2001/10/17

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153 衆議院厚生労働委員会

<狂牛病>厚労省の安全基準のずさんさを追及
〜筒井信隆議員

 衆議院厚生労働委員会で17日、民主党ネクストキャビネットの農水大臣を務める筒井信隆議員が質問に立ち、厚生労働省による狂牛病対策の問題性について鋭く追及した。

 筒井議員はまず、厚生労働省が狂牛病に関して18日に行おうとしている「安全宣言」は、それに相応しい体制が伴わなければ信用されないと指摘し、安全保証体制に必要な3つの条件──感染経路の遮断、屠畜解体過程の適正化、全頭検査体制の確立──を提示。これに沿って、厚労省の対応の現状を質した。

 千葉県で発見された感染牛の感染経路の解明について坂口厚労相は、まだ特定されていないが、肉骨粉を含む飼料以外のものからの感染は考えられない、とした。筒井議員は、「感染源が特定できない限り経路も遮断できない。なぜいろいろなところで感染拡大の心配はない、とPRしているのか」と追及。坂口厚労相は、食べる肉については大丈夫だが、感染の心配がなくなったとは言えない、と認めた。

また筒井議員は、厚労相が感染源の追跡は農林水産省の問題だと述べたことに対して、「食の安全の問題は厚労省の管轄なのだから、農水省に協力して取り組むべきだ」と批判し、同時に、第三者による究明委員会の設置を求めた。

 さらに、英国で狂牛病が発生して15年もたっているのに、日本への輸入を法的に禁止したのが今年に入ってからというのは遅すぎる、不作為の責任は重いと批判。また、禁止以前の輸入肉を安全だとPRしているが、なぜそう言えるのかと追及した。坂口厚労相は、英国における屠畜解体方法までは調べていないことを認め、リーフレットやホームページに掲載した文章も点検する、と述べた。

 屠畜解体方法をめぐっては、尾嵜食品保健部長が、ワイヤーによって脳・脊髄を破壊する方法が導入できるか実験している段階だと報告。筒井議員は、解体方法の転換以前に処理された牛は安全でないと指摘したが、尾嵜部長は「洗浄しているので、すべて危険だとは言えない」などと述べ、ずさんな安全感覚をさらけ出した。筒井議員は、18日以前に流通している肉は別扱いにすべきだと要求、坂口厚労相は政府が全量買い上げる方向で検討している、と述べた。

 また、30ヶ月令以上の牛の屠殺処分方針をめぐって、それ以下の月令のものはなぜ安全だと言えるのか、と追及。尾嵜食品保健部長は、またしても「(30ヶ月令以下は)感染例はごく少数だ」などと危機感の薄い発言をしたため、筒井議員は「確率によって対応を決めているのか」と一喝、感染例が少数であっても慎重な扱いをすべきだと要請した。

 さらに解体処理過程の問題として、千葉で見つかった感染牛が屠畜場で検査されながらなぜその後肉骨粉にされたのか、と追及。坂口厚労相は、敗血症とのみ診断し狂牛病にも感染していることに気付かなかったためと説明したが、筒井議員は、5月から狂牛病のサーベイランスを実施していたにもかかわらず、神経症状の原因の診断を誤ったのは厚労省の問題だと批判、厚労相も責任を認めた。

(民主党ニュース)

○筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。きょうは、狂牛病の問題に限って質問をいたします。

 先ほどから安全宣言の話が出ております。安全宣言は一日も早く出したい、これはもう全部が一致していると思うのですが、きちんとした体制をとらないで安全宣言を出しても、消費者は一切信用しないと思います。前に坂口大臣と農林水産大臣が食肉を食べる会をテレビで放映されておりましたが、あれは事実上の安全宣言だと思いますが、しかし、あれは残念ながらだれも信用しなかった、あの後さらに牛肉の消費量は大幅に下がったわけでございますから。

 やはり、どういう体制をつくったら安全宣言を出せるのか、この問題が重要な問題だろうと思うのです。私は、最低限、感染経路の遮断を完全にすること、それと屠畜解体の過程、これが適切になされること、それから全頭検査の体制が万全になること、この三つが最低限そろわない限りは、安全宣言を出しても消費者が信用しないのではないかというふうに思いますが、最初、ちょっと厚生大臣から、その点についての意見をお聞きしたいと思います。

○坂口国務大臣 安全宣言を出します以上は、やはりそれなりの根拠を持って言わなければならないのは、もうそれは御指摘のとおりというふうに私も思います。

 一番最初にお挙げになりました感染経路についてでございますが、この感染経路というのは、現在の科学的な水準で完全にそれがわかっているのかどうかということに多少の問題はありますけれども、現在のいわゆるヨーロッパ等におきます感染経路といたしましては、いわゆる食べるもの、牛のいわゆる食生活、牛に何を食べさすかということが最大の原因であることだけは間違いがないというふうに思っています。

 したがいまして、その牛のえさにつきましての内容を、どうこれをチェックしていくかという体制が大事ではないかというふうに思いますし、これに対しまして、これは厚生労働省よりも農林水産省の仕事になりますけれども、いわゆる感染をいたしておりますようなそういう国々、多発しておりますような国々でつくられました、そういうえさ等は一切入れないといったところを、完全に遮断をするということがまず第一歩ではないかというふうに思います。

 しかし、過去において既に入ったものがあるとするならば、現在飼育されております牛の中で、この狂牛病に罹患をしていないという証拠はないわけでございますから、それを屠畜いたしますときには、徹底的にここは検査をして、そしてその可能性がないということを明確にしなければならないというふうに思っております。

 それから、屠畜の途中におきます、いわゆる屠畜場におきます問題点につきましても、いわゆる背骨を割ったりいたしますときに、飛び散らないようにどうその改革を加えていくかとか、そして、もしも陽性に反応を示すものがあったときに、そのあとの牛をどうするかとか、そうしたきめ細かなことを現在検討いたしておりまして、そして、現場におきまして誤りなきようにしていきたいというふうに思っているところでございます。

○筒井委員 最低限、今の三つの条件は安全宣言の前提として必要である、こういう結論自体はよろしいんでしょうか。

○坂口国務大臣 それはもう当然そうだと私は思います。

○筒井委員 この感染経路の遮断の前提として、千葉県の狂牛病の感染経路の解明の問題がございます。

 今、大臣は、ヨーロッパにおける牛骨粉が感染源だということを前提にした話をされました。それは事実そうなんで、それはよろしいんですが、ヨーロッパの場合、感染経路がはっきりしているとしても、日本の一頭だけはっきり出ました狂牛病の感染経路は現在も不明でございまして、この感染源は何だというふうに考えておられますか。

○尾嵜政府参考人 千葉県のケースにつきましては、現在、農林水産省の方でずっと、どこで育ったのか、北海道の方から来たというふうに調べられておりますが、そういった農家での飼育状況、えさの状況等々を調査されたわけでございます。まだ今のところ、今回のケースが何によってこのBSEに感染したのかというところまでは特定をされておらないというふうになっております。

 ただ、イギリスを初めとしましてEUの方で狂牛病が発生したという事柄から考えますと、感染源としては、一番考えられるのは、肉骨粉というものによります感染というものが一番疑われるというのが一般的な考え方ではないかというふうに思います。

○筒井委員 しかし、千葉の酪農家も、その子牛を育てた北海道の酪農家も、いずれも肉骨粉を給与していないと断言しているわけでございまして、今の答えですと、この日本の狂牛病の場合も肉骨粉が原因だろうというふうに判断しているということですか。

○尾嵜政府参考人 特定をされておりませんので、これが感染源だったということは今の段階では言えないわけでございますが、これまでのヨーロッパの狂牛病の発生ということを考えてみますと、こういった牛が感染するということを考えた場合には、肉骨粉が含まれた飼料というものが一番そういった原因として考えられるものではないかというふうには私は承知しておるところでございます。

○筒井委員 今のところでもはっきりしないんですが、いずれにしても、この感染源がはっきりしないというのは、酪農家にとってもそうですが、消費者にとっても大きな不安のもとであって、これはやはり早急に解明しなければいけない、そう思うんですが、その点、大臣、どうですか。

○坂口国務大臣 それはそのとおりと私も思います。一日も早くこれは解明をしなければならない問題であるというふうに思います。

 ただ、狂牛病という病気の原因等を考えてみましたときに、細菌でありますとかビールスといったようなものから感染をする病気ではないわけでございますので、その他のこと、飼料以外のもので感染し得ることがあり得るかということは非常に、科学の世界でありますから絶対ないということは言えないかもしれませんけれども、私は、考えられないのではないか、やはりこれは食べるものから入るということを中心にして検討をしなければならないのではないかというふうに思っております。

○筒井委員 感染源が特定されない限り、感染源の遮断対策なんかできっこないんですよね。しかし、感染源の遮断対策をとらない限りは、もう狂牛病の牛は出ませんという保証、そういう安全宣言もできないんですよね。だから、今、安全宣言を出すというふうな前提にしているということは、これはもう事実上、感染源は、千葉の牛に関しても、これも肉骨粉である、こう判断しているということですね。

○坂口国務大臣 いや、そこまで行っているわけではございません、まだここはできていないんですから。

 ただし、安全宣言を出すというのは、この日本の中からもう狂牛病は出ないという安全宣言をするわけではなくて、肉やあるいは牛乳をお飲みいただいても、肉をお食べいただいても、この日本に出回りますものはもうこれ以上、子牛から安全でございますということを宣言するわけでございます。

○筒井委員 しかし、厚生省も農林省も、もう現在、感染拡大の心配はなくなりました、こう断言しているでしょう。その点、どうですか。

○坂口国務大臣 牛に対する感染の拡大があるかどうかということは、それは少しわかりません。既にこれは、もしも外国から入ってきたもの等によって感染をしているということになれば、それは、今そうではないとは私は言い切れないというふうに思いますけれども、しかし、これから先、全部それはチェックをして、屠畜いたしますときにチェックするわけでありますから、国民の皆さん方がお上がりをいただきますその肉につきましては、これはもう大丈夫でございますというものしか出さないわけでありますから、そこは大丈夫でございますということを申し上げているわけです。

○筒井委員 今、大臣が冒頭言われたのが正しいと思うんですよ、感染拡大の心配がなくなったかどうかはわからないというのが。これは既にもう感染している牛がいるかもしれませんから。

 だけれども、農林省と厚生省が共同してつくったリーフレットでは、全国民に対して、感染拡大の心配がなくなりました、こう言っているでしょう。そう言っているかどうか。

○尾嵜政府参考人 私どもが肉が安全であるというふうに言っておりますのは、もともといわゆる骨格筋であります牛肉については安全である、乳製品も同様である、乳・乳製品も同様であるということでございます。もともとこれは安全であるということであります。

 それと、これからの体制を考えていく際に、新たな感染源になる可能性のある、例えば、農林水産省の方の対策としてお考えになっておりますのは……(筒井委員「いや、私の質問に答えてください。感染拡大の心配がなくなったと言っているのか、言っているのかいないのか」と呼ぶ)

 感染拡大というのが、こういった対策をとった以降、それによって感染をするようなものが出てこない、そういうふうな考え方というふうに考えておるわけでございます。

○筒井委員 この条件つきとかなんか聞いているんじゃなくて、リーフレットで全国民に対して、感染拡大の心配がなくなりました、日本では、こう言っているのかどうかを聞いているのですよ。質問だけに答えてください。

○尾嵜政府参考人 屠畜場での全頭検査、そういったものから、あるいは特定危険部位を全頭から除去、焼却する、そういった体制をとっていこうとしているわけでございますが、そういった体制がとられてまいりますと、屠畜場から出ていきますものについては、そういった特定危険部位が出ていかないということでございます。

 それと、農林水産省の方の対策としまして、肉骨粉を輸入しないとか、あるいはそれを飼料として使わない、国内の流通を禁止する、そういうふうな措置をとられたわけでございまして、そういったことから、そういう対策が実施されるということによりまして、それ以降の新たな感染というものは出てこないだろうという意味でございます。

○筒井委員 私が聞いている趣旨は、先ほど大臣がまさに答えられたのが正しいので、もう何が何でも全部大丈夫です、大丈夫ですと言ったところで、そうじゃないことを言ったら、そうしたらそれはかえって消費者の不安を高めるんですよ。国民の行政に対する不信を高めるんですよ。本当に間違いのない事実だけを言わない限りは、今まさに物すごい敏感になっていますから、消費者は。

 「感染拡大の心配がなくなりました。」こういうのを太字でもって、リーフレットで、これは何十万部刷ったかわからないけれども、出しておりますが、こういう表現、本当に言えるものと言えないものを区別して言っていただきたい。大臣、今後ぜひそうしていただきたいんですが、どうですか。

○坂口国務大臣 ちょっとそのパンフレット、私見ておりませんので、よくわかりにくいですが、その拡大をしないという場合に、それは牛の世界の中で拡大をしないという意味なのか、それともそれが人間に対しての影響のことを含めて言っているのかということが、ちょっと私今お聞きしただけではよくわかりません。

 いずれにいたしましても、その辺のところを、明確なものをつくって国民の皆さん方に供するということは当然大事なことでございますから、そうさせていただきたいと思っております。

○筒井委員 それで、この感染源の究明に関しては、先ほど農林省の問題だというふうに言われましたが、これはまさに食の安全そのものの問題で、農林省の問題だから農林省に任せておけばいいという問題ではない。農林省に任せておくと、今現在もまだ解明されていないんですから、一頭の問題が。どういう調査しているのか。それぞれの酪農家に聞いただけで、そこで否定されてそのままに終わっているようですが。

 これは、やはり農林省の問題だと言って捨てておくんじゃなくて、厚生省も、食の安全の問題なんですから、安全宣言の前提だと私は思いますから、やはり少なくとも協力して、そして一緒になってこの究明をやるべきだと思いますが、今までのところ、厚生省としては何もやっていないんですね。

○尾嵜政府参考人 千葉のケースの追跡と申しますか、そういう調査につきましては、私ども直接やっておりませんで、農林水産省の方で実施をしていただいておるというところでございます。

○筒井委員 先ほど、大臣は農林省と厚生省が連絡したり相談するというようなことを言われておりましたが、この千葉の牛の感染源の問題について、ではどういう連絡して、どういう相談していますか、農林省と。

○尾嵜政府参考人 私どもの方でケースについて連携をとっております内容は、県レベルでの衛生部局、それから農林水産部局、そういったものの連携をとっていただくという事柄とか、あるいはその……(筒井委員「いや、具体的に、この問題についてどういう連絡とって相談しているかということです。一般論じゃない」と呼ぶ)

 屠畜場において、このケースについては、屠畜場に行った後、農林水産省所管の研究所の方で診断をされたわけでございますので、屠畜場の方の状況については、私どもの方から聴取し、また農林水産省の方の聴取とあわせて連絡をとり合っている。

 その後の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、追跡については農林水産省の方がやっていただいているわけでございますが、そういった結果につきましては、私どもの方にも御連絡がある。その中で、具体的に私どもの方に協力をしてほしいという事柄につきましては、そういう処理について、屠畜場関係でありますとか、衛生サイドで追跡をする部分がございましたら、私どもの方で対応するということで御連絡をいただく。

 それと、追いかけていった牛の状況等については、私どもの方に向こうの方から御連絡をいただいているという状況でございます。

○筒井委員 具体的なことを聞いているんだけれども、ぐちゃぐちゃしていて、何やらよくわからないような答弁ですが、これは農林省とか厚生省で任せても、これもう大分たっているでしょう、狂牛病が発生してから。まだ解明されていないんですから、第三者の究明委員会か何か設置するしかないんじゃないか。いろいろな配慮から、いまだかつて、まだわかっていない。世界じゅうで日本だけじゃないですか、こんな感染源が今に至ってもまだ究明されていないというのは。それがまず一つ必要だというふうに思います。

 それからもう一つ。先ほどちょっと話が出ましたが、やはり食品行政が、食の安全性に関する行政がこういうふうに二つに分かれているこの縦割り行政、これは大臣自体も認められておるようですが、この弊害のあらわれだ。これは、相談とか連絡とかという体制じゃなくて、もう一体化しなくちゃいかぬのじゃないか。先ほど食品行政庁の、EUの構想が出ましたし、それからイギリス、ドイツ等々で、この狂牛病の問題がどうも一つの契機になったようですが、食品行政が一体化されているようですが、これをぜひ一体化しなければいけないという段階に至っていると思います。

 そのことを申し上げまして、この感染経路遮断の問題の一つとしては、一つは、牛に対する感染経路の遮断の問題がある。それからもう一つは、人に対する感染経路の遮断の問題がある。この人に対する感染経路の関係では、牛肉等の輸入禁止等の問題がございまして、これは厚生労働省の担当ですから、これについて確認をしたいと思います。

 厚生労働省は、ことしの二月の十五日に、EUからの牛肉、牛臓器、それらを原材料とする食品、製品を食品衛生法に基づき輸入禁止した。ことしになって法的な輸入禁止措置をとった。

 しかし、イギリスで狂牛病が発見されたのは一九八六年、約十五年前でございます。それから、その狂牛病が人へ感染する新型ヤコブ病の指摘がされたのが九六年、五年前でございます。五年も十五年もほっておいて、初めてことしになってこういう措置をとったのは遅過ぎると思います。これは、行政の不作為、怠慢だと思います。この間に輸入した牛肉等で感染したら、まさに今問題の、別の問題になっている、裁判にもなっているのと問題が一緒になると思います。

 そして、厚生労働省は、行政指導としては、九六年三月、イギリスからの牛肉、それから低発生国からの脳とか脊髄等の危険部位の輸入自粛。この行政指導は九六年の三月に行われました。このときに、BSE発生対策が十分にとられていないと考えられる英国産の牛肉とか加工品等を行政指導で一応自粛するようにという措置をとったわけでございました。少なくともこのときに、法的措置としてことしとった措置を、輸入禁止措置をとるべきではなかったですか。

○尾嵜政府参考人 お話ございましたように、平成八年の三月、一九九六年の三月から、英国産の牛肉及び加工品等の輸入自粛を指導してきておるわけでございます。

 その後も、法的な措置ではなしに、自主的な対応ということで自粛をしていただいているわけでございますが、実態上は、検疫の方に回ってまいりますこういった食肉等につきましては、全部をチェックされまして、そういったものが、該当するものがあればすべてそこでとめ置かれるということで、こちらの方には、日本の中には入らないという実質的な内容があったわけでございます。

 そういった状況の中で、ことしの二月に、その二月の前に、十二月に、EU諸国で広がった、狂牛病が出てきたわけでございまして、そういう範囲を広げて、十二月から自粛の幅を広げたという状況でございますが、それを二月の時点で食品衛生法に基づく措置としての輸入禁止措置にした。それ以降は、一頭でも発生した国からの牛肉等、加工品も含めまして、輸入は禁止するという対応をとってきているところでございます。

○筒井委員 自主的な自粛で全部輸入禁止と同等の効果があるならば、ことしになってそんな法的な輸入禁止の措置をとる必要はないので、この九六年の三月時点で食品衛生法に基づく輸入禁止措置をとれない何か理由がありましたか。

○尾嵜政府参考人 当時どういう議論があったのか私は承知をしておりませんが、この当時の状況は、先生がおっしゃいましたように、イギリスの方で、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というものが狂牛病に罹患した牛の特定危険部位等を食することによって感染するのではないか、そういう状況があったわけでございますが、日本では、そういったヨーロッパの状況はあるにいたしましても、直ちに法的な禁止措置をとるような状況ではないだろうという判断があったんだろうと考えております。

○筒井委員 その判断の根拠は何ですか。

○尾嵜政府参考人 イギリスの発生状況、他国の発生状況、我が国の状況というものから判断したものであろうというふうに思っております。

○筒井委員 全く答えていないんですが、これは、例えばアメリカは、イギリスからに限って、反すう動物、牛肉製品の輸入禁止を八八年にやっていますね。つまり、イギリスで八六年に発生して二年後です。日本の行政指導は九六年ですから、日本の今の自粛指導からさえも十余年も前にその措置を直ちにとっている。それから、BSE発生国全体からの輸入禁止を九一年にとっている。これでさえ、今の輸入自粛の行政指導よりも五年も前。大幅におくれているわけでして、まさに不作為。

 大臣、この点についてはどう思いますか。

○坂口国務大臣 今お話をいただいている、その輸入禁止が肉についてなのか、それからそれ以外のものも含めてのお話なのか、若干私はわかりにくいところがございますが、肉について申し上げれば、これは肉、牛乳につきましては、科学的にはここからは人に対しまして感染しないということになっているわけであります。ですから、本当は、現在の科学水準からいうならば、ここは禁止ということはしなくてもいいではないかという御意見が今まで多かったことが事実でございます。

 しかし、ことしの二月からは、そうはいってもこれは国民の皆さん方の不安というものもあるので禁止ということにしようではないかというので、ヨーロッパ各地域の発生国のものも含めてそれは禁止にした。

 だから、英国のものは若干その前に禁止になっていたというふうに思っております。

○筒井委員 今のはおかしな話で、安全だということがはっきりしていれば、今だって輸入を禁止する必要はないんですよ。安全だろうけれども心配だという点があるから、九六年にこういう行政指導をしたわけでしょう。だから、それをもっと早くすべきじゃなかったか、遅過ぎたんじゃないかということを私は言っているのです。

 それで、特に厚生省の九六年に輸入自粛措置をとったときの理由が、BSE発生対策が十分にとられていないと考えられる英国産の牛肉及び加工品、だから輸入自粛政策をとった、こう言っているわけで、英国においてBSE対策がきちんととられていないことがわかっていたわけですよ。だからこの輸入自粛政策をとったというふうに厚生労働省自体が言っているじゃないですか。今の大臣の話と違うのです。

 さらに、日本で今度、九月の十日ですか、狂牛病の発生がこの前ありました。日本で九月十日の狂牛病の発生が報じられたときにアメリカとか韓国がどういうふうに対応したかというと、同じ日、九月十日に輸入禁止措置をとっている、日本からのですよ。日本からの牛肉の輸入禁止措置を、アメリカも九月十日、韓国も九月十日、オーストラリアは九月二十四日。即日あるいは直ちでしょう。こういう諸外国の食品行政の対応と比べたら、日本は余りにも遅過ぎるんじゃないですか。その点、どうですか。

○尾嵜政府参考人 現在の状況は、先ほど御説明申し上げましたように、私どもも、二月に法的な禁止措置をとったという以降、新たに一件のそういった牛が発生したという国においても直ちに輸入を禁止するという措置をとっておりまして、今回の御指摘ございました、韓国がとられた措置あるいはアメリカという御指摘がございましたが、現状は私どもも同様な対応をしておるということでございます。

○筒井委員 二〇〇一年までずっと法的な禁止措置をとらなかった、つまりイギリスで発生してから十五年もほうっておいた、この責任は極めて重いと考えておりますが、この輸入禁止以前の輸入牛肉は安全だということもまた厚生労働省は断言しております。しかし、輸入禁止以前のものが安全だと本当に断言できるのかという点、文書で断言しておりますが、本当に断言できるのか、この点ちょっとお聞きしたいと思うんです。

 イギリスあるいはヨーロッパ、EUにおいて、この輸入禁止以前に屠畜の体制はどうなっていましたか。今度、屠畜解体処理過程、先ほどちょっと話がありましたように、十八日から日本は大きく変更して、脊髄の処理の問題とかこういうものもやるようですが、日本がこの十八日からやろうとしている屠畜解体処理の適正化、この体制をイギリスとかEUは輸入禁止以前にもとっておりましたか。

○尾嵜政府参考人 特定危険部位の除去という点については、既にイギリス等ではとっておったというふうに承知しております。

○筒井委員 十八日からやろうとしているのは、それだけじゃないでしょう。特定危険部位の除去なんというのは前から言っているので、今度初めて法的な措置にしたわけでしょう。それ以外に、全頭検査を十八日から始める。それから、ワイヤによる、脊髄や脳でもって、牛を殺す、この作業が、やはりたんぱく質が食品部分につく可能性があるので、その処理をきちんとする。それから、脊髄の背割れ方式も、たんぱく質がつかないように、異常プリオンがつかないように処理をする。こういう体制を日本は十八日からとるわけでしょう。

 そういう体制をEUやヨーロッパが輸入禁止以前にとっていたかどうかを聞いているんです。

○尾嵜政府参考人 イギリスの、その時点で、私どもが今回整理をしました内容が、どこまでされておったかということについては、私どもの方では正確に把握をいたしておらないという状況でございます。

○筒井委員 把握していなかったら安全だという断言できないでしょう。厚生労働省のホームページや何かでも、輸入禁止以前のやつは全部安全ですと。しかし、屠畜の解体処理の過程で、本当に安全な体制がとられていたかどうかわからないと今言われた。そんなのがわからないで、どうして安全だという断言を国民に対してしているんですか。

○尾嵜政府参考人 輸入されております肉について、先ほど来私も申し上げておりますが、乳・乳製品、一般の骨格筋については基本的には問題ないという考え方でございます。

○筒井委員 問題ないという考え方なんて聞いているんじゃないんですよ。そういうふうに、一つの屠畜の処理解体の過程において異常プリオンが食肉につく可能性がある、これをつかないような体制をとっていたかどうかわからないと言っているんでしょう。それで何で安全だと言えるのか、こういう質問なんです。

○坂口国務大臣 過去の英国において、あるいはヨーロッパにおいてどういう体制がとられていたかというところまで、正直言って私もわかりません。したがいまして、そのときのものがどうであったかということも私は今言うわけにいきませんけれども、ことしの二月に、ヨーロッパからの肉を制限する、禁止をするということを決めましたとき、これはもう私になってからでございますから、決めますときにも、いろいろ、同じ肉といいましても、肉の場合には、これはここからは人間に対してはうつらないんだから、これは禁止でなくてもいいではないかという議論があったことも事実でございます。しかし、そこはもう明確にしようということで、してもらったわけであります。

 肉というふうに言いました場合に、肉だけではなくて、いわゆる内臓も一緒に肉のたぐいとして入ってくる嫌いがある。内臓の中もいろいろでございますけれども、回腸部分というようなところには、これは危険部位として存在をするということでございますから、そうした点は明確にした方がいいのではないかというので、実は明確にしてもらったわけでございます。

 だから、それ以前のことは私もちょっとわかりかねるわけでございまして、事務局の方もそのことはわからないということを言っているわけで、だからそれは、そこまで調べてはいなかったということだと思います。

○筒井委員 私は、わからないことを批判しているんじゃないんです。わからなかったらわからないように言えと言っているんです。わからないのに安全だと断言しているから。自分で、厚生省自体がそういう質問事項を立てて、では輸入禁止、二〇〇一年から、ことしからやった、それ以前の牛肉は安全だったのか、安全です、心配ありませんと何回も断言しているのですよ。だけれども、そういう安全宣言を出すためには、では屠畜の体制がどうだったのか、どういう体制で異常プリオンが絶対つかないような体制になっていて輸入されていたのかどうか、調べてから言うべきでしょう。どうもこういうのが多いから私は聞いているんですよ。

 よく調べもしないで安全だ、安全だと言ったって、これは消費者が信用しないし、実はそうでなかったことが後でわかったら、なおさら行政に対する不信感が強まるんですよ。調べていないのに、今の点、わからないのに安全宣言を出したんですか。

○坂口国務大臣 ちょっとやっていますから、後で一遍調べさせますが、過去の英国ないしヨーロッパがいつごろから、日本よりも早くやっておったことだけは間違いないわけで、日本もいろいろ屠畜のやり方を向こうから教えてもらっているぐらいですから、早かったことだけは間違いないのですけれども、いつごろからそれをやっていたかということは、ちょっと一遍調べさせます。

 そして、問題はそれだけではなくて、そういうことに対して、以前安全であったということを書いているけれども、そこはどうかというお尋ねにつきましては、一遍ホームページ等を私もチェックをさせていただきます。

○筒井委員 調べた上で適切に措置をしてほしいのです。ホームページもそうだし、農林省と厚生省が共同してつくったリーフレットもそうだし、すべて安全です、安全ですという言葉であふれているんですよ。だけれども、実際に今聞いたように、わからないのにそういうふうなことを言っていたら絶対に信用されませんから。

 今の屠畜の方法に関してだって、フランスなんて、今やっている形を変えようとしているでしょう、来年の一月一日から。今は実験段階。向こうだっていろいろ試行錯誤しているわけですよ。私は、調べなかったことも問題だけれども、それ以上に、調べもしてなくてわからないのにそんな断言をしないでいただきたいということをもう一度申し上げておきたいと思います。

 それから、今の屠殺解体処理の適正化の問題なんですが、この十八日から屠殺解体処理の適正化としてやるのが、屠殺時のワイヤによる脳、脊髄の破壊。これは本当は、ワイヤ挿入によって脳とか脊髄が肉の部分に、可食部につく可能性がある、異常プリオンが付着する可能性がある。だから、本当は消毒を一頭ごとにした方がいいんだけれども、消毒は不可能だということが一つありますね。消毒は不可能だから、これは中止した方がいいんだけれども、中止も不可能だ。だから、やはりワイヤによってまず脳、脊髄を破壊して殺してから解体作業に入る。

 ただし、この方法でワイヤの長さを脊髄に届かないようにするというふうな検討も、厚生省の方で、この十月十一日ですか、時点でもされていたようですが、そういう方法じゃなくしたんですね、結局最終的には。そうですね。結局ワイヤが脳とか脊髄に届いて付着してもいい、付着してもそれを全部洗い流すからいいんだと。きれいに洗い流す、そういう方法を十八日からやるということですね。

○尾嵜政府参考人 お話しの長さの問題は、私どもの頭からは外しております。議論はいたしましたが、そういうことでは問題の解決にはならないという話でございました。

 それで、今御指摘ございましたように、ワイヤを挿入して脊髄を破壊するわけでございますが、基本的には、こういったことをやめていただけるのであれば、アメリカに輸出するところが国内に三カ所ございますが、そういったところではこういったことをやっておらないというものでございます。そういうことから、ここに書いてありますように、衛生上の観点からは中止することが望ましいというふうに私どもは第一に考えているわけでございます。
 ただ、そういった際に、従業員の方に対します影響と申しますか、事故の問題がございますので、そこのところは現場は非常に御心配なさっているということをじかに聞いておるわけでございます。

 そういった中で、こういったことをやる際には、引き出します際には、肉がどうこうというよりは、頭の穴から若干脳組織が出てくるということがあり得るということでございます。そういうことで、そこの付着した部位については、はがしていただきまして、すべて焼却をするようにというふうに指導をするという考え方でございます。

○筒井委員 そういうふうにワイヤの長さを変更するなんということはやめたというのは、それはそれでいいのですが、それで大丈夫かどうかという心配はありますが、しかし、十月、今月の十一日付の厚生省の書面では、ワイヤの長さを変更するというふうな方針が記載されている。これは案だったのかもしれないけれども、しかし、書面として記載されている。だから、もう本当のこの直前ですよ。どういう形で適正な屠殺解体の方法をとるか、この検討を最終的に、今まさに、もう今決まったばかりという感じですね。これも遅過ぎるんですよ。もう以前からこれは指摘されていたんだから。屠殺解体の処理の過程で異常プリオンが肉に付着する可能性があるよ、これをちゃんと変えなきゃいかぬよと以前から指摘されていたのに、ずっとそれをほっておいて、今になって、直前になってこういう方法だああいう方法だと検討していること、これ自体が遅過ぎると私は思うんですよ。

 結局、だから最終的には、今のワイヤの点に関して言えば、十八日からこの新たな屠殺解体の処理の方法をとるというふうにしたわけですね、十八日から。

○尾嵜政府参考人 全頭検査に合わせて実施をしてほしいということで、この内容を都道府県の方に通知をするということでございます。

○筒井委員 それは、背割れ方式に関しても同じですね。背割れ方式、フランスが来年の一月一日からどうも導入しようとしている、吸引機によって背割れの前に事前に脊髄を除去する、こういう方式は、今厚生省はそれは検討中だと。当面は脊髄が入ったまま背割れをして真ん中から切って、そして、たとえ付着したとしてもそれはきれいに洗浄して洗い流すんだという形の徹底も十八日からやるということですね。

○尾嵜政府参考人 背割りの関係につきましては、枝肉の汚染防止の措置として、何点か対応していただくということで書いておりますのは、一つは背割り時ののこくずの回収、焼却をしていただくということ、背割りの金のこの一頭ごとの洗浄消毒、高圧水によります枝肉の洗浄、それとその後の脊髄の除去の徹底をしていただく。また、これはなかなか熟練したわざが要るように聞いておりますが、脊髄を避けて切断をするというふうなことも可能なところがあるようでございます。ただ、それは技術を要するということでございますが、こういったこともできるのであれば対応を考えてほしいという内容を整理しております。

 それと、御指摘のございましたフランスの方の体制についても、私どもも向こうの方から資料を取り寄せて承知をしているわけでございますが、そのものにつきましては、脊髄を吸引するという方式を来年の一月から法的に実施をするということを聞いておりまして、その機械につきまして、日本の方で、現場でどういうふうな状況で使えるのか、あるいは現場の対応が可能なのかというところを、できるだけ早く現物を日本の方に持ってきまして現場で使っていただこうということを検討しているところでございます。

○筒井委員 それは、吸引法については今後検討するでいいのですが、背割れ方式について続けて、しかしきれいに洗浄する、切断する際も水をかけて、それからその後も厳密に、今熟練が必要だと言われましたが、食肉についていないかも厳密に見て、そして洗い流す、これを十八日から実行するということですね。

○尾嵜政府参考人 そのとおりでございます。

○筒井委員 そうすると、十八日以前に屠殺された牛の肉は、そういう体制がとれていなかったのですから、安全という断言はできませんね。

○尾嵜政府参考人 現場では、消毒については、基本的には一頭ずつの消毒をするようにという指導は以前からやっておるところでございまして、実際にやられておるということでございます。あるいは、高圧水によります枝肉の洗浄、そういったものもやられておる。

 背割りのときののこくずの回収なり焼却というところが現場ではとられておらない。これはイギリスでとられておる措置でございますが、そういうことを今回新しい中身としてひとつやっていただくようにということで示しておるわけでございまして、ほかの項目については、これまで全くやっておらないという内容ではございません。

○筒井委員 私の質問に答えてほしいのですが、今度の十八日からやる食肉処理における特定危険部位管理要領においても、「とさつ、解体等の手順、衛生管理等を大きく変更する必要がある」。まさに、先ほど言った体制を十八日からとるわけですから、その上で安全宣言ならこの点ではわかりますが、その以前はそうではなかったわけですから、安全とは決して言えないのではないですか。その以前に、十八日以前に屠畜された牛ですよ。

○尾嵜政府参考人 これにつきましては、基本的には予防的な措置という考え方でございまして、肉そのものが、それではそれをやらなかった際にすべて御指摘のように問題があるのかどうかというところについては、洗浄するとかそういうことはやっておるわけでございまして、厳密にどういう状況かというふうなことについては、おっしゃるとおり、わからない部分がございますが、そういったものが人にすぐに影響があるというふうな考え方にはならないんではないかというふうに思っております。

○筒井委員 今言われたように、現実によくわからないところがあるんだと思うのですよ、実態は。そういう肉に対しても安全だと言って、それも含めて安全宣言したって、やはり消費者は信用しないでしょう。

 大体、今までのこういう屠殺解体の方法が、それで安全ならば今度改めて大きく変更する必要はないんですよ。大きく変更する必要があるというのは、厚生労働省自身が言っているのですよ、書面で。それはわかるでしょう。

 そうしたら、安全宣言を出すならば、それまでの、十八日前の屠殺された肉に関しては、これは別の処分をしなくてはいかぬのじゃないですか。大臣どうですか。それでなければ、それも一緒に流通したら、安全宣言を出した以降の肉だって消費者は余り信用しないですよ。

○坂口国務大臣 お答えいたします。
 一応、十七日からでございますけれども、屠殺いたしますものは三十カ月以内ということにしたわけでございます。これも科学的な話でございますから絶対ということは言えませんけれども、しかし、ヨーロッパにおきましても、三十カ月以内のものはこれは大丈夫ということになっておりまして、現在出回っておりますものは、したがいまして、三十カ月以内の若い牛ということに多分なるんだろうというふうに思います。

 その部分が今出ているわけでございますから、今までのように三十カ月以上の非常に危険な年齢のものが出回っておるというのとは、これは意味は少し違うというふうに私は思っておりますけれども、そうではなくて、現在出回っているものも、少しそれはもう、それでは十八日から宣言をするんだったら、すっかりこれはきれいにしたらどうだという御意見があることも事実でございまして、今先生御指摘になりましたようなことで、十八日までのものは全部きれいにするということで、これは厚生労働省の方よりも、これは農林水産省の方でございますけれども、話が進んでいるようでございます。

○筒井委員 今の農林水産省の問題だという意味がよくわからないけれども、屠畜された牛は流通過程にもあるわけですね。これは厚生労働省の問題じゃないですか。

 それと、今三十カ月以下の牛だから安心だと言われましたが、イギリスで二歳以上の牛がいっぱい発症しているでしょう、二十四カ月以上の牛が。三十カ月以下のやつは安心だなんて全然言えないんじゃないですか。もう一度答弁お願いします。

○尾嵜政府参考人 三十カ月齢以下につきましては、ゼロではございませんが、出ておるのはごく少数でございまして、先生おっしゃるように、たくさん出ているという状況ではございません。

○筒井委員 ごく少数といったって、ごく少数だからいいという今趣旨ですかね。イギリスで全部で十八万頭狂牛病が発生した、これだって実態はもっと多い、百万頭ぐらいだと言われているぐらいですから、そのうちのごく少数、例えば一万頭でもごく少数と言っているのかもしれないけれども、たとえごく少数でも、全部、念には念を入れて安全だという体制をとらない限りは、何%かは心配ですよと言ったら、消費者はそれは安心するはずがないじゃないですか。

 大体、そういう方法をとっているのですか。パーセンテージが、確率が低いからいいんだというふうな厚生省はそういう対応をしているのですか、大臣。それから、今の問題は、これは農林省の問題だけではなくて、厚生省の問題でもあるという点もお答えください。

○坂口国務大臣 そこは、流通過程にありますものは、厚生労働省のいずれにしても所管でございますから、それはそのとおりでございます。

 これも含めまして、十八日以前のものは処理をするという方向で現在進んでおります。

○筒井委員 十八日以前に屠畜された牛は処理をする方法で進んでいるというお答えですが、その処理というのは国が買い上げるということですか。具体的にはどういう形ですか。

○尾嵜政府参考人 大臣が申し上げましたのは、御質問がございました、十八日以前の肉をどうするかという御質問に対するお答えでございまして、屠畜場の牛のことを言っているのではございませんで、流通している肉についてどうかという御質問に対するお答えでございます。

 その中身は、肉についてはそれを買い上げるというようなお話が既に報道されているようでございますが、出ておるのは、昨日出ておるという状況でございまして、今政府の中で検討しておるというふうに聞いております。

○筒井委員 もう、あした安全宣言を出されるのなら、それもはっきり決めて出さなければいかぬので。

 今も検討している、大臣はどういう方向でそれは検討しているのですか。

○坂口国務大臣 ここはまさしく農林水産省と厚生労働省とで検討しなければならない問題だというふうに思いますが、全量買い上げということで話が今進んでいるというふうに聞いております。

○筒井委員 この解体処理の過程の問題なんですが、千葉の狂牛病の牛がなぜ肉骨粉に加工されたのか。頭部は焼却されたようですが、それ以外は肉骨粉に加工された。屠畜場の問題ですから、これは厚生労働省の責任でもありますね。

○尾嵜政府参考人 千葉のケースについての経緯を若干申し上げますと、その牛につきましては、御指摘のように屠畜場の方に参ったわけでございますが、屠畜場のと畜検査員、獣医師でございますが、その診断は敗血症という診断でございました。そういうことで、御指摘のようなBSEを疑うような診断をしておらない……(筒井委員「経過はいいです、もう時間がないので」と呼ぶ)そういう診断でございまして、廃棄ということに決定をしたわけでございます。

 その際に、その脳の部分を、県の方を通じまして動物衛生研究所の方に、県の家畜衛生研究所の方が欲しいということで来られまして、お渡しをし、それが最終的には動物衛生研究所の方に行って検査がされた。結果的に疑いが出た、検査の結果疑いが出た。タイムラグがございますが、その間に両者とも、検査結果を連絡するまでとめ置くというふうな意識がなかったというのが事実でございまして、屠畜場の方では敗血症ということで、全くそういう疾患を疑わなかったということで敗血症としての処理をしたということでございます。

○筒井委員 大体、厚生労働省は、一九九六年にと畜場法施行規則を改正して、屠畜場においてBSEの罹患の有無を生体検査により診断しているところだと。本年、ことしの五月より、欧州等におけるBSEの多発等も踏まえ、我が国におけるBSEの状況を確実に把握するため、精密検査によるサーベイランスを開始したところです。こういう体制をつくっていたのでしょう。

 こういう中で、千葉の狂牛病の牛が肉骨粉に加工されていた。しかもここには、回腸、小腸の一部の部分、危険四部位のうちの一部が入っていますね、頭部は焼却されたかもしれないけれども。危険四部位の一部も入って肉骨粉に加工されて流通されていた。これは厚生省の責任はないのですか。

○尾嵜政府参考人 私どもの方では五月からサーベイランスをやりまして、その際に、神経症状があっていわゆる狂牛病が疑われる、そういう神経症状があるものというふうなことでサーベイランスの検査の対象にいたしておりました。

 それについて、今申し上げましたように敗血症ということで、そのサーベイランスの検査をしていただく対象にはならないという判断を屠畜場のと畜検査員がしたということでございます。その判断がどうであったかという議論はあろうかと思いますが、敗血症という診断については、その解体の状況から見て、間違った診断ではないのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。

 後の段階から見まして結果的に、検査の結果そういうふうに出てきた、疑いがあるということを考えますと、今の時点でその判断がどうであるかという議論はあり得るとは思いますが、敗血症という診断をした限りには、それ自体を非難するといいますか、問題かどうかというのはなかなか難しい点ではないかと思っております。

○筒井委員 それはおかしいのでね。当時、狂牛病についての意識が全くなかったということを前提にすれば、あの症状だと敗血症だというふうに診断するのも無理はなかったと言えるのかもしれません。しかし厚生省はもうずっと、何年も前に、十五年も前に狂牛病が発生して以降、こういう監視体制をとっておりましたというふうに言っているでしょう、これも文章で。

 こういう監視体制をとっていた中で、もしそれが事実とすれば、これは神経症状が出たのだから、それを敗血症と診断したのは間違いでしょう。厚生省はそういう体制をとっております、おりましたというふうに言っているのだけれども、実際はとっていなかった、狂牛病が出るなんて思いもしなかった、だからこういう結果になったんじゃないですか。

○坂口国務大臣 私も、その経過というものをずっとチェックいたしております。今御指摘になりましたように、なぜそのところがうちのところで通過してしまったのか、大変私も問題を持った次第でございます。

 そしてそこをチェックしてまいりますと、屠畜場に入ってまいりますときに既に敗血症という診断で入ってきたことも事実。そして解体をいたしましたら、筋肉、肝臓、リンパ腺と、非常に炎症症状を示しておりまして、そして敗血症があったことも事実。

 それで敗血症としてその牛を処理したというところに、敗血症もあったけれども、しかし、ほかの病気もあるかもしれないという、そこが抜けていたと申しますか、そこが厚生労働省の責任としてはあったというふうに私は思っております。

○筒井委員 時間が来たので、最後に一つだけ。
 厚生労働省と農林省自体が認めているのですが、今回消費者の間で不安が大きくなったのは、焼却処分されるべき牛が飼料原材料に処理されていたことが大きな原因です。まさに今大臣が認められた責任が今度の不安を非常に大きくしたのです、消費者の不安を。これが今度の騒ぎを非常に大きくした。

 これは農林省にも責任がある。農林省と厚生省の責任だと思います。この責任についてもう一度最後に答弁いただいて、私の質問を終わります。

○坂口国務大臣 農林水産省の方で検査をされたその結果がBSEの疑いであるという、そのことがこちらに連絡の来るのも遅かったことも事実でございます。そのときには既に、連絡をいただいたときには既にその解体が進み、そしてその内臓が肉骨粉となって出荷されてしまったということも事実でございますが、その前に、やはり私の方もそういう体制を整えているわけでありますから。それで、現在までに、そういう症状のあるものにつきましては七十数例、今までにいろいろの検査をいたしておりまして、そして大丈夫かどうかのチェックもして、今までのところは幸いにして陽性のものは出なかった、そういうこれまでのものもあるわけでございます。

 ですから、皆チェックはしていたわけですけれども、今回の場合に敗血症という診断で入ってきて、そして事実、それをあけてみたら敗血症だったものですから、もうその病気だけというふうに限定してしまったところにこちらの間違いがあったと申しますか、そこが今回の騒ぎに結びついていった。だから、一つの病気があっても、ほかの病気がそこになおかつ介在しているということをこれからは疑っていかなければならないということを内部でも言っているところでございます。

○筒井委員 終わります。


2001/10/17

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