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平成12年7月27日
特殊法人情報公開検討委員会
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「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年5月14日法律第42号。以下「行政機関情報公開法」という。)第42条及び附則において、政府は、特殊法人及び独立行政法人について、その性格及び業務内容に応じた情報公開に関する法制上の措置を、行政機関情報公開法の公布後、2年を目途として講ずるものとされている。これを受け、昨年7月、行政改革推進本部の下に、特殊法人の情報公開制度その他これに関連する制度の整備について検討する機関として、特殊法人情報公開検討委員会(以下「本委員会」という。)が設置された。
我が国においては、行政は、行政機関のみならず、特殊法人など、行政機関の周辺に設置されている多くの法人により担われており、国民に対する政府の説明責務を全うする観点から、これらの法人について情報公開制度をどのように整備していくかが課題となっている。
本委員会では、行政機関と同様に、国民に対する政府の説明責務が全うされるようにするための法制度を確立する観点から、特殊法人及び独立行政法人のみならず、
これらに準じて検討することが必要と考えられる認可法人等についても視野に入れて、31回にわたり調査審議を重ねてきた。
本意見は、特殊法人、独立行政法人及び認可法人(以下「特殊法人等」という。) に関する情報公開法(仮称。以下「特殊法人等情報公開法」という。)の制定を提言するとともに、特殊法人等情報公開法に盛り込まれるべき内容の骨子及びその趣旨をまとめたものである。この中には、行政機関情報公開法に準じて規定すべきであるが、特殊法人等の制度にふさわしいものとするための法制技術的検討を要するものなど、政府の検討にゆだねた部分もある。
情報公開制度は、国民に信頼される民主的な行政を実現するための基盤的制度であるとともに、行政改革を推進する大きな原動力となるものである。特に、今日、行政改革の課題の一つとして特殊法人等の改革が挙げられているが、情報公開制度の整備充実は、特殊法人等情報公開法の対象となる法人(以下「対象法人」という。)の経営や業務の実態について国民の一層的確な理解と批判を可能とし、対象法人に自らの改革努力を促すとともに、国民の支援の下に改革を推進することとなると考える。
本委員会は、政府が、特殊法人等に関する情報公開法制の整備に対する国民の要請に応えるため、本意見に沿って、速やかに法案立案作業を進めるよう要請する。
第1 目的 |
本委員会の検討は、行政機関情報公開法を受け、国民に対する情報公開法制を整備する一環として行うものである。 行政機関情報公開法は、主権者たる国民に対する政府の説明責務が全うされるようにすることを目的としている。特殊法人等情報公開法も同様に、政府の国民に対する説明責務が全うされるようにすることを目的とする。 情報公開制度は、開示請求権制度と情報提供制度とから構成されるものであり、行政機関情報公開法では、開示請求権制度が中核として位置付けられている。特殊法人等情報公開法においても、開示請求権制度の役割の重要性は、いささかも変わるものではない。 特殊法人等は、国から独立した法人として、その経営や業務遂行に自主性を与えられているものであるが、行政機関に比べ、業務内容や財務内容等が国民に分かりにくいとの指摘がなされている。特殊法人等の業務内容や財務内容等の透明性を高めるには、法人自らが積極的に国民に情報を発信する情報提供制度の拡充強化が不可欠である。これは、特殊法人等に経営や業務遂行の自主性を与えた趣旨にかなうだけでなく、国民にとって見えにくい特殊法人等の全体像をつかむ「道しるべ」にもなる。 このため、特殊法人等情報公開法においては、開示請求権制度に加え、情報提供制度をこれに並ぶものとして明確に位置付けて、情報公開制度を構築するものであり、両者が相まって情報公開が一層推進されることが期待される。 |
第2 対象法人
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前記第1の目的を達成するためには、国民に対し、政府の諸活動についての説明責務を自ら有する法人を特殊法人等情報公開法における対象法人とする必要がある。 政府の諸活動は、行政機関のみならず、様々な主体と方法により実施されている。それらの主体のうち、政府の一部を構成すると見られるものは、行政機関と同様に、その諸活動について国民に対する説明責務を自ら有するものである。 特殊法人等については、各法人の組織、業務内容、国による関与等を規定する法律(独立行政法人にあっては、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)を含む。以下「設立法」という。)が定められているが、政策上の必要性か ら様々なものが設けられてきており、それらを一律に政府の一部を構成する法人と見ることはできない。政府の一部を構成すると見られるかどうかは、各法人の設立法で定められている組織・制度の趣旨により判断されるものであり、本委員会では上記のとおりの判断基準を示した。その上で、法律上、対象法人を明確にし、国民に分かりやすいものとする観点から、対象法人を特殊法人等情報公開法の別表に掲げることとする。 (注) 今回、検討対象とした特殊法人等については、附表を参照されたい。 |
判断基準の考え方は、次のとおりである。 | ||
1 | 特殊法人、独立行政法人又は認可法人であって、設立法において、理事長等の法人の業務執行に関する最高責任者を大臣等が任命することとされているもの又は当該法人に対し政府が出資できることとされているものは、対象法人とする。すなわち、これらの法人は、設立法が、その組織・制度の最も根幹的な要素に政府が直接参画・関与することを規定していることから、政府の一部を構成すると見られ、政府の説明責務を自ら負う法人と考えられる。 なお、独立行政法人は、独立行政法人通則法において、行政を担う主体として定めている趣旨が明らかであり、また、上記の任命及び出資による基準にも該当することから、すべて対象法人とする。 |
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2 | 以下の法人は、1の一般的判断基準にかかわらず、設立法の趣旨から、次のとおり取り扱うこととする。 | |
(1) | 公営競技関係法人 | |
設立法において、公営競技の収益金の一部を関連産業の振興等のために配分する業務を実施させるために設立することとされている法人は、対象法人とする。すなわち、我が国においては、賭博行為は刑法上処罰の対象とされているが、これらの法人は、その違法性が特に阻却された上で実施される公営競技に関連して、その施行者から納付された、あるいは公営競技を自ら実施して得た公的資金ともいうべき収益金を公益的事業に公正に配分するという国の施策を実施させるため、設立法により特別に設けられている法人であり、政府の説明責務を自ら負うべき法人と見ることができる。 | ||
(2) | 特殊会社 | |
特殊会社は、その設立法に基づき業務が法定されているが、政府の任命する設立委員により商法上の手続に従って設立され、商法の適用を受ける法人であり、このことは、民間の経営手法を活用し、営利企業の行動原理にのっとった経営が行われることを前提としている。設立法がこのような株式会社形態をとることとした趣旨から、対象外とする。 しかしながら、関西国際空港株式会社は、株式会社であっても、設立法により政府が株式の50%以上を保有しなければならないとされ、政府として民営化の方針が決定されておらず、株式も公開されていない。また、同 社は、空港の建設と運営等の業務を行っているが、政府の出資が専ら空港の建設資金として供給されており、空港の建設は国(運輸大臣)が基本計画を決定し、これに従って会社が建設を行うこととされている。 以上の点にかんがみれば、空港の建設業務については同社は国民に対する説明責務を有するものと考えられ、同社を対象法人とする。 一方、空港の運営等は、他の特殊会社と同様に、株式会社として営利企業の行動原理にのっとった経営が競争の下に行われていることから、国民 に対する説明責務の対象とならないため、空港の運営等についての文書が空港の建設についての文書と明確に区分されている場合には、開示請求の対象外とする。(後記「第3 対象文書」参照) |
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(3) | 共済組合等 | |
専ら組合員等の相互の扶助・救済を行う共済組合等の法人は、対象外とする。すなわち、これらの法人の活動は、組合員等の構成員からの拠出と
各制度に共通する国の負担等に基づき、専ら構成員のために行われるものである。これらの法人は、その目的が相互の扶助・救済にあり、国民一般に対して説明責務を有すると見ることはできないことから、対象外とする。
なお、これらの法人に対する政府の負担行為や監督行為は、政府の諸活動 であることは言うまでもなく、したがって、これらの行為に関して行政機関が保有している文書は、当然に行政機関情報公開法の対象文書である。また、これらの法人は、構成員に対しては説明責務があると考えられ、構成員に対する情報公開は別途進められるべきものと考える。 なお、共済組合等とこれ以外の法人とが統合されて設けられた法人については、「専ら組合員等の相互の扶助・救済を行う法人」には該当せず、対象法人の当否は、上記1の基準により判断することとなる。(対象文書の取扱いは、後記「第3 対象文書」参照) |
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(4) | 日本放送協会 | |
日本放送協会は、全国あまねく受信できるように豊かで良質な放送番組による国内放送等を行うものとして、放送法(昭和25年法律第132号)に基づき設立されている。放送法では、同協会の放送について、一般放送事業者の放送と同様に「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」とされ、また、同協会の放送が、受信者からの契約による受信料の収入により維持することとされていることの趣旨から、同協会は、政府の諸活動としての放送を行わせるために設立させた法人ではないと理解され、対象外とする。 以上のように、同協会については、特殊法人等情報公開法における対象 法人としないが、受信契約強制によって受信料を支払う立場にある受信者に対し、関連事業に対する出資等の状況を含め、その財務及び業務運営の実態を一層明らかにし、受信者からの情報入手の要請に適切に応えることができる仕組みを構築することが重要と考える。 したがって、政府と同協会は、子会社等との連結を含む財務及び業務運 営の実態についての情報提供制度や求めに応じて情報を開示する制度の整 備について検討することが求められる。また、求めに応じて情報を開示する制度を検討するに当たっては、請求者が同協会の開示・不開示等の判断 に不服がある場合に、第三者による中立的な判断を加味する仕組みを検討することが適当と考える。 |
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(5) | 日本銀行 | |
日本銀行は、認可法人と位置付けられ、その業務は日本銀行法(平成9年法律第89号)に規定されている。同法によれば、日本銀行は、銀行券発行、金融政策等の政府の諸活動の一環と理解されるものを担うこととされ、一方で民間銀行と同様の業務も行うこととされているものの、前者については自ら国民に対する説明責務を負うべきことから、対象法人とする。 ただし、こうした業務は、相互に密接に関連しつつ遂行されていることから、本法制においては、一体のものとして取り扱うこととする。 |
第3 対象文書 |
開示請求の対象となる文書(以下「対象文書」という。)の範囲については、政府の諸活動を説明するために必要十分な範囲とするとの考え方の下に、行政
機関情報公開法と同様とする。すなわち、対象文書は、対象法人の職員が組織的に用いるものとして、当該法人が保有している文書であって、電磁的記録も含むものとする。ただし、官報等市販されているもの及び歴史的、文化的な資料等として特別の管理がなされているものは、対象外とする。 対象法人が複数の法人の統合により設けられた法人であって、統合前の一方 の法人が、組合員の相互の扶助・救済のための共済事業を専ら行う法人として、統合されていなければ、前記第2の2の(3)に該当し、対象外の法人となるときに、統合されて設けられた法人において共済事業についての文書が共済事業以外の事業についての文書と明確に区分される場合には、当該共済事業についての文書は、対象外とする。 関西国際空港株式会社の業務のうち、空港の運営等は、国民に対する説明責務の対象とならないため、空港の運営等についての文書と空港の建設についての文書とが明確に区分される場合には、空港の運営等についての文書は、対象 外とする。(前記「第2 対象法人」参照) |
第4 不開示情報
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1 | 原則開示の基本的枠組み | ||
開示請求権制度は、何人に対しても、開示を請求する理由や利用の目的を問わず、対象文書の開示を請求することができる権利を定める制度である。
このように、対象法人の保有する情報を広く公開することに公益性がある一方、対象法人が保有する情報の中には、開示することにより、私的な権利利益を害し、又は公共の利益を損なうおそれを生ずるものがある。そこで、開示請求権制度においては、一定の合理的な理由に基づき不開示とする必要が
ある情報を不開示情報とし、不開示情報が記録されている場合を除き、対象文書は請求に応じて開示されるものとすべきである。 行政機関情報公開法では、行政機関の長は、適法な開示請求があった場合は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されているときを除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示する義務を負うとの原則開示の基本的枠組みを定めているが、特殊法人等情報公開法でも同様の枠組みを定めるこ ととする。 |
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2 | 不開示情報の類型 | ||
(1) | 不開示情報を規定するに当たっては、できる限り明確なものとする観点から、行政機関情報公開法に準じて、不開示とすることにより保護しようとする法益に着目し、対象法人の保有する情報を事項的に類型化した上で、類型ごとに支障の有無に関する定性的な判断基準等を規定することとする。 不開示情報の実質的な範囲については、行政機関情報公開法と法目的が 基本的に同様であり、不開示情報の保護法益は当該情報を保有する者が異なっても変わるものではないことから、同法の規定を実質的に変える必要はなく、同様のものとする。 したがって、不開示情報は、以下のとおり、基本的に行政機関情報公開法第5条の第1号、第2号、第5号及び第6号に準じて規定することとする。具体的な規定については、特殊法人等の保有する情報や事務・事業の性質に即したものとする必要があることから、政府において行政機関情報公開法の規定を基に必要な見直しを行うことにより、できる限り明確に規定することとする。 |
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ア | 個人に関する情報 | ||
本規定は、特定の個人が識別され得る情報を開示すると、一般に、プ ライバシーを中心とする個人の正当な権利利益を侵害するおそれがあることから、特定の個人が識別され得る情報を不開示情報として基本的に保護するものとし、一般的に当該個人の利益保護の観点から不開示とする必要のないもの及び保護利益を考慮しても開示する必要性の認められるものを例外的に不開示情報から除こうとするものである。 個人に関する情報については、行政機関情報公開法第5条第1号に準じて規定することとする。 対象法人の職員の職務遂行に係る情報は、職員個人に関する情報であるとともに、当該法人の事務・事業に関する情報でもある。したがって、政府の諸活動として行われる対象法人の事務・事業について、国民に対する説明責務を全うさせる観点から、行政機関情報公開法第5条第1号ハの規定に準じ、対象法人の職員の職務遂行に係る情報のうち、当該職員の職名と職務遂行の内容に係る情報を不開示情報としての個人に関する情報から除くこととする。また、対象法人が国家公務員又は地方公務員である者の職務遂行に係る情報を保有することが想定されるため、当該公務員である者の職名と職務遂行の内容について、特殊法人等情報公開法に同様の規定を設けることとする。 行政機関が対象法人の職員の職務遂行に係る情報を保有することも想定されるため、行政機関情報公開法においても、対象法人の職員の職名と職務遂行の内容について、同様に不開示情報としての個人に関する情報から除くことが必要である。 |
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イ | 法人その他の団体等(以下「法人等」という。)に関する情報 | ||
本規定は、対象法人及び請求者に対し第三者的立場にある法人等において事業を営む上で権利利益を害するおそれのある情報及び法人等から任意に提供された一定の情報について、行政機関情報公開法第5条第2号と同様に不開示情報として保護するものである。 ただし、行政機関情報公開法第5条第2号には、第三者的立場にある法人等に対象法人が含まれていることから、本規定においては、対象法人を法人等から除くこととする。 行政機関情報公開法においても、対象法人を同法第5条第2号における法人等から除くことが必要である。 |
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ウ |
対象法人、国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報(以下「審議・検討等に関する情報」とい う。) |
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本規定は、対象法人、国の機関等の審議・検討等に関する情報について、政府の諸活動についての説明責務を全うする観点から原則開示としつつも、その適正な意思決定を保護するため、一定の要件の下に、審議・検討等に関する情報を不開示情報とするものである。 対象法人は政府の一部を構成すると見られる法人であり、その適正な意思決定を保護する観点から、行政機関情報公開法第5条第5号に準じて、開示することにより、率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがある等の看過できない支障がある場合に限り、当該情報を不開示と規定することとする。 行政機関情報公開法においても、対象法人を同法第5条第5号に追加することが必要である。 |
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エ | 対象法人、国の機関又は地方公共団体の事務・事業に関する情報 | ||
本規定は、対象法人、国の機関等の事務・事業に関する情報について、 開示することにより、事務・事業の性質上、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示情報とするものである。 対象法人は政府の一部を構成すると見られる法人であり、事務・事業の適正な遂行を保護するとの行政機関情報公開法第5条第6号と同趣旨の規定を設けることとし、同号イからホまでに対応する規定については、対象法人の保有する情報や事務・事業の性質に即して見直しを行った上で、規定することとする。 行政機関情報公開法においても、対象法人を同法第5条第6号に追加することが必要である。 |
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(2) | 特殊法人等情報公開法では、行政機関情報公開法第5条第3号(国の安全等に関する情報)及び第4号(犯罪捜査等に関する情報)に相当する規定は設けないこととする。すなわち、これらの規定は、国の安全や公共の秩序等国民全体の基本的な利益の擁護に当たる内閣(行政機関)に課された重要な責務にかかわる情報に関するものである。加えて、情報の性質上、開示・不開示等の決定に当たり、高度の政策判断を要する等の特殊性を有し、三権の一つである内閣の下にある行政機関の長の責任において自らその決定をするものとして規定されている。したがって、対象法人が開示決定をすることとなる特殊法人等情報公開法では、これらの規定に相当する規定は、特に設けないこととする。 対象法人が、行政機関情報公開法第5条第3号又は第4号の情報に相当する情報を保有することは多くないと考えられるが、仮に、これらが記録された文書を保有し、それに対する開示請求を受けた場合には、後記第5の4の移送手続により、処理することとなる。 なお、他国政府の業務資料や国際会議における会議資料等他国や国際機関等との交渉等に関する情報については、前記(1)のウ又はエ等の不開示情報の規定に照らして当該対象法人が開示・不開示の判断をすることとなるが、前記エの事務・事業に関する規定の立案に当たっては、対象法人の保有する情報や事務・事業の性質を踏まえ、これらの情報についての保護法益にも留意する必要がある。 |
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3 | 部分開示、公益裁量開示、存否に関する情報 | ||
行政機関情報公開法第6条では、原則開示の基本的枠組みの一つとして、文書の一部に不開示情報が記録され、それを他の部分と容易に区分して除くことができる場合等には、行政機関の長に対して部分開示を義務付けているが、特殊法人等情報公開法においても、同様の場合が考えられるので、部分開示の規定を設けることとする。 行政機関情報公開法第7条では、不開示情報の規定に該当するにもかかわらず、開示することに優越的な公益が認められる場合には、行政機関の長の裁量判断により開示することができること(公益裁量開示)を規定しているが、特殊法人等情報公開法においても、同様の場合があり得るので、公益裁量開示の規定を設けることとする。 行政機関情報公開法第8条では、開示請求に係る文書の存否を明らかにするだけで、同法で不開示とすべきとされている情報を開示することとなる場合に、当該文書の存否を明らかにしないで請求拒否処分ができることを規定しているが、特殊法人等情報公開法においても、同様の場合が考えられるので、文書の存否を明らかにしないで請求拒否ができる旨の規定を設けることとする。 |
第5 請求権者、請求手続、開示手続
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1 |
(1)開示請求は、「何人」もできることとすること、(2)開示請求の方法に関すること(書面によること、開示請求書の記載事項等)、(3)開示請求があった法人は、開示・不開示等の決定を行うこと、(4)開示請求事案の処理期限を設けること、(5)著しく大量の文書の開示請求についての処理期限の特例を設けること、(6)開示の実施は、閲覧又は写しの交付等の方法によること等については、行政機関情報公開法の該当条文に準じて規定することとする。 |
2 | 手数料については、対象法人は国とは法人格が異なり、独立して経営に当たる主体であることから、各法人が実費の範囲内で定めることとするとともに、情報公開制度の趣旨を勘案し、国民にとってできる限り利用しやすい額とする旨の規定及び手数料の減額又は免除に関する規定を設けることとする。手数料の金額については、各法人は、当該規定に沿って、また、行政機関情報公開法における手数料を参酌しつつ、適切な額を設定する必要がある。 |
3 | 行政機関情報公開法第13条は、第三者に関する情報を含む文書を開示決定する等の場合において、当該第三者から意見を聴取する手続を定めている。このような第三者保護手続については、特殊法人等情報公開法においても同様に定める必要があることから、対象法人、国の機関及び地方公共団体以外の者を「第三者」とした上で、行政機関情報公開法第13条に準じて規定することとする。 行政機関情報公開法第13条の「第三者」の範囲に含まれる者から対象法人を除く必要がある。 |
4 | 行政機関情報公開法第12条では、開示請求のあった文書が他の行政機関により作成されたものであるときその他正当な理由があるときは、迅速かつ適切な処理に資する観点から、行政機関の長は協議の上、他の行政機関の長に移送できることとされている。特殊法人等情報公開法においても、行政機関情報公開法に準じて、対象法人に開示請求のあった文書が、行政機関又は他の対象法人により作成されたものであるとき、その他行政機関情報公開法第5条の第3号又は第4号の情報に相当する情報が記載されている場合を含め正当な理由があるときには、当該行政機関の長又は法人に移送することができることとする。事案を移送した場合、移送した法人の行った移送前の行為は移送を受けた行政機関の長等の行為とみなすなどの規定を設けることとする。 なお、行政機関が対象法人の作成した文書を保有する等の場合においても、行政機関情報公開法第12条において、行政機関の長から当該法人へ移送することができることとする必要がある。 |
第6 救済制度
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1 | 特殊法人等情報公開法においては、対象法人は、政府の一部を構成すると見られる法人であり、また、同法に基づき、政府の諸活動についての国民に対する説明責務を全うするための行為を行う義務が課されるものである。したがって、行政機関情報公開法における場合と同様に、開示・不開示等の決定を行政庁の処分とし、開示・不開示等の決定に対する不服については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)及び行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)が適用されることとする。 なお、特殊法人等が法律に基づき行う処分については、上級行政庁は存在しないと解されており、さらに、特殊法人等情報公開法においては、対象法人が自らの名と責任において開示・不開示等の決定を行うこととするものであるため、対象法人による開示・不開示等の決定に対する不服申立ては、当該法人に対する異議申立てとなる。 |
2 | 対象法人が異議申立てに対する決定を行うに際しては、第三者的立場からの評価を踏まえて判断することにより、より客観的で合理的な解決を行えるようにすることが特殊法人等情報公開法の趣旨に適合的である。このため、本法制においても、行政機関情報公開法と同様の不服審査手続によることとし、統一的な諮問機関としての不服審査会を設けることとする。その場合、行政機関情報公開法における情報公開審査会を対象法人における不服審査手続に関する不服審査会とすることも考えられる。 不服審査会の調査権限、審査手続その他の救済制度の仕組みについては、対象法人の制度や運営の実態に即しつつ、行政機関情報公開法に準じて定めることとする。 |
第7 情報提供
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1 | 対象法人が国民に対して説明責務を果たすためには、対象法人自らが組織、業務、財務などの状況を国民一般に進んで明らかにする情報提供制度の拡充強化が不可欠である。このような情報の提供が、組織、業務及び財務の運営の効率性・適正性や事業の有効性の確保に資することも期待される。 情報提供においては、専門的な能力を有する第三者の客観的な判断を加味することの意義は大きい。このような第三者による評価及び監査に関する情報を提供することは、国民の一層の理解や信頼を確保する上で重要である。 |
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2 | 提供情報としては、以下のとおり、各対象法人が共通に提供すべき基礎的な情報とともに、各対象法人が随時、状況に応じて提供に努めるべき情報とがある。 | ||
(1) | 対象法人が国民からの請求を待たずに一般に提供すべき情報には、1)組織に関する基礎的情報、2)業務に関する基礎的情報、3)財務に関する基礎的情報並びに、4)評価及び監査に関する情報がある。 これらの情報の内容について重要な変更があれば、速やかにその変更内容について情報を提供する。 |
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1) | 組織に関する基礎的情報 | ||
当該法人の目的やその業務内容等が、国民一般には、分かりにくいとされていることから、対象法人の目的、組織構成、業務の意義と内容(国の施策と対象法人の業務との関係等)、役員の状況(経歴を含む。)、職員等の状況、子会社・関連会社・関連公益法人の状況(子会社等の一覧、対象法人との業務上の関係、役員関係等)等に関する基礎的な情報を提供する。子会社等の範囲を定める際には、「支配力基準」や「影響力基準」の考え方の導入を図ることとする。 | |||
2) | 業務に関する基礎的情報 | ||
業務の効率性・適正性や事業の有効性について、国民の的確な理解と批判に資する観点から、事業計画書、事業報告書のほか、入札条件等の契約、公共的な料金の算出その他業務に関する基礎的な情報を提供する。この場合、事業計画書については、できる限り中長期の計画を作成することとするとともに、事業報告書については、事業の性格に応じ、事業の目標やその達成状況を明らかにすることとする。 | |||
3) | 財務に関する基礎的情報 | ||
対象法人の財務状況を国民に明らかにする観点から、個別財務諸表のほか、子会社等との主要な取引の実態その他財務に関する基礎的な情報を提供する。最近の企業会計制度の国内・国際的な動向をできる限り反映させ、連結財務諸表、セグメント情報、キャッシュフロー等の情報の提供にも努める。 | |||
4) | 評価及び監査に関する情報 | ||
評価及び監査に関する情報には、監事の監査意見書、行政監察結果概要、会計検査院の検査結果、会計監査報告書等がある。情報提供に当たり、業務、財務等についての第三者による専門的・客観的な評価や分析に関する情報が重要であることから、これらの評価及び監査に関する情報を国民にも提供する。 | |||
(2) | (1)の組織、業務及び財務に関する基礎的情報以外の情報についても、各法人は、情報提供の趣旨にのっとり、国民生活に密接に関連する情報や法人の業務に対する国民の理解を深めるために適切と考えられる情報などを、随時、各法人の判断により、状況に応じて、積極的かつ能動的に提供するよう努めることとする。例えば、施設の竣工その他事業の新たな展開に関する情報、社会的関心の強い事案に関する情報については、適時的確に国民が把握できるようにしておく必要がある。 | ||
3 | 対象法人に関する情報は、国民に利用しやすく、その全体が体系的で分かりやすく、タイムリーで速やかに提供する必要がある。このため、上記2により提供する情報について、提供窓口を整備し、情報通信技術の発展に対応して、インターネット上のホームページを活用するとともに、その所在案内情報の整備を図るなど、情報提供方策の充実に努めることとする。 | ||
4 | 情報提供の内容及び方法は、時代の変化に対応して常にその見直しを行い、改善していくことが必要である。また、情報提供制度に関連する問題として、提供される情報の質や客観性を高めるため、第三者による監査・評価機能の一層の活用及び法人の公的性格や特殊性も反映可能な財務諸表とするための会計基準の一層の整備を図る必要があると考える。 |
第8 対象文書の管理等 |
対象文書の管理、開示請求の利便に資する情報の提供、施行状況の公表等の事項は、特殊法人等情報公開法の適正かつ円滑な運用を図るための基礎となる仕組みであり、基本的に行政機関情報公開法と同様のものとするが、政府において、対象法人の性格や実状に即して法制技術的観点からの検討を行い、適切に措置することとする。 他の法令に対象法人が保有する文書の開示の実施の定めがある場合の取扱いについて、特殊法人等情報公開法において、他の法令により同一の方法で開示される文書の開示は当該他の法令による旨の行政機関情報公開法に準じて規定するとともに、著作権法(昭和45年法律第48号)等他の法律との制度上の調整の必要性について検討を行った上、政府において、適切な措置を講ずることとする。 |
第9 残された課題等 |
(1) | 指定法人等 | |
「指定法人」は、法令上の定義はないが、法令に基づき、特定の業務を行うものとして行政機関により指定された法人を意味するものとして用いられている。また、法人のほかに自然人等が指定されることもあることから、本意見では、これらも含めて、「指定法人等」という。 指定法人等の中には、行政事務を行政機関から委任を受けて実施しているものがある。この場合、当該指定法人等は、当該行政事務を自らの名と責任において行っていると考えられ、理論上、当該行政事務について自ら国民に対する説明責務を負うものとして整理することは可能である。 しかしながら、指定法人等は、法令上の定義がないのみならず、統一的な基準がないままにその時々の必要性から設けられてきたため、その行う業務が行政事務か否か不明確なものがあるなど様々であり、その全容も明らかではない。 指定法人等の情報公開の制度化に当たっては、以下のような検討を要する課題があり、今後、指定法人等の制度・運営の実態等を踏まえつつ、政府は、理論面及び実態面を通じた調査検討を進める必要がある。 |
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ア | 対象となる法人等を確定するため、指定法人等が行う業務が行政事務かどうかの判別等について、個別の実例を踏まえた理論的な調査研究を行うこと。 | |
イ | 国民に対する説明責務は、指定法人等が負うべきか、あるいは、指定をした行政機関が負うべきかについての理論的な検討のほか、指定法人等の組織・業務の実態を把握し、制度化により要するコストとその効果等も勘案した上で、情報公開は指定法人等と指定をした行政機関のどちらに行わせるのが適当か、また、情報提供の充実だけでは不十分かといった実務上の検討を行うこと。 | |
ウ | 制度化に当たり、指定法人等が保有する情報のうち、民間活動に係る情報と指定法人等としての活動に係る情報とをいかに区分するか、また、民間の組織である指定法人等が開示主体となる場合には、どのような救済制度が適当かといった検討を行うこと。 | |
エ | 関連して、指定法人等以外の職能団体等の法人であって、法令を根拠として行政事務を行っている法人における情報公開制度はいかにあるべきかの検討を行うこと。 | |
また、行政機関が指定法人等に対し行っている助成その他の支援措置や指導監督等は、政府の諸活動そのものであり、その必要に応じ行政機関が保有している文書は、紛れもなく行政機関情報公開法の対象文書となる。したがって、指定法人等の情報公開については、当面は、少なくとも、行政機関による必要な文書の保有とこれに対する行政機関情報公開法の適切な施行により確保される必要がある。 | ||
(2) | 対象外とされた特殊法人等 | |
特殊法人等のうち、本意見では対象外とすることとした、特殊会社(関西国際空港株式会社を除く)、共済組合、各種団体の連合会等は、国民一般に対する説明責務はないとしても、当該法人の性格に対応して、それぞれ、株主、組合員、会員などに対しては説明責務があるものと考えられる。また、当該法人の設立法に定められた業務の性質に対応して、適切な情報提供が要請される。このような観点から、各法人において、適切な情報公開が、それぞれ進められるべきである。 また、これらの法人を所管する行政機関が、当該法人に対して助成その他の財政的な支援措置又は指導監督等を行っている場合は、その範囲で国民に対して説明責務を有することは言うまでもない。したがって、行政機関情報公開法の適切な施行により、これらに関連し行政機関が保有する文書の公開が確保されることとなる。 |
||
(3) | 国から財政・税制上の支援等を受けている法人等 | |
現在、「第三セクター」を活用したプロジェクトが国の支援等により進められ、行政機関から公益法人や企業への業務委託が盛んに行われるなど、広範な分野で様々な法人等が国からの補助その他の財政支出、融資、債務保証、税の減免等の財政・税制上の支援等を受けている。本委員会の論議の過程においては、納税者としての国民の立場に立つならば、このような財政・税制上の支援等を受けている法人等も国民に対する説明責務を有するのではないかとの指摘があった。しかしながら、このような国から財政・税制上の支援等を受けている法人等は、きわめて多様なものがあり、国から財政・税制上の支援等を受けているだけでは政府の一部を構成する法人と見られないことから、特殊法人等情報公開法における対象法人とはしなかったところである。 もっとも、このような政府の支援措置等そのものは政府の諸活動であり、その支援措置等の内容、実態、有効性等について、政府自らが国民にできる限り分かりやすく説明する責務を有することは言うまでもない。 したがって、政府は、国民に対する説明責務の履行に必要な情報を適切に整理することにより、行政機関情報公開法に基づく開示請求に的確に対応すべきである。あわせて、政府は、公的資金による支援措置等を行う場合において、その過程の透明性を向上させる必要がある。 |
||
(4) | その他 | |
本委員会が関係団体や国民一般から意見を聴取した際に、地方3公社(土地開発公社、地方住宅供給公社、地方道路公社)のほか、地方公共団体が出資又は出えんする第三セクターの情報公開制度の整備についても、少なからぬ要望が出された。 | ||
この件は、地方公共団体における制度の整備の問題であり、本委員会に託された検討領域を超える課題である。しかし、特に地方3公社については、地方自治法及び地方3公社の設立法の解釈が問われていたこともあり、関係省からヒアリングを行った。それによると、条例により地方3公社を対象にした情報公開制度を設けることについては、地方自治法上、条例は、法令に違反しない限りにおいて地方公共団体の事務に関し制定することができ、各公社の設立法も、これを禁じていないとしている。 | ||
地方公共団体においては、本意見を参考にされるとともに、上記のような状況を勘案し、住民からの要請に応えるべく、情報公開に関する施策の一層の充実に努力されることを期待するものである。 |
(附表) |
(注1) | 見出し【○○○関係】とあるのは、「第2 対象法人」の記述との対応関係を示す。 | |
(注2) | は、本法則の対象外とされる法人を示す。 |
(平成12年7月1日現在)
特 殊 法 人 【78】 |
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独 |
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(注) 独立行政法人については、平成12年7月1日現在で、各法人の個別法が制定されているものを掲げた。
認 可 法 人 【84】 |
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(民間法人化された特殊法人及び認可法人 )
特 殊 法 人 【8】 |
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認 |
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(注) | 「民間法人化された特殊法人及び認可法人」とは、臨時行政調査会第5次答申(昭和58年3月14日)における特殊法人等の自立化の原則に基づき措置されたもの。当該法人の事業の制度的独占を排除するとともに、政府出資の制度上・実態上の廃止、役員の自主的選任等の政府の関与を最小限のものとする等の制度改正が行われたものである。 |
委員長 | 塩野 宏 | (東亜大学通信制大学院教授) |
委員長代理 | 舟田 正之 | (立教大学法学部教授) |
委員 | 秋山 幹男 | (弁護士) |
宇賀 克也 | (東京大学大学院法学政治学研究科教授) | |
大河原 愛子 | (イーベイジャパン株式会社代表取締役社長) | |
奥野 正寛 | (東京大学大学院経済学研究科教授) | |
樫谷 髟v | (公認会計士) | |
西谷 剛 | (横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授) | |
藤川 忠宏 | (日本経済新聞社論説委員) | |
堀部 政男 | (中央大学法学部教授) | |
的場 順三 | (株式会社大和総研理事長) | |
森本 昌義 | (ソニー株式会社専務) | |
参与 | 中川 丈久 | (神戸大学大学院法学研究科教授) |
橋本 博之 | (立教大学法学部教授) | |
松原 聡 | (東洋大学経済学部教授) | |
米丸 恒治 | (立命館大学法学部教授) |
(平成11年) | |||
第1回会議 | 8月4日(水) | 初会合(委員長互選、総理挨拶、総務庁長官挨拶等、委員会の運営) | |
第2回会議 | 9月1日(水) | 情報公開法、特殊法人等の現状、独立行政法人制度 | |
第3回会議 | 9月16日(木) | 外国制度(諸外国の制度) | |
第4回会議 | 9月29日(水) | フリートーキング(検討項目) | |
第5回会議 | 10月13日(水) | フリートーキング(検討項目) | |
第6回会議 | 10月19日(火) | 関係団体ヒアリング | |
日本弁護士連合会、日本新聞協会、全国市民オンブズマン連絡会議、情報公開を求める市民運動、原子力資料情報室、日本公認会計士協会、経済団体連合会 | |||
第7回会議 | 11月4日(木) | 特殊法人等ヒアリング | |
日本道路公団、日本下水道事業団、労働福祉事業団、国際協力事業団、国際交流基金 | |||
第8回会議 | 11月10日(水) | 特殊法人等ヒアリング | |
石油公団、商工組合中央金庫、日本貿易振興会、日本銀行 | |||
第9回会議 | 11月16日(火) | 特殊法人等ヒアリング | |
農林漁業金融公庫、農林漁業団体職員共済組合、日本中央競馬会、日本電信電話株式会社、国家公務員共済組合連合会 | |||
第10回会議 | 11月24日(水) | 特殊法人等ヒアリング | |
国民生活センター、日本放送協会、通信・放送機構、日本税理士会連合会 | |||
第11回会議 | 11月30日(火) | 特殊法人等ヒアリング | |
関西国際空港株式会社、(財)日本船舶振興会、日本私立学校振興・共済事業団、核燃料サイクル開発機構、海洋科学技術センター | |||
第12回会議 | 12月8日(水) | 特殊法人等ヒアリング | |
日本赤十字社、自動車安全運転センター | |||
関係省庁ヒアリング(特殊法人ディスクロージャー法) | |||
総務庁 | |||
フリートーキング(論点整理) | |||
第13回会議 | 12月21日(火) | フリートーキング(論点整理) | |
(平成12年) | |||
第14回会議 | 1月13日(木) | フリートーキング(論点整理) | |
第15回会議 | 1月21日(金) | フリートーキング(論点整理) | |
「検討の方向」了承 | |||
( ワーキンググループ 5回 ) | |||
第16回会議 | 3月16日(木) | ワーキンググループ報告、中間とりまとめ案検討 | |
第17回会議 | 3月23日(木) | 特殊法人ヒアリング | |
日本たばこ産業株式会社、関西国際空港株式会社、(財)日本船舶振興会 | |||
中間とりまとめ案検討 | |||
第18回会議 | 3月29日(水) | 中間とりまとめ案検討 | |
4月5日(水) | 中間とりまとめ・公表 | ||
第19回会議 | 4月19日(水) | 海外調査報告、指定法人に関する制度の概要 | |
法人ヒアリング | |||
中部国際空港株式会社、東京湾横断道路株式会社 | |||
関係省庁ヒアリング(基準・認証制度の見直し) | |||
通商産業省 | |||
第20回会議 | 4月26日(水) | 指定法人ヒアリング | |
(財)社会福祉振興・試験センター、(社)日本建築士事務所協会連合会、(財)日本品質保証機構 | |||
第21回会議 | 5月11日(木) | 有識者ヒアリング(救済制度) | |
学習院大学 高木光教授 | |||
中間とりまとめに対するヒアリング | |||
日本弁護士連合会、主婦連合会、情報公開を求める市民運動、全国市民オンブズマン連絡会議、日本労働組合総連合会 | |||
第22回会議 | 5月17日(水) | 中間とりまとめに対するヒアリング | |
国際協力銀行、関西国際空港株式会社、日本放送協会 | |||
関係省庁ヒアリング(地方3公社) | |||
自治省、建設省 | |||
5月18日(木) | 地方意見交換会(大阪市) | ||
第23回会議 | 5月25日(木) | 中間とりまとめに対するヒアリング | |
日本銀行 | |||
情報提供についての報告 | |||
指定法人の分類についての報告 | |||
フリートーキング | |||
第24回会議 | 6月1日(木) | フリートーキング(中間とりまとめに対する各方面からの意見、指定法人) | |
第25回会議 | 6月8日(木) | フリートーキング(日本放送協会、指定法人) | |
第26回会議 | 6月14日(水) | 委員会報告案審議 | |
第27回会議 | 6月21日(水) | 委員会報告案審議 | |
第28回会議 | 6月28日(水) | 委員会報告案審議 | |
第29回会議 | 7月5日(水) | 委員会報告案審議 | |
第30回会議 | 7月13日(木) | 委員会報告案審議 | |
第31回会議 | 7月17日(月) | 委員会報告案審議 | |
7月27日(木) | 委員会報告(意見)決定・行政改革推進本部長(内閣総理大臣)へ提出 | ||
平成 11 年 7月 30 日 | ||
行政改革推進本部長決定 |
1 | 特殊法人の保有する情報の公開に関する制度その他これに関連する制度の整備に関する事項を検討するため、行政改革推進本部の下に特殊法人情報公開検討委員会(以下「委員会」という。)を置く。 |
2 | 委員会の委員は、特殊法人の情報公開について専門的な知識を有する者若干名に依頼する。 |
3 | 委員会の長は、委員の互選による。 |
4 | 委員会は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び特殊法人の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができるとともに、これ以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。 |
5 | 委員会の庶務は、内閣官房及び総務庁において処理する。 |
6 | 前各項に定めるもののほか、委員会の運営に関する事項その他必要な事項は、委員会の長が定める。 |
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年5月14日法律第42号)(抄)
(独立行政法人及び特殊法人の情報公開) | |
第 | 四十二条 政府は、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)及び特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)について、その性格及び業務内容に応じ、独立行政法人及び特殊法人の保有する情報の開示及び提供が推進されるよう、情報の公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。 |
附則 | |
2 | 政府は、独立行政法人及び特殊法人の保有する情報の公開に関し、この法律の公布後二年を目途として、第四十二条の法制上の措置を講ずるものとする。 |
行政改革委員会「情報公開法制の確立に関する意見」(平成8年12月16日)(抄)
U 情報公開法要綱案の考え方 | |
第七 | 補足 |
(4)
|
特殊法人の情報公開 |
特殊法人については、情報公開を推進すべきであるという国民の要請が強い。特に、国民の生活や安全に密接な業務を行っているものについて顕著である。このような国民の要請にこたえるためにも、特殊法人の情報公開に関する制度又は施策を速やかに整備すべきであると考える。 しかし、特殊法人は、それぞれの法的性格、業務の内容、国との関係が様々である。このため、特殊法人を本要綱案で定めている開示請求権制度の対象機関とし、行政機関と一律に同じ取扱いをすることは適当ではない。 特殊法人の情報公開を進めるに当たっては、個々の特殊法人の性格、業務内容に的確に対応した制度の整備その他の施策を講ずべきである。その際には、国民からの求めに応じた情報の開示とともに、現在、政府において推進されている財務諸表の公表等の措置を含め、国民の関心を集め、国民の生活等に密接な関係を有する情報については、一層積極的な情報の提供が重要である。 このような考え方から、本要綱案では、特殊法人に対してこの法律を直接適用することはしないが、政府は、特殊法人の性格及び業務内容に応じて情報の開示及び提供が推進されるよう、情報公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとするという規定を設けることとした。 |
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年五月十四日法律第四十二号)
改正 |
平成十一年七月十六日法律第百二号 |
〔中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律二十九条による改正〕 |
同十一年十二月二十二日同第百六十号 |
〔中央省庁等改革関係法施行法二百九十条による改正〕 |
目次 | |||
第一章 総則(第一条・第二条) | |||
第二章 行政文書の開示(第三条―第十七条) | |||
第三章 不服申立て等 | |||
第一節 諮問等(第十八条―第二十条) | |||
第二節 情報公開審査会(第二十一条―第二十六条) | |||
第三節 審査会の調査審議の手続(第二十七条―第三十五条) | |||
第四節 訴訟の管轄の特例等(第三十六条) | |||
第四章 補則(第三十七条―第四十四条) | |||
附則 |
第一章 総則
(目的) | ||
第 | 一条 この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。 | |
(定義) | ||
第 | 二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。 | |
一 | 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関 | |
二 | 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) | |
三 | 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) | |
四 | 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの | |
五 | 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの | |
六 | 会計検査院 | |
2 | この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。 | |
一 | 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの | |
二 | 政令で定める公文書館その他の機関において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの |
第二章 行政文書の開示
(開示請求権) | |||
第 | 三条 何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長(前条第一項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。 | ||
(開示請求の手続) | |||
第 | 四条 前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を行政機関の長に提出してしなければならない。 | ||
一 | 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名 | ||
二 | 行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項 | ||
2 | 行政機関の長は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。 | ||
(行政文書の開示義務) | |||
第 | 五条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。 | ||
一 | 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。 | ||
イ | 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報 | ||
ロ | 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報 | ||
ハ | 当該個人が公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分 | ||
二 | 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。 | ||
イ | 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの | ||
ロ | 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの | ||
三 | 公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報 | ||
四 | 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報 | ||
五 | 国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの | ||
六 | 国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの | ||
イ | 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ | ||
ロ | 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ | ||
ハ | 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ | ||
ニ | 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ | ||
ホ | 国又は地方公共団体が経営する企業に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ | ||
(部分開示) | |||
第 | 六条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。 | ||
2 | 開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。 | ||
(公益上の理由による裁量的開示) | |||
第 | 七条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。 | ||
(行政文書の存否に関する情報) | |||
第 | 八条 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。 | ||
(開示請求に対する措置) | |||
第 | 九条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、 開示請求者に対し、その旨及び開示の実施に関し政令で定める事項を書面により通知しなければならない。 | ||
2 | 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。 | ||
(開示決定等の期限) | |||
第 | 十条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、第四条第二項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。 | ||
2 | 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を三十日以内に限り延長することができる。この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。 | ||
(開示決定等の期限の特例) | |||
第 | 十一条 開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から六十日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、行政機関の長は、同条第一項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。 | ||
一 | 本条を適用する旨及びその理由 | ||
二 | 残りの行政文書について開示決定等をする期限 | ||
(事案の移送) | |||
第 | 十二条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書が他の行政機関により作成されたものであるときその他他の行政機関の長において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の行政機関の長と協議の上、当該他の行政機関の長に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした行政機関の長は、開示請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。 | ||
2 | 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた行政機関の長において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、移送をした行政機関の長が移送前にした行為は、移送を受けた行政機関の長がしたものとみなす。 | ||
3 | 前項の場合において、移送を受けた行政機関の長が第九条第一項の決定(以下「開示決定」という。) をしたときは、当該行政機関の長は、開示の実施をしなければならない。この場合において、移送をした行政機関の長は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。 | ||
(第三者に対する意見書提出の機会の付与等) | |||
第 | 十三条 開示請求に係る行政文書に国、地方公共団体及び開示請求者以外の者(以下この条、第十九条及び第二十条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。 | ||
2 | 行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。 | ||
一 | 第三者に関する情報が記録されている行政文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。 | ||
二 | 第三者に関する情報が記録されている行政文書を第七条の規定により開示しようとするとき。 | ||
3 | 行政機関の長は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、行政機関の長は、開示決定後直ちに、当該意見書(第十八条及び第十九条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。 | ||
(開示の実施) | |||
第 | 十四条 行政文書の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して政令で定める方法により行う。ただし、閲覧の方法による行政文書の開示にあっては、行政機関の長は、当該行政文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。 | ||
2 | 開示決定に基づき行政文書の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、当該開示決定をした行政機関の長に対し、その求める開示の実施の方法その他の政令で定める事項を申し出なければならない。 | ||
3 | 前項の規定による申出は、第九条第一項に規定する通知があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、当該期間内に当該申出をすることができないことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。 | ||
4 | 開示決定に基づき行政文書の開示を受けた者は、最初に開示を受けた日から三十日以内に限り、行政機関の長に対し、更に開示を受ける旨を申し出ることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。 | ||
(他の法令による開示の実施との調整) | |||
第 | 十五条 行政機関の長は、他の法令の規定により、何人にも開示請求に係る行政文書が前条第一項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同項本文の規定にかかわらず、当該行政文書については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該他の法令の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。 | ||
2 | 他の法令の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を前条第一項本文の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。 | ||
(手数料) | |||
第 | 十六条 開示請求をする者又は行政文書の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、それぞれ、実費の範囲内において政令で定める額の開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない。 | ||
2 | 前項の手数料の額を定めるに当たっては、できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならない。 | ||
3 | 行政機関の長は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、第一項の手数料を減額し、又は免除することができる。 | ||
(権限又は事務の委任) | |||
第 | 十七条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。 |
第三章 不服申立て等
第一節 諮問等 | ||
(審査会への諮問) | ||
第 | 十八条 開示決定等について行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、情報公開審査会(不服申立てに対する裁決又は決定をすべき行政機関の長が会計検査院の長である場合にあっては、別に法律で定める審査会。第三節において「審査会」と総称する。)に諮問しなければならない。 | |
一 | 不服申立てが不適法であり、却下するとき。 | |
二 | 裁決又は決定で、不服申立てに係る開示決定等(開示請求に係る行政文書の全部を開示する旨の決定を除く。以下この号及び第二十条において同じ。)を取り消し又は変更し、当該不服申立てに係る行政文書の全部を開示することとするとき。ただし、当該開示決定等について反対意見書が提出されているときを除く。 | |
(諮問をした旨の通知) | ||
第 | 十九条 前条の規定により諮問をした行政機関の長(以下「諮問庁」という。)は、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。 | |
一 | 不服申立人及び参加人 | |
二 | 開示請求者(開示請求者が不服申立人又は参加人である場合を除く。) | |
三 | 当該不服申立てに係る開示決定等について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が不服申立人又は参加人である場合を除く。) | |
(第三者からの不服申立てを棄却する場合等における手続) | ||
第 | 二十条 第十三条第三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する裁決又は決定をする場合について準用する。 | |
一 | 開示決定に対する第三者からの不服申立てを却下し、又は棄却する裁決又は決定 | |
二 | 不服申立てに係る開示決定等を変更し、当該開示決定等に係る行政文書を開示する旨の裁決又は決定(第三者である参加人が当該行政文書の開示に反対の意思を表示している場合に限る。) | |
第二節 情報公開審査会 | ||
(設置) | ||
第 | 二十一条 第十八条の規定による諮問に応じ不服申立てについて調査審議するため、内閣府に、情報公開審査会を置く。 | |
(組織) | ||
第 | 二十二条 情報公開審査会は、委員九人をもって組織する。 | |
2 | 委員は、非常勤とする。ただし、そのうち三人以内は、常勤とすることができる。 | |
(委員) | ||
第 | 二十三条 委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。 | |
2 | 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。 | |
3 | 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。 | |
4 | 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 | |
5 | 委員は、再任されることができる。 | |
6 | 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。 | |
7 | 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。 | |
8 | 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。 | |
9 | 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。 | |
10 | 常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。 | |
11 | 委員の給与は、別に法律で定める。 | |
(会長) | ||
第 | 二十四条 情報公開審査会に、会長を置き、委員の互選によりこれを定める。 | |
2 | 会長は、会務を総理し、情報公開審査会を代表する。 | |
3 | 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。 | |
(合議体) | ||
第 | 二十五条 情報公開審査会は、その指名する委員三人をもって構成する合議体で、不服申立てに係る事件について調査審議する。 | |
2 | 前項の規定にかかわらず、情報公開審査会が定める場合においては、委員の全員をもって構成する合議体で、不服申立てに係る事件について調査審議する。 | |
(事務局) | ||
第 | 二十六条 情報公開審査会の事務を処理させるため、情報公開審査会に事務局を置く。 | |
2 | 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。 | |
3 | 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。 | |
第三節 審査会の調査審議の手続 | ||
(審査会の調査権限) | ||
第 | 二十七条 審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等に係る行政文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された行政文書の開示を求めることができない。 | |
2 | 諮問庁は、審査会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。 | |
3 | 審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等に係る行政文書に記録されている情報の内容を審査会の指定する方法により分類又は整理した資料を作成し、審査会に提出するよう求めることができる。 | |
4 | 第一項及び前項に定めるもののほか、審査会は、不服申立てに係る事件に関し、不服申立人、参加人又は諮問庁(以下「不服申立人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。 | |
(意見の陳述) | ||
第 | 二十八条 審査会は、不服申立人等から申立てがあったときは、当該不服申立人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。 | |
2 | 前項本文の場合においては、不服申立人又は参加人は、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。 | |
(意見書等の提出) | ||
第 | 二十九条 不服申立人等は、審査会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審査会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。 | |
(委員による調査手続) | ||
第 | 三十条 審査会は、必要があると認めるときは、その指名する委員に、第二十七条第一項の規定により提示された行政文書を閲覧させ、同条第四項の規定による調査をさせ、又は第二十八条第一項本文の規定による不服申立人等の意見の陳述を聴かせることができる。 | |
(提出資料の閲覧) | ||
第 | 三十一条 不服申立人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。 | |
2 | 審査会は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。 | |
(調査審議手続の非公開) | ||
第 | 三十二条 審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。 | |
(不服申立ての制限) | ||
第 | 三十三条 この節の規定により審査会又は委員がした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。 | |
(答申書の送付等) | ||
第 | 三十四条 審査会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを不服申立人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。 | |
(政令への委任) | ||
第 | 三十五条 この節に定めるもののほか、審査会の調査審議の手続に関し必要な事項は、政令(第十八条の別に法律で定める審査会にあっては、会計検査院規則)で定める。 | |
第四節 訴訟の管轄の特例等 | ||
(訴訟の管轄の特例等) | ||
第 | 三十六条 開示決定等の取消しを求める訴訟及び開示決定等に係る不服申立てに対する裁決又は決定の取消しを求める訴訟(次項及び附則第三項において「情報公開訴訟」という。)については、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第十二条に定める裁判所のほか、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも提起することができる。 | |
2 | 前項の規定により特定管轄裁判所に訴えが提起された場合であって、他の裁判所に同一又は同種若しくは類似の行政文書に係る情報公開訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は行政事件訴訟法第十二条に定める裁判所に移送することができる。 |
第四章 補則
(行政文書の管理) | |
第 | 三十七条 行政機関の長は、この法律の適正かつ円滑な運用に資するため、行政文書を適正に管理するものとする。 |
2 | 行政機関の長は、政令で定めるところにより行政文書の管理に関する定めを設けるとともに、これを一般の閲覧に供しなければならない。 |
3 | 前項の政令においては、行政文書の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他の行政文書の管理に関する必要な事項について定めるものとする。 |
(開示請求をしようとする者に対する情報の提供等) | |
第 | 三十八条 行政機関の長は、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、当該行政機関が保有する行政文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。 |
2 | 総務大臣は、この法律の円滑な運用を確保するため、開示請求に関する総合的な案内所を整備するものとする。 |
(施行の状況の公表) | |
第 | 三十九条 総務大臣は、行政機関の長に対し、この法律の施行の状況について報告を求めることができる。 |
2 | 総務大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。 |
(行政機関の保有する情報の提供に関する施策の充実) | |
第 | 四十条 政府は、その保有する情報の公開の総合的な推進を図るため、行政機関の保有する情報が適時に、かつ、適切な方法で国民に明らかにされるよう、行政機関の保有する情報の提供に関する施策の充実に努めるものとする。 |
(地方公共団体の情報公開) | |
第 | 四十一条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。 |
(独立行政法人及び特殊法人の情報公開) | |
第 | 四十二条 政府は、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)及び特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)について、その性格及び業務内容に応じ、独立行政法人及び特殊法人の保有する情報の開示及び提供が推進されるよう、情報の公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。 |
(政令への委任) | |
第 | 四十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。 |
(罰則) | |
第 | 四十四条 第二十三条第八項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 |
附 則
1 | この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二十三条第一項中両議院の同意を得ることに関する部分、第四十条から第四十二条まで及び次項の規定は、公布の日から施行する。 |
2 | 政府は、独立行政法人及び特殊法人の保有する情報の公開に関し、この法律の公布後二年を目途として、第四十二条の法制上の措置を講ずるものとする。 |
3 | 政府は、この法律の施行後四年を目途として、この法律の施行の状況及び情報公開訴訟の管轄の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 |
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