2004年5月11日 |
159 参院・法務委員会
・ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(閣法第67号)
・ 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(閣法第68号)10時から、法務委員会で、裁判員法案と刑事訴訟法改正案の質疑。11時前から1時間弱、私が質疑しました。冒頭、昨日の事態で質問通告が遅くなったことをお詫びし、私の年金実績に触れ、選挙で闘う相手の議員にも11年9ヶ月という長期未納があったことを指摘し、追納制度の立法を紹介した後に、法務大臣の年金実績につき質しました。国鉄退職時から前倒し支給を受けているため、国民年金未納はないとのことで、納得。次いで裁判員制度と刑訴法改正につき、かなり専門的なことも含めた質疑をしました。
平成十六年五月十一日(火曜日)
○江田五月君 昨日は、私ども民主党、大変試練の日でございました。菅直人代表が自らの年金問題で政治不信を増幅したという理由で辞任をされました。まあそれやこれやで遅くまで党内の議論が続きまして、質問の通告が深夜になって、十分な通告ができていないというのをまず冒頭おわびをしておきます。
私は、今やはり歴史的な変革期だと思いますね。今が歴史の曲がり角。戦争か平和かといった問題もありますが、同時に、その他のいろんな制度改革をしていかなきゃならぬということもあると。この裁判員制度というのもやはりその一つだと思いますし、また年金改革もその一つだと。市場システムの前提としての社会の在り方、これをこの裁判に至るまで国民が参加するようなシステムにするとか、あるいはみんなに一番基本的な年金だけはちゃんと用意をするとか、そうした大きな変革期で、まあそういう制度の変革を乗り切っていく法律を次々と作っていく、そういう私ども国会議員が今国民の皆さんから十分信用されていないということは、これは大変重要なことだと思っております。
年金については、これは、政府の案、私どもはそれでは一番基本的な年金による老後の支えが準備できていないというので一元化ということを言っておりまして、その一元化については、衆議院の議論の中で国会と政党間に協議機関ができるということになったようでございまして、これは、是非これをしっかりしたものにしなきゃいけないと思っておりますが、国民をしっかり支えるということについて言えば、一部大変不幸な関係で無年金になった、こういうケースについては、裁判所がこれは憲法違反だと、そんなことも言っているわけですね。どこかのおかしな裁判官が憲法違反をという、そうじゃないんで、やはりこれは、裁判所がそういうことを言っているということは我々重く受け止めていかなきゃならぬと思うんですが。
そこで、実は私も自分の年金はちゃんとなっているともう思い込んでおりまして、しかし、念のためと思って調べましたら、裁判官を辞めて国会議員になるまでの国会議員でない期間がちょっとあって、その間が数か月国民年金に入ってなかったと。大変申し訳なく思っております。今から二十年以上前の話で、しかも、その最初のころは国会議員になると国民年金に入れないという時代ですから、その国民年金に入れない国会議員になろうとする何か月か国民年金に入れというのもなかなか理解できない状態ではあったけれども、それにしてもこれは申し訳ないと思っておりますが。そう思っていたら、今度、六年前に一緒に岡山県で当選した相方が、今度はこれ一議席をめぐって熾烈な争いをするんですが、その同僚議員は、昨日発表されましたが、国会議員になってから十一年九か月国民年金に入っていなかったというようなことで、これは私、責めるつもりありません。もう本当に皆そういうことになってしまっていて。
しかし、やっぱりこれは、国会議員、今すべて年金加入状況こうだと。私は、ひとつ国会議員は、もうその間は特別立法でさかのぼって年金掛金を払うと、払ってつながるというのは申し訳ないから、それは期間に算入しないと、そんなことでもやって、国民の皆さんに、それで済むかどうか分かりませんが、ひとつ頭を丸めるということぐらいやらなきゃいけないんじゃないかと思っておりますが、裁判員制度のずばりの関係じゃありませんが、国民の皆さんとの信頼をしっかり回復しないと、この裁判員制度も国民の皆さんに大変な負担を掛ける制度ですので、前提としてそういう信頼確立ということが必要だと思うのであえて大臣にお伺いをしますが、大臣、大臣の年金の状況というのは、これはお調べになりましたか。
○国務大臣(野沢太三君) この問題につきましては、私、衆議院でも同じようなお尋ねがございまして、そこでもお答えをしておりますが、私は国民年金が強制加入となりました昭和六十一年四月以前から日本鉄道共済年金の繰上げ受給を受けておりまして、国民年金未納というような問題は生じないと承知しております。
以上でございますが。
○江田五月君 年金受給者だったの。
○国務大臣(野沢太三君) 大変やりくりが苦しいものですから、減額の先取り支給をいただいておると、こういうことでございます。
○江田五月君 ほっとしました。本当にほっとしたんです。本当に皆、本当に明らかにすべきで、しかし、それは、もうそういう今までの制度の欠陥が一杯あるからしようがないところがあるんで、それですぐ責任とかという話じゃなくて、ちゃんとした始末を付けるということが必要だと思っております。
さて、そこで、この歴史的変革期に当たって司法制度を変えるということですが、今回の裁判員制度、これはそういう歴史的な変革なんだと、先日、四月の二十八日でしたか、本会議で私も質問に立たせていただいて大臣に伺いましたが、もう一度、委員会の質疑ですので、歴史的な変革期の、日本の司法というものを歴史的に変えていくんだという、そういう覚悟というか、気概といいますか、これをお聞かせください。
○国務大臣(野沢太三君) 今回の裁判員制度が導入されまして、国民の感覚が裁判の内容に反映されるようになることによりまして司法に対する国民の理解や支持が一層深まり、現在にも増して司法はより強固な国民的基盤を得ることができるようになるものと考えておりまして、先日、委員から本会議において御指摘をされた点につきましては、私も大いに同感するところがあるわけでございます。そのような意味で、裁判員制度の導入につきましては、我が国の司法にとって極めて重要な意義のある大きな改革であると考えております。
刑事裁判制度の運用に当たっている裁判官、検察官、弁護士においても、このような裁判員制度の趣旨を十分に理解した上で裁判員に分かりやすい裁判とすることや、裁判員も十分に発言することのできる充実した評議が行われるようにすることなどによりまして、制度趣旨の実現に努めることが期待されているものと考えております。今までも裁判の結果というものは大変国民の皆様からは最も信頼された制度であると思いますが、更にそれが国民的な基盤としてしっかりまた確立されるということで、委員も御指摘されましたとおり、五十年、百年に一度の改革に相当する歴史的な意義ある仕事と考えております。
○江田五月君 大臣は、基本的にはこれまでの司法というものは、まあ刑事司法だけに限ってもいいんですが、国民から信頼されている、しかしそれを更にという、そういうお話ですが、私は必ずしも信頼されていないという面がやはりあったのではないかと。裁判が長いということもありますが、裁判を受ける者、これは刑事司法ですから、裁判を受ける者は、有罪が確定しないとそれは悪いことをしたということが確定するわけじゃないけれども、それでも、まあ何かおずおずと出ていくわけですよね。そうすると、しかし、やっぱり聞いてもらいたいことも一杯あるという人たちばかりなんですが、なかなか聞いてもらえるという雰囲気にならない、怖い、十分に弁解を聞いてくれない。まあ民事裁判の場合なんかはもう書面だけのやり取りで、準備書面陳述ですね、はい、じゃ次回期日はといって、あとは弁護士さんがずっと手帳を見ながら、もうその日は詰まっています、詰まっています、何で詰まっているかよく分からぬ、ゴルフの約束とか、どんどん先へ延ばされてとか、ゴルフの約束とは言わないんですね、そのときは、手帳を見ているだけで。生きた裁判になかなかなっていない。
刑事裁判でも、特に、多少長くなるとやっぱり間に更新手続なんかが入って裁判官が替わる。あのときあの裁判官に自分は言って聞いてもらったのに、今度の裁判官はそれを聞いてくれているんだろうか。何か更新といったって、別にそれは弁護士が、弁護人が強く求めればいろんな更新はやるけれども、普通ならば更新というだけの話ですから。
というようなことで、今の刑事裁判が私は国民から十分信頼されていない、国民の満足を得るような裁判になっていない、そういうところもあると思うんですが、法務大臣、そういう認識はおありなんでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 委員が多年の実務上の御経験を踏まえて現在の制度についての御意見を幾つかお持ちだということについては私も大いに敬意を表するところでございますが、我が国の現在の刑事裁判につきましては、基本的には国民の信頼を得ているものと私は認識をしているところでございます。
国民の意識、価値観が多様化し、社会が急速に変化する中で、御指摘のとおりに裁判に時間が掛かり過ぎる、時として刑が重過ぎたり軽過ぎたりする刑の軽重の問題も議論になりますし、それから、裁判の手続や内容が分かりにくいという点は私どもにとっては本当に深刻な問題でもございまして、このような指摘があることは十分承知をしております。
今後、司法の果たすべき役割がより大きくなっていく中で、司法がその機能をより多く果たしていくためには国民的基盤をより強固にすることが必要であるということが今回の改革の一つのきっかけになっているわけでございますが、この裁判員制度が導入されまして国民の感覚が裁判により反映されるようになりますと、司法に対する国民の理解や支持が一層深まりまして、より強い基盤を得ることができるというふうに今考えているわけでございます。
加えまして、今回の裁判員制度が導入されますと、何よりもやはり一般の方々が参加していただけるということで、これを迅速に行うという連日的開廷というような制度も導入することになっておりますし、また手続や判決の内容を裁判員の方々により分かりやすいものとする必要がありますから、ひいてはこれが国民にとって分かりやすい裁判が実現される道につながる、こういうこと考えられます。
そして、国民に刑事裁判の過程に参加していただくことによりまして、広く社会秩序や治安あるいは犯罪の被害や人権といった問題について国民の皆様がこの際ひとつ一人一人お考えいただく大きなこれはきっかけになっていくのではないかなと、こう考えておりまして、基本的に今のが駄目だからというよりも、より一層改善をする、改革をするという観点からの御提言を申し上げているところでございます。
○江田五月君 余りそこをぎりぎり詰めてもそれほど生産的な話じゃないけれども、やはり大臣、そこは是非分かっていただきたいのは、こういう国会とかあるいは霞が関とか、そういうところにいたら分からないんですよ。しかし、現場に行くと本当に、特に裁判受けている人たちというのは、それはやっぱり言いたいことを聞いてもらった、で、その上で十分な証拠調べでなるほどと、しかも最後にしっかり諭されて、納得して、そして受刑するという、そういうプロセスがあるかというと、決してそれはそうじゃない。
事件が最近はかなり迅速になってきている。しかし、迅速といいながら、それは迅速でやることだけをやろうと思うと、裁判官がぼんぼんぼんぼんやれば速くはなりますよね。だけれども、やっぱり十分な納得というものがあるとは言えないという状況は、それは大臣、いや、それはあるでしょうとはお答えできないのかもしれませんが、これは分かっておいていただきたいと強く申し上げておきます。
そして、私は、この裁判員制度の導入が、とにかく一般の人から選ばれた裁判員に裁判をしてもらう、そこまで裁判の手続が一般の人に分かるようなものになっていかなきゃいけないわけですから、そうすると、専門用語で審理をするようなことでは到底駄目とか、あるいは十分納得のいくまで言い分を聞いてもらえるようになるとか、そういうような刑事裁判の変化がこの裁判員の導入によってできていくことは必要なことだと。あるいはそれが、そういうことができていくように制度設計をちゃんとして、あるいは運用をきっちりすべきだと。それによって、国民が裁判に参加をしながら裁判を支える、そして裁判に国民的にも深い信頼を置くようになると、これがこの制度の一番重要なかなめだと思っております。
もう一度伺いますが、今の裁判について国民が満足しているかしていないかというところはいいですから、しかし裁判がそういうふうに、私、今申し上げたように、みんなの納得と確信と信頼と、そういうものになっていくための制度だということはいかがなんですか。
○国務大臣(野沢太三君) 正にその点こそ今回の制度の、新しいこの法案を提出している理由でございまして、私自身も、わずかな経験の中ではございますが、裁判は大変取り付くのが難しいということは確かでございますし、それから、やればまた時間が掛かる、お金も掛かる、そしてなかなかやり取りの中で分かりにくい専門的なお話も幾つか克服しなければならない、何とかしなきゃいかぬということは確かにあったかと思います。ただ、その裁判制度そのものに関する国民的な信頼という意味からしたら、私は日本の裁判制度、司法制度というのは先進国の中でも比較的信頼、信用された部分ではなかったかなと。私どもはこれまで政治改革や行政の改革を一生懸命やってまいりましたが、その意味では、信頼、信用されたがゆえにこの問題の解決がやや手間取ったのではないかなと思います。
今委員御指摘のような問題点をもちろん持った上での改革への取組でございますので、基本的には現状を一層より良いものに改革をするということで進んでいきたいと思っております。
○江田五月君 もう一つ、今の刑事司法について、国民の中で不満もあり、また私どももこれは変えなきゃいかぬなというのは、裁判の前のこと、つまり捜査ですね。日本の刑事司法というのは、やっぱり自白に頼り過ぎている面があるんです。それから、裁判自体も供述書面に頼り過ぎているとか、また自白偏重というもののもう一つの現れというのは、どうしても捜査が密室、捜査というのは元々密室の面はありますけれども、また単に物理的に密室というだけじゃなくて密行性というもの、それはありますけれども、それにしてもやはり後から捜査をチェックをしてみるというようなことがなかなか難しい。
そういう現実があって、この裁判員制度になったらそこが変わってくると。これは副次的効果かもしれませんが、裁判員制度の中で一般の人に十分分かっていただくような、そういう捜査の過程でなければ一般人を納得させられないですから、そういう副次効果も私はあると思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(野沢太三君) 正に御指摘のとおりかと思います。今回、事前の争点を明確にする手続を法定化しましたのも、そこのところが正にねらいでございまして、分かりやすく証拠を事前にそろえる、それによって審議を進めるということから、今委員御指摘のとおり、客観的なだれにでも分かるやはり事実、起訴事実が出てくるんではないかなと、こう思っておりまして、今回は裁判そのものだけではなくて、その事前の捜査の段階から大きくこれは問題が改善されるものと考えております。
○江田五月君 そこで、捜査の段階がこういうことでございましたという、これ裁判員制度になったら、特にそこはもうぱっと裁判員の方に分かっていただくようになっていなきゃいけないんで、いや、密室で責められて無理やりに、これを言ったらもうおまえ外出られるからなどなどというようなことが言われることがよくあります。よくありますので、捜査の可視化と、易しい言葉でと言いながらそんな難しい言葉を使っちゃいけないんですが、よく見えるように、捜査の経過が。これは録音、録画といったこともあるでしょうし、既に諸外国でもそういうことをもうちゃんとやっている、我が国の近隣の国でもそういうことをしているのですが、可視化というテーマがあって、以前、裁判の迅速化の法案のときに参議院のこの法務委員会で附帯決議も付けさせていただいたりしているんですが、これは可視化をすぐ今どうするというのはなかなかお答えにくいところかもしれませんが、可視化が必要だと、そういう意識を頭の片隅に置いているかどうか、これを法務大臣から。
○国務大臣(野沢太三君) これまでも度々御指摘をいただき、御要望もいただいておるところでございますが、この取扱いにつきましては、捜査全体のシステムそのものともかかわり合いもございますので、そういった全体の見直しの中で御議論をいただくべきものと考えておりまして、日弁連等でもそういった取組もしておられるようですが、今後の課題として十分受け止めさせていただきたいと思います。
○江田五月君 これは受け止めてください。
本当に、捜査の現場の人は、何を言っているんだ、捜査が分からぬやつが要らぬことを言うんじゃない、捜査はこれでなきゃできるもんかという、そういう意識があるんですよね。それもそれでよく、その皆さんの気持ちとしては分からぬわけじゃない。だけれども、やっぱりそれでは国民が裁判員として入ってきたときに、その裁判員の皆さんの納得を得るわけにいかないということがあると思いますよ。その辺りでもこれは革命的な変革なんです。
さて、裁判官は、これから五年後は一般の人に交じって裁判体を構成してやるということになるので、これはなかなか大変だと思いますね。裁判官は寝ているか寝ていないか知りませんが、黙ってじっと座って聞いているというのは得意かもしれませんけれども、しかし、本当に人の話を十分聞き出すというようなことは余り得意じゃない、あるいは人を説得していくということも余り得意じゃない、おれが決めるんだからというね。あるいは合意を作っていく、そのために押したり引いたりするということも余り得意じゃないと思うんですよね。
そこで、この五年の間に、裁判官にそういう合意形成の、あるいは人の話を聞いたり人を説得したりという、そういう技術を磨いてもらわなきゃならぬと思うんですが、最高裁の方では、この裁判員制度が導入されたら裁判員と一緒に裁判体を構成する裁判官にこういう資質が必要だと、そのためにはこういう準備をこれからしていくんだと、そんなことを何かお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 議員、委員御指摘のとおりの能力がこれからますます強く要請されるようになるだろうと思います。
裁判員裁判においても、適正な手続の下で証拠に基づいた認定を行っていくと。それが法による裁判を保障するということになるんだろうと思います。法によるこういった裁判を実現していくためには、裁判官は裁判員に対して証拠の内容ですとか、あるいは法律の解釈、手続の意味といったようなことを丁寧に分かりやすく説明していく。分かりやすくと、これなかなか本当に専門用語を分かりやすく説明するというのは非常に難しいんですけれども、私どもとしても、そういった専門用語をどうやって分かりやすくしていかなくてはいかぬかということをひとつ考えていかなくてはいかぬだろうと思っております。
こういったきちんとした説明をする中で、一人一人の裁判員から意見を引き出して、そして十分な意見交換を行っていく必要があるだろうと。そうしませんと、結局、なかなか裁判官と裁判員との間の意思の疎通が十分にできないということになりますし、そういったことをきちっと行っていけるようにする中で参加していただいた裁判員の方々が、その裁判の中に意見が反映されていくという、そういう裁判員制度の趣旨もまた生かされてくることになるんだろうと思います。
委員御指摘のように、裁判官にはコミュニケーション能力を含めたいろいろな能力がこれまで以上に必要とされるようになります。今までも不十分ではあるかもしれませんけれども、法廷での訴訟運営ですとか打合せ、あるいは民事ですと和解といったような手続の中でそういった能力を生かす、あるいは身に付けていく場面はあったわけですけれども、今後は更にそれが一層強く求められていくようになると思います。
裁判所ではこういった問題意識を持っておりまして、昨年の長官・所長会同でも、裁判官のそういった能力、資質をどう高めていくかということが議論されました。今後は、諸外国でも参審国等では、裁判官と参審員とが評議を行い、その中でいろいろ議論をしていって一つの判断をしておるわけですので、そういったところの実情等も研究した上で、その成果を踏まえ、裁判員の参加する刑事裁判を想定した実践的な研修といったようなこともこれから考えていきたいというふうに思っております。
今後も引き続いて、短期的あるいは中期的なその方策を考えていきたいというふうに思っております。
○江田五月君 もう一方で、国民も実はまだ裁判員制度については、まあ迷っているといいますか、迷うところまで行っていないかもしれない、よく知らない人が、それがもう大部分で、実を言うと、これ私どもは衆議院で可決をするまでの間、党内でもいろいろ議論しましたが、大変な議論がありました、率直に言って。
私もみんなに理解を、同僚議員に理解をしていただくために大変苦労をいたしましたし、なお今もまだいろんな議論があるので、よく衆議院で全党、全会一致で可決されたなと、本当にそう思っている、そのくらいなところなので、国民の皆さんにこれから分かっていただく、そして決してこれは何か憂うつな、頭を抱えるようなことじゃなくて、むしろ裁判というのは分かりやすい、ある意味では楽しい、楽しいと言うとちょっと語弊はあるけれども、何か達成感のあるそういう仕事なので、当たったら喜んで行かなきゃというそういうところまで、喜んではなかなか難しいかもしれないけれども、それでも行って裁判をしてこようという、そういうことになっていくようにいろんな啓発をしていかなきゃならぬと思いますが、推進本部の方はどういうことを今お考えですか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、正にこの制度のかなめだろうというふうに私も意識しております。
この五年間、施行の期間をいただいている、そういう案を提案させていただいておりますけれども、やはりこの間に、国民の方々にきついけれどもやってみようと、そういうような気持ちになるような、そういうような宣伝活動、広報活動が大変重要になっていくというふうに私ども理解をしております。
そのためには、まずこの制度自体の手続の内容とかその意義、ここをきちっと理解をしていただくことが必要かなと思います。そのためには、難しい専門用語の羅列ではなくて平易な言葉でそれを表すというようなことから、例えば制度の内容を説明したパンフレットとかあるいはビデオ、そういうような作成、頒布、それから講演会等の開催、それから今、法科大学院ではもう必ず法廷を持っているようでございますので、そういうような模擬法廷の実施とか様々なことが考えられています。それで、裁判が国民にもう少し身近になるような、そういうような広報活動を続けていきたいというふうに思うわけでございます。
○江田五月君 広報活動という意味でいえば、例えば模擬裁判やるとか映画を作るとかいろいろあると思うんですが、日弁連が「裁判員」という映画を作りまして、石坂浩二さんが裁判官になって、あのケースは裁判官とあとは裁判員と、裁判官一人なんですけれども、あれを見て、まだあれでもやっぱり石坂浩二裁判長は難しい言葉を使い過ぎていると。しかし、それは現実の、さあ今日から始まるというときを想定した映画ですから、恐らくまだ精一杯、裁判員制度に理解を持った裁判官がやってもあのくらいだということを多分あの映画は意識してちょっと難しめに作っているんだろうと思いますけれども。
さて、これ通告していませんが、簡単なことですから、裁判員制度、「裁判員」というその映画、ごらんになりましたかどうか。大臣、副大臣、政務官、それから政府参考人の皆さん、皆さん見たかどうかお答えください。
○国務大臣(野沢太三君) まだ見ておりません。
○副大臣(実川幸夫君) まだ見ておりません。
○大臣政務官(中野清君) まだ見ておりませんですけれども。
○政府参考人(山崎潮君) 見ております。
○政府参考人(樋渡利秋君) 内容の要約は承知しておりますが、通して見る時間ございませんでした。
○政府参考人(横田尤孝君) 見ておりません。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 見ております。
○江田五月君 決して責めるつもりじゃないんです、これも。是非見てください。それはもちろんドラマですから、現実はなかなか難しいこと一杯あるけれども、いろんなことがその中に入っています。最後に、やっぱりあれは良かったと思うんですが、裁判官が国民と接することによってやっぱり自分の気持ちが変わってくるんですね。これがなかなかいいので、時間がないのはよく分かりますけれども、是非見てください。
そして、更にもっと国民に分かっていただけるような、そういう設定の啓発の映画を作るとか、何かポンチ絵かいて、こうでこうで、ああでああでと言うだけでは、それはやっぱり血が通いませんよ。是非そういうこともやっていただきたいと思います。
さて、それと、やはりそういうことをやりながら、模擬裁判もしたりいろんなことをやりながらこの五年の間に、私どもは五年じゃなくても三年で実施したらどうだと思っておるんですが、いずれにせよ、実施までの間、これはある程度の期間が必要。その間にいろんなことをやりながら、うん、ここはやっぱりちょっと変えた方がいいなというようなところが出てきたら、やはりこれは過ちを改むるにはばかることなかれで、変えることもどうぞ柔らか頭で対応していただきたいと思うんですが、まだ決まってないこともいろいろありますよね。
そこで、ひとつ、これも決まってないことを聞くんですから決まってないというお答えになるかと思いますが、どんなことをお考えだというので、併合罪処理ですよね。この裁判員の制度の対象事件と非対象事件がある。これは適当な場合には併合してやるということになっているけれども、どうも適当でない場合というのも一杯あるでしょう。それは対象事件でないものは複雑で、相当の証拠調べも必要で、とても裁判員の皆さんに対象事件じゃないのに手間を取らせるというのも困るというような場合があるかもしれません。
そういう場合は判決二つになるんで、これは併合罪加重の刑法の処理が行われませんから、それだけでいえばこれは被告人に不利になります。裁判員制度自体が被告人に不利になるぞと、とにかく今の裁判大体軽過ぎるんで、これは裁判員の皆さん入れたら大体刑が重くなるぞというような見方もあって、それはどうだか分かりません。データはちょっとないと思いますね。しかし、今の併合罪処理の関係というのは、これはきっちりしたことをやっておかないと、これは制度上明らかに被告人に不利になるわけで、そこはどう考えておられるのか、お伺いします。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点につきましては、私どもに設けられました検討会、この中でも議論がされたわけでございますけれども、最終的には結論を出すに至らなかったということでこの法案の中には入っていないということでございます。
これについてどうしていくかということでございますけれども、その弁論を例えば併合しないまま審理が行われた場合の刑の調整の制度につきましては、様々ないろんな私どもの検討会でも議論があったわけでございますけれども、やはり併合罪の刑を科すその在り方の問題、あるいはその裁判員制度対象事件以外の刑事事件の処理、こういうものにも大いに関係するわけでございますので、ある意味じゃ総合的に考えていかなければなかなか解決が難しい点でもございます。
この法案、御承認をいただいた後、この点についても継続して検討を続けていかざるを得ないだろうという認識を持っているわけでございます。ただいま御指摘ございましたように、それでその施行の前に必要であるということで法改正が必要であれば、それもやらざるを得ないだろうという認識は持っているわけでございます。
○江田五月君 併合罪というこの処理の仕方自体をやめてしまうというような頭はあるんですか。
○政府参考人(山崎潮君) まだ議論はそこまでいっておりませんけれども、その議論を詰めていきますと、そういう問題も全部一応視野に入れて最終的にどういう形に持っていくかということで総合的な検討は必要であろうというふうに思っております。
○江田五月君 是非、しかしその大前提として裁判員制度が入ることによって被告人にというか、国民に刑、国民に科せられる、国民が受刑しなきゃならぬ期間が長くなる、この制度があるがゆえに長くなるというようなことにはならないようにすると、それは言えるんですかね。
○政府参考人(山崎潮君) これは両面ございますので、例えばAとBとの事件がありまして、それぞれでその判断をすれば、それは有期懲役だという場合もあり得ますけれども、ただ、それが一緒になった場合には無期懲役という考え方もあるわけでございますので、その被告人に有利なものとそれからやっぱり不利なもの両面がありまして、これはそのやはりバランスを取って物を考えなきゃなりませんので、被告人の立場とそれからやっぱり被害者の立場ですね、被害者の遺族の立場、国民感情両方ございますので、この辺のところはやっぱり総合的に考えていかざるを得ないということで、必ずしも片っ方の意見だけでやるかどうかはちょっと別だということでございます。
○江田五月君 次に、これは法務省の方に伺っておかなきゃならぬのですが、裁判員制度を導入すると、例えば裁判の経過を記録にしますね。その記録というのは、これはすぐできてこなきゃいけませんね。まあ大体直接主義、口頭主義で裁判を開いているときに、公判手続の中で証人なら証人の供述を直接聞いて、それで心証を取るということですが、それでも終わって評議室に入って議論していると、あの証人こう言った、いや、そうではない、こう言ったんだなんということで、じゃ、まあ記録を見てみようというようなことにそれはしなきゃいけないんで、記録はなしで済むというわけにはやっぱりいかない。何かの形で、それが書面になるのか、それとも何か電磁記録的なものになるのか、これはいろいろあると思うんですけれどもね。
いずれにしても、そういうことをちゃんとやるためには相当の予算措置が必要であろうと思います。あるいは、環境整備ということを衆議院で修正で入れさせてもらっていますが、国民が裁判員になりやすくするように、それは、裁判所に託児施設を設けるというようなこともあるかもしれないし、いろんなことがございます。今の啓発、そのためにもいろんな予算も必要だろうし、それから、弁護士の皆さんが一つおっしゃっているのは、接見がスムーズにできないと、連日開廷なんというときに、接見に余りにも、接見室がなくてずっと並んで三時間も待ってなんというようなことだと連日開廷に間に合わないと、現実に。したがって、接見の設備なんかももっと拡充してほしいという、そういう現実的な要求も出ているんですが、そういうようなことで、これはやっぱり金ですね、金はなかなか大変だと思います。
裁判所予算もあるだろうし法務省予算もあるだろうし、いろんなところに予算がある。法務省は、やっぱりここはもう、財務省とどんな折衝をしてでも裁判員制度がちゃんと動くように予算的な措置はきっちりやるという、やはり大臣、そういう覚悟が要ると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(野沢太三君) 正に委員御指摘のとおりでございまして、今この制度を本当に実行していくためには、制度をまず整えることも大事ですが、ハードウエアの方ですね。今のお話のような接見の部屋も問題でしょうし、裁判室そのものも、委員が、六人裁判員が入るとすると改造が必要になる。広さもまたあれでいいかどうかということで、先日、私も、隣にあります東京地裁の現場へ参りまして裁判の実況を拝見し、また、担当の裁判官やあるいは責任者の皆様とも御相談をしてまいりました。相当これは抜本的な手当てをしないといけないなという印象を持って帰ったわけでございます。
その意味で、広報活動の段階から、あるいは先ほど申しました教育の内容の改革、それからハードウエアの改革含めて、しっかりした予算の裏付けがございませんと、絵にかいたもちと言ったらなんですが、画竜点睛を欠くということになってはいけませんので、これは事前に十分見積りをいたしまして、円滑な裁判ができるような予算措置だけは私どもの方で責任を持って確保してまいりたいと考えております。
○江田五月君 責任を持って確保をお願いいたします。
もう一つ、今、接見のことをちょっと言ったんですが、連日開廷になると、弁護人の方としては、ちょっとここを確認したいと、被告人にですね、身柄拘束されている被告人に、この場合は。しかし、一々接見に行って手続を取ってというと、それはなかなか大変。電話でちょっと確認、あの金払ったのいつだったかねというようなことぐらいですよね。そういう電話接見というのは何か考えてあげなきゃいけないんじゃないかと。
その場合に、これは弁護人であるかどうかの確認が拘置所の方ではできないからとかいろいろあるようですが、例えば、例えば裁判所にどこかに設置した電話とか、検察庁に設置した電話とか、信頼関係に基づいて弁護士会の会館に設置した電話とか、そういうところで、そこへちゃんとだれか担当者がいればとかいろんな方法はあると思うんですが、これは、今そういうことを私これは要望したいんですが、大臣、どういう態度でそれを、私の要望をお受け止めになりますか。
○国務大臣(野沢太三君) お気持ちはよく分かるところでございますが、今のルールの中では、被収容者の電話の使用については、刑事訴訟法上の接見の中に電話の使用が含まれていない、あるいは監獄法令上その使用は認められていないということでございます。
電話による通話につきましては、必ずしもその相手方が弁護人であるかどうか十分確認ができないということもございまして、逃亡若しくは罪証隠滅の防止の観点や施設の規律及び秩序維持の観点からの問題もあると考えておりますが、なお、昨年からやりましたいわゆる行刑改革の審議会におきましては、既決の方々についての電話利用についての道は検討するということで承っておりまして、今後の監獄法改正の中でもその辺についての検討は十分しなければいけないとは考えております。
○江田五月君 これはやはり、今おっしゃったような問題点はあるんですが、そこをクリアするやり方というのは、これだけ技術が進んでいるときですから、それはいろんな、証拠隠滅の関係などなどあるのはよく分かっていますが、しかし、そういう被告人ばかりじゃないので、ごく普通の市民が被告人になるんですよ。被告人になったのは全部暴力団の何とかというわけじゃないので、そこはいろんな、今の問題点を克服する方法を見付けると、こういう覚悟を是非持っていただきたいと思います。
細かなことをいろいろと聞かなきゃならない点はあるんですが、もう少し、整理手続ですよね。
これは、起訴状一本主義との関係で整理手続というもの自体が大問題だと言う人もいます。それは、起訴状一本主義というのは裁判所が予断、偏見を持っちゃいけない、起訴状が来て、その起訴状に書いてある公訴事実だけしかない段階で裁判が始まって、そこから後はもう当事者が、双方が対等にやり合って、それを裁判所が聞くんだという、こういう思想ですよね。
しかし、今回は、その第一回の期日が始まる前に裁判所、三人の裁判官がいろんな整理の手続に入るわけですから、起訴状一本主義からすると、ちょっとこれは問題だと言われる面あるだろうと。
私自身は、起訴状一本主義というのも何かもう神聖不可侵な大原則というわけではなくて、起訴状一本主義の精神にのっとりながら、しかし、そこはいろんな裁判を運用していく過程の中で、どういいますか、修正があってもいいと。起訴状一本主義の精神、しかし、よりそのほかの原理原則と一体となって裁判がうまく動いていくようにということで事前の整理手続というのを入れるということはいいと思うんですけれども、その起訴状一本主義との関係、これは一体どうお考えになっておるのかお答えください。
○政府参考人(山崎潮君) 起訴状一本主義につきましては、今回、この裁判員制度、法案を提出させていただいておりますけれども、その下でも妥当するという考えであるということでございます。内容的には今御説明申し上げます。
もう一つポイントは、裁判員制度の裁判はこれから行われていくわけでございますけれども、従来型の裁判、これも残るわけでございますので、そうなりますと、両方の制度それぞれ整合的に説明が付かなければならないという命題を抱えるわけでございます。したがいまして、そこはある程度共通にルールは考える。それから、内容的にはどういう説明をしていくかと、こういう認識を持っているわけでございます。
この内容でございますけれども、まず、その起訴状一本主義の趣旨でございますけれども、公訴提起の際の検察官から裁判所への一件記録の提出を認めない、こういうことによりまして、捜査機関の心証が裁判所へ一方的に引き継がれ、裁判所があらかじめ事件の実体について心証を形成して公判に臨むこと、これを防止することにあると一般的に言われているわけでございますけれども、今回の公判前整理手続がポイントになろうかと思いますけれども、これにつきましては、当事者に主張の予定を明らかにさせたり、それから証拠調べ請求、あるいはそれに対する証拠意見、こういうことを明らかにさせるということになるわけでございますけれども、これは、公判審理が計画的に円滑的に進行するようにその準備をするために行うと、こういう性格のものでございまして、これも、両当事者が主張に、あるいは証拠に触れるということでありまして、そこから心証を形成するという、そういうものではないということと、それから、両当事者がひとしく参加する場合において行われるということでございまして、これはその両者が対等な立場でそこで行っていくということでございますので、一方的にどちらからどちらにその証拠を提出をしてあらかじめ心証を取るとか、こういうようなものではないということでございます。
そういう点を考えますと、例えば証拠に触れるという場合には、その証拠能力の判断とか、それから証拠開示の裁定、こういうもので証拠に触れることもあり得るわけでございますけれども、これもその証拠能力の有無とかあるいは証拠開示の要否の判断のために証拠を確認するという手続でございまして、その証拠の信用性を判断するわけではないということになるわけでございます。
したがいまして、公判整理手続は、事件の実体面について心証形成を目的とするものではなくて、実際に裁判所が心証を形成することもないわけでございまして、受訴裁判所が公判前整理手続を主宰しても起訴状一本主義に抵触するものではないというふうに考えておるわけでございます。
○江田五月君 やはりそれは理屈の世界であって、現実にはなかなかそうはいかない。
起訴状一本主義、私は、起訴状一本主義も一つの原理だが、そのほかにもいろんな原理があって、それの総合調整で裁判というのは成り立つ、そういう多元的な世界だと思いますけれども、したがって、起訴状一本主義とこれはちょっと違うけれどもここの範囲ならいいんだということだろうと思うんですが、今みたいに起訴状一本主義には全然抵触しないんだ、それはこうこうがああいう理由だというんじゃ、それは理屈の世界であって、現実はなかなかそうはいかないですよ。
やっぱりそれは、起訴状があって、そして公訴事実の朗読があって、黙秘権の告知、弁解を聞いて、そこからでなきゃ裁判は始まらないという大原則からすると、その前に、その前に既に、これは争いはどこなんです、ああ、殺したこと自体は争いじゃないんですか、なるほどとかね、というふうなことをやるわけでしょう。そうすると、それは心証取りますよ、そこで。
ですから、そういう説明じゃなくて、もっと何か、どういうか、もう少ししっかりした理念を持った説明の方がいいんじゃないかと思いますがね。ここでやり取りしてもしようがないんですかね。
私は、受訴裁判所がやるという方法よりも、むしろ受命裁判官かあるいはできれば受訴裁判所と別の準備裁判官、整理裁判官は別に置くとか、そういうことの方がいいんじゃないかと思いますが、そういう考えは全然ないですか。
○政府参考人(山崎潮君) この点につきましては検討会でも両意見があったと記憶しております。最終的には受訴裁判所がやるということになるわけでございますけれども、やはりこれから審理をどういうふうにしていくかということでございますので、それを整理する裁判官とそれを行う裁判官、全く別々にやるということになったときに、本当にその手続的な流れが本当につなげるのかと、心証じゃございませんけれども、手続的な流れでございますけれども、そういう点について、どの範囲できちっと証拠調べをしていくかということはやっぱり受訴裁判所が一番関心のあるところでございますので、それを別の裁判官が決めてそのとおりやるということで果たしていいのかどうかという点も考慮をいたしまして、やはり受訴裁判所で行う、こういう選択をしたということでございます。
○江田五月君 だから、受訴裁判所でやることが絶対駄目と言っているんじゃないんですが、起訴状一本主義とはそこはちょっと、確かに起訴状一本主義の精神を壊さないようにはするけれども、形式的にはやっぱり多少違ってくるということじゃないかと思いますよ。
大臣が次の予定がおありだということで、取りあえずこれで今日は終わります。
2004/05/11 |