1985/11/20 |
103 衆議院・大蔵委員会,地方行政委員会,文教委員会,農林水産委員会,社会労働委員会,運輸委員会連合審査会
○江田委員 共済四法案の連合審査ですが、これは年金改革の第三段ロケットですか、第一段、第二弾が既にスタートをしておるということなので、この前の段階の国民年金、基礎年金について大蔵、厚生両大臣に伺っておきたいと思います。
今回のこの一連のプロセスを経た年金改革というのは、確かに非常に重要な年金改革、ある意味で歴史的であるかどうかは別として、歴史的でなければならぬということは確かだと思うし、年金制度の再スタートになっていかなければならないと思います。それは制度の整合性ということだけでなくて、中曽根首相の言い方で言えば、人生五十年から人生八十年という新しい時代にふさわしい年金になっていかなければならぬ。結局高齢者、老年期の生計というものは年金で支えられていくんだという、年金というものが困ったお年寄りに対する福祉の温かい手というのでなくて、もっと年金で暮らしていくということが普通の人生の歩み方なんだという、そういうコンセンサスを得て、この年金制度が新しい時代にふさわしくスタートをしていかなければならぬと思うのですが、さらにまた、世代間連帯ということを達成するためにも、若い世代、生産年齢人口の皆さんに大変な負担をこれからお願いをしていかなければならぬわけですから、その負担をすれば将来はこういう年金をいただけるんだ、そういう夢のある年金になっていかなければいけないと思います。
ところで、今基礎年金しか資格がないいわゆる自営業等の皆さんについては、一人当たり五万円というようなことで、一体そういう意味の年金と言えるのかどうか。大蔵大臣は「日本列島ふるさと論」ということで、これからの展望をひとつ国民に大いに与えていただくという立場をみずから確立されようと今しているわけですが、そういうお立場からして、こういう自営業者の皆さんに対する公的年金のあり方でいいのかどうか。私はやはり、この二階建て部分というものは、これはもう社会保険審議会にしても国民年金審議会にしても、あるいは社会保障制度審議会にしても、それぞれ検討しなきゃならぬということをお答えとしていただいているわけですし、前回の第二段の改正のときでも、附則で、保険料の方に関してですが、報酬比例というものが検討されるべきということが入っているわけで、ぜひこの国民年金にも二階建て部分を早急にビジョンとして提示をされなければいけないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○竹下国務大臣 まず最初の、いわゆる報酬比例部分を国民年金にも求めたらどうだという御意見でございますが、この問題は多様な業態にわたります国民年金の被保険者の所得をどういうふうにして把握するか、大変難しい問題があると思いますが、基本的にはこれは厚生省において十分検討していただく問題ではなかろうかというふうに考えております。
○江田委員 制度の具体的なあり方としては厚生省で検討していただくとして、大蔵大臣の所管の事務がどうかということになりますと、私も困るわけですが、これからいよいよ重要な役割を果たされようという竹下さんに伺いたい。
自営業の皆さんに対して、本当にこの公的年金五万円という、それでいいというふうに言えますかどうですか。
○竹下国務大臣 これから何を果たすかという、それほどの人物であるかどうか、みずから自問自答を毎日いたしておりますので、そういうことでございますけれども、やはり基礎年金制度というのは私は大きな一つの進歩ではなかったかな、公的年金の充実の意味において、こう思っております。
そうすると、それを補完すると申しますか、いわば私的年金というのが企業年金、いろいろな問題が出てまいります。それらは毎度税制調査会等でも指摘されておりますが、世代間バランスの問題等も考慮して、税問題についても検討さるべき課題だというような指摘もいただいておりますので、そういうものと総合的な中で組み立てていかなければならぬものではなかろうかな、まあいささか所管外も出ますけれども、そんな感じでございます。
○江田委員 それでは所管の大臣、最初の質問ですが、国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しなければならぬ厚生省を所管する大臣として、今のこの国民年金受給者に対する基礎年金五万円しかないという、こういうあり方というのは一体どうお考えですか。
○増岡国務大臣 五万円というのが生活に要する基礎的な、基本的な部分ということで策定いたしておるわけでございまして一御指摘のような比例報酬制度の上乗せその他は、所得の把握が困難であるとかいろいろなことがありますけれども、一応の検討課題でありますので、何らかのいい方法があれば検討をしてまいりたいと思います。
○江田委員 いや、何らかのいい方法があれば検討するといったって、それはあるかないかを検討するのが検討であって、いい方法があれば、もうそれは検討にも何もならぬと思うのですが、いずれにしても、年金の問題というのは、これは将来の国民に対してこういう新しい社会の制度をつくっていくのですよ、みんなでひとつ大いに夢を持ち、頑張っていこうじゃないか、そういうことをやはり厚生大臣、国民に語っていただかなければいけないので、何かまことに失礼ですが、今の厚生大臣のそういうお答えぶりからは、何の夢も希望も見出せないということになるのではないかと思いまして、その点はなお聞いてみたいところですが、時間が来ましたので、きょうは両大臣、本当に御苦労さんでした。それから関係の省庁の皆さんあるいは国会職員の皆さん、本当に御苦労さんでした。質問を終わります。
1985/11/20 |