1984/07/18

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101 衆議院・逓信委員会,大蔵委員会,社会労働委員会連合審査会

電電改革三法案について


○江田委員 逓信委員長及び逓信委員会の理事各位の御理解をいただきまして、十五分という貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。時間が食い込んでおりますが、もうしばらくよろしくお願いしたいと思います。

 まず、私もスト権の問題について伺いたいと思いますが、どうも新電電のスト権、何かぱっとしませんね。すぱっとやめようと思ったこともあるという労働大臣のお答えでしたが、しかしそうはいかなかったということで、なぜきちっとした解決にならないかということを考えてみたときに、どうもスト権なり労働基本権なりというものについての基本的な見方、考え方、どういう価値をそこに置くかということについての感覚の違いみたいなものがあるのかなという気がしまして、最初に労働大臣にその感覚を伺ってみたいのです。

 けさの朝日新聞なんですが、見ておりましたら、イギリスのことなんですが、情報機関員の組合活動禁止について英国の高等法院が違法の判決、つまり違法であるからいけない、そういう内容の判決を下した。この情報機関というのは政府通信本部だそうで、情報収集活動に従事をしておる。米国家安全保障局と緊密な連絡をとりつつ運営して、対ソ情報通信処理の欧州探題だという大変な機関で、組合活動は機密漏えいのおそれがあるからというので、組合の団結権の剥奪を決定をしたら、そんなことは違法であってできない、こう裁判所が判決をしたということです。この電電、情報通信の網の目が麻痺をする、国民に大変な迷惑をかける、それはそうなる。しかし、片やイギリスのようなところでは、こういう国家機密をあずかるところまで、これはスト権かどうかちょっとわかりませんけれども、組合活動が自由になっている。警察にしても消防にしても、軍隊まではちょっとなかなか難しいでしょうが、そういう労働基本権というものが、これはもうそういうものだ。少々いろんな国民生活の迷惑があっても、スト権を含めた労働基本権というのは尊重されなければならないんだという、それが何か近代国家なり近代憲法なりの原則だということが我々戦後世代の常識なんですが、どうもそのあたりがちょっと違うんじゃないかという気がしますので、今のこのイギリスの例、詳しいことはもちろん御存じないと思いますけれども、どんな感じてお聞きになられたか、感想、感覚を伺いたいと思います。

○坂本国務大臣 詳しいことは存じませんけれども、一般的に言いまして、スト権を含む団結権というものは尊重さるべきものである、それによって多少の影響を受けるということはやむを得ない場合が多い。しかし、そこがまた基本的人権と公共の福祉の調和というところがございまして、どこまでやるか、具体的な問題はその国その国のやはりいろんな実情に応じて、法律、制度によって規制をされておるところもあるだろうと思っております。
 我が国におきましては、あなたから見ればイギリスほど進んでないとおっしゃるかもしれぬけれども、やはり日本人の大方の感覚というものは、公共の福祉というものも非常に大事なんだという感覚はイギリスよりちょっと強いのではないかな、こう思っております。そういうところですね。

○江田委員 どっちが進んでいるといっても、イギリスもイギリスで悩みを抱えているわけですから、それがいいと一概に言えるわけではありませんけれどもね。しかし、別にストライキがどんどん起こった方がいいわけじゃないので、これはもちろん信頼関係が保たれて円満な、円滑な労使関係が続いていく方がいいに決まっている。しかし、公共の福祉といっても、万やむを得ないときに労働者の皆さんがストライキをやって、それで公共の福祉が多少害される、そういうことは長い目で見ていくと世の中の進歩発展に通じていくんだという一種の信頼がなければいけないわけで、労働省なり労働大臣というのは、そういうときに国民の皆さんに、どうもストライキに対して公共の福祉に対する懸念の方が強いから、そういう心配の向きもあるから、だから屋上屋を架したスト規制をやる。総理大臣の政治責任だけじゃ足りないから労働大臣の政治責任までさらに上乗せをする。そういうことをやるんじゃなくて、むしろ逆に、国民の皆さんに、労働基本権なりストライキ権なりについての寛容の態度なり精神なりを助長していく、そういう努力をすることの方が労働大臣の務めじゃないかと思いますが、いかがですか。

○坂本国務大臣 先ほども申し上げましたように、やはりその国その国のいろいろな国民感情なりそれからまた慣行なりございまして、その具体的な判断というものは、あなたのおっしゃる気持ちはよくわかるのです。わかりますけれども、しかし、政治でございますから、大方の国民はどう考えておられるかなという判断が、私どもはこれはやはり考えなければいかぬことでございます。そういうような意味におきまして、今度の特例調停、暫定的な特例的なものという、基本的人権の方に八分のウエートを置けば二分ぐらいは多少考えよう、こういうことで今度考えたわけであります。

○江田委員 これはひとつやはり大いに努力をしていただいて、今の新電電の労使関係もこれまでの電電公社における労使関係と同様に、そうおかしなことになっていくはずはないと思いますし、また国民の理解もなるべく得るよう努力をしていただいて、こういう妙な制度、屋上屋を架すような規制の制度は一日も早くなくしていくよう努力をしていただきたいと思います。

 それから次に共済について伺います。
 ことしの四月からですか新しい制度になって、電電公社の共済がその他の国鉄とか専売とか国家公務員の共済と一本化され、題しき労働者連帯、こう言われると、救いの手を差し伸べる方も差し伸べられる側も恐らく目をぱちくりするのじゃないかと思いますね。日ごろいろいろいじめ抜かれて、こんなときだけおだてられて、そんなおだてに乗るもんかという感じもあるんじゃないかと思います。労働者連帯も大切ですが、一体今、国鉄共済の救済のために電電職員一人一カ月当たり幾らくらい拠出している勘定になるのでしょうか。

○中原説明員 お尋ねの件でございますけれども、来年度に入って応援をするということになっておりまして、ただいまは長期財政調整委員会という組織の中で、どのような形で幾ら援助をしていくものであるかということを検討しておるところでございまして、まだその論議の中にあるというふうに理解をしております。

○江田委員 一月一人当たり千二百円、公社の負担分も入れたら二千四百円というような勘定になるというのも聞いたりしておるわけですが、これ民営ということになって、今のままで続けていくという整備法、これはこれで整合性があるというふうにお思いになっているんですか、そうじゃないんですか。退職金とか労災とか雇用保険とかといろいろ比べてみて、どうも共済だけがこういうことになっておるというのは、これ整合性があるようにはどう考えても思えないんですがね。

○中原説明員 お答えいたします。
 私ども電電公社の立場で考えますと、全体が民営化されていく中で、ここの部分がむしろどちらかと言えば国家公務員と同じ扱いになっていくという点につきましては、いささか問題がないではないというふうに考えております。

 ただ、前国会等におきまして、政府の方針が決められてまいったわけでございますけれども、共済年金の特殊性あるいは継続性、過去の経緯、こういうものの中から、厚生年金と共済年金との間に給付要件等いろいろ差があったり、あるいは移管するについて難しい問題等があるということから、直ちに厚生年金等へ移っていくということが特に年金問題については難しいという問題からされました所要の措置であって、移行するに当たりましては、ある意味では常識的、妥協的な措置として考えられる一つの方法であったであろうというふうに思っております。

○江田委員 この年金制度は、いずれにしても将来大改革が必要になってくる。今既に大きな改革の筋道が、検討がもう既にかなり終わって、いろいろな法案も提出されたりしておるわけですけれども、そういう将来展望の中で一体電電公社、新しく民営化された新電電はどういう年金制度になろうとするのか、これは厚生省ですかね、将来展望の中でどういう位置づけを考えておられるのかを伺いたいと思います。

○吉原政府委員 電電公社が民営化されるに当たりまして、当面、先ほどから御議論のございましたように、共済組合の適用を続けるという措置がとられたわけでございますけれども、将来の年金制度全体のあり方として、いずれにいたしましても、共済、厚生年金、国民年金、そういった各種の分離した年金制度を統合一元化する方向で進めなければならないという考え方を持っておりまして、私ども現在、今の国会に厚生年金と国民年金についての大きな制度改革というものを法案として提出して、御審議をいただいているわけでございますけれども、その考え方に沿って、次の通常国会に共済との調整を図るというスケジュールを持っておりますし、さらに昭和七十年を目指して制度全体の統合一元化についてさらに検討を進めるというスケジュールを持っておりますので、そういった中で今の電電の共済の取り扱いを含む全体の問題について検討を進め、見直しをしてまいりたいというふうに思っております。

○江田委員 抽象的なお答えで、もっと突っ込みたいところですが、時間がありません。
 真藤総裁に最後に伺っておきますが、これちょっと話が違うんですが、現在、来年の夏には婦人差別撤廃条約を批准をする。それを目指して今この国会でも男女雇用機会均等法が議論をされているというそういう時期なんですが、電電公社というのは交換手の皆さんが非常に多いわけだから、随分女性がたくさんいる職場がなと思って調べさせていただきましたら、全職員で見ると七七・三%が男だ。どうも女性は余り多くはないんですね。二三%弱。交換手を除いてみますと八八・五%が男だということで、この男女の差を見ると、平均年齢は男が三十七・四歳、女が三十九・七歳と女性の方が高いのに、平均給与は男が二十一万九千六百円、女性が二十万六千二百円。年が平均では女性の方が高いのに、給与は平均では女性の方が安い、こうなっていて、どうも公社という公共的経営体でも女性の地位が十分に確立されていないのかなという感じがするのですが、民営ということになりますと、ますますそういう女性がないがしろにざれるという方向が強まるのじゃないか、こう懸念されますけれども、こういう男女の平等という大きな時代の流れの中で、総裁としてどういう御決意がおありか伺って、私の質問を終わります。

○真藤説明員 この男女平等問題というものが大きな流れとして動き出しましたので、私も今、先生のおっしゃるようなことに気がつきまして、実は女子職員の特殊な訓練スケジュールをつくりまして、今その実施に具体的にかかっておるところでございます。

 考えますというと、今から新しい情報社会に入っていくときに、私どもの持っております女子職員というもののタレントというものは、使いようによっては非常に大きな力になるという可能性を持っておりますので、その方向についていろいろな基礎的な教育ということで、女子職員の中の指導者をグループ分けにつくりまして、それを今、訓練を始めておるのが実情でございます。そこから手をつけていきたいと思っております。

○江田委員 終わります。


1984/07/18

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