全然分からないということになるんだか分かりません。まあ、いいです、それは。
なぜ全頭検査というのは行うんですか。その目的は何ですか。
○国務大臣(坂口力君) 全頭検査につきまして、なぜするのかという御質問でございますが、これは学問的に言えば先生の御主張の方が僕は正しいのだろうというふうに思っておりますけれども、しかし、二十四か月を過ぎました牛で屠畜時に病気を持っているもの、又は三十か月齢以上のものにつきましてはこれはやるということを諸外国、特にヨーロッパもやっているわけでございまして、そこへ区切ってもいいわけでございますが、日本の牛はそれが二十四か月なのか三十か月なのか三十五か月になるかということが外から見て分からないわけですね。これ、二十四か月だと言われたらそうかなということでは済まないだろうと思うんですね、年齢が外から分かりませんから。だから、ここは全頭検査をして皆さん方に御理解をいただく以外になかったということでございます。
○江田五月君 厚生大臣に出られたらどうも困っちゃうんですが。私のあれを、説の方が学問的には正しいとおっしゃられると困っちゃうんですが、要するに私が疑問なのは、よく分からないんですが、全頭検査をやるから安全だと。小泉さんも、もう全頭検査を始めたから全頭検査で安全を確認できたと、こう言われたと、こう私にある人からメールが来たんですが、総理、全頭検査をやったから日本の肉の安全は確保できたと、こう言われましたですかね。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 安全な牛しか市場に出回らないということを申し上げたんです。
○江田五月君 ところが、そうじゃないんだと思うんですね。つまり、いいですか、全頭検査をやっても、今の坂口大臣のお話のとおり、二十四か月より未満ですか、あるいは二十四か月を若干過ぎてもあるのかもしれません。異常プリオンが体内にあってもまだ危険部位、延髄とかにそれが凝縮されていないから分からないですよね、若い牛は。全頭検査をしたって分からないんです、それは。しかし、全頭検査で陽性と出ないものですからこれは当然出ていきますよね、市場に。出ていくことになるでしょう。だって論理的にそうなる。
いや、だけれども、それはそうじゃないんだと。それは食肉や牛乳やそういうものは安全なんだからと。私もそう思って私も牛肉食べています。そう思います。思いますけれども、全頭検査をやっているから安全だと言われたって、全頭検査と安全性の連関、論理的にそうちゃんと付かないんですよ。いやいや、それはそうじゃないんだと、目とかなんとか危険部位は全部除去してあるからと。除去してあるんだったら全頭検査やらなくたって安全だということになっちゃうじゃないですか。何のために全頭検査。
私、全頭検査やれという主張ですよ。だけれども、全頭検査をやったから安全だという論理はないじゃないかということを言っている。どうです、小泉総理。
○国務大臣(武部勤君) これは、英国におけるデータによりますと、三十か月齢以上で感染する確率が、九九・九五%ということですから、それは若ければ若いほど確率は低くなるわけであります。しかし、今、委員も全頭検査賛成だと、こうおっしゃいましたね。やはり一番大事なことは、安全と安心の間の距離を埋めるということが私は一番必要だったと思うんです。
したがいまして、安全を証明するということが私ども非常に大事なことだと、こう考えておりまして、全頭検査によって一頭残らず検査する、そして安全を証明したもの以外は牛肉として流通しないという、そういう体制を作ったわけでございますから、これが全頭検査やったから安全でないというその論理、全頭検査やったから安全だと。じゃ、二十四か月でも三十か月でも安全だ、同じじゃないかという理屈にはならぬじゃないか。〇・〇五%といえども感染の確率があるという、そういう知見になっているわけでございますので、私どもとしては、我が国で初めて発生したBSEでございます。そのときに、もう世界に類例のない体制を作ろうということで、そこに向けて全力を挙げているわけでございまして、そのことを多としていただきたいと、かように思うわけでございます。
○江田五月君 全頭検査やって引っ掛かったものが危ないと、それは分かりますよ、当然。それはだから排除すると。しかし、全頭検査やっても引っ掛からなかったものが全部安全だという、そういう説明は論理的に成り立たないですねということを言っているんで、そうじゃなくて、そうじゃなくて、死亡牛も全部全頭検査して、そして日本の牛については、とにかく全頭検査をやって、そして次第次第に、今のプリオン感染状況どうなっているか、そのルートはどうなっているか、そうするとどこを直したら、どこを排除したらちゃんとプリオンがなくなっていくか。
ですから、例えば、例えば、何でもいいや、井戸水が何かちょっと入ったと。急のときには、それはその汚れたところだけ取る。しかし、一遍何かが入ると、それはなかなかきれいにならない。きれいにならないけれども、飲めるところまではきれいになった。だけれども、それはずっと検査をしながら、水の今の水質を管理しながら、次第次第に年月を掛けて新しい水をその中に入れて、古い水は出ていって、そうすると次第に井戸水は元のきれいな、ピュアな水になっていくわけですよ。
そういう日本の畜産体制の管理のために全頭検査をきっちりやって、日本の牛を元の安全な牛にしていく。そのためには全頭検査欠かせないから、だからやるのは私は賛成だと言っている。だけれども、全頭検査をやれば安全だという、そういうことを言ってやるから国民が信用できないというわけですよ。今、武部大臣の問題点、一番問題は信用されていないということなんですよ。(発言する者あり)何で意味が分からないんですか。
いいですか、私のところにこういうメールが来ている。総理大臣までが全頭検査で安全を確保できたと豪語したので今となっては絶対やめられないが、その後、全頭検査を高く評価しているのは国会だけだと、そう言って畜産農家が私のところへメールをよこしている。これが正しいかどうかは別として、そこははっきりと認識をしておいていただかなきゃいかぬ。
さて、私は、むしろこの死亡牛についても全頭検査、あるいは場合によっては、いつもすべての場合とは言いません。しかし、場合によっては生きている牛も買い上げてでも検査をして、そしてむしろ積極的にBSEの感染牛を見付け出して感染ルートを徹底的に解明して、一方で肉骨粉の使用を法律で禁止をして、この体制を数年以上徹底する。そのことによって日本の畜産体制から異常プリオンを完全に排除する。この気迫を持ってBSE問題に対処しなきゃならぬと思うけれども、残念ながら、武部大臣の言葉の端々からは、その気迫じゃなくて、むしろどうやってうまい具合に糊塗していくかという、そういうことしか感じられない。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)おかしくないんだ。
次に、四月二日に発表される予定のBSE問題に関する調査検討委員会報告書の内容、これはもちろんまだ中間段階ですが、内容が明らかにされていますが、その中に、自民党農水族議員がBSE問題のあらゆる局面で陰に陽に影響を及ぼした、また、農林水産省は産業振興官庁として抜きがたい生産者偏重の体質を農水族議員と共有してきたと書かれているが、どうも、そこの自民党農水族とかいうような表現が改められるとかという話ですね。これもどうも、どういう経過で改めることになったのか。まあ、いいでしょう。
しかし、新聞報道によれば、例えば昨年十月十六日、自民党BSE対策本部、先ほどどなたかお作りになったと言って大変胸を張っておられたが、その対策本部の会合で、松岡利勝議員とか鈴木宗男議員や江藤隆美議員などが大声を張り上げて主張した。江藤隆美議員は何と言ったか。この報道によればですが、今年二月に、おれなんか役所に圧力どころか命令するもんと、こう言って胸を張ったというんですね。ちょっとむちゃですよね。新聞記者団に語ったという。
こういうことからも明らかなように、BSE問題も、やっぱり族議員と官僚、政官癒着の問題なんです。
武部大臣、江藤隆美さん、松岡利勝さん、鈴木宗男さん、この三人の議員のBSE問題への関与、そして農水行政全般への関与の事実、これを調査して当委員会に報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(武部勤君) 農林水産行政の実施に当たりましては、私ども、国民の皆様方から幅広く聞きながら推進しているところでございまして、議員の皆様からも与野党それぞれいろいろな御意見を拝聴しております。そして、謙虚に耳を傾けるべきことについては耳を傾けておりますし、そうでないものについては毅然として対処しているわけでございまして、具体的な御指摘が問題としてあるのであれば内容に応じて適切に対処したいと、かように考えておりますが、今の御質問では、私の方から調査して云々ということには相ならないと思います。ですから、具体的なことを申していただきたいと。
それから、先ほどのことで、これは大事なことですから国民の皆さん方に知ってもらいたいのは、全頭検査で安全ということだけで全頭検査をやっているんじゃありません。やはり、サーベイランスということも大事なんです。ですから、死亡牛も二十四か月以上全部検査しようというのは、全部検査することによってデータが出てくるわけです。我々の願いは、迫力を持ってと、こうおっしゃいましたから申し上げますけれども、一日も早く清浄国にしたいと、そのためにはデータが要るんだということでございますので、全頭検査の目的は、安全なものしか流通しないというそういう一面と、それから、そういう全頭検査することによってサーベイランスをやろうという、そういう意味があることも御理解いただきたいと思います。
○江田五月君 全頭検査に話を戻したくないんですが、私も、十月十八日に全頭検査始めた、これで日本の牛肉は安全になったとおっしゃるからそうかなと思ったけれども、よく考えたらどうもそうじゃないんだ。安全なものにしていくためにデータが要る。それは私は認める。そのために、農家の皆さんにも多少いろいろ苦労を掛けてもやらなきゃならぬということだと思うが、まあ、それはいい。
さっき私が言ったのは、新聞報道なんですが、例えば十月十六日のBSE対策本部の会合、そこで大声でやられておる、そこへは農水省の幹部も出ておられる、そういうことを調べてほしいと言ったんですが、どうも調べる気がないようですが、委員長、これは理事会で協議をしていただきたいと思います。
○委員長(真鍋賢二君) 後刻協議いたします。
○江田五月君 ついでにといいますか、川口大臣に来ていただいていますが、ついでと言うと申し訳ないんですが、一月二十四日の夜、一月二十四日の夜、松岡議員の宴席に外務省の当時の小町官房長、重家中東アフリカ局長、長時間出席云々ということがあった。そこで、川口大臣、このことを大変怒って、官房長、局長を更迭したということですが、松岡議員が外務省に持っていた影響力、これは相当に大きなものだったということにもどうもびっくりするんですが、川口大臣は、政治家の不当な圧力排除に一生懸命努力しておられると思いますが、そこで、この鈴木宗男議員だけでなく、今のこの関係で松岡議員の外務省への関与、これについて調査をして、当予算委員会に報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 具体的な何か御指摘、こういうことについて調べてほしいということがございましたら、おっしゃっていただきましたらそれについて調査をさせていただきたいと思います。
○江田五月君 一月二十四日夜の松岡議員の宴席に小町官房長、重家中東アフリカ局長呼ばれて、遅くまで話した、その事のてんまつです、非常に具体的。
○国務大臣(川口順子君) それにつきましては、今まで国会で御質問ございまして、そのたびにお答えを申し上げているわけでございますけれども、一月の二十四日、重家当時の中東アフリカ局長、当時の小町官房長が松岡議員の駐日シリア臨時代理大使との夕食会に急遽招かれて出席をしたというふうに承知をしております。
この会合では、在京シリア大使館が賃借権を有すると主張していた建物を競落した民間会社が、東京地方裁判所の引渡命令に基づきまして、平成十三年十二月十九日、この建物の引渡しを受けた件について、求めに応じてその経緯及び事実関係を説明したと報告を受けております。ということで、この関係についてはそういうことだということです。
○江田五月君 要するに、松岡利勝議員がそのようなことまで外務省の行政について関与をしているということだろうと思いますが、この点も私は調査をしていただきたいということを、後に理事会で協議をしていただきたいと思いますが、いかがですか、委員長。
○委員長(真鍋賢二君) その件につきまして、理事会で相談をいたします。
○江田五月君 先ほども触れました調査検討委員会の報告書、四月二日に発表される。
資料を配ってください。
〔資料配付〕
○江田五月君 今日、私、ちょっとパネルを作ってまいりました。字がちょっと小さいので申し訳ないんですけれども、このBSE委員会の指摘、もちろんまだこれから四月二日に向けて推敲がされると思いますが、「農水省の「重大な失政」」と、「重大な失政」という言葉が入っているんですね。「政策判断の間違い」という言葉も入っている。
この私が書いた一と二、黒ですが、これは武部大臣が就任される前の話。一九九六年四月のWHOの肉骨粉禁止勧告に対して行政指導で済ませた。二が、九七年、米国、オーストラリア、肉骨粉禁止を、法的に禁止したときに適切な対応を怠った。
しかし、三以後、この赤のところは、三から八まですべて武部大臣になってからのこと、あるいは武部大臣になった後もずっと続いていることと、そういうことなんですね。
さらに、八まで、これは私が今の報告書の、先日の委員会に出されました参考資料、これを、要旨ですが、読ませていただいて私なりにまとめたもので、ステータス評価のこと、あるいは第一号牛の遅れ、あるいは虚偽の記者会見、記者発表、消費の低迷は行政不信と表示不信が重なった結果だと、こう明確に書いてある。あるいは、危機管理の考え方の欠如、情報非公開、専門家の意見の無視、JAS法の罰則、軽い、犯罪抑止効果がない、こういう言葉で書いてある。自民党を中心とする農水族議員と農水省が生産者偏重の体質を共有しているという、自民党とか農水族という言葉は変わるようですが、そして、そのほかに武部さん、あなたの責任として、熊澤前事務次官のこと、あるいは消費者無視の業者行政、感染ルートはまだ解明されない、全頭検査以前の食肉のずさんな買上げ事業、これもいろいろございます。こうしたことが既にもう出されているわけですよ。
こういう失敗、間違い、不祥事、変わらぬ体質、私は、武部農水大臣、あなたで今後の食品安全行政を構築したり日本の畜産体制を再生させたりする、それは無理だと。やっぱり消費者の信用というもの、信頼されていて初めてできるんですよ。
私は、これ小泉さん、先ほどもちょっとおっしゃっていた、いかに行政体制、食品の安全行政の体制をちゃんと作るか、これはこれから今本当に早急に考えなきゃならぬし、今の調査報告書でも議論されるし、後、小川勝也議員から引き継いでいただきたいと思いますが、聞いていただきたいと思いますが、小泉総理に聞きたいんですが、一つ感覚といいますかセンスを聞いておきたいんですけれども、その報告書の中に、この肉骨粉というのは工業化の申し子なんだと、近代畜産の陥穽、落とし穴なんだということが書いてあるんですよ。つまり、どんなに工業化されていったって、我々人間というのはこれは生物ですから、やっぱり生き物というある種の、あるでしょう、生き物というのはこんなもんだよというのがね。機械じゃないんですから、油を差して動かすというわけにはいかない。部品を取り替えればいつまでも続くというわけにいかない。そしてそれは、体の中で異常な細胞が出てくることがある。傷付いた細胞も出てくる。それがだんだんだんだん淘汰されて、もう小泉さんにしても私にしても六十年生きて、生まれたときの細胞とは全然今の細胞は違いますよね。十年前とも五年前とも細胞は違うんですよ、全然。そうやってずっとやってきて、そしてある年になったら土に帰るわけですよ。土に帰るわけで、しかし、個体としてはDNAか遺伝子か何かを通じて次の個体にずっと伝わっていく、そういうある種のルールといいますか、つながり方をしているわけ。
それが、肉骨粉というのはそうじゃなくて、そうじゃなくて、同じ種の中で、牛なら牛の中で共食いさせてリサイクルしてという、この発想はいいのかどうかという、これはセンスの問題だと思うんですが、どうお考えになります。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大変大事な問題を指摘されたと思うんです。
要するに、牛も動物、人間も動物、動物の健康を作るのは食物、食べ物だと思うんです。自然界の世界を見ても、草食動物を肉食動物が捕らえて、野菜なんか食べなくても生きていけるんですよね。人間と違う。
この今回のBSEにつきましても、牛は本来草食動物ですよ。それを肉骨粉という違うものを食べさせたわけでしょう。食べ物が原因で病気になっている。私は、いかに食べ物が大事かと、人間においても動物においても食べ物こそ健康の基本であると。自然への恐れといいますか、食べ物によく気を付ける、大事にする、食物こそ人間の健康、動物の健康を作るんだということを一面では教えたのじゃないかと思っています。これは、自然を大事にする、そして健康に気を付けるという点にも深くかかわりのある問題だと認識しております。
○江田五月君 もう一点、小泉さんに伺っておきます。
さっきも言いましたとおり、全頭検査は必要だと。それは、データを集めて、一遍プリオンに日本の牛が汚染された、しかしそれをもう一遍汚染されていないものに戻すためにいろんなこれからことをやっていかなきゃならない、そのときにはやはり畜産農家に大変な努力もお願いしなきゃならない、それはちょっと検査のために必要なんだから、あの飼料を食ったこの牛をちょっと検査させてくれと。
検査をするということになれば、その牛を殺さなきゃいけないわけですから、それはその畜産農家に大変な犠牲も強いることになる。しかし、それをやって日本の畜産というものをもう一遍元へ直していかなきゃならぬ。そのためには、私は、やっぱり例えば三年なら三年、五年なら五年、この間にこれだけのことはやる、政治の責任で。その代わり畜産農家の皆さんには苦労を掛ける。それならその分ちゃんと所得補償しましょうというようなことを一つやること。
もう一つは消費者ですよ。消費者こそが安全な食品を欲しているわけですから。消費者はその思いがあるわけですから。消費者は選ぶんですから。選ぶときに、これは安全だという肉が選べるように、今のこの耳に付ける耳票、これは、屠殺してそこから出ていくともう耳票がなくなって全部肉ということになっちゃうんです。そうじゃなくて、あそこの牧場から来た牛がここで売られているという、そういう連関を付けて消費者に選んでいただく、そうすると、消費者の方が安全なものを選ぼうということになってきて、安全な畜産体制を作ることに消費者が参加できるんですよ。そうした発想でこの畜産行政取り組むつもりはありませんか、どうですか。──あなたにはできない。信用されない。
○国務大臣(武部勤君) 私どもは、委員が今いろいろ御提起されましたようなことを一つの大きな目標にして今真剣に取り組んでいるわけでございます。影響を受けた方々たくさんおられます。生産者の皆様方にも真剣に耳を傾け、消費者の皆さん方の、方々の意見もしっかり受け止めて、トレーサビリティーの問題も、やはり農場から食卓までということを目標にして今真剣に取り組んでいる次第でございまして、あなたにはできないという厳しいお話でございますが、私は、私でなければこの困難を克服できない、そういう決意で職責を全うしてまいりたいと、かように決意をいたしておりますので、御鞭撻を賜りたいと存じます。
2002/03/26 |