1981/06/02 |
94 参議院・建設委員会
本州四国連絡橋の建設について
国家財政の破綻の行政改革の推進という厳しい環境の下で、「本四連絡橋」の建設が凍結される可能性があります。これに関連し、江田五月議員は六月二日の参議院建設委員会で、具体的数字をあげ「計画どおり本四連絡橋を建設することの方が、経済的効果・財政合理性がある」と政府に質問しました。
江田議員が質問した第一点は、工事の進捗率の虚妄性です。
政府は従来、昭和五十二年度価格に基づき、当初の三〇%の事業者を使ったから進捗率は三〇%だ、と説明してきました。しかしその間の物価上昇は周知の事実です。今回の江田議員の調査によると、五十二年から五十五年の三ヵ年に人件費は三八%も上昇しています。このことは建設費を大きく左右する鉄・セメント・土地の価格についても同様です。当初予定されていなかった環境対策費も必要となりました。つまり工事の進捗状況は大きく遅れているわけです。
さらに本四公団の財政は借入金が大部分で、約八割を占めています。工事が延期または凍結されると金利ばかりが嵩み、不健全財政になることは明らかです。本四公団は償還主義、つまり建設費用を料金収入から三十年間で償還してゆく、をとっているためその金利の分も利用者が払わねばなりません。
このように本四連絡橋の工事延期・凍結は地元の熱い期待を裏切るばかりでなく、国家財政の再建の観点からも誤った選択だといえます。その上、本四連絡橋が架けられることにより影響のでる一般旅客定期船事業関係者の不安をさらに高めることにもなります。
本四公団に限らず、一般に各種公団の経理は複雑なため
なかなか理解しにくいものですが、江田議員のち密な論理展開と現地視察も含めた丹念な調査により、本四連絡橋工事を予定通り完了し、開業すべきであることがはっきりしました。斎藤建設大臣も、「江田議員のご指摘の通りで第二臨調も十分に配慮していただけることになった」と答弁しました。
このほか、この日の質疑を通じ、(1)児島−坂出ルートの料金負担が、他の地域振興橋の建設費のために過度になってはならない (2)航路再編は早期に、かつ広範囲にわたって検討する (3)稗田・柳田地区のルート決定に関係住民に誠心誠意な態度を貫く (4)水島新航路について今後慎重な検討が必要である (5)工事の地元発注は可能な限り最大限に実施する、などの政府答弁がありました。 児島−坂出ルートの開業は昭和六十二年の予定です。開業ののテープカットが行われるまでに今後とも紆余曲折が予想されますが、この日の江田議員の質問のように、早期開業が最も賢明な方法である事を広く理解してもらう事が重要です。
○江田五月君 西日本の、特に中国、四国の人々が待ちに待っております本四架橋、着々と進んでおると思いますが、四十八年九月基本計画の指示から十月の工事実施計画の認可、途中紆余曲折があって、五十年から五十二年そして五十二年と順次工事が開始をしていまに至っておるわけでありまして、この工事というものはいま順調に進んでおるというふうに考えていいのでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(渡辺修自君) 三全総で決定をしていただきました一ルート、それから地域開発橋としての四橋でございますが、いまのところ順調に進んでおります。ただ、最後に着手をいたしました伯方・大島大橋につきましては三月に起工式を行ったばかりでございまして、まだこれからでございます。そこでこれからの予算がどうなりますか、大変厳しい状況でございますので、これにつきましてはまだ確たる見通しをつけておりません。
○江田五月君 順調な進捗状況であると。先般現地を視察したときにいただきました資料によりますと、神戸――鳴門ルート、これは大鳴門橋、この事業の進捗率が事業費で約六〇%、光臨――坂出ルートがこれはルート全体で進捗率二三・二%、尾道――今治ルートが事業率で見ると進捗率八〇・四%という数字なのですが、さて、この数字は実はいささか水増しがあるのじゃないか。水増しと言うと悪いですが、進捗率ですから一〇〇%になるとそれで工事が完成と思うとどうもそうではないのじゃないかという気がいたします。というのは、この進捗率はそれぞれに分母は全体計画額、五十二年度の価格で、分子の方はそれぞれに予算を執行したあるいは執行見込み額、五十六年度末まで。つまりそれぞれの年の実際の支出の額になっておって、当然その間には物価の値上がり、人件費の値上がり等があるわけですが、一体この間どの程度資材とか人件費とかその他関係の費用が値上がりをしておるかということを明らかにしてください。
○政府委員(渡辺修自君) 五十二年度の価格で御指摘のように全体計画を決めておるわけでございますが、やはり最近の石油価格の高騰等を反映いたしましてじりじりと工事費あるいは用地等につきましても上がっておるわけでございます。五十五年度と五十二年度を比較いたしてみますと、労務費につきましては五十二年度は大体全職種平均で七千六百円ぐらいでございましたが、五十五年度におきましては一万五百円、それからセメントについて見ますと、五十二年度がトン当たり二万五百円でございましたのが五十五年度は一万二千七百円、鋼板につきましては、五十二年度にトン当たり七万二千八百円でございましたのが八万六千三百円というような形で上昇をいたしております。
○江田五月君 いまの数字ですと、五十二年から五十五年までの三年の間に労務費が三八%増、セメントだと二一%、鋼板一九%というような増加になっているわけです。そうしますと、進捗率というものはいままでお出しの数字で説明をされるとどうもまやかしじゃないかという気持ちがする、不安になる。この分母を修正されるか分子を修正されるかいずれにしても、実際の進捗率というのは一体どの程度のことになっておるのか、それで工事完成までの予定の修正が必要なことになっているのか、それとも、にもかかわらずその計画はきちんと進んでいるということになっているのか、関係者は不安に思ってはいけませんので、ひとつはっきりとした説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(渡辺修自君) 単価等の値上がりがございます分を極力カバーするように精いっぱいの努力をしておるという点をまず申し上げたいと思うわけでございますが、たとえば工事の工程計画を詳細に見直す、むだが出ないようにするということがございます。それから新材料の研究開発等もございます。それからこの間ごらんいただきましたように下部工の施工等につきましても極力合理化した施工をやっておるということでございます。しかしながら、最近の大幅な値上がりに完全にそれだけで対応できるかというと、そこまではむずかしい点もあるわけでございまして、またたとえばDルートを例にとって申し上げますと、櫃石島橋あるいは岩黒島橋等につきましては環境庁からのいろいろ環境上の御指導もございまして、橋そのもののタイプを若干変更することを考えております。こういったものをあわせまして適当な機会には見直しをいたしまして正確なところを出したいとは思っております。
○江田五月君 この進捗率の数字自体は、そうするとそういう見直しをした結果また数字としては基礎が変わるわけですから変わってくる。しかし、それでも全体として物価の上昇その他によって工事がおくれておるのだとかというようなことではないというふうに伺っていいのですか。
○政府委員(渡辺修自君) そのとおりでございまして、橋の完成の予定時期等につきましては従来から申し上げておりますように、因島が五十八年度、それから大鳴門につきましては大体五十九年度になろうと思いますし、児島――坂出ルート六十二年度、これにつきましては予定どおりいまのところ進んでおります。
○江田五月君 なぜこの工期がおくれるのではないかというようなことを心配するかと言いますと、本四架橋全体が大きな事業ですが、どうも聞くところによりますと、工事がおくれればおくれるほど財政的に経営的に非常にむずかしいことになっていくのじゃないかということを聞くわけでありまして、この本四架橋全体の財政の仕組みといいますか、国とか地方団体とかの出資金が一方である、それはしかしそれほど大きな割合ではなくて、大きな割合になっているのは借入金――財投とかあるいは縁故債とか借入金で賄っていく、大体この借入金というのがどのくらいの割合になって、どの程度の利子で、そしてこれからどういうふうにこれを償還していくというようなお考えでいらっしゃるのか、概略を説明していただけますか。
○政府委員(渡辺修自君) 本州四国連絡橋の予算の構成でございますが、ただいま御指摘がございましたとおり、借入金が大部分を占めております。年々若干この比率は違うわけでございますが、一番最終でございます今年度について申し上げますと、五十六年度では借入金が全体の七八・三%でございます。出資金が政府と地方公共団体で二対一で持っておりますが、これが一一・八%といった状態になっております。したがいまして、借入金でございますから利子が当然かかるわけでございまして、ちょっと数字をただいま持ち合わせておりませんけれども、やはり計画どおり工事を終わらせまして、計画どおり供用開始、それで利用者からの料金の収入をもちまして償還を始めるということが必要でございます。
○江田五月君 五十六年度の出資金、借入金それぞれいまの数字をお示し願ったわけですが、これまでの経緯を見ますと、五十五年度ですと出資金が八・四%、借入金の方が八二・一%、五十四年度は出資金が五・一%、借入金が八四・五%、五十三年度が出資金七・一%、借入金八五・六%。そうやってみますと五十六年度は比較的借入金が少なくて出資金が多い。これから一体いずれにしてもこういう借入金が八〇%前後、出資金が一〇%前後というようなことで推移をされていくのだろうと思うのです。そしてこのいただきました資料によると、採算については、「建設に要した費用、維持管理費及び借入金の利息を含めた総費用を、料金収入により約三十年間で償還」するのだと、これは「児島・坂出ルート、大鳴門橋、因島大橋、大三島橋及び伯方・大島大橋の「一ルート四橋」については、料金をフェリー運賃なみとし、資金コストを六%程度とすることにより、約三十年間で償還可能」となるのだというように書いてあるわけですが、こういう償還の計画と伺っておりますが、それでよろしいわけですか。
○政府委員(渡辺修自君) 御指摘のとおりでございます。
○江田五月君 そうすると、資金コスト六%程度とするのだと、六%程度とできるかどうか、いま借入金をどの程度の率のもので借りていくか、どの程度の額の借り入れをするかというようなことにもかかってくるし、それから開業までに一体どの程度年数がかかるかということにもかかってくるのだと思いますが、六%程度とする。しかし恐らく現在の財政難、財政再建のために大型プロジェクトは少し遠慮しろというような声が高いときに、六%程度の資金コストに抑えるためにどんどんここに出資金を国とか地方公共団体とかからつぎ込むということはなかなかむずかしくなってくるのじゃないだろうか、このあたりの見通しを一体どう判断されているでしょうか。
○政府委員(渡辺修自君) 道路で借り入れております金、金利でございますけれども、過去五年の平均で実は七%ちょっと上回っておるわけでございます。計算上は六%程度の資金コストで三十年償還ということでございます。したがってその間の乖離をどうするかということでございますが、単純に申せば出資金をふやせばよろしい、借入金を減らせばよろしいということになるわけでございます。ただ最近のこういう厳しい状況でございますので、私どもいろいろ手段としては考えておりますが、これは財政当局とも御相談をしながらやらなければいけない問題でございますが、この事業がいま着手しております工事については一応目標の年度があるという点で、無限に続く事業ではないわけでございますから、その辺でいろいろ考慮する余地はあろうかと思っております。
○江田五月君 どうも数字をもっときちんと全部教えていただいて細かな計算をすればよろしいのですが、なかなかそれができませんのではっきりしたことにならないのですが、一ルート四橋については採算が何とか資金コスト六%程度にして三十年で償還可能になる。さあ、この本四架橋は全部で三ルートということになっておって、三ルート全部を完成させようと思うとまだほかに完成をさせなければならない工事がたくさんあるわけでありますが、三ルート全部ということになると、一体どういう採算性についての見通しになるかというようなことについては何か具体的な数字も含めたお考えがいまあるのですか、それともまだそこには至っていないのでしょうか。
○政府委員(渡辺修自君) 三ルート全体につきましてはただいまほかの橋が凍結中ということもございまして、まだ詳しい検討をいたしておりません。
○江田五月君 大臣、そういうようなことを前提にして、先ほども言いました財政再建、大規模プロジェクトはちょっと遠慮しなさい、規模も縮小しなきゃいけませんよとか、あるいは工事も少し先に延ばしていくようにしなきゃいけませんよとかそういう声が高い。それはそれなりに恐らく正しい指摘だろうと思う。しかし何でもかんでも全部工事はとにかく後へ延ばせば、あるいは規模を縮小すればそれで財政再建に役に立つのかというと、それはいろいろあるわけで、工事ごとの特殊性があるわけですね。
現在進んでおります一ルート四橋、これはいまの話のとおりだとしますと、とにかく出資金は余りふやさずに、六%程度の資金コストとして三十年の間に料金の収入で費用とかあるいは維持管理費、借入金の利息等も含めた総費用を償還していくのだということになりますと、工事のいまの予定をおくらすとかあるいは規模をさらに、さあ縮小はどうか、拡大していくとかということはなかなかいまの財政再建ということを考えていきますとむずかしいことになるのじゃないか。財政再建、大型プロジェクト見直しというような中にあって、この一ルート四橋というものはどうされるのか。一ルート四橋については結局工事の性格上、この営業の性格上、事業の性格上、見直してもなおかつこれはこれできちんと早くやって、早く開業することが財政合理性に合うのじゃないかというふうに思いますが、大臣のお考えをひとつ明確に聞いておきたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) 結論から申し上げますれば、全く先生とおっしゃるとおり私も同感でございます。大きなプロジェクト事業だけに投資効果、資金効率から考えても、これはやはり計画どおりやることが最もよろしいというように判断するものでございます。特にこの一ルート三橋、いま四橋に取りかかっておりますけれども、このできたことの要因もさりながら、経済効果を図り、地域住民の要望にこたえ、なおいまの財政事情をあえて考えて、なおかつこれはあくまで計画どおりやってまいりたい、このように考えているものでございます。
○江田五月君 関係の住民としては、いまのこういう時代に本四架橋もどうもまた延びるのじゃないか、この前、四十八年の十一月二十日、石油危機による総需要抑制策の一環として延期されたあのときのことを思い出して、また延びてしまうのじゃないか、夢がまた先に遠のくのじゃないかという不安があるわけです。特にいまこういう時勢ですから、そこでそういう不安はないのだ、これはいまの財政の観点から言っても今回は延期とかじゃなくて、ちゃんとやり上げる必要があるし、やり上げるのだということを明確にひとつさしてください。
○国務大臣(斉藤滋与史君) 地元の方々の恐らく御懸念もあろうかと思います。第二臨調の方々も経済人の方が多いようでございますので、その点については経済効果から見てもこれだけはそうした面で私はいま特別ということの表現はいけませんけれども、いささか考え方の違った形でこのことについては配慮があるであろうし、また期待もし、またそれでなければ、私はあえて申し上げますと、第二臨調としての逆に裏から言いますと目的にたがうような気がいたします。何が何でも延期をして縮小することが経済再建につながるというように私は考えておりませんだけに、このことについては大いにその件につきましても関係各位にも御理解をいただきながら、とにもかくにも事本四架橋については別枠でなく、普通の形で目的達成まで進めていきたい、またそのようなことで地元の方々にもぜひ御理解をいただいて御協力を願いたい、このように考えているものでございます。
○江田五月君 別枠というのは総論では確かに引っかかるけれども、これだけは別に除いてということでありまして、本四架橋、いまの一ルート三橋、そのほかのさらに新しい工事にかかるかどうかは別として、いまかかっている工事については別枠という話でなくてこのものとしてやはり財政再建、総論的に考えても、早期に完成さして運行に供していくことが財政合理性に合致するのだということをしっかり踏まえておいていただきたいと思います。
さて、そこで料金ですが、料金の考え方というのも伺いましたが、いまこれは開業されると一ルート四橋全部プール制で償還をしていくという。そうしますと、ちょっと考えますと児島――坂出ルートというのは本州と四国とを結ぶルート、しかし他の三橋は地域開発橋として当面供用される。そうしますと、児島――出ルートで入ってくる収入が地域開発のためにその一部が使われるということになって、お金の性格が違うところに振り向けられていくのじゃないかというような疑問がちょっとあるのですが、これはどうお考えになりますか。
○政府委員(渡辺修自君) プールにいたしております理由といたしましては、この橋の役割り、計画の一体性、それから利用者の負担の公平というものがございますし、それから御指摘のように児島――坂出ルートが全通するわけでございますから、ここが何といいましても一番の収入源になるわけでございます。しかしながら、この地域開発橋をまた別途の体系にいたしましてプールでないことにいたしますと、これはまだ全通をしない間はやはり交通量がどうしても少のうございます、島と島とを結ぶだけというような場合。これはもう採算的に見て非常に厳しいわけでもございまして、長期的な目で見ましてプール制ということで考えておるわけでございます。若干御指摘のような向きが内容的にはあることは否めませんが、やはりそれはこの本四の連絡架橋の健全なる経営と申しますか、という点においては私は必要なことであろうと考えます。
○江田五月君 ちょっと話が変わりますが、大鳴門橋鉄道部分が、ずいぶん当初の勢いが弱くなって規模が縮小されましたですね。橋の上で上り下りが通過してはならないようなものにまでレベルダウンをしたという話です。そしてその理由としては、当初鉄道四五%、道路五五%という負担割合にしておったのが、どうも鉄道部分がそれだけ負担ができるようには見込めないぞ、そこで鉄道一一%、道路八九%という負担割合でそれぞれの建設費をはじいて構造を決めていった、そこで鉄道のレベルがダウンしたのだというお話ですが、これはそういうことでよろしいのですか。
○政府委員(渡辺修自君) 当初は鉄道複線載荷ということでございまして、道路が五九、鉄道が四一ということ。五五と四五は実は児島――坂出ルートでございます。でございましたが、四国新幹線の見通しがはっきりしないという時点で、鉄道にその先行投資が莫大な額になるという点で難点が指摘をされたわけでございまして、それならばやはりいろいろ工夫をすることによって鉄道を、線路は二本つくるわけでございますが、適当なコントロールをすることによって単線載荷でいけるのじゃないか。そうしまして、もともとはその比率につきましては重量比で考えておったわけでございますけれども、道路がまず優先的に橋をかける、それに鉄道を付加するというような考え方をとり、つまり道路を優先支出にいたしますと八九%対鉄道一一%になるではないかということで、これならば負担に応ずることができるということになりまして、そのように決定したわけでございます。
○江田五月君 Aルートはまだルートとしての完成は先のことということでありますが、Dルートの方はこれはルートとして完成を六十二年に見なければならないという。ところが大鳴門橋の方でそういうふうに鉄道がレベルダウンをした。Dルートも鉄道がまたカットされていくのじゃないかというような不安があるわけですが、Dルートについてはこの鉄道部分というものの見直しということは、これはあるのですか、ないのですか。
○政府委員(渡辺修自君) Dルートにつきましては予定どおり進んでおります。
○江田五月君 四国新幹線の見通しがはっきりしない。したがって大鳴門橋はああいうことになったという。それならばDルートの方もどうも新幹線部分――新幹線も走ることができるようにということでいまは在来線、新幹線両方が走れる構造に予定はなっているわけですね。これはその新幹線部分も含めて見直さずにきちんと仕上げることができるという見通しだと伺っていいのですか。
○政府委員(渡辺修自君) Dルートにつきましては、在来線と新幹線も乗れるようにということでございますが、設計上の条件といたしましては二列車ということにいたしております。これも適当な列車のコントロールをするわけでございますが、そういった意味合いでいまのところ問題なく当初決めましたアロケートのままで進めておるわけでございます。
○江田五月君 新幹線の部分をつくりましても、新幹線を走らすまでに時間がかかるようですとその部分だけが当分の間むだな投資になっていく、その負担がたとえば国鉄の方にかかってくる、鉄道の運賃の方にかかってくる、あるいは橋を通る自動車の使用料の方にかかってくるというようなことはないのですか。どうなりますか。
○説明員(黒野匡彦君) お答えいたします。
AルートとDルートの基本的な違いでございますが、Aルートにつきましてはもっぱら鉄道部分は新幹線のための投資でございます。それに対しましてDルートは、先生御案内のとおり本四備讃線という在来線を通すことが主たる目的でございまして、新幹線についても将来通し得るような設計にしておくという指示がなされております。しかも先ほど道路局長から御答弁がございましたように、同時には列車は三列車以上乗らないという配慮もされておりますし、新幹線を通すことによる建設費の増というのは極力抑えてございます。したがいまして、現在共用部ですと四五%が鉄道負担、単独部は当然全額負担でございますが、これは鉄道側で将来とも負担するという考えで進んでおります。
○江田五月君 その在来線、新幹線両方が通る施設として完成をした場合に、これはその施設を国鉄に貸して国鉄から使用料を取っていくということですね。そうしますと、国鉄としては走りもしない新幹線部分のものも在来線と一緒に借りて使用料を払うということになるのか、それとも在来線部分だけを借りて使用料を払い、新幹線は新幹線ができた際にその部分を借りて、さらに使用料が追加されていくということになるのか、どちらになりますか。
○説明員(黒野匡彦君) 国鉄に対します具体的な貸付条件等はまだ未定でございますが、現在われわれが考えておりますのは、新幹線につきましては、たとえば新幹線用地等の買収等はまだ控えておりますし、いわば将来新幹線が通ることになったときになるべく投資するということで新幹線固有のコスト、新幹線を通すためにもつばら要るコストというのはきわめてわずかというふうに見ております。むしろ橋全体の構造あるいは在来線を通すことによって新幹線も含めて結局建設費が要る、鉄道側の負担になっているというふうに考えておりまして、現在のところは、鉄道の投資にかかりました費用はまとめまして本四備讃線開業の暁に国鉄側が使用料として負担するという考えで進めております。
○江田五月君 ちょっとはっきりしなかったのですが、在来線は先に通る、新幹線は後からと。いまのお考えは、時期がずれる場合には、新幹線部分は国鉄に貸すのが後になるのだということですね。そうしますと、新幹線部分だけがどの程度の、ごくわずかだとおっしゃるのですが、ごくわずかと言ったって相当なものになるのでしょう。その部分は仮勘定か何かになって、開業まで借りかえ借りかえというようなことになってくる。利子が積み重なって、だんだん実際の価値よりも負担をしなければならない負債というものが大きくなってくる。そうすると、四国新幹線の方も早くとにかく見通しをつけていかないと、四国新幹線全体をこのDルートにかかる新幹線部分が経営上圧迫をするというようなことになっていくのじゃありませんか。これは何かちょっと考えればどろ沼のような感じもするし、新幹線を早くつくれという理屈になるのかというような感じもしますし、その辺どうですか。
○説明員(黒野匡彦君) Aルートの方はまさに先生御指摘のような問題がございまして、関係の方面にお願いいたしまして、鉄道と道路の負担分の変更をお願いしたわけでございまますが、Dルートにつきましては、先ほど私の説明が拙劣で申しわけないのでございますが、新幹線のための固有の経費、たとえて申しますと新幹線の用地とかあるいは新幹線を通すためのレールとかまくら木とか、そういうものはすべて新幹線を通すことになったときに初めて投資するということでございますして、スペース全体は橋の構造から言いますと当然新幹線が通るスペースがございます。したがいまして、新幹線を将来通し得るように設計しておくということによるプラスアルファ分というのはほとんど無視し得る額というふうに考えておりまして、そこで先ほど申し上げましたように、本四備讃線を開業いたします段階において、鉄道負担分すべてを国鉄が負担するというふうに考えているわけでございます。
○江田五月君 話を変えますが、離島航路の問題もいろいろな人からそれぞれの角度で質疑がありました。なかなかむずかしいことだろうと思います。補助金をとにかく出して、財布の足りないところへお金を入れるというだけでいいのかどうか。もうちょっと離島航路全体を、航路の見直し、そして同時に、その航路に係る一般旅客定期航路事業の事業主のあり方の見直しというようなものも含めて、離島航路については業界を再編さしていくようなことも含めて構造的な政策というものが必要なのじゃないかという気がいたしますが、離島航路対策をもう一度伺っておきたいと思います。
○政府委員(永井浩君) 離島航路につきましては、現在離島航路整備法によりまして欠損の七五%を国、それから二五%を地方公共団体が負担しているわけでございます。それでこの架橋によりまして、従来たとえば本州――四国間のメーン航路、あわせて離島によっていたというような事業者につきましては、メーン航路の客が減るので非常に経営が苦しくなるであろうということは十分予想されるわけでございます。この場合に当然離島航路補助の支給の対象になるわけでございますが、ただ何航路か競合しているような場合、それぞれが需要が減っているような場合にはこれは共倒れになるおそれがある。そういうようなときにはこれらの事業者の合併集約等も私ども指導してまいりたい。場合によってはそれによって採算のとれるケースもあろうかと思います。そういう考え方でおります。
○江田五月君 離島航路に限らず、航路再編成に伴って業界の方も自然淘汰で再編成していくということもありましょうが、やはりそこは余り大きな犠牲がどこかにしわ寄せになるということがないように、業界の再編について、ひとつ全体を見回しながら間違いのない業界の再編をひとつ指導をしていくということも必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(永井浩君) 基本的にはお説のとおりでございまして、単に離島だけでなくて全体を見回すのが理想的かと存じます。ただ、瀬戸内海全体と申しましてもそれぞれの企業規模の大小あるいはそれぞれ企業の歴史的な経緯もございますので、全体をやるのは非常にむずかしいかと思います。むしろ橋ごとにそれぞれの関係航路を中心にして指導してまいるというのがより現実的だと考えております。しかし、その場合においても、常に全体の航路のあり方等を念頭に置きながら指導してまいりたい、このように考えております。
○江田五月君 瀬戸内海というのはわりに複雑に相互に関連をしておるわけで、Aルートの方とDルートあるいはEルート、Aルートの話であってDルート、Eルートには関係ありませんというふうにはなかなかなっていない。それぞれがかなり密接に関係をしております。
そこで、この航路指定ですが、因島大橋についてはなるべく早急にこの航路指定から始まる一連の措置に取りかかっていかなければならない。大鳴門橋についてはこれはいつごろ措置のスタートを始めるということになりますか。
○政府委員(永井浩君) 航路指定の時間でございますけれども、関係事業者が準備を早く始めるという意味においてはなるべく早目に指定した方がいいわけでございますが、一方、その橋のかかる影響その他精密に需要予測等をするためにはやはり供用開始に近い時点の方がいいという二つの命題がございまして、私ども大体架橋供用開始の三年ぐらい前と、このように考えております。
それで、因島大橋につきましては、御質問のように早急にこの指定をやりたいと思いますが、引き続きまして鳴門大橋につきましても本年度中あるいは来年の初めぐらいには何とか指定したい、このように考えております。
○江田五月君 なるべく早急にこの指定をしていただきたいと思いますが、その場合にたとえば大鳴門橋ですと、大鳴門橋にかかる地点を結んでいる航路だけを航路指定するということではもちろんないわけですね。もう少し幅が広がると思いますが、どの程度まで幅が広がっていくのか。先ほど言いました瀬戸内海の各航路というのは非常に密接にいろいろなところでつながりを持っておるわけで、大鳴門橋の開通によってどこまで影響があるか、これはむずかしいことだとは思いますが、かなり幅は広がってくる。そこで、大鳴門橋についての航路指定をするときに一体どの範囲あたりまでこの航路指定というのが行われることになるか。なるべく広くその影響の範囲を考えて航路指定をしていただいた方がいいのじゃないかと思うし、そのことが業者の、あるいは従業者の不定を経減することになると思うのですが、どういう方針でいかれますかお聞かせください。
○政府委員(永井浩君) 大鳴門橋架橋の例をとりますと、単にその橋と平行に走っている航路だけでございませんで、たとえば坂出、高松、岡山方面に結ぶ航路についてもかなりの影響があろうかと思います。そういうことで、基本的な考え方といたしましては、その事業者の人的あるいは物的な変更があり得る、あるいはそれのおそれがあるような関係事業者についてはなるべく広目に指定をしたい、このように考えております。
○江田五月君 さて、また話が違いますが、Dルート岡山側の早島インターチェンジから水島インターチェンジまではいいのですが、そこから先、何かどこを通すかルートについてかなりがたがたしておるようでありますが、これはどういう経過になったか、経過の概略だけ簡単に御報行ください。
○参考人(山根孟君) お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘の問題は、稗田地区のルート問題でございます。これにつきましては、五十三年にこのDルートが着工いたします前の段階におきまして環境影響評価を実は実施をいたしました、ほぼ一年かかったわけでありますが。その際、この地区のルートについては地方自治体等からの御意見等もございまして、総合的に検討をして、その上で決定をするといういわば宿題になっておったわけであります。
こういった観点から、公団といたしましては自然条件、技術的な条件あるいは環境上の条件といったものを総合的に約三年ばかり検討をいたしてまいりまして、その間地元の御要望等も承りながら総合的に検討をいたしてまいったわけでありますが、その結果に基づいて私どもがこれから設計、協議を進めてまいろうというルートにつきまして、先日地元の方に発表をさせていただいた、第一回の説明会を持たしていただいたという次第であるわけでございます。
検討いたしました内容等につきまして御質問がありますれば、さらに御説明を申し上げたいと存じます。
○江田五月君 時間がだんだんなくなっておりますので、余り細かなことまで立ち入れないのですが、どうも見ておりますともたもたしているという感じがあります。いろいろ御説明は言葉をうまくお使いになるところはあるにしても、外から見ると、一度ルートを発表された、問題点が続出してそのルートは撤回をされた、そしてまた新たにルートを発表したというふうに見えるわけでありまして、これはだんだんと一つのルートに固まっていく過程であるのだというような説明ではなかなか住民は納得しない。もちろん、従来のルートを撤回されたことは当然だと思います。撤回をされなきやならないだけの難点、弱点のあったルートだったと思うので、その撤回は、これは過ちを改むるにはばかることなかれ、当然なのですが、しかし、出しては引っ込め、出しては引っ込めということになりますと、果たして本当に住民の生活のことだとか環境のことだとか十分な配慮を加えて、慎重にこのルートの決定というものを行っているのかどうか。何か出してはアドバルーンみたいに様子をうかがって、また引っ込めてというようなことをやっているのじゃないかというような心配があるのでありまして、今回のこのルートについてはどうなのですか、本当に住民の皆さんに十分納得をいただける、住民の皆さんと本当に腹を割って話をして、そしてこれで満足をいただける、そういうルートだという確信をお持ちなのですか、それとも、また何か様子をうかがってというようなつもりでお出しになっているのですか、どうですか。
○参考人(山根孟君) 私ども検討いたしまして今回説明をさしていただきましたルートにつきましては、環境上の問題を初め十分関係の住民の地域の方々に御説明を申し上げ、御理解を得られる、また御理解を得るよう努めてまいらねばならぬと考えておりますが、私どもとしては、このルートでありますならば、大綱において生活環境の保全その他交通安全上の問題等々、各般の諸条件に照らしまして十分確信のあるルートである、かように考えております。
○江田五月君 地元での説明会をめぐる事情について新聞の報道などを見ますと、いろいろとごたごたしたようなこともあるようですが、ひとつ誠心誠意地元の皆さんの納得を得るように努力をしていっていただきたいと思います。要望しておきます。
それから、御承知のとおり、地方財政再建促進特別措置法の二十四条二項というものがありまして、地方公共団体は、法令の定めによる場合を除いては――いろいろありますが、その中に本四架橋公団も入っておりまして、本四架橋公団に寄付金とかその他の支出をしてはいけないということになっておるのですが、何か聞くところによると、いぐろ島、最近呼び方を変えていわぐろ島ということになったようですが、岩黒島のとりつけ道路は地方公共団体の方にもお金を出させるのだというようなことを聞いておりますが、これはこの地方財政再建促進特別措置法に違反するようなことになる話ではないのでしょうね。確認をしておきたいと思います。
○参考人(山根孟君) お答え申し上げます。
岩黒島につきましては、私ども地形条件その他から、また島の状況等から見まして橋上にバスストップをつくりまして、これによって住民の方々のサービスに供したいという基本的な考え方を持っておるわけでございます。ただ、橋の上にバスストップができますので、一体島からその橋上にございますバスストップにいかに連絡をするか、これが私どもの現在詰めております問題でございまして、現在橋梁管理上必要な構造をどういうぐあいにやっていったらいいか、そのためにどういうような事業化の手段を尽くしていったらいいかといった点につきましてまた地元の方の御要望もあるわけでございますので、香川県、坂出市等と現在検討をいたしているところであるわけでございますが、御指摘のような地方財政再建促進特別措置法といった法律に触れるようなことのないようにしてまいりたい、かように考えております。
○江田五月君 また別の話ですが、瀬戸内海というところは航路が非常に立て込んでおりまして、しかもなかなかむずかしい操舵方法を要するのではないかと思いますが、そこに橋ができてしまう。特に国際航路になっているところに北備讃瀬戸大橋、南備讃瀬戸大橋というものができる。これでは航路がつぶされてしまうのではないか、航路を変えてはどうかという提案も関係の方々から出ているようでありますが、東西に走る航路に水島から南にずっとおりて接続をするといういまの航路、そのすぐ東側に橋ができる。これは危険ではないのですか。そして、水島から南西におりる航路というようなことが提案をされているようですが、こちらの航路の方が合理性があるというようなことはないのでしょうか。この航路のことについて説明をお願いします。
○説明員(加藤書久君) 本州四国連絡橋が建設されることに伴います海上交通の安全の問題につきましては、本四公団が日本海難防止協会等に委託いたしまして関係行政機関あるいは学識経験者、海事関者等から成ります航行安全委員会等を設けまして工事中の安全対策あるいは架橋完成後の航行安全対策ということにつきまして調査、検討をいたしまして、それに基づきまして所要の安全対策を講じているわけでございます。
いま先生からお話のありました、水島航路を出まして備讃瀬戸航路を抜ける船につきましては、現在も海上交通安全法によりまして進路警戒船というようなものをつけておりましたり、あるいは当然曲がるときは船のスピードを落とす、減速、あるいは引き船を配備するといったことによりまして現在も安全に航行いたしております。
この架橋が完成しました後も、先ほど申しました委員会等の調査結果に基づきまして、橋梁のけた下高だとかあるいは支間長だとか、そこら辺を適当に保つ、あるいは橋脚等々の航行援助施設を設置するといったことによりまして十分安全な航行ができると考えております。
全日本海員組合が水島新航路というのを提案していることは私どもよく存じておりますが、これにつきましては当然漁業が行われておりますので、その漁業活動との調整の問題、それから二つ三つ浅いところがございますので、この航路しゅんせつをしないといけないという問題、それからさらに、水島航路を出まして備讃瀬戸に出て東に向かう船につきましては若干迂回になる航路でございます。そういう迂回航路を海上交通安全法による航路ということに指定しますと、強制するということになります。そういう問題がございますので、これはやはり水産関係者あるいは港湾管理者、それから海運等の海事関係者、そこら辺の皆さんによります十分慎重な検討が今後必要であると考えております。
○江田五月君 瀬戸内海に大型タンカーもどんどん入ってくるようなことになってしまったわけですが、そのこと自体もどうもなかなか問題もあるのじゃないかと思いますが、一たび大型タンカーから石油が漏れるようなことになりますとこれはえらいことになるわけで、ひとつ航路の点からも間違いのない施策をお願いをしておきます。
時間がもうありませんが、最後に二、三まとめて伺っておきます。
地元の人たちからも要望が何度も来ておるので十分存じていただいておると思いますが、工事についても地元企業へ優先発注をしてくれないか、なかなかいま建設業界が困難な事態になっているそういうときに、大きな工事が目の前にあっても全然地元は潤わぬじゃないかというので、優先発注してくれというお願いがあると思います。これは技術的にいろいろ高度な技術を要するところもたくさんあってというようなお話ですが、そういうところでなくて、地元企業で十分施工のできる場所もたくさんあるのじゃないかと思いますが、この関係をどうお考えか。
それからあわせて、この本四架橋との関連を持った事業を地元関係自治体がやっている場合があるわけですが、たとえばこれは岡山県の場合で、総合流通センターを早島インターの近所につくるとか、ほかにもあるかもしれませんが、そういう地元自治体の関連事業へ補助をするというようなことはあり得ることかどうか。地元へなるべく手厚くということをお考えいただきたいわけです。
それと最後に、どうもつり橋はかなり揺れるのだというようなことを聞いたり、特に夏、冬の温度差で数メートルも上へ上がったり下がったりするのだと聞いたり、あるいはまた風が吹いたら横へ十メートル近くも揺れたりするのだというようなことも聞いたりしておりますと、本当に安全に通行できるかなというような気がする、不安があるわけで、橋上通行の安全というものを一体どういうふうに確保されようとしておるのか、そういう心配はないのか。おもしろい話ということだけなのかどうか、あるいはそういう特性にかんがみこういうことを考えておりますよというようなことがいまあるのかどうかを聞いておきたいと思います。
○参考人(山根孟君) お答え申し上げます。
第一の、工事発注に関する問題でございます。
橋梁の大変高度な長大橋に関する部分の仕事につきまして、これはなかなか困難であろうと思いますが、それに関連する準備工等々、さらには、陸上の道路部分につきましては、私ども工事の難易度、工事の規模、建設業者の施工能力といった点を勘案しながら、地元中小建設業者が極力受注の機会が得られますように配慮してまいる方針で臨んでおるわけでございます。
第二点の、流通センター等の例を挙げて、地方公共団体が実施しております本州四国連絡橋に伴いますもろもろの事業に対して、本四公団として何らかの措置ができないか、こういう御指摘でございます。
本四公団は、御案内のように連絡橋の建設、管理を目的として設立をされ、その事業を遂行をしているということでございまして、他の事業に投資をするということはできないということになっております。
第三の、台風等々におきます強風時、あるいはその他気象条件によって交通安全上橋梁の構造上のいろいろな問題があるわけでございます。その点の御指摘があったわけでございます。
つり橋は、一般に大変たわみやすいと申しますか、弾力性のある構造物でありまして、十メートルということはございませんが、相当の上下方向あるいは水平方向に揺れる、揺れると申しますか、たわむという現象が起こることは事実でございます。しかしながら、構造上これが危険になるといったことは全く御心配はないように十分配慮した設計をいたしております。
しからば、交通を通すときにどうなのか、こういうことでございますが、交通安全施設あるいは交通情報提供施設等によりまして十分交通管理上の措置はいたすわけでありますが、やはり強風のときになりますと車両の走行そのものが大変危険な状態になるわけであります。したがいまして、現在使用開始をいたしております大三島橋におきましても風速十メートルで走行注意の表示を行い、毎秒三十メートルで通行どめにいたすことにいたしております。これは陸上部等におきます名神、東名等においても強風時における通行どめの措置を実は現在やっておるわけでございます。それとおおむね同程度の交通規制、通行どめないしはその前段階におきます注意標識等の設置を行いまして交通の安全を期してまいる考え方で進めておるわけでございます。その橋梁上の強風時におきます交通安全措置につきましては十分配慮してまいりたい。
なお、瀬戸内海地域はいまごろの季節ですと大変濃霧が多いわけでございます。したがいまして、このような場合にもどういうぐあいに対処していくかということにつきましても現在検討を進め、必要な措置を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○江田五月君 終わります。
1981/06/02 |