湯川憲比古 江田事務所から 2001/05〜06 | 戻る/ホーム/湯川目次 |
2001/06/14
大阪教育大学付属池田小学校の惨劇は、今後の日本社会に非常に大きな影響を与えるだろう。8人の児童の命を守ることが出来なかった大人と社会の責任は重い。
いよいよ日本社会における「安全」を政府や公共機関に「おまかせ」することができなくなったのだ。どうしたら子どもや社会的弱者の安全を守ることが出来るのか。「安全」も自己責任の時代に入ったのだ。
もう一つ、「お受験」の対象となるような国立の小学校というものは、もう必要ないのではないか。
2001/06/11
小泉首相は参議院選挙前に「小泉改革」の具体策を明示すべきだ。
「国債30兆円以下」「公共事業削減」「道路特定財源の一般財源化」「特殊法人ゼロベース見直し」「道路公団民営化」「衆議院定数是正」(都道府県にあらかじめ1議席ずつ配分するのをやめて純粋比例配分とする)などを明確化すれば、民主党もあと押しできる。
ただ、「地方交付税1兆円削減」は小泉首相の戦略ミスではないか。まず、補助金を廃止して「一括交付金」として地方の一般財源とし、さらに地方の自主税源をふやして(所得税の相当部分を地方税とする)、その結果として、地方交付税の削減あるいは廃止となるべきものだ。地方自治体を全面的に改革の反対派にするのはおかしい。地方分権の推進によって構造改革の味方にしなければならない。
2001/06/07
6月6日(水)の党首討論での鳩山代表の出来はなかなかよかったのではないか。
短い言葉で端的にメッセージを発し、テレビ映りまで考えた小泉首相のパフォーマンスは相変わらずだが、今回は真剣さを欠いていた。
田中真紀子外相の追及を避けたことに対する批判もあるが、現段階で外務官僚や与党の利権政治家を利する必要は全くない。小泉首相と田中外相のあと押しをして、自民党抵抗勢力を壊滅させることが重要だ。
2001/06/04
ハンセン病問題で、江田議員は5月29日と31日に国会で質問をした。政府の姿勢は、総じて、控訴せずに判決が確定したので、賠償金は支払う、そして「内閣総理大臣談話」にある諸施策は実行するが、判決理由についてはほとんど認めない、というものだ。
坂口厚生労働大臣も、いつの時点からは別として、「らい予防法」が憲法違反の法律となったことを認めなかった。これでは、小泉首相の決断の意義も半減せざるを得ない。
2001/05/31
小泉首相は、たとえ中国や韓国から厳重な抗議を受けようとも、絶対に8月15日に、内閣総理大臣として靖国神社を公式参拝すると言う。
ここまでくると異常なこだわりだ。理由は、戦没者におまいりして何が悪いのか、と言うだけで、憲法20条違反やA級戦犯合祀問題に、特に独自の考えがあるわけではないようだ(極東軍事裁判やサンフランシスコ平和条約の否定の思想があるようには今のところ見えない)。
ならば、最終解決策は明確で、祝日法改正によって8月15日を「平和の日」とし、同時に千鳥ケ淵戦没者墓苑を格上げして、ここに内閣総理大臣をはじめとして、おまいりをして、武道館で平和祈念式典を行えばよいのではないか。
2001/05/28
ハンセン病訴訟で控訴せず、につづいて「道路特定財源の一般財源化」と「道路公団の民営化」を打ち出して、「小泉改革」の具体策が明らかになってきた。
この方向が堅持される限り、1990年代の「失われた10年」に対して、21世紀初頭の「構造改革の10年」のフロントランナーが小泉首相となることは、ほぼ確実となる。民主党は、構造改革実現の主勢力として、「小泉改革」をより強力に推進して、自民党を中心とする「抵抗勢力」と真正面から戦い、これを解体しなければならない。
夏の参議院選挙は(ダブル選挙であっても)、「改革勢力」VS「抵抗勢力」のバトルの第1ラウンドとなる。
2001/05/24
ハンセン病訴訟についての小泉首相の判断は見事だった。原告団のみなさんの必死の訴えに加えて、国民世論、マスコミ、厚生労働大臣と公明党、超党派の国会議員懇談会、野党各党などの連係プレーが、「官僚の論理」にうち勝って、小泉首相の判断をリードしたと言える。福田官房長官と古川官房副長官による「官邸主導」もなかなかのものだった。小泉内閣の「改革」手法の一つのパターンをつくったのではないか。
控訴はなくなったが、問題の最終解決はこれからだ。江田議員は、5月29日(火)の参議院法務委員会(45分)と31日の参議院厚生労働委員会(80分)でハンセン病問題について質問することになった。
2001/05/21
小泉首相の「改革断行」の具体的テーマである「道路特定財源の見直し」と「参議院公認候補の派閥離脱」に対して、早速「抵抗勢力」が現れた。
特定財源については、総務会で反対した鈴木宗男衆議院議員(橋本派幹部)と参議院選挙後まで議論しないと言った麻生太郎政調会長。
派閥離脱問題では、そんな事は無理だと言った橋本派最高幹部の青木幹雄参議院自民党幹事長と片山虎之助総務大臣。とくに片山総務大臣は、内閣の一員でありながら、小泉首相の指示に従わない姿勢を参議院予算委員会の答弁で明らかにした。まぎれもない「抵抗勢力」だ。
2001/05/17
7月29日の衆参ダブル選挙の想定をしなければならない展開になってきたようだ。
小泉首相自身は、まだ真剣に考えてはいないかもしれないが、自然の流れが出来て来るのかもしれない。民主党は、準備中の50本の議員立法の改革法案を早急に仕上げる必要がある。公共事業費の削減、道路特定財源の廃止などの予算編成方針も明示すべきだ。
改革を求める80%(小泉内閣支持率)と自民党支持率30%の差、改革を強く求めるが、自民党を支持しない50%の有権者の支持が得られるよう全力投球しなければならない。
2001/05/14
首相公選制の議論では、議院内閣制のもとでの首相公選制(イスラエル方式)は趣旨が鮮明ではないので、やはり大統領制を採用すべきかどうかが焦点となる。
もう一つ、本格的な地方分権が前提となるが、議会の方も、衆参統合の国民議会一院制(例えば小選挙区300、都道府県ないしブロック選出100、比例代表100)の是非も議論の対象となるのではないか。そうなれば政権交代はわかりやすくなる。
2001/05/10
鳩山代表と枝野幸男議員の衆議院本会議代表質問で、民主党の小泉内閣に対するスタンスは、ほぼ固まった。
小泉首相が本気で「改革断行」をするなら協力する。改革の具体的な政策を議員立法の法案として提出すれば、誰が「改革断行」派で、誰が「抵抗勢力」かがはっきりする。
「国債30兆円以下制限法案」「財政基礎収支均衡法案」「財政投融資改革法案(特殊法人改革法案)」「公共事業3割削減法案」「天下り禁止法案(特殊法人改革法案)」などを早急に提出すべきだ。
郵政事業民営化法案(「中央省庁等改革基本法改正案」)を民主党が提出することも検討すべきだ。
2001/05/07
「金正男」不法入国者の中国送還事件に対する小泉内閣の対応は大きな間違いだったのではないか。外務官僚の「事なかれ主義」の対応に、小泉首相も田中真紀子外相もただ言いなりになっただけのように見える。
特に、田中外相の新潟での「男性の特定も確認も出来なかった」「一般の人と分け隔てなく取り扱った」という発言はおかしい。外務省高官が付き添って、わずか4日後に北京まで送り届けたのは、明らかに人物を特定し、特別扱いをしている。
田中外相は外務官僚から事実を全く知らされていないか、あるいは国民に対してうそをついたことになる。
2001/05/03
小泉首相は所信表明演説で「首相公選制」について、首相として具体案を提示するという。憲法改正への突破口にしたいらしい。「首相公選制」は重要な議論だが、内閣総理大臣自らが、首相公選のための憲法改正を主導するというのは異常だ。
主権者たる国民が権力を暴走させないために制定しているのが憲法だ。だらだらと議論のための議論をしていても仕方がないが、憲法改正は、国会が発議しして国民に提案する(憲法96条)ということを再確認すべきだ。
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