1999/06/08 |
衆院・内閣委員会
○松本(惟)委員 では、参議院での修正が前文においてなされたというふうに承知をいたしております。そのことについて質問をさせていただきます。
本案は、参議院におきまして、自民党、自由党、民主党、公明党の四会派提出の修正案が賛成多数で可決をされました。そこで、その修正の内容並びに趣旨、目的等について提出者に伺いたいというふうに思います。質問の一つ目はそのことでございます。よろしくお願いします。
○江田参議院議員 お答えいたします。
参議院においては総務委員会に付託をされまして、総務委員会で、自民党、自由党、民主党・新緑風会、そして公明党、四会派の提出の修正案が出されました。この修正案が委員会において賛成多数で可決をし、したがって、委員会の議決は修正ということになりまして、これが本会議で全会一致で可決をされたという経過でございます。
民主党・新緑風会を代表して、私が提出者になりましたので、私どもの立場から、どういう趣旨で修正案を出したかということについて申し上げます。
御承知のとおり、男女の平等、同時に、男女がともに参画をして、それぞれの個性、能力に応じて均等な立場で社会に参画をしていく、これは長い経過を持った、言ってみれば闘いの歴史であったし、またこれからもそのことを目指して進んでいくものと私ども思っております。
そうした中で、さまざまな論点が議論をされまして、そして政府においても、そうした論点を政府の立場からまとめて、今回の政府提案という法律案が出されました。そのことについては、私ども、これは高く評価をするにやぶさかじゃありません。
しかし、政府の立場で多くの論点を取りまとめるというのはそれなりにやはり限界があるだろう、いろいろそこから落ちるものがあるだろうというので、私ども民主党・新緑風会として、我々の立場から今までの経過を振り返って、こういうことが大切だ、これはやはり基本法に盛り込むべきものだ、そんなものを取りまとめ、これをまた政府案とは別個の議員提案の法案として作成をし、参議院において提出をさせていただきました。
同じテーマについての二つの法案ですからこれは対案ということになるだろうと思いますが、さまざま違いがあります。題名について、あるいは前文について、法律の目的についてなどなど、女性への暴力のことであるとか、あるいは救済体制のことであるとかさまざま違いがございますが、こういうものを出しながら、しかし、そこで対決とかというのじゃなくて、よりいいものをつくろう、こういうことで、テーブルの上に二つの案を出して参議院で議論をする、こういうやり方をいたしたわけです。
ちなみに、このことについては参議院の委員会で、きょうお見えの野中官房長官から、これは提案している政府側としては申しにくい見解を求められておるわけでございますけれどもという前置きつきですが、一人の立法府にある者として、こういうあり方というものは、新しい合意形成を求める議会制度のあり方としても私どもは高く評価をしている次第であります、そういう答弁もいただいているところでございます。
しかし、残念ながら、私どもの対案が成案になる、これはやはり限界がございまして、そういう議論を踏まえて、政府案を軸としながら、これを少しでも私どもの考えるいい方向に向けていきたい、こんなことで野党いろいろ議論をいたしました。前文をつけて趣旨、目的を明確にして法律をよりわかりやすくしようじゃないかとか、あるいは救済体制についてもっと法整備を含む方向性を示していこうじゃないかとか、あるいは地方への要請も法律の中にはっきり書き込もうじゃないかとかいろいろな議論をいたしましたが、最終的に、そうした経過で、前文をつけて法律の趣旨、目的等をより明確にしようという修正で、先ほど申しました四会派の意見がまとまったということでございます。
修正の中身についてはもう皆さん御承知のとおりだと思いますけれども、私どもはまず、男女平等、日暮れてまだ道遠し、さらに、新しい時代をつくるためには男女共同参画ということが必要だ、そのために一定の方向を示していこう、これがこの法律である、そして特に、「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。」こういう高い位置づけを前文の中で書き込んだわけです。
もとより前文というのは、これは法令の本文とは意味合いが多少違います。本文のように具体的な事項を定めたものではなくて、その意味では、前文の内容から直接法的効果を生ずるものではありません。しかし、各条項とともに法令の一部を構成し、また各条項の解釈、運用の基準を示すという意義、効力を有するものであって、法律全体が生き生きとしたものになったと思っております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。
真摯な参議院での討論を経まして与野党合意で前文がつけられたことについて、私もよかったというふうに思っております。
あと一つ質問をさせていただきたいと思います。
男女共同参画社会というのは、国会の中ではこれまでの審議を通じてかなり浸透してきたと思いますけれども、国民一般については、まだ難解な言葉であるというような向きもございます。残念ながら、まだ広く行き渡ってはいない。そういう意味合いで、この修正によって新たに前文が加えられたことによって、法律の趣旨、目的、理念がよりわかりやすくなったことは事実ですし、その意味でも一歩前進であろうか、法文そのものまでいきませんでしたけれども、そのように思います。
そこで、確認的に、前文の二つのパラグラフのところに「社会のあらゆる分野において、」というふうに書かれております。施策の推進を図る必要があるということですが、この「あらゆる分野」というのは、職域、学校、地域、家庭その他のあらゆる分野と理解してよろしいのでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
○江田参議院議員 おっしゃるとおりでございます。
三つ目のパラグラフでございますが、これは政府の提案理由の説明の中にも社会のあらゆる分野においてという表現がございまして、国、地方公共団体及び国民が、職域、学校、地域、家庭その他のあらゆる分野において男女共同参画の実現に積極的に取り組んでいかなきゃならぬ、そういう趣旨で書き入れておるものでございます。
○松本(惟)委員 どうもありがとうございました。
本当に、御苦労と御努力を受けまして、衆議院におかれましても、私も一生懸命、残された審議の時間、この法案がよりよいものとして誕生しますように力を注いでまいりたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
1999/06/08 |