2002/12/03 |
155 参院・法務委員会
13時から法務委員会で会社更生法について、私が45分間質問。私的整理には、長所もあっても、不透明で暴力団などの介入の余地が多いなど、見逃せない欠陥も多いので、法的整理による透明で公正な解決を進めるべきだと強調し、特に再建型の法的整理を「倒産」と呼ぶことを避けるよう求めました。さらに、整理回収機構、産業再生機構、中小企業支援策なども取り上げました。
平成十四年十二月三日(火曜日)
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 会社更生法改正案と関係法律の整備法案、この両案に対して私たち民主党は賛成でございます。
既に、会社を更生させるということの社会的な意義とか、あるいはこの法案の改正案のねらいとか、今の日本の経済状況の下におけるこの法案の早急な整備の必要性とか、こうしたことについてはもう当委員会でも議論があり、もちろん衆議院の方でもいろんな議論がございましたので、これについて蒸し返しの議論はなるべく避けていきたいと思っておりますが、私個人としては、実はこの会社更生法は特別の思いがございます。
不良債権処理問題、これは現在の日本の最重要課題の一つですが、その一番最初の大問題が一九九六年の住専処理問題だったですね。住専処理に国民の税金を使うなということで、六千八百億円でしたかね、大議論になったわけで、当時私は実は衆議院の予算委員だったんですね。
予算委員会で再三にわたって質問して、住専を私的整理ではなくて法的処理をすべきだ、会社更生法によって法的処理をすべきだと。いやいや、住専というのはもう更生させないんだ、これはつぶすんだと。いや、しかし、それは会社更生法でも清算型のような運用もあるじゃないかということをいろんな角度から議論をしたことを思い出しておりまして、また、更生手続の申立て権あるいは管財人の権能、責任追及のための刑事訴追権能、こうしたことを持つ国家行政組織法三条に基づく行政委員会としての不良債権処理公社、日本版のRTCの設置、こういう提案もさせていただいたことを思い出しておりますが、それは残念ながら実現せず、現在に至るまで国民の税金を使って私的整理をやるというやり方で政府は不良債権に当たってきた。大変残念だと思っております。
九六年当時の自民党首脳の発言に、この問題は日本的処理と法的処理の対立だという、そんなことを言った人がおりました。しかし、国民の税金を使って私的整理をするということが日本的な処理だと言うんだったら、それは私は間違っていると思います。政府が入って私的整理をするんだから変なことにはならない、さあ、そうかどうか。現実に当時の大蔵省や農水省の幹部がいろんなことをやった、いろんな言動があった。そんなことについても当時鋭く批判されたわけです。
やっぱり、私的整理は民間の合意によって整理をするといっても、そこにいろんな不条理な要素が介在してくる、それは暴力団であったりいろんなものがあるわけですから。法的整理というのは、じゃ合意の要素は全くないのかといったら、そんなことはないんで、法的処理も裁判所というものがちゃんと入りながら、合意の要素も取り入れながら整理をしていくわけで、やはり理非曲直、きっちり正した不条理のない透明なそういう手続で整理をするということが必要だと思っていますが、最初の質問。
法務大臣、住専問題以降、法律の整備も進んで、今回の会社更生法、あるいはその前の民事再生法の制定とか更生特例法、特定調停法とか、こうしたものも整備をされました。民事再生法などよく活用されているようですが、会社更生法についてはまだまだ件数が少ない。
そこで、改めて、今のようなことを踏まえて今回の会社更生法改正案の意義、これをどういうふうに整理をされておるか、端的にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 会社更生手続を始めとする法的整理は、私的整理と不良債権の売却と並び金融機関の不良債権を直接処理する手段の一つとされて活用されております。また、会社更生手続や民事再生手続は、倒産状態に陥った企業のうち再建の価値があるものを選別いたしましてその再建を図るということによりまして企業の解体、清算を防止する手続でありまして、雇用の維持とか取引先企業の連鎖倒産の防止など、不良債権処理に伴って生ずる社会経済的損失の軽減にも寄与するというふうに考えられます。
もっとも、現行の会社更生手続に対しましては、手続が厳格で時間が掛かり過ぎてなかなか難しいというような批判がございましたので、今回の改正によりまして手続の合理化及び迅速化を図り、使い勝手を大幅に向上させようというものでございます。
したがいまして、今後の不良債権処理あるいは過剰債務問題の解決に当たりましては、会社更生手続を積極的に活用していただくことを期待しているところでございます。
もっとも、会社更生手続は法的整理である以上、一定の費用と時間とを要する手続ですから、個別企業の実情に応じまして、低廉でかつ迅速な私的整理をも活用し、両者の適切な役割分担が図られるべきであると考えております。
○江田五月君 私的整理は低廉、迅速、法的整理は費用が掛かって時間も掛かる、必ずしもそうでもないんで、私的整理をやっていたら泥沼に入ってどうにもならなくなる、もっとなぜ早く法律家に相談しないかといったケースもたくさんあるわけですよ。
私的整理の長所というのも私も十分分かっておりますが、こういう会社更生法を使いやすくしようということの基には、やっぱり日本的処理ではなくて、透明で公平公正な法的整理をもっと日本社会の中に根付かせていかなきゃならぬ、もっと積極的にみんなが法的整理というものを使えるようにしなきゃならぬという、そういう思いがあると思いますが、これは違いますか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、そのような考え方から、先ほどもいろいろ申し上げました会社更生法の改正を含む法的整理を多くの方が活用しやすくなるようにということでございます。
○江田五月君 そこは我が国の今後の在り方に係るところなんで、しっかり認識をしておいていただきたいと思います。
平成十三年七月一日現在、全国の裁判所に係属していた会社更生事件二百十件のうち、更生計画認可決定がされていた百六十六件についての開始決定から認可決定までの審理期間、二十七・一か月、八百十四日、これは先ほど柏村委員の質問にあったところです。さらに、平成十一年から十三年までに終結した全国の会社更生事件九十四件の審理期間の平均値は八十・四か月、六年と八か月くらい。いずれも長い。
さて、そこで、今回の会社更生法改正で手続の迅速化、これが大きな目標ですが、これらの平均審理期間はどのくらい短縮されると見込んでおられるか、難しいですが、お答えください。
○政府参考人(房村精一君) 今回の改正によりまして、開始決定までの期間もまず相当短縮できると思っております。これは、現在の会社更生法では更生の見込みと……
○江田五月君 簡単に。
○政府参考人(房村精一君) はい、分かりました。
そこが大分短縮される。それから、計画までを一年という規定も置きますので、見込みとしては現在の半分程度まで短縮できるのではないかと、こう考えております。
○江田五月君 半分程度。開始決定までは要件を変えるから、簡単にするから短くなる。次に、今度認可までは期間をちゃんと法定するから短くなる。誠に明快ですよね。期待をしておりますが。
次に、会社更生事件の新受件数は平成十二年二十五、十三年四十七、今年は多くて九月末現在で八十六。この法案ができれば適用申請が劇的に増加することになるのか、どのぐらい増加すると見込んでおるのか、これはいかがですか。
○政府参考人(房村精一君) ただいま御指摘のように、現在の経済情勢の変化等を反映いたしまして今年、この会社更生事件、相当増えております。この状況でしばらくは続くのではないかということと、この会社更生法の改正によって格段に使いやすくなる、こういうことを考えますと、今年の実績を相当上回る数がしばらくの間はその申立て件数として現れるのではないかと、こう思っております。
○江田五月君 予測はなかなか難しいですが、大いに期待をしたい。
そこで、この会社更生法とか民事再生法とかの適用申請にどうもちゅうちょするということの理由の一つに、適用申請すると事実上の倒産と報道される。この報道で、もう一発で終わりになってしまうというのでなかなかそこまでやれない。実際は、民事再生法にしても会社更生法にしても、これから会社をスリムにしながら社会的に価値あるものを生き残らせていってダメージを少なくしようということですから、その適用申請があったら、もうあと取引は全然できなくなる、会社は事実上つぶれる、そういうことがあっては困るわけですが、社会的にはなかなかそうはいかない。
そこで、事実上の倒産──倒産という法律概念はないんだろうと思いますね。何か聞くと、外国でそういう倒産手続に入ったものについて倒産とかいう用語を使っているとかいうんですが、法律上、しかし、法律上の用語じゃなくて、倒産というのは単に事実上そういう言葉が流布されているだけだと思うんですけれども、倒産というのはどうするんですか。法務省としては、この倒産という表現はもうなるべく使わないようにされた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 確かに、御指摘のように、この会社更生手続あるいは民事再生手続というのは企業を立て直すということを目的とする手続でありますし、営業活動等も当然継続をして、その中で再建を図っていくわけでありますが、社会的にはこれが事実上の倒産という受け止め方をされており、これがある意味では手続の利用の妨げの一つの要因になっているというのは御指摘のとおりだと思います。
私どもとしては、会社更生とか民事再生の手続が再建を目指す手続だということを今まで以上に理解をしていただくよう努めるということを当然やらなければいけないと思っています。
また、倒産という言葉自体についても、こういう再建型の手続を指すのに倒産という言葉がいいのかどうか、そういう点も改めて検討を加えてみたいと考えております。
○江田五月君 これは、本当に是非検討していただきたいと思います。
マスコミなんかにも事実上非公式にお願いをしているということも言われますが、清算手続とそれから再建手続と、やっぱり違う。再建手続に入ったという、そのこと自体ももちろん企業にとってもあるいは取引先にとっても大変なことではあるけれども、そこはやはり再建手続なら再建手続で更生・再生手続とはっきり区別して表現すべきだと思います。
そもそもが法制審議会に倒産法部会という、これがおかしいんじゃないか。どうも倒産法制、我々も民主党の中で法務部門会議の倒産法プロジェクトチームなんて作っているものですから余り人のことは言えないんですけれども、我々も考えますが、法務省としても、まず隗より始めよということで、倒産法制、倒産法部会、こういう表現をそれこそ整理をするという必要があるんじゃないかと思いますが、もう一遍、これは、法務大臣、どうです、ちょっと感じを聞きたい。感じ。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、余りいいイメージではないですから何かいい言葉があれば変えたいとは思いますけれども、何かいい言葉がございますでしょうか。何かいい思い付きがありましたら教えていただきたいと思います。
○江田五月君 考えます。皆さんも考えてください。
もう一つ。東京地裁破産再生実務研究会というのがあるようで、園尾隆司、深沢茂之、どちらも東京地裁の民事二十部の裁判官、総括裁判官と次席のようですが、その人たちが編さんした解説書、「破産・民事再生の実務」という本があります。その下巻の中に、民事再生法の営業譲渡についての解説で、「営業譲渡の許可をする場合には、再生債権者および労働組合の意見を聴かなければならないが、適宜の方法で聴けば足りる。」と、こう書いてあるんですね。
この意見を聴かねばならないということをどういうふうに一体実務の皆さんなど意識をされているかと。随分冷淡な書き方だと思いますが、きちんと条文に書いてあるわけですから、条文の趣旨は、まあ聴けば足りるんだという、格好だけ付けりゃいいよという、そういう意味じゃないと思うんですけれどもね。しっかり意見を聴いて尊重するということだと思いますが、こういう営業譲渡の許可の場合に当事者、債権者や労働組合の意見を聴かねばならないというそのことの意味合い、もちろん政府が提案されたんだと思いますが、立法府が立法しているわけですから、立法府の意図をどういうふうに行政府としては理解をされているか。
○政府参考人(房村精一君) この営業譲渡の許可に当たって裁判所が意見を徴取するという手続を取りましたのは、必要性や相当性を欠く営業譲渡がされるときには、結果的に事業は継続されず、また債権者等の利益を害されることにもなると。そういうことを防ぐために事情に詳しい債権者あるいは労働組合の意見を聴くことを義務付けたものでありますので、これは必ずやっていただく必要がある事柄でございます。
確かに、御指摘の本では「適宜の方法で聴けば足りる。」となっておりますが、これの趣旨は、義務付けてありますのは、どのような方法で意見を聴くか、例えば書面で聴くのか、直接聴くのか、集会を開くのか、そういうことは法律で定めていないので適宜な方法でということが書かれているのではないかと。現に、その後の方を読みますと、この御指摘の書物では、単に書面で意見を聴くだけでは十分でなくて、直接聴くということが必要だというようなことをるる説明されておりますので、趣旨はそういう方法が適宜だということであって、その重要だということは十分認識された上で書かれているのではないかと思っております。
○江田五月君 その本の後の方に確かに書いてあるんですが、これは債権者のことは書いてあるけれども労働組合のことは書いていない。なぜ書いていないんですか。
○政府参考人(房村精一君) そこまではちょっと私もあれだったんですが、労働組合の意見徴取を義務付けたのも、もちろん会社更生を成功させるには労働組合の協力が不可欠であるということと、企業の内部事情に労働組合が非常に詳しい、こういうことを重視して法で義務付けたものでありますので、裁判所におかれても必ずその意見を聴取した上でそれを尊重して判断をしていただけるという具合に考えております。
○江田五月君 ここでこの研究会の皆さんの書かれていることを取り上げて民事局長をつるし上げても、それは筋違いですからそうはしませんが、やっぱり企業というのはそこでかかわっているみんなのものですから、そしてそれは労働者一人一人を、この一人一人を言わば束ねてその労働者一人一人の利益を代弁していくのが労働組合ですから、大切に考えていただかなきゃならぬので。
適宜というのは何かですが、「適宜の方法で聴けば足りる。」と言うからどうもかちんとくるので、適は適切ですから、宜はよろしいですから、適切でよくなきゃいけないんで、足りるというその意味と違うんですよね。適宜でなければならないというぐらいに考えていただかないといかぬと思います。
さて、会社更生法案も営業譲渡の許可について同様の規定がある。四十六条三項ですね。「裁判所は、前項の許可をする場合には、次に掲げる者の意見を聴かなければならない。」。一号、二号の更生債権者と更生担保権者については、これは更生債権者委員会とか更生担保権者委員会とかがある場合には「その意見を聴けば足りる。」と条文に書いてあるけれども、三号の労働組合等については意見を聴けば足りるとはどこにも書いていないので、文字どおり意見を聴かなければならない。
その趣旨は、聴かなければならないというのは、当然意見は可能な限り尊重する、これはそれでよろしいですね。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のとおりでございます。
○江田五月君 労働組合等の意見聴取については、労働組合等が希望するなら債権者、担保権者と同じ機会でもそれはいいでしょう。しかし、労働組合が自分たちの意見を特に聴いてほしいというときには別個に場を設けて意見を聴くべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) そこは、もちろん裁判所の御判断で、適切な方法でしかるべく意見を聴くということになろうかと思いますが。
○江田五月君 是非、労働組合側の希望というものも何が適切かを判断をする場合の重要な要素であると、そう考えていただきたいと思いますが、それはいかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 先ほども申し上げましたように、労働組合からの意見の聴取を義務付けましたのは、組合の協力が不可欠だということと必要な情報等を持っているということを考慮したものでございますので、その意見はそれなりにきちっと尊重した上で判断をされるということが必要だと思います。
○江田五月君 冒頭申し上げましたように、私は、不良債権問題の処理について法的整理を中核に据えるべきだと、特に公的機関である日本版RTCに申立て権、管財人の権能あるいは刑事訴追権能なども付与して積極的に行うべきだという考えを持っておりますが、どうも残念ながら公的機関としての日本版RTCは存在しない。現在、日本は住専処理機構と整理回収銀行が統合されたRCC、整理回収機構がある。そのRCCが私は債権者としての申立て権を行使して積極的に会社更生法や民事再生法を活用すべきであると思っております。
今日は預金保険機構の松田理事長に来ていただいていますが、まず、このRCCの企業再生における法的整理の現状、それから法的整理というものに対する基本的な考え方、これを説明してください。
○参考人(松田昇君) お答えいたします。
RCCに企業再生本部というのを作りまして、これは昨年の十一月でございますが、それ以降、RCCが再生計画の策定過程におきまして主導的に関与した案件というものが現在までに八十七件ございます。そういう再生案件八十七件の中で、法的再生にかけておりますのが十八件でございまして、残りの六十九件が私的再生案件ということになりました。
法的再生の内訳でございますけれども、会社更生法によりましたのは八件でございまして、民事再生法による申立てをしたのが八件でございます。残り、その他二件というのが会社整理と特定調停ということでございます。
私どもといたしましては、再生に当たりまして、やはり対象となる企業のありよう、実情に合わせて最も適当なものを選ぶということにしておりまして、例えばどの選択をするか、私的整理にするか法的整理にするか、法的整理でも何を選ぶかということになりますと、やはり回収の極大化をねらった場合の経済合理性があるか、それから、法的整理によらないでも債権者全体が一体合意をしてくれることが可能なのか、あるいは経営者の交代が必須なのか、そういういろいろの事情を個々に判断をいたしまして、個別に検討した上で、それぞれ利害得失を判断の上で法的整理にかけたり私的整理のままで処理をしたり、このように運用をいたしております。
○江田五月君 会社更生法改正、これは使い勝手を良くするということですが、これによってRCCが会社更生法の申立てをする件数は、これは増えるでしょうか、どうでしょうか。
○参考人(松田昇君) 御指摘の点でございますが、やはり具体的には対象とします案件の実情いかんによるとは思いますけれども、今回の改正そのものを拝見いたしまして、株式会社の事業の維持更生を合理的かつ機能的に図るという御趣旨であるということと、改正の内容の中に土地管轄の拡大だとか更生計画提出期限の短縮化等、実態面、手続面におきまして我々債権者にとっては更生制度の内容が簡易、迅速化されている、あるいは営業価値を維持したまま早期に売却できると、そういう手当てなどがなされておりますので、こういう点は非常に我々にとっては使い勝手の良いものになることは間違いございません。
したがいまして、これらの点にかんがみまして、今回の改正によりまして、私どもも早期の事業再生を目指しておりますので、RCCといたしましては会社更生手続を選択する、あるいは活用するという余地は広がるのではないかと、このように考えております。
○江田五月君 昨日、説明を聞いたんですが、どうも現状ではゴルフ場、リゾート施設、この二つがしょっちゅう出てきて、関係者が多いからと言うんですが、ゴルフ場やリゾート施設のように債権者の数が非常に多いときに会社更生法を使うということでしたが、さらにまた、旧経営者を排除した方が企業再生がしやすいと、こういう場合も会社更生法を使っていきたいということですが、これはそのとおりでいいんですか。
○参考人(松田昇君) 御指摘のとおりであります。
○江田五月君 次に、最近の政府の総合デフレ対策の中で産業再生機構が注目されています。うまくいくかどうか、どうも心もとないという意見もありますが、RCCとしてはこの産業再生機構との役割分担、まあ産業再生機構の方がまだちょっとどういうことになるかはっきりしていないということもありますが、役割分担というものをどう考えておるのか。今後、RCCの事業として企業の再生というものをどう位置付けて体制を強化していくのか。これは先ほどの企業再生本部ということはございますが、改めて、産業再生機構との役割分担の中でRCCとしてどういうふうに企業再生を位置付けて体制強化をしていくのかをお答えください。
○参考人(松田昇君) まだ産業再生機構のありようがはっきり決まっておりませんので将来どういう構造になるか定かではありませんけれども、現在のところは、デフレ対策のほかに公表されました金融再生プログラムによりまして、RCCとしても不良債権処理と企業再生を促進するという観点から具体的にいろいろな対策を打ち出しております。
具体的には、RCCの地方の拠点に企業再生専担の組織を新設するというような組織の強化、それから企業再生関連部署の人員の増強、あるいはスキルの向上、再生学校を行いましてスキルの向上を図るという人材の強化、あるいは政府系金融機関等と協議会の設置、これは既に動いております。さらには、企業再生ファンドとの連携強化のための窓口の設置、あるいは中小企業再生型信託スキームの創設、こういうふうに現在動いておりまして、RCCはRCCとして破綻懸念先以下の引き取りました不良債権の再生に引き続き注力していくと、こういう構えでございます。
○江田五月君 RCC、企業再生ということにかなり積極的になっていただけるということで、これも期待をしたいと思いますが、それでも産業再生機構の方は、単に個別の企業だけでなくて、一定の、個別の産業秩序をどういうふうにしていくかといったことまで踏み込んだ表現ぶりがあって、その辺りをどうするかというのは注目されますが。
産業再生機構について、まず、この産業再生機構の目的とか、いつ立ち上げて、存続期間をどのくらいにするのか、これを、今検討されている限度で結構ですから、お答えください。
○政府参考人(小手川大助君) まず、この機構につきましては、不良債権処理の加速という点と企業それから産業の再生という二つの目的を持っております。
それで、現在、私ども準備室の方では、この機構につきましては、法律上の手当て、それからその予算上の手当て等が必要でございますので、法律を次期通常国会にいつでも提出できるように鋭意準備しているところでございます。
それで、これは現実的な組織とする必要があるということで今いろんな意見を聞いておるところですが、少なくともその買取りにつきましては、これは短期集中的にやっていく必要があるんじゃないかということで、これを二年としてはどうかということで今、内部では検討しているところでございます。
○江田五月君 産業再生機構がどういうことになるかというのは、本当に注目もされますが、危惧も随分強い。さて、そんなものが本当にうまくいくかどうか。いずれにせよ、これはこれからよくチェックをしていきたいと思いますが。
企業の安易な延命を図ったり、あるいは産業全体で過剰供給構造、これを助長したりはしないということですね。企業の安易な延命あるいは過剰供給構造の助長、舌をかみそうですが、これをやらないと。具体的にどうするのかを説明してください。
○政府参考人(小手川大助君) 基本的な方針といたしましては、今、先生のおっしゃったとおりでございます。
具体的なところにつきましては、まだ今、構想の段階でございますので、今後ここは詳細を詰めていく必要がございますが、一つのイメージで申し上げますと、まず、この機構の一番のポイントは、メーンバンクとそれから債務者たる企業の間で一定の再建計画があることでございます。その再建計画に基づきまして、まずメーンバンクの方からオファーといいますか、買取り価格がやってまいります。それを機構の方で精査いたしまして、それでその価格で買い取る、あるいはそうでなければもう少し別の価格で買い取るということの決定をするわけですけれども、もちろんその場合、買取りに値しないものも当然ございます。
その際の一つのポイントは、時限的な機構の存続期間のうちにこの会社を新しく仕上げて新しいスポンサーが見付かるかどうかというのが非常に大きなポイントになってきますので、当然その過程で、その会社について魅力がある、すなわち、正に先生がおっしゃったような安易な延命とかそれから過剰供給構造じゃないという観点も含めまして、スポンサーが現れるかというのが一番ポイントになってくるというふうに考えております。
○江田五月君 それから、トータルな国民負担は最小限のものにするということですね。昨日の説明では、この企業再生がうまくいけば債権価値が上昇してすべての人にプラスになる、ウイン・ウインにすることも可能だということですが、国民負担を最小限にするというより、むしろ国民負担はゼロ、あるいはプラスにする、負担という意味でいえばマイナスか、にするということを目指していかれると、こういうことでなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小手川大助君) 機構につきましては今申し上げましたような基本的なスキームでございますので、例えば、簿価百のものを三十五で買ったというときに、その数年後にそれがスポンサーに対して三十五を上回る価格で売却できたかどうかということで極めて明確に結果が出てくるものというふうに考えております。
当然、その観点から、機構のトップというものはそこを綿密にその買取りの場合において審査していくと思うんですが、正にここで、先生おっしゃいましたようにトータルにつきましては、そうはいってもなかなか十勝ゼロ敗というわけにはいかないかもしれないと。しかしながら、全体としましてはとにかくその国民負担が最小になるように、当然機構のトップとしてはそこを真剣に考えていくということになってくると思います。
○江田五月君 十勝ゼロ敗は難しいでしょう。五勝五敗、あるいは六勝四敗、いやいや四勝六敗かもしれない。それでも勝の方が随分勝てば、敗の方が少なければトータルでは国民負担ゼロになるし、あるいは国民にとってプラスにもなるわけですから、一件一件について勝敗はもちろんよく吟味をしながら、全体としての国民負担の問題は当然意識をしていただきたい。
過剰供給構造を助長しないだけではなくて、やっぱりこれは適正規模に縮めていくということも時には必要かと思いますが、そうなると、やっぱり産業再生機構も会社更生法とか民事再生法の申立てを積極的にしてスリムにしながら再生していくという、そんなことも考えられなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小手川大助君) まだ機構の概要については今申し上げたような段階でございますので一般論ではございますけれども、法的な手続というものの利用ということは当然今回の機構の視野の中に入っているものというふうに考えております。
○江田五月君 中小企業庁に、会社更生法とちょっと離れるんですが、今年の三月の参議院予算委員会で、石川県とそれから私の地元の岡山県と、この二つの県の赤字の中小企業に対する経営改善計画支援制度、これを紹介をして質疑をさせていただきました。
中小企業診断士とか税理士などの専門家を派遣をして経営改善計画を作る、そうして、場合によっては融資もする、さらに、その専門家の謝礼金は、これは県が負担をする、そういう制度だと。これを私は予算委員会で、国としてもこのような支援制度に取り組むべきではないかという提案をいたしましたが、どうも最近の報道で、今年度の補正予算と来年度の予算の中で中小企業庁が、仮称でしょうが中小企業地域再生協議会、こういう取組をするということがございました。これは私の提案したような内容と合致するのかどうか、その趣旨を御説明ください。
○政府参考人(青木宏道君) ただいま江田委員より、私どもが現在検討中の中小企業地域再生協議会、仮称でございますけれども、これについての趣旨についてお尋ねがございました。
委員御案内のとおり、中小企業は全国で約四百八十四万事業所ございます。大変極めて多数でございます。また、その一人一人の業態も極めて多様でございます。場合によっては、事業内容もそれぞれの地域特性が非常に強いといったような特徴がございます。
検討中の再生協議会は、そうした中小企業の特性を考慮し、中小企業の事業再生支援のために、既存の中小企業政策を幅広く活用しつつ、かつ関係者の力を結集して個々の中小企業にきめ細かくケース・バイ・ケースで対応しようというのが趣旨でございます。
具体的には、各地域の商工会議所等に事務局を置きまして、中小公庫あるいは商工中金といった政府系金融機関、さらには地域の金融機関、自治体、私ども国の地方支分部局、さらには専門家でございます弁護士さんですとか診断士の方々、こういう幅広い各層の方々に参加していただくことを予定をしております。
こうした協議会を各地に設置をいたしまして、様々な経営上の問題を抱えております中小企業に、具体的な課題を抽出するためのまず個別の相談事業に的確に応ずる、さらに、必要がございましたら既存の施策も活用しながら取引あるいは金融、政策金融のあっせん、さらには事業改善実施計画の作成支援といったそれぞれの中小企業の個別の課題に対応をする所存でございます。
事業の詳細につきましては、今後、関係機関の理解と協力を得ながら早急に具体化をし、できますれば年度内にも事業に着手したいと考えております。
○江田五月君 それぞれの地域の実情に合った中小企業の再生策を検討するために、そしてそれを実行に移すために協議会をお作りになるということで、やっぱり地域地域でその地域の実情というものがありますから、その中で効果のあるものということになると、どうしてもそういう地域密着型というのが必要なんだと思いますね。
ちなみに、私ども民主党は、金融の面についても、地域の金融機関を元気にさせていく、それも地域の皆さんの言わば情報の共有と参加によってそうしたものを果たしていこうということで金融アセスメント法案なども出しておりますので、是非御検討いただきたいと思います。
これ、予算規模としては補正で二億、本予算で二十四億ということで、本予算の場合は主として専門家の謝礼金に充てられると聞いていますが、そのとおりですか。その配分はどうされますか。
○政府参考人(青木宏道君) 本協議会の運営のために必要な予算でございますが、ただいま江田先生がおっしゃいましたように、今年度、補正で約一億六千万、二億弱を今検討中でございます。また、次年度につきましても二十億前後の予算を検討中でございます。
いずれにいたしましても、これは個別の相談に応じ、事実関係の的確な把握ですとか正確な問題点の整理、あるいは、再生計画を策定支援する場合におきましてはその企業の発展性をきちんと見抜くといったような、あるいは地域における支援体制を十分に見据えた指導、助言を行うことが重要でございます。
こういう指導的な役割を果たす人材の配置、さらにはこういう人材を助けるためのいろんな専門家の方々の配置というのが中心的な予算になっておりまして、現在、財政当局と所要の調整をしているところでございます。また、配分につきましては今後の検討課題でございます。
私どもといたしましては、少なくとも年度中に、可能であれば約半数ぐらいの都道府県においてこういうものに着手していただけるように所要の予算を講じてまいりたいと思っております。
○江田五月君 岡山県とか石川県のように、既に県でこういう制度を作っていると、こういうものとの整合性、これはどうなりますか。
○政府参考人(青木宏道君) 委員御指摘の石川県あるいは岡山県につきまして、私ども、よく連絡を取らせていただいているところでございます。いずれもそのプログラムの概略は、再生に意欲のある中小企業の方がまず倒産するのを防止をする、さらに、可能であれば再生を支援をするということで、例えば倒産防止相談事業、あるいは再生支援チームによる個別企業ごとの経営計画の策定支援、さらには県が独自に持っております保証あるいは融資制度、そういった資金調達の支援というものをパッケージとしたプログラムであると認識をしております。私ども、このように各地域の実情に応じて各地域で施策が展開されることは大変望ましいと思っております。
他方、中小企業庁におきましては、例えば来年度、中小企業信用リスクデータベース、これはCRDと申しますけれども、現在、約百三十万以上の中小企業の経営情報とデフォルト情報が入っております。こうしたものを活用して客観的に中小企業の経営診断をしてさしあげるといったような情報提供事業、あるいは事業の再構築に必要なMアンドAの情報ですとか、あるいは最近問題となっております後継者難、こういう後継者マッチング情報といったようなものを国としても横断的な施策として展開してまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、こういう協議会を今後検討するに当たりましては、既に行われております地域独自の取組状況を十分に参考としながら、多様な中小企業に対してきめ細かに対応できるようその内容を検討してまいりたいと思っております。
○江田五月君 私は、日本の中小企業の皆さん、本当に大変よく頑張っておられると思います。しかし、残念ながらその大半が赤字なんですね。中には税金対策で赤字でいいんだと、こう考えている人もいるみたいで外形標準課税議論なんというのが始まったりしますが、やっぱり赤字ではしかしいけないと思うんですね。中小企業といえども企業はやはり基本的には黒字を目指していく、これが基本で、日本の中小企業が黒字を目指し、経営改善計画を立て、企業再生を図っていくということは、日本経済の再生にとっても非常に重要だと思います。この点をどうお考えになるか、中小企業庁の見解と決断、決意、これを最後に伺っておきたい。
労働組合の関係については、先ほど営業譲渡の意見聴取のことだけを聞きましたが、これは労働債権、預り金の問題なども含め、もう議論がたくさんありますのでここで繰り返しません。中小企業のことだけ最後に伺って、質問を終わります。
○政府参考人(青木宏道君) 中小企業も当然企業でございますので、是非、黒字になっていただくというのが私ども中小企業政策の基本的な考え方でございます。
現在非常に金融状況が逼迫している中で、単に赤字であるからといってなかなか融資が出ないとか、そういった状況も一部に見られるようでございます。私ども中小企業庁といたしましては、セーフティーネット保証あるいは貸付けといったような幅広い金融の安全網を張ることによりまして、仮に赤字であってもなお再生の可能性がある中小企業については幅広く支援をしてまいりたいと思っております。
○江田五月君 終わります。
2002/12/03 |