2005年9月17日 戻るホーム民主党文書目次

前原新代表の両院議員総会投票前の所信表明演説

 民主党の前原誠司でございます。このたび代表選挙に立候補させて頂きまして、皆さん方の前で、また国民の皆さん方の前で私の所信をお話しできることを本当にありがたく思っております。

 まず、国民の皆さん方に対して、今回の衆議院選挙において、民主党は大きく議席を減らしてしまいました。そして、小選挙区で闘った者のすべての得票数は2480万票いただきました。にもかかわらず、このような小選挙区制度のもとではありますが、大敗をきっしていまって、多くの皆様方に失望感を与えました。このことについては私も党の一人として、国民の皆さん方に心からお詫びを申し上げなければいけないと思います。

 私は選挙が終わりまして、この党をどう立て直すんだ、誰が立て直すんだ、そのことを自問自答してまいりました。私自身が立つときに、たとえば選挙ですから、支援をし、票を集めなければならない。しかし、この党を再生するためには、まさに解党的な出直し、誰かが応援してくれるからやろう、このグループが支えてくれるのならやろう、そういう考え方でこの党を生まれ変わった党として国民の皆様方にアピールできるか、私はそうは思いませんでした。真剣に政権交代を考え、戦ってきて、2480万の方々が期待をしていただいた。その期待にこたえられなかった。
 
 しかし、わが党のためではない。わが党が再生しなければ、日本の民主主義は機能しない。与党しか選択肢がない民主主義などありえません。そういう意味ではまさにゼロからのスタートの中で、私は立たせていただいた。それが皆さん、民主党のあるべき姿ではないでしょうか。

 既得権益からは切り離し、そしてさまざまな派閥、族。そういったものに無縁の所から、今の既得権益にメスを入れていく。それが本来、国民の皆さん方が我々民主党に期待された、真の姿ではないでしょうか。それをもう一度思い出して、国民の皆さん方の信頼を勝ちうる党に、再生していかなくてはなりません。

 その中でひとつ、私は申し上げたいと思います。今回の郵政法案では、その中身はともかくとして、われわれは明確な対案を出すことが、国民の視点からして、できなかったと私は思います。重要な政策であれば、そして真にいつも政権交代ということを国民の皆さん方にお約束しているのであれば、しっかりと党の議論をまとめて、対案を出し、そして毅然と国会で議論することが、本来の政権を目指す党のあり方ではないでしょうか。それができなかった。できないところを、政府・小泉首相に徹底的に衝かれて、守勢の選挙に立たされた。国民の皆さん方は、それを民主主義の理念の中で判断を下して、民主党は大敗をしました。そのことを真剣に受け止めなければなりません。われわれはまさに「闘う政党」として、常に常在戦場ということを、骨身にまでしみこませて、どう闘うのかをもう一度考え直すことが求められているのではないでしょうか。

 私は改革の本丸は郵政だとは思っておりません。改革の本丸は日本の皆さん方からお預かりした税金の中にたくさんの無駄遣いがある、これに切り込むことが本当の改革の本丸ではないでしょうか。

 1000兆円にもおよぶ国・地方の借金。しかも皆さん、こどもの数は減り、高齢化はどんどん進んでいっています。社会保障、そして少子化対策どうするんだ。増税ですか?今の政府の無駄遣いの構造を残しておいたまま、国民に負担を求めるなんていうことは、私が政治家である限り、目の黒い限り、絶対にしてはならない、私はそういう思いを強く持っております。行革なくして増税なし。徹底的な無駄を削ること、それはまさに我々民主党に与えられた今の使命ではないでしょうか。
 
 肥大化をした行政、談合、天下りが結託し、コストを高く払わせている公共事業。無駄な公共事業がたくさんあります。国、都道府県、政令都市、中核都市、市町村、複雑に入り組んだ行政機構の中で、スピードも遅ければ無駄も多い今の国と地方の役割分担、補助金体制。小泉首相が改革を訴えて4年あまり。これに本格的にメスを入れましたか?税金の無駄遣いはなくなりましたか?いっさいなくなっていないどころか、天下りは増えているじゃないですか。社会保険庁の問題はそのままじゃありませんか。道路公団の官製談合というのは、小泉首相が指名した自民党の参議院議員が道路公団総裁で、ナンバー2がそれをしていたのを見過ごして、そして今度はその人が株式会社の会長になるんですよ。これを許すのが今の自民党の体質じゃありませんか。こういったものに徹底的にメスを入れて、税金の無駄遣いをなくしていく。それがまさに我々に求められていることではないでしょうか。

 しかし皆さん、税金の無駄遣いをなくしていったところの最後の姿。何をわれわれは求めていったらいいのでしょうか。借金を減らすことも大事。しかし、もっとわれわれは今の税金の使い道の中で足らざる部分、あるいはもっと充実していい部分に対してお金が使われていないんではないでしょうか。

 個人的なお話をして恐縮ですが、私は中2のときに父親を亡くしました。高1から奨学金を受け取り、大学も奨学金をいただいて勉強させていただきました。勉強というと格好はいいわけですが、高校3年間は野球に明け暮れて浪人し、大学時代も5年間行くことになりましたので、あまり偉そうなことは言えませんが。しかし、奨学金をいただいたおかげで私が勉強できたのはまぎれもない事実です。もちろん、母親はいままで家にいたのに、一生懸命外に出て働いて、我々を養ってくれました。それについては感謝しています。

 本当にやる気があって、そのチャンスが生かせる社会。今本当に皆さん、なっているでしょうか。徹底的に無駄は削るけども、年金とか医療とか介護とか、あるいは子育て支援とか、本当の教育とか。人に温かみのある政治というものに、もっとお金を使う。そして予算配分を変えていく。そうした政治が必要なんじゃないでしょうか。無駄を削るだけでなく、予算配分を変えて、本当に必要なところにセーフティネットをしっかり張っていく。そして人が安心して、誰でもがチャンスをつかめるようなそういう社会にすることが今我々に求められているのではないでしょうか。

 私はそういう社会をめざしたい、そういう思いでいっぱいであります。誰がやるんだ。今の自民党でできるか?、できないではありませんか。看板倒れの改革、「何とか民営化」と入れれば、それが改革だと思いこんでいる今の政治、変えようじゃありませんか。
 
 本当の改革、既得権益にメスを入れて、本当に必要なところに税金を使い、人に温かみのある政治というものをわれわれ民主党しかできないんです。われわれが立ち上がらなければ、敗戦にうちひしがれている暇はないんです。立ち上がって、真剣に一人一人が政権を取る気概を持って、もう一度闘う姿勢を取り戻そうじゃありませんか。それが私は今回、代表選挙に出させていただいた思いであります。ぜひ皆さん方の闘う姿勢を私は集めて、そしてそれを最大限に生かす、そういう代表になってがんばる所存でございます。どうか皆さん、一緒に闘いましょう。そして国民を豊かにしましょう。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(文責・民主党国民運動委員会)


2005年9月17日 戻るホーム民主党文書目次