1984/07/24

戻るホーム主張目次会議録目次


101 衆議院・社会労働委員会 

男女雇用機会均等法案について 2


○江田委員 歴史的な法案の本院における最後の質疑者という光栄をお与えいただきまして、答弁の方も最後の答弁になりますので、大変でしょうが、どうぞひとつ謹聴して答弁していただきたいと思います。

 この募集、採用、配置、昇進、第七条と八条ですが、これが努力義務にとどまっておる。しかし、努力義務にとどまっていても心配ないのだ、世界に冠たる日本の行政指導で大いに頑張ってやっていくのだというお答えですが、さあ、それではその行政指導の基になる「指針」が十二条にあるわけですが、一体どのような指針をおつくりになろうとしているのかということについて伺います。

 まず、この「指針」は恐らく二つほどの種類のものがあるだろう。将来の目標設定、つまり、例えばこれこれこういう職種では女子労働者をこのくらい雇わなければならぬとか、そういう目標設定としての「指針」、それからもう一つは、目標設定ではなくてどういうケースは差別があると考えるのか、どういうケースは努力がまだ足りないと考えるのか、そういう法律解釈における「指針」、そういうものもあるかと思いますが、どういう「指針」をお出しになろうとしているのですか。

○赤松政府委員 法案第十二条の「指針」の性格でございますが、数値を挙げて示すというような性質のものではないというふうに考えております。募集、採用、配置及び昇進について、すなわち努力義務になっている項目につきまして、現在見られます男女異なる取り扱いはいろいろあるわけでございますが、その是正のための努力を事業主に求めるものについてその目標として定めるものでございまして、具体的にどのような方法ということになりますと、これは先ほど来何度か申し上げておりますが、審議会にお諮りして決めるということにいたしております。

○江田委員 努力を求めるのだ、それはそうでしょう。努力義務での「指針」ですから、努力を求めるに決まっているわけですが、具体的内容は審議会にお任せをしておるといって、それでどうして一体この「指針」があるから行政指導で大丈夫、やっていけるのだということが言えるのですか。

○赤松政府委員 内容につきましては、最終的なことは審議会にお諮りするわけでございますから、ここで私が申し上げるわけにまいらないわけでございますが、大体どういうような内容が考えられるかということにつきましては、これまで何度か話の出ております男女平等問題専門家会議の報告におきまして、男女異なる取り扱いがいろいろと見られる、例えばこのようなことは問題になるであろうということが書かれております。それなどは非常に大きなといいますか、有力な参考になるのではないかと思いますので申し上げてみますと、例えば募集、採用につきましては、男子のみあるいは女子のみの募集あるいは採用をしたり、男女別に募集、採用人数の枠を設ける。それから、男女異なる年齢、女子についてだけは非常に年齢が若いというような場合があるかと思います。それから学歴を違える、男子大学卒、女子高校卒というようなやり方があろうかと思います。あるいは逆があるかもしれません、それは余りないのではないかと思いますが……。それから、資格を男女別に条件をつけて募集や採用をする、あるいは女子についてだけ婚姻をしているかどうか、主として結婚をしているということを条件に、あるいはネガティブな条件にする。子供の有無、自宅通勤かどうか。先ほど容姿端麗という言葉も出ましたが、容姿について女子についてだけ条件をつける、そうしてそれを募集、採用の条件にする、あるいは男女異なる雇用形態、つまり常用か臨時か、男子が常用で女子が臨時というような場合がこれに当たると思います。あるいは就業形態、これはフルタイマーとパートタイマーの別のようなものでございますが、それについて募集、採用を異なってするというようなことが、募集、採用についての検討の内容になろうかと思います。

○江田委員 今いろいろおっしゃったのはもちろんそうだと思いますが、そういう例えば男子のみ、女子のみはもちろんですね、男女別の枠を設けるとか、これは、女子に対して男子と均等な機会を与えるとは一体どういうことであるかという内容ですね。努力についての「指針」はどうなんですか、こういう例えば男子のみ、女子のみというような募集の形があったら、これはもうそれだけで努力をしていないというふうに判断をする、こう考えてよろしいんですか、そういう「指針」とするということでよろしいんですか。

○松原説明員 ただいま局長が申し上げましたような例が仮に「指針」の内容といいますか、事業主が努力すべき目標として定められることになりましても、そしてそれを達成していない状況がたとえあったとしても、それをもって直ちに努力をしていないということにはならないのではないかと思います。それへ向けてすべての企業が努力していただくように行政指導をやっていくということでございます。

○江田委員 ですから、女子と男子の均等な機会とは何であるかという「指針」はそれは出せます。だけれども、努力をするというそれを「指針」を出して行政指導するんだから大丈夫だとおっしゃる、努力の中身は全然「指針」がないじゃないですか。

○松原説明員 機会均等法の十一一条は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するため必要があると認めるときは、」努力義務とされた事項につきまして、「事業主が講ずるように努めるべき措置についての指針を定める」ということになっておりまして、先ほど例として、例えば女子のみとか男子のみという例がございましたけれども、そういうものを「指針」の中に定めることとし、それに向けて各企業が自分の雇用管理を見直し、できるだけその「指針」を遵守できるようにしてもらうというものでございまして、どのように努力するかというものの「指針」ではないわけでございます。

○江田委員 均等な機会の「指針」はあっても、努力については何の「指針」もない、しかし法律は七条にしても八条にしても努力をしか求めていない、これでは「指針」があっても募集、採用、配置、昇進、いずれも男女の機会の均等ということは実現できない、こうならざるを得ないと思いますが、これは余り議論をしていてももう時間がありません。

 次に十三条ですが、苦情の自主的解決ということになっておって、「苦情処理機関に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。」というわけですが、こうなっておりますと、これはいろいろ男女の不平等がある、差別があるときに、これをまず例えば調停に持っていくとか、そういう公の機関に解決をゆだねるより先に自主的に解決しなさいよ、こういうことで自主的解決が前置になる、自主的解決をまずやらなければならぬということになって、結局この自主的解決のための苦情処理機関はこれは事業所の中に設けられるわけですから、泣き寝入りを強いられることになる。この自主的解決の条項があるために、逆に文句をどこにも言ってはいけないようなことになってしまう。そういう機能を果たすのじゃありませんか。

○松原説明員 お答えいたします。
 この十三条を設けました趣旨は、この男女の機会均等をめぐります労使の問題といいますのは、企業の中でまず労使が自主的に話し合って解決していただくことが最も望ましい、そうすることによって、単にその当該女子のみならず、企業全体の雇用管理のあり方が見画される契機にもなるわけでございますので、こういうことは非常に望ましいやり方だということで設けたわけでございます。

 ただ、今先生御指摘ございましたように、この十三条があるばかりに、それを通さないで調停とか紛争の解決の援助を求めるということができなくなって、かえって救済がおくれるのではないか、また泣き寝入りになるのではないかという御指摘がございましたけれども、それは必ずしも、この十三条は十四条ないし十五条の前置という形にしているわけでございませんので、もしどうしても企業内でそういうことを解決することが難しいということであれば、必ずしも企業の中でそういうことをやらなくとも、室長の援助を求めたり調停を申請するということは可能になっているわけでございます。

○江田委員 十四条の勧告ですが、募集、採用、配置、昇進についての勧告、努力義務についての勧告というのは、どうもこれまたびんとこない概念なんですが、一体どういう段階で、どういう場合に、どういう内容の勧告をするのかということについて、ある程度具体的にこういうことを今考えていますよというようなことがお示し願えますか。

○松原説明員 十四条は、この条文の書き方は「均等な機会及び待遇に関する事業主の措置で労働省令で定めるものについての女子労働者と事業主との間の紛争に関し、」と書いてございまして、つまり七条、八条、九条、十条、十一条に規定されております事業主が講ずる措置すべてを紛争の解決の援助の対象とするという書き方にはいたしておりません。これは今先生の御指摘があった点とも関連するのでございますけれども、事業主の措置のうち、まず禁止規定、すなわち九条、十条、十一条、これについては当然紛争の解決の援助を行政機関としてやることになろうかと思いますけれども、努力義務規定とされた事項につきましては、先ほど「指針」のお話しがございましたけれども、「指針」を定めそれに向けての企業の努力を促すということにしておりますので、そういう「指針」を定める趣旨も考慮いたしまして、努力義務のうちどの範囲をこの解決の援助の対象にするかは、今後検討いたしたいと思っているわけでございます。

○江田委員 じゃ、ちょっと「指針」に戻りますが、先ほど募集についてはある程度具体的な中身をおっしゃいましたけれども、採用及び配置、昇進、これの「指針」というのは具体的にどういうことか、明らかに願えますか。

○松原説明員 採用、配置等につきましても、結局男女で異なる取り扱いがいろいろあるわけで、そういうものをなくすものとして「指針」の内容として定めるかどうかという検討をするわけでございます。先ほどの募集とあわせまして採用については、例えば男子のみしか採用しないとか、女子のみしか採用しない、またいずれも採用する場合であっても、女子についてだけいろいろな制限をつけるというような、募集と採用と裏腹でございますので、ほとんど同じような内容かと思います。

 また配置につきましては、例えば女子というものを一定の仕事にしか配置しないというような方針をつくっているとか、それから配置転換のルールを決めるような場合に、女子は例えば事業所間の配転はしない、つまり事業所内だけの配転で転居を伴うような事業所間の配転はしないとか、一方、男性の方はそういうことに構わず転居を伴う配転はどんどんするといったような、そういう配転のルールが違うというようなことも対象になろうかと思います。

 また昇進につきましては、企業によりましては昇進試験、試験制度を設けまして、その試験にパスした人を管理職にするというような制度を設けているところもございますが、そういう場合に、女子にはそういう昇進試験の受検資格がないというようなこともあるやに聞いておりますが、そういうものはこの「指針」の作成に当たっての検討の対象になろうと考えているところでございます。

○江田委員 紛争解決の援助、それから調停の委任、まず紛争解決の援助の点ですが、「関係当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合」、「援助を求められた場合」というのはこれはどういう場合ですか。援助を求められた場合ですが、書面で求めなければならぬとか、あるいは口頭でもよろしいとか、あるいは電話でもよろしいとか、あるいは匿名でもよろしいとか、あるいはまた本人が求めてこなくても第三者でもよろしいとか、あるいはそこまではっきりしなくてもそういう援助を求めているようなケースがあるよということを探知したというようなケースでも活動することができることになるのか、その辺のことはどうですか。これは案外重要でして、実際にいろいろな差別を受けている労働者の側というのは、うっかり申し立てて、申し立てたことによって不利益をこうむってはならぬわけですけれども、しかし、現実問題、うっかり申し立ててそれで何か仕事を失うようなことになったら、これは生活にかかわるというような心配は、当然今までのケースからも起こってくるわけですから、この解決の援助を求めるということは、一体どういう場合なら援助を求めたと言えるのか。つまりどういうケースなら今の助言、指導、勧告などができるかということは重要だと思うのです。そこを明らかにしてください。

○松原説明員 十四条の趣旨は、いわば労使間の私法上の紛争が起こった場合に、その特定の紛争を具体的に解決するために行政機関が援助をするというものでございますので、その対象となるものは特定される必要があるわけでございます。

 それから、助言、指導、勧告するに当たりましても、その女子労働者からの訴えだけではなくて、一方の当事者たる企業にもその事情等は聞くことが必要になってくるわけでございます。ただ、具体的手続といたしましては、必ず書面でやらなければいけないかというと必ずしもそうではないと思います。それは婦人少年室の方に来ていただいて事情を十分話していただく、そういう口頭で申請するということでもそれはもちろん構わないわけでございます。ただ、電話等で申請があるというようなことについては、その後のいろいろな手続を進める上でいろいろ問題があるのではないかと思っておりますし、また匿名で、婦人少年室にいらっしゃる場合にはもちろん御本人には名のっていただかなくては、どういう問題があるかということの解決のしようもないわけでございますので、そういうことははっきりさせていただくにしても、匿名にしてほしいという御希望があることはわかるわけでございます。ただ、事実上特定の紛争の解決の援助でございますので、結果的に最後まで匿名で通すということはなかなか難しいのじゃないか。例えば最終的に助言、指導、勧告をやる場合にも、このケースについてということを特定して言わざるを得ないということがございますので、匿名ということを最後まで通すのは非常に難しいのじゃないかと思っております。

 それから、これは最初に申し上げましたように、特定の個人と使用者との間の私法上の紛争の解決を側面から援助するという性格のものでございますので、例えばその女子労働者が所属しておる労働組合等の第三者が援助を求めるというのはちょっと想定していないことでございます。

○江田委員 実際にこういう紛争が特定するというところまでいけばこれはもうかなりのものでして、実はそうではなくて、あの手この手でわからぬようにというのがいっぱいあるわけですね。そういうときに一体どうするかということになっていないとやはりこれは力にならない。

 最後になりますか、調停の関係です。調停というのは、もちろん言うまでもなく、最後の調停案を受け入れるかどうかというのは当事者双方の自由に任されているわけですが、最後に調停を受け入れる、つまり調停から解決へ出る出口のところではそれは自由ですが、十五条は入り口のところも当事者の同意を必要としているということなんですか。それならば一体なぜ入り口のところまで同意が必要なのか。さらにまた同意を一々確かめるのですか。それとも、別に同意を確かめるということなく、調停手続に入って、嫌々でも渋々でも、とにかく相手が出てきて調停の中に乗っかればそれでいいのか。あるいは入り口のときに、あなたは調停に同意されますかどうですかということをあらかじめ念を押して、嫌ならやめてもいいんですよということまでちゃんと教えてあげて確認するのか。そういう扱いはどうなんでしょう。

○松原説明員 調停の開始要件としまして、一方の当事者のみならず他方の当事者の同意を必要としておりますのは、調停というのはそもそも双方の互譲の精神にのっとって円満に事態を解決するという性格のものでございますので、そもそもそういうものを欠いている場合に、果たして円満な解決というのが期待できるかというと決してそうではないということから、最初から当事者が調停によってこの事態を解決させようという意思がある場合に、有効にそれが発揮できると考えましてそういうことにいたしたわけでございます。

 それから、その同意でございますが、女子労働者が調停を申請した場合に使用者はこれに同意するかどうかにつきましては、当然室長の方にその申請が来るわけでございますので、その同意を得るに当たりましては、婦人少年室長が適切にアドバイスをし、円滑に施行できるように努力をいたしたいと思っておるところでございます。

○江田委員 今の調停にしても、これは調停という正式の手続ですから、双方または一方から、これはそれこそ正式な調停の申請がなければだめだということになるんだと思います。そうすると、今の十四条にしても十五条にしても、いざいざと立ち上がって申し立てていくというそこまで事態が進まなければ、あるいはそういう勇気ある人がいなければどうしようもない。現実にはあそこの企業は大変なことをやっているんだとかいろいろありながら、そして、婦人少年室にしてもその他の機関にしてもそういうことを察知し得た場合であっても、結局これは何もできないんじゃない

か。現実にあそこの事業所ではこうこうこういうようなうわさがいっぱいあって、しかもかなりの証拠もあって女子労働者が差別をされている実態がある、そういうようなことを察知できた場合に、これは婦人少年室というのが一体どうするのですか。何か手があるのですか。

○松原説明員 今まで御質問のございました十三条、十四条、十五条は個別の紛争でございますので、今のようなことになるわけでございますが、ただいま御質問のございました点につきましては、第三十三条におきまして「労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。」、この権限の「一部を都道府県婦人少年室長に委任することができる。」というふうに二項に書いてございまして、ただいま御質問ございましたように十三条、十四条、十五条、これらによって室の方に女子労働者がおいでになった場合に、それを端緒としてこの三十三条に基づいて、室がその個別の女子労働者の問題としてではなく、企業内の雇用管理の問題として、いわば職権といいますか、その端緒は女子労働者からの訴えなりその他の第三者からの訴えがあるかもしれませんが、それを端緒といたしまして、改善のための指導を三十二条を根拠としてやることができることになっているわけでございます。

○江田委員 では、三十三条の助言とか指導とか勧告とかをしてもらいたいとうずうずしている人がいて、そして、自分は法律の執行に関し必要があると思うので何とかしてくれないかと、労働大臣あるいはその権限の委譲を受けた婦人少年室長に何かの形で申し出る、そういう人がいた場合に、そういう個人に対しあるいは団体に対し、婦人少年室長の方は、こういう考え方です、こういう手だてをとりました、こういう結果でしたということを報告したりはするのですか、しないのですか。

○松原説明員 三十三条に基づきましてどのような措置をとったかということは、必要に応じてそれを申し出たといいますか、訴えた女子労働者等に報告することはあるかと思います。

○江田委員 この「指針」についてもうちょっと伺いますが、六条の方の「基本方針」は「指針」のさらに基になるような「方針」というような関係にはあるのですか、それとも全く関係ないのですか。

○松原説明員 この「女子労働者福祉対策基本方針」というのは、「指針」が極めて具体的な機会均等の実現の努力目標を示すのに対しまして、むしろそれを定着させていきまして、機会均等部分に関して言えば、そういう「指針」で定めた事項をどういう形で世の中に定着させていくか等の、女子労働者にとっての均等な機会及び待遇を実現するための施策の基本となるべき事項を定めるわけでございまして、ちょっと「指針」とはその性格を異にしているものでございます。

○江田委員 もちろん「指針」と性格を異にしているのはわかっているのです。その「指針」の基本になるような、「指針」のもとになるような基本方針というふうなお答えだと今伺ったのですが、それならば、「女子労働者の福祉に関する施策の基本」こういうことになるのですが、なぜ男女の雇用の機会均等、差別をなくしていくということが「福祉に関する施策の基本」ということになるのか。こう見てみますと、一条から六条まではずっと「福祉」で統一されておって、やっと七条になってから「機会の均等」という言葉が出てくるわけで、六条の一項も「福祉に関する」でしょう。二項は、今度は「基本方針に定める事項」というのは「職業生活及び家庭生活の動向に関する事項」、「福祉の増進について講じようとする施策の基本となるべき事項」というわけで、三項、四項、五項、六項とずっと見てまいりましても、この「基本方針」は今の十二条の「指針」とは、これはレベルが違うということはありますが、まるきり性格も全然違っているように読めるのですが、どうなんですか。

○松原説明員 この第六条に言います「福祉の増進」といいますのは、狭い意味での福祉ということではございませんで、今回の均等法の名称からもわかりますように、すなわち「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」というふうに改めているわけでございまして、「福祉の増進」の中には、男女の均等な機会及び待遇の確保も含まれているわけでございまして、「福祉の増進」というふうにはくくってはおりますけれども、均等な機会及び待遇の確保のために講じようとする施策と、それにあわせまして女子労働者の職業生活と家庭生活との両立のための施策等も含まれることから、それらをひっくるめて「福祉の増進」というふうにいたしたものでございます。

○江田委員 十六条、機会均簿調停委員会ですか、これは婦人少年室に置くわけですが、どういう構成にされますか。やはり調停委員会ですからね、何人かの構成になるのでしょうが、少なくとも半数は女性でなければならぬと思うのですね。

 大臣、今の公のさまざまな審議会、委員会その他で、女子が一体どのくらい委員の割合を占めているか御存じですか。これは大臣に伺ってみたいのです。大臣がどの程度の認識をお持ちかということを伺ってみたいのです。

○坂本国務大臣 各種審議会に女性は割と少ないように聞いております。今聞きましたら五%程度だということです。

○江田委員 横からすっとお教えくださると、それはもう答弁は完璧になるのでしょうが、大臣の認識という点を聞いておきたいのです。五%弱ですね、四・六%ぐらいですか。

 「国連婦人の十年」の国内行動計画では一体どのくらいの数字を目標としているか、大臣に伺いたいのですが。一いや、わかってもわからなくてもいいのです、そのこと自体は。ただ、今の日本の政府の閣僚の皆さんがどの程度の認識かということだけ伺っておけばいいわけですから。

○坂本国務大臣 所得倍増ということがありますから、倍増という方がいいんじゃないかと思います。

○江田委員 大変いいお答えで、一割なんですね。ですから、現実は五%以下で、行動計画でせめて一割にしてくれ、これが女性の皆さんの願いなんですね。まことにささやかな、まことにかわいそうな願いじゃないでしょうか、大臣。せめて機会均等調停委員会ぐらいは、これは女性の差別の問題を扱うのですから、少なくとも男女同じ数、女性が半分は入るべきだと思いますが、そういうことをお考えになりませんか、大臣。

○坂本国務大臣 女性の中の学識経験者で立派な方がおられると思いますので、この際はやはり女性が多い方がいいと思いますね。大体、審議会でも、藤田会長を初め渡辺さんは小委員長ですか、そういう方々が活躍されました。ですから、今度の調停委員会でもそういう方々がこぞって応援していただけることは非常にありがたい、なるべく多い方がいい、こう思っております。

○江田委員 私はついせんだっての文教委員会で例の家庭科の男女の共修、これは婦人差別撤廃条約を批准するために、同一の教育課程で男女が勉強しなければならぬ。そこで今の中学校、高等学校における家庭科というものが、中学ではほんの一部、一緒に勉強するところがありますが、大部分が男子は技術領域、女子は家庭領域に偏っておる。高等学校では家庭一般は女子が必修、男子は選択だけれども、実際の学校のカリキュラムでは男子は選択さえできない。その間は柔道か剣道がやっていなさい、こういうことになっているので、これでは婦人差別撤廃条約を批准できない。そこで、これをどうするのだ、文部省で検討会議をつくって、こういうケースですから少なくとも女性の委員の方を半分は入れてはどうですか、こういうことをお願いをして、半分までいきませんでしたが、十六人のうち女性の委員を七人入れていただいたわけです。

 これは男女の雇用の関係ですから、もうもろに男女平等のことですから、まだ文部省の方はいろいろとあれこれ言いわけができるかもしれませんけれども、ここはもうできないわけですから、ひとつきちんと通達でも用意をされて、この機会均等調停委員会は、この男女の配分について……(「時間超過だ」と呼び、その他発言する者多し)配慮をするようにということを約束してもらえませんか、どうですか。(発言する者多し)

○有馬委員長 答弁、答弁をしてください。――赤松婦人局長。

○赤松政府委員 先生の、男女雇用問題についての調停委員会であるから、女性をできるだけ多く入れるようにという御指摘はまことにごもっともと存じますので、具体的な方法を講じて……(発言する者多し)

○有馬委員長 御静粛に願います。

○赤松政府委員 数をふやすようにいたしたいと思います。

○江田委員 終わります。(発言する者多し)


1984/07/24

戻るホーム主張目次会議録目次