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民主党は人権侵害救済のための法律を提案しています。
人権侵害救済機関の設置は世界的な流れです。
1993年に国連総会で、政府から独立した人権侵害救済機関をつくることを定めた「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」が採択されました。しかし、日本には独立した人権侵害救済機関がなく、1998年には国連から勧告を受けました。21世紀は人権の世紀といわれますが、公権力による人権侵害、不当な差別や虐待があとをたたず、救済は不十分です。被害者が泣き寝入りをせずに、安心して救済を求められる制度がぜひとも必要です。
民主党の人権侵害救済法案・概略
独立性が高い「人権委員会」を設置します。
従来、法務省が人権擁護を所管してきましたが、刑務所や入管施設での人権侵害が省内で握りつぶされてしまうことが懸念されます。独立性を確保するために、中央人権委員会を内閣の外局として設置します。また、地域の事情を踏まえた人権擁護施策を推進するために、都道府県ごとに地方人権委員会を設置します。
人権侵害を受けた人の救済制度をつくります。
人権委員会は、広く人権相談に応じ、人権侵害の被害を受けた方から申出があったときは、助言、指導、被害者の調整等を行います。差別的言動や虐待等の深刻な人権侵害(特別人権侵害)や差別助長行為については特別調査、調停・中裁、などの特別救済手続きを行えます。
メディア規制をしません。
報道機関による人権侵害案件を特別救済の対象にすると、報道の自由を侵すおそれがあるので、特別救済の対象としません。報道被害については、被害者が、任意手続である一般救済を求められることとし、報道機関に対して自主的な救済制度をつくる努力義務を課します。
人権侵害救済法 Q&A
Q 人権侵害かどうかは誰がどうやって決めるの?
A 人権侵害の被害を受けた方が人権委員会に救済を申し出ると、それに基づいて人権委員会が事実認定を行います。人権委員会は、人権侵害を申し立てた方だけでなく、その相手方の意見を十分に聴取します。
Q 人権委員と人権擁護委員は何をするの?
A 中央人権委員会(委員長と委員6名)、及び地方人権委員会(各都道府県に委員長と委員4名)の人権委員は、助言、指導といった一般救済のほか、特別人権侵害や差別助長行為について特別調査、調停・仲裁、及び勧告・公表、訴訟参加、資料提供、差止請求訴訟の提起といった特別救済手続きを行えます。人権擁護委員(全国で1万人)は、人権尊重の啓発や人権に関する相談、人権侵害に関する情報収集をします。
Q 人権委員の権限は?
A 人権委員会の行う特別救済手続は、要件を厳格に規定し、対象となる人権侵害行為は法律で具体的に列挙されます。人権委員会による特別調査は、正当な理由もなく立入り等を拒んだ者に裁判所を通じて過料を課すことができますが、強制的に行うものではありません。
Q 人権擁護委員は誰がなるの?
A 人権擁護委員は、市町村長が市町村議会の意見を聴いた上で候補者を推薦した者の中から弁護士会や人権擁護員連合会の意見を聴いて、地方人権委員会が委嘱するという民主的な手続で選ばれます。人権委員とは異なり、公権力を行使する職務は行わないので、日本国籍の者に限定する必要はありません。
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