平成15年6月23日 衆議院提出 | 戻る/ホーム/目次 |
地球環境保全基本法案
自 由 党
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 地球環境の保全に関する基本的施策
第一節 施策の策定等に係る指針(第十一条)
第二節 地球環境基本計画(第十二条)
第三節 国が講ずる地球環境の保全のための施策等(第十三条―第二十七条)
第四節 地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力等(第二十八条―第三十一条)
第五節 地方公共団体の施策(第三十二条)
第六節 費用負担等(第三十三条―第三十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、地球環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、地球環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、地球環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに地球環境の保全を通じて積極的に世界に貢献することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「地球環境の保全」とは、地球の全体又は一部の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全をいう。
2 この法律において「地球環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、地球環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
3 この法律において「地球全体等に係る環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る地球環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
4 この法律において「公害」とは、地球環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第三条 地球環境の保全は、地球の環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある地球の環境が、人間の活動による地球環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、人間の活動が生態系の微妙な均衡に影響を及ぼすことを厳に抑制することにより人類と自然との共生が実現され、並びに現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな地球の環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である地球の環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
2 地球環境の保全は、廃棄物の排出を抑制し並びにこれを再使用し及び再生利用すること、化学物質の環境への排出量の把握をし及びその管理の適正化を図ることその他の地球環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな地球の環境を維持しつつ、地球環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、並びに地球的規模の幅広い視点に立ち、及び科学的知見の充実の下に地球環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。
3 地球全体等に係る環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び地球全体等に係る環境保全に積極的に取り組むことが国際社会の一員としての我が国の責務であることにかんがみ、地球全体等に係る環境保全は、我が国が、その能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位にふさわしい主導的役割を担いつつ、自ら率先して積極的に推進しなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、地球環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、地球環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する
2 事業者は、基本理念にのっとり、地球環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、地球環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる地球環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の地球環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う地球環境への負荷の低減その他地球環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する地球環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(国民の責務)
第七条 国民は、基本理念にのっとり、地球環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う地球環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、地球環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する地球環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(法制上の措置等)
第八条 政府は、地球環境の保全に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告等)
第九条 政府は、毎年、国会に、地球の環境の状況及び政府が地球環境の保全に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、前項の報告に係る地球の環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
(放射性物質による大気の汚染等の防止)
第十条 放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる。
第二章 地球環境の保全に関する基本的施策
第一節 施策の策定等に係る指針
第十一条 この章に定める地球環境の保全に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
一 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の地球の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
二 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
三 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。
第二節 地球環境基本計画
第十二条 政府は、地球環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球環境の保全に関する基本的な計画(以下「地球環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 地球環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 地球環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
二 前号に掲げるもののほか、地球環境の保全のための教育その他の地球環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 環境大臣は、地球環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、地球環境基本計画を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、地球環境基本計画の変更について準用する。
第三節 国が講ずる地球環境の保全のための施策等
(国の施策の策定等に当たっての配慮)
第十三条 国は、地球の環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、地球環境の保全について配慮しなければならない。
(事業の計画段階における環境影響評価の推進)
第十四条 国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業に関する計画その他これに類するものの立案の段階において、あらかじめその事業に係る地球の環境への影響について自ら適正に調査又は予測をし、その調査又は予測の結果について、地球環境の保全に関し専門的知識を有する者による評価を受け、その評価の結果に基づき、その事業に係る地球環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境の保全のための規制)
第十五条 国は、地球環境の保全のため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。
一 温室効果ガスの排出に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う地球全体等に係る環境保全のために必要な規制の措置
二 本邦以外の地域において行われる事業活動に関し、その事業活動が行われる地域において地球環境の保全上の支障が生ずることを防止するために必要な規制の措置
三 人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある物質の排出に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行うその影響を防止するために必要な規制の措置
四 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置(前号に掲げるものを除く。)
五 土地利用に関し公害を防止するために必要な規制の措置及び公害が著しく、又は著しくなるおそれがある地域における公害の原因となる施設の設置に関し公害を防止するために必要な規制の措置
六 自然環境を保全することが特に必要な区域における土地の形状の変更、工作物の新設、木竹の伐採その他の自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
七 採捕、損傷その他の行為であって、野生植物の原種等保護することが必要な野生生物の種、地形若しくは地質又は温泉源その他の自然物の適正な保護に支障を及ぼすおそれがあるものに関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
八 公害及び自然環境の保全上の支障が共に生ずるか又は生ずるおそれがある場合にこれらを共に防止するために必要な規制の措置
2 前項に定めるもののほか、国は、人の健康若しくは生活環境に係る地球環境の保全上の支障を防止し、又は地球全体等に係る環境保全を推進するため、同項第一号から第五号までに掲げる措置に準じて必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。
(地球環境の保全上の支障を防止するための助成措置)
第十六条 国は、地球環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条及び次条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る地球環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより地球環境の保全上の支障を防止するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(ごみの処理の有料化に係る施策の実施等)
第十七条 国は、地方公共団体が行うごみの処理の有料化に係る施策を策定し、及び実施すること等により、負荷活動を行う者がその負荷活動に係る地球環境への負荷の低減のために要する費用を負担することの必要性について、負荷活動を行う者の意識の啓発を図るものとする。
(地球環境の保全に関する事業の推進)
第十八条 国は、健全な生態系の創出のための国土の緑化事業その他の地球環境の保全のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、緩衝地帯その他の地球環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の地球環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
3 国は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、地球環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の地球環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の地球環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
4 国は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
5 国は、前二項に定める公共的施設の適切な利用を促進するための措置その他のこれらの施設に係る地球環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。
(環境産業の振興)
第十九条 国は、健全で恵み豊かな地球の環境を維持しつつ、地球環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会の構築を推進するため、再生資源を原材料として使用する製品又は温室効果ガスの排出の抑制に資する製品を製造する事業その他の地球環境の保全に資する産業の振興を図るものとする。
(地球環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)
第二十条 国は、事業者に対し、物の製造、加工又は販売その他の事業活動に際して、あらかじめ、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる地球環境への負荷について事業者が自ら評価することにより、その物に係る地球環境への負荷の低減について適正に配慮することができるように技術的支援等を行うため、必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、再生資源その他の地球環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境の保全に関する教育、学習等)
第二十一条 国は、地球環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに地球環境の保全に関する広報活動の充実により事業者及び国民が地球環境の保全についての理解を深めるとともにこれらの者の地球環境の保全に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)
第二十二条 国は、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の地球環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供及び公開)
第二十三条 国は、第二十一条の地球環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条の民間団体等が自発的に行う地球環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、地球の環境の状況その他の地球環境の保全に関する必要な情報を適切に提供し、及び公開するように努めるものとする。
2 国は、前項の規定により情報を提供し、及び公開するに当たっては、民間団体等及び地方公共団体がこれを容易に入手することができるよう必要な措置を講ずるとともに、民間団体等及び地方公共団体との間の情報ネットワークの構築を図るよう努めるものとする。
(調査の実施)
第二十四条 国は、地球の環境の状況の把握、地球の環境の変化の予測又は地球の環境の変化による影響の予測に関する調査その他の地球の環境を保全するための施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
(監視等の体制の整備)
第二十五条 国は、地球の環境の状況を把握し、及び地球環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、観測、測定、試験及び検査の体制の整備に努めるものとする。
(科学技術の振興)
第二十六条 国は、温室効果ガスの排出の抑制、ダイオキシン類等有害な物質の無害化及びこれによる汚染の除去並びに廃棄物の減量及び資源の再利用の方法の開発に関する科学技術その他の地球環境の保全に関する科学技術の振興を図るものとする。
2 国は、前項の科学技術のうち国として特に振興を図るべき重要なものについて、これに係る研究及び開発を国家的な事業として行うものとする。
3 国は、民間団体等による地球環境の保全に関する科学技術に関する研究及び開発の促進に資するため、前項の規定により国家的な事業として行われた研究及び開発の成果について、これを無償で広く一般に公開するものとする。
4 国は、地球環境の保全に関する科学技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。
(公害に係る紛争の処理及び被害の救済)
第二十七条 国は、公害に係る紛争に関するあっせん、調停その他の措置を効果的に実施し、その他公害に係る紛争の円滑な処理を図るため、必要な措置を講じなければならない。
2 国は、公害に係る被害の救済のための措置の円滑な実施を図るため、必要な措置を講じなければならない。
第四節 地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力等
(地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力等)
第二十八条 国は、地球全体等に係る環境保全に関する国際的な連携を確保することその他の地球全体等に係る環境保全に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるほか、開発途上にある海外の地域の環境の保全及び国際的に高い価値があると認められている地球環境の保全であって人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するもの(以下この条において「開発途上地域の環境の保全等」という。)に資するための支援を行うことその他の開発途上地域の環境の保全等に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 国は、地球全体等に係る環境保全及び開発途上地域の環境の保全等(以下「地球全体等に係る環境保全等」という。)に関する国際協力について専門的な知見を有する者の育成、本邦以外の地域の環境の状況その他の地球全体等に係る環境保全等に関する情報の収集、整理及び分析その他の地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(監視、観測等に係る国際的な連携の確保等)
第二十九条 国は、地球全体等に係る環境保全等に関する地球の環境の状況の監視、観測及び測定の効果的な推進を図るための国際的な連携を確保するように努めるとともに、地球全体等に係る環境保全等に関する調査及び試験研究の推進を図るための国際協力を推進するように努めるものとする。
(地方公共団体又は民間団体等による活動を促進するための措置)
第三十条 国は、地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力を推進する上で地方公共団体が果たす役割の重要性にかんがみ、地方公共団体による地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力のための活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 国は、地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力を推進する上で民間団体等によって本邦以外の地域において地球全体等に係る環境保全等に関する国際協力のための自発的な活動が行われることの重要性にかんがみ、その活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(国際協力の実施等に当たっての配慮)
第三十一条 国は、政府開発援助について、地球全体等に係る環境保全等を通じて国際社会の全体にわたり人類の福祉を向上させることとなる事業への重点化を図るものとする。
2 国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地域に係る地球全体等に係る環境保全等について配慮するように努めなければならない。
3 国は、本邦以外の地域において行われる事業活動に関し、その事業活動に係る事業者がその事業活動が行われる地域に係る地球全体等に係る環境保全等について適正に配慮することができるようにするため、その事業者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
第五節 地方公共団体の施策
第三十二条 地方公共団体は、第三節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた地球環境の保全のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。この場合において、都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行うものとする。
第六節 費用負担等
(原因者負担)
第三十三条 国及び地方公共団体は、公害又は自然環境の保全上の支障(以下この条において「公害等に係る支障」という。)を防止するために国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる者(以下この条において「公的事業主体」という。)により実施されることが公害等に係る支障の迅速な防止の必要性、事業の規模その他の事情を勘案して必要かつ適切であると認められる事業が公的事業主体により実施される場合において、その事業の必要を生じさせた者の活動により生ずる公害等に係る支障の程度及びその活動がその公害等に係る支障の原因となると認められる程度を勘案してその事業の必要を生じさせた者にその事業の実施に要する費用を負担させることが適当であると認められるものについて、その事業の必要を生じさせた者にその事業の必要を生じさせた限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。
(受益者負担)
第三十四条 国及び地方公共団体は、自然環境を保全することが特に必要な区域における自然環境の保全のための事業の実施により著しく利益を受ける者がある場合において、その者にその受益の限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。
(地方公共団体に対する財政措置等)
第三十五条 国は、地方公共団体が地球環境の保全に関する施策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。
(国及び地方公共団体の協力)
第三十六条 国及び地方公共団体は、地球環境の保全に関する施策を講ずるにつき、相協力するものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(環境基本法の一部改正)
第二条 環境基本法(平成五年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律
目次及び第一章の章名を削る。
第一条を次のように改める。
(趣旨)
第一条 この法律は、環境基準の設定、公害防止の推進及び中央環境審議会等の設置に関する事項について定めるものとする。
第二条から第十三条までを削る。
第二章の章名、同章第一節及び第二節を削る。
第二章第三節の節名を削る。
第十六条に見出しとして「(環境基準)」を付し、同条第一項中「生活環境」の下に「(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)」を加え、同条第四項中「この章」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第二章」に改め、「であって公害」の下に「(同法第二条第四項に規定する公害をいう。以下同じ。)」を加え、同条に次の一項を加える。
5 第二項の規定により都道府県が処理することとされている事務(政令で定めるものを除く。)は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第十六条を第二条とする。
第二章第四節の節名を削る。
第十七条第二項中「環境基本計画」を「地球環境保全基本法第十二条第一項に規定する地球環境基本計画」に改め、同条を第三条とする。
第十八条を第四条とする。
第二章第五節から第八節までを削る。
第三章の章名及び同章第一節の節名を削る。
第四十一条第二項第一号を削り、同項第二号を同項第一号とし、同項第三号を同項第二号とし、同条を第五条とする。
第四十二条を削り、第四十三条を第六条とし、第四十四条を第七条とする。
第三章第二節の節名を削る。
第四十五条の見出しを「(公害対策会議の設置等)」に改め、同条第二項第一号中「第十七条第四項」を「第三条第四項」に改め、同条を第八条とする。
第四十六条の見出しを「(公害対策会議の組織等)」に改め、同条を第九条とする。
(地球環境基本計画に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に前条の規定による改正前の環境基本法第十五条第一項の規定により定められた環境基本計画は、第十二条第一項の規定により地球環境基本計画が定められるまでの間は、同項の規定により定められた地球環境基本計画とみなす。
(地方自治法の一部改正)
第四条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一環境基本法(平成五年法律第九十一号)の項中「環境基本法」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律」に、「第十六条第二項」を「第二条第二項」に改める。
(森林法の一部改正)
第五条 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第四項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十五条第一項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第十二条第一項」に、「環境基本計画」を「地球環境基本計画」に改める。
(自然公園法の一部改正)
第六条 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第三条から第五条までに定める環境の保全について」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第三条」に改める。
(下水道法の一部改正)
第七条 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)の一部を次のように改正する。
第二条の二第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」に改める。
(環境事業団法の一部改正)
第八条 環境事業団法(昭和四十年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
第一条の二中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第二条第四項」に改める。
(大気汚染防止法の一部改正)
第九条 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第五条の二第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」に改める。
第五条の三第二項中「環境基本法第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第六条」に改める。
(公害紛争処理法の一部改正)
第十条 公害紛争処理法(昭和四十五年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第二条中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第二条第四項」に改める。
第二十四条第一項第一号中「環境基本法第二条第三項」を「地球環境保全基本法第二条第四項」に改める。
第五十条中「環境基本法第三十一条第一項」を「地球環境保全基本法第二十七条第一項」に改める。
(公害防止事業費事業者負担法の一部改正)
第十一条 公害防止事業費事業者負担法(昭和四十五年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第二条第四項」に改める。
第二十条第二号中「環境基本法第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第六条」に改め、同条第三号中「環境基本法第四十四条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第七条」に改める。
(廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正)
第十二条 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。
第五条の五第三項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第六条」に改める。
(水質汚濁防止法の一部改正)
第十三条 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第四条の二第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」に改める。
第二十一条第一項中「環境基本法第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第六条」に改め、同条第二項中「環境基本法第四十三条第二項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第六条第二項」に改める。
(農用地の土壌の汚染防止等に関する法律の一部改正)
第十四条 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四十五年法律第百三十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第六条」に改める。
第五条第五項中「環境基本法第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第六条」に改める。
(公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正)
第十五条 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第二条第四項」に改め、同条第二項中「環境基本法第十七条第三項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第三条第三項」に改める。
(労働安全衛生法の一部改正)
第十六条 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十七条第二項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第二条第四項」に改める。
(自然環境保全法の一部改正)
第十七条 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第二条中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第三条から第五条までに定める環境の保全について」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第三条」に改める。
(都市緑地保全法の一部改正)
第十八条 都市緑地保全法(昭和四十八年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。
第二条の二第三項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十五条第一項」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第十二条第一項」に、「環境基本計画」を「地球環境基本計画」に改める。
(湖沼水質保全特別措置法の一部改正)
第十九条 湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」に改める。
(自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部改正)
第二十条 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成四年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」に改める。
第八条第一項中「環境基本法第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第二条第一項」に改める。
(特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法の一部改正)
第二十一条 特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法(平成六年法律第九号)の一部を次のように改正する。
第五条第七項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第六条」に改め、同条第十一項中「環境基本法第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第六条」に改める。
(大気汚染防止法の一部を改正する法律の一部改正)
第二十二条 大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成八年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」に改める。
(環境影響評価法の一部改正)
第二十三条 環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。
第十一条第三項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十四条各号」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)第十一条各号」に改める。
(環境省設置法の一部改正)
第二十四条 環境省設置法(平成十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第四条第四号中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十七条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第三条第一項」に改め、同条第八号中「環境基本法第十六条第一項」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第二条第一項」に改める。
第八条及び第十一条第二項中「環境基本法」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律」に改める。
(ダイオキシン類対策特別措置法の一部改正)
第二十五条 ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
第十一条第二項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第六条」に改める。
第二十九条第三項中「環境基本法第四十三条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律第六条」に改める。
(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律の一部改正)
第二十六条 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第一号中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第一項」を「循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第百十号)第二条第八項」に改める。
(循環型社会形成推進基本法の一部改正)
第二十七条 循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第百十号)の一部を 次のように改正する。
第一条中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)」を「地球環境保全基本法(平成十五年法律第 号)」に改める。
第二条第八項を次のように改める。
8 この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
第十六条第一項中「環境基本法第十五条第一項に規定する環境基本計画」を「地球環境保全基本法第十二条第一項に規定する地球環境基本計画」に、「「環境基本計画」」を「「地球環境基本計画」」に改め、同条第二項中「環境基本計画」を「地球環境基本計画」に改める。
第二十一条中「環境基本法第二条第三項」を「地球環境保全基本法第二条第四項」に改める。
(特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の一部改正)
第二十八条 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成十五年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第四項中「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条又は第四十四条」を「環境基準の設定、公害防止の推進等に関する法律(平成五年法律第九十一号)第六条又は第七条」に改める。
理 由
近年における環境問題の複雑化、多様化等の諸事情の変化、地球全体等に係る環境問題に対し我が国が主導的役割を果たす必要性の高まり等環境問題の現況にかんがみ、地球環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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