2013年11月28日 |
2013年11月27日 櫻井充議員 特定秘密保護法案質問
民主党・新緑風会の櫻井充です。私は会派を代表して、ただいま議題となりました特定秘密保護法案について質問させて頂きます。 本題に入る前に、国家戦略特区法案に関して質問いたします。この法案は現在参議院で審議中です。であるにも関わらず、甘利担当大臣は、講演で民間有識者に関して言及しました。これは、参議院軽視ではないかと思いますが、安倍総理のご見解をお伺いしたいと思います。
さらに、その有識者の中に、竹中平蔵氏が入っていたのですが、彼は郵政民営化を主導するなど、これまでも問題にするべき行動が多かったと思います。何故彼が有識者であるのか私には理解できません。甘利担当大臣のご見解をお伺いしたいと思います。では本題に入ります。昨日、政府原案及び自民・公明・日本維新の会・みんなの党による修正案は、審議がまだ不十分であったにもかかわらず、衆議院特別委員会で強行採決され、衆議院本会議を通過しました。政府・与党の乱暴な態度は極めて遺憾である、と申し上げなければなりません。
我々は、国家が秘密を持つと言う必要性は認めています。そして、その秘密を適切に管理しなければならない事は当然のことですが、一方で、国民の皆さんには知る権利があり、そのバランスを取って行く事が極めて重要で、このかじ取りを行うのが国会の役割だと考えています。
今回政府から提出されている法案と民主党が衆議院で提出した対案では、大きく2つの相違点があります。一つは国会と行政機関との力関係であり、もう一つは国民の皆さんの知る権利です。
政府の原案では、行政の力が限りなく強く、また国民の皆さんの知る権利を抑え込んでいます。一方、民主党の対案は、国会の権限を強化し、国民の皆さんの知る権利を保障しています。この点だけでお分かり頂けると思いますが、民主主義の原理、国民の代表たる立法府の機能という両面において、民主党の対案の方が圧倒的に優れていると言う事です。
さて、現在我が国の国家秘密は、自衛隊法で規定される「防衛秘密」、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法で規定される「特別防衛秘密」、いわゆるMDA秘密、そして、政府の「カウンタ―インテリジェンス機能の強化に関する基本方針」に基づき運用されている「特別管理秘密」の大きく3つに分類されています。この国家秘密の運営管理上、問題がなかったわけではありませんが、比較的うまく運用されていたと考えています。これまでの国家秘密の管理運営上、現在の体系のどの点に具体的に問題があり、法律改正が必要になったのか、この点について、安倍総理にご説明いただきたいと思います。また、森大臣は11月14日の特別委員会の審議において、「諸外国から言われてこの法案を作るわけではございません。必要にかんがみて、政府としてこの法案を提出するわけでございます。」と答弁されています。しかし他方で、私たちの対案に対する与党のコメントで「米国当局より、防衛秘密を含めて国の安全保障に関する統一的な情報保全法を求められているという現実がある」との指摘があり、森大臣の答弁とは異なっています。森大臣より、十分に納得できるご説明をお願いいたします。
さらに申し上げれば、森大臣は、民主党案では「防衛秘密」「MDA秘密」「特別安全保障秘密」3つの概念に分けられており、統一的な情報保全を求められているという点において問題であるとコメントしていますが、政府原案でも「MDA秘密」は単独で残し、「防衛秘密」と「特別管理秘密」の一部とさらに新しい領域を加えて、「特定秘密」と定義しており、統一的な情報保全にはなっておりません。この点について森大臣の明快なご説明をいただきたいと思います。
次に、国会と行政の関係についてお伺いします。憲法41条により、「国会は国権の最高機関」であると保障されています。しかし、今回の政府の原案では、行政側が必要であると判断した場合に、国会に提出できるという規定になっております。これでは、行政側の判断次第で、国会に情報が提供されないことになります。
我が党がこの問題点を指摘し、一説では伊吹衆議院議長のご指示もあり、四党の修正案では附則に、「特定秘密の提供を受ける国会におけるその保護の方策については、国会において、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」という記述が追加されました。政府原案よりは一歩前進とは思いますが、特定秘密を提供するかどうかを行政機関の長が定めるという根幹は全く変わっていません。この法案が閣議決定されるときに、大臣の皆さんは国会議員としてこれがあるべき行政府と立法府の関係と思われたのでしょうか。
民主党はこの点に大きな問題があると考え、国会法改正案を衆議院に提出いたしました。しかし、この改正案は委員会で未だ審議されることなく、特定秘密保護法案だけが参議院に送られてきました。心ある国会議員の皆さんにお願いしたい事は、国会が政府に対して主体的に秘密を提供させられるようにするために、国会法の改正も行うべきであるということです。繰り返しになりますが、行政府の言いなりになるのか、国会が、すなわち主権者たる国民の代表である国会議員が行政の情報を管理するのか、極めて重要な内容です。この点に関しては内閣総理大臣として、また、国会議員たる安倍晋三衆議院議員として、それぞれの立場でどのような見解に立つのか、お伺いいたします。
民主党の国会法改正案では、国会側から行政機関の長に情報を提供させるようにしています。勿論、国家機密上難しいものもあると思います。そのような場合は、衆参の議長及び副議長が判断することとしており、官僚が情報をコントロールするのではなく、国会が行政をコントロールできる仕組みとしています。この民主党の対案に関しても、総理のお考えをお伺いします。
行政によるコントロールはそれだけではありません。特定秘密の運用基準について有識者の意見を聞くこととしていますが、これは総理が任命権者であり、NHKの同意人事で見られたように、総理がよく知っている人、共感をもつ人たちだけを任命することが可能です。これでは特定秘密の範囲は時の権力者によって恣意的に広げられるおそれがあります。
民主党案では、情報適正管理委員会を設置することを提案しています。そして、この委員会の人選は国会が指名し、それに沿って内閣総理大臣が任命すると言うものであり、国民の代表者が人選を行うという点で、政府の提出案とは根本的に異なっています。この我が党の提案に関して、安倍総理は如何お考えか、お伺いいたします。また、四党修正案では総理の関与を強める条文が追加されました。修正案提案者によれば、総理が「第三者機関的に関与」するという趣旨だとのことですが、内閣総理大臣は行政の長であり、行政機関の長を束ねています。その総理をどうして第三者と呼べるのか、まったく訳が分かりません。ここで言う「第三者」とは何か、そして行政の長でもある総理大臣が、何故第三者と呼べるのか、さらに、総理ご自身、内閣総理大臣が第三者的に秘密保護に関与することが可能とお考えなのか、お伺いします。
次に、特定秘密の取扱いと公益通報者保護制度との関係についてお伺いします。政府案では、心ある官僚が、ある情報に関して、特定秘密には当たらないと考えた場合でも、それについて申し出る手立ては規定されていません。これに対して民主党案では、先ほど申し上げた情報適正管理委員会に申し出ることを義務付けるとともに、同委員会で処理することとしています。この時の官僚からの申し出は、公益通報者保護制度と同じように扱われ、申し出た官僚が不利益を被ることはありません。このシステムがあれば、特定秘密の範囲が拡大されることを抑制できると思いますが、この点に関して安倍総理は、如何お考えでしょうか。
次に特定秘密の範囲に関して質問します。民主党案は「防衛秘密」と「MDA秘密」に関しては現行法を生かし、「特別管理秘密」の一部、すなわち外交と国際テロに関して外国の政府等との情報共有に必要かつ不可欠な情報に限定し、「特別安全保障秘密」と定義し法制化いたしました。このことにより、新しい制度での国家秘密は限定されます。
しかし政府案では、行政機関の長の判断で、特定秘密を規定することができるので、恣意的に特定秘密が拡大されるおそれがあります。衆議院の審議で、政府からの説明では、この法律の目的は「外国との情報共有の促進」でした。であるとすれば、特定有害活動や国内のテロリズムまで特定秘密の中に加える必要はなく、民主党案のように範囲を限定するべきだと考えますが、安倍総理の明快なご答弁を求めます。次に、政府案と民主党案の大きな違いである、国民の知る権利に関して質問いたします。政府原案はもちろん、四党修正案によっても、国民の皆さんの知る権利が保障されません。
第一に、政府案、修正案では、処罰の厳しい対象行為が曖昧なことです。両案ともに、秘密を扱う業務者による漏えい行為とともに、情報を取得しようとする者に対しても厳しい罰則を科しています。その中で修正案24条はスパイ行為などの目的に絞りましたが、25条においては「共謀し、教唆し、又は扇動」しただけで処罰の対象となり、結果として秘密漏えいの事実がない場合でも逮捕され、処罰されるおそれがあると、法律家は指摘しています。これでは、取材や報道の活動が委縮するでしょうし、公務員側が厳罰を恐れて情報提供しなくなれば、国民が知るべきことも知らされず、「知る権利」が侵されることになります。
民主党案では、24条は全文削除し、秘密の取扱者への罰則は、現行の自衛隊法並みとし、また不正取得への新たな罰則も全文削除して、現行の国家公務員法の範囲内としています。
政府・与党は、情報漏えいを防ぐためには、情報を漏らす側だけではなく、取得する側も厳罰化する必要があるとの認識なのでしょうか。そして政府案、修正案の罰則がないと、情報漏えいを防げないとお考えなのでしょうか。安倍総理の見解をお伺いします。第二に、現行の防衛秘密でも言えるのですが、特定秘密の文書も現行の公文書管理法のままでは、恣意的に廃棄され、国民が将来的に検証することができません。このことは、現に政府資料が廃棄されているという事実が証明しています。2007年から2011年までの5年間で、約34000件の防衛秘密が破棄されています。
私たちは、将来歴史的にきちんと検証できるように、いかなる秘密も公文書として適正に管理されるべきだと考え、公文書管理法の改正案を提出しました。民主党案では、MDA秘密も含むすべての行政が扱う情報が公文書としての管理下に入ることになります。将来、文書が検証に付されることとなれば、恣意的な特定秘密の指定を極力抑制でき、また歴史の検証が可能になると考えます。あらためて、公文書管理法改正についての総理のお考えをお伺いします。報道機関が実施している世論調査によれば、多くの国民がこの法案の内容を十分に理解できず、また慎重に審議するべきであるとうい声が圧倒的です。また、国会と行政のかかわり方の見直しや第三者機関の役割や権限に関して法的根拠が必要になる等、法律案のさらなる修正の必要性も指摘されています。それにも関わらず、政府・与党は国民の不安を無視し、無理やり衆議院を通過させました。しかも、情報公開法の改正案は置き去りにされたままです。何故この秘密保護ばかり急ぐのでしょうか。どれほどの緊急性があると総理が認識されているのか、お伺いします。
最後に、総理は、国民の皆さんが何故この法案に不安を抱えているとお思いですか。また、この不安に対して、政府は十分な説明を行っているとお考えでしょうか。正直にお答えください。
安倍政権の支持率は今は高いかもしれません。しかし国民の皆さんの声をきちんと受け止めず暴走するのであれば、早晩退陣に追い込まれることになるでしょう。参議院選挙までは、経済対策を中心に政策を作り、国民の皆さんの支持を受けたかもしれません。
しかし、参議院選挙後は、本性を現し、右傾化の危うい道を歩むのではないかと、国内だけではなく、国外からも不安視されています。この安倍政権の暴走を止めるという事をお約束して、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
2013年11月28日 | 2013年11月27日 櫻井充議員 特定秘密保護法案 |