民主党FaxNews No.343 2000年10月25日(水) | 戻る/目次 |
[CONTENTS] (1)公職選挙法改正案を衆院に提出〜参院比例代表をやめ広域ブロック制に (2)非拘束名簿式の問題点を追及〜衆院倫理選挙特別委員会で民主党議員 (3)民主党の追及受け中川官房長官が辞任=森内閣の疑惑隠し、今後も追及 (4)政党名と候補者名が結びつかない与党案=玄葉議員が指摘 (5)外交の基本わきまえていない行為〜羽田特別代表が森首相発言を批判 |
民主党は23日、参議院で比例代表選挙を廃止して、個人に投票する広域選挙区(広域ブロック)制度を創設することを柱とする公職選挙法改正案を衆議院に提出した。
従来の「選挙区選出議員の選挙」は、名称を「都道府県選挙区選出議員の選挙」と改める。また、参議院議員の定数を現行より12減の240人とし、そのうち90人を広域選挙区選出、150人を都道府県選挙区選出とする。都道府県選挙区での逆転区を解消するために、鹿児島県の定数を4から2に改める。この法案が成立した場合、新制度の実施は2004年の参院選からとしているが、定数削減は来年の選挙から行うこととしている。
政党を選ぶ比例代表制から個人を選ぶ制度に変更することで、参院の政党制を是正することが狙い。同時に、銭酷区・残酷区と呼ばれた「旧全国区」に比べて、選挙費用がかからず、本当に候補者の顔が見える選挙が実現する。
選挙区と各選挙区の議員定数は別に法律で定めることとしているが、現在の衆議院の比例ブロックよりは大きな括りになることを想定している。
4野党国対委員長会談は民主党が法案提出することを了解し、23日夕、赤松広隆国対委員長ら民主党の国対幹部が事務総長に法案を提出した。
民主党の熊谷弘幹事長代理は26日の定例記者会見で、直前の衆院本会議で行われた非拘束名簿式の公選法可決について、「暗黒の木曜日として日本の政治史上に記憶をとどめられるだろう」と前置きし、「先達たちの力によって進められてきた政治改革の道を、逆流させる道筋が与党によってつけられてしまった悲しむべき日だ」と厳しい表情で語った。そして、「党利党略の法案が民主主義のルールを踏みにじる形で成立したことは、政治の将来を憂えるものにとって、実に残念なこと」と述べた。
その一方で、選挙対策本部事務総長の立場として、来年の参議院選挙について、「参議院でも与党が過半数をゆうゆうと維持することになると、次は衆議院の選挙制度も党利党略で変えていきかねない。大変な重みをもつ。日本のデモクラシーのあり様を決める決定的な選挙だ」との見方を示した。そして、「何の根拠もないのに、来年の選挙は民主党が勝てるのではないかという錯覚が流布している感もあるが、それは全くの間違い。2回の補欠選挙結果を見れば歴然だ。民意をすくい取る選挙でなければ、民主党の勝利はおぼつかない。正しい政治路線と政策を国民に発信して、選挙戦に臨んでいかなければいけない」と言葉を強め、気を引き締めた。
参議院比例区への非拘束名簿方式導入などを盛り込んだ公職選挙法改正案を審議する衆議院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会(倫選特)が23、24日の両日開かれ、民主党の4議員が、非拘束名簿式の問題点を追及した。
23日の審議では堀込征雄、佐藤観樹両議員が質問。堀込議員はまず「参院での強行的なやり方は、憲政史上初めての暴挙だ」と、法案成立を急ぐ与党の姿勢を厳しく批判。第8次選挙制度審議会の答申に基づいた法案だとする与党側提出者の説明に、「答申で都合のいいところだけ取り出している。参議院の改革の発想が感じられず、党利党略にすぎない」と指摘した。
さらに堀込議員は、「自民党の長期低落傾向、党勢挽回のためのためではないか」と迫ったのに対し、法案提出者の片山虎之助参院議員(自民)は、「参議院では党より人の要素が強い制度を作る。どこが有利かはやってみなければわからない」などと反論。ところが、「(得票増を目指して)主要政党全部が限度いっぱいの48人候補者を立てれば、400人近い候補者数になる。これで、わかりやすい制度・顔の見える選挙にはならない」と堀込議員がさらに追及すると、片山議員は一転して「この制度はまず政党を選び、それから人を選ぶものだ。全国区とは違う」などと強弁。「法案にはそんなことは書いていない」と堀込議員は反発した。
また、「個人の得票を政党投票とする仕組みでは仮に自分の得票がゼロ、政党得票がゼロでも、別の候補が大量得票すれば当選する。これは憲法43条の『選挙された議員』に反しないか」と、いわゆる票の横流し問題を堀込議員は追及したが、与党側の答弁は「個人名を書くことは同時に政党を選ぶことでもある」とのこじつけを繰り返すばかりだった。
さらに「一番得票の多い候補者が連座制などで当選無効になった場合、(その得票が政党の議席獲得に反映されることに)国民の納得が得られるか」と疑問を呈したのに対し、提出者の魚住裕一郎参院議員(公明)は、「非拘束名簿式は、政党への票を合算する制度。個人名投票は名簿届け出制党への投票と考える」との説明を繰り返すばかりだった。
続いて質問に立った佐藤観樹議員は「(非拘束名簿式は)運動論的に見ると全国区に戻るに等しい。多額の選挙費用がかかる。どうやって金権批判をしのいでいくのか」と指摘。片山提出者は「党に選挙運動の相当部分を担わせなければならない。政見放送や、新聞広告、選挙公報も党がやる。いまは金をかけてむちゃくちゃな選挙をやっても国民の共感は得られない」と説明したが、佐藤議員は「現実には個人の選挙をやらねばならない。そんなきれいごとでは済まない」「制度的に保障することが何もない」と懸念を示した。
また、佐藤議員が「82年に全国区制を比例代表に変更した理由は、参院を芸能院・タレント院にしないためと言われた。その点で非拘束名簿式はいかがな制度かと思う」と、自民党の狙いを見透かして追及したのに対し、片山提出者は「有名人といってもいろいろある。実力のある人なら歓迎だ。人気タレントばかり出そうとする政党はだんだん淘汰されると思う」と開き直った。
さらに、「個人名で書かれた票を別の候補者に移すことになる制度はおかしい」と佐藤議員が批判したが、提出者は「比例代表制はそういう制度だ」と繰り返し、制度そのものの矛盾点には目を背けるばかりだった。
24日の衆院倫理・選挙特別委員会の質疑では、玄葉光一郎、長浜博行両議員が質問に立った。
玄葉議員は、冒頭「この改正案に党利党略との批判があるのは、青木・自民党参院幹事長が『来年の参院選は党の運命をかけた闘い。負ければたいへんなことになる。
前回の衆院選で候補者名と比例代表の得票差が800万票ある。これをどうにかしなければならない』と発言していることがある」と指摘。その上で、「比例代表制を取りながら、有権者が候補者個人を選びたいときに、候補者が所属している政党を自覚しないまま投票する可能性があるままでは、やはり横流しといわざるをえない」と迫った。片山提出者は「政党離れ、政治離れをくい止めるための方法を考えた。あらゆる選挙運動で政党名を宣伝するので、候補者と政党がわからないことはない」と反論した。
さらに、玄葉議員は「記号式、たとえば最初に政党名に○を付けて、そのあと候補者に○を付けるようにしたらどうか」と、投票方法を工夫してはどうかと提案したが、与党側は「候補者名を書く人は政党名を考えて書く。日本の場合、教養が高いからそういうやりかたを選んだ」「我が国は昔から自署式。そんな複雑なことをする必要はない。国民の良識に待つべきだ」と取り合わなかった。玄葉議員は「記号式を導入しているヨーロッパの国の識字率が低いとは思わない」と首をひねったが、自説の主張にかたくなな与党側と最後まで議論はかみあわなかった。
続いて質疑に臨んだ長浜博行議員は、「なぜ今改正が必要なのか。ずっと議論しているから国民の認識が高いという思いこみがあるのでは。国民はまだ参院選挙制度の何が問題なのかわかっていない」と迫ったが、片山提出者は「われわれは20年間待ってきた。21世紀にはぜひこの制度を導入したい。ここでまだ議論をするとなると、4年も先送りだ。永遠に改革はできない」と自分たちの立場を強調するばかりだった。長浜議員は「衆院の段階でも参考人を呼び、公聴会を開き、時間をかけて審議するべきだ」と主張した。
民主党の羽田孜特別代表は23日の定例記者会見で、健闘及ばず惜敗した衆院東京21区補選、参院滋賀県補選について、「公選法改正案が、与党によって強引に参院を通過させられてしまった状況に対し、選挙を通じて国民がどんな審判を下すか。民主党としては関心と期待を持っていた。しかし、残念ながら勝利を得ることができなかった」と振り返った。東京21区については、「国民が現政権に対して明確にイヤだと意志表示していることが明らかになった。川田さん、民主党の長島候補、社民党候補の総得票を考えると、自民党に厳しい判断が下ったのは明白だ」との見方を示した。
また、羽田特別代表は、森首相の日本人拉致問題をめぐる発言に言及。「外交の基本をわきまえていない行為。外交音痴と言うことだけではすまされない」などと厳しく批判した。
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