民主党FaxNews No.384 2001年4月9日(月) 戻る目次

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[CONTENTS]
(1)噴火から1年〜有珠山被災地を鳩山代表・菅幹事長が視察
(2)DV防止法が成立〜民主党が法案づくり先導
(3)民主党の歯科医療改革案を発表〜治療歯科から予防歯科へ転換
(4)「政府による株買い取りは税金による損失補填」
  岡田政調会長が緊急経済対策を非難
(5)危険運転致死傷罪処罰法案〜議員立法で提出、衆院本会議で質疑始まる
(6)自動車NOx法改正案が参議院で審議入り〜福山哲郎議員が代表質問
(7)国連PKOの権威ブラヒミ氏招き勉強会〜党外交安保部門会議
(8)超党派で「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」を結成


噴火から1年〜今も1600人が仮設住宅に
有珠山被災地を鳩山代表・菅幹事長が視察

 鳩山由紀夫代表と菅直人幹事長が7日と8日の両日、噴火から1年たった北海道・有珠山周辺の市町村を訪れた。仙谷由人、荒井聰、川内博史、三井辨雄の各衆議院議員が同行した。

 一行は伊達市、虻田(あぶた)町、壮瞥(そうべつ)町を訪問、首長らからあらためて状況を聞いて回った他、虻田町の仮設住宅を訪問し、避難住民から直接話を聞いた。この後行われた記者会見で鳩山代表は被災住宅再建支援法案を今国会に提出する考えを示した。

 同法案は自然災害で住宅が損壊した市民に対して最高で850万円の住宅再建資金を支給するもの。記者会見の中で鳩山代表は「災害に遭った方に特別な配慮が必要であるとあらためて痛感した。民主党は個人に対する補償を重視すべきだと主張している」と述べ、個人補償に道を開こうとしない政府与党を批判した。

 また菅幹事長は「『民主党は公共事業に反対している』と宣伝する勢力があるが、海の上に畑を作るような無駄なことは止めるべきだと主張しているのであって災害復旧などは最優先でやるべきだと言っている」と、地元選出の鳩山代表に対する、被災に乗じた悪宣伝に反論した。

 有珠山周辺の市町村では、住宅が損壊したり、雪解け時に泥流が押し寄せる危険性がある地域の住民など約1600人が今も仮設住宅での暮らしを余儀なくされている。77世帯が避難生活を続けている虻田町栄地区の仮設住宅を訪れた鳩山代表らは生活再建に向けた悩みなどを直接、住民から聞き、個人補償が必要との認識を深めた。

 一行は7日夜、噴火により激減した宿泊客の回復に力を入れている洞爺湖温泉に宿泊したが、同日は森首相も同地に宿泊するというニアミスがあった。鳩山代表は「退陣まであとわずか。なんで今頃、という気持ちを禁じ得ないが、民主党は野党第一党の責任において政府が果たしえない部分に力を入れていきたい」と意に介せず、コメントした。



配偶者への暴力は「犯罪」
DV防止法が成立〜民主党が法案づくり先導

 暴力を振るう配偶者から被害者を守るドメスティック・バイオレンス(DV)防止法案が4月6日の衆議院本会議で可決、成立した。今年10月から施行される予定。

 この法律は、参議院共生調査会内のプロジェクトチームで3年をかけ超党派でまとめられたもので、この中では、民主党男女共同参画調査会の「女性と暴力対策検討チーム」でまとめられた案が、先導的な役割を果たした。

 法律の正式名は「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」。これまで「夫婦間の問題」だとして見過ごされてきた配偶者からの暴力を犯罪であると明記し、DV防止と被害者保護を国や地方自治体に義務づけたのが特徴だ。夫婦ばかりでなく事実婚状態にある人や、婚姻中に暴力を受け、離婚後も継続する恐れがある元配偶者も救済の対象に含めた。都道府県は来年度から、「配偶者暴力相談支援センター」を設置、被害者の相談やカウンセリング、一時保護などを行うことになる。

 被害者が重大な危害を受ける恐れが大きいときは、被害者の申し立てにより地裁が加害者に (1)住居や勤務先などへの6か月間の接近禁止 (2)2週間の住居退去――の「保護命令」を出す。

 申し立てには、(1)暴力の状況 (2)生命や身体に重大な危害を受ける恐れが大きい事情 (3)支援センターや警察に相談したことなどの有無――を書いた書面か、公証人による宣誓供述書が必要で、緊急性がある場合には地裁は口頭弁論や審尋を開かずに書面審理だけで命令を出すことも認められている。

 また法案は保護命令の運用にあたる職務関係者への研修、啓発を義務づけて、関係者の無理解が被害者を新たに傷つけるようなことのないよう求めている。

 石毛えい子男女共同参画・人権・消費者ネクスト大臣は6日、「被害者の保護に関し、保護命令を含めた一定の措置が規定されたことに関しては大いに評価されること。今後は、3年後の見直しを含め、この法律が、実効性のあるものとして活用されるよう、民主党として関心を持ち、検討をつづけていく」との談話を発表した。



治療歯科から予防歯科へ転換
民主党の歯科医療改革案を発表

 民主党は「歯科医療改革案」を5日のネクストキャビネットで了承し、6日、金田誠一厚生労働ネクスト大臣と「歯科診療を考えるワーキングチーム」(WT)座長の櫻井充参議院議員が記者会見で発表した。

 この改革案は、これまで医科と比較して軽視される傾向にあった歯科診療を、技術や研究の進歩や、歯が全身に与える影響、少子高齢化社会に対応した医療制度をふまえて、求められる歯科診療のあり方を提言したもの。(1)歯科重視の医療体制の確立 (2)治療歯科から予防歯科への転換 (3)患者が安心できる環境づくり――の3つを柱としている。

(1)歯科重視の医療体制の確立
 医科・歯科間で大きな開きがある初診料・再診料を今後10年間で段階的に是正していく。(現在の初診料は医科が2700円に対して歯科は1800円、再診料は医科7800円に対して歯科4000円)また、現行の身体障害者福祉法では、歯科医師は身体障害者手帳のために診断書を作成できない「咀嚼・嚥下(そしゃく・えんげ)障害」の診断書作成が歯科医師ができるようにする。
 さらに、医科と歯科の相互理解、提携を進め、歯科と全身疾患の関係を重視した歯科医療を推進。これによって、医療費や介護費の削減に結びつける。

(2)治療歯科から予防歯科への転換
 現在歯科医師会が推進している現行の8020運動(ハチマルニイマル運動=80歳で歯を20本残す)は目標が遠く感じられるので、これを補完するために、10−00運動(イチマルゼロゼロ運動=10歳のときに虫歯ゼロ)を提唱する。また、予防重視の診療報酬体系への抜本的改革として、治療すればするほど利益を得るという現在の診療報酬を是正し、予防歯科への転換を可能にする診療報酬体系への見直しを行う。

(3)患者が安心できる環境づくり
どこまでが保険診療でどこからが自費診療になるかといったインフォームド・コンセントの徹底や歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士の相互連携によるチーム医療の確立などをめざす。保険点数を上げることで歯科技工士・歯科衛生士の労働条件を整えることにより、質の高い医療につなげる。さらに、感染対策のための保険点数評価を見直し、患者が安心して治療が受けられるように歯科における院内感染対策が十分図られるような措置を講じる。



「政府による株買い取りは税金による損失補填」
岡田政調会長が政府の緊急経済対策を非難

 民主党の岡田克也政策調査会長は6日、同日発表された政府の「緊急経済対策」について談話を発表し、その内容を厳しく批判した。特に、銀行保有株式取得機構による株式買い取りに政府保証を付与することについては、「税金によって損失を補填することにつながるものであり、到底認められない」としている。

 また、「構造改革と不良債権の抜本処理を進めるにあたって最も重要な、雇用面におけるセーフティ・ネットもまったく不十分である」と指摘。民主党がさきにまとめた経済対策の優位性を改めて強調した。



酒酔いなど悪質な交通事故に重罰を
危険運転致死傷罪処罰法案
議員立法で提出、衆院本会議で質疑始まる

 民主党が議員立法で提出した「危険運転致死傷罪処罰法案」が6日の衆議院本会議で、政府提出の「道路交通法一部改正案」とともに議題となり、趣旨説明と代表質問が行われた。

 この法案は、酒酔いなどの悪質運転により人を死傷させた場合、業務上致死傷罪による5年以下の懲役では軽すぎるという世論に応え、新法によって最高を10年の懲役にするとともに、運転免許の取得禁止期間を現行の5年以下から10年以下に引き上げるもの。

 遺族の方が中心になり全国から26万件以上の署名が集まり、裁判でも新たな立法的な手当をすべきとの声が起きているが、政府の取り組みが遅れているため、民主党がいち早く法案の提出に踏み切った。

 本会議では、東名高速で飲酒運転の大型トラックに追突され、二人の幼い子どもを失った井上さん夫婦など遺族が見守る中、提出者の細川律夫議員が重罰化の必要性を説明。また、今野東議員は代表質問で、交通事故遺族の心情を語るとともに、交通事故対策の強化を訴えた。答弁にあたった山花郁夫議員は、極刑を望む遺族の無念さを気遣いながら、量刑の引き上げ理由などを答えた。



自動車NOx法改正案が参議院で審議入り
福山哲郎議員が代表質問

 参議院本会議で4日、民主党・新緑風会の福山哲郎参議院議員が、自動車NOx法改正案に対する質疑を行った。

 質疑で福山議員は、まず地球温暖化問題の深刻さを説き、米ブッシュ政権の京都議定書不支持表明を受けての日本政府の対応を質し早期批准の必要性を訴えた。

 自動車NOx法改正案については、国に浮遊状粒子物質(SPM)の差し止めを求めた尼崎・名古屋両公害訴訟での判決に対する国のコメントを求め、数度の環境基準未達成からこれまでのNOx対策の甘さを指摘。続いて、大都市部での交通量の抑制の必要性に言及するとともに、欧米に比べ甘い大型ディーゼル車のSPM規制のあり方やSPMの定義、不十分な対象地域拡大等の改正法案の問題点を追及、併せて事業者判断基準策定に関して質問した。

 これに対し、川口環境大臣は米国の京都議定書締結の重要性を強調することで日本政府の批准に向けた姿勢は言明を避け、NOx法については見通しの甘さを露呈する一方、具体的規制は「調査中」と述べるにとどまった。



国連PKOの権威ブラヒミ氏招き勉強会
〜党外交安保部門会議

 民主党・外交安保部門会議は6日朝、講師に来日中のアクダール・ブラヒミ国連平和運動委員会委員長(元・アルジェリア外務大臣)を招き、PKOに関する勉強会を開いた。

 ブラヒミ氏は、ソマリア、ルワンダ、ボスニア紛争でその欠陥を露呈した国連PKOの刷新のために、アナン事務総長の特命を受け、国連PKOの在り方をより現状に合ったものに改革するべく、昨年8月、パネル報告書(ブラヒミ・レポート)をまとめた、国連PKO活動について最も熟知した専門家。

 このレポートでは、PKO指揮命令や交戦規定の明確化の必要性、リスクを覚悟しての参加を求めるなど画期的な内容で、世界各国でこの報告書への対応が始まっている。日本が将来の国連PKOへの参加の在り方を考える上でも大いに参考とすべきレポートとされている。

 勉強会には、鳩山由紀夫代表、岡田政調会長、伊藤英成外交安保ネクスト大臣など民主党議員やスタッフ約30名が参加。ブラヒミ氏の基調講演の後、首藤信彦衆議院議員の司会で、日本のPKO参加の在り方について活発な議論が交わされ、非常に意義深い機会となった。



超党派で「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」を結成

 超党派の国会議員による「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」の設立総会が5日開かれ、与野党の70名を超える議員、および30名を超えるハンセン病国家賠償訴訟の原告・弁護団メンバーらが参加した。

 この懇談会は、元患者らが進めている国家賠償訴訟を支援し、患者・元患者の人権回復を実現する目的で、民主党のハンセン病問題ワーキングチームが中心になって呼びかけたもの。与党も含めた全党の議員の参加によって設立されたことは、画期的だ 。

 総会では、代表世話人である民主党の江田五月参議院議員の挨拶に続いて、規約案と役員案が承認され、顧問に菅直人・民主党幹事長をはじめとする各党の幹事長クラス、会長に江田議員を据えた体制を確立。衆参合わせて101名の国会議員の参加が報告された。

 続いて、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)の神美知宏事務局長が挨拶。「ハンセン病問題をどう解決するかは、今後の医療、人権、福祉問題の行方を決定する根本的な意味を持っている。日本の将来のためにも、国権の最高機関においてキッチリとしたけじめをつけてほしい」と訴えた。

 また、国賠訴訟西日本原告団の曽我野一美氏、西日本訴訟弁護団の徳田靖之代表も発言し、5月の第一審判決をステップにした年内の早期全面解決実現に向け、懇談会の協力を要請した。

 最後に、懇談会の会長に就任した江田議員が、「強制隔離政策によって患者・元患者の皆さんに筆舌に尽くしがたい苦難を強いた国の過ちは、政治こそが解決しなければならない」と決意を述べて、総会を締めくくった。

 懇談会では、今後、5月11日の熊本地裁判決に向け、療養所の視察や世論喚起のための取り組みを開始する予定だ。


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