2003/10/01 |
156 衆院・予算委員会
平成十五年十月一日(水曜日)
○枝野委員 民主党の政調会長を務めております枝野でございます。
小泉さんのおっしゃる改革、スローガンとしては一つの考え方を示されているのかもしれませんが、残念ながら、二年半たっておりますけれども、具体的に何をされるのかというのが全く見えない。スローガンはよくても、具体的な中身のやり方によっては、国民生活にとってプラスにもなるしマイナスにもなります。
そういう観点から、小泉改革の柱と称するものについてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、済みません、順番を変えさせていただいて、やはり一番本丸の郵政から聞かせていただきたいというふうに思います。
小泉総理は、先日の代表質問での菅代表からの質問に、細かいことは知らぬということでしたので、所管の麻生大臣を中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。
民間にできることは民間でやる、もし郵政三事業を民間でできるなら民間でやるということ、その考え方は私も否定はするものではありません。問題は、どういう形で民営化をすればこの大きな郵政三事業をきちっとした形で民営化できるのか、そこのところのビジョンをお聞かせいただきたいというふうに思いますが、まずは、麻生大臣、郵政はどういう目的で民営化されるんですか。
○麻生国務大臣 郵政の民営化というのは、基本的には、民間でできるものは民間にというところが本来の目的と思っております。
○枝野委員 全く答えになっていないですね。
では、代表も代表質問で聞きましたが、具体的に聞きましょう。
今、郵便貯金の資金量というのは、二百五十兆円程度でしょうか、大変膨大な金額であります。日本国内のあらゆる金融機関よりも圧倒的に多い資金量を持っております。これを民営化するということは、この郵便貯金を、今の例えば都市銀行などと同じように民間の銀行にして、全く同じ条件で銀行業務を行わせる、こういうことなんでしょうか。
○麻生国務大臣 民間の銀行にするという話を聞いたわけではありませんので、民間の銀行にするという前提で話をされるとちょっと話は込み入るんだと思いますが、基本的には、総理のいわゆる郵政民営化に関する例の懇談会の中に出された案というのがいろいろ出ておりましたが、ああいったものを踏まえて、民営化するに当たってはどういうことをしていくかということが今論議をされるというところだと思っております。
○枝野委員 この部分がはっきりしないと、民営化がいいことなのか悪いことなのか、国民の皆さんにも判断できないと思うんですね。
基本的に、今民間の銀行、つまり民間で、国民の皆さんから預金を集めて、その預金を貸し出しして、それで利益を上げている、プロの皆さんが集まっている民間の銀行も、ここ十年来、金融危機と言われて、不良債権処理の問題をずうっと引きずっているわけです。つまり、専門家で、商売のためにマーケットメカニズムにさらされて競争している民間の方でさえ、どこに貸し出したらもうかるのかということについて適切な判断をできなかったから、不良債権問題が生じているわけです。
では、民営化をして、この二百兆円を超える国民の資産をだれがどうやって運用するのか。そこのところがはっきりしなければ、民間のマーケットにさらされているプロの皆さんでさえ間違えた。二百兆円を超える金、これを間違えたら大変なことになります。総務大臣、どうするんですか。
○麻生国務大臣 いわゆる、御存じのように、今から郵便貯金というものの話は、二百五十兆、二百二十兆か、簡易保険が百三十兆、合計約三百五十兆だと思いますね。そういったものにつきまして、今後それを民営化して運営していくに当たっては、考えておかねばならぬ点は三つだと思っております。
民にできるものは民にという点で、まあ国としての観点から一つ。もう一つは、今枝野議員御指摘のありましたように、それに預けている人たち、もしくはその郵政三事業によって利益を得ている、便宜を得ている国民、利用者等々にとりましては、民営化されたらサービスが悪くなった、また、そういった郵便がスムーズに配達をされなくなった等々のデメリットがないように、安心感を与えねばいかぬというのが二点目。そしてもう一つは、従業員約二十八万人ぐらいいると思われますので、家族を含めて約百万弱、そういった方々の生活の安定、労働意欲等々を勘案した上で、これから幅広く国民的論議を踏まえということで論議をしていくのでありますので、その形態につきましては、今この段階で、これが正しい答えというのが出ているわけではありません。
○枝野委員 いいですか。十七年に改革法案を国会に提出するという話なんですよ。そして、これを主導してきている小泉総理は、十年以上にわたって郵政を民営化するとおっしゃってきていて、政権についた最初のところから、もう既に二年半、このことを検討されてきているんじゃないですか。全く検討してきていないんですか、民営化すると言っただけで。
実際にこの膨大な郵便貯金、簡易保険の資金を民営化した場合、どうやって運用するのかというところは、もし民営化する場合には最大の課題なんですよ。そこのところについて、例えばもう縮小してしまうのか、あるいは場合によっては郵貯、簡保という事業自体から撤退するのか、それとも大き過ぎるから分割をするのか、それとも、ばかでか過ぎても仕方がないんだからということで、そのまま民営にするのか。全然、例えば郵便貯金を預けている国民の皆さんから見た安心感とか郵便局の位置づけというのは変わってくるんです。全くノーアイデアなんですね、総務大臣。総務大臣に聞いています。
○麻生国務大臣 今の御意見につきましては、繰り返しになるようで恐縮ですが、過日行われました郵政民営化に関する懇談会、総理の諮問機関で出された案でも、三案出されてきておりますのは御存じのとおりです。三つ、案がもう既に出されております。その案がそれで正しいのかどうか、最終案にそれを絞れる段階に行くまでには国民的論議を踏まえたいと言っておられるのであって、今その問題について検討を開始するということだと思っております。
○枝野委員 結局、二年半議論をしてきたけれども、三つの案が懇談会から出てきて、さあ、どれがいいのか、これから国民の皆さんの議論を踏まえて。
政権として、自民党として、十七年度に法案をお出しになって十九年度から民営化するということはお決めになっているけれども、どういう形で郵貯、簡保のお金をするのかということは決めていない。そんな乱暴な話がありますか。少なくとも、十九年からやるということであれば、国民の皆さんの意見を聞く大きな大きな政権選択の選挙は、この秋が最後でしょう、この時間どおりやるんだとすれば。
そこで、私たちは郵便貯金をこうしますということを具体的にお示しになった上で、それに賛成ですか、反対ですかということを決めていただかないと、国民的な議論と私は言えないというふうに思います。
私たちは、まず、何しろ郵便貯金が多過ぎる、そして、民間でできることを民間でやるということであるならば、現に貯金業務、銀行業務というものは、民間銀行があるんですから、できるだけ郵便局が貯金を集めるということ自体を縮小していくことがまず第一歩であって、そのことをきちっとやって、適正な規模で小さくして、民営化するなら民営化できるような規模にしていくことが第一ステップとして必要ではないか、このことは一貫して言い続けております。
もう一点、簡易保険の話を聞かせていただきたいと思います。
簡易保険も、民間でできることは民間でやる、民業を圧迫しない。通常国会では、我々の反対を押し切って、生命保険が今苦しいからといって、予定利率の引き下げの法案を与党は強行いたしました。
ところが、小泉内閣になっての成果だとおっしゃっている郵政公社が、生命保険の今一番の最大の利益を上げている商品である定期つき終身保険の競合商品を新たに郵便局で出したいという認可申請をお出しになるということであります。民間でできることは民間でやる、民業圧迫をしない。しかも、今、生命保険業界は場合によっては契約者の皆さんとした契約を破ってでも予定利率を下げるかもしれないという法律を通している皆さんが、そうした中で、まさか簡易保険がその生命保険の業界に食い込むような、こんな定期つき終身保険の認可はお認めになれませんね、総務大臣。
○麻生国務大臣 基本的には民営化するという前提で事が進んでおるわけですから、その方向につきましては、別に法律違反でも特にないようだと存じますので、基本的には、総務大臣の立場といたしましては、金融担当大臣等々とも十分話をさせていただいた上でやる。別にやらせていただいて法律違反ではないというぐあいに理解しております。
○枝野委員 だれも法律違反だなんて言っていません。だけれども、民間でできることは民間でやるというのが郵政三事業民営化の柱、民業圧迫をしないというのが柱。
しかも、私、この予算委員会でも以前やらせていただきました、公社化するのは結構ですけれども、公社化をして民業を圧迫するようなことになってもらっちゃ困りますよと。
例えば、具体的に、郵便局は税金の面で民間の生命保険会社や民間の銀行よりも有利な立場にあります。それから、銀行や生命保険会社について言えば、いわゆる預金保険料を払っていません。つまり、政府の保証だからということで一千万円まで郵便貯金は保証されているわけですが、それについて保証料を出していません。民間の銀行は一千万円までの預金保険のために保険料を出しています。生命保険会社も生命保険の契約を守るための保証料を払っています。郵便貯金や生命保険は払っていません。
明らかに民間よりも競争上有利な条件に置きながら、民間のところにどんどん商品を出している。これでは、民間でできることは民間でやるという方向とあべこべのことを小泉内閣になってからやっているということですからね。麻生さん、こんなばかな話ありませんよ。
○麻生国務大臣 今、バランスがとれていないというお話だと思いますが、どの点でメリットがあり、どの点でバランスしているかどうかというのは、別の問題として、トータルで考えてみないといかぬところだと思っておるんですね。
公社が行っておりますいわゆる簡保というのは小口対象でありますので、千万円以上はできないというのは一つの規制になっておりますので、競争としては、千万円以上、以下というのは非常に大きな差だと思っております。
また、山の中、過疎地等々、いろいろなところにあります場所におきましても同じように郵便局というものがあって、全国、御存じのように二万四千カ所あるわけですからね。名古屋みたいな町の中とは違いますので、全国の山の中、いろいろなところにいろいろありますので、そういったところの不採算地域においてもいろいろ営業せなければならないというのはマイナスの条件だと思っておりますので、そういった意味では、全体的にしてこれだからすべて一方的に、法人税等々いろいろ御意見はあるんだとは思いますが、民営化されていく方向として、いろいろなことに挑戦をするというのは決して間違っていないと思っております。
○枝野委員 確かに、国営であるいは公社で行っているからこそ、採算のとれない山の中にも支店があったりするわけですよ。そうですよね。民間の企業で、利益を求めるんだったら、採算の合わない支店は閉じますよ。
では、民営化するということは、採算とれないところは将来閉じるという前提でいいんですね、麻生大臣。
○麻生国務大臣 今二万四千カ所の中で、少なくともメリットがないところはさっさと閉めるというようなことが、民営化された場合にそれが当然のごとく行われると、結果として国民にデメリットが出てくることになる。そういうことが起きないようにした上で、どうやって民営化するかということを考えるべきなんじゃないんでしょうか。(発言する者あり)
○枝野委員 今も後ろからもやじが飛んでいますが、論理矛盾じゃないですか。民営化ということは、国がかかわらないで民間としてやらせるわけじゃないですか。民営化をすることということのメリットは、経済合理性に基づいて、採算の合わないことはやらない、もうかるところをやる、それが民間じゃないですか。
もしも、採算に合わない、もうからないところも含めてやり続けなさいという、そんなめちゃくちゃな規制を特定の銀行にだけ課すだなんという、そんな不公平なことが資本主義社会で許されるんですか。民営化をするという以上は、ほかの銀行や生命保険会社と同じような競争をさせなければ、今度は民間会社として倒れてしまうじゃないですか。だれがそんなやたらめちゃくちゃな規制のかかっている郵便局銀行の株を買いますか。つまり、採算のとれないところも維持するということであるならば、それは一定の公の関与をするしかない、つまり民間ではできないということなわけですよ。どちらなんですか。しっかりと明確に言ってください。はっきりしてください。
どちらもそれは、選択肢ありますよ。この手のものは山の中とか離島には要らない、だからもう経済合理性で全部やるんだ、それは一つの考え方でしょう。どちらなのかはっきりしてください。
総務大臣に聞いています。総務大臣がお答えしたことについてです。
○麻生国務大臣 商売をなさったことがおありになる上で、ちょっと返答させていただきますので。
商売をいろいろ私の場合もしてきましたのでわかりますが、不採算だから即切るなんというほど単純な話ではありません。不採算なところでもやらねばならぬというところもありますし、将来そこが開発されてよくなるかもしれませんから。それはその段階で簡単に決められるほど商売というものは簡単なものじゃないんですって、と私は基本的にはそう思っておりますので、その上で、冗談な上で、二万四千の上でどうするかということをきちんと考えていくということだと思います。
○枝野委員 そういう判断ももちろんありますよ。ここは採算とれないけれども、いろいろな経営上の判断で、採算のとれない店だけれども置いておくとか、それはあり得ますよ。しかしながら、そんなことを政治が、政府がコントロールできなくするということじゃないですか、民営化するということは。
それは、民間会社になって、その民間会社の株主の方の最終的には責任と判断で決めていただく。そこが、いや、こんな採算のとれないところはやらないと言ったら、それでやらなくなるのが民営化ということじゃないですか。そうじゃない民営化というのは、形式的に株式会社になろうが何しようが、例えば特殊法人の中にも株式会社形態の特殊法人もあります、これは政府のコントロールです。政府のコントロールするような株式会社にしたって、民間でできることは民間にやらせるということの意味はない。
逆に言えば、先ほどの答弁との矛盾を言いましょう。先ほど、郵便局は、そういう採算のとれないような山奥まで郵便局があるから、今の民間の銀行や生命保険会社のような税金や保険料を取らなくたって公平だとおっしゃっている。では、このままそういうところを維持し続けるかわりに、民間にはするけれども、預金保険料は取らない、それから保証料は取らない、税金は民間より安くていい、そんなばかな話だったら、民業圧迫じゃないですか。わけがわからないですよ。
総務大臣、お答えください。
○麻生国務大臣 預金保険を取らないというお話は民主党案ですか。(枝野委員「我々は取るべきだと言っているんです」と呼ぶ)私どもも、取らないという話が答申に出たことはまだありませんので、今それを検討すると言っている話ですから、先ほど申し上げたように、預金保険料等々につきましても今から考えるところであって、取らないなどというのを前提にして話されるのは間違っております。
○枝野委員 私たちは、今取るべきだと言っているんですよ。なぜかといったら、現実に民間の生命保険会社や民間の銀行、経営が今苦しい。苦しいことについては、私は当事者の自己責任もあると思います。しかしながら、今国がやっている、国が保証をしている、国の信用で裏づけられている。
特に生命保険の場合は、銀行はまだ同じ一千万円まで預金保険もある、郵便貯金も一千万円だ、しかし生命保険の場合は、皆さん方がお決めになって、万が一破綻しないようにといって、契約でお約束した利息を払わないだなんという法律をつくったばかりなんですよ。そういう状況の中で、どうして郵便局だけそういった負担を免れながら、そして一千万円までは保障されるという政府の保証を背負いながら、どうして民間の生命保険会社の民業を圧迫するようなところに介入していく。これが、官から民へ、民間でできることは民間でというスローガンに沿った施策なのか、私には全くわからない。
できるのかできないのかわからない将来の郵政民営化の前に、今やっている郵政公社の民業圧迫をやめること、まず目の前で具体的にできることをきちっとやっていただきたい、そのことを申し上げておきたいというふうに思います。
さらに言えば、民営化というスローガンだけはあるけれども、具体的に、では郵便貯金がどうなるのか、生命保険がどうなるのか、簡易保険がどうなるのか、全くお示しになっていない。では、郵便事業はどうなるんですか。民間参入を認めることになったとしましたが、信書便で民間参入した企業はありますか。残念ながら、全国規模で郵便局と対抗する形で信書便で参入してきた民間業者、ありませんね。どうしてできないんですか。どうして参入してくるところはないんですか、麻生大臣。
○麻生国務大臣 民間参入をしたい、全国的なサービスをできるという前提でやろうとしている業者というのがいろいろおありになったんだと思いますが、やってみた結果、採算が合わないと思われたからだと思います。
○枝野委員 そうです。採算が合わないんです。今の基準で郵便事業をやらせたら、採算に合わない。今、政府の保証がついている郵便局だから採算に合っているんです。もし民間でできることで民間にやらせるということだったら、もっと参入の壁を低くすればいいじゃないですか。ポストの数が幾つなきゃいけないだなんて細かいところまで手とり足とり規制をしておいて、民間で参入してくるところ、採算に合わないから参入しない。民営化して民間でもできることは民間にやらせるというんだったら、もっとハードルを下げればいいじゃないですか。
ユニバーサルサービスは私たちは守らなきゃならないと思います。あそこの離島にだけは送りませんとか、あそこの山奥にだけは送りませんだなんということで競争をしたら、競争が不公平だと思いますから、郵便というのは全国どこでも届けるというユニバーサルサービスは守るべきだと思いますが、細かくポストの数とかポストの規格だなんということを決めているから、民間参入できないんですよ。
将来、そんな先の民営化の前に、今郵便が民間参入できるようにハードルを下げたらいいじゃないですか、総務大臣。民営化が正しいことなんでしょう、総務大臣、そう思っているんでしょう。だったら、直ちに民間が入ってこれるように、そういう障壁を下げるべきじゃないですか。我々は明確に言っていますよ。
○麻生国務大臣 ユニバーサルサービスで、全国一律というサービスというのをずっとやってこられた。これは、郵便制度ができましてこの方ずっとほぼ同じ制度が続いてきたということだと思いますが、極めてその内容はいろいろありますけれども、はがきの値段も諸外国に比べてそうむちゃくちゃ高いわけでもないし、安いわけでもない……(発言する者あり)いえいえ、安いところもありますから、一方的な議論はせぬでください。
そういったところでは、いろいろなサービスというものを長い間つくり上げてきている。その間に、郵便ポストやら何やらも全国いろいろやった。そのポストを維持するために、事業形態としては結構きちんとしたものをやり上げるまでつくり上げてきたんだと思います。そこまでのインフラに設備もかかった。
新しくそれをやるという方に関しては、それをただ利用させろといっても、それは中で、いろいろ郵便ポストの中を両方使うというわけにはなかなかいきませんから、だれが切手を張るのか、だれがその切手の責任を持つのか等々、いろいろ考えないかぬところはいっぱいありますので、ハードルを低くとおっしゃるが、そのハードルが何を意味しているのかちょっとよくわかりませんので、少なくとも、競争をする場合は、公平な競争ということを言われるんだったら、同じような条件をつくり上げるというのには、当然のこととして、一定の基準を設けるのは当然だと思います。
○枝野委員 結局、何だかんややたらと理屈をつけて民間参入をさせない、今までの郵便を守るという答弁にしか私には聞こえないんですが。
麻生大臣、念のためお尋ねしますが、麻生大臣は、小泉総理の指示を受けて、郵政民営化に賛成であるという理解を私はしていますが、仮に自民党の何とか部会とか何とか調査会が民営化反対と議決しようが何しようが、小泉総理大臣の命に従って郵政民営化に向かって邁進されますね。
○麻生国務大臣 今、内閣の一員としては当然だと思います。
○枝野委員 小泉総理は、一貫して郵政民営化をおっしゃっておられる。変わらないことは一ついいことなのかもしれませんが、変わらない、同じことを言っているということは、実行されていないということにほかならないわけで。
以前、九二年でしょうか、小泉さん、郵政大臣をしておられましたときに、郵便局のマル優、高齢者マル優の限度額を引き上げるという話がありました。つまり、郵便貯金の権益を拡大しようという話がありました。当時の小泉郵政大臣は、こんなものは許せぬと、絶対反対だと徹底反対されました。私、当時まだ弁護士だったかなと思いますけれども、お、なるほど、頑張っている、いいじゃないかというふうに思って拍手を送っておりましたが、最終的にどうなったかというと、自民党税調の決定には黙って従うと言って、結局引き上げを郵政大臣として進められたという前科があるということを明確に指摘をしておきたいというふうに思っております。
結局、議院内閣制なんですから、総理大臣が何を言おうと、大臣が何を言おうと、そこで決めた法案が国会を通るためには、こちらに座っていらっしゃる自民党の議員さんたちが賛成をされない限り法律は通らないんです。そのとおりなんです。ですから、この皆さんが、お一人お一人に、ぜひ国民の皆さん、地元で、選挙区で、小泉さんの言うとおり郵政民営化に賛成なのか反対なのか、きちっと踏み絵を踏ませなければ、小泉さん一人が幾ら何を言ったって、法律が通らないから前に進まないということを明確にさせていただきたい。
そういう観点から、麻生総務大臣に一点お尋ねをさせていただきたいと思いますが、麻生総務大臣のもとに、山口俊一総務副大臣いらっしゃいますね。地元のテレビで、私は郵政民営化には反対だ、辞表を胸にやっている、堂々と地元のテレビでおっしゃっている。(小泉内閣総理大臣「いずれ賛成するよ」と呼ぶ)国会では、東京ではいろいろなことを言って、賛成だと言っているかもしれませんが、地元のテレビで堂々とおっしゃっているんですよ。後で賛成するじゃなくて、小泉内閣の一員なんですから、明確に罷免をしてください、総務大臣。
○麻生国務大臣 内容をよく、私はそのテレビを見たこともありませんし、本人の意向を聞いたこともありませんので、今のこの段階で罷免をするなどという言葉を使うほど、私もそれほどのぼせておりませんので。
○枝野委員 失礼しました。正確に言いましょう。事実関係を明確に把握していただいて、私の言ったような発言をテレビで明確におっしゃっていたんだったら、当然罷免に値する話だと私は思います。
つまり、今までの自民党政府、何をやってきたか。例えば、かつて大型間接税のときもそうでした。東京では、中央ではいろいろなことを言うけれども、選挙区では、おれだけは反対だ、おれだけは反対だから、おれがやれば絶対反対でとめるんだ、だから自分を当選させてくれと言って、党として、政府として言っている話と各候補者が言っていることはばらばらなことを言ってきたんです。そのときにはどちらを信じたらいいのかわからなくなるわけです。私たちの党内もいろいろな意見の幅はあります。しかし、政権をとったらこれだけはやりますという政権公約については、すべての候補者、全員一致をして私たちはそれを約束させていただく。党内で、我が党の中でもし地元の選挙区で違うことを言っている候補者がいましたら、党に言っていただければ、その候補者は入れかわっていただくことを我が党はやります。ぜひ自民党もそういうことをやっていただきたいと申し上げておきたいと思います。
次に、年金の話をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど来も話が出てきておりますが、国民の皆さんの関心の大きなところは年金にあると思っています。確かに、私は、今の不況を脱却する、抜け出すために必要なことは、将来不安を小さくしなきゃならない。将来、年金もらえるのかもらえないのかわからない、幾らもらえるのかわからないという不安定な状況の中で果たして、例えば、意外と日本の高齢者の皆さんは資産を持っている方が多いんですが、その資産を使いたくても使えません。自分があと十年生きるのか三十年生きるのかわからない、年金もらえるかわからないとなったら、資産、できるだけキープしておかないといけない。したがって、年金が将来に向かって安心ですよということを国民の皆さんに感じていただくことで、眠っている資産が消費に向かっていって経済を活性化することができるというふうに思っております。
そこで、坂口厚生労働大臣に伺います。
今、年金、何が問題なんですか。何を変えなきゃいけないんですか。どこがポイントなんですか。
○坂口国務大臣 現在の年金制度が抱えております問題、幾つかあるというふうに思いますが、一つは、少子高齢社会が急速に進んでまいりましたために、その負担と給付が不明確になってきたという点もございます。それからもう一つは、不払いの人があるということは年金制度の本当の意味ということが十分に理解されていない、ここに対する我が省のPR不足もあるというふうに思っている次第でございまして、これらの点を明確にして、これからの年金に参加をしていただく方がどれだけ負担をし、どれだけの額が年金として戻ってくるのかということを明確にするということが大事、そこが一番重要な点だと思っております。
○枝野委員 それじゃ、今の問題点に、厚生省ではなくて厚生労働大臣としての案しか出ていないし、あるいは財務省も何か案を出しておられるようですけれども、これこそ郵政よりもっと早い、来年の通常国会、あと三カ月ぐらいで国会に法案を出すという話なのですが、具体的に何をどう変えてくれるのか、全く見えないんですね。基本的には、今の年金制度の枠組み、大きな構造は変えないという理解でいいんですね、厚生労働大臣。
○坂口国務大臣 私が試案として示しましたのは、先ほども申しましたとおり、負担と給付の割合がどうか、まあどんな制度になるにいたしましても負担と給付が、これがあることだけは間違いがないわけで、それに国庫負担がどれだけかということによって決まるわけでありますから、そこを私のには明確にした。そして、今後、これは政府内で煮詰めをいたしていくわけでございまして、年末には明らかな案をつくりたいというふうに思っております。
今までの延長線上ではないかというお話もございますが、そこは、各党の御意見も十分に聞きながらその制度、体制というものはつくり上げていきたいと思っております。
○枝野委員 平成十六年度に次の年金改正をするというのはいつから決まっていたんですか。三カ月ぐらい前に決めたんですか。何年前から議論をしてきているんですか。
今回、国民の皆さんに選択をしていただく選挙をするというときに、いや、それは決まらないから選挙が終わってからやります、これじゃ、国民の皆さんは政策で選択できないというふうに思うんですね。ですから、私たちの考え方を説明させていただきますが、まず政府の方を。(パネルを示す)今の年金制度の大きな図柄です。厚生労働大臣、十分、まあ総理も厚生大臣の経験者ですからよくおわかりでしょう。
一つ、先ほど来議論になっているのは、この一番下の基礎年金の国庫負担という部分です。つまり、ここは税金で賄います、お支払いするときに。次の段階で、ここは保険料でお払いをしますという話ですね。
ここのところで、実は今、二分の一クエスチョンと書いてありますが、今はこの全体の三分の一しか税金が入っていない。そして、これを実は十六年から二分の一にすることを、これは政府としても約束をしてきた。そうすれば、基礎年金を納める額が相対的には少なくていい、減額になるかどうかは別として、という話なんですけれども、じゃ、来年からやるんですか、やらないんですか。
○坂口国務大臣 基礎年金の二分の一への実現は、実現をできるようにしたいと思っております。
○枝野委員 我々の政権公約、マニフェストに具体策がないとかいろいろな御批判をされていますが、じゃ、どういう財源で、どういうふうにやるんですか、坂口厚生大臣。
○坂口国務大臣 それは年金制度の改革以外に方法はないと思っております。
○枝野委員 いや、三分の一から二分の一へ税金の負担を引き上げましょう。税金から払う、つまり一般財源、政府の予算から出す負担部分を引き上げましょう。つまり二兆七千億円、年金のために、皆さんからお預かりしている税金から出す額をふやしましょうということですよ。その二兆七千億円を来年からやるというので、どこからその二兆七千億円持ってくるんですかということを聞いているんです。
○坂口国務大臣 ですから、そこは税制改革でやる以外にないわけでありまして、これは税制全般にかかわることでありますから、その議論の中でこれは出してもらう以外にない。
○枝野委員 税制改革ということは、お金が足りないから税制改革するということは、増税をするとしか聞こえないんですが、ほかに何かやることあるんですか、増税以外に、税制改革というのは。
○坂口国務大臣 主に、それは増税をする以外にないと思います。
○枝野委員 私たちは、国民の皆さんに従来から約束していました。我々も実は約束しています。実は国会でも決議を上げています。
ただ、二兆七千億という膨大なお金を一気につくり出すためには、増税をする以外にはなくなってしまうでしょう。しかし、私たちは、まさに国民の皆さんの最低限の年金の部分をどうやって保障するかということを考えたときに、今、私たちの国は税金の使い方を大きく間違えている。諫早湾の干拓、菅さんが繰り返し言っていますが、何で、田んぼが余っていて、米が余っていて、ことしは足りないですけれども、片方で減反しながら、もう片方では新しい田んぼをつくるのに二千五百億円も使っているんだ、こういうばかな税金の使い方がたくさんある。
我々が政権をとらせていただいたら、このばかな税金の使い方を、一年間で二兆七千億そっくりということをやると、今継続している事業などを突然ばったりやめることができないことがたくさんありますから、一気にはできません、五年間かけて、二兆七千億円、ほかの予算、主に公共事業や特殊法人、そして公務員人件費などの予算を二兆七千億円分段階的に削って、今の国民年金の財源を安定させるというところに充てます。増税をしないで、ここまでは明確にやります。
その上で、私たちは、そこから先の年金の姿、先ほど空洞化という話がありました。国民年金をお支払いになっている方、定額の一万幾らの保険料を納めて、老後に六万幾らもらいます。所得の高い人も所得の低い人も同じようにもらいます。しかし、これは将来どうなるかわからない、ばかばかしいから払わないという人がたくさんふえています。もう四割払っていないというふうに聞いていますね。負担をした額と将来もらえる額との関係もよくわからない。明確にすればいいんです。現役時代に幾ら払ったか、その払った額に応じて老後は受け取るということで、私たちは、まず上の部分、所得に応じて、そして国民年金という制度を、中途半端でよくわかりません、サラリーマンで働いている人も公務員で働いている人も、それから自営業をされている人も無職の人も、すべて老後の不安ということは一緒なわけです。
先ほどの図を下さい。今の制度では、一般の民間企業の人は真ん中の厚生年金です。それから、公務員のようなところは共済年金です。そして、自営業者の方、無職の方は国民年金。昔だったら、終身雇用で、民間企業に入ったら一生サラリーマンで厚生年金、あるいは公務員だったら一生共済年金ということだったかもしれないけれども、今や雇用が流動化して、あるときは国民年金、あるときは厚生年金、あるときは共済年金、さっぱりわけわからなくなっているということも年金不信の一つです。何で分ける必要があるんですか。分ける必要はない。老後の不安は一緒です。
ですから、私たちは、全体を一本にして、とにかく所得に応じて保険料を納めてください、そして納めた保険料に応じて年金を受け取りますという形にします。
しかし、これだけでは所得の低い人たちが老後の生活を守れません。それが今の国民年金の一部の仕組みなわけですけれども。ここはもう将来、税で見ましょう、つまり、保険料で取るのではなくて、皆さんから納めていただく……(発言する者あり)後で話しますよ。税でいただきましょうということでやります。
ただし、全部税で見たときには確かに財源が大変です。税金で見るということは所得の再分配です。どうしても所得の低い人たちの老後を最低限守れないということのために国民の基礎年金というものを置くわけですから、年金を初めからたくさんもらえる、現役時代たくさん保険料を納めて、たくさん年金をもらえる方については支払う必要はないんです。だから、段階的に支給額を少なくする。もちろん、たくさん納めたのに、納めていない人より少ないというか同じ額ということになってはいけませんから、段階的にカーブをつけていって、非常に多額の、我々、今一人で二十万超えるような年金を月当たりもらうような人たちにはもう税金から払う必要はないでしょう、こういう仕組みをやっていきます。
しかも、この国民基礎年金のうちの半分の部分、しかも後ろの方が切れますから、こちら、前の方に持ってこれますから、そこまでは、先ほど言ったとおり、今むだ遣いされている税金をやめさせて、むだ遣いをやめた分で賄って、残りの部分を段階的に我々は消費税を使って埋めていくしかない。しかしながら、今の仕組みを前提にして、お金持ちにもそうでない人にも全部消費税で基礎年金を払いますだなんという制度を想定したりすることに比べれば、相対的に低い額です。
実は、本当は私たち、数字を入れて出したいと思いました。しかし、厚生労働省が、例えば、国民年金層の所得がどれぐらい、どういう分布をしているのか、そういう資料をお出しにならない。それどころか、年金基金、皆さんがお預かりしている年金基金の実態が今どうなっているのか、私どもの埼玉県の知事になった上田清司さんがここで何度もやりましたけれども、年金基金の実態がどうなっているのかさえ、国民のみなさんどころか、私たちにも示していただいていない。だから、正確なシミュレーションができません。
私たちはうそはつきたくないですから、こういう姿を国民の皆さんにお示しをして、そして我々が政権をとったら今の情報を全部公開して、したがって、専門家の皆さん、民間でも計算していただけるようにする。そして、国民基礎年金の水準を幾らに置くか。それに応じて、消費税の税率が決まります。しかし、我々はこれにしか使いません、将来増税する部分は。ということを明確に国民の皆さんにお示しをして、政権を選択していただきたいということを申し上げておきたい。
選挙が終わってから考えますという政党と、どちらが具体的で、どちらが責任ある政党なのかということは、テレビをごらんいただいている国民の皆さんには御理解をいただいていると思います。
さて、もう一点、(発言する者あり)改革の大きな柱、いろいろやじが出ていますけれども、だったら、きちんと我々がシミュレーションできる数値を出してください。国民の皆さんがシミュレーションできるデータを出してください。そういうデータは全部役所の中で、私は恐らく厚生労働大臣にすら示されていないんだと思いますよ。役所の中で隠していて、都合のいい数字だけ出して、そしてちゃんと野党も計算しろと。できる数字をくれれば幾らでもやりますよ。我々ができる数字を持つということは、民間の方々だってできるわけですから、このシミュレーション、民間の方々が、民主党の案ならこういうことになりますと、きっと計算していただけますよ。しかし、その材料は国民の皆さんに示されていないという実態、これが官僚主導政治だということをぜひ知っていただきたい。
さて、道路公団の話をさせていただきたいというふうに思います。
国土交通大臣、道路公団の民営化、賛成だと思いますが、さすがに。道路公団の民営化、なぜ必要なんですか。何の目的でやるんですか。
○石原国務大臣 私が国土交通大臣を拝命したということが、すべてを物語っていると思っております。
そしてもう一つ、今の議論を聞かせていただいてまいりまして、道路公団の民営化は、目的ではございません、手段でございます。
あくまで、四十兆円という債務を的確に返していくのが第一点。
第二点は、これから、私はむだな道路はつくらないと申しておりますが、必要な道路もあると思います。必要な道路を一本一本、どういう理由でこの道路が必要なのかということを精査して廉価な値段でつくる、こういうことをやっていく上に今の伏魔殿のような公団という組織では適切ではないということで、民営化の仕組みを採用するというふうに御理解をいただきたいと思います。
○枝野委員 そうすると、今、高速道路の計画、全部で九千三百四十二キロあるわけですけれども、全部をつくるわけではない、つくるものとつくらないものが出てくる、まずこういう理解でいいですね。
○石原国務大臣 現在、九千三百四十二キロのうち、およそ七千百キロが完成しております。このうち、施行命令が出ていないものが三百キロ弱残っております。また、施行命令が出ておりましても、くいしか打っていないようなものもございます。そういうものを精査していく。この精査の基準になりますのは、道路民営化推進委員会の中で御議論をいただいた、中村先生がつくっていただきました、道路をこれからどう取り扱うかという基準を客観的に皆さん方にオープンにお示しする中で、どの道路をどういう順番でつくっていく、その結果が委員の御質問の答えになってくるものだと承知しております。
○枝野委員 だから、あいまいにぼかさないでくださいよ。昔の政治家や古い政治家と違うんですから。
つくらない部分もあり得るわけですね、今計画されているものの中で、可能性として。いや、つくらないと決めてはいないかもしれない、つくらないものもあり得るということでいいですね。
○石原国務大臣 これは、委員、多分知っておって御質問されているんだと思いますが、国幹審という会議がございました。これにはもちろん民主党の国会議員の方々も加入されております。その最後の回の議事録を見させていただきました。過去三回にわたって見させていただきましたけれども、その中で、今の計画をやめようという議論は出ておりません。これが第一点でございます。
すなわち、これを変更するには、国幹審にかわる国幹会議を開催して、そこの議論を待ち、それを中心に国交大臣が判断をして、どうするということを決めるというのが手順でございます。
○枝野委員 ちょうど、きょうは十月一日でして、五年前のきょう、十月一日に、石原さんと一緒に金融再生法を最終合意した日でありまして、大分自民党の政治家っぽくなってこられたなと残念に思いながら今の答弁を伺いましたが、国土交通大臣としてリーダーシップを発揮して、つくらぬものはつくらぬと言うのか言わないのかということを聞いているわけですよ。
民営化をすることによって、つくる必要のある道路か、つくらない必要のある道路かということを精査するということをおっしゃいました。ということは、今後つくる高速道路は民営化された今の公団でつくっていく、こういう理解なんですか。何か、与党あるいは政府の中では、いや、民営化された公団は民営化された公団でやるけれども、それ以外に税金でつくります、そういう話も出ているようなんですが、そんなばかな話あるんですか。
○石原国務大臣 これも枝野政調会長はわかっていて質問されていると思うんでございますが、すなわち、新直轄というものを来年度予算で計上しております。これはどういうことかというと、これまでは道路公団のプールの中で、道路公団という大きなプールの中で、東名高速とか中央高速の高速道路料金を回してつくってきました。小泉内閣ができるまでは、そこに国費も三千億円投入されておりました。これを一切やめたわけでございます。
そんな中で、しかし、必要な道路、私は必要な道路という言い方をあえてしましたけれども、私のところにも、国土交通大臣になりましていろいろな方が陳情に参りますし、日本全国いろいろなところで、タウンミーティング等々で現場の声を聞いてまいりました。(発言する者あり)陳情というのは、国民の皆さん方の声を聞くのであって、私は必要だと思います。それをやるかやらないかを判断する材料であります。そんな中で、では、何が必要な道路なのか。採算性が合わないから高速道路を一切つくらないということは乱暴な議論だと思います。
そして、BバイC、受益とコスト、これだけでも不十分であります。やはり、社会的にその地域がどういうところにあるのか。やはり地方の首長さん方からの要求として一番大きいものは基幹病院、すなわち、大きな合併症あるいは先天的な病、こういうもので、その病院に到達するまでの時間距離が二時間、三時間、そういうものを全く無視するような、東京都だけの環状道路をつくればいいんだ、地方の道路はつくらなくていいんだということは私はないんだと思います。
その結果、この三兆円の直轄道路というものが出てきました。単純に一キロ当たり五十億円で計算すれば、六百キロ。六百キロは、もう既に九千三百四十二キロのうち有料道路じゃないわけです。こういう変化が起こって、こんな中で道路ごとに精査をしていくというふうに御理解をいただきたいと思います。
○枝野委員 よくわからないんですが。
じゃ、何のために民営化するのか。つまり、採算とれなくても必要な道路はつくる、それはそうですよ、そのとおりだと思います。私は否定しません。じゃ、民営化する公団は何なのか。これは要するに採算のとれるところだけは民営化でやる、採算のとれないところは税金でやる、こういうことでないと民営化する意味がわかんないですよね。
これからつくる道路はほとんど採算とれないですよね。ほとんど採算とれないけれども、だけれども必要な道路だから税金でつくります、この話はわかりますけれども、じゃ、何で道路公団は今までの分を民営化するんですか。
民営化するということは永久有料化だという話に対して、総理は本会議でごまかされましたけれども、しかし、民間企業にしておいて将来料金を取らなくなるということはあり得るんですか。その民間企業は倒産しますよね。あるいは、民間企業にしてしまった以上は、その民営化公団に対して、もうおまえら料金取るなだなんということを行政指導するんですか。何でやるんですか。
民営化した道路公団が、どんな料金を取ろうが、それから、永久に料金を取り続けようが、どんな建設をしようが、今ある高速道路は採算とれないからもうやめたと言おうが、民営化するということは民間企業の経済合理性でそういうふうにやるということじゃないですか。どこが違うんですか。
○石原国務大臣 これもきっと委員わかって御質問されていると思うんですが、諸外国の例を見れば、私も見てまいりましたけれども、イタリアのアウトストラーデ社、フランスのコフィルート社、どうなっているかといいますと、民営化されております。
有料道路として料金徴収期間終了後に国へ無償で道路資産を返還する、これがイタリアでございます。フランス、道路整備後直ちに国に道路資産を移管して、契約期間終了後に料金徴収権を失う。
ですから、民営化しても永久有料であると言うか、一元的な言い方は私は間違いだと思います。
そして、その前の御質問にお答えするんですけれども、じゃ、なぜ公団じゃなくて民間会社でなければならないのか。それはまさに、公団というある程度行政に近い、行政に近いということは政治にもある程度の距離が近い、そういう企業が、これはわかりませんけれども、巷間言われるような、圧力に屈して、採算性あるいは社会に及ぼす影響性とかそういうものを全く無視して道路をつくり続けるのではないか、こういう疑念を、民間会社であるならば株主が必ず出てまいります、そしてアニュアルレポートも出してまいります、そしてどういう順番でつくっていくのかということが明らかになるわけですから、より透明、合理的になるわけです。そういう形で、歯どめ、厳格な歯どめを行っていくために民営化会社になるということでございます。
○枝野委員 一つは、今までの自民党政権では道路公団を管理、コントロールできなかったということを石原大臣はお認めになった。まあ、これは率直で結構なことだというふうに思います。
それでは、民営化をして、株主ができると言いました。しかし、いつまで料金を徴収できるのか、料金が徴収できなくなったところで、じゃ、その民営化会社はどういう生き残り方をしていくのか、そういうことも示さないような民間会社の株をだれが買うんですか。
○石原国務大臣 これももう過去の議論に出ている話ですけれども、PA、SAは今度道路会社の直轄事業になるわけですね。そして、民営化されている、私イタリアのアウトストラーデ社を見てきたと言いましたけれども、道路料金収入よりも副業の方が多いんです。
どんなことをやっているか。情報通信インフラを使っての道路交通情報を警察に流す。あるいは、PA、SAの周りに大きな開発を行ってそこの利益を上げる。今そういうふうになっているんです。あるいは、ヒースローの空港も見てまいりましたけれども、民営化されて何が変わったか。着陸料よりも副業の割合の方が七割、倍以上あるんですね。
そういう形で、民間企業であるならば生き残ることは十分可能であると考えております。
○枝野委員 いいですか。料金を徴収し続けている間は、その道路はその民間会社のものでしょうから、サービスエリア、パーキングエリアに対して特許的に優遇してもいいかもしれませんが、無料になった瞬間に国のものに戻ったりするんでしょうから、そこでは、その民営化された、そして通行料金収入がなくなったところにだけ特許的にパーキングエリアやサービスエリアを、権限をお渡しするだなんということは、それこそアンフェアですよね。この議論をすると時間がなくなりますから、これぐらいにしておきます。
そもそも私たちは、民営化をするというのは、もし意味があるんだとすれば、まさに先ほど申しましたが、民間会社だったら採算のとれない道路はつくらないでしょう。採算の合わない道路をつくらないということのために民間会社にして、採算に合うかどうか株主の圧力も含めてチェックしていただく、これならば民営化ということの話も一つはあり得るかもしれない。
しかしながら、この場合に、本当にその民間会社が、民間の人たちの任意の出資で採算がとれて、株がちゃんと民間で流通するような形にしようと思ったら、将来にわたって経営が安定する形じゃなかったら、だれがその会社の株を買うんですか。今だって、民営化した、民営化したといってJRの話なんか時々出しますが、東日本と東海と西日本は民営化されたかもしれません。しかし、それ以外は、残念ながら地域事情から採算がとれない。僕は、採算がとれなくてもそれでも鉄道事業はちゃんとやるべきだと思いますが、それはそれでいいんですが、北海道などは民営化されていませんよね。株は国が持っていますよね。あんな中途半端なことをやるんだったら、今と何も変わらないですよ。それはもう行革大臣されていますから、特殊法人の中には株式会社もたくさんあります。名前だけ株式会社にしたからといって何の意味もない。
では、本当の意味で民営化をして採算のとれるようにしようと思ったら、そして株主に買ってもらおうと思ったら、車の通らないような採算の合わない道路はつくらないどころか、やめることまで含めて権限を持たせないと、経営者の自主裁量権がなくなってしまうじゃないですか。そして、民間会社にして株主が全部民間になってしまったら、うちの経営判断としてこんな高速道路は採算が合わないからもうぶっ壊すという判断が出てくるかもしれないじゃないですか。そういうのが民営化というんです。
しかし、私たちは、道路というのはまさに国が、政治が、だれが使うかわからないんだから、最低限保障しなければならない基礎インフラだと。どこの国でも基本的に道路は無料なんです。だれでもただで通れるんですよ。旅行に来た人も通るかもしれない、外国の方も通るかもしれない。だけれども、全体で、その場所の道路を通っていなくても、田舎の高速道路を通って運ばれてくる野菜や米を私たちも食べているわけです。だれのためのものかわからない。だから、税金を使って国が整備してきている。今イタリアは確かに料金を取っているところがあります。しかし、アメリカの高速道路もドイツの高速道路も、基本的には無料です。
それで、我々は考えました。民営化してやっていくのも一つの考え方でしょう。しかしながら、例えば東京湾アクアラインを見てください。料金が高過ぎて、あんな便利なところにいい道路をつくっても車は通らないんですよ。本州四国連絡橋を三本もつくってしまった。三本もつくってしまったのは僕は間違いだと思うけれども、現につくられて存在している。ところが、料金が高過ぎて、橋があるのに橋を使わないで船を使っている人たちがいまだにたくさんいるわけです。
これは、つくってしまったのは過去の政治家の皆さんの間違いです。間違いだけれども、現に存在している国民の資産です。これを民間会社の金もうけのために使わせるのがいいのか、それとも皆さんが使っていただける、道路は無料という原則に戻して、そして有効活用していく。つくってしまったものは今さらお金に戻して税金で返すわけにはいかないんですから。つくってしまったものを有効活用するとすれば、料金を取らないということが本来の原則に戻ることじゃないですか。なぜ私たちはこういう当たり前のことが通用しないのかさっぱりわからないんです。
ちなみに、道路公団の持っている借金は返していかなきゃなりません。しかし、国のものとして、将来にわたって国の資産として、しかもだれでも国民がただで使えるという道路になるんですから、間違ってつくってしまった分だけれども、それは将来にわたって時間をかけて返していきましょう。何しろ、税金と財政投融資を合わせれば、この国は十一兆円も道路工事に使っているんです。そのうち二兆弱のお金を高速道路の過去の借金の返済に充てれば、これからも必要な道路をつくっていくお金は、財投まで合わせていけば九兆円残ります。税金でいったとしても七兆円残ります。その七兆円のお金を使って道路工事も続けられて、高速道路はただになって、借金を返していける。しかも、特に地方がインターチェンジの数を、出入り口の数を、通行料金を取らないんだったら、もっともっとたくさんつくって、地域に有効活用できる高速道路になっていく。高速道路が今ありながら、使いにくいから隣にバイパスをつくってくれだなんという話がたくさん来ているわけです。こんなバイパスをつくる金を考えれば、今ある道路を有効活用することの方が将来にわたって適切ではないか。
私たちは、したがって、民営化だなんという中途半端なことをするんじゃなくて、道路は本来みんながただで使える、原則に戻しましょうという提案をしているんですが、石原大臣、どうですか。
○石原国務大臣 まず、二点お話をさせていただきたいと思います。
ただいまの質問の前段のところで、枝野政調会長は民営化という言葉を使われた。しかし、日本の国民の皆様方が、全体が感じている民営化は、やはりJRの民営化が念頭にあるんですね。成田空港の今度の民営化もそうです。営団地下鉄の民営化もあるんです。
私、何が言いたいかというと、コーポラタイゼーションとプライバタイゼーションというものが、日本の民営化という言葉は同義語として使われているから今あえてそういう質問をされたんだと私は思ったわけですけれども、そういうことになっている。これは物の順序なんですね。
JRの東を見ても、十五年かかって完全民営化した。西日本に至っては、主幹事が決まっておりますけれども、株式市況の状態を見て、それは高いときに売った方がもうかりますからね、まだ民営化していない。しかし、民営化された会社だと国民の皆さん方は思っている。私どもの考えているのは、やはりJRの民営化、そして株式を放出していく。
ですから、民営化したといっても、そこから、時代の流れの中でこの株式の売却というものが出てくるということは御十分に御理解をいただきたいですし、公共公物である、どこの国でも、フランスでも、フランスで見てきたんですけれども、やはりゴールデンシェアといって、政府が、今委員が言った懸念にこたえるために、行政権限が及ぶための株主としての権利を持っているわけですね、民営化されたといっても。
この民営化、どういう形に分割・民営化するかという法案を実は来年の通常国会に御提出させていただきますので、そこで十分に今の議論を深めて討論をさせていただきたいと考えているのが第一点でございます。
そして、二番目の御質問なんですが、これは、菅代表と小泉総理の議論の中で私もかみ合っていなかったと思います。
と申しますのは、私も、枝野政調会長、最初は無料化には反対されていたという話も聞きましたけれども、そういう中で出てきたこのマニフェストを見ましたけれども、ざっくりした数字なんですね。九兆円、御存じのとおり、道路の総予算というものがあります。しかし、この中はどうなっているかというと、国でやっているもの、あるいは地方の単独事業、補助事業、三つあるわけですね。皆さん方のマニフェストを見させていただきますと、自動車取得税、これは地方税ですけれども、およそ五千億円弱、これは廃止するとおっしゃっている。さらに、いわゆるガソリン税、揮発油税中心ですけれども、これは三兆円弱ありますけれども、これも一般財源化する。
そうこうそうこう九兆円から削っていきますと、一体幾ら残るのか。仮に揮発油税と自動車重量税、三兆五千億ぐらい足すとなりますけれども、三兆円という丸い数字にして、九兆円から三兆円引くと六兆円残りますね。六兆円のうち、もちろん、御党は地方分権を推進する、地方の単独事業、道路を全く四兆円つくるのをやめるということはないと思いますけれども、そうすると、残り二兆円。では、その二兆円を高速道路の借金の返済に充てたら、国道はつくらない、そしてまた一兆五千億円の管理費は出ない。ですから、そういうものをお示しいただかないと、この無料化の議論というものは議論にならないんですね。
それと、私は身をもって反対しますけれども、私の家の近くには中央高速あるいは東名とある。これが無料になったらどんなことになりますか。外の環状道路がない東京、大渋滞。そしてまた、この私たちの住んでいる地面は、環状線は二車線、しかも放射線がない。こんなことになったら大環境破壊になる。そういう議論のデータをぜひいただきたいと思います。
○枝野委員 民主党のマニフェスト、第一次集約ですから最終確定版じゃありませんが、一部分だけ読んでいただいて、それはそれで結構なことなんですけれども、私たちは、そもそも、道路特定財源を一般財源化するとは言っていますけれども、では、その金を道路に使っちゃいけないだなんて言っていませんよ。今の計算は、一般財源化した道路特定財源は道路に使っちゃいけないと言っている話で、そもそも議論の前提をずらしていますよ、わざと。
我々は、道路特定財源を道路にだけしか使えないということでは、例えば、地方分権をしたときには、今道路特定財源のところで地方に行くお金、財源の部分のところは、それは地方で、うちは道路じゃなくてほかのものをつくりたいということがあったら自由にやっていただいてもいいんです。ただ、我々が言っているのは、現実に九兆円の道路予算があるんだから、今と同じ規模でこの道路予算を使い続けたとしても、二兆円分高速道路の償還財源、二兆円弱ですけれども、でも七兆円あるじゃないですか。そこのところをどう使うかということは、それは判断はいろいろあります、特に分権で、地方で何に使うかは決めていただきます。
つじつまが合いませんので、ぜひそこは言っておきたいというふうに思いますし、我々は、大都市部、首都高や阪神道を初めとする大都市部の渋滞対策のために、そこは料金をいただくと言っています。したがって、首都高だけとは言っていません。したがって、首都高に隣接するようなところで渋滞区間のところは渋滞と環境保全のために通行料をいただく、このことは明確に申し上げておきたい。
以上申し上げて、終わらせていただきたいと思います。
○藤井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
2003/10/01 |