1957/10/29

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26 参議院・農林水産委員会


○江田三郎君 今の長官の答弁でいくと、この生産期を避けなきゃならぬ、こういう答弁をしておられるのだが、先ほどの答弁でいくと、必ずしもそうではなくて、需給調整協議会全部の意見が一致すればいいのだ。しかし現にノリの生産期に入ってですよ、生産者側がいいと言うはずはないわけです。で、もし通商局の方で言われるように、一両日のうちにもこの問題が解決するかもわからぬという。楽観に過ぎるかもわからぬけれども、そういうことを考えているということを考えられるのは、私はひがみかもしれませんけれども、政府の方で、水産庁なり、通商局の方で、かりに生産者団体に圧力をかければ、こういうことはできると思うのです。圧力をかけない以上、そんなことはこれはできるものじゃないと思います。現にもう生産が始まっている。生産者団体としては、どこまでも反対だと言っている。そうしますというと、先ほど来の長官の答弁、あるいは通商局次長の答弁を聞いているというと、何だか割り切れない、あと味の妙なものを残しておられる。どっちにするのか、はっきりしてもらいたいと思うのですね。

 だから、たとえば九月を過ぎた以上は外割は無効なんだ、こういう方針でいくのが一番きっぱりしているわけでしょう。ところが、そうでもない。で、一両日のうちに話がつけば、またつけなければならぬということでやっているとなると、これはいつまでたっても、期限が過ぎようと何であろうと、外割は有効だということになってしまう。しかし、私の聞いた情報が間違っているかもわからぬが、通商局は生産者団体に対して、期限を過ぎた外割をさらに有効にはしないのだということを言明されたというように私は聞いているので、その間に、先ほど青山君の方から伊藤忠とか、あるいは業者の中のいろいろな階層別とかというような、いろいろな意見が出ておりましたが、私たちもそういうことについていろいろ聞かされて、非常に不愉快な思いをするのであって、その点は一体もっときっぱりした答えをしてもらいたい。どちらがほんとうなのか。水産庁長官が言うような、もう時期ははずれたのだから、許さぬという今の方針がほんとうなのか、あるいは時期がはずれようと、何であろうと、この生産者団体あたりを圧力をかけてでも話し合ってまとめさせて、それでやろうというのがほんとうなのか、どちらかはっきりさせてもらいたい。

○説明員(奥原日出男君) 昨年であったと記憶いたしておりますが、時期をはずれましたものの輸入につきまして、特に通商局長から当委員会にも連絡があって、輸入を御承認いただいたというふうなことがあったように記憶をいたしております。私は、将来のことでございますから、話がまとまらないで若干の時期がずれるということは、これは御了承をお願いしなければならない。程度によりますけれども、御了承をお願いしなければならぬ点もあるのではないか、かように考えております。そういう意味におきまして、需給調整協議会でせっかく今話し合いをしているようでございますので、その結論が一致したものが出てくるかどうかというのを待ちたい、かような考え方で、この問題を見守っている次第でございます。

○江田三郎君 まあそういうことが、何かちょっとぼけていますね。率直にいって、ちょっとぼけている。その点は非常に私も遺憾に思うのです。それで、大体こういう、超過利潤が非常に多過ぎる。ここに問題があるので、あなたの方は、先ほど流通面対策がおくれているのだ、流通面対策を軌道に乗せていかなければならぬ、生産者団体の共同販売運動もやっていかなければならぬと言われますけれども、そういう一方に、こういう超過利潤の非常に大きなものの存在を許しておいては、私はなかなかこれは軌道に乗るものではないと思う。もし、ほんとうにあなた方が流通対策の合理化をやろうというのならば、こういうところからほんとうは手をつけていかなければならぬ。

 ところが、これは通産省に聞きますけれども、通産省でも、衆参両院の農林水産委員会の要請に対して、あなたの方が四月十七日付で文書を出しておられる。それを見るというと、特定物資輸入臨時措置法が成立したら、この特定物資にノリを指定し、超過利潤を国で吸い上げて、国内ノリ業者に影響しないようにしたいというようなことを書いておられる。しかし、これでもほんとうにやる気があれば、特定物資の輸入臨時措置法というものがどうあろうと、行政措置でもできないことはないわけです。現に、かつて砂糖においてこういう行政措置をやられたことがある。途中で妙なことになりましたけれども、そういうことをやられたことがある。今清澤君の説を、あなた方は一顧にも値しないように笑っておられるけれども、しかし、私はそうではないと思うのです。清澤君の提案も重要な問題があると思う。ここでかりに、あげくのはて一億万枚入れる、入れておそらくたな上げということになるのでしょう。しかし、たな上げになれば、清澤君の言うように、問題の持ち越しにすぎない。それならば、来年に至って――たとえば、ここで入れたものの何割かをたな上げしたからといって、来年までたな上げしたからと言って、それならば来年の数量のときにそれをどう算定するのか。またこれはトラブルを起す。ノリの問題が過去において何べんとなくトラブルばかり起し続けたということは御承知の通りなんですから、そういうことが解決ではないわけです。もし、きっぱりと超過利潤を、これを吸い上げるということを法律、あるいは好ましいことではありませんけれども、行政措置でやるということができるならば、こんな問題は一ぺんで吹き飛ぶわけです。それをおやりにならない。そういうことができないのならば、清澤君の言うように、たとえば生活協同組合とか、農業協同組合とか、そういうところに対して一定の値段でこれは売れということになれば、これは明らかにそういうことは可能ですよ。非常に大きな力でなければできぬということを言われますけれども、そうじゃございません。できるわけです。農業協同組合あたりでも、喜んでこのくらいのものは消化するでしょう。それは清澤君の説によると、運動会にノリ巻きを持っていきたい、握り飯にノリを巻きたいという人が、実は高くて手が出ない人がやるのですから、新規需要であって、ノリの普通の市況というものに対しては影響はないわけなんです。そういうことをやろうと思えば、できないことはないと思うのです。ただ、あなた方が超過利得の問題へ手を触れようとなさらぬ。ですから、そこまで決意をなさらぬ。さらにいろいろな障害があるから、いろいろな政治的な圧力があるから、それで私は一笑に付しておられると思うのですが、私の言うことはひがみかもわかりませんが、私はそう思う。重ねて聞きたい。

○説明員(杉村正一郎君) 超過利潤の問題につきましては、ただいまのお話の中に出ましたように、特定物資の特別会計という制度がすでにできておりまして、バナナその他はそこで超過利得、利潤を押えるような制度ができております。ですから、ノリにつきましては、そういう扱いをすることができないわけではないわけでございます。ただ、私、従来なぜこれがその扱いにならなかったかということをいろいろ内部に聞いてみますと、まあノリには非常に品質の差異があって、なかなか超過利潤というものをきめて扱うには、技術的に非常にむずかしいというようなことで、その扱いから漏れておるのだというように聞いておるわけでございます。この超過利潤が非常に多ければ、一つの方法として、確かに特定物資で扱うということは可能なわけだと思います。ただ、それをそれならすぐにしたらいいじゃないかという御質問があるかと思いますが、これはまあ一つの品物を取り上げますときには、いろいろな事情も検討しなきゃなりませんので、この場で私限りで私見を述べるのはどうかと思いますので、その点はちょっと差し控えたいと思います。

○江田三郎君 まあ、私ども、こんなノリの問題ぐらいの不愉快な問題はないのですよ。こうやってオープンに論議される問題以外に、いつでも無為替輸入の問題だとかなんとか、妙なことばかりが出てくる。結局何かといえば、もうかり過ぎるということです。先ほど青山君の方から、一体ここまで来たのはだれの責任かということが言われておったけれども、だれが考えてみたところで、四十セントというようなものでとらなければならぬ。結局超過利潤の亡者じゃありませんか。そんなものが、ひいてはこのノリ業界を混乱させるだけでなしに、これから軌道に乗せなきゃならぬ日韓関係に対しましても、非常な悪影響を及ぼしておるわけです。私はやはり、こういう問題については、水産庁も、あるいは特に水産庁の方はすぐにこれが、どうせノリの生産地といえば全羅南道かあの辺でしょうから、漁業関係にも影響を及ぼすことなんですから、そういう点、もっと腹をきめて当っていただかなければならぬのじゃないか。しかし、ここまで来て、しかもこれを拒否すると、一億枚を全部たな上げだ、こういうことは、私はなかなかそんなことできるものじゃないと思うのです。もしそういうことをしておれば、またしてもこれから先、毎月のように不法輸入であるとか、何やら税関をどうやらしたあとを追っかけたとか、そんな問題ばかり出てこなければならない。現に、もうことしもそういう問題があるじゃありませんか。不愉快だけれども、私たちはそういう話もなんぼか聞かされた。そういうことについては、清澤君の言うのも、これが一番いい方法かどうかわかりません。しかしながら、一つの方法ですよ。あなた方にいい知恵があるならば、いい知恵を出してもらえばいい。しかし、あなた方は、見ていると、いい知恵がないじゃありませんか。あなた方がいい知恵がなければ、第三者の言うことに対しても、私はもっと冷静に聞かるべきだと思うのです。そこから先、何ぼ言っても仕方がありません、私はそういうことを注文しておきます。


1957/10/29

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