民主党FaxNews No.368 2001年2月20日(火) 戻る2月目次

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[CONTENTS]
(1)「ゴルフ会員権の贈与税分を国庫に返還せよ」池田元久議員が森首相を追及
(2)景気回復に必要なのはきれいな政治家〜岩國哲人副代表が閣僚と論戦
(3)無責任な減税・改革先送りの寄せ集め〜五十嵐文彦議員が租税3法案で代表質問
(4)景気のためにも森政権継続はマイナス菅幹事長が会見で政権打倒の意気込み
(5)実習船事故「空白の1時間20分」を追及=松野頼久議員(2/16)
(6)野党4党、予算委員長解任決議案提出へ=強引な委員会運営に反発


「ゴルフ会員権の贈与税分を国庫に返還せよ」
衆院予算委 池田元久議員が森首相を追及

 衆議院予算委員会は19日、森首相が出席して2001年度予算案に対する質疑が行われ、民主党・無所属クラブの3名の議員が政府を追及した。

 この日の午後の質疑の冒頭、与党は、予算案採決の前提となる公聴会を27、28の両日に開催する日程案を、野党抜きで強引に採択。直後に発言に立った民主党の池田元久議員は、まずこの強行採決に抗議し、KSD事件に関わった自民党の村上正邦議員、額賀福志郎議員らの証人喚問要求に応じるよう強く要求した。

 池田議員は、また、自民党の野呂田芳成予算委員長が18日に秋田県で行った講演の中で、太平洋戦争を正当化する発言をしたことを取り上げ、真意を質した。野呂田委員長の発言は、太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んだ上で、「(戦争を)やったことでアジアの植民地政策が根本からなくなった。東南アジアを歩くと日本のおかげで独立できたと言う人がたくさんいる」などと述べたもの。しかし、野呂田委員長は、「言いたいことはたくさんあるが、委員と委員長のやりとりは慎むべきだ」などとして理事会で協議することになった。

 また、森首相のゴルフ会員権問題では、首相が16年にわたって戸塚カントリー倶楽部の個人正会員として名簿にも記載されていたことを挙げ、税法上は当然、会員権の贈与として扱われるものだと指摘。森首相は、「所有は友人の会社だ」と強弁しながらも、「国民から誤解を受けるとすれば、申し訳ない。名義ももっと早く返せばよかったのかもしれないが、ついつい失念した」などと述べた。

 池田議員はさらに、「国民は皆おかしいと思っている。約4千万円の会員権の贈与税分1200万円ほどを、進んで国庫に返還したらどうか」と詰め寄ったが、森首相は、「誤解を生んではいけないので、名義変更の手続きを取っているところだ」などとはぐらかすにとどまった。

 最後に、池田議員は、内閣支持率が一桁台に急落した最新の世論調査結果を示し、「政治家の進退は自らの責任で決めるものだ」と森首相に辞任を要求。首相は、「景気回復に向けて、予算の成立に全力を挙げたい」などと力なく答えた。


景気回復に必要なのはいい政策・きれいな政治家
岩國哲人副代表が閣僚と論戦

 19日の衆議院予算委員会で、池田議員に続いて民主党の岩國哲人副代表が政府を追及した。

 岩國議員は、まず、実習船「えひめ丸」衝突事故への政府の対応について、「危機管理とは、非常時に国民の心をしっかり掴むことだ。今回は、とても合格点は与えられない」と批判。とりわけ、ブッシュ米大統領らが「えひめ丸」を「fishing boat」 「fishing vessel」(漁船、釣り船)と呼んでいることを取り上げ、「高校の実習船であったことにとりわけ心を痛めている日本国民の心情との間にギャップがある。これを埋めるのに心を砕くのが政府、外務省の仕事ではないのか」と追及した。これに対して河野外相は、「ワシントンの大使館から米国政府あてに申し入れはした」と答えるにとどまった。

 さらに岩國議員は、今回の事件の教訓に立ち、世界一の海難事故対応体制を確立すべきと提言。森首相も、「努力したい」と応じた。

 また、経済情勢をめぐって、「この3年間に、国民が払ってきた税金と同じだけ国の借金が増えた。なぜ増えるのか、いつ止まるのか、そしていつ誰が返すのか。はっきりしたビジョンを示せ」と追及。宮沢財相は「家計消費が戻れば、ある程度の成長が可能だ。そうすれば税収も増えてくる。長いプロセスになるが、それしかない」などと答弁したが、岩國議員は、「景気さえ良くなれば、と何年も同じことを繰り返している。国民に、生涯の賃金、税金、借金がどうなるかの具体的シミュレーションを示すべきだ」と強く批判した。

 最後に、岩國議員は、株価と内閣支持率が正確に連動していることをグラフで示し、「景気回復にとっても必要なのは、いい政策ときれいな政治家だ」と述べ、森首相の辞任を求めて発言を締めくくった。

※3人目の生方幸夫議員の質疑は次号に掲載します



無責任な減税・改革先送りの寄せ集め
五十嵐文彦議員が租税3法案で代表質問

 衆議院本会議で16日、「平成13年度公債発行特例法」「法人税法改正案」「租税特別措置法改正案」の3法案の趣旨説明とそれに対する代表質問が行われ、民主党・無所属クラブからは五十嵐文彦議員が登壇し、政府の見解をただした。

 五十嵐議員は本題に入る前に、宇和島水産高の実習船「えひめ丸」の衝突沈没事故に対する森首相と政府の対応について、「日米両国間の信頼関係に基づく同盟関係に深刻な影響を及ぼしかねない発展性をもっている。米側の異例の迅速な陳謝はまさにそれを懸念したもので、我が国総理に同等の懸念の感覚がないことはまことに恥ずべきこと」と断じた。

 19兆5580億円の公債を発行できるようにする平成13年度特例公債法案に対して、五十嵐議員は、「 “このままの政策を継続すれば、公債発行額、公債依存度は14年度以降急激に増加し、もはや手をつけようのない状態になる”とした財務省の「財政の中期展望」を例に挙げ、どのような政策努力・転換をすれば脱却できるのかを宮沢財務相に質した。しかし財務相は「まずは足下の増収から」などとはぐらかし、危機感のない答弁を重ねた。

 次に、企業再編税制を盛り込んだ「法人税法改正案」について、五十嵐議員は「基本的に経済構造改革に資するもの」と評価する一方、年度税制改正を中心とする「租税特別措置法改正案」には、「総じて無責任な減税や朝令暮改、改革先送りを寄せ集めただけのもの」と批判した。

 その中で、まず、源泉分離選択課税制度をさらに2年間延長する「株式譲渡益課税」について、五十嵐議員は「主要国に類を見ない不公平税制」「朝令暮改の税制改正は株価対策にならない」と厳しく批判。安定的な税制の確立が必要だとして、「納税者番号制度、株式譲渡益等を他の所得と合算する総合課税制度」を柱とする民主党の考え方を提示し、宮沢財務相の所見を尋ねた。財務相は「おっしゃるとおりだと思うが、納税者番号制には国民の合意には至っていない」と述べた。

 また、控除期間10年間・控除限度額500万円の「住宅ローン減税制度」については、「景気対策の効果はなく、モラルハザードを生む」「過去のローン返済に苦しんでいる人々や民間賃貸住宅居住者との負担の公平という観点から問題」として、今年6月の居住分で現行制度は終了し、景気中立型のローン減税制度に戻すべきと提案した。

 さらに、政府の「NPO支援税制」についても、「ほとんどのNPO法人が認定を受けることのできない案」「政府与党はNPO活動とは無償のボランティア活動であり、財政的に自立する必要もないと認識しているように思える」と批判。「多様な市民公益を実現する自立した組織」との認識で民主党が対案を準備していることを表明しながら、宮沢財務相に認定NPO法人の要件を見直すべきと迫った。しかし財務相は「優遇を受けるにはそれなりの公益が必要だ」などと述べ、否定的な見解を示した。

 最後に五十嵐議員は、消費税の今後の見直しについて、公平な制度にするために「仕入れ税額控除の仕組みとして欧米諸国のようなインボイス制度の導入」「免税点の大幅引き下げ」「簡易課税の適用事業者の限定」「逆進性の解消策としての世帯人数数等に応じた税額還付方式の導入」を提言。宮沢財務相も「まだまだ改善の余地はある」と応じた。


景気のためにも森政権継続はマイナス
菅幹事長が会見で政権打倒の意気込み

 民主党の菅直人幹事長は16日の定例記者会見で、政府の月例経済報告で景気判断が従来よりもさらに下方修正されたことについて、“もうすぐ日本経済は再生する。いろんな問題はクリアできた”とした森首相のダボス会議での演説が「まさに大ボラ・夢物語であったことを自らも認めた結果だろう」と指摘した。その上で、「現在の経済状況は10ヶ月間の森政権の失政であることは間違いない。景気のためにも森政権が続くことはマイナスだ」と、森政権打倒への意気込みを改めて示した。

 次に、宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」と米海軍の原子力潜水艦の衝突・沈没事故への政府の対応について、福田官房長官が“危機管理の対象にならない”としていることに対して「“内閣官房初動対処マニュアル”別紙にある10大事故の項目の第7に“自衛隊・在日米軍の艦船・航空機等の事故であって、社会的影響が大きなもの(国外事案に含む)”という項目がある。さらに“以下はあくまで例示であって、必要であれば以下にかかわらず対象とすると書いてある」と紹介。その上で菅幹事長は「自衛隊・在日米軍の艦船で、社会的な影響が大きなものが対象になるというなら、当然米軍自身の艦船も対象になることは当たり前。危機管理の対象でないとする言い逃れの答弁はやめるべきだ」と福田長官ら政府側の答弁姿勢を批判した。

 また記者団から「野党が内閣不信任案の提出したとき、公明党は必ずしも反対しないとしているが」と問われたのに対し、「与党の中が一枚岩でないことは歓迎する」としたものの、「野党が今最優先しているのは証人喚問の実現であって、公明党が証人喚問には応じないで不信任案に応じるというのは自己矛盾ではないか」と指摘した。


<衆議院予算委員会質疑から>
実習船事故「空白の1時間20分」を追及
松野頼久議員

 16日、衆議院予算委員会の集中質疑で、民主党の松野頼久議員が発言に立ち、実習船事故、財政再建などの問題をめぐって政府を追及した。

 松野議員は、まず、「えひめ丸」の事故の発生が伝えられた直後の政府の初動対応の問題を取り上げた。とりわけ、2月10日、森首相に事故の第2報が入った午前10時58分から、官邸への移動が必要だと首相が判断した第3報が入る午後0時20分までの間、最高責任者に一切情報が入らない「空白の1時間20分」があったことについて、「どう考えても解せない」と問題を指摘した。

 安倍晋三官房副長官は、「第1報、第2報の際の総理からの指示に沿って動くことが重要だという事務方の判断」などと答えたが、伊吹文明危機管理担当相は「確かに、指摘はもっともだ。内閣の緊急対応の初動対応マニュアルは、初動段階での政治家の判断ポイントをどこに置くかという意味では不十分になっている。今後の危機管理のあり方として検討したい」と述べた。

 松野議員は、さらに、「米国側からは不明者捜索を打ち切るといった話も伝わっているが、もってのほかだ。政府は米国に遠慮せずに、しっかり対応してほしい」と強く要求した。

 また、森首相がゴルフ会員権を無償で譲り受けていたとされる問題で、松野議員は、「会員権の所有権は友人にあって名義を借りただけと言うが、会費も、プレー代も首相自身が払っていて、自分のものでないと言えるのか」と追及。福田官房長官は、「この会員権については、総理の知人の会社で資産に計上しているので」などと苦しい答弁に終始した。

 松野議員は、電力自由化の問題にも触れ、「米国カリフォルニア州の停電で、わが国の電力供給のあり方も問われている。完全自由化が唯一の方向ではないのではないか」と質した。答弁に立った平沼赳夫経済産業相は、「完全自由化も選択肢の一つということだ。他国の取り組みなどを検証しながら方向を出していきたい」と述べるにとどまった。


野党4党、予算委員長解任決議案提出へ
強引な委員会運営に反発

 民主党、自由党、共産党、社民党の野党4党は19日夕、幹事長・書記局長会談を開き、野呂田芳成衆院予算委員長が2001年度予算案の公聴会日程を野党反対のまま採決したことに反発、20日の予算委員会審議を強行した場合には、同日の衆院本会議後に野呂田委員長の解任決議案を衆院に提出する方針を決めた。

 野党4党は20日午前9時からの予算委理事会で野呂田委員長に抗議、それでも与党側が審議を開けば委員会を欠席する。

 野党4党は、野呂田委員長が野党の証人喚問要求に適切に対応していないことに加え、秋田県での18日の講演で「大東亜戦争でアジアの植民地主義はなくなった」などと発言した点に関しても厳しく批判、委員長の責任問題を問うことにした。

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