2003/11/25 |
158 衆院・予算委員会
2003年11月25日 (民主党ニュース)
岡田幹事長、政府に年金改革の対案求める
衆議院予算委員会で25日行われた基本的質疑で、民主党の菅代表に続いて岡田克也幹事長が質問に立った。
冒頭、岡田幹事長は、イラクへの自衛隊派遣・景気回復・年金などの問題が山積しているにもかかわらず、今回の特別国会で小泉首相が所信表明演説を拒否したことについて「総選挙終了後の特別国会等で行わなれなかったことは1回の例外を除いてない。国会や国民への説明責任を欠く行為であり極めて問題である」と糾した。しかし総理は「待つことも必要。通常国会くらいまでは待てるでしょう」と開き直った。これに対し岡田幹事長は、臨時国会の早急な召集を求めた。
岡田幹事長はまた、政治改革問題を取り上げ、政治資金の公開基準を現行5万円から24万円に引き上げることは、政治改革に逆行する行為であると指摘した。しかし、小泉首相は「公開基準の引き上げは妥当である」と強弁した。
年金問題については、グリーンピアに代表されるように膨大な額の年金財源が無駄遣いされてきたことの事実解明と責任所在の明確化を求め、さらに今後のあるべき年金の姿について、政府・自民党が早急に対案を出すよう迫った。政府は、年金財源の無駄遣いについて調査を約束したが、対案については年末までにまとめ、通常国会で民主党案とともに議論したいと述べるにとどまった。
平成十五年十一月二十五日(火曜日)
○岡田委員 民主党の岡田克也です。菅代表に引き続いて、総理に質問したいと思います。
まず、この国会の意義でありますが、私は非常に大事な国会だというふうに認識をしております。総選挙が終わりまして、自民党の規約によりますと、小泉総理は解散でもない限り三年間総理としてこれからこの国をリードされる、残念ながらそういうふうになっております。
この国会は、選挙が終わって最初の国会ですから、まさしく三年間総理としてこの国をどのように持っていくのか、リードしていくのか、自分として何をしたいのか、そのことをはっきり国民に述べるいい機会だと思いますが、この予算委員会も衆議院わずか四時間半でありますし、施政方針演説もありません。
なぜ総理は、施政方針演説の中で、国民に対してこの国会の場できちんとみずからのお考えを述べようとしないのか、そのことをまずお答えをいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 施政方針演説は通常国会ですることになっております。そして所信表明は九月の臨時国会でも行いました。そして選挙中にも国民にいろいろ訴えました。今回、特別国会でこのように予算委員会も開いております。いろいろな意見を述べる機会はあります。
私は、一月にそういう施政方針演説の機会がありますので、今予算編成等いろいろな問題が山積しておりますので、今国会におきましては、そのような代表質問といいますか、国会の本会議の場で所信表明を行う必要はなく、今後の近い将来に行えばいいと思っております。
○岡田委員 総理は私の質問に答えていただいていないと思うんですが、通常国会の冒頭に行う施政方針演説、これは、基本的には、予算を含むその年一年間、国のリーダーとして何をしていくかということを述べるものであります。
総理は所信表明と言われましたが、所信表明は、毎国会やられることもありますが、今回は、先ほど言いましたように解散があって、そして第二次の小泉内閣がスタートしたからこそ、改めて国民に対して述べるべきではないか、こう申し上げたわけです。いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 私は、その所信表明の機会は近い将来あるから、そのときに譲る。今回におきましても、こうやって議論して所信を述べる機会は十分あるわけです。岡田さんの質問に答えて、菅さんの質問に答えて、十分あるんです。特別国会で、首班指名と議長だけで閉じた国会も何回かあります。時期を考えて判断していいのではないでしょうか。
○岡田委員 今の小泉総理のお答えに反論しておきたいと思いますが、戦後、今回を除いて、総選挙は十九回行われました。その中で、その直後の特別国会で所信表明を行ったのが十三回、それから、特別国会では短期で閉じて行わなかったけれども、その直後の臨時国会で所信表明を行ったのが五回、つまり例外は一回だけです。
その一回の例外は何かというと、総理も御存じのように、任期満了選挙で三木内閣が選挙を行って、そしてその直後に福田内閣にかわったために通常国会の冒頭まで所信表明の機会がなかった、これ、一つの例外なんです、唯一の。唯一の例外です。(小泉内閣総理大臣「そうじゃない、違う」と呼ぶ)もし違うと言うなら、具体的に述べてください。
○小泉内閣総理大臣 今私の手元にある資料では、一回だけでなくて、所信表明がなかった国会は、第二次大平内閣、第八十九国会、昭和五十四年、召集日が十月三十日、閉会日が十一月十六日、会期が十八日間。第九十二国会、鈴木内閣、召集日が五十五年の七月十七日、閉会日が七月二十六日、会期が十日間。それと第三次中曽根内閣、百六国会、召集日が七月二十二日、閉会日が七月二十五日、会期は四日間。そして第二次橋本内閣、第百三十八国会、平成八年十一月七日召集、閉会が十一月十二日、会期が六日間。それと第百四十八国会の森内閣、召集日が平成十二年七月四日、閉会日が七月六日、会期が三日間。いずれにおいても所信表明がなかったということであります。(発言する者あり)
今私は、質問が、言えと言うから言っているんですよ。丁寧に答えているんですよ。答弁しなくていいと言ったら答弁しないんですけれども、言えと言うから答弁しているんですよ。そうでしょう。
○岡田委員 総理、例えば今、大平内閣と言われましたね。第一次大平内閣、五十四年の十月に内閣改造をやって、それで所信表明をしていなかったと。しかし、その直後に、五十四年の十一月二十六日にまた国会を開いて、その臨時国会でやっているんですよ。だから、通常国会までやらなかったんじゃないんですよ。あなたの言っていることは間違いなんですよ。どうですか。
○小泉内閣総理大臣 今、国会が閉会したとしても、一月には通常国会が行われるんですよ。待つことも必要です。決して逃げているわけではなくて、しかるべきときに所信表明なり施政方針演説をやるということは当然でありますので、一月ぐらいは待てるでしょう。
○岡田委員 総理は論点を今変えられたわけですよ。私が申し上げたのは、解散があって、そして新しい内閣がスタートしたときに、その直後に通常国会まで所信表明をやらなかった例はありませんよと言っているんですよ。あなたの言ったのはその例じゃないんですよ。その質問に対してあなたは答えてなくて、突然、一カ月ぐらい待てないのかという違う議論にすりかえているじゃないですか。どうなんですか。
○小泉内閣総理大臣 これは、過去の慣例とかいうことに関係なく、これから予算編成も始まるんです。いろいろな問題が山積しております。そして、既に九月に臨時国会を開催して、改造を行って、所信表明を行っているわけです。代表質問も受けているんです。予算委員会も開いているんです。選挙もやって訴えているんです。今回、そのままの閣僚なんです。再任しているんです。そして、一月には通常国会がある。そのときにやればいいと思います。
これは政府の判断であり、私の判断であります。
○岡田委員 基本的に、小泉総理は国会の意味というのがよくわかっておられないと思います。つまり、解散があって、国民に新しい国会議員が選ばれて、あなたの第二次内閣がスタートしたからこそ、所信の表明を求めているわけですよ。その前のことを言っているんじゃないんですよ。
もし、あなたがどうしても国民に説明するのを逃げたい、国民から逃げたいとおっしゃるのなら、それはなぜなんですか。やはり、あなたは総理大臣として国民に対して説明する責任があるんじゃないですか。どうですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、何も逃げていませんよ。そう決めつけないでくださいよ。岡田さんの意見と違うだけです。
これから、予算編成ではきちんとした数字を示して、今までの選挙中に国民に訴えた公約の実現のためにいかに予算を組むか、そして一月には通常国会が始まります。そのときにしっかりと施政方針演説の中でこれからの考え方を述べたいと思っておりますし、今の予算委員会においても、お聞きしたいことがあれば、私はしっかりと答弁いたします。
○岡田委員 戦後、解散・総選挙があって、そして、通常国会の施政方針演説まで国民に語らなかった初めての総理になりますよ。その認識はありますか。
民主党としては、通常国会までに、これから臨時国会の召集を求めたいと思います。ぜひその求めに応じて、しっかりと国民に向かって総理の考え方、所信を述べていただきたい、そういうふうに御要望申し上げておきたいと思います。
それでは次に、内政の問題について幾つか御質問したいと思います。
まず、政治倫理の問題です。
総理は、選挙の期間中から、自民党は変わった、改革政党になったと盛んに言われました。しかし、どこが変わったのか。特に政治と金の問題、政治倫理の問題、この問題について、自民党のどこがどう変わったのか、具体例でお答えいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 自民党は政治資金規正法の改正に取り組んでまいりましたし、既に、政党においては企業献金は認められておりますが、個人については企業献金も禁止になりました。そして、公開の基準も、今までと比べてかなり上限が限られてまいりましたし、それぞれの議員が今までの国会の審議を真剣に受けとめて、いかに資金の問題におきまして疑惑を持たれないように努力していくかということで、私は、かなりの面において改革は進んできたと思います。
○岡田委員 企業献金を受けないことにしたのは最近の話じゃありませんよね。小泉総理になってから変えた話でしたか。
それから、私が聞いたのは、自民党として何が変わったのかと、制度全体が、法律が変わった話じゃなくて。例えば、民主党であれば、公共事業受注企業からの献金をみずから制限しています。党のホームページで政治資金収支報告を公開しています。党本部の政治資金収支について外部監査を導入しています。公設秘書の名前を公表しています。そういった自己改革の努力をこの半年間、一年間続けてまいりました。
小泉総理は、総裁として自民党の改革を何を具体的にされたのか、お答えいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 それは、党の改革におきまして、先国会においても法案を提出しておりますし、今後におきましても、私は、各党間で協議しながら改革を進めていきたい。それは、自民党単独でできることもあるでしょうし、あるいは各党間の協議によってできることもあると思われます。今後もいろいろな各党の意見、自民党内の意見を聞いて、進めるべきは進めていきたいと思っております。
○岡田委員 自民党が具体的に改革したものはないというお答えだというふうに受けとめました。
それでは、制度論について聞きますが、前国会で廃案になりました公開基準の話ですね。公開基準も随分下がったというふうに総理みずからさっきおっしゃったけれども、しかし一方で、月二万、年間二十四万にまた不透明性を高めよう、そういう法案が前の国会で出たわけですね。廃案にはなりました。この法案はもう出さないという約束をしていただけますか。
○小泉内閣総理大臣 私は、二十四万というのは妥当だと思っていますよ。民主党は全部公開しろと言うんですけれども、これは、実際献金を受ける場合と、それから献金をする側の立場を考えて、二十四万円公開基準がなぜいけないのか、私はわかりません。今までは無制限だった。かつてはもう政治資金となれば無制限だった。あるいは百五十万円だった。それを二十四万に上限を抑える、月二万円ですね。
献金する側にとっては、できたら名前は出したくないという方もおられる。できるだけ献金する立場のことも考える、受ける立場も考える。政治家にとって、秘書に聞いてごらんなさい、この手続の煩瑣、そういうことを考えて、私は二十四万というのは決して高額と思っていません。月々二万円献金してくださる方、これは本当にありがたいと思っています。そういう点について、私は二十四万がいけないとは思っておりません。
この点については、民主党は恐らく一円以上。一円以上を一々記名しなきゃ受けちゃいかぬ。カンパはどうするんですか、カンパ。今、千円、一万円カンパしてくれる人はざらですよ。こういうことまで一々名前を書かなきゃ寄附できない、カンパを受けちゃいけない。これは現実的に考えて、やはり現実を見なければいかぬ。献金するのは悪いことじゃないんです。むしろ、献金してくれる方をいかにふやしていくかということも大事なんです。税金だけでやればいいというものじゃないんです。
こういう点もよく考えれば、私は、二十四万円というのは決して野方図な高い額とは思っておりません。毎月毎月、一万円、五千円、献金してくれる方々というのは、本当に貴重な政治活動支援者です。そういう立場の方、名前を出したくない、あの人に献金をしてこの人に献金しない、言われるのが嫌だからできるだけ名前を伏せてくれという人もたくさんいるんです。そういうことを考えれば、月二万円以内の、名前は出さないでしてくれという献金する立場の人も考えていいんじゃないでしょうか。私は、決してこれは後退だとは思っておりません。
○岡田委員 先ほど総理自身が、政治資金の公開度が高まってきた、こう言われましたよね。年間五万円にしたんですね、十年前に。その後、あなたは、二十四万というのはそれを変えるということじゃないですか。だから、透明度高まったんじゃなくて、透明度はやはり低くしたんじゃないですか。違うんですか。
総理が全く政治資金の公開ということについてそういったお考えはないということがよくわかりました。
では、なお一票の重さについてもちょっとお聞きしたいと思いますが、選挙の前に、我が党の菅代表の質問に対して、二倍以内におさめることに賛成であると。一票の重さですね。確かに、今回、格差が二倍を超える都道府県を見てみますと、千葉とか兵庫とか静岡とか北海道、実は民主党が非常に強いところが不利益をこうむっているわけですね。
そういった、総理御自身がおっしゃった、二倍以内におさめることに賛成だということについて、解散があったわけですから、これを具体化していくいい機会だと思いますが、この点、いかがでしょう。
○小泉内閣総理大臣 選挙制度の改正については、いろいろ各党意見がございます。私は基本的に、一票の格差を二倍以内におさめるということは賛成であります。その中で、現行の制度のまま改正しようという意見と、やはり中選挙区制に戻した方がいいという政党もあります。この点は今後、制度改革ですから、よく検討すべきじゃないでしょうか。
私は、小選挙区比例代表制のもとにおいても、一票の格差は二倍以内におさめた方がいいと思っております。この点については、各党意見がありますから、比例代表においても小選挙区制においても定数削減した方がいいという議論もあります。今後、十分に議論する必要があるんじゃないでしょうか。
○岡田委員 これは、同じ予算委員会の中で、比例八十の削減と我々はマニフェストで約束をしたわけですが、この質問に対しても、削減の方向で各党各会派が見直していくことは賛成であると総理は述べられたんですね。今のお答えを聞いていると、大分ニュアンスが変わってきたというふうに思います。
つまり、今の制度を前提にして比例を減らすという考え方から、制度そのもの全体を論じなきゃいけない。随分公明党の主張に寄られたなという感じがしますが、それはやはり選挙結果ですか。
○小泉内閣総理大臣 私はもともとこの小選挙区比例代表並立制に賛成じゃなかったんですけれども、結果的にこうなりました。私は、この制度の改革というのは一党だけで、特に選挙制度は一党だけの都合で改革するのは無理があると。
現在も、小選挙区制度は二大政党制を促すからいいんだという意見もあります。しかし、現実問題、今の小選挙区制度においても二人区といってもいいですね、落選した人が当選してくるんですから。必ずしも一人一区の選挙区じゃないんですよ。今の選挙制度は、単純小選挙区、一選挙区から一人しか当選できないんだとみんな言っていますけれども、実際は落選した人が当選してくるんですから。
本当に、現実に一選挙区で一人しか当選できないところもありますけれども、比例で復活、落選した人が当選してくる選挙区もかなりあるんですよ。中には三人当選しているところもありますよ。選挙前には、今度は一人しか当選できないんだと言うけれども、終わってみると二人も三人も当選している。これは小選挙区じゃないんじゃないかと。結局、一人区、二人区、三人区の選挙区じゃないかというのが現実、小選挙区比例代表制もそうなんです。
だから、私は、この選挙制度については、それぞれの政党、考えありますけれども、今後、定数格差の是正と、果たしてこれが本当に一人一区なのか、一人しか選べない選挙だと言っているけれども現実そうじゃないということの実態を考えて、各党よく協議すべき問題だと思います。
○岡田委員 総理、答弁も結構ですが、ちょっと長過ぎますから、端的に答えていただきたいと思います。
もう一つだけ、選挙に関係して御質問をしておきたいと思います。
これは我が党も若干自戒しなければいけないところがあるんですが、政党本位の選挙というときに、小選挙区ではみずからを投票してください、しかし、比例では公然と他党を応援してくださいと。まあこれは、もし我が党にそういうことが現実にあれば、私は幹事長としてきちんとした対応をしたいと思っていますが、総理は、自民党でもそういうことが非常に各地で行われたわけですが、この点についてどう思われますか。ほかの党を公然と比例で入れてくれと、これはやはり政党政治を逸脱していると思いますが、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 これは、自民党の中にも、小選挙区は自分に投票してください、比例代表は公明党にという候補もいたと思います。民主党にもいたそうですね。民主党にも、やはり比例は公明党にと、いたそうです。
私は、これは個人の判断ですから、好ましいと思っていません。私はしません。候補者として、個人の候補者の良識ですから、それがどう判断されるかというのは有権者の判断。御本人の人間性の問題にもかかわるでしょう。ですから、私は、政党人として、自分の政党以外の他党に投票してくださいというのは、まあ好ましいものとは思えませんね。
○岡田委員 まあ私は、政党政治というときに、これは個人の問題ではなくて、やはり政党としての本質的な問題だというふうに考えています。ですから、私は、民主党においてはそういう例がたくさんあったとは思いませんが、仮にそういうことが明白にあったんであれば対応しなければいけない、そういうふうに幹事長として考えているところです。
さて、年金問題について御質問したいと思います。
まず、この年金の問題について議論する際に、やはり私は前提があると思うんですね。つまり、なぜ今年金に対して国民が不信感を持っているか、厚生労働省に対して不信感を持っているか。
それは、一つは、やはりだれから見ても、もう信じられないような例のグリーンピアの問題ですよ。つまり、皆さん国民が本当に働く中で払った保険料を本当にわけのわからない使い方をしていて、しかも、それがだれが責任とるのか、なぜこうなったのか、そういう説明が全くないわけです。そして、結果的にはそれはたたき売られ、あるいはもとに戻って、そのお金が消えてしまうという。やはり、ここに対してきちんと政治が責任を果たしていかないと、いつまでたっても年金制度、国民に信頼されるものにならないと思うんですよ。
ここについて総理はどういうふうにお考えですか。責任の問題を含めてお答えいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 この問題は確かに問題があったと思います。だからこそ、今後このようなことがないように今対応しているわけでありますが、私も実際厚生大臣のときにこの問題を指摘して、直すように指示をし、現実にどのように改革していくか今進んでいるわけであります。
しかし、このグリーンピアにしても、かつて労働省がやっていた能力開発機構にしても、これは本当にどうかしていますよ。だからこそ、今改革しなきゃならぬということでやっているようなわけであって、ただ、地方の現実の問題があります、現実の対応。このまま続けていくんではますます問題が大きくなるから、これを自治体に移管するのか、あるいは移管できない場合に、民間にやってもらうときに、余りにも建設費と実際の売却費に差があり過ぎるんじゃないかという問題もあります。こういう点について、我々は、確かに政府として責任があったと思います。こういう点については十分反省して、こういうことがないようにやっていかなきゃならない。
これは、地元は歓迎してきたからやるんだということでやってきたんだと思いますが、確かにいい施設ができれば反対する人もないんですが、やはり全体を考えて、税金のむだ遣いがないような対応を今後しっかりやることによって責任を果たしていかなきゃならないと思っております。
○岡田委員 責任を感じているとか、今後二度とないようにしたい、そういう精神論だけではなくて、やはり過去になぜそういったことをやってしまったのかということをきちんと総括をして、そして責任をとるべき人が責任をとる、こういうことがなければまた繰り返されるだけじゃないですか。
ですから、私が求めているのは、例えばこのグリーンピアの問題であれば、そういった過去の経緯、そしてなぜ起こったのか、責任をとるべき人はだれなのか、責任をちゃんととったのか、そういうことについてしっかりと政府の中で調査をして、そしてこの国会にその報告書を出して、そしてお互い議論すべきじゃないか、そういうふうに思っているんですが、いかがでしょう。
○小泉内閣総理大臣 そういうことは必要だと思っておりますし、議論の問題におきましても、今までの国会でもそれぞれお話も伺っております。この点については、御指摘のとおり二度とこういうことがないような体制をとっていく必要があると思っております。
○岡田委員 ぜひそういった調査報告書を出していただき、大いに議論したいと思います。総理もそういう趣旨でおっしゃったというふうに理解をいたします。
もう一つは、株の運用ですね。これは随分損が出るわけです。損が出ている。これは私は、個々の運用もそうですが、時々、株価が下がると自民党筋から、例えば政調会長とか、株価対策に年金の金を使え、郵貯の金を使え、すぐそういう話が出ますよね。私は現実どうなっているかわかりません。しかし、もし株価対策にそういう形で年金のお金も使っていたとしたら、それだけの損が出るのは当たり前じゃないですか。つまり、自民党がそういう事態を招いているんじゃないですか。ここはどうなんでしょうか。
○坂口国務大臣 そこは、年金の積立金につきましてのお金は、どういう使い方をするかということを明確に決めてやっているわけであります。そのときそのときの経済の状況によってそれをふやすとか減らすとかということは、一切やっておりません。余りにもそこが、しかし硬直的過ぎるのではないかと思うほど硬直的にやっている。
ですから、例えば、株が上がりましたときに、そうしますと全体の額がふえるものですから、そうするとその株の額を減らさなきゃいけない、全体で枠が決まっておるものですから。そういうことがあって、かえってマイナスになることもあるわけでございますので、その辺につきましては、今後株にそれをどれだけ利用していくのかというようなことについてもちゃんと整理をして、もう一度ここはやり直したいというふうに思っております。
○岡田委員 今大臣が言われることが正しければ、そういった、株が下がるたびにといいますかそういう折に、自民党の幹部が、株を支えるために年金資金を使え、あるいは使ったというふうに言っているのは、それは間違いだということですね。ないということですね、それは。確認をしておきます。
次に、この年金改革について、私は非常にスピードが遅いと思うんですね。選挙の前にもっと具体案がきちんと出て、そして選挙を通じて議論すべきはずが、選挙が終わるまでずっと、特に自民党は案がありませんでした。総理は口頭で少し述べられたことはありますが、基本的な公約の中にありませんでした。そして今ごろ急に出てきている。もう年末になっています。十分な時間がありません。国民生活にこれだけ関係の深い年金制度について、こういったおざなりな対応で本当にいいんでしょうか。私は、総理に相当責任があると思いますが、いかがでしょう。
○小泉内閣総理大臣 後ほど坂口大臣からも答弁があると思いますが、私は、この年金の問題について、年末の予算編成には具体的な数字が出てくる、選挙中にはっきりしたことは申し上げないと。
ただ、考え方として、給付と負担、両方考えていく、そして安定した財源、これを総合的に考えていかなきゃならない。なおかつ、社会保障の基本でありますから年金だけというわけにはいかぬ。医療の問題、介護の問題、これはもう社会保障の基本中の基本であります。
そういう総合的な視点もあるし、この年金の問題につきましては民主党はかなり大胆な案を出しております。これについて今後いろいろな各方面で意見が出てきますが、私は、この年末の予算編成に向けて、来年の通常国会に法案を出さなきゃなりませんから、これはもう決して逃げるどころじゃないんです。というのは、来年参議院選挙がありますから。こういう中で、また法案ができればより深く議論ができますから、決して逃げているわけじゃない。
各方面の意見を聞いて、現在でも、給付を五〇%程度にしろとか、あるいは負担は上限を一〇%ほどにしろとか、あるいは二分の一基礎年金の部分を税で負担する場合にも、消費税がいいと言う人もいれば、いや定率減税、所得税を使おうとか、いろいろな議論が出てきております。こういう点については、今後、この一カ月、わずか一カ月の間でありますけれども、具体案が出てまいりますから、そういうときにまた来年の国会でより深く議論できるんだと思いまして、決して逃げているわけではありません。
しかも、年金の問題については、これはもう高齢者も若い人も関心を持っていただかなきゃなりません。特にこれから四十年、五十年、百年先のことですから、これを理解していただくためにはよほど多くの方々の意見を聞かないとなかなか難しい点もありますので、私は、そういう中での年金改革でありますので、わずか一カ月でありますけれども、来年の国会に法案を出さなきゃならないという期限が迫っております、できるだけこの問題について精力的に取り組んで法案を出したい。
そして、法案が出れば当然来年の通常国会で、民主党も独自の案を持っておられるわけであります。これは、政権交代のたびにくるくる変わって果たしていいかという問題もあります。国民が安定的に年金を受けることができる、また負担する側も安定的に、この程度の負担なら耐えられるという案を出さなきゃなりませんので、これはしっかりと考えて年内に法案をまとめていきたいと思っております。
○岡田委員 総理の御答弁は矛盾しているわけですね。
それほど大事なことだからこそ早く国民に案を示して、この選挙のときにも議論すべきだと私は申し上げたわけです。それを、ぎりぎりまで、一カ月になるまで出さなかった。今でもまだ、厚生労働省の案と財務省の案とありますから、出ていないわけですね。つまり、ぎりぎりまで議論をする場をつくらなかったというところが問題だと私は申し上げているわけです。
そして、その結果として今何が起こっているか。今、給付と負担の問題と言われましたが、年金の問題というのは給付と負担の数字合わせの問題だけではもちろんありません。厚生労働省のまとめた紙の中にも明確に書いてあるわけですね。長期的な制度体系のあり方については議論は残ると。つまり、先送りしたわけですよ。長期的な制度体系のあり方というのは、例えば、民主党の言っていることなんです、税方式にする、国民年金の部分を全額税方式にするとか、あるいは所得比例年金制度を導入する。そういったことについては、今回はまだ議論しないということで先送りしたわけです。もっと早くから議論を始めたら、そういうことまで含めてしっかりとした議論ができたにもかかわらず、今回先送りして、また五年先ぐらいになっちゃうわけですね。
こういう年金の問題は、早くきちんとした制度をつくって、そして国民が安心できるようにしなければいけない。制度の安定性が大事です。しかも、若い人から見たら、改革がおくれればおくれるほど負担はふえていくんです、若い人の。だからこそ急ぐ。にもかかわらず、なぜそういった制度的な改革について先送りしたんでしょうか。お答えを求めたいと思います。
○坂口国務大臣 決して先送りをするつもりはございません。ただ、私は、二段階に考えております。どうしてもことしの年末までに早く決着をして来年の予算に反映させなければならないもの、それから、今、岡田さんがおっしゃったように、いわゆる制度体系そのものについてもこれは議論を深めて、そしてやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、この制度体系の問題は、それを変えますと、その背後にあります社会的ないろいろな問題も変えなきゃならないことがありますから、来年四月からそれを実施するというわけにはまいりません。大きな改革であればあるほど、二十年ないし三十年かけてそこは変化をさせていかなければならないというふうに思います。
しかし、今からまた四年も五年も先に送ってはいけませんので、一年なら一年という期限を切って、その中で御議論をいただいて、そして結論を出していただくということが一番私は大事ではないかというふうに思っております。
したがいまして、この制度体系の問題につきましては、民主党がお出しになりました案も一つの案でございましょう。中には、もう二階の部分は全部民間にしてしまえというような御意見もあるわけでございまして、そうした問題も含めて、これは、一年なら一年という期限を切って、そしてそこで将来の問題を考えて、そして結論を出す。それぐらいのやはり時間をかけないとこれは結論が出にくい問題ではないかというふうに私は思っておりまして、ぜひそういうふうにお願いをしたい。
もちろん、来年の国会の中におきましてもいろいろ御議論をいただいて私はいいというふうに思っておりまして、それは歓迎をしたいと思っております。
○岡田委員 小泉政権、発足してもう二年半たっているんですよね。ですから、今まで何をしてきたのかということなんですよ、これは。
そして、この制度的な改革の話とそれから当面の給付と負担の問題というのは、非常にこれは関係するわけですよ。例えば、今、二〇%負担、企業、個人合わせて二〇%。そして給付、五〇%から五五%。さっきも議論が出ていました。しかし、ここに全額税方式を導入すると、給付の水準は下げずに、負担は二〇を下げることはできるわけですよ。だから、関係しているんです、これは。
あるいは、今回の厚生労働省の案では、国民年金、四割の人が払わないという国民年金に対する抜本策はないんですよ。だけれども、税方式にしたらこの問題は解決するんです。あるいは三号被保険者の問題も解決するんですよ。ですから、絡まっているんです、この制度論と今回の給付と負担の問題は。だから一緒に議論すべきだと我々は主張しているんです。あなたたちが先送りしたことによって、そういった問題も解決しないまま一定の限られた範囲で議論していることになって、それは本質的な解決にならないじゃないですか。いかがですか。
○坂口国務大臣 負担と給付の問題は、どんな姿形にいたしましても、これは必要なことは御承知のとおりでございます。したがいまして、この負担と給付はどうしても必要でございますから、申し上げているわけでございます。そして、その負担の場合に、それを保険料にするか、あるいは税にするかということによって保険料の額が違ってくる、それはもう御指摘のとおりだというふうに思っております。
それにいたしましても、来年の四月からそれを導入するというわけにはいかないんですから、これは一応この負担と給付を決めさせていただいて、もしも大きい改革をするのであれば、年間をかけてそれを徐々に行っていくという方向に持っていかなければいけないというふうに思っている次第でありまして、その辺のところはぜひ御理解をいただいて、そして、いろいろと御議論をいただきたいというふうに思っております。
○岡田委員 私も、初当選してからもう十四年になりますが、五年ごとにこの年金の議論をして、いつもそういった議論をしながら、先送り、先送りですよ。だから申し上げているんです。またそうなりますよ。でも、もう限界に来ているんですから、これはぜひしっかり議論する必要があるというふうに申し上げておきたいと思います。
具体論をちょっと申し上げますが、とりあえず国庫負担割合二分の一にするということは各党がほぼ合意していることだと思いますが、どうやって二分の一に国庫負担の割合を引き上げていくかということについては、与党の中でも意見が違います。
公明党は、選挙のマニフェストの中で、先ほども出ておりましたが、所得税の定率減税をやめる、そして年金課税をするということを言われました。私は、年金課税を強化するということは基本的には賛成ですが、所得税の定率減税をやめるということは、それは経済に及ぼす影響も大きいですし、今の経済状況ですから、しかも、基本的には、もしこの定率減税が一時的なものだとすれば、それは将来的に赤字国債の返済に充てるべき財源であって、それを年金で先食いするということは許されないことだと思いますが、総理はこの点どういうふうにお考えなんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは私は、この二分の一に引き上げるということについて、消費税は上げないということを言明しております。しかし、安定した財源を確保するという上においては今後柔軟に考えると。
公明党が所得税の定率減税の案を出しております。この点についても、一年でやるのか複数年でやるのかといういろいろな意見がありますし、もちろん反対論もあります、賛成論もあります。
この点については、やはり安定した財源をどこから見つけるのか。歳出を削減しろということについても民主党は言っているようでありますが、これが必ずしも安定した財源かどうかという、結びつくかどうかということも議論があります。一時的に終わるのじゃないかという議論もあります。
そういう点を含めて、私は、安定した財源をどう確保するかという問題も含めて、これから予算編成に向けて実に大事な問題になると思っておりますし、この点についてもいずれ具体的な数字を出さなきゃならないと思っております。
○岡田委員 私は、歳出削減が安定した財源にならないということは言えないと思うんですね。
例えば、我々が主張している、国直轄の公共事業についてこれを三割削減する。これは一回限りじゃなくて、ずうっと三割削減の状態を続けていくわけですよ。例えば、今十兆使っていれば、それを七兆にずっとしていくということですから、安定的に三兆円出てくるわけです。もちろん、国直轄ですから十兆ありませんけれどもね。あるいは、国家公務員の人件費を四年間で一割カットするということを申し上げています。これも、そういった形で国家公務員の数を減らし、人件費を減らしていくわけですから、安定した財源なんですよ。そういったことこそ今必要なんじゃないんですか。増税じゃなくて、そういった歳出削減でその財源をつくっていくということが今一番求められていることだと思いますが、いかがなんでしょうか。
○谷垣国務大臣 どこに財源を見つけていくかというのはいろいろな知恵を出していくことが必要だと思いますが、先ほど岡田委員が、公明党案の定率減税というものを廃止した場合にはそれは国債の返還に充てるべきだとおっしゃいました。
それで、今の点も、これだけやはり国債を発行していろいろな予算、歳出に充てているわけですから、その歳出カットをどこに充てていくかというのはまた同様の議論があるんだろうと思います。歳出削減の努力が必要なのはもちろんですけれども、さて、その歳出削減したものが果たして年金の財源に向くのかどうか、それとも国債の財源に充てていくのか、その辺はもっと国民的な議論をしなければ答えが出ないんじゃないかと思います。
○岡田委員 歳出削減というのも痛みが伴うんですね。だからこそ、これを年金の財源に使うということで国民的理解は得られると私は思いますよ。だから申し上げているわけであります。財務大臣の意見を突き詰めていけば、やはり年金特定財源をつくるという話にまでいかないと説明できなくなりますよ。私はそうじゃないと思うんですよ。
今の議論の中で、そういった歳出削減も安定した財源に含まれるということは確認できたと思いますので、ぜひそのことを私は小泉内閣としても真剣に検討してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
それから、道路の問題は先ほど菅代表が言われました。私も、道路の一番の本質は、これからどんどんつくっていくのかどうかという、そこだと思うんですね。そこの議論がどっかに行ってしまったかのような民営化論というのはほとんど意味のないものだ、こういうふうに思っています。
同じように、郵政三事業の民営化の問題も、何が本質かということなんですね。
私は、最もその本質的な部分は、三百五十兆というお金を官が集めて、そして官がそれを基本的に使っている、そこに、日本の国の資金の流れに大きな官という部分が存在しているということが最大の問題であって、そこをどうするかということがまず答えとしてなければ、どんな民営化をしてみても意味がないと思うんですね。
現実にその三百五十兆、今までは財投ということで直入で使われてまいりました。そこは制度が若干変わりましたが、今でも財投機関債や財投債購入、あるいは最近は国債の購入という形で一般会計までその郵貯の金が使われるという結果になっています。そういう形で、本来民で使われるべき金の流れが、官がそこに、三百五十兆という非常に大きなボリュームが入ってきてこの国の資金の流れを阻害しているということが最大の問題だと思いますよ。そこをどうするかという答えをまず総理はきちんと出して、その上で民営化の問題を議論しないと、これは何の意味もないことをやっていることになりませんか。総理、どうですか。
○小泉内閣総理大臣 十分意味がある議論なんですよ。改革の本丸とも言ってもいいんです。
まず、民営、民間にできることは民間にと。私は、全部民間でやっていける事業だと思いますよ。できるんですよ。できるのに、なぜこれまで、今まで反対してきたのか。そして同時に、財政投融資制度、特殊法人、全部つながってくる改革なんです。これにメスを入れなきゃならない。
民営化、是か非か、もうこの議論は超えたんです。この選挙の公約ができる前でも、民営化はいけない、いや、民営化よりも、この資金を利用してまた別の政府機関をつくった方がいいという、民営化とはほど遠い議論も出てきております。しかし、私は、民間にできることは民間にということで、財投とか特殊法人とか、全部官の分野、官僚の分野の機構改革に、行政改革、財政改革、全部通ずるからということでこの民営化論を打ち出したんです。民営化論を打ち出した場合に、一、二カ月で結論なんか出るものじゃありません。まず大事なのは、民営化、賛成か反対かなんですよ。それを民主党は示していない。逃げているというのは、私は、民主党の方が逃げていると言いたい。
私は、質問だから言いますけれども、郵政改革において大事な視点はもう決まっているんです。どういう視点で改革するか。まず基本原則というのは、「「官から民へ」の実践による経済活性化を実現する」活性化原則です。「経済の活性化に資する形で、郵政三事業を実物経済及び資金循環の両面における民間市場システムに吸収統合する」。これは大事です。「構造改革全体との整合性のとれた改革を行う」、これは整合性原則、二つ目。「金融システム改革、規制改革、財政改革等との整合性をとる」ということであります。第三に、「国民にとっての利便性に配慮した形で改革を行う」利便性原則。「郵政が国民や地域経済のために果たしてきた役割、今後果たすべき役割、利便性に十分配慮する」。四番目には、「郵政公社が有するネットワーク等のリソースを活用する形で改革を行う」資源活用原則。「郵便局ネットワーク等が活用されるよう十分配慮する」。そして五番目に、郵政公社の雇用、これはやはり三十万人近くいますから、「郵政公社の雇用には、十分配慮する」配慮原則。
こういう五つの基本原則にのっとって、どういう民営化の案がいいかということを来年の秋までに、専門家の意見も聞いてまとめるんです。それを、まだ決まっていない、まだ決まっていないと。決める方がおかしいですよ、これだけ重大な問題を。一カ月や二カ月で決まるわけないじゃないですか。
これも私が言っているように、まず方針を出すということが大事なんです。今まで、民営化、是か非かの議論で行ったり来たり、一歩も進まなかったんです。これを民営化という方針を出すことだけでも、いまだに反対論者が多いじゃないですか。それを初めて、私の持論が政党の公約になって、内閣の方針になって、この公約実現に向かって、これから自民党も全部協力することになっているんです。
そういう中で、民主党がこの民営化に反対だというのは、民間にできることは民間にという基本原則に反するのではないかと私は思っております。
○岡田委員 総理は私の質問に全く答えていないわけですね。つまり、三百五十兆というお金があるときに、これをどうするのかということがまずなければ、民営化なんというのは、それこそ絵にかいたもちになっちゃうんですよ。そのことについて、総理としての基本的な方向を示せと言っているんですよ。
では、民営化したらその新しい株式会社が三百五十兆を自分で運用するんですか。その能力がどこにあるんですか。我々は、まずその三百五十兆のボリュームを減らさないと話が始まらないということを、まじめにきちっと申し上げているわけですよ。総理はそれに対して、その民営化の入り口のところで、民営化するんだ、それだけじゃないですか。それでは答えにならないでしょう。もっと具体的に踏み込んで、総理としての方針が出なきゃ、民営化論の議論はしても結局答えは出ませんよということを申し上げているわけです。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 これも全く岡田さん、理解していないね、残念ながら。方針をはっきり出しているんです。民営化で五原則を出しているんです。来年の秋、一年間かけて専門家の意見をいろいろ取り入れて出すんです。
私は独断専行いたしません。私のような浅学非才よりも、この問題については、金融問題、財政問題、行政問題、そして世界的なグローバル化に対応する問題、実に深くて広いんです。ですから、私一人の手には負えない。私よりもっと知恵のある方がたくさんいます。そういう専門家の方々の意見も聞いて、一年間かけてまとめようと。
私に何でもしろと言う方が無理ですよ。総理大臣として大事なのは、方針を出すことです。この方針に沿って、多くの方の協力を得ていい案を出していくこと、これが総理大臣の責任だと思っております。
○岡田委員 総理も民営化の話というのはもう十年以上言っておられるわけですが、その総論だけで十年間もったというのは、これは奇跡に近いと思いますね。(小泉内閣総理大臣「総理というのはそういうもんです。だから、総理というんです」と呼ぶ)いや、総理になったのは最近でしょう。やはり、国会議員、政治家として、民営化を述べるのであれば、もっと具体的なところに踏み込んで本来言うべきだったんじゃないですか。それが全然ないまま、民営化、民営化、念仏のように唱えても、それじゃ答えは出てきませんよ。また迷走するだけですよ。はっきり申し上げておきます。この民営化は必ず迷走します。
外交の問題について最後にちょっと確認をしたいと思います。
総理はよく日米同盟を言われますが、私は、今、日本の外交が、この日米に余りにも重きを置き過ぎた結果、ペンペン草が生えている、そういうふうに思うんですね。
例えばASEANの問題。ASEANというのは、日本にとっては非常に重要な相手国、アメリカに次ぐ貿易量もあります。そのASEANに対して、宮澤内閣のときにアジア経済危機が起きて、そのときには八百億ドルの支援表明をしました。そのときぐらいまでは非常にいい関係ができてきたと思いますが、今や全くさま変わりしていますね。これは、やはり日本の政治のリーダーシップがないからですよ。
中国との関係あるいはインドとの関係、そういったところが重要になってきている、ASEANの国々にとって。それは、東南アジア友好協力条約についてノーと言ったりイエスと言ったり、あるいは、例えばタイとの間の自由貿易協定について、農産物がひっかかって本交渉に入れなかったり、それは全部政治のリーダーシップがないからそういうことになっているんじゃないでしょうか。
私は、ASEANという地域、国々は非常に大事だと思いますから、そういったところに対してしっかりリーダーシップを発揮すべきだと思いますが、総理、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 それは、ASEANとの関係は重視しております。これまでも重視してきましたし、これからも重視していきます。ともに進み、ともに歩むというASEAN諸国との関係というものは、ASEAN諸国も日本を必要としているし、日本にとってもASEANは重要であります。
今までの会合におきましても、毎回、ASEAN諸国との関係というものを重視していく方針は変わらないということも私は表明しておりますし、来月には、初めて日本とASEAN首脳との会議が東京で開催されます。この場におきましても、ASEAN重視政策、基本方針は変わらないということをはっきり表明いたしますし、私は、ASEAN諸国と日本との関係は極めて良好に進んできていると思っております。この良好な関係を今後とも維持発展させていきたいと思っております。
○岡田委員 ASEANの国々の首脳は決してそういう認識じゃないと思いますよ。
では、日中の問題ですけれども、今回の北朝鮮をめぐる六カ国協議でもそうですが、やはり中国の役割というのはアメリカと並んで非常に大事になっております。しかし、その中国と日本の首脳間の外交というのは信頼関係がなくて、いまだに総理も中国にきちんと行けない状況が続いていると思います。その原因が総理にあることも、総理御存じのはずです。
私は、個人的な靖国神社に対するいろいろな思いがあることはわかるけれども、しかし、今のこの北朝鮮をめぐる問題について、例えば中国が非常に重要な役割を果たすということであれば、やはりそこは、せっかく再選されたときに、公約していなかったわけですから、あのときに靖国にまた行くと言わなきゃよかったわけですよ。それなら、もっと中国との関係もきちんとつくれたかもしれない。そこは私は、総理がみずからの考え方を押し通した結果、非常に国益を損なっているというふうに思いますが、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 私、それも全くそう思っておりません。中国が行くなと言うから行かない、これがどうして国益に沿うのか、わかりません。
日本には独特の伝統、文化、習慣というのがあります。靖国神社に行くというのは、私は、今日の日本の発展の基礎、平和の礎というのは、心ならずも戦場に行かなきゃならなかった方々のとうとい犠牲の上に築かれている、そういう方々に対して敬意と感謝、真心をささげてお祈りするというのは、私は当然だと思っております。そして、二度と戦争を起こしてはいけない、日本は平和国家としてこれからも発展していくんだという誓いを新たにする、これは何ら非難されるべきことではないと思います。
もし、岡田さんなりが、菅さんなりが総理大臣になったら、中国の言うとおり従って靖国には参拝しないというんなら、それは民主党の考え方でしょう。私は、そういうことにはならないんじゃないか……(発言する者あり)全然逃げていませんね。
私は、毎年行っていますし、これから中国との友好関係を維持していくことの気持ちは変わりません。新しい未来に向かって、中国と日本との関係は極めて重要であります。各分野においての交流拡大は進んでおりますし、今後とも、中国と日本との関係、政治、経済、文化、スポーツ、あらゆる面において拡大を進めていきたいし、私は、中国の目覚ましい発展は日本にとって脅威ではない、むしろ日本にとってチャンスと受けとめるべきだ、そういうこともはっきり言明しておりますし、これからの日中関係は極めて重要である、その方針にのっとって、私は、中国との友好協力関係を今後も誠心誠意進めてまいりたいと思います。
○岡田委員 外交というのは相手のある問題ですから、みずからがどう考えたとしても、相手がどう受け取るかということもこれまた重要であります。
私は、今、総理の答弁を聞いて、一国の指導者というのはどうあるべきかという、そこのところについての基本的考え方が総理と私で違うということがよくわかりました。今この北朝鮮の問題を抱えた日本が中国に対してそういった態度をとるということが国益を損なう、私ならそう考えます。
それでは最後に、中東の問題も一言申し上げておきたいと思います。
先般、イランの核疑惑の問題がありました。この問題について、独、仏、英の外相がイランに行って、そして、追加議定書への署名をイランが行うということになりました。この問題について、本来であれば、私は、イランと日本の今までの関係からすれば、日本の外相が行ってそういった話まで詰めることも十分に可能だったんじゃないかと思うんですね。しかし、そのことができなかった。そして、ヨーロッパの外相たちにその役割を、まあ、果たしていただいたことはいいことなんですが、しかし、日本としては、何のために今までイランとの関係をしっかりつくってきたのか。
もう一つ申し上げましょう。きょうの新聞では、核の問題ですけれども、小型核兵器をアメリカが予算をつけたと。日本の伝統的な外交の中ではやはり核軍縮というのは非常に大きなウエートを持ってきたと私は思うんですね。しかし、この話も、最近、アメリカが公然と小型核兵器の開発を進めるということについて日本政府がどう述べたかというのは聞こえてきません。
つまり、いろいろな問題が、今まで日本外交が戦後築いてきた、対中東、対ASEAN、あるいは核軍縮、あるいは対中国、そういった問題がこの日米の陰に隠れて非常におざなりになっていて、これでもしブッシュ大統領がかわるようなことがあったら、日本外交に何にも残りませんよ。そういったことについて、総理、どう考えておられるんですか。余りにもバランスが崩れていると思いませんか。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、民主党の方がバランスが崩れていると思いますね。対米協力を対米追随と言ってみたり、ブッシュ政権を危険な政権だと言ってみたり、アフガニスタン、テロへの対策、これは必要だと言いながらテロ特措法に反対してみたり。今回のイラクの問題についても、イラク復興支援、人道支援、日本が進めていく。アメリカ政府を非難するけれども、なぜテロリストを非難しないんですか。なぜフセイン政権が問題があったということを言わないんですか。私は、むしろ民主党の外交感覚を疑っている。これでどうして日米同盟、国際協調体制を築いていけるんですか。
○岡田委員 私の質問には全く答えてもらっていないんですね。我々は、テロリスト、これに対しての批判は当然していますし、我々の言っていることをきちんと理解していただいていないというふうに思います。
それでは、総理、ちょっと視点を変えて質問しますが、最近、アメリカがこのイラクの占領政策についての考え方をかなりがらっと変えましたね。つまり、まず憲法をつくって、その上で選挙をやって、そしてイラクの国民による政権をつくるという考え方から、五月に暫定議会をつくって、六月に移行行政機構をつくり、そのときにCPA、連合暫定施政当局を解散するというふうに考え方を変えました。総理はどっちの考え方がいいと思うんですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、イラク復興支援、人道支援、イラクに安定した民主的な政権をつくるということに今米英初め各国の部隊が努力している、これに対して、非常に危険な仕事である、自分たちの国にとって直接攻撃されているわけでもない、そういう中でイラクの復興支援に尽力されている方々に心から敬意を持っております。
そういう中にあって、これからアメリカができるだけ多くの国際社会の協力を得て、アメリカの、イラクに民主的な安定した政権をつくるという大義と善意を理解してもらうためにも、国際協調体制をつくることが必要だし、国連の関与を高めていくことも必要だということを折あるごとに述べております。その方向に向かっているということは好ましいことであり、ブッシュ政権を批判されますが、アメリカの民主党もこのイラクに対する対応は支持しております。
私は、そういう面において、ブッシュ政権とアメリカは違うという民主党の考え方には同調できませんし、対米非難をすれば日本が追随しないという受けとめ方はしておりません。日本とアメリカの関係は極めて緊密に進めていくことが、日本が世界各国と協力関係を進めていく上において極めて重要だと思っております。日米同盟と国際協調、これを両立させるということは、今までも、現在も、将来も、日本にとって変わるべきでない基本的な、重要な外交政策だと思っております。
○岡田委員 総理は私の質問に全く答えなかったわけですが、私が言ったのは、ブッシュ政権が政策を大きく転換した、つまり、早くイラク人の手による暫定政府をつくるという考え方に変えた、総理は、その前の考え方を支持するのか、変えた後の考え方を支持するのかと。それに対して総理はお答えになりませんでした。我々は、早くイラク人の手による政府をつくるべきだという主張をしてきましたから、今回のアメリカの政策転換は、不十分ですが、それなりに評価すべきところもある、こう考えています。
なぜ総理は、前の考え方と転換した後とどちらがいいかということについて答えられなかったんでしょうか。それは、結局、その時々のアメリカの言うことをみんな、イエス、イエスと言っているから答えられないんですよ、あなたは。だから、総理は、恐らく、ブッシュ政権はどうなるかわかりませんよ、だけれども、もし大統領がブッシュ大統領から違う大統領にかわったときにも、そこで一定の政策転換が行われるでしょう、いろいろなことについて、さっきの核なんかもそうだと思います、そのときにもまた、イエス、イエスと言うんですか。結局、その時々のアメリカの政権に対して一〇〇%イエスと言い続ける、それが本当に独立国なんですか、あなた。
私は、そのことだけ申し上げて、質問を終わります。
2003/11/25 |