民主党FaxNews No.346 2000年10月27日(金) | 戻る/ホーム/News目次 |
[CONTENTS] (1)非拘束名簿方式の公選法改正案が成立 (2)暗黒の木曜日・政治改革の道筋に逆行〜熊谷幹事長代理で会見 (3)民主党の追及受け中川官房長官が辞任〜森内閣の疑惑隠し、今後も追及 (4)証拠の会話テープ突きつけ、辞任に追い込む〜仙谷、長妻両議員 (5)ヒト胚等の作成および利用規制法案を議員立法で提出 (6)民主党「政・官・業癒着監視隊」が情報提供呼びかけ |
参議院比例区への非拘束名簿方式導入などを盛り込んだ公職選挙法改正案が、26日の衆議院本会議で、民主党など野党の反対にも関わらず、与党の賛成多数で可決・成立した。
法案の採決に先立ち、民主党など野党4会派は、25日の衆院倫理・選挙特別委員会で正常な採決が行われなかったことに野党が抗議を続けているにも関わらず、同日夜の衆院議院運営委員会で、強引に26日の本会議日程を与党のみの賛成で設定したことについて、「慎重かつ公正な運営が保たれない」として、藤井孝男衆院議運委員長の解任決議案を提出した。
本会議では、今田保典衆院議員(議運委理事)が登壇し、決議案の趣旨説明を行った。今田議員は、公選法改正案の強引な扱いに対して「国民の参政権にかかわり、議会制民主主義の根幹にも関わる極めて重要な法案に関してのこのような態度は議運委員長の重い職責に全く背くもの」と藤井委員長を強く批判。また与野党で合意した重要法案の審議の進め方を無視して、一方的に与党単独で本会議質疑や委員会付託を強行したことを「過去これほど多くの法案についてこれほど強引な議院運営を行った委員長が存在しただろうか。信じがたい暴挙の積み重ねだ」と厳しく叱責した。その後、記名採決が行われたが、野党の賛成少数で決議案は否決された。
次に、公選法改正案が議題になり、委員長報告に続いて、民主党の佐藤観樹衆院議員が法案に反対の立場から討論に立った。
佐藤議員は、これまで長い議員生活で衆参の定数是正や衆議院・参議院の選挙制度改革などに関与してきた経験を振り返って、「今回の非拘束名簿式への改正は、与党3党の断末魔のあがきとしか見えない。選挙制度を変えないと勝てないのか。このような強引な政治手法を続けるなら、政治は国民からますます離れ、与党3党は墓穴を掘っていく」と冒頭に強調した。
反対理由としてまず佐藤議員は、与野党で積み上げてきた合意を無視して、強引な法案提出、議会運営を重ねてきた与党の姿勢そのものにあると指摘。一連のやり方について「言論の府たる国会、議会制民主主義を冒涜、破壊するものだ」と非難した。
また非拘束比例制が悪評の高かったかつての全国区選挙の再来であることも理由としてあげ、「同じ党内の候補者よりも1票でも多く取るように、金をかけ、業界・企業・役所を補助金をエサに締め上げ、自民党名簿にある候補者の票獲得にはっぱをかける選挙になる。むしろそのために制度を変えるのではないか」と述べた。さらに3つ目の理由として、いわゆる批判の強い「票の横流し」を上げ、「結果として、得票の少ない候補者が得票の多い候補者から票のお裾分けにあずかる仕組み。顔が全く見えなかった候補者でも、国民が選ばなかった候補者でも、おこぼれの結果で議席を得るという詐欺まがいのことが起こりうる」と、制度の致命的欠陥をあげた。
これらの問題点を指摘した上で、佐藤議員は、「国民はこの与党案の欺瞞を見抜けぬほど愚かではない」と述べ、民主党が来年の参議院選で勝利して日本の民主主義を守り、発展させることを表明して、討論を終えた。
与野党の討論を終え、再び記名採決が行われた結果、民主党・無所属クラブ、自由党、共産党、社民党、無所属の3名の反対190票、与党などの賛成274票で、法案は可決、成立した。
民主党の熊谷弘幹事長代理は26日の定例記者会見で、直前の衆院本会議で行われた非拘束名簿式の公選法可決について、「暗黒の木曜日として日本の政治史上に記憶をとどめられるだろう」と前置きし、「先達たちの力によって進められてきた政治改革の道を、逆流させる道筋が与党によってつけられてしまった悲しむべき日だ」と厳しい表情で語った。そして、「党利党略の法案が民主主義のルールを踏みにじる形で成立したことは、政治の将来を憂えるものにとって、実に残念なこと」と述べた。
その一方で、選挙対策本部事務総長の立場として、来年の参議院選挙について、「参議院でも与党が過半数をゆうゆうと維持することになると、次は衆議院の選挙制度も党利党略で変えていきかねない。大変な重みをもつ。日本のデモクラシーのあり様を決める決定的な選挙だ」との見方を示した。そして、「何の根拠もないのに、来年の選挙は民主党が勝てるのではないかという錯覚が流布している感もあるが、それは全くの間違い。2回の補欠選挙結果を見れば歴然だ。民意をすくい取る選挙でなければ、民主党の勝利はおぼつかない。正しい政治路線と政策を国民に発信して、選挙戦に臨んでいかなければいけない」と言葉を強め、気を引き締めた。
中川秀直内閣官房長官が27日辞任した。民主党は、今週の衆院本会議や委員会質疑で、機会を捉えて厳しく中川長官の疑惑を追及してきた。
民主党の菅直人幹事長は同日、談話を発表し、「遅きに失する出所進退と言わざるをえず、わが国の内閣の威厳が保たれたとはとうてい言い難い」とするとともに、「閣僚の辞任が免罪符となっては国民の納得は得られない」として、引き続き事実関係を追及する姿勢を示した。同時に、菅幹事長は「中川長官をかばい続けてきた森総理の姿勢は、自らの責任を明らかにしない、保身に汲々としたもの」として、任命権者である森首相を強く非難した。
また、赤松広隆国会対策委員長は27日朝、国会内で会見し、「民主党はあらゆる機会を通じて、中川長官の首を取ると公言してきたので、けじめをつけることができた」と述べた。さらに赤松国対委員長は、「これで終わったわけではない。警察の捜査情報の漏洩など個人の問題もある。また小川敏夫参院議員の質問主意書への“問題なし”とする回答への森内閣の責任はどうなるのか」と述べ、「森政権そのものの疑惑隠し、いい加減さを引き続き追及していきたい」と意欲を示した。
26日の衆院内閣委員会で、民主党の仙谷由人、長妻昭衆院議員が質問に立ち、中川秀直官房長官をめぐる疑惑を直接本人にただした。この追及と、中川長官の会話テープがこの日夜テレビ各社で報道されたことが、辞任の引き金になった。
最初に質問した仙谷議員は「官房長官は全世界へ向けて情報を発信するスポークスマン。そのスポークスマンが、与党内からもさえ"うそつき三羽がらす"などといわれ、疑念を持たれたままだと、日本からの発信情報は信用力をなくす」と指摘。
その上で、まず、中川長官に平成8年10月14日に送り届けられたとされる内容証明郵便の問題を取り上げ、右翼団体幹部との交際疑惑について質問。それに対し中川長官は、「私も相当に若いころの話。大勢で会食したなかに、その滑川さんなる人物もいたのかもしれないが、記憶にない。内容証明の内容も事実無根」と答弁した。
仙谷議員は「普通の人なら、写真を見たりする中で、だんだんと記憶が甦ってくるもの」とたたみかけたが、中川長官は「知らない、甦らない。会った方を全部覚えているのはむずかしい。こういうお顔の方だと鮮明な写真をご提示くださらないと、甦らない」と突っぱねた。
また、「選挙も票の買収までして協力したと内容証明郵便にはあるが、事実か」と仙谷議員が続けても、「根拠を示せ、事実無根」と繰り返すだけだった。
弁護士でもある仙谷議員は「私の経験からすれば、弁護士や警察などしかるべき専門家に相談し、しかるべき解決法をとるのがのぞましいはず。常識的に納得しかねない」と、官房長官の答弁のあいまいさを指摘した。さらに「事実の尊卑を取り上げて議論したいわけではない。記者会見、国会答弁において“事実ではない”とコメントしておきながら、次々に新事実があらわれる。虚偽答弁によって、官房長官の発言の信用力が毀損することを危惧しているのだ」と言葉を強めた。
続けて質問に立った長妻昭議員は、「覚醒剤取り締まりの警察の捜査が入るという情報を交際のあった女性に流したか?」と、警察の捜査情報をろう洩したとされる報道の真偽を訪ねたが、中川長官は「きちんと裏付けを取っているのか」「こんなことを国会の場でコメントするのは遺憾」と述べ、正面から答えようとはしなかった。そこで、長妻議員は、95年に録音したとされる中川長官と女性との会話テープの内容を読み上げ、「委員会へテープを出せるようお取りはからい願いたい」と委員長に申し入れた。
また、写真週刊誌で交際があったとされている女性が中川長官の自宅の寝室で取ったという写真が公開されていることについて、中川長官は「運転手が女性に頼まれて自宅に案内した。写真は誰が撮ったかはわからないが、私ではない」と釈明した。
長妻議員は「官房長官自身、テープをいずれ聞くことになる。ちがう、ちがうだけでなく、具体的な説明をして、出処進退を明らかにしてもらいたい」とし、質問をしめくくった。
中川長官は27日の辞任表明後の記者会見で、「(電話した)女性にうわさがあり、注意しなければならないと思い、(警察の)名前を出して注意した」と述べ、このテープの声の主が自分だったことを認めた。
民主党は26日のネクストキャビネット会議で、民主党人クローン問題PTでまとめた「ヒト胚等の作成および利用規制法案」を了承し、同日衆議院に提出した。
胚とは、女性の子宮内に戻したときに胎児へ成長し、子どもとして生まれてくる可能性のある成長初期段階の細胞の集まりのこと。クローン技術の発達で、人為的にさまざまな組み合わせが試され、ヒトと動物を掛け合わせたような生命が作られる可能性がでてきたことから、人の尊厳の保持と生命倫理上の観点から必要な規制を加えるために法案づくりが進められてきた。
政府案は、バイオの分野の商業利用促進をめざして抜け道が多いことから、民主党案では、生命科学と生命倫理の調和をはかり、まずやるべき基礎研究を徹底的に行って、安全性を確立した後、徐々に規制対象を緩和していく内容になっている。
具体的には、民主党案はヒト胚を「生命の萌芽」としてとらえ、人間の尊厳と生命、身体の安全の保持に重大な影響を与えるものとして法律による規制を設けている。政府案では法律に基づく指針で届出制になっている「人クローン胚等の研究」を、法律で規制した許可制にした。
民主党の「政官業癒着監視隊」(隊長=石井紘基衆院議員)が本格的に活動を開始、27日から身近な政官業癒着の情報提供を呼びかけている。
自民党はこれまで補助金や公共事業の配分をエサに、業界ぐるみ・役所ぐるみでの選挙を各地で展開し、強い批判を浴びてきたが、今回成立した参院比例選挙への非拘束名簿方式導入で、その傾向はいっそう強まろうとしている。来年の参院選の自民党候補予定者の顔ぶれを見ても、農水省、建設省などの官僚OBがずらりとそろっている。
そこで民主党の政官業癒着監視隊は、(1)政・官・業の構造的癒着の調査(2)公金を使っての役所・公益法人の政治活動、選挙活動の監視(3)公正な選挙運動の推進のため、国民各層からの情報提供と協力をいただく窓口として、民主党ホームページに「世直しサイト」を設けた。
下記の郵便、FAX、メールアドレスで、政官業の癒着の実態や、役所や公益法人関係者から政治活動や選挙運動を半強制的に依頼される具体的な事例について募集している。
【郵便】〒100-8981
東京都千代田区永田町2-2-1 衆議院第1議員会館319号室
「民主党政官業癒着監視隊」石井紘基事務所
【FAX】 03-3508-3319
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