民主党FaxNews No.362 2001年2月6日(火) | 戻る/2月目次 |
[CONTENTS] (1)「ザ・自民党」こそ日本の危機の元凶=鳩山代表が代表質問 (2)<K>金で<S>政治家を<D>抱き込むKSDで自民党は総汚染 上田清司議員が鋭く追及 (3)森首相の辞任こそ危機脱出の道=久保参院議員会長が代表質問 (4)諫早湾の潮受堤防の水門開放を〜菅幹事長が谷津農相に申し入れ (5)水島広子議員の懐妊受け衆院規則で「産休」明記へ〜民主党が提案 |
衆議院本会議で5日と6日、参議院本会議で6日、それぞれ森喜朗首相らの施政方針演説に対する各党の代表質問が行われた。衆議院ではトップバッターとして民主党の鳩山由紀夫代表が登壇、民主党の政権構想を示しながら、自民党・森政権の失政や腐敗ぶりを厳しく攻撃した。
鳩山代表は、冒頭、インドにおける大地震の被災者の方々、ならびにJR新大久保駅
で人命救助のために亡くなったイ・スヒョンさん、関根史郎さんに、深く哀悼の意を表した。
続いて、今日の国民生活を覆う不安な状況をもたらした原因について総理に質し、バブルを煽りながら、その崩壊のツケを国民に背負わせた政財界リーダー、とりわけ当時総理を務めた2人の閣僚の責任を追及した。
次に、KSD事件について、「中小企業経営者から預かったお金に群がり、政官業癒着のパイプを使って巨額の利益を得るという悪質な詐欺行為だ」とこれを断罪。「もはや一人ひとりの政治家の倫理の問題にとどまらず、自民党政治そのものの腐敗の問題だ」と厳しく指摘した。その上で、真相究明のために、小山孝雄前参議院議員、村上正邦参議院議員、額賀福志郎衆議院議員らの証人喚問要求に応える用意があるかを質した。
機密費横領事件については、外交、官房両機密費が今後も本当に必要なのかどうかを徹底議論すべきだと指摘。河野外相には、先に発表した外務省の調査報告は真相解明にはほど遠いとし、新たな事実が明らかになった場合は、辞職して責任をとるべきではないか、と詰め寄った。
行革をめぐっては、今回の省庁再編で霞ヶ関の権限削減や公益法人全廃などは行われず、公務員制度改革に手がつけられなかった理由を追及、大胆な権限と財源の移譲による分権改革の断行を求めた。
さらに、「完全に復活する体制を整えつつある」といった森総理の現実離れした経済情勢認識の根拠を問い質し、欠落している財政構造改革および財政健全化への具体的な構想を質した。
有明海のノリ養殖被害問題では、諫早湾干拓事業の失敗を認め、直ちに水門を開けるよう要求。年金制度改革では、基礎年金の全額国庫負担による安心な制度を確立する意志があるかを追及した。
また、与党内で衆議院の選挙制度を中選挙区制に戻そうという議論がなされていることに対して、これを「ご都合主義」と弾劾、とりわけ坂口厚生労働大臣に、公明党の結党の精神を忘れたのか、と考えを質した。
そして最後に、鳩山代表は、人間と自然、環境と経済とが「共生」する21世紀の新しい社会の展望を訴え、その実現に向けた最初の仕事として「ザ・自民党」政治を終焉させるという決意を述べて、代表質問を締めくくった。
答弁に立った森首相は、バブル以降の経済運営について、「“最後の10年”は難しい時期だった」などとしながら、構造改革に取り組んできた結果、現在はゆるやかな改善を続けている、といった具体性のない認識を繰り返した。
KSD問題をめぐっては、「遺憾であり、お詫びする」と述べながらも、自民党政治の問題というのは不当な指摘だ、などとした。また、関係者の証人喚問要求については、「議院運営の問題なので」と明答を避けた。
機密費横領事件では、「真相解明を待ち、問題が明らかになれば必要な対応をとる」などと、後ろ向きな態度に終始。議場から怒号を浴びた。
また、有明海問題では、直ちに水門を開けよという地元漁民を始めとした要求にもかかわらず、3月末までに「緊急調査」、その後13年度中かけて「本格調査」などと、対処の先延ばしとも言える調査計画を明らかにするにとどまった。
さらに選挙制度問題でも、「完全な選挙制度というものはない」「現行制度を頑迷に守るものではない」などと述べ、さらなる制度改悪に含みを残した。
また、機密費横領事件に関連して答弁に立った河野外相は、可能な限り調査し、抜本的な再発防止に取り組む、と述べるにとどまった。
選挙制度問題で答弁に立った坂口厚生労働相は、かねてから中選挙区制を主張してきた公明党の微妙な立場を反映し、「民意に沿ったものであることが必要」などと具体的言及を避けた。自民党の腐敗政治に与するのか、という追及に対しては、「腐敗を許さず、清潔な政治を実現するというのが公明党の一貫した姿勢」としつつも、政治の現状については「偏見を持たない冷静な議論」が必要などと、煮え切らない態度だった。
5日の衆議院本会議で、鳩山由紀夫代表に続き、上田清司衆議院議員が、民主党・無所属クラブを代表して質問に立った。
上田議員、KSD疑惑を取り上げ、総額20億円以上がKSDから政治家や自民党に支出されたとして、有名女性演歌歌手の歌謡ショーチケットを400枚(200万円相当)を手にし、翌年の衆議院選でも10万円の陣中見舞いを受け取ったとされる森首相自身に、事実関係の説明を迫った。
首相は、「地元事務所が人集めの手伝いをしたのは明らかだが、枚数はわからない」とし、寄附は政治資金規正法上の適正な処理を行っているとした。
また、ものつくり大学を推進する「国際技能工芸大学設立議連」には元・現首相から現職閣僚、自民党最高幹部までが顔をそろえており、まさにKSDに総汚染されているように見えると分析。さらに「施政方針演説にまで一民間人の私立大学構想が挿入されていたことは不自然」「自前の資金が3億8000万円、労働省が85億円負担では私立大学に値しない」と問いただした。
さらに、上田議員が、額賀前経済財政大臣の辞任について、森首相の任命権者としての責任を質したのに対し、首相は「閣僚辞任は結果として遺憾、国民に申し訳なく思っている」と陳謝した。
上田議員はまた、KSDの会員勧誘に金融機関が関わっている事例を指摘。「KSDがその事業目的を達成するため、カネをバラまき、政界・官界を工作してきた構図がみえる。KSDの『K』はカネ、『S』は政治家、『D』は抱き込む、KSDの別称は『カネで政治家を抱き込む』ことだ」と、言葉を強め、「金額も人数も、リクルート事件以上の疑獄事件だ」として、真相究明を首相に重ねて求めた。
質問のテーマは外務省機密費問題に移り、上田議員は「外務省調査は個人の犯罪と矮小化している」と批判。松尾氏のすべての銀行口座を調査するよう迫った。そして、「個人の犯罪でなく外務省ぐるみだと判断すれば大臣として責任をとるのか。着服した公金は外務省機密費なのか内閣官房機密費なのか明らかにすべき」と森首相と河野外相の見解を求めた。
首相は「機密費は内政・外政を円滑に推進する上で不可欠な経費。使途は明らかにすべきではないが、運用については総点検し、厳正かつ効果的な運用に意を用いていく」として、外務省に十分な調査を指示したと答えた。
上田議員は「金融問題を中心とする経済政策の失敗の10年を正しく総括しない限り、失われた10年は20年になる」と述べた上で、かつて日本経済の舵取りの主役であった首相・蔵相経験者である、橋本行政改革担当相、宮沢財務相の二人に「日本のバブルの後遺症は解消されたか」と迫った。
宮沢大臣は「かつてのような金融機関の健全性を欠いているのは事実だが、かつてのジャパン・プレミアムのような問題を生ずることは解消した」とした。橋本大臣は「バブルの後遺症は解消の方向に向かっており、金融機関においても不良債権に対する必要な手当てを行っている」と述べた。
続けて、上田議員は、昨年刊行された「犯意なき過ち−検証バブル」(日本経済新聞社)に掲載された宮沢財務相のインタビューを問題視。宮沢氏はこの中で、「野党の若い諸君が法律をつくって、日本長期信用銀行をつぶした。(中略)大銀行をつぶすのはエキサイティングなことだったんでしょうな、きっと」などと、旧長銀破たんの原因が野党にあるかのような発言をしている。
上田議員は、「みずからの無能無策ぶりを省みず、我々を愚弄するとは絶対に許せない。宮沢大臣は大臣失格。いますぐ辞表を提出してほしい」と激しい口調で詰め寄った。答弁で財務相は「おわびして撤回したい」とあっさり引き下がった。
上田議員は、最後に、改正住民基本台帳法による国民総背番号制は、政府が国民を管理する社会システムを生む、として、これを廃止するよう求め、いったん質問を終えた。
その後、閣僚の答弁に対し、上田議員は再質疑を要求。再び登壇し、外務省機密費の問題について河野外相に「なぜ他の口座についての調査ができないのか」「機密費がほとんど使い切られているが、“当面の任務と状況に応じて機動的に使用される経費”である以上、本来は年によってはバラツキがあるはず」とさらに追及した。
河野外相は「外務省には強制捜査権がない」との答えを繰り返し、他の機関の捜査を待つとした。また毎年機密費を使い切っている点については「とりわけ近年は外交に力を入れている。国際情報を収集する上でもっと必要なくらい」と半ば開き直りながら答えた。
民主党の菅直人幹事長は5日午前、佐藤謙一郎環境農水ネクスト大臣、古賀一成、原口一博両衆院議員とともに農林水産省に谷津農相を訪ね、有明海のノリ被害の原因究明のために、諫早湾の潮受堤防の水門開放を求める申入書を手渡した。
申入れの内容は、(1)ノリ被害の原因究明の潮受け堤防の水門を開き海水を干潟に戻すことにより行うこと(2)昭和62年に交わされた九州農政局と佐賀・福岡・熊本の各県漁協との確認書に基づき、有明海の水産業の被害や支障について直ちに協議を開始すること(3)漁民の就労の確保や各種の経済的支援など、漁業者の生活を守るための必要な措置を講ずること−−の3項目。
申し入れを受けた谷津農相は「漁民も入った検討委員会を作り、そこで調査項目に入れてもらえば水門を開放し海水を干潟に戻す形の調査も実行する」と前向きの発言。しかし大臣の横に座っていた水産庁長官は「調査は3月から」とは言ったが、水門開放には一切触れなかった。
翌6日に党本部で開かれた有明海漁業被害対策・諫早湾干拓見直し本部の会合で、本部長の菅幹事長は「農相は前向きな姿勢だったが、しかし代表質問での森首相の答弁は、結果公表は9月末というものだった。この総理答弁を盾に農水省の官僚は水門開放を阻止するつもり。官僚の常套手段だ」と述べ、これに負けずに取りくみたいと意欲を示した。この日の対策本部では、ノリ産地支援と、公共事業見直しの気運を高めるために、都市住民を巻き込んだ運動を展開することや、立法、科学的な調査・研究、過去の経緯の検証、補償問題について、それぞれ担当議員を決めて取り組むこと
を確認した。
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