1984/12/12

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102 衆議院・社会労働委員会,内閣委員会,地方行政委員会,大蔵委員会,文教委員会,農林水産委員会連合審査会

国民年金法等の一部を改正する法律案について


○江田委員 長丁場ですが、関係委員の御理解をいただきまして、十分間という時間をお与えをいただいておりますので、よろしくお願いします。

 今の国民年金法等の一部を改正する法律案、賛否もいろいろ、議論もいろいろありましょうが、いずれにしても今までの年金ではもうどうしようもないところへ来たわけで、年金というものをひとつ大きくつくり直していくという意味で、画期的な法案ということは言えるのだろうと思います。画期的な法案なんですが、しかし年金というのはやはり国民に支えられてでなければ動かしていくことはできないわけで、一体今我が国民の中にどれほど年金思想といいますか、年金というものの物の考え方がきちんと根づいているのだろうか、あるいはこれからどういうふうに年金というものの物の考え方を国民に啓発、教育していこうとされているのだろうか、こういうことを伺いたいと思います。

 例えば、二十歳になると何ができますか。成人になって選挙権があります、お酒が飲めるようになる、たばこが吸えるようになる。結婚は幾つですか。女性は十六で、男性は十八でとか、運転免許はどうとか、そういう話はいろいろありますが、年金はというようなときに、そういう二十歳になればというような話が一体今どのくらい普及しているとお考えでしょうか。

○長尾政府委員 お答え申し上げます。
 先生から御指摘いただきましたように、年金制度に対します国民の理解を深めていきまして、国民年金を皆さんで支えていただくということのためには、広報というのは大変大切だと思っておるわけでございます。先生がおっしゃっていただきました二十歳という成人の時期は、国民年金の最初の加入の年でございます。したがいまして、二十歳になられました若い方を対象にいたしまして、私どもといたしましては加入促進のための広報を各市町村を通じましてやらせていただいております。

 例えば「国民年金から二十歳のあなたへ ゆたかな明日へのスタート」というようなパンフレットをつくりまして、二十歳になられました方すべてにこれをお渡しするという形で、国民年金への関心を高めていただくということをやっております。

○江田委員 まあ、おやりなんでしょうけれども、今の状態でもう十分やっておりますとおっしゃるのならば、これはまことにお寒い話だと言わざるを得ないと思うのですね。ヨーロッパにしてもアメリカにしても、年金が社会一般に行き渡っている国々の年金についての物の考え方というのは、とても日本とは比べものにならない。働けるうちはきちんと働いて、老後は年金でと、年金というものが国民の意識の中にしっかり定着をしている。そういうことをもっとやらなければいけないんじゃないですか。学校教育では一体どの程度取り上げられているのでしょうか。

○菱村説明員 学校教育では、国民生活の向上、福祉とか、社会保障制度ということを、小中高等学校の社会科の中でそれぞれの発達段階に応じまして指導することになっております。その中で、社会保障についての学習の一環として年金を必要によって取り上げるということになりますが、例えば中学校の教科書などでは、いろいろございますけれども、「社会福祉制度と国民の福祉」というような項目の中で、「年をとって働けなくなった人の生活を維持していくために、国民年金や厚生年金などの社会保険制度があります。」ということで、若干の簡単な仕組みの解説を加えるというような取り上げ方をしております。

 必ずしもまだ十分ではございませんが、この年金の問題は大変重要でございますので、今後私どもも年金の指導といいますか充実をしていきたいと思いますし、将来、教育課程の基準の改定の際などには十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

○江田委員 社会科の教科書の社会保障の仕組みの中で、若干の簡単な仕組みを解説をしておるというようなことでは到底足りない時代が来ている。ですから、社会科だけではなくて、例えば国語であろうがあるいは生活指導であろうが、お年寄りの生活を支えるために年金という制度がありますということではなくて、自分たちが今年金について負担をしているのは将来のためだという、そういうはっきりした年金思想というものを国民的に持つように、もっともっと努力をしてもらわなければどうしようもないと思いますが、そういう年金を自分たちのものと意識をしていくような工夫というものがいろいろあると思うのです。

 例えば、今、厚生年金加入者の配偶者が今度一定の条件が整えば五万円の基礎年金の受給資格を持つようになるわけですね。その条件が整うまでの間、つまり潜在的な基礎年金の受給者としてずっと続いている間の厚生年金加入者の配偶者というものに対する年金上の取り扱い、例えば年金手帳は交付をされるのですか、あるいは被保険者番号はつくのですか、こういうことはどうなるのですか。

○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 現行の制度におきましては、任意加入をしていただいております奥様につきまして国民年金手帳、年金手帳を交付いたしましてそれぞれの番号を取得していただいておるわけでございますが、今回の改正案につきましても、その点は同様に考えておるわけでございます。いわゆるサラリーマンの奥様、無業の妻という方につきましても、それぞれの被保険者原簿を記録いたしまして、それぞれの奥様個人に対しましては年金手帳を交付するというふうに考えております。

○江田委員 年金についての負担をしていない妻についてもきちんと年金の番号を振って手帳を交付する、そう伺っていいのですか。

○長尾政府委員 さようでございます。

○江田委員 十分間ですから、もう時間がありません。 最後に、大臣に伺います。

 今、私が申し上げたような年金思想というものを国民に広く持ってもらうための活動をこれから政府としても大いにやっていかなければいかぬと思いますが、こういう年金思想の確立ということについての大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。

○増岡国務大臣 年金は、その時代の高齢者が、その時代の若い方々からいろいろな負担をお受けになりながら、また一般会計からの援助も受けながら、相互扶助、連帯の精神でやっていくものでございます。また、おっしゃいますように年金の内容につきましてはかなり複雑な面がありますから、いろいろなPRがこれでもって十分だとは決して考えておりませんので、御趣旨を体してやってまいりたいと思います。

○江田委員 終わります。


1984/12/12

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