1986/04/23 |
104 衆議院・文教委員会
プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案について
○江田委員 プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案の方を考えてみたいと思うのですが、おさらいを一つだけしておきたいと思います。
この登録の特例に関する法律ができるに至った事情として、著作権法が改正になって、その中で別途法律をつくることが決められていたわけですね、その著作権法改正のときにどういう改正があったかということをおさらいすると、コンピュータープログラムが著作物であることを確認的に明確にしたんだ、そういうことだったですね。さらに創作年月日の登録を認めた。これでよろしいんですか。
○加戸政府委員 我が国は無方式主義を建前としておりますべルヌ条約に加盟しておりますので、権利の発生、存続ということを登録に係らしめることはできないわけでございます。ただ、現実に、例えば一定の事実を確認し、あるいは将来の権利保全の実効性を確保するために、実名登録あるいは第一発行年月日登録あるいは第一公表年月日登録あるいは著作権の移転登録等のような登録制度はございましたけれども、コンピュータープログラムにつきましては発行、公表という事例が少ない点にかんがみまして、創作年月日登録の制度を導入することによりまして、いわゆる権利の保全の実効性を確保する一助とさしていただくという観点で法改正を行い、それに関連します手続その他問題につきましては別に法律で定めるという形で、今回プログラム登録特例法を提案させていただいた次第でございます。
○江田委員 今のお話ですと、コンピュータープログラムについても第一発行年月日あるいは第一公表年月日の登録というのは理屈としては成り立ち得ることになりますか。
○加戸政府委員 おっしゃるとおりでございまして、プログラムの中にもゲームソフトのように市販され一般に流通するものもございますから、その場合には第一発行年月日登録あるいは第一公表年月日登録をすることが可能なものも多数ございますし、あるいはケースとしては無名で発行されたプログラムについて著作者の実名を登録することも当然あり得ますし、もちろん著作権の移転を第三者に対抗するために登録することも行われております。
○江田委員 そういう第一発行年月日の登録、第一公表年月日の登録、あるいは権利の移転、処分の制限などの登録をコンピュータープログラムについてやろうとした場合には、著作権法七十五条以下でやるのですか、あるいは今度のプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律でやるのですか、どちらでやることになりますか。
○加戸政府委員 登録の根拠規定は著作権法本法に基づいて、実名登録、第一発行、第一公表年月日登録、さらには創作年月日登録も著作権法本法に基づいて行うわけでございますが、プログラムの登録に関しましては、今までのすべての登録にっきましてプログラム登録特例法の規定による手続によりあるいは指定登録機関によって登録をする、こういうことになるわけでございます。
○江田委員 コンピュータープログラム以外の登録は依然として著作権法の七十五条以下で行うというわけですか。
○加戸政府委員 そのとおりでございます。
○江田委員 なぜそういうふうにコンピュータープログラムについてだけ登録に関する別の法律をつくらなければならぬのかということがちょっとはっきりしないのです。この著作権法の中でその他の登録と同じようにコンピュータープログラムの登録についても規定してしまえばいいんじゃないかという気もするのですが、その点はいかがですか。
○加戸政府委員 今回提案しておりますのは、大変法技術的な問題もあるわけでございまして、言うなれば一種の登録手続法というような性格のものでございまして、しかも内容としては、例えば複製物の納付であるとか、あるいは帳簿は磁気テープで作成できるとか、あるいは公示を行うとか、指定登録機関をして登録を行わせるとかいった、コンピュータープログラムの登録についてだけの特殊な取り扱いを定めるという観点のもので別に法律で定めさしていただくことにしているわけでございます。
○江田委員 その他の著作物と違ってコンピュータープログラムにはこういう特殊性があるんだということを少しまとめていただければと思うのです。
○加戸政府委員 例えば、バインダー式帳簿を磁気テープで作成すると申しますのは、コンピュータープログラムの特性と申しますよりも登録が膨大な件数来るであろう、そういった検索のためには従来の帳簿では対応できないという意味で、プログラムの特性というわけではございません。むしろ、複製物の納付を定めましたのはこのプログラムの特性に基づくものでございまして、通常の著作物であれば、これがだれのつくった著作物だと認知することは極めて容易でございますけれども、このプログラムにつきましてはだれがそのプログラムをつくったのかということを確定することは極めて困難でございますので、プログラムのコピーを出していただかなければ登録をするによしないということで、これはまさにプログラムの特性に基づくものでございます。さらに、公示制度と申しますのも、例えば結果的になりますけれども、二重投資の防止であるとか流通の促進といった、まさにプログラムの特性に見合った一般ユーザーのための便宜という点から申し上げればプログラムの特性に基づくかと言えようかと思います。
それから、指定登録機関の問題につきましては、これはプログラムの特性と言い得るかどうか若干疑問がございますが、むしろ大量の案件処理ということを想定したわけでございますが、どちらかといいますと、あとはコピーの保管の問題等も若干プログラムの特性に関連したということは言って言えなくはない、そんな感じでございます。
○江田委員 まとめてみると、コンピュータープログラムの性格に由来するものとして複製物の提出とか公示制度がある。コンピュータープログラムの登録の大量性という特性に基づくものとして磁気テープによる処理と指定登録機関による事務を行うということがある、そういうふうに理解をすればいいですか。
○加戸政府委員 ほぼそのように言えるかと思います。
○江田委員 ほぼというのは、多少違うということですか。
○加戸政府委員 純粋にコピーの納付と公示は特性に基づき、それ以外は基づかないというわけでは截然と分けられるものではないという意味で、ほぼと申し上げさせていただきました。
○江田委員 大量の事務処理になるということですが、現に現在でもコンピュータープログラム、創作年月日ではありませんが登録ができるわけですね。この登録の特例に関する法律が動き始める以前にも登録はできる。その登録は現に行われておって、これは非常に数が少ないと聞いておりますが、どの程度ありますか。
○加戸政府委員 プログラムの登録件数は、第一発行年月日の登録並びに著作権の移転等を含めまして、五十八年度には三件、五十九年度には七件、六十年度には八件という数字で、極めて少のうございます。と申しますのは、実はこのプログラムの中でもビデオゲームのようなゲームソフトにつきましては、プログラムとしての登録ではなくて、そのビデオのゲームの画像を主体と考えまして、いわゆる映画の著作物としてビデオゲームを登録している件数が多数ございまして、この件数は五十八年度は五十三、五十九年度は七十八、六十年度は四十九という数字になっております。
○江田委員 その五十八年三件、五十九年七件、六十年八件という登録の中には、排卵日を忘れないようにするための登録とかコンピュータープログラムとかというようなものまで入っているということのようですけれども、それを聞きたいんじゃなくて、それにしても数が非常に少ないですね。映画の方の登録ということで行われているものを含めてみても非常に少ないんだけれども、これが一体どの程度までこういう登録の特例に関する法律をつくると膨れ上がるというふうに推測をされておるのですか。
○加戸政府委員 先生御承知のように、プログラムをいかなる形で保護するかということにつきましては、一昨々年来通産省と文化庁で考え方の違いがあったわけでございまして、プログラム権法という独自立法によるか著作権法改正によるかというような意見の対立があったわけでございまして、昨年国会で法律を制定いただきまして、本年の一月一日からやっと著作権法上プログラムの著作物ということが明示されて施行されたわけでございますので、それまで著作権による保護があるのかないのかという不確定な状況のもとでございましたから、件数が極めて少なかったということが言えようかと思います。本年、法律の施行に伴いまして、かつ今度の特例法の制定によりまして、現在のところ関係団体等からの御意向を伺っておりますと、例えばパソコンソフト協会のみで数千件の年間の登録を見込んでいるということでもございますので、相当膨大な量のプログラムが登録を受けるのではないかと見込んでおります。
○江田委員 そうすると、従来の著作権法の中で規定されている登録制度では、とてもコンピュータープログラムはなじまなくて、こういう新しい登録制度をつくることによって登録件数はどっとふえるであろう、数千件になるであろう。つまりそれだけこの新しい法律というものが必要とされているんだ、そういう理解でよろしいのですか。
○加戸政府委員 プログラム自体が通常価値のあるものといいますのは、企業の中であるいは特定のコンピューターに使用させるためのものという形で、一般には発行されたり公表されたりするケースのものは少ないわけでございますので、創作年月日登録という制度の導入によりまして、発行しなくても、公表しなくても、登録の道が開かれたということによりまして登録の件数がふえるであろうということ。それから、いわゆるプログラムはだれがつくったものだということを確定することが極めて困難なものでございますので、公的な機関にコピーが保全、保管されておれば、将来後々のトラブルがあった場合の安全担保になり得る、そういう見込みからではなかろうかと考えております。
○江田委員 複製物の提出が義務づけられておりますが、複製物はどういうものを予定されておるのですか。どういう形で複製物を提出させようとお考えになっておるのですか。
○加戸政府委員 どのような複製物を提出すべきかは政令によって定めることとなっておりますが、現時点での考え方としましては、関係団体等との御相談も重ねてまいりまして、おおむね現時点では、ソースプログラムであるかオブジェクトプログラムであるかは問わず、そのコピーをマイクロフィルムで提出していただこうという考え方でおります。
○江田委員 マイクロフィルムで提出をさせるということは特に何か理由があるのですか。
○加戸政府委員 通常、プログラムの場合には、ぺーパーでソースプログラムをつくりあるいはオブジェクトプログラムをつくるケースはございます。と同時に、実際にオブジェクトプログラムは磁気テープに格納される、そしてそれが実用に供されるというケースが多いわけでございます。その場合、磁気テープにいたしますれば、非常に長期間権利保全をしようと思いますと磁気がうせるという危険性があるわけでございます。一方、紙の場合には、これはステップ数にもよりますけれども、相当膨大なペーパーになりますので、保管場所の点から考えまして大きな倉庫をつくらないと到底対応できないという物理的な問題もございまして、マイクロフィルムでお願いをしようということでございます。
○江田委員 ただいま、一つは長期間にわたるために保存のためにはマイクロフィルムでなければならぬ、もう一つは量が膨大であるからということをおっしゃったのですが、それは複製物の保管に由来する必要性ですね。提出自体は別にマイクロフィルムでなきゃならぬという理由にはならないと思うのですが、この提出はひとつマイクロフィルムまでになっていないもので受け付けて、そして指定登録機関の方でこれをマイクロフィルムにして保管をするというような要望も弁理士会などからあるようですが、そういうことは考えられませんか。そういうふうにすると逆にこういう不便が出てくるとかいろいろあるかもしれませんが、教えてください。
○加戸政府委員 例えばペーパーで御提出いただくといたしますと保管ができませんから、それをマイクロフィルムに焼き直すということを指定登録機関がいたしますれば、それだけの経費がかさむわけでございまして、マイクロフィルムで出した方は損をし、ペーパーで出した方は得をするというような不公平な差が出てくるわけでございます。そういう意味で、できればそろえていただきたいという気持ちでございますし、今問題としましては、どうしてもマイクロフィルムはそんなに高い値段じゃございませんけれどもお金がもったいないからぺーパーで出したいというようなケースがあり得ても、保管の問題は今申し上げましたが、ただ現実問題として、例えば個人がつくったプログラムを登録したいといったような、企業じゃない場合の問題等考えますれば、短いステップ数のもので大してペーパーの枚数がかさばらないというものにつきましては、そういう取り扱いを設けるということは検討する価値があると思っております。
○江田委員 ゲームプログラム、高校生あたりが創作したものさえ今出回っているというような時代で、高校生がお小遣いがあるかないかというのはこれは一つ議論のあるところとは思いますが、どうもそういう子供たちが一生懸命開発をする、これに対してまでマイクロフィルムにしなければ登録できないよというのはちょっと酷かなとも思うのですが、もっともマイクロフィルムというのがどの程度の値段のものか私も存じ上げておらないし、また指定登録機関の方でマイクロフィルム化することによって手数料がはね上がるということになっても困るわけですが、マイクロフィルムというのは、ごく普通のコンピュータープログラムの場合に大体どのくらいかければつくれるのですか。
○加戸政府委員 プログラムはそれぞれのステップ数の違いがあるわけでございまして、例えばCOMシステムと申しまして、マイクロ化する場合に継続的に大量に外注しました場合には一万ステップ当たり千円でマイクロ化ができるということでございますけれども、単発的な場合につきましては、例えば五万ステップ以下のものでございますと一万円くらいかかるというような状況でございまして、結局はそのステップ数の大きさ小ささによって値段は違ってこようかと思います。
○江田委員 登録の手数料の方はどの程度のことをお考えですか。
○加戸政府委員 前例といたしましては、昨年通産省の方で半導体チップの回路配置権に関します登録制度を導入して、指定登録機関に行わせております。この手数料が一件四万円でございます。そこで、先般の参考人質疑のときはパソコンソフトウェア協会の方から、チップ並みの四万円は高いから二万円程度まで下げてもらうとありがたいというような御発言もございました。そういった状況を踏まえ、現実にどの程度の件数が見込まれるか、経費的にどれくらいかかるのか、実費を勘案して政令で定めるということになろうかと思います。
○江田委員 複製物は、これは閲覧とか複写とかというようなことはできるのですか。
○加戸政府委員 例えば、登録されましたプログラムの題号であるとか製作者であるとかプログラムの概要という申請書につきましては公示をいたしますけれども、プログラムのコピーは閲覧、交付は認めない考えでございます。
○江田委員 しかし、自分の開発しようとしているプログラムが何かあって、どうもいろいろ調べてみると同じようなプログラムがあるらしい、それをちょっと見せてもらえば自分がそこであえて新たな投資をして同じものをもう一遍つくらなくても済むんだがというようなケースもあって、二重投資を防止するというような必要からすれば、この複製物の閲覧、複写を認めてもいいかなという気もするのですが、そうはいきませんか。
○加戸政府委員 二重投資の防止は、既存のこういうプログラムがあるということを知ればそれを利用すればよろしいわけでございますので、問題は、今回のプログラム登録につきましては、企業、メーカー側が一番気にいたしますのが秘密の保持でございまして、したがって、今回のプログラム登録法の中でも十六条で公務員並みの秘密保持義務を指定登録機関の職員にかけているわけでございます。そういった観点から、秘密の保持という観点からプログラムのコピーの閲覧、交付は一切認めないという対応にさせていただいているわけでございます。
○江田委員 一切ということですか。例えば裁判所からの調査嘱託――調査嘱託は複製物自体は関係ありませんね。文書送付嘱託というようなものがあった場合にはこれはどうするのですか。
○加戸政府委員 民事訴訟法あるいは刑事訴訟法等の規定に基づきまして調査嘱託あるいは文書送付嘱託がございますれば、公的機関として当然これに対応する必要があるわけでございますので、その場合には権利者の利益を害さない範囲において対応することになろうと思います。
○江田委員 裁判所の手続の中での文書送付嘱託ですから、そうでたらめなものがあるとは思いませんが、しかし、必ずしも裁判所のチェックが複製物の秘密の保持というような観点から行われるものじゃありませんので、そこはひとつ実際の運用については十分に慎重な協議をお願いをしておきたいと思います。
それから、指定登録機関というのは一体どういう団体を予定をされておるのか。半導体チップの登録機関、JPCCですか、ありますが、これを活用するのか、それともまた別のものをつくるのか、どういうお考えなのか聞かせてください。
○加戸政府委員 指定登録機関としては、登録事務を遂行するに足る人的組織あるいは経理的基礎を持っている必要があるわけでございますので、そういう意味では現時点ではまだ白紙の状態でございます。著作権的に私どもの文化庁の守備範囲で申し上げれば、経理的基礎はしっかりしていてもちょっとプログラム登録にはなじまない性格のものもございますし、あるいはプログラム登録になじむものであってもいわゆる経理的な基礎、人的組織が不十分でございますので、帯に短したすきに長しでございまして、今ごろ世間を眺め回している状況でございますし、場合によりましては新たなこのための登録機関となるべき法人をつくっていただくということも必要になるかもしれない。いずれにいたしましても、法成立後早急に対応したいと考えております。
○江田委員 申請書類の様式ですが、この法律がプログラムの著作物に係る登録についても細かなことを決める法律ですから、したがって、申請書類の様式などについてもこの法律の中で規定をしてしまった方がいいんじゃないかという意見もあるようですが、いかがですか。
○加戸政府委員 著作物一般の登録につきましては政省令で定めております。と同様に、このプログラムの登録様式につきましても政省令で定める考えでございまして、事項としては、プログラムの題号であるとか、製作者であるとか、創作した年月日であるとか、プログラムの概要がどの程度のものであるとかという程度の問題でございまして、それほど一般の著作物と取り扱いを異にするものではないと考えております。
○江田委員 まだまだいろいろ伺うことがあるのですが、どうも時間の方が来たのでちょっと先に行きます。
前回、この著作権法の一部改正のときに附帯決議がついておりますが、この附帯決議でなお残っているものが、文献複写に関する著作権の集中的処理体制の確立、それから出版物の版面の利用に関する出版者の権利の創設、私的録音・録画問題について賦課金制度の導入、それから著作隣接権条約への加盟、こういうものがありますが、これは一体今どういう状態にあるのか、簡単に教えてください。
○加戸政府委員 まず、版の保護の問題でございますが、これは集中的権利処理機構の設立と深くかかわっている事柄でございまして、著作権審議会に第八小委員会を設置いたしまして、現在まで五回の審議を重ねておるわけでございます。
それから、隣接権条約加入の問題につきましては、一昨年第一小委員会にこの加入の方向での検討をお願いしておりまして、審議ははかどってはおりませんけれども、鋭意関係両当事者間の御意向を伺いながら一定の方向を見出すべく努力中でございます。
それから、私的録音・録画の問題につきましては、第五小委員会の五十六年報告を受けまして、著作権資料協会に置かれました著作権懇談会において十分、二十数回にわたる討議を重ねているわけでございますが、いろいろな世界の情勢等の中にありまして日本が立ちおくれている事態にもございますので、本年または本年度内に懇談会としての一つの考え方を出してほしい、結論的なものを出してほしいとお願いしておりまして、そういう方向で進んでいるわけでございます。
○江田委員 最後に、文部大臣に伺います。
これは極めて技術的な細かな法律ですけれども、もっと大きく見ていって、著作権といった知的創造物、こういうものをもっともっと大切にしなければいけないんだという思想が我が国に普及しなければいけないと思うのですね。今コンピューターゲームは小学生でも熱中して、小さな子供たちがプログラムさえつくるという時代ですから、今までの既成の概念にとらわれていてはいけないので、学校教育などでも、例えば教科書でもこうした知的生産物についての権利性、その保護といったものを扱って、これからもっと著作権思想の普及を行っていかなければならぬ、若い皆さんにもどんどん普及していかなければならぬ、そういう時代だと思います。そういう時代を迎えての文部大臣としての基本的なお考え、覚悟を聞かせてください。
○海部国務大臣 御議論になっております著作権の問題は、権利者を保護し、同時に文化創造の基盤を確保していくために、この著作権法は大変重要な役割を果たす法律であり、やはり必ずしもすべての国民の皆様に深い御理解がいただけているとばかりは言えない面もありますので、文化庁といたしましては、著作権思想の普及ということについてはこれまでよりも一層努力をしなければならぬのは当然のことであります。また、コンピューターゲーム等の普及によって、小学生、中学生の間にもいろいろこういったものに直接触れる状況が出てきております。学校教育の場で教えるとなりますと、無体財産権の理屈か何かから入っていきますと、正直言って、私がここで朝からやりとりを聞かせていただいておっても、わかることとわからぬことといろいろあるわけでありまして、小学校、中学校のレベルで果たしてどのような指導の仕方が妥当なのかは研究調査を要するところでありますが、とにかく、他人の権利を大切に尊重していくことなどは、これらのことを例に引きながら教えていったら小学生にも中学生にもぴんとくるのではなかろうかと今御議論を承りながら思ったところであります。そういう他人の権利を大切にするという角度からこの著作権の問題なんかも適宜適切な指導が行われるようになったら、著作権の権利意識の普及という面からいっても有意義ではなかろうか、こんな気持ちを持っておりますので、研究させていただきます。
○江田委員 他人の権利を大切にする、同時に、知的生産物というのは権利の対象なんだ、そこがこれから普及させていかなければならぬ考え方だと思うのですね。どうぞよろしくお願いいたします。
終わります。
○青木委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
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○青木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、採決に入ります。
まず、プログラムの著作物に係る特例に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○青木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○青木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○青木委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、町村信孝君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤徳雄君。
○佐藤(徳)委員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいまの両法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
1986/04/23 |