民主党FaxNews No.366  2001年2月14日(水) 戻る2月目次

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[CONTENTS]
(1)今国会初の党首討論 実習船事故の首相対応に批判集中
  「国民の怒りは沸騰している」―鳩山代表
(2)ゴルフ続けた首相に国民の悲痛な叫び届いているのか〜鳩山代表が会見で批判
(3)行方不明者救出・沈没船早期引き上げを米大使館に申し入れ


今国会初の党首討論 実習船事故の首相対応に批判集中
「国民の怒りは沸騰している」―鳩山代表

 この通常国会で最初となる党首討論が14日、参議院第1委員室で開かれた。野党側のトップバッターとして立った民主党の鳩山由紀夫代表は、主に宇和島水産高の実習船と米海軍の原子力潜水艦との衝突事故に対する森首相と首相官邸の危機管理体制や、外務省機密費横領事件について、首相のリーダーシップの欠如を厳しく追及した。

●首相に国民の生活と安全を守る自覚ない

まず鳩山代表は、「ハワイ沖で米原潜と実習船衝突事故が発生した時、事態が進展しているのに首相がゴルフ場でクラブを握って離さなかったことに国民の怒りは沸騰している。首相は危機管理をどう感じているのか。野党はもちろん与党の中にも責任論、首相交代論が起きている。一連の行動で政治的責任を感じているのか」と口火を切った。

これに対して、森首相は紙を見ながらうつむき加減に「指摘通り横浜(のゴルフ場)にいた。秘書官から第一報、第二報を受け、情報収集と米側に人命救助に最大限の協力を要請するよう指示した。事態が進んでいるのでしばらくこの場にいた方がいい、連絡をきちんと取るために、この場所にいることが間違いないと判断した。政府としては万全の遺漏ない措置を確実に取った」などと5分近くも長口上。

 鳩山代表はすかさず「総理の答弁が長ければ長いほど国民はあきれかえる。首相は今回の衝突事故は危機管理ではなくて事故だと言った。そんな認識だから平然と片手でパター、片手に携帯電話で連絡を取るようなことをしたのではないか。危機管理でないのか」と切り込んだ。

 しかし、首相は「今回は海難事故だ。ただ相手、場所が米国だったので、交渉できる対応・態勢はきちんと取った、その点は何ら遅れていない。問題は私のいた場所だが、対応とは切り離してほしい。国民の批判があるのは十分承知している。その場所にいたことが悪いと言うならその責任を甘受しなければならない。しかし、情報伝達の態勢をしっかり取ったということの方がより大事なことと考えている」と、あくまで落ち度がないという態度。

 さらに、鳩山代表は「日本国民の命がかかわっているなら危機管理の問題という認識を持たなければいけない。首相が単なる事故だと言い、一報を聞いた後も何ホールも回った神経が全く分からない。愛媛県立宇和島水産高校の関係者、家族に謝罪すべきだ」と語気を強め、首相に迫った。

 しかし森首相は、「全体の責任者は情報をしっかり取って的確に指示をすることであり、行動することではない」などと述べ、ゴルフを続けていたことについては、はぐらかし続けた。

 鳩山代表が「あなたが国民の生命と財産を守る最高責任者なんですよ。その自覚がないんじゃないか。ブッシュ大統領にもあなたから電話するべきだったのではないか。電話をもらい、それで事たれりとしてはいないか。国益を担っていることを十分に肝に銘じていただかなければ困る。首相としての立場をわきまえて、これから毅然とした対応をしてもらいたい」とさらに詰め寄ったが、首相は「私は最大限の努力をお願いしている」などとするだけで、議論は平行線のままだった。

●機密費解明に首相のリーダーシップを

 続いて、鳩山代表は外務省の機密費横領事件にテーマを移し、「ホテル代の差額が機密費なのか、外務省の局長の飲食費が機密費なのか。外務次官は無制限に使っていいとか、国民の税金が野放図に使われている。これらもすべて機密費なのか。あまりにもずさんだ」と指摘。さらに、「外務省の組織ぐるみの事件である疑いが強い。松尾克俊元外務省要人外国訪問支援室長の金が同省幹部に渡っている。元室長が持つ9つの銀行(と郵貯の)口座の2つしか解明されていない。(解明に向け)首相はリーダーシップを発揮すべきだ」と迫った。

 これに対し、森首相は「捜査権限を持つ警察に捜査させることがより確実性がある。私どもはリーダーシップを発揮し、司司で責任を果たすよう指導している」などと、行政の長としての自らが解明の先頭に立つといった姿勢は示さなかった。

 鳩山代表が、「総理の手で判明させてほしい。外務省の組織ぐるみの犯罪だから外務省はできない。総理ができないと言うのなら、残りの7つの口座の解明に、国政調査権の発動をするよう合同審査会長に取り扱いを要請したい」と提起した。堀之内久男合同審査会長は「合同幹事会で協議する」と答えた。      

 最後に鳩山代表は「首相は事実を隠ぺいし、逃げに逃げている。首相自身の命が永らえ民主主義が殺されたらどうするのか。首相の資質が問われている」として、疑惑解明への首相のリーダーシップの発揮を重ねて求めたが、森首相は「私は民主主義を最も大事にしている。だからこそ細川(護煕)内閣から続いてきた不祥事とすれば、私の代でしっかり解明したいと思っている」と述べるだけだった。



ゴルフ続けた首相に国民の悲痛な叫び届いているのか
鳩山代表が会見で批判

 民主党の鳩山由紀夫代表は14日、定例記者会見を行った。直前に行われた党首討論について、「国民の悲痛な叫びがどこまで届いているかわからない。極めて空虚な答弁が長く続いた」と感想を述べた。また「制約時間のなか、意味のない話で時間をとるのが首相としてはベストな戦法なのだろう」と不快感を示した。

 さらに、「事故の一報を受けてもゴルフを続けるとは、どう考えても危機管理意識も、総理としてリーダーシップを発揮する意識も乏しかったことは明らかだ」とし、
「私にとっても納得できない答弁であったが、国民がどう受け止めたかと思うと、非常にさびしく感じる」と述べた。

 また、外交機密費疑惑については、森首相の逃げの姿勢を改めて批判。党首討論で要請した国会法第104条による国政調査権の発動へ、自民党など与党側の積極的な協力を期待したいと語った。



行方不明者救出・沈没船早期引き上げを米大使館に申し入れ
党対策本部の伊藤本部長・五島事務総長

 民主党の「宇和島水産高校実習船衝突沈没事故対策本部」の伊藤英成本部長(ネクスト外交安保大臣)と五島正規事務総長が13日、アメリカ大使館を訪ね、フォーリー駐日大使にあてた申し入れ書を手渡した。

 申し入れの内容は、(1)9名の行方不明者を一刻も早く救出するようあらゆる措置を講じること(2)沈没した「えひめ丸」の引揚についてあらゆる手段を講じること(3)日本政府との連携を密にし、事故処理に関する情報の提供について万全を期す(4)徹底的な事故原因、責任の所在の解明と、結果の公表(5)生徒達はじめ関係者の心のケアも含む被害者対策(6)潜水艦の訓練のあり方などについての再検証――の7項目。

 大使館側は、大使不在のため、ラフルアー公使、クルーズ駐在武官(海軍大佐)らが応対した。

 伊藤、五島両議員が「今後の対応次第では日米関係に影響する。何よりも発見されていない9名について全力で取り組んでほしい」「深海での作業で、技術的な問題もあろうが、関係者の目に見えるようにしてほしい。情報も徹底的に公開してほしい」などと要望した。これに対し、ラフルアー公使は「アメリカ政府はどのくらい事態が深刻か、またこの事件が悲惨で悲劇的であるかも理解している。現時点ではできる限りのことをしている。行方不明者の捜索、家族への支援もできる限りやりたい。調査結果もその都度公表していきたい」などと述べた。

 伊藤、五島両議員は、このあと、国会内で福田官房長官と会い、政府の危機管理の甘さを指摘するとともに、情報の速やかな提供や心のケアを含めた被害者対策など今後の十分な対応について、強く要請した。


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