1994/12/06 |
○田中委員長 これより会議を開きます。 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。 本件につきまして、加藤卓二君外二名から、自由民主党、改革及び日本社会党・護憲民主連合の三派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。加藤卓二君。 ○加藤(卓)委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。 我が国は、四面を海に囲まれ、世界でも最も海の恩恵を受ける国の一つであることは、国民のだれもが承知しているところであります。我々は、古くから海に生活の多くを依存するとともに、海を交通の手段に活用して文化等の交流を図り、海と親しみながら今日の日本を築き上げてまいりました。地球上の七〇%を占めている海は、まさに、我々にとって母なる海なのであります。 さらに、海の環境を保全すること、海洋資源の開発は、人類のさらなる発展の礎ともなる重要なものであります。 本案は、このような観点から、海の恩恵に感謝し、海を大切にする心を育てることを目的に、既に海の記念日として永年にわたり国民に親しまれております七月二十日を海の日として国民の祝日に加えようとするものであります。 なお、この法律は、平成八年一月一日から施行することとしております。 この海の記念日は昭和十六年に政府が制定したものであり、また、この月には国民の祝日がなく、海に親しみやすい真夏の始まる時期でもあり、まことに時宜に適したものであると考えます。 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。 何とぞ速やかに御決定あらんことをお願い申し上げます。 ○田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。宇佐美登君。 ○宇佐美委員 おはようございます。新党さきがけの委員として質問をさせていただきたいと思います。 初めに、海の日というものを祝日化しようという提案が今出されているわけですけれども、まずもって動議提出者の皆さんから、なぜ今海の日なのか、その点についてお話ししていただきたいと思います。 例えば、国民の感情からしまして、七月二十日海の日、もちろん一部の皆さんからすれば、昭和十六年の次官会議の決定以来なれ親しんできた方々も少なくはないかと思います。しかしながら、本当に国民の皆さんが海の日というものを知っているのか、またほかに休みの日が適切にあるのじゃないか、そんな思いもあるかと思います。 例えば、五月一日というものがメーデーとしてある。また、環境問題をやっている方からすれば、六月には環境の日というものが環境基本法の中に制定されている。そんなような中で、なぜ一番最初に今海の日というものを祝日化していかなければならないのか、国民の皆さんがわかるようにぜひとも御説明をいただきたいと思います。 また、八月十五日平和の日というものも上がってきていると聞いております。何をもって今海の日というものを考えているのか、優先順位が一番なのか。そして、平成八年の一月一日からこの海の日というものを施行しようということで附則がついているわけですけれども、その点についてもお触れいただきながらお答えいただきたいと思います。 まずは、なぜ今海の日かということを、動議提出者の方どなたでも結構です、お答えいただきたいと思います。 ○江田委員 論点、多岐にわたる御質問でございましたが、一つに絞って、なぜ今ということを答えるという御質問でございます。 これは、ただいま加藤提出者の方から趣旨説明で申し上げたとおりでございますが、この数年、いや数年ではないでしょう、関係者の皆さんが、海の記念日の七月二十日をぜひ祝日にしてくれという大変な国民運動を展開してまいられました。 今年の夏を経過したあたりで、例えば地方議会の、幾らでしたか、七割とか八割とかというような、本年十月十一日の締めで見てみますと、地方議会の意見採択数はすべてで二千二百六十一議会、採択率六八・九%、しかもその中、都道府県議会は四十七すべてが採択済み、こういう地方議会の採択がございます。 あるいは、署名運動も行われておりますが、これも既に一千三十八万人の方々の署名が集まっておる。経済四団体及び労働団体最大手でございます日本労働組合連合会もこの海の日制定運動にかかわってきておられる。こういうようなことがございまして、海の日を祝日にしようという国民的な認識が深まっているというように私ども認識をしているわけでございます。 また、海の大切さについては、先ほどの趣旨説明で申し上げたとおりでございますが、例えば、昨年私が科学技術庁長官を承っておりましたときに、ロシアによる低レベルの液体放射性廃棄物の日本海への投棄という問題がございました。このときに、これは科学技術的には、ロシアのあの方法ではだめですが、投棄の方法はある、しかしながら、我々、海というのは生命の起源なんだ、海を大切にしないで地球を大切にするなんてことはないじゃ。ないか、そのようなことから我が国としても、原子力委員会の方針を変えて、海をこれから大切にしよう、海に廃棄物を捨てるなどということはもうやめよう、こんなことで国際世論も盛り上げてきているというような状態でございます。 しかるに、海は今一体どういう状況にあるかというと、海の汚染というのは相当に進んでいっております。例えばアメリカなどでは、海岸を人工の構築物に変えた場合にはそれと同じ長さの海岸を別途つくれ、こんなことが強制されているやに聞いたりするのですが、海洋国家日本はそういう認識が非常に弱い。こういうときに、やはり海についての認識を国民的に深めて、海の恩恵というものをみんなで認識し合うということが必要である、そんなことから、今がその時期である、こういう判断をした次第でございます。 ○宇佐美委員 江田議員におかれましては、さすが大臣経験者としての答弁だと今感じている次第です。 多岐にわたる知識を今御披露いただいたわけですけれども、それでは、先ほど質問の中でもありました五月一日のメーデーというものも、長きにわたって運動をされてきた連合もありますし、また、議員提案で以前出されておりました社会党としてはどんなお考えをお持ちなのか、山元先生お願いします。 ○山元委員 お答えをいたします。 今もありましたように、海の日については国民的な大きな運動がございました。四十七都道府県のすべての議会、あるいは七〇%近い地方自治体の決議という形にもあらわれておりますように、大変大きな運動がございました。 一方、五月一日のメーデー、さらには八月十五日のいわゆる平和の日、こういう提起もございます。私どもは、そういう幾つかの候補について若干の検討をいたしました。そして、五月一日についてもあるいは八月十五日についても、これから続けて国民の皆さんの世論を見ながら検討しなければならないというふうに考えています。 また、八月十五日につきましては、これは私見にもわたりますけれども、村山政権が発足するときに与党の合意として、戦後五十年を迎えて、過去の戦争を反省し、未来の平和への決意を表明する国会決議の採択などに積極的に取り組む、こういう合意がなされております。私は、その内容からも、この八月十五日の問題はしっかりと据えて検討をしなければならないというふうに考えています。 ○宇佐美委員 ありがとうございます。 八月十五日の問題も今教えていただいたわけですけれども、それでは、今お話しいただいた八月十五日や五月一日のメーデーと比較しまして、この海の日、七月二十日という日が国民一般に広く理解されている、知れ渡っていると思われているのか。山元先生その点をお願いいたします。 ○山元委員 今も申し上げましたように、見える形としては、都道府県議会を初めとして意見が採択されていますし、多くの署名も運動として集められています。そういうことでは、私どもは、世論が盛り上がっているというふうに主張される皆さんの御意見というのは尊重しなければならないというふうに考えています。 御案内のように、日本の置かれている条件といいますか、海に四万を囲まれた国でございます。古来から食生活や物資の輸送、人々の交流あるいは文化や憩い、そういうことで、多くの国民といいますか、私は滋賀県でございまして海はございませんけれども、それでもやはり海の恩恵というのは日々受けているわけでございます。そういう海への思いというのは十分国民の皆さんはお持ちでございまして、この日が制定されましたら、改めて海の恩恵だとか、あるいは地球環境問題での大切な意義だとか、そういうものについては国民の皆さんは深い理解を持っていただける、こういうふうに考えております。 ○宇佐美委員 山元議員の地元滋賀県では、たしかウミの前にミズというのをつけてくれ、琵琶湖がありますから「湖の日」にしてくれ、そんなような意見も添えて、その議会というものの意見が決まったように伺っております。 先ほどおっしゃった四十七都道府県、都道府県レベルの議会では、すべての議会がこの海の日の祝日化というものを議決している、意見書を提出しているということですが、私の地元である東京都議会の議員に聞いてみたところ、これは地方議会のレベルというもの、また、その議論の問題というものも問題なのかもしれませんけれども、余り覚えていないというのが正直なところだと聞いております。 また、私の選挙区は、千キロ海があるわけです。伊豆七島、小笠原まで、海を合わせて日本で一番広い選挙区なわけですけれども、その中の漁師さんや漁業関係者に聞いてみましても、そんなものあったのかと言われるわけです。 それにしても、海の日というものが千三十八万人の署名を集めていらっしゃると聞いております。一千三十八万人の署名があったときに、例えば、残りの一億の皆さんかどう考えているのかというのも非常に大事だと思います。 今回のこの海の日、七月二十日というもの、マスコミが先行していることもありりす。また七月には、祝日化を目指してということでコマーシャルフィルムがテレビの中でも流れておりました。しかしながら、それにしても、海の日というものが七月二十日に直結する方というのはまだ非常に少ないかと思います。 先日、我々新党さきがけの議員が、ある大学の文化祭で聞いたところによりますと、二百人以上の方が集まった中で、海の日というものはいつですか、知っていますかと聞いたところ、一人だった。二百人の中で一人しか知らなかった。つまり大学生非常に優秀だと思われる大学生の皆さんが一人しか知らない中で、本当にこの海の日が今必要なのかという点について、私個人としては非常に疑問を感じているわけです。 その七月二十日というものを考えたときに、この祝日の確定日の意味というものを疑問に思います。例えば、連休をふやすという観点で考えるならば、また海を本当に楽しんでいただきたいと思うならば、曜日を確定したもの、例えば七月の第三月曜日というような考え方もあるかと思います。そうすれば、土曜日がお休みの方からすれば、土、日、月と連休がとれます。これが単発的に七月二十日は海の日ということで、皆さんぜひとも海に行ってくださいといえば、この東京近辺を考えるならば、また大阪を考えても、首都圏レベルにおいては、道路が込んで海に到達するには二時間、三時間、もしかしたら四時間かかるかもしれません。 この曜日確定というような考え方がこの海の日の検討のときにあったのかどうか。その点の方が、連休をふやすという観点で、家族で海を楽しむということを考えたときにも、より生活者のためになるのではないか、そんな疑問が浮かんできたわけです。 その点について、祝日の確定日の意味と、海の日において曜日を決めるというような考え方をしたのか。また、より生活者のためになるのではないかという私の個人的な考えに対して、三つの点についてお答えいただきたいと思います。どの動議提出者の方でも結構です。 ○加藤(卓)委員 今、宇佐美委員から大変貴重な発言がございまして、曜日をそのように決められれば、これはまた国民にとっても大変有意義な休みになるのかな、こう思うのですが、たしか、どうもこの曜日設定による祝日というのが現在の祝日法の中に、制度の中にはまだ確定しておらない。こういう事情の中で、今回はいろいろ御意見も出たわけでございますが、まあ七月二十日を、国民が一番海に出かけようというときに当たるので、海の日という形でこの日に決めさせていただきましたので、宇佐美委員の発言を大事にしながら、今後さらにいろいろ検討する機会があればと、こう思っております。 ○宇佐美委員 より生活者のためになるのではないかという視点をこの村山政権の中でぜひとも考えていかなければならないわけです。そんな中において、この祝日のあり方というもの、これはたまたま海の日というものが先行して出てきた経緯が現実のところあるかと思います。祝日のあり方そのものを与野党一緒になってこれから議論していかなければならないかと思います。 本日は、政府の方からも御意見をちょうだいしたいと思いまして、幾つかの省庁に来ていただいております。 労働省にぜひお伺いしたいのは、海の日の祝日化が議論されるときに、労働時間短縮だというような議論がありました。労働時間短縮ならば、これまで言われておりますように、例えば有給休暇を完全に消化していただくとか、ほかの方法も多々あるかと思います。現実的にこの海の日の祝日化というもの、もしくは祝日がふえるということが労働時間の短縮に与える影響というものを教えていただきたいと思います。 ○石川説明員 労働時間の短縮につきましては、完全週休二日制の普及促進あるいは年次有給休暇の完全取得の促進等によりまして着実に進めていくべきものというふうに考えております。労働省におきましても、改正労働基準法の施行等を通じまして労働時間の短縮に積極的に取り組んでいるところでございます。 祝日の増加につきましては、結果として労働時間の短縮に資するものというふうに考えておりますが、祝日を新たに設けることにつきましては、その意義等につきましての国民的なコンセンサスが必要だというふうに考えております。この問題は、労働時間短縮の観点からのみ検討すべき問題ではないと思っております。 ○宇佐美委員 それでは、石川労働時間課長、続けて教えていただきたいのですけれども、労働省としてこの祝日化、国民的コンセンサスというものが必要だと今おっしゃったわけですけれども、ほかの休みの日についても要求が労働省に対してあるのかどうか。例えば五月一日メーデーというものの要求があったり、そんなものがあるのかどうか。今知り得る限りで結構ですから、もしあるならば教えていただきたいと思います。労働省に対しての要望で結構です。 ○石川説明員 祝日化の要望についてでございますけれども、例えばメーデーにつきまして祝日とすべきだという御意見があることは承知いたしております。 ○宇佐美委員 メーデー、五月一日というのは以前から社会党の皆さんを中心に祝日化というものを非常に強く要望されてきていた経緯があるかと思います。その点は連立与党の中でまたこれからも熱心に議論をしていかなければならないのかとは思っております。 続きまして、運輸省です。 海の日というものを祝日化するに当たっては、これまでも行事が行われてきていると聞いております。その行事というものが、運輸省が協賛なのか支援なのか、主催しているわけではないと思いますけれども、七月二十日に行事をやってきていると伺っておりますので、その点を教えていただきたい。 第二点として、普通に考えて、休みがふえるのは国民の皆さんはうれしい。ただ、先ほどから言っておりますのは、七月二十日海の日というものが本当に一番最初に必要なのかという点について私は疑問だと言っているわけですけれども、そんな中で、休みがふえてまた国民負担がふえるというのでは困ったものです。行政改革が強く叫ばれ、村山政権の主要課題として扱われている中で、まさかこの海の日が祝日化することによって予算措置が講じられるということはないかと思っております。 また、平成七年度予算においては、概算要求の中でも含まれてはいないかと思いますけれども、これは平成八年一月一日が施行の日になっておりますので、そんな中で平成八年度以降、この海の日の祝日化というものが予算措置として考えられるのか。全くこんなものを国民は負担したくないと思っているのだと私は思っておりますので、ぜひともその点を運輸省からお答えいただきたいと思います。 ○筑波説明員 第一の、現在さまざまな行事が行われているのではないか、どういう行事をやっておって、運輸省はどうかかわっておるかということでございます。 現在、七月二十日は海の記念日というふうに私ども申しておりますけれども、これを含む七月下旬を海の旬間といたしておりまして、運輸省としましては、日本海事広報協会であるとか日本海難防止協会、全日本海員組合などの幅広い海事関係の民間団体と一緒になりまして海の旬間推進委員会というものを構成して、さまざまな行事の大綱を定めております。 海の旬間に実施されております行事といたしましては、ことしの海の旬間の例で申し上げますと、海事功労者の表彰あるいはシンポジウムなどを行います海の祭典、それから海や水辺をきれいにするキャンペーンなどのキャンペーン、マリンスポーツ大会などのイベントなどを幅広く行っておりまして、これらは主として地方自治体あるいは民間団体が実施しておられます。運輸省は、これらにつきまして実施計画の調整を行いますとともに、幅広く後援等を行っております。 さらに、運輸省自身、航海訓練所練習船の一般公開などの形で協力をしているというところでございます。 それから、第二点の、これによって予算措置が講じられることになるのかならないのかという問題でございます。 今申し上げましたとおり、この海の旬間におきましては、従来から民間団体なり地方自治体主体で行事を行ってきているところでございまして、今後とも、仮にこの祝日化が実現された場合には、民間団体を中心にさまざまな行事が盛り上がっていくだろうというふうに期待をしておるところでございますけれども、先ほど先生おっしゃったとおり、七年度の概算要求で運輸省として特に経費を盛り込んでいるわけではございません。 また、八年度以降どうするのかということでございますが、この海の日が祝日化された場合、予算措置につきましては、他の休日における事例がどうなっているかということも調べまして、今後検討してまいりたいと思っております。 ○宇佐美委員 筑波総務課長に続けて質問させていただきたいのですが、他の祝日がどうなっているのか今から調べると言っていますけれども、運輸省の皆さん、私の部屋まで来て、海の日を進めてくださいと常々おっしゃっていたわけです。今から調べるというのでは話がおかしいのではないですか。今まで調べている話があるのかないのか。あるのだったらあるで、どんなことを考えているのかというのを正直に話してください。 ○筑波説明員 まことに不勉強で申しわけございませんが、他の休日、今まで十三ございますが、これについての行事を我々正確に把握しているわけではございませんので、申しわけございませんが、それらを十分調査させていただきたいと思っております。 ○宇佐美委員 ほかの休みといっても十三日しか祝日はないわけです。十三日の休みもこれまでに調べていなくて、どうして休みというものをつくってくれと。これはもともと議員提案もしくはこのような委員会提案で話されているわけですから、政府としては知らないと言うこともできるのかもしれませんけれども、現実的にはずっと議論されていて、運輸省の皆さんも積極的に各議員を回って、どうしてなのかよくわからないですけれども、海の日というものを祝日化してくれと言われていたわけですから、そういう点はちゃんと調べていただいて、何よりも国民負担につながらないようしっかりとやっていただきたい。 この場で、これから予算がふえるようなことがないのだということを、単年度主義ですから約束とまでは言いませんけれども、努力していただきたいと思いますので、その点を明言していただきたいと思います。 ○筑波説明員 ただいま先生のおっしゃられたようなお考えも十分踏まえまして検討してまいりたいと思っております。 ○宇佐美委員 検討するという役人の言葉というのは一番信用できない言葉なのですけれども、一応は、少なくともこの国会の場で、委員会の場で御発言なさっているわけですから、粘り強く、辛抱強く私も見ていきますので、来年度以降の予算もしっかりと御報告いただいて勉強させていただきたいと思います。 残り時間五分になりました。これからまた動議提出者の皆さんに、今までの議論を踏まえた形でいろいろ御質問させていただきたいと思うわけですけれども、祝日の増加というもの、これで十三日から祝日十四日になるわけですけれども、その歯どめというものも非常に重要になってくるかと思います。 今回、連立与党の中におきましては、この祝日法の一部改正において何らかの議論があったと聞いております。聞いておりますというよりも、私もその場に参加させていただいているわけですけれども、その点について、歯どめというものがどんなことで考えられているのか。先ほど少し御説明もいただいたわけですけれども、その点についてお話しいただきたいと思います。どなたでも。 ○江田委員 宇佐美委員から祝日のことについていろいろとお話がございます。これから生活者優先の社会というものを考えていくに当たって、祝日というのがどういうあり方がいいのか、これは確かに十分検討する必要があることであろうと思います。年次有給休暇も消化率がまだ六割までいかないというようなことでいいのかとか、あるいは全国一斉この日はみんなお休みというようなやり方でいいのかとか、それぞれ皆一人一人の誕生日は全部祝日にしようじゃないかというようなことだってあるかもしれませんし、いろいろなことを考えていかなきゃいけない中で、しかし今お話しのとおり、ほかにもいろいろ祝日にすべきだ、してください、そういうような日が並んでいることも事実でございます。 そういう状況を踏まえ、とにかく祝日というものがいろいろ声があるからといってどんどんふえていくというのも、これもいかがなものかというので、祝日の増加について一定の歯どめといいますか、考え方を持っていかなきゃならぬ、これは宇佐美委員の炯眼だと思います。 今お話しの、連立与党の中でいろいろ議論をしてくださったということで、それについての一定の考え方が内閣委員会の理事懇談会で示されまして、私ども野党側の理事といたしましてもそういうことは必要であるということで、これは考え方でございまして別に申し合わせその他というわけではありませんが、やはり祝日のあり方については、憲法の精神とか国民の要望とか社会経済の発展等を考えなきゃならぬ、こういう理事の皆さんの一致した見解はございます。新たに設けるに当たっては、次のようなことを総合的に勘案すべきだ。 つまり、憲法の精神に合致して、文化国家にふさわしく、国民生活とのかかわりが深い、これが必要だ。二つ目、国際関係に配慮をすることが必要である。三つ目、国民の幅広い要求があり、国民的合意が得られる、これが必要だ。四つ目、各月間の祝日の日数のバランスが著しく損なわれないということ、これもやはり国民生活を考える上で大切であろう。五つ目、世界各国と比較して著しく多くならない。このようなことを考えながら、祝日の新設の際に十分間違いのないようにしていきたいというのが理事の間の共通の認識でございます。 なお、時間かと思いますが続けて、そういう歯どめの議論はいたしましたが、しかしその歯どめの議論がいわばひとり歩きをして、もうこの海の日をもって祝日は打ちどめ、こういうことになりますと、これは今議論になっておりますほかのいろいろな日にとっては重要な影響がある。 そこで、とりわけ八月十五日平和の日というものが議論の組上に上っておるわけですが、この日につきましては、こういう歯どめの議論にもかかわらずこれで打ちどめではなくて、やはり過去の戦争を十分顧み、そして将来の平和を希求する、そういう、お祝いというとちょっとなじまないかもしれませんが、お休みの日としてこの日を設定することは、これは今後内閣委員会、理事会で積極的に取り組んでいこう、こういうことが理事間で共通の認識となっているということを申し添えておきます。 これは、ほかの理事、提出者の方にも確認をしていただければ幸いと思います。 ○宇佐美委員 ほかのお二人の先輩からも今の点についてお答えいただきたいと思います。 ○加藤(卓)委員 江田委員のおっしゃったとおり、これは理事会の中でもいろいろお話がございましたが、当然問題の中で、戦後五十周年を迎えるに当たってさらなる平和を求める国民の意思を大いに大事にしようという形で、八月十五日の問題は次回みんなで鋭意検討しようということの話し合いがしてあることは宇佐美委員も御存じのとおりだと思いますので、私の方も重ねて、ぜひそんなふうにしていきたいのだ、こういうことを申し上げます。 ○山元委員 祝日のふやし方についての基準は、これは与党といたしまして、調整会議あるいは政策調整会議等にもお諮りをいたしまして、一つの基準だなというコンセンサスを得ております。 そして八月十五日のことについては、先ほども私はお答えをいたしましたけれども、特に、村山政権ができるときの与党の合意項目として、戦後問題の処理、国会決議等をという言葉がございますから、その一つのいわば目玉とも考えて、積極的に論議をしたいというふうに考えております。 ○宇佐美委員 発言時間も終了したわけですけれども、この海の日という問題、先ほどほかの問題のときにひとり歩きという言葉が江田先生の発言からあったわけですけれども、祝日そのもののあり方について議論が冒頭からあったかといえば、残念ながら、十分だったかと言われたときに、うんと素直にうなずくことはできません。海の日というものがひとり歩きした中で祝日化というものが議論されてきまして、ほかの祝日化の問題との優先順位が十分に議論されたかという点についても疑問でございます。 我々新党さきがけの党といたしましては、この問題について党議拘束を外すというような結論を出しております。我々新党さきがけの中におきましては、この問題以外についても党議拘束のあり方というもの、これまで例えば臓器移植法案というものが上がっていく中で、各党も党議拘束を外すように伺っております。そんな中で、党議拘束のあり方そのものを見直す中で、例えば八月十五日平和の日というものでしたら、非常に政策的な重さというものを感じられるわけです。 しかしながら、海の日と言われたときに、三百六十五日のうちのどの日にするのか三百六十五分の一で考えたときに、七月二十日なのか。それとも、先ほど申しました七月の例えは第二月曜日とか第三月曜日とかそういうような表現なのか。また、全く別の日を考えてもいいわけです。私の選挙区の小笠原では、一月一日が海開きですから、一月一日にしてほしいという声もありました。そんな中で、海の日というものを七月二十日にするかどうかということについては、八月十五日の平和の日や五月一日のメーデーと比較しましても党議拘束をすべきものではないという結論に達したわけです。 ですから、各党の皆さんも、ぜひとも党議拘束を外していただいた中で、各議員が、本当に七月二十日が海の日でいいのかというものを考えていただきたい。議員一人一人が、これまでの考え方ではなくて、本当に必要なのかどうかという点について考えていただき、結論を出していただきたい問題だと思っております。 三人の先生からこの点について、党議拘束の問題、各党もしくは各会派の中でどのように考えていてこの結論を出していくのかということについて、簡潔にお答えいただきたいと思います。 ○江田委員 野党・改革の方はただいま、今改革を構成しておる各党を全部解散をして新しい党をつくろう、そういう作業に取り組んでいる最中でございまして、この新しい党、新進党においては、党議拘束の緩和というテーマにも取り組んでみたいと思っております。 しかし一方で、確かに時代の進歩、変化に伴って、個人の倫理観に関することであるとか、党議という形になじまないそういうテーマも非常にたくさんふえてきていることは事実でございますが、他方、やはり政党政治ということもあり、国民が政党というものを通じでみずからの意思を政治に反映させていくということもありますから、なかなかこれは厄介だぞという問題は全部党議拘束を外す、こうなりますとまたこれ政党政治がゆがんでくるわけでありまして、可能な限り、最大限党の中での合意を目指していくということは、これは当然のことであろうと思います。 海の日ということについては、先ほどからいろいろな議論がございますが、私は、海というものの大切さを国民の中に啓蒙していくというような意味でも、海の日を祝日とするということは大切なことだと思っておりまして、その日がいつがいいのかということについては、三百六十五日それぞれ御議論、御意見があると思いますが、その中の一つをやはり選ばなければその日を祝日とできないわけでございますから、これはやはり党の中で十分の議論をした上で党として一つの結論を得る、そういう態度で改革としては臨んでいるということを申し添えます。 ○山元委員 私どもの党は、今まで政策審議会あるいは代議士会でも、あるいは政策調整会議でも、この可否について論議をしてまいりました。そして、今のところは私どもは全党これを制定しよう、こういう意思統一ができておりますから、今直ちに党議拘束を外すという必要あるいは論議というのはございませんので、私どもは党として賛成という立場で臨みたいと考えております。 ○宇佐美委員 自民党がどう考えているのか、ちょっとお聞きしたかったのですけれども、加藤提出者の方は所用があるかと聞いております。大自民党がどうやって考えていくのかというのも非常に重要なわけですけれども、時間がなくなりました。まだまだ聞く予定でこちらに来ていただいた方々もいるわけですけれども、私の時間配分が悪くて御質問ができませんでした。お許しください。 また、この海の日の祝日化におきましては、動機提出者の皆さん、また関係各位の皆さんの非常に大きな努力があったと思います。その点について敬意を表しまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○田中委員長 次に、松本善明君。 ○松本(善)委員 国民の自由時間を拡大をして文化やスポーツあるいはレクリエーションなどの余暇を楽しむ機会を保証するということは、健康で文化的な生活を営む上で非常に大切なことだと私ども考えております。我が党はこれまでも、五月四日の休日法でありますとか、日曜日と祝日が重なる日の翌日を休日にするという法案に賛成をしてまいりました。 そこで、動議提出者にお聞きしたいのは、国民の祝日については、今もお話がありましたが、メーデー、環境の日、平和の日などいろいろ出ていますが、国民の祝日を決める大原則、一般的な原則は先ほどお答えになりましたが、私どもは、やはり憲法の精神にのっとること、国民的合意があるということ、その他細かい基準いろいろあろうかと思いますけれども、この二点がやはり大前提でなければならないというふうに思いますが、提出者はどのようにお考えですか。 ○江田委員 お答えいたします。 憲法の精神に合致すること、国民の幅広い合意があること、この二つは大前提であるというのは、そのとおりであろうと思います。 ○松本(善)委員 労働省に伺います。 祝日と労働時間短縮の関係、先ほども少し答弁がありましたが、我が国の労働者の労働時間は、ヨーロッパやアメリカなどの諸外国に比べまして極めて長時間であって、労働時間の短縮というのは最も重点的な課題の一つになっております。 我が党は、週四十時間制の確立、年次有給休暇の拡大、時間外労働の規制などを実施すべきであると考えております。時間短縮は、賃下げなしの時短を前提に、有給休暇の拡大、また年次有給休暇の取得などによることが基本であり、大事なことだと思っております。労働時間短縮について、そういうことが基本であると私たちは思っているのですけれども、労働省はどう考えているか。先ほども答弁がありましたので、簡潔にお答えいただきたいと思います。 ○石川説明員 労働時間の短縮につきましては、国民のゆとりある生活を実現するために重要な課題であるというふうに考えております。そのための大きな柱といたしましては、週休二日制の促進、年次有給休暇の取得促進、それから残業時間の削減、この三つが大きな課題であるというふうに考えております。 ○松本(善)委員 提出者に伺いますが、私たちの党は海の日を国民の祝日として設けることに賛成なんです。そして、海の環境問題だとか海の資源などをこの日を契機に多くの方々が考えて海に親しむ、海の日を国民の祝日にするという意義はあると考えております。 そこで伺いますが、法案は、海の日を設ける意義を「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。」としています。そして七月二十日にする。この七月二十日にするということについては今同僚議員の質問でも疑問が提起をされ、御答弁では、どこか決めなければならぬというようなお話でございました。七月二十日というその由来はどういうことでございましょう。 ○山元委員 七月二十日を海の記念日と定められたのは、明治天皇が東北巡幸の際に明治九年の七月二十日に汽船で横浜に帰ってこられた日を記念をしてというふうに聞いておりますが、昭和十六年当時、海の記念日を設定しよう、そういうことで、海に親しみやすい時期である七月ごろを選定するという方針から、幾つかの候補の日があったそうですけれども、その中からこの日が選定されたというふうに聞いております。 それ以来、広く国民の、特に海事関係の皆さんの理解と認識を深める日、さらには各種のイベント、海に感謝をし、あるいは海を大事にしよう、そういうイベント等が持たれるなど、国民に親しまれてきた日、特に七月二十日というのは夏の始まりのころでもございます。そういう意味で、この日に私どもは決めたわけでございます。 ○松本(善)委員 どうも御答弁を伺っておりましても、七月二十日でなければならぬということがよくわかりませんが、明治天皇が横浜に帰ってきた日と、先ほどのお話でもありました「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。」関係がないように思うのですね。 昭和二十三年、第二回国会で新しく九つの国民の祝日を決めました。衆参で文化委員会というのをつくっで、合同打合会をやるとか、いろいろ研究をした。その際に国民の祝日を決める基準を決めております。その基準の中で最も重い基準は何だったか、提出者は御存じでありますか。 ○山元委員 二つの大きな方針があったというふうに聞いております。新憲法の精神に即応し、平和日本、文化日本建設の意義に合致するものであること、国民の全体がこぞって参加し、ともに喜ぶものであることというふうに承知をしております。 ○松本(善)委員 当時、国民の祝日を審議をした参議院の文化委員長は、報告で次のように述べております。 今おっしゃった第一の新憲法の精神にのっとるということでありますね。この条項は、「すべての基準の中で最も重く考えたものでございます。今までの祝祭日は、王政復古思想の盛んでありました明治六年に太政官で判定したものでありますから、宮廷中心の祝祭日であります。併しながら今日では新憲法が公布され、主権が国民に移りましたる以上、祝祭日も亦国民の祝祭日でなければなりません。国民が挙って祝い、挙って楽しみ、挙って感謝する日でなければなりません。」こう言っておるのであります。これは参議院の会議録のとおりであります。 つまり、戦前の祝祭日は宮廷中心、天皇中心だった。新憲法で主権が国民に移ったのだから、国民のための祝日にする必要がある。だから祝日を選定する基準で、新憲法の精神、国民主権が一番大事だ。これは今御答弁になったとおりでありまして、国民の祝日を選定する一番大事な基準から見まして、明治天皇に由来した七月二十日を海の日にすることは憲法の精神に沿わないことは明らかだと思う。これは、国民の祝日を決める基準からも逸脱しているというふうには思いませんか。 ○山元委員 先ほども申し上げましたように、それぞれの都道府県議会を初めとして地方の自治体の皆さんが意見採択をしていらっしゃる、そういう海の日を祝日としてほしいという国民的な要望は、先ほども申し上げましたけれども大きかった。そして私どもは、それを受けとめるのに、現在行われております五十年も続いております海の記念日というのを海の日にすることが今までの皆さんの取り組みから考えても自然であろうというふうに一つ考えたわけでございます。 それが明治天皇云々ということを中心にして、あるいはだから適当だという論議は一切ございませんでした。国民の皆さんの現状あるいは希望というものを大事にしていこう、そういうことを考えて、七月の二十日というのがちょうど夏の始まり、あるいは七月には祝日がない、そういうことで私どもは決定をしたわけでございます。 ○松本(善)委員 官房長官お見えになりました。 先ほど提出者にもお聞きをしたのでありますが、私どもは海の日そのものを休日にするということは賛成なんですけれども、日をどうするかということを、先ほど来同僚議員のいろいろ質問もありました。これは、祝日を決めるという国の大原則とのかかわりもございます。 官房長官にお伺いしたいのは、この国民の祝日を決める大原則、これは私どもは、憲法の精神にのっとること、国民的合意があること、いろいろ細かい基準はありますけれども、この二つがやはり大前提にならなければならないのではないかと思う。提出者もほぼそれに沿う御答弁がございましたが、官房長官に政府のお考えもお聞きしておきたいと思います。 ○五十嵐国務大臣 七月二十日という日は、もう長くこれまで海の記念日として国民にはかなり定着をいたしておりまして、各種の関係する事業等も年々この日に行われているということ等も考えたり、あるいはまた季節からして七月二十日といいますと、海の日としてちょうど適切な季節であろうということ等から考えて、七月二十日という日はふさわしい日ではないか、このように存ずる次第であります。 ○松本(善)委員 大原則ですね、憲法の精神にのっとること、国民的合意があること、これが祝日を決める大原則だ、そうは思わないかということをお聞きしたのであります。一言で結構です、官房長官。――言葉でお答えいただきたい。 ○五十嵐国務大臣 もちろん、それはそういうことで結構だと思います。 ○松本(善)委員 今提出者からも官房長官も、七月二十日を海の日にするということについて、提出者の方は明治天皇とは余り考えていないのだ、五十余年にわたって海の記念日として定着してきたということが挙げられたわけでありますが、果たしてそうなのか、大いに疑問があるところでございます。 それで、海の記念日の歴史を振り返ってみたいと思います。 第一回目の海の記念日は、戦前の昭和十六年七月二十日であります。この昭和十六年、一九四一年という年は、御存じのように、日本軍のハワイ真珠湾攻撃とマレー半島上陸作戦を開始するなど対米英戦を開始した年であります。 ここに、当時の雑誌のコピーを持ってきました。昭和十六年七月一日号の雑誌「海運」であります。この雑誌で海の記念日の特集を組んでおります。その中で、海の記念日の設定を担当いたしました当時の逓信省管船局長の尾関将玄氏が述べている。「海の記念日に當りて」という小論文を書いております。この小論文を見ますと、海の記念日を設けた意図がわかります。 その要点を紹介いたしますと、「わが水産、海運其の他海上産業が皇国発展に寄与した貢献は、はかり知るべからざるものがあらう。なかんづく、戦時下重要物資の海上輸送が、わが国死活に関する重要性」は容易に理解できる。「いまや皇国は振方未曾有の艱難に遭遇している。」「ここにおいて、徹底的なる戦時態勢を必要としこ何よりも国力を充実すべき。「海の記念日はかやうに、堅実なる国力の充実をはかるための契機たらんとする。」ためだったとしております。 つまり、海の記念日を設けたその意図が、侵略戦争の遂行上、海上輸送で船員や船舶の徴用と調達のために、海運関係者だけでなく、国民こぞって支援する雰囲気をつくることだったことは、今紹介した当時の逓信省の局長の小論文からもわかります。 提案者、どうお考えでございますか。 ○江田委員 松本委員の過去の事実についての調査は、私どもそれに対して、それは違うというような反論の資料がございませんので、それはそういうことであったのかと思います。 ○松本(善)委員 その後、海の記念日はどうなったかといいますと、昭和十六年の十二月には逓信省管船局が海務院に改組をされまして、軍の統制下に置かれました。軍国主義のもとで海の記念日は形骸化されていったというのが実態であります。 当時を知る日本海運協会会長の米田冨士雄さんは、「トランスポート」一九七四年七月号でこういうふうに言っておられます。「第二回の海の記念日は第一回のときの面影は全くなく、その後年ごとに戦時体制を強くしてゆき、おびただしい船舶の消失のなかにあっては「海の記念日」は全く影をひそめてしまった。」と書いております。 ここに、当時の新聞のコピーを持ってまいりました。昭和十七年の七月二十日付の朝日新聞、見出しは「けふ大東亜に轟く海の記念日」というものであります。それから十八年は、「けふ海の記念日 太平洋の隼、必殺の出撃」、写真が載っておりまして、「ソロモン水域に勇戦するわが水雷戦隊」、こういうものであります。こういうように侵略戦争の国威発揚に利用されてきたことがよくわかります。米田さんが言っているとおりです。 このように、海の記念日の始まりとその歴史を考えてみますと、七月二十日を海の日として、国民の祝日として国民がこぞって祝う日にするということはまことにふさわしくない日ではないか。アジアの諸国を必要以上に刺激をするということになるのではないかと心配をいたします。 そういう点について、提出者はいかがお考えでございますか。 ○江田委員 七月二十日海の記念日ということで昭和十六年から、昭和二十年に行われたかどうかわかりませんが、その当時の状況を今松本委員の方から御説明があったわけでございますが、これは当時の時代背景というものを考えますと、そういうことももちろんあったであろうと思います。そしてその七月二十日が、過去をさかのぼれば、明治九年の明治天皇が横浜にお帰りになった日である。しかも、その船は民間の船であった。そういう日を選定をしたということも、それもあるだろうと思います。 しかし、考えてみますと、明治天皇が横浜にお帰りになったその日を海の日というのは、それほど別に深い関連性というものはないので、既往を顧みるとそういうことがあったなという程度のことであろうと思いまして、この七月二十日が特別何か天皇制というものの中で意味が非常に深い日であるというような、そんな感じは特にいたしません。そうではなくて、やはり海のシーズンが始まるにふさわしい日ということになりますと七月二十日、しかも七月には休みがない、そんなようなことから七月二十日を選定したわけでございます。 戦争中に確かにそのようなことはあったであろうと思いますが、しかし日本国自体が八月十五日を契機に生まれ変わったわけでございまして、その八月十五日以前、とりわけ十六年から二十年までの戦争中にいろいろな日がいろいろと戦意を鼓舞するために用いられた、そのことを殊さら取り上げて、この日はこういう忌まわしい日であるというようなことを言っておりましたら、これはほかになかなかいい日というものは出てこないわけでございます。私どもは、むしろ七月二十日という日を海の記念日から海の日と変えまして、しかもその意義は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。」そういう日として新たにこの日を大きな意義を持った日として生まれ変わらせようとしているわけでございます。 私は、戦後五十年近くの間、海の日というものをそうした軍国日本から切り離した形で海運関係の皆さん中心に国民的な行事として祝ってきたその経緯を踏まえるならば、近隣の国々の皆さんに、この日を日本が祝日にしたからといって、特別日本がまた何か軍国主義の方向へ歩んでいるなどというような心配をいただくことは皆無だと思っております。 ○松本(善)委員 どうも七月二十日ということに確信を持った御答弁ではありませんでした。私は、やはり日本が過去についてどう考えているかということはアジアの諸国民にとって非常に重大な関心事だというふうに思います。七月ということであれば、先ほども同僚委員が言われましたように、七月の第三とか第二の月曜日とかならどうだというそういう議論もまた出てくるわけでございます。 海の日を国民がこぞって親しめる祝日とするためには国民の合意が前提になる、これは官房長官も提出者もそういうことが大事だということを述べられました。これは戦後の祝日を決めました、先ほども御紹介いたしました昭和二十三年の衆参両院の文化委員会で、祝日を決める基準に、国民がこぞって参加し、共に喜び合うものであることを挙げておりますが、これは国民の祝日が一般の法案と違う特別な性格を持っていることを示しております。これを提出者が議員提案でなく委員会提出にしてほしいということで動議を提出されたのもそういうようなところからであろうかと思いますが、既にこの審議の中でもさきがけは党議拘束を外すということを言っているような状態ですし、私どもも、海の日そのものを祝日にすることは賛成だけれども日に異論がある、こう言っておるわけでございます。 その意味で、提案者の方では、やはり少なくとも国会で全会派が賛成できるように、全議員が賛成できるように努力をすること、これが必要だったのではないでしょうか。その点についての提出者の御意見を伺いたいと思います。 ○山元委員 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、国民の皆さんからの強い御要請を受けて理事会あるいは理事懇談会等で協議をいたしまして、できるだけそのように、今仰せのように全党が賛成できるような、そういう決定の仕方をしたいというふうに望みました。 しかし、先ほども申し上げておりますように、七月二十日というのは国民が取り組んできた海の記念日、そういうことも、あるいは季節のことも考えて、何とかこのことで提案をしたいということで決着をいたしました。何回も申し上げていますけれども、多くの地方自治体、すべての都道府県議会を含めてのこういう御要請ですから、私どもは、他にそれはいいという適当な日の御提案があれば別ですけれども、そうでなかったわけでございます。この七月二十日で何とか全会派の皆さんの御賛同を得たいというふうに考えましたけれども、それが実現しなかったことは残念ではございますけれども、提出をさせていただきました。 ○松本(善)委員 海の日についてたくさんの地方議会が決議をしたということでありましたけれども、私どもの党は、地方議会でやったその文の中に七月二十日を決めたものは反対、七月二十日という日を特定しないものは賛成、先ほどの数の中にはそういうものも入っているかと思います。先ほどのように湖も入れろというような決議もあったということでございます。七月二十日に国民的合意ができているとはやはり私は言えないのじゃないだろうか。 歴史学者で東京経済大学教授の色川大吉氏は、九四年十一月二十九日の東京新聞で次のように言っております。七月二十日の「由来を天皇制に持ってくる記念日の決め方が極めて安易で、古い時代の考え方を引きずっている。海の日と言うなら、勝海舟が咸臨丸を操って米国に渡った日でもいいし、南極観測船「宗谷」が出航した日でもいい。もっと国民に意見を聴くべきだ」、もっともな意見だと思います。 法律の施行も再来年の一月一日としているわけですから、何も急いで法律を成立させる理由はないと思うのですね。これからずっと長く続くものですから、早く法案を上げるということよりも、やはり本当に海の日を国民に親しまれる、みんなに喜ばれる、そういう祝日にすることの努力をする方が大事ではないでしょうか。きょうも七月第三月曜日というような提案もあったわけであります。 海の日をいつにするか、この会期末に形だけの審議をするのではなくて、公聴会を開くとかあるいは参考人の意見を聞くとかいうようなことをして国民の意見をもっと広く聞く努力をして、国民的合意を得るというように努力をする、そういうことが大事なんじゃないだろうか。それが海の日を本当に国民の祝日にふさわしいものにすることになるので、はないかと思いますが、提出者の御意見を伺いたいと思います。 ○山元委員 先ほどから申し上げておりますように、私どもは、私どもから提起したのではなしに、地方議会あるいは海事関係の皆さんの強い御要望が盛り上がってくる中で決定をさせていただいたというふうに考えています。 そして、先ほど松本委員からも御発言がございましたけれども、最初のところの文化委員会の方針あるいは基準とか、あるいは留意すべき事項だとかたくさんの項目がございますけれども、それらに合わせて私どもは適当な日ということで御提起をさせていただきました。 ○松本(善)委員 先ほども御発言がありましたように、関係者の中ではかなりこれがなじんでいるという面もあるかもしれませんけれども、国民全体の中ではやはり知らない人も結構たくさんいるという状況であります。いろいろ地方議会からの意見書が上がってきましても、それを本当に国民的な立場でどうしたらいいのかということを十分審議をするというのが国会の役目ではないかと私どもは思います。 日本共産党は、海の日を国民の祝日にするこしと自体は、先ほど来述べておりますように賛成でありますが、その日を七月二十日にするということは、これまでるる申し上げてきましたように賛成できないということを申し上げまして、質問を終わります。 ○田中委員長 これにて発言は終わりました。 お諮りいたします。 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○田中委員長 起立多数。よって、そのように決しました。 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時四十分散会 |
1994/12/06 |