民主党FaxNews No.345 2000年10月26日(木) 戻るホームNews目次

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[CONTENTS]
(1)<党首討論>「国、国民を思う気持ちがあるのなら即刻辞任せよ」
(2)こんな首相を抱えることこそ国益の損失=鳩山代表が会見で
(3)中川官房長官の疑惑に直撃質問〜伊藤忠治議員が衆院本会議で追及


<党首討論>「国、国民を思う気持ちがあるのなら即刻辞任せよ」
〜国益を損ねる首相失格発言

 第2次森内閣で初めてとなる党首討論(国家基本政策委員会合同審査会)が25日午後、衆院第1委員室で開かれた。5ヶ月ぶりとなる舞台で民主党の鳩山由紀夫代表は、北朝鮮の拉致疑惑をめぐる森首相の「第三国発見方式」発言に的を絞って、首相の責任や資質を追及した。

 鳩山代表は冒頭、いきなり「結論から申し上げる。あなたに国、国民を思う心が少しでもあれば、中川秀直官房長官と共に即刻辞任すべきだ。『神の国』発言や『寝ていてくれ』発言などの失言と、今回ブレア首相に話した内容は質が違う。首相失格発言だ」と切り込み、拉致されたとされている横田めぐみさんの父親と電話で話したことを紹介しながら、「交渉ごとが表に出てしまったら解決策には使えない。ご家族に対してどんな釈明をするのか」と非難した。

 ところが、森首相は「鳩山さんは何か勘違いされている。この話は初めてではない。平成9年の与党訪朝団の交渉の中で話が出た。過去の話だ。秘密のことでもなければ外交機密でもない。中山正暉氏もテレビや新聞などで発言しており、何も新しいことではない。当然周知の事実だ。なぜ叱責されるのかわからない」などと、問題の重要さを全く認識していないかのようだった。

●裏話をぺらぺらしゃべる森首相

 鳩山代表がさらに、「首相の発言の重さを考えてほしい。それなら、政府の答弁、見解がくるくる変わるのか。はじめは党の見解といい、数日たったら中山氏の個人的見解と官房長官が発言、中山氏が抗議したら、また変わった。極めてあいまいな話だ」と説明を求めると、森首相は「私の話は首尾一貫している」と開き直り、「私は当時の(与党訪朝団の)責任団長だった。拉致問題が話題になったとき、(北朝鮮側から)この問題はここで話すのは適当ではないと言われ、席を立たれかけたので、これを押しとどめて中山氏がこういう話でどうだろうかと持ちかけた。副団長の発言を私も同席して承知していた」と弁解、野党委員席からは「そういう裏話をぺらぺらしゃべるな」とのヤジが飛ぶと、森首相は一瞬気色ばみ、「裏話とは何だ」と凄んでみせた。

 鳩山代表は「答えになっていない。中山氏の個人的見解でないのなら、中川官房長官はうそをついたことになる」「プライベートの問題や交友問題でも国会でうそをついている中川長官の罷免を求める」と迫ったが、森首相は「官房長官は発言を取り消しおわびしている。私も帰国した早々で正式に話し合いができなかった」とした一方で、「私自身は全くぶれていない。この問題の当事者だったから一番承知している」と胸をはった。

●事の重要性を理解できない首相では不安

 「今回森首相が発言したことで、拉致事件としても行方不明者の問題としても解決できない状況になってしまった」と鳩山代表が追及したが、「解決できなくなったと結論を言うが、交渉事だし、拉致問題はテーブルに上っている」と楽観的な見方を森首相は示し、さらに「鳩山さんは拉致されたと言われる人を助けるのと、正常化とどちらが大事なのか」と反論した。しかし、鳩山代表は全く動じず、「北朝鮮の問題は拉致事件、食糧支援、領海侵犯、ミサイル、戦前の日本が犯した問題をパッケージにして戦略性を持って答えを出さねばならない。森首相の発言には、全くの戦略性が見られない」と逆に切り返し、「首相の発言は3つの罪で国益を損じた。北朝鮮との交渉のカードを失った。欧米からテロ、脅迫に無原則に妥協してしまう国だと冷笑される。外務省からも、こんな首相に他の国のリーダーとさしで首脳会談をされたらかなわないとの声も聞こえてくる」と、自分の責任を全く感じていない首相の認識をただした。

 しかし森首相は「どうしてあなたがそんなことを明確にいえるのか。首脳同士でいろいろな過去のことやさまざまな苦労話をすることは極めて大事」とあくまでも脳天気、あとは抽象的な決意表明をまくしてたてた。

 最後に鳩山代表が「イギリスやドイツが北朝鮮との国交樹立に意欲を示し、オルブライト米国務長官が訪朝する状況の中で、日本だけが取り残されるとの焦りがこのような行動に出ているのではないか。首相の親書問題も同じ。ことの重要性を理解できない首相がこのまま続けることは、日本中に心配を与える」と指摘したのに対し、森首相は「私は極めて冷静沈着だ。よく資質にかけるといわれるが、こんなことに過敏な反応をして騒ぎ立てる方が、党首として資質に欠けているのではないか」と開き直って、討論を終えた。



こんな首相を抱えることこそ国益の損失
鳩山代表が会見で

 鳩山代表は、党首討論を終えた後、国会内で記者会見し、森総理が答弁の最後で「こんなことに過敏に反応するとは」と述べたことに対し、「非常に些細なことだという思いがあるとすれば、事の重大さに一切気がついておられない総理に対し、その資質を問わなければならない。そうした経緯もあって、お辞めになるべきと申し上げたのだ」と説明した。

 また鳩山代表は、討論の中で指摘した総理の発言によって損なわれた国益について改めて言及し、「ブレア首相に話したことによって、まさに第三国を通じての解放という可能性が消えてしまった」と指摘。「拉致された方々のご家族からは悲しまれ、北朝鮮からはあなどられ、欧米からは冷笑され、外務省からは困惑し・バカにされるような総理を、日本がかかえている現実は、大変な国益の損失だと冷静に申し上げたい」と批判をこめて述べた。



中川官房長官の疑惑に直撃質問
伊藤忠治議員が衆院本会議で追及

 政府が提出した高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(IT基本法案)の趣旨説明に対する代表質問が24日、衆議院本会議で行われ、民主党・無所属クラブから伊藤忠治議員が質問に立った。

 伊藤議員は、「ITはあくまでも手段であり目的ではない。21世紀に向けてどのような国家、社会をつくっていくのか。基本法案にはIT革命を推進する哲学、理念、国家戦略が不明確だ」と政府案を批判。民主党が今年3月にまとめたIT革命の4つの基本理念を紹介し、法案に民主党の主張を取り入れるよう提案した。また、「政府の姿勢には産業優先、強者の論理が全面に出ている」と指摘し、IT革命の陰の部分についての問題意識を法律にしっかり織り込むべきと主張した。

 また、伊藤議員は自民党との密接な関係が明らかになったKSD問題に言及し、「村上正邦参院議員が集めたと言われる自民党員のKSDによる党費肩がわりの事実関係、KSDから自民党または自民党議員に流れた資金が他にもあるのではないか」として、調査し事実を公表するよう求めたのに対し、森首相は「私の立場として改めて調査をする必要はないと考えている」と答弁した。

 さらに、伊藤議員は中川秀直官房長官に対し、「重大な疑惑が連日のように報道されている。官房長官の名誉に関わることなので、看過できずあえて質問する」と前置きし、「(写真週刊誌で報道された)中川氏の愛人が妊娠中絶する際の同意書に中川一郎の署名をし押印した事実はあるのか。報道が事実なら私文書偽造、同行使罪が成立する」と迫った。また、右翼団体・日本青年社の副会長との交友について、9月28日の予算委員会での石井一党副代表の質問に対する答弁や、小川敏夫参院議員の質問主意書に対する回答で否定したにもかかわらず、写真週刊誌でその人物との会食写真が公表されたことを指摘。「答弁や答弁書は虚偽だったのか」と追及した。

 これに答えて中川長官は、「報道されている過去の女性との交際はコメントを差し控えたい」「虚偽の署名をし押印したとの指摘は事実無根、何らかの措置を考えたい」「写真の人物とは面識がなく、いくら記憶をたどっても記憶がない。何からの会合でたまたま知らずに同席したことがあったのかも知れない」などと、あくまでも虚偽の答弁ではないと主張した。


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