民主党FaxNews No.373  2001年3月3日(土) 戻る3月目次

編集・発行=民主党広報委員会 TEL.03-3595-9988 FAX.03-3595-9922
[CONTENTS]
(1)内閣不信任案は5日朝提出=野党党首会談で鳩山代表に対応一任
(2)この土・日曜を国民が自民党を切り崩す2日間に〜菅幹事長が檄
(3)平成13年度政府予算案が衆院で可決−疑惑解明、審議不十分なまま
<衆院予算委締めくくり総括質疑>
(4)外務省機密費の上納は明らか〜佐藤観樹議員
(5)不良債権処理は素早く公平に透明に〜原口一博議員
(6)政府は国民への説明責任果たせ〜五十嵐文彦議員

(7)予算組み替え動議を提出〜原口議員が趣旨説明
(8)森首相の居座りは国益に損失〜海江田万里議員が本会議討論で退陣要求
(9)参議院で予算修正・疑惑解明求める〜岡田政調会長が談話
<衆院予算委3月1日の質疑から>
(10)財政構造改革の道筋づくり急げ〜池田元久議員
(11)「もみがら党員」の党費は返却を〜海江田万里議員
(12)鳩山代表がフォーリー米大使と会談〜支援や補償に誠実な対応求める
(13)私設秘書を処罰対象に〜野党4党があっせん利得処罰法改正案を提出
(14)全国幹事長・選対責任者会議を3月16日に開催


野党党首会談で鳩山代表に対応一任
内閣不信任案は5日朝提出

 民主党、自由党、共産党、社民党の野党4党は2日午前9時から、国会内で党首会談を開き、森内閣への不信任決議案の提出時期について協議した。

 会談では民主党の鳩山代表が「今日は内閣不信任案をいつ出すか決めたい」と切り出して、各党首がそれぞれの意見を述べながら、4党一致して行動することを改めて確認。鳩山代表が「提出時期は野党第一党党首である私にご一任いただきたい」と議論をまとめ、各党党首も了承した。

 その後、鳩山代表と菅直人幹事長、赤松広隆国対委員長が対応を協議した結果、内閣不信任案を来週5日の午前8時30分に提出することを決めた。

 なお、不信任決議案は5日午後1時からの衆院本会議で採決されることが、2日夜の衆院議院運営委員会理事会できまった。


この土・日曜を国民が自民党を切り崩す2日間に
菅幹事長が檄

 「先の11月の政局では、土・日で加藤派が切り崩された。今度は、自由民主党が国民によって切り崩される2日間にしよう」――。

 2日夜の代議士会で内閣不信任案提出時期決定の経過を報告した菅幹事長は、こう述べて、週末の取り組みを要請した。

 菅幹事長は、「与党は本日提出すれば深夜になっても本日中に否決する姑息な構えを示した。国会議員が地元に帰る時間的余裕をおかずに、悪いことは一気呵成に否決してしまい、終わったことにしてしまおうという悪知恵だ」と与党の動きを批判。そして、「これは一方で自信の無さの現れでもある。この悪知恵を打ち破り、国民の意見を聞いた上で国民注目の中で不信任案の採決が行われるよう、野党4党国対委員長会談で不信任案の提出を週明けの月曜日の朝に正々堂々と行うことにした」と提出時期決定の経緯を説明した。

 その上で、菅幹事長は「皆さんがご自身の支持者の声を聞くことはもちろんだが、森首相の退陣を望む国民が与党の議員にその意思を伝えてほしいと強く訴えていただきたい。そうなれば、5日の本会議で不信任は可決する。国民の8割が賛成するものに反対する政党には未来がないと確信する」と檄を飛ばし、大きな拍手を浴びた。



平成13年度政府予算案が衆院で可決
−疑惑解明、審議不十分なまま

 平成13年度政府予算案は2日夜の衆議院本会議で、自民・公明・保守の与党3党などの賛成多数で可決され、参議院に送られた。民主・自由・共産・社民の野党4党は、公共事業費や機密費(報償費)などの減額を求める組み替え動議を衆院予算委と本会議に提出したが、否決された。



<締めくくり総括質疑>
外務省機密費の上納は明らか
●佐藤観樹議員

 3月1日、2日の両日行われた各省庁分野ごとの分科会審議を経て、2日午後から衆院予算委で森首相ら全閣僚が出席しての締めくくり総括質疑が行われた。

 民主党・無所属クラブから一番手として立った佐藤観樹議員は、KSDをめぐる汚職事件に言及。村上正邦元労働相が受託収賄容疑で逮捕されたことに関連し、「この事件は自民党政治の典型である政官業癒着スキャンダルそのものだ」と指摘。自民党の今日まで続けてきた政官業もたれあいによる政界支配の構図そのものだとした。

 森首相は逮捕後初めての答弁だと前置きし、「深刻に受け止めている」としながらも、必ずしも政官業のトライアングル構造とは言えないと否定。佐藤議員は党費肩代わり問題についても政治資金規正法上違法だと指摘し、「有印私文書偽造であり、自民党としては疑われたものは返金するべきだ」と主張した。

 佐藤議員は外交機密費問題についても、「審議したが何ら明らかにならなかった」と批判。その上で、財務省、経済産業省、農林水産省、総務省等の各大臣に、首相に随行して海外に出た折、宿泊費の差額は官房報償費から出されるかと質問。その事実はないとの各大臣からの答えに「外務省だけが特別なのには官房報償費の中に外務省分があることが伺える。外務省機密費の上納が見て取れる」と分析した。



不良債権処理は素早く公平に透明に
●原口一博議員

 続いて質問に立った原口一博議員は、日本銀行が28日に0・35%の公定歩合を0・25%に引き下げた点について、速水日銀総裁にその理由を質した。

 速水総裁は景気の回復傾向が鈍化している点を踏まえ、「金融面からの景気回復支援を考え、物価安定のためにとった措置だ」とした。

 これに対して原口議員は「しかし、大きな不良債権を抱えながら構造改革・財政構造改革を先送することはリスクの拡大につながるのではないか」と反論。日銀にはインフレマーケットを明確に否定し、金融のアンカーとして機能してほしいと求めた。

 また原口議員は、柳澤金融担当相に対し、「直接償却という言葉が一人歩きしている感があるが、これは危険だ」と指摘。不良債権処理にあたっては、流動化・法的整備に伴う直接償却・債権放棄・部分償却の4つがオフバランスシート化のなかにあって行われるべきで、素早く、公平に、透明に、果敢にやるべきだと提案した。



政府は国民への説明責任果たせ
●五十嵐文彦議員

 民主党・無所属クラブの最後の質問者として立った五十嵐文彦議員が、政府の経済政策や、退陣が取りざたされる森首相の政権担当姿勢を問い質した。

 まず五十嵐議員は、「予算委員会の質疑を見ていても、これほど議論が成り立たない国会は異常だ」とし、「政府は国民への説明責任を果たすことを回避している」と批判した。森首相は、「閣僚は誠心誠意答えていると思う」などと空疎な言葉で答えた。

 また、五十嵐議員は、現在、政府・自民党内では2つの経済路線が主張されているとし、景気回復を掲げて財政出動をどんどん行うのか、構造改革を進めるために直接償却などを進めるのか、どちらの路線をとるのか、と質した。麻生経済財政政策担当大臣は、「景気回復できないと構造改革につながっていかないというのが優先順位だ」と述べた。

 これに対して五十嵐議員は、「政府の見通しどおりの経済成長を達成しても財政赤字は解消できない」と指摘し、「年金や医療保険のあり方を含めて将来の国民生活がイメージできる経済プランを一向に示さないがゆえに、国民は不安を抱え、消費も伸びないのだ」と強く批判した。



予算組み替え動議を提出
原口議員が趣旨説明

 質疑をすべて終え、民主党・無所属クラブは自由、共産、社民・市民連合の野党4会派で平成13年度予算案の組み替え動議を提出し、民主党の原口一博議員が趣旨説明に立った。

 原口議員は組み替えを求める理由として、(1)政府機密費をめぐる不明朗な会計処理、不正流用疑惑をふまえた抜本的な改革と大幅な削減が不可欠(2)旧態依然の公共事業中心のバラマキ予算に終止符を打ち、雇用・福祉関係施策や教育施策、立ち遅れた大都市圏の交通・防災・環境関係施策などに歳出の重点を移す必要がある――ことをあげた。

 また、「整備新幹線のフル規格化など利益誘導型・従来型の公共事業をいくら続けても、景気下支え効果は短期の限定的なものにとどまり、民需主導の景気回復につながらない」として、大幅な削減や、個別補助金を整理し、地方公共団体に一括して交付するなどの思い切った改革が必要だと主張した。

 さらに、財源の裏付けのない児童手当拡充案についても削除を求め、ODA及び防衛費についても厳しい財政状況を勘案し、一定の削減か前年度並みへの据え置きを求めた。

 続いて、池田元久議員が討論に立ち、まず証人喚問の実現をさせず、不公正で一方的な議事運営を行った野呂田予算委員長の議事運営について厳しく批判。そして、財政健全化への道筋が示されていないことや、機密費予算を一切削減しないこと、整備新幹線のフル規格化、旧態依然とした旧来型の公共事業などを列挙し、「日本経済が立ち直れるような効果は望めない」として、予算案への反対を表明した。

 しかし、討論後の採決の結果、与党側の賛成多数で政府予算案が可決した。



森首相の居座りは国益に損失
海江田万里議員が本会議討論で退陣要求

 午後7時から行われた衆議院本会議では、再び原口一博議員が登壇し、野党4会派の予算案組み替え動議の趣旨説明を行った後、海江田万里議員が政府予算案への反対討論に立った。

 海江田議員は、予算案に言及する前に、まず「日本中に、森総理に辞めてほしいという声が満ち満ちている」と述べ、さらに、「世界から見ても、今やわが国にとって森首相が居座りつづけること、そのことが日本が変わることができないことの証拠になって、わが国の存在を危うくしている」と指摘し、即時退陣を要求した。

 政府予算案に対しては、政府が「景気対策に軸足をおいた予算」と主張していることに対して、「問題は軸足を置く足元の地盤が今や泥沼の状態だ」と主張。「まず泥沼の状態をしっかりとした土壌にするための構造改革が必要だ」と指摘し、「この構造改革を怠って、いくらケインズ型の財政出動をやっても、それは軸足どころか全身が泥沼の中に埋まってしまうことになる」と批判した。そして、日本経済が相変わらず低迷している理由として、「思いきった構造改革を先送りし、不良債権の抜本処理に手をつけることなく、安易にかつ非効率な財政出動を続けていることの当然の帰結だ」と主張した。

 各会派の討論が終わり、記名採決が行われた結果、与党側の賛成多数で平成13年度予算案は可決し、参議院に送られた。



参議院で予算修正・疑惑解明求める
岡田政調会長が談話

 民主党の岡田克也政調会長は本会議後に談話を発表し、「予算審議は不十分なまま、与党の採決強行によって打ち切られた」として、遺憾の意を表した。その上で、今後は参議院を舞台に、景気回復への何らの効果も持ち得ない旧来型公共事業中心の政府予算の修正、KSD疑惑や政府機密費疑惑等の全容解明等を求めていく、と表明した。



<衆院予算委3月1日の質疑から>
財政構造改革の道筋づくり急げ
●池田元久議員

 森首相も出席して行われた1日の衆議院予算委員会で、池田元久議員が質問に立ち、財務省が出した財政中期展望試算に基づき、実質経済成長率が2%となっても歳出は国債の利払い費がかさみ、税収をカバーできないと指摘。歳出と歳入のギャップが広がると分析した。

 「2%程度の経済成長率では、膨大な国債残高のため、財政は悪化する」と述べ、池田議員は森首相に見解を求めたが、首相は「長期展望に立ちつつ、中期の問題点も加味し、財政再建に取組む」と抽象的な答弁。池田議員は「もっと明確な答えを」と言葉を強めたが、首相は「従来の支出の構造ではなく、改めて財政モデルをつくらなければいけないと思っている。14年度の予算編成を行うなかで財政再建の道筋をつくっていく」とした。

 池田議員は、森首相が施政方針演説の中で「財政構造回復の実現について議論を進めていく」としている点について、「今ごろ議論している場合ではない」と厳しく批判。「これまでの議論の積み重ねを元に財政構造改革の道筋を早急に立案すべきだ」と主張した。



「もみがら党員」の党費は返却を
●海江田万里議員

 衆議院予算委員会の質疑で1日、民主党・無所属クラブの海江田万里議員が質問に立った。

 海江田議員は、まず、前日の村上正邦元参院議員の証人喚問を取り上げ、「もみがら党員」と呼ばれる架空党員の多数の存在が明らかになった、1998年のKSD獲得分党員9万人の党費2億円を返却すべきではないか、と追及した。森首相は、返せという党員や支部があれば返すが、支部などでの(入党)手続きについてまだ調査中だ、などとあいまいな回答に終始した。

 また、海江田議員は、13年度の政府予算案の公共事業費が、「ムダを削る」と言いながら増額されていることを取り上げ、中でも300億円増額された整備新幹線の建設事業費の内訳や、事業の経済効果の見通しなどについて質した。森首相は、「“我田引鉄”などと言われているが、将来の日本の総合的な交通体系を考えて欲しい」などと述べたが、新幹線建設事業費増額の具体的な根拠は示せなかった。



鳩山代表がフォーリー米大使と会談
支援や補償に誠実な対応求める

 民主党の鳩山代表は2日、党本部でアメリカのフォーリー駐日大使と会談した。伊藤英成事故対策本部長と五島正規議員が同席した。

 今回の訪問は、実習船「えひめ丸」への衝突事故に関連し、先月27日に来日したファロン米政府特使の件について説明するためのもの。

 ファロン特使は、家族の了解を得て1日に宇和島を訪れたが、これは伊藤本部長が
「米特使が宇和島を訪れて直接家族と対話してはどうか」と米大使館に働きかけたことで実現した。

 鳩山代表は「情報伝達が十分でなく、後からいろいろな事実が明らかになったため、アメリカに対して厳しい思いをもっているのは事実だ。今回、特使が直接訪問したこと、またワドル元艦長が謝罪したことは、ご家族の心を和ますことになったと思う」とその行動を評価した。

 フォーリー大使は「米国政府は一貫して船を引き揚げる方針だが、日本側にその真意がはっきりと伝わっていなかった」と説明。「先例のない船の大きさや水深だが、最善の技術を駆使して引き揚げを行う」と述べ、世界最高の技術水準を持つオランダ企業に依頼して、3月8日にも調査報告とプランが出されるとした。

 鳩山代表は、「(行方不明となった)9人の命の重さに十分配慮してほしい」と述べ、今後の支援や家族への補償の問題について誠実に取り組むよう求めた。



私設秘書を処罰対象に
野党4党があっせん利得処罰法改正案を提出

 民主党は2日、自由、共産、社民の野党4党と共同で、あっせん利得処罰法の処罰対象を政治家の私設秘書まで拡大することを内容とする改正案を衆院に提出した。

 昨年秋の臨時国会で、あっせん利得処罰法が成立したとき、野党4党は、「議員事務所の会計を担当するような私設秘書が対象にならなければ法の抜け道になる」として、国会議員、地方公共団体の首長、議員、公設秘書に加え、私設秘書を加えるよう主張して、法案を提出したが否決された経緯がある。

 ところが、2月26日に行われた衆議院の政治倫理審査会で、KSDからの資金提供に関連して弁明した自民党の額賀福四郎議員が、現金のやりとりや保管をすべて秘書まかせとしたことから、改めて法の不備が指摘された。



全国幹事長・選対責任者会議
3月16日に開催

 民主党は、3月16日に、7月の参議院議員選挙に向けての意思統一を図るため、各都道府県連の幹事長や選挙対策責任者を集めての「全国幹事長・選対責任者会議を開催する。

●日時  3月16日(金)15:00〜

●会場  ルポール麹町(麹町会館)東京都千代田区平河町


  民主党広報委員会
  〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-1
  E-MAIL info@dpj.or.jp (office)
  URL http://www.dpj.or.jp
民主党FaxNews No.373  2001年3月3日(土) 戻る3月目次