民主党FaxNews No.364 2001年2月9日(金)
戻る
/
2月目次
編集・発行=民主党広報委員会 TEL.03-3595-9988 FAX.03-3595-9922
衆院予算委で菅幹事長が質疑
政府の3K(KSD・機密費・経済政策)を追及
衆議院予算委員会で8日、森首相と全閣僚が出席して基本的質疑が行われ、民主党の菅直人幹事長が3時間にわたって、閣僚と議論を闘わせた。
●経済政策
菅幹事長は、まず、日本の現状と改革の方向性について議論したいとし、経済状況をめぐる認識を中心に閣僚を追及した。
首相がダボス会議で「バブルの負の遺産を解消し、完全に復活する体制を整えつつある」といった演説を行ったことについて、菅幹事長は累積債務が減っていないことやGDPの伸び率がマイナスになったことなどを挙げながら、「現実とはまったく逆の認識だ」と批判した。
これに対して森首相は、すべてが順調ではないが、回復軌道に乗せるために懸命の努力をしているという意味だった、と釈明した。
また菅幹事長は、1986年から2000年までの間に国・地方自治体の債務が225兆円から666兆円に膨張したことを挙げ、この期間の大部分の経済政策に責任をもっていた宮沢財務相に、「この15年間の経済政策は失敗だったのではないか」と詰め寄った。
宮沢財務相は「一生懸命やったが効果がなかったものもある。別の方法があったのではと言われれば、そうも言える。責任がないとは言わない」と、煮え切らない答弁に終始した。
さらに、菅幹事長は、短期間に財政赤字を削減し、経済の活性化を成し遂げたイタリアの例を挙げて、景気対策や日米貿易黒字削減など、財政に過大な負担をかける政策が誤っていたのではないかと指摘。
これに対して森首相は、「景気への即効性という意味で、財政出動はやはり有効」という認識を披瀝。菅幹事長は、巨額の債務が残り、金利がゼロに近い状況だから金融政策が使えないというのが現在の姿。そもそも“即効性”という考え方でやり続けてきたことの結果、こうなったのではないか」と一喝した。
関連して、菅幹事長は、金融機関のペイオフを再延期するという議論が自民党内で出ていることに触れ、柳沢金融担当相に考えを質したが、柳沢大臣は「延期はない」と明言した。
●有明海ノリ被害・諫早湾
次に、有明海のノリ被害について、菅幹事長は「諫早湾の水門を開けて調査するべきだ」と求めたのに対し、谷津農水相は「予断を持たない徹底的な調査の結果、水門を開けて調査する必要があれば、開けて調査する」と答弁。
さらに、菅幹事長が「満潮時に水門を開けて海水が入る状態に何度か戻せば、干潟の浄化作用が生き返ってくる。その状態にして調査すべき」と提案したが、森首相は「干潟を大事にすることも文化だが、長い間続いた山間の急傾斜地にある農村を守ることも文化ではないか」などと、的はずれな発言を繰り返した。
●機密費疑惑
続けて、外務省の機密費疑惑に話題を移した菅幹事長は、まず福田官房長官に官邸での現金の受け渡し経路について事実関係を確認。長官は、官房長官の決裁を経て、首席内閣参事官(当時)が指示し、最終的には首相秘書官付きの首相官邸職員が直接、手渡していたことを明らかにした。
その上で、長官経験者でもある河野外相に在任時のことを明らかにするよう求めたが、外相は「一切公表しないと引き継いでいるので、申し上げられない」などと逃げ腰の答弁に終始。
ところが、菅幹事長が被害額の確認の質問をしたところ、福田長官は「正確には申し上げられない。おそらくそうだろうと推測できる」と答弁。「被害届を出したんでしょう」と菅幹事長が食い下がると長官は、「外務省の告発に基づいて被害届を出した」「内閣官房では犯罪の事実を確認できない」などと分かりにくい説明を繰り返した。
この答弁にあきれた菅幹事長が、事件解明のために外務省の告発状と内閣官房からの被害届の写しを委員会に提出するように求めたのに対し、福田官房長官はいったん「委員長の許可の上、出したい」としたものの、その直後に秘書官に耳打ちされて、すぐに「捜査の支障になるので、出せない」と前言撤回。河野外相も提出を拒否したため、委員会理事が委員長席につめより、審議は中断した。
この姿に菅幹事長は激怒し、「こういうやり方は、あまりにも不透明だ。結局、元室長の個人的な犯罪という形に閉じこめたい、外務省の組織的な隠蔽が背景に感じる」と声を荒げた。
河野外相は「外務省の懸命な内部調査がご理解いただけないのは残念。これ以上は捜査当局による解明が一番」と開き直ったが、菅幹事長は、厚相在任時の薬害エイズ解明を例に出し、「国民に代わって指揮監督するために大臣がいる。告発だけですむのなら、大臣をすぐやめるべきだ」と厳しい口調で詰め寄った。しかし外相は「私は外交の責任者だ。捜査の指揮まではとれない」と居直るばかりだった。
●KSD疑惑
続いて、KSD汚職事件を追及した菅幹事長はまず、「KSDが会員の承諾なしに、自民党入党手続きをしたのは、有印私文書偽造罪はないか」と迫った。
森首相は「菅議員は決め込んでからそうしたたたみ方をする」と不快感を露にし、「ニセかどうかはその当時は把握できなかった」と答えた。すかさず菅幹事長は「当時はわからなかったが、現在は明らかになった。総裁として調べるべき立場にあるはずだ」と皮肉を込めて指摘。入党手続きに問題があるという認識はないのかと重ねて質した。
森首相は「支部も党本部も把握できる立場にない」とし、「幽霊党員だという指摘が出たので、今まさに調査している」と開き直りともいえるコメントを繰り返した。菅幹事長は、「正規の党費といえないものを十数億円も受け取っているのなら、その扱いはどうするのか」「調査してニセ党員だとわかったらどうするのか」とたたみかけ、党内で議論して決めると答弁した森首相に対し、「KSD会員の会費を違法に受けたことがわかっても党内論議だけで、ネコババしてもいいということか」と激しい言葉を投げた。
これには森首相も「ネコババとは聞き逃せない」と気色ばんだが、「本人の意思に関係なく入党申込書が出された例も含まれていたとの指摘もあるので、道義的な観点で調査したい」とした。菅幹事長はさらに「返却すべきだ」と迫った。
続けて、小渕前首相が平成12年の施政方針演説でものつくり大学に言及した件について、最初のとりまとめの段階で当時の労働省はこの言葉を入れるよう要請されたかと質問。坂口力厚生労働大臣は「労働省から出した書類には入っていない」とした。
それを受けて菅幹事長は、草案づくりに当時官房副長官だった額賀前経済財政担当相がかかわっていたかを福田官房長官に確認。「検討会に出席していたことは確認している」との説明に、「ではこの言葉が入った経緯はだれならば把握しているか」と重ねて質問。閣僚は誰も手をあげず、見かねた野呂田委員長が首相に答弁を促し、首相は「額賀氏は直接関与していなかった」と答弁した。だが、菅幹事長は「首相はその場にいなかったのに、納得できない。額賀氏本人に答えてもらうしかないのではないか」として、額賀氏の証人喚問を重ねて要求した。
●非拘束名簿、教育の理念
菅幹事長は、参院選比例代表選挙の非拘束名簿式の問題点についても追及。「同じ非拘束名簿式であっても党名を書くようにすべき」として、場合によっては個人名の印象だけで選ぶこともあるので、個人名の記入だけで党を選ぶという方法は票の横流しだ、と批判した。
最後に菅幹事長は、教育問題についての森首相の発言に対し、「ひとつの価値をもつことがいいことだと言っているように受け取れる」と指摘。「個々はちがっていて、ちがった考え方・見方をするそれぞれが、いかにコミュニケーションをして、社会生活を送れるか。同じだからいっしょに社会生活が送れるのではなく、ちがっていてもコミュニケーションがとれる。そうした能力をつけることが、教育のひとつの眼目だ」と、自らの考えを力強く提示して、長時間の質問を締めくくった。
民主党広報委員会
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-1
E-MAIL
info@dpj.or.jp (office)
URL
http://www.dpj.or.jp
民主党FaxNews No.364 2001年2月9日(金)
戻る
/
2月目次