2003/05/15

戻るホーム主張目次会議録目次


156 参院・法務委員会

13時から、法務委員会。心神喪失者等医療観察法案と民主党の別案の審議で、私が13時15分から45分間の割り当てで質疑。法案への質問も準備していたのですが、厚生労働省から答弁者として出席している木村義雄厚生労働副大臣につき、看過出来ない問題が浮上しました。昨秋、この法案の審議中に、木村副大臣が、法案を求めている社団法人日本精神科病院協会(日精協)の政治団体から、2回にわたり合計80万円献金を受けたとの事案です。昨日の衆議院厚生労働委員会で、山井和則委員が提起した件です。

衆議院で、与野党の議員で真剣な修正の折衝をして、修正案を議決して参議院に送付してきたことにつき、前回の審議で私は、法案の賛否は別として、立法過程のあり方として注目に値すると評価したばかりです。ところがその過程で、肝心の政府の責任者が、答弁者として審議に関与するという職務行為に関連して、賄賂を受け取っていた可能性があるのです。この点を看過して審議を続けることは、到底出来ません。そこで30分強、質疑項目を変更して、この疑惑を取り上げ、森山法相には、法案提出者として事案を調査をすること、木村副大臣には、厚労省の監督下にある日精協関連の献金リストを委員会に提出することを求めました。どちらも応じなかったので、魚住委員長に対し、委員会として以上の2点を求めるように要求し、そのための理事間協議を求めました。そこで、その協議のため、質疑ストップとなり、50分間質疑が中断しました。

再開後、理事間協議の結果を受けて、魚住委員長が木村副大臣に、リスト提出に協力いただけますかと尋ねたところ、拒絶の答弁だったので、また中断。協議後、委員会を再開して再び尋ね、やっと副大臣は小さな声で、提出に努力しますと答弁。私の再度の質問に、森山大臣は、法案提出者として関心を持っていきますと答弁。私としては、これらの努力の結果を見たうえで残余の質問をすることとし、ほぼ8分間の質問を留保して今日の質問を終えました。

昨秋、日精協は法案審議のために、他にも多くの国会議員に献金攻勢をかけたことが疑われています。法案を金で買うことは、許すことが出来ません。私は、ほぼ24年間の国会議員議員経験の中で、大臣の責任を追及して辞任に追い込んだこともありますが、審議を中断させたことはありません。しかし今回だけは、自分が質疑している場が、賄賂によって汚されているかもしれないのでは、目をつぶることは出来ません。


平成十五年五月十五日(木曜日)

○江田五月君 森山法務大臣、歴代法務大臣として最長不倒距離をクリアされたということでございまして、誠におめでとうございます。

 私どもは、法務省を取り巻くいろんなことがあって、もう森山さん御自身の進退をお考えになった方がいいんじゃないかなどと今でも思っておりますが、今日はそういうおめでたいときですから、そういう苦口はたたかないことにしておきますが。

 法務省の所掌の行政範囲は非常に広い。この際、法の厳正な執行、とりわけ刑法、これについても覚悟を新たに取り組んでいただきたいと。いつもお優しい法務大臣でございますが、法の持つ厳しい面というものはやはり法務大臣が先頭に立ってそれを体現していただかなきゃならぬと思っております。
 お答えありますか。

○国務大臣(森山眞弓君) 江田先生から激励のお言葉をいただきまして、誠にありがとうございます。

 今仰せのとおり、この仕事を預かっております以上は忠実に、また誠実に一生懸命に仕事に邁進していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○江田五月君 とりわけ刑事法というのは、時にはもう自分の感情を殺してでも執行していかなきゃならぬという厳しい面があるわけで、そこは情に流されることなく、たとえ身内であっても厳しく悪をたたいていくという姿勢を忘れてもらっちゃ困ります。国民のためによろしくお願いをいたします。

 木村副大臣お見えですので、いささか伺っておきたいと思いますが、昨日の衆議院の厚生労働委員会で木村副大臣の問題が集中審議をされたそうですね。その中で、柔道整復師のことや何かがいろいろ議題になっていたようですが、併せて心神喪失者等医療観察法の、これも触れられたということなんですが、日本精神科病院協会、これは一体どういう団体だと御認識ですか。簡単にお答えください。

○副大臣(木村義雄君) 精神科の病院の方々がお集まりになっていただいている団体でございます、だと思います。

○江田五月君 社団法人ですよね。これはどこが監督をしているものですか。

○副大臣(木村義雄君) 厚生労働省でございます。

○江田五月君 この日精協という社団法人、政治団体も持っているようですが、その政治団体はどういうふうになっていますか。

○副大臣(木村義雄君) お持ちになっていると思います。

○江田五月君 どういう名前ですかね。

○副大臣(木村義雄君) 日本精神病院協会政治連盟でございます。

○江田五月君 昨年、木村副大臣はその日本精神科病院協会政治連盟か、から十一月と十二月、五十万と三十万、計八十万の政治献金を受けていたと。これは副大臣御自身が答弁されたようにちょっと伺ったんですが、もう一遍確認をいたします。

○副大臣(木村義雄君) 日本精神病院協会政治連盟から毎年、献金をいただいております。

○江田五月君 昨年のことを伺います。

○副大臣(木村義雄君) 先生御指摘のとおりでございます。

○江田五月君 その前の年、あるいはその前々年はどういうことか、今、御記憶はありますか。

○副大臣(木村義雄君) いただいておることは間違いないと思います。

○江田五月君 金額は。

○副大臣(木村義雄君) 政治資金規正法に公表されている金額は恐らく三十万とか、そういう金額じゃなかったかと思うんですが。

○江田五月君 これは、私もまだ十分調べられていないんですが、日本精神病院協会政治連盟の陣中見舞いという一覧表がここにはあるんですが、平成十二年度、平成十二年六月十五日、自民党香川県第二選挙区支部。確認しておきましょうか、木村副大臣は政党支部の代表、これは会長と言ったり支部長と言ったりいろんな名前があるようですが、これは何かされていますか。

○副大臣(木村義雄君) 失礼しました。これですね。

 十二年で、平成、二〇〇〇年、西暦二〇〇〇年でございますけれども、日本精神病院協会政治連盟から合計百三十万円で、パーティー券を含めまして合計百三十万円でございます。日本精神病院協会政治連盟ですね。それから、二〇〇一年に日本精神病院協会政治連盟、同じ政治連盟から六十万円いただいております。

○江田五月君 私が今尋ねたのは、それは前の質問のお答えを補充されたんだと思いますが、今質問をしたのは、政党の支部なり総支部なりの役員を木村副大臣されていますかという質問。

○副大臣(木村義雄君) 私ども自由民主党第二選挙区支部の支部長を仰せ付かっております。

○江田五月君 そうですね。今の百三十万とか何十万とかというのは、これは大臣個人ですか、政党ですか。

○副大臣(木村義雄君) 個人の資金管理団体に二〇〇〇年の場合が三十万円でございまして、選挙区支部で百万円になっております。それから、二〇〇一年の方は個人の資金管理団体に六十万円でございます。

○江田五月君 昨年十一月と十二月、今の百三十万円とか六十万円とかという金額からすると、金額自体は特別跳び跳ねてというわけではないのかもしれないけれども、二か月連続にわたって五十万、三十万、これはちょっと過去のものと同じでございますというわけにはいかないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○副大臣(木村義雄君) 今申し上げましたように、二〇〇〇年が合計で百三十万円でございますし、二〇〇一年は六十万円でございますので、今の数字、先生の八十万円というのはちょうどその中間に位置するのではないかと、このように思います。

○江田五月君 二か月連続というようなことが今まであったかどうかなどいろいろあるんですが、それは分かりました、それで。

 日本精神病院政治連盟が、昨年の十一月、十二月あるいは十月、この当時は衆議院の法務委員会あるいは厚生労働委員会とかで今議題になっているこの法案を審議をしている真っ最中だったわけですよね。その真っ最中に木村副大臣だけでなくてその他の大勢の皆さんに政治献金をされている、あるいはパーティー券を購入しておると、そういうことがささやかれておるんですが、これは、日本精神科病院協会というのは厚生労働省監督、所管の社団法人ですから、そして副大臣は今日ここへおる中では厚生労働省の最高幹部ですから、ひとつこの団体及びその関連の政治連盟などが行った昨年のそのころの、あるいは昨年一年の献金、これを調べて出していただくことをお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。

○副大臣(木村義雄君) 平成十四年の、先生、意味でございますか。

○江田五月君 そうです。

○副大臣(木村義雄君) 恐らく、平成十四年は今、先生がおっしゃったような金額じゃないかと思うんですが。

○江田五月君 リストを出していただけますか。

○副大臣(木村義雄君) それは連盟の話ですから、それは私は何とも言い難いわけでございます。

○江田五月君 社団法人日本精神科病院協会というのは厚生労働省の所管の公益法人で、そしてそれの関連の政治連盟もあるわけですよ。

 ですから、その政治連盟のことですから知りませんと言われるなら、そう言われればいいですが、要するに、その協会やその政治連盟が行った政治献金及びパーティー券のリストを出してくださいと言っている。

○副大臣(木村義雄君) 協会の方は確かに先生がおっしゃっているとおり我が省所管でございますけれども、政治連盟の方の所管は、省が、これは任意団体ですか、いや恐らく、これはもし政治団体だとしたら自治省の、総務省ですか、総務省の所管だと、こう思うんですね。

 それから、その団体がリストを出すか出さないかというのは、これは私個人の問題ではございませんから、それはその団体の方がどう考えるかということであろうと、このように思えてならない次第でございます。

○江田五月君 調べて出すことはその団体に聞いてみなきゃ分からぬという話ですが、委員長、資料要求を厚生労働省に対していたしますが、これはちょっとここで、この委員会として厚生労働省に今の日本精神科病院協会及びその関連の団体の政治献金についてのリスト、昨年分、これを出すように要求をいたしますが、取り扱っていただけますか。

○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、理事会で検討いたします。

○江田五月君 これ、後刻検討だけでは、実はちょっとここから先なかなか質問しにくいんですが、ちょっと取りあえずおいておきます。

 次、木村副大臣にもうちょっとお尋ねをしておきますが、今ここで答弁をされますよね。前回の質問のときにも私、木村副大臣に質問をして、この心神喪失者医療観察法の問題について答弁をしていただきましたね。これらのこの国会での副大臣としての答弁は、これは副大臣の公務員としての職務行為であると、こういう認識はありますね。

○副大臣(木村義雄君) 厚生労働省の副大臣としてお答えをさせていただいております。

○江田五月君 厚生労働省の副大臣というのは公務員であると、この認識はありますね。

○副大臣(木村義雄君) 厚生労働省の副大臣でございます。

○江田五月君 公務員であるかどうかの認識はありますかと。

○副大臣(木村義雄君) そのとおりでございます。

○江田五月君 当たり前ですよね、それくらいのことはね。

 そして、副大臣は、昨年十一月六日、社団法人日本精神科病院協会全国集会というのがございまして、そこに来賓としてお出掛けになった。そして、いろいろ述べられているんですが、今のこの法案、今、私ども全力を挙げてこの法案の成立に懸命に努力をしている最中でございます、しかし残念ながら云々とあって、何とか頑張ってこの法案をできるだけ早く通したいなと思っているような次第でございます、とにかくこの法案が通らないことには、また皆様方からよく言われておりますいわゆる一般対策、これが見込みが立たないと言っても過言ではないわけでございまして、こういうことからも、できるだけこの法案の早期成立に一生懸命に頑張ってまいりたいと、省を挙げて取り組んでまいりたいと、こういう気持ちで一杯でございますと。

 これはこの雑誌の編集者が書いたことではありますが、こういう趣旨のことをお話しになったことは事実でしょうか。

○副大臣(木村義雄君) この法案は、御承知のように、司法精神医療の充実を図る観点から政府が提出をし、その成立に向けて取り組んでいる法案でございます。私といたしましても、そうした立場から法案成立を取り組むことを申し上げたものでございます。

 この法案は、言うまでもなく、特定の団体どうだこうだというものではなくて、我が国の精神保健対策の充実という観点から提出されたものでございまして、正に省を挙げて、これは省を挙げてというのは、私どもで厚生省の中で本部を作りまして、本部を立ち上げまして、精神障害部だけではなくて、全省挙げて取り組むという決意を表明させていただいたところでございます。

○江田五月君 今いろんなことをおっしゃいましたが、こういう趣旨のことをおっしゃいましたか。イエスとかノーとかで答えてください。

○副大臣(木村義雄君) ですから、今申し上げたような趣旨で、この法案の大切さ、必要性、そういうことをはっきりと申し上げさせていただいたので、これは政府の提出した法案でございます。

○江田五月君 ここで書いてある、これは言われたんだろうと思いますが、また皆様方からよく言われております、何を言われたんですか。

○副大臣(木村義雄君) 皆様方から、精神保健対策の充実というものを言われているわけでございまして、これは当然のことだろうと思います。

○江田五月君 その中にはこの法案の成立も入っているんですね。

○副大臣(木村義雄君) この法案が成立しないと精神保健の充実ができないと。先ほど申しましたように、司法精神医療の充実を図るわけでございますから、この法案によって司法精神医療の充実を是非図らせていただきたいと、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。

○江田五月君 いろいろと何か気になることがあるなというお気持ちが心にあって答弁されているような感じはするんですが、まあ、ちょっとおいておいて。

 刑事局長、刑法のことをちょっと教えてほしいんですけれども、最近、刑法、平仮名で口語体になって、私もよく分からぬのですけれども、百九十七条ですね、公務員がその職務に関し賄賂を収受したときは五年以下の懲役に処すると。これはあれですか、公務員が別にだれかに頼まれたわけでもなく、その職務を曲げたわけでもなく、正しい職務をきっちり行った、それでもそれに関係して賄賂、賄賂というのはいろんなことが賄賂ですが、お金は賄賂じゃないと言うのはなかなか難しいと思いますけれども、お金をその職務に関連して受け取ったら、これは五年以下の懲役になるんだと、こういう趣旨なんですかね。

○政府参考人(樋渡利秋君) 委員十分御承知のとおりに、刑法の構成要件は書いてございますが、具体的に犯罪が成立するかどうか、犯罪の要件に該当するかどうかというのは収集された証拠に基づいて司法の場において判断される事柄でございまして、一般論でお聞きだと思うのでありますけれども、その解釈にもいろいろございますが、とにかく委員がおっしゃいますように、請託を受ければ受託収賄という罪がございますし、曲げれば枉法収賄ということもございます。

 この百九十七条の構成要件は、公務員がその職務に関して賄賂を収受、要求あるいは約束したときに成立するものでありまして、その収受された利益が職務に対する不法な報酬であって、それを認識、認容していたことが必要であるというふうに承知しております。

○江田五月君 いや、だから平仮名になってよく分からぬようになっていると言ったんですが、まあ片仮名のときもいろいろ分からぬことは一杯ありましたがですね。

 もう一つ、法務省、法務大臣が最高責任者として所管している行政の中には犯罪の捜査と、そして公訴の提起と、あるいは法の執行と、こういうことをつかさどる検察庁の行政というものも入っている。検察官に対する指揮監督のやり方というのはこれは検察庁法でいろいろありますが、全体として入っていることは間違いない。

 犯罪の捜査には何かの端緒がなければ捜査に着手ということにはならないんですが、国会のこういう質疑の中で、正に国民の皆さんの見ている前で、我々がいろんなやり取りをするその中で、その折に触れて犯罪行為にかかわるような質疑も行いますが、国会のこういう委員会での質疑で現れたことという、そこからどうもこれはやはり法の厳正な執行のためには捜査をしなきゃならぬという、そういうきっかけをつかむ、要するに端緒となる、こういうことはあり得る話、法務大臣、お気の毒ですから、刑事局長、あり得る話ですよね。

○政府参考人(樋渡利秋君) 少し説明させていただければと思うのでありますが、捜査の端緒といいますのは、捜査機関が犯罪の嫌疑を抱いて捜査を開始するに至った原因となる事由をいうと解されております。

 刑事訴訟法には捜査の端緒といたしまして、現行犯、告訴、告発、請求、自首などが規定されておりますが、捜査の端緒となり得るものはこれらに限定されるわけではございませんでして、捜査機関は新聞記事、投書、風評など、広く社会の諸事象からその端緒を得ることが許されるものと承知しております。したがいまして、委員御指摘のような委員会あるいは国会での質疑の中で捜査機関が端緒を得るということも許されているものと思います。

 しかしながら、若干これに敷衍させていただきますれば、捜査機関においてこれらの諸事象を把握し、これに犯罪の嫌疑を抱いて捜査を開始するに至った場合に、初めてこの事象が捜査の端緒となったと言えるものでありまして、捜査の端緒となり得ることと捜査の端緒となるということはまた別問題だろうと思います。

○江田五月君 なり得る話ですから、しかも今、私は、犯罪になるのではないかとどうも考えられるようなそういう事案について実は聞いているんです。これは私も、だから申し訳ないけれども、ここでの答えが下手をしたら、もちろん黙秘権の告知もしておりませんし、権限のある人間が調書を取って読み聞かせをやっているわけでもないから、それはダイレクトにじゃないけれども、それでもここでの供述が一定の刑事訴訟法上の効果を持つ場合があるので、私自身もはらはらしながら聞いているんです。そうやってやっているときですから、ここはやはり法務大臣も、厳正な法の執行はお誓われたわけですし、やはり刑事局長もこれからのやり取りをやはりよく聞いておいていただきたい。捜査の端緒になり得ると。

 そこで、もう少し聞きたいんですけれども、先ほどの話なんですよ。日精協が去年の正に法案審査の真っ最中に献金をしておると、たくさんのところですよ。ちなみに、ほかの皆さんに献金を受けましたか、その当時と聞きたいところですが、まあやめておきましょうね。聞きたいところですが、これはやっぱりちょっと出していただかなきゃいかぬ。

 私は、木村副大臣、これ申し訳ないけれども、やっぱりあなたは法務省の最高幹部の一人として……(「厚生省」と呼ぶ者あり)厚生省の、厚生労働省の最高幹部の一人として、衆議院での委員会審議の最中にも出てきて答弁をされているし、ここでもまた答弁をされているわけで、そしてその同じ時期に金銭の授受があったわけですよね。しかも、ここでおっしゃっているのは、また皆様方からよく言われておりますという、請託じゃないですか、これ。そういうことがあって、そして、しかも例の柔道整復師のときには渡した方が要請を実現してもらうために渡したと言っているわけですよね。そういうことがあって、これは私は非常にやばいところだと思うんですよ。

 この法案の審査が、この法案の審査の舞台そのものが犯罪行為の場であった、その結果として法案が生まれた、そんなことになったら、我々国会議員というのは、これは何のかんばせあって選挙区へ帰れるかということになるわけですよね。

 ですから、これはやっぱり是非今の献金リストについては、さっきのような答えではなくて、ちゃんと出してもらうという約束していただいてその結果を見なければここの審議はできないんですよ。委員長、いかがです。

○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、理事会で協議します。

○江田五月君 そのことを一つおいておきます。

 もう一つ。法務大臣、そういうような経過ですから、これは、去年の十月、十一月、十二月、そして今日まで木村副大臣の職務の行為と、そして関係する団体からの献金とその間の関連についてきっちりと調べていただかなければ、今のこの質疑自体が、ここで質問していること自体が犯罪につながるということをやったら、それは我々たまったものじゃない。そうではないんだ、これは私ども晴れて国民にも、いや自分たちは犯罪とかそういうものに関係なく本当にこの精神医療のためにこの法案を審議していると胸を張って言えるかどうか、そこのところが問われているわけですから、これは今の木村副大臣と献金のことについて、法務大臣として調査をしてこの委員会に報告をしていただきたい。いかがですか。

○国務大臣(森山眞弓君) 今お尋ねになったことは捜査機関の活動にかかわることでございますので、法務当局といたしましてはお答えいたしかねるわけでございます。

 あくまで一般論として申し上げれば、捜査機関は刑事事件として取り上げるべきものがあれば常に厳正、公平に所要の捜査を行って、適宜適切に処理するものと承知しております。

○江田五月君 そう刑事事件にかかわるというけれども、まだ端緒になり得るとしか答えていないんで、この事件、これ、ここのやり取りが端緒になりましたというふうにお答えになるなら、それは我々もそれはちょっと困りますよね。捜査やっている最中だからとなるけれども、捜査なんか始まっていることはないんですよ、まだ。あるいはあれですか、これはもう捜査始まりそうだから私たちは木村副大臣に何も聞いちゃいけないということになりますか。それだったらそれで、またこれ質問できないですよ。そうじゃないんで、調査をしてくれと。捜査と調査と、ソとチョの違いがあるんです。どうですか、調査をして、ここはちゃんと木村副大臣を相手に我々が質疑をしても大丈夫だという、そういうあかしを出してくれなきゃ審議ができないじゃないですか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 大臣がお答えになりましたことは、正しく検察の具体的な活動にかかわることでありますから法務当局としてはお答えいたしかねるというふうに申し上げたものでございまして、実際にそういうことが捜査の端緒となるか否かというのは正しく検察の具体的な捜査活動でございまして、それを法務当局が憶測したり、あるいはそういうことを言える立場にはないということでございます。

○江田五月君 法務当局の中には捜査を担当している部分もあるんですが、私は今捜査をしてくれと言っているんじゃないんで、法務省としてこの法案を提出されているわけでしょう、この場に。しかも、国会の審議があって、そこで皆さん答弁したり、私は前回の質疑のときに、もうそういうことは全然知らなかったものですから、塩崎さんと、与党と野党とが立場は違ってもいろいろと本当に協議をしながら一定の修正までやってきて、それについて我々は意見違うから反対ではあるけれども、しかし国会という場が本当に鳩首協議、知恵を集めて一つの法案を作るという努力をしてきた、そのことはそのこととしてこれは一定の評価をしたいというようなことまで言って、実はそのことが全部賄賂に汚れていたということになったら、これは本当にもう、我々だって立つ瀬がない。

 どうでしょう、委員長、今の問題についてしっかりした、これは法案を提出している行政の責任者としての調査を求めていただきたいと思いますが、いかがですか。

○委員長(魚住裕一郎君) 森山法務大臣、御答弁はございますか。求められている調査というお話ですが。

○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、法案の審議過程に問題があるかどうかということでございましたら、それは委員会が調査されるべきことではないかと思います。

○江田五月君 審議過程に問題じゃなくて、法案を出している政府ですよ。いいですか。厚生労働省は、もちろん法務省の提出の法案ではあるけれども、厚生労働省もこの法案、立案をし、そして国会に提出し、そしてこの審議を進めるときに答弁もずっとしているわけですよ。法案審議の過程で何か、委員会に何か変なことが起きたんじゃないんですよ。政府です。閣法です。これを調査をしていただきたいというんですが、これは委員長、私も今、丸々二十四年そろそろ国会議員やっているんですが、いまだ今まで大臣の責任を追及して大臣辞めていただいたこともあります。しかし、国会の審議というのは何より大切だというので、ぎりぎりまでいっても審議を止めたりしたことはないんですが、これは皆さん、このままで時間がずるずる行って、はい、時間が来ました、法案採決ですと言われてもたまらない。

 これはちょっと理事さん、そのことについては委員長の方からちゃんと求めていただきたい。それが答えがなければこれ質問することできない。

○委員長(魚住裕一郎君) 江田委員に申し上げます。

 立法過程における、立案過程における不正行為云々というその調査につきまして委員会として調査するか否か、また、どのようにするかを含めて、これ後刻、理事会で協議するほかないと考えますが。

○江田五月君 私は法案の中身についてまだまだ一杯聞きたいことあるんですが、法案の中身に入って時間をずっと費やしていって、はい、それでおしまいですと言われたんじゃ我々たまったもんじゃない。犯罪の成立に手をかすようなことになったら大変なので、ここで今の点だけは明確にして、我々は安んじてここで法案の審議ができるという場を確保していただきたい。その確認をしていただきたい。そのために、これは今そういうことを求めていただきたい。それが求められないんだったらそれ以上審議ができないということを言っている。

○委員長(魚住裕一郎君) 速記を止めてください。
   〔午後一時四十九分速記中止〕
   〔午後二時四十二分速記開始〕
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を起こしてください。

 木村厚生労働副大臣に申し上げます。
 先ほど、江田委員からの質問の中で、日精協政治連盟政治献金リストが話題となったところでありますが、リスト提出につきまして努力をしていただけますかどうか、御答弁をお願いいたします。

○副大臣(木村義雄君) 副大臣としては、なかなか権限が、直接の権限がこれはございません。そのことは十分に御理解をいただきたいのと、このように思うようにならない次第でございますが。(発言する者あり)

○委員長(魚住裕一郎君) 委員長からの今の発言は、努力をしていただけますかどうかという質問でございます。

○副大臣(木村義雄君) 厚生労働副大臣として権限がございません。権限がございませんもんですから、お約束なかなかいたしかねるんでございますけれども。(発言する者あり)

○委員長(魚住裕一郎君) 速記を止めてください。
   〔午後二時四十三分速記中止〕
   〔午後二時五十四分速記開始〕
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を起こしてください。

 木村副大臣にお尋ねいたします。
 先ほど委員長から、リスト提出について御努力いただけますかという趣旨で御答弁を求めましたわけでございますが、再度御答弁をお願いをいたします。木村副大臣。

○副大臣(木村義雄君) 努力いたします。

○委員長(魚住裕一郎君) 質疑を続けてください。江田委員。

○江田五月君 いや、あきれましたね、本当に。それだけの答えをいただくためにこんなにみんなの時間を無駄にしたわけで、これ以上、私、ここでいろいろ申し上げていたら、それがまた時間の無駄になりますから次へ行きますが、木村副大臣に今努力いただくわけですが、協会には監督権限はあっても政治連盟には何もないからなんという、そんな逃げの手を打っちゃいけないですよ。そんなの分かっているわけですからね。しかも、この平成十二年、先ほど木村副大臣、百万と何十万でしたか、言われていましたが、百万というのは陣中見舞いだろうと思いますが、その年にはこの協会政治連盟は六千四百二十万と。これは、手元だけでも、それだけのお金をばらまいて言わば法案を買おうとしているんじゃないかなどということになると大変なことなんで、これは私は、次のこの委員会の審議の日までに今の献金リストについては出していただきたいということを申し上げておきます。そうでなければ、この答えにのっとって次の質問を考えますので、その次の質問はできません。

 そこで、次にもう一つ、法務大臣の方に先ほどお願いをしている調査ですが、これはこの法案の立案から、さらに法務委員会、衆議院の方にかかって、そしていろんな各党の議論があって、最終的に修正されてここまで来ている、その経過の中での木村副大臣の行動ですから、私はこの法案成立過程で内閣としてかかわっていることがお金に汚れているんではないかということを聞いているわけですよ。

 法務省ですから厚生労働省のことについては何もできませんと言ったって、内閣ですから、やはりこれは、法案提出している、その衝に当たっている法務大臣として、その調査は、この法案の審議の過程で木村副大臣がこの日本精神科病院協会の皆さんあるいは政治連盟の皆さんとどういう接触があったか、どういう要請があったか、それに対して例えば集会でどういう答えをしたか、その間、金はどういうふうに動いたか、そういうことについての調査をお願いをしますが、いかがですか。

○国務大臣(森山眞弓君) 法案の提出者といたしまして、経緯につき関心を持って十分に受け止めさせていただきます。

○江田五月君 このことは、その後また、その今の関心、調査、その結果をお伺いすることとして、以後の私の質問については、そうしたことを踏まえなければ質問できませんので、残りの時間は留保します。


2003/05/15

戻るホーム主張目次会議録目次