1990/04/27 |
118 衆議院・予算委員会第八分科会
長良川の河口堰について
○江田分科員 長良川の河口せきのことについて伺います。
予算委員会の分科会というのは大体地元問題が多いようですが、私は岐阜県あるいは愛知県、三重県あたりは地元ではございません。実はきのう、建設省の方に来ていただきまして、この河口せきの問題、いろいろ話を聞いたのですが、反対運動がなかなか根強く今も行われておる、外の人ばかりが反対して、大体関係する皆さんは余り反対してない、そんなことも言われたりいたしましたが、しかし実はそうでもなくて、この河口せき、私が所属をしております社会民主連合という政党、岐阜県になかなか優秀な組織がありまして、その地元の皆さん方、事務局長が村瀬惣一さんというのですが、この方などを中心にもう十七年来この問題に取り組んでおるわけでありまして、私もこの皆さんの熱意を受けまして、いろいろ研究をさせていただいているわけでございます。
ちょうど今から八年前に、昭和五十七年四月当時、参議院の建設委員会に所属をしておりまして、この問題を質問いたしました。議事録を探し出してきましてもう一遍読み直してみたのです。当時の答弁された国土庁の水資源局長が高秀秀信さんで、横浜の市長になられたというわけで、時の移り変わりを感じているわけですが、しかし長良川河口せきの問題は依然としてどうも住民の皆さんの完全な納得の上で工事が行われているということになっていない。八年前に私が質問をした当時はまことに珍しい質問であったかと思いますが、最近に至って国会でも質問がなされたり、あるいは地元のいろいろな反対運動が起きておったりいたします。いろいろな集会とかシンポジウムとか署名運動、集団陳情、請願、カヌーのデモなどというのがあったり、あるいはフォークの集会、また先日、ついこの間ですが、私どもの同僚ですが、参議院議員田英夫さんを初め、全部で国会議員十三人が地元へ出かけていろいろ視察をされるというぐあいで、反対運動が続いております。
きのう、実は建設省の方々から私の部屋でいろいろ説明を受けました。十三種類、いろいろな資料で詳しい説明を受けて、これを聞いておりますと、確かに建設省の説明はどこにも論理的に破綻がないように聞こえます。そのときはなるほどと思います。それで帰って、ゆっくりふろでも入りながら考え直してみますと、しかしやはりどうもというところがまた思い出されてきたりというぐあいなんです。ずっと反対運動が続く。これは八八年の七月が起工式で九四年完成、こういくはずだったものが、まだ完成をしておらずにずっと続いているわけです。反対運動がだんだん高まってくる。一体なぜこういうふうに反対運動がいつまでもいつまでも続いていくのか。これはなかなか難しい質問になるのかもしれませんが、大臣、どういうふうにお感じになりますか。
○近藤政府委員 その前に、私の方から事情説明をさせていただきたいと思います。
きのう、担当の方から先生に御説明しておりますので、若干ダブることになるかとも思います。
河川事業は、他の社会資本整備と並んで国土の整備をするわけでございますが、他の整備が生活の快適性、利便性を向上させる事業であるのに比較しますと、国土保全という立場の事業でございますから、なかなか理解していただけない点もあるのではないかと思います。
例えば治水問題につきましても、大洪水になったときには、被害をこうむった方からは治水事業のおくれを大変指摘されるわけでございますが、一たん雨の降ってない場合には、地域の人々からは等閑視されるのではないかという気がするわけでございます。また、利水につきましても、渇水のときにはパニック状態になりまして大変社会的な問題になりますが、通常は、我々の進めている水資源開発の必要性についても一部の方にしか理解されないという問題点がございます。
長良川については、また繰り返しの御説明になると思いますが、そもそも輪中の歴史であるとか宝暦治水の歴史とか、あるいは明治改修のときの、河川法の制定そのものが明治二十九年にできたわけでございますが、その当時の国会で、国が直轄で河川工事をやるべきであるという強い指摘があり、特に木曽川を中心としてあったと聞いております。それらが明治の河川法制定の動機にもなっているおけでございまして、非常に治水に悩んできた地域でございます。現在におきましても、全国のゼロメーター地帯の約三分の一がこの地域に集中しているという状況でございまして、治水の問題は依然としてこの地域の重大な宿命でございます。
その長良川の改修として、いろいろな比較検討を行ったわけでございますが、河川改修をして大規模しゅんせつをする、その場合に、塩水遡上によって地域にいろいろな被害が及ぶのを防ぐために河口ぜきを建設するということで従来進めてまいりまして、流域の皆さんも、一市七町一村の方がぜひ早急に建設を促進するようにという議会議決もしておるわけでございまして、地域の治水の安全性の上では依然として変わらないわけでございます。しかしながら、現在は地域の住民の移動も多い時期でございますし、価値観の多様化した時代でございますから、いろいろな問題でいろいろな御意見をおっしゃる方も多いと思います。我々としては、関係者の御理解を得ながら、この事業を着実に進めていきたいと考えている次第でございます。
○江田分科員 「長良川河口堰の建設促進要望・陳情等」、これだけ陳情、要望があるという珍しい資料をいただきまして、こういう資料は拝見することもなかなか珍しいかと思いますが、そういう要望があることもよくわかります。確かに治水の問題あるいは利水の問題、平生はそれほど支障なく生活をしておる、いざというときのことであるからなかなか理解をしていただきにくいということもあるかもしれませんが、それにしてもこんなに長期にわたって完全な理解を得られずに、しかも最近はますますマスメディアの関心なども高くなって反対運動が起こっておるというので、どうも何か住民の皆さんが、そうはいっても、必要性についても、あるいはこの河口せきがつくられたことによって起こるいろいろなデメリットというものについての不安についても、胸にすとんと落ちないところがやはりあるのだと思うのです。
これはそういう反対運動がずっと起きているところに、建設省としてそうはいってもいろいろなことをやっていかなければならぬ、こういう難しい立場に立たされる建設大臣として、そういう住民運動やなんかの皆さんにどういうお気持ちで臨まれるかということをひとつ聞かせてください。
○綿貫国務大臣 私は、この長良川の問題のみならず、建設行政あるいは開発というものにつきまして、これは何も住民をいじめたり自然を破壊するためにやるものではないので、社会公共福祉のためにやるものなんですね。したがいまして、その中でなるべく住民の皆さんの御理解、御協力を得たい、こういうことでございまして、今回のこの長良川の河口ぜきの問題もやはり水害防除とか、ただいま局長がお答え申し上げましたように、あるいは水資源の確保という公共福祉の大きな目的で計画されておるものであります。しかも、これは河川審議会やその他水資源開発審議会等々の合法的な手段も経、また、各県や住民の皆さん方の意見等々も聞きながら進めておるわけでございます。
最近価値観の変化によりまして、いろいろの自然保護ということで反対運動も起きておるようでございますが、私どもは自然保護をしながらひとつ開発を進めようという努力をしておるわけでございます。社会公共福祉のためにやる事業でございまして、その辺をどの辺に視野を持って考えるかということだと思うのでございまして、できるだけこの災害防除あるいは水資源の確保というような大きな、より多くの最大多数の最大幸福を求める行事だというふうに御理解を願いたいと思っております。
○江田分科員 よくわかりますけれども、しかし、建設大臣としては確かに社会公共全体の立場から、これはこういうことで必要だということでおやりになる。ところが、おやりになるその仕事が、そうはいってもそこで現実に生活している皆さんには不安も与えたり、きしみも与えたり、負担もかけたりするわけですね。
そこで、そういう皆さんが思っていらっしゃることはやはり聞かなければいけないので、建設省は建設省でもちろん専門的な知識経験をお持ちですから、それはこういうことで心配ないんだよということがおありでしょう。しかしまた、建設省に見えない、そこに住んでいる人間ならではのいろいろな、わかることもあるし不安もあるわけですから、これは、おまえたちの立場は我々と違うのだから断固としてもうあとはただ進めるべしというのでなくて、やはり住民の皆さんの声はしっかりと聞く。もちろんそうはいっても、いつまでも延ばしていればいいとかそういう話ではないわけですけれども、十分に聞く耳を持って、この人たちの言っているところを、どこに一体彼らがここまで一生懸命言わなければならぬ不安があるのだろうかという理解をしてみようという気持ちを、私は行政担当者としては常に忘れてはならぬと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
○綿貫国務大臣 住民というのはどこをとらえて住民というのか、これは災害におびえている住民もあるわけですから、私はやはり議会制民主主義というもので、議会が世論の代表だと思うのです。この住民パワーの話を重視するのか議会の話を重視するのかというようなことになると、これは非常にややこしい問題になるのです。したがいまして、私どももできるだけ住民の多くの方々の意見を聞いて、例えば、後から御質問があるかもしれませんが、サツキマスとかその他の問題もあるでしょう。それらの問題についても、これは絶滅をさせないように努力をしますということもお答えしておるわけですから、その辺も十分御理解を願いたいと思っております。
○江田分科員 建設省がおっしゃることを私も理解をしようと思って一生懸命聞くわけです。それを、おまえは建設省の言うことは聞く耳持たぬじゃないかという――まあ大臣はそんな気持ちはないと思いますけれども、そういうふうに言われるとそれは誤解なんで、そうではなくて、また反対のことでおっしゃる皆さんの気持ちも、彼の身になったら、なるほどこういうことでこういうことを言われるのだな、しかしそこは、じゃこういう誤解ですよとか、あるいはこうしますよとか、そういう態度が常にないと事がうまく進まないのではないかということを申し上げたいわけですが、こんなことばかり議論していても時間ばかりたちますから、中身の問題で若干伺っておきたいと思います。
治水と利水とどちらが一体主目的なのか。どうも今までの経過をずっと見ておりますと、都市用水、生活用水、工業用水、いろいろあると思いますが、利水の方がこれまでは主であった。水資源開発公団法に基づいて水資源開発施設として水資源公団が実施するということでもあらわれているように、利水の方が主目的であった。それがどうも最近は治水目的に主たる目的が変わっているように見受けられるのですが、これはいかがですか。
○近藤政府委員 まず、私ども、この事業は水資源開発公団が実施しているということは事実でございます。その限りにおいて、水資源開発は利水が主ではないかというふうに御理解される方もあろうかと思いますので、経過的に御説明しますと、これは御説明したと思いますが、まず昭和三十四年、三十五年、三十六年と大出水がございました。それを契機に治水計画の練り直しを行ったわけでございます。
そこで、昭和四十年に長良川の計画高水流量を、従来四千五百トンでございましたが、これを八千トンにし、この長良川上流でダム適地がないわけでございますから、少なくとも五百トンぐらいは上流の方で洪水調節していただいて、やむを得ずどうしても下流では七千五百トンまで広げざるを得ない。その広げ方については、技術的にいろいろな検討を行いました。堤防を引き堤する案、堤防を高くする案、それから河道をしゅんせつする案、三つについて検討したわけでございますが、堤防を引き堤するというのは、これだけの都市圏を、当時千二百、現在千六百世帯ぐらいの方を移転してもらわなければいかぬ、しかもこれが達成されるまでは長い間治水の安全度は放置されるということもございますから、これはなかなか現実的でない。それからまた、堤防の高さを高くするということは、天井川をさらに高くするということで、一たん破堤した場合の被害は激甚になりますので、どうしても河道をしゅんせつするという案が一番合理的であろうというところから、大規模しゅんせつ、その際に塩水の遡上が懸念されますので、河口ぜきを建設しようということで大要が昭和四十年に決まりまして、そして昭和四十三年に、なおかつ河川審議会の議を経まして、潮どめぜき機能を持つ河口ぜきを建設するということを決定したわけでございます。
同時に、中部圏の水資源開発としてもこの河口ぜきは主要な位置を占めるということで、昭和四十三年に長良川河口ぜきを水資源開発事業としても実施するということが、政府関係行政機関の協議、同時に関係県の知事の意見を聞いた上で定められたわけでございまして、これに基づきまして水資源開発公団に治水の目的と水資源開発の目的をあわせ持つ事業として、その事業の実施を指示して、昭和四十六年度より建設事業として水資源開発公団が実施してきているわけでございます。
治水、利水あわせ地域の重要な事業であるということは、そういう経緯でございますから、経緯そのものはいささかも変わってないわけでございまして、いろいろ御説明のときにいろいろなふうに受け取られておりますが、事業執行者としては、長い間かかっておると思いますが、事業の重要性については何ら変わってないわけでございます。
○江田分科員 昭和五十三年、つまり三全総の策定された翌年に長期水需給計画ができた。そして、これを基本的な方向づけとして、その後にウオーターサプライ二〇〇〇でしたか、そういったものもあったりというようなことで、多少の変化はあるのでしょうが、そういう大きな方向づけに従ってここに河口せきをつくる、三重県、愛知県、名古屋、それぞれに水を供給する、あわせて洪水防止の目的を兼ねるということで各県に同意を求め、そしてその同意を得て工事を進めておるということで、どうも当初は利水目的が強かったのではないか。ところが、その後次第に水の需要の状況というものが、経済構造の変化とか、人口の動きも変わってきたでしょうし、いろいろな要因で変わってきた。
そこで、利水というよりもむしろ治水目的の方が今強くなっているというふうな感じを受けるのですけれども、この費用負担はどうなんですか。利水ということで、この水の供給を受ける自治体からの費用負担が非常に大きくできておる。今のような治水ということが重要な目的だというにしては、費用負担が利水の方向に余りにも偏っているのではありませんか。
○近藤政府委員 正確な数字はまた後で御説明させていただきたいと思いますが、洪水調節の機能を持つ治水分といたしましては、この事業の負担は約四割、利水分が約六割ということになります。その限りにおいては、どちらが重点かというお話もあろうかと思います。
ただ、この事業において生み出されますいわば水の単価という面で見ますと、現在木曽川水系で開発されている各ダムの水資源開発単価から見ますと二分の一とか四分の一とかということで、比較的安い水と言ったら申しわけありませんが、水資源単価はそういう状況でございまして、この大きな事業を進めていく上においてそれぞれ負担能力といいますか、それらの実態も踏まえながら、またこの事業の実態を踏まえながら負担させていただいているわけでございます。とりわけ、私どもはこの河口ぜきを完了した後に速やかに大規模しゅんせつをしなければならないという治水上の義務もございまして、それらの事情も勘案して、総合的な判断からこのようなアロケーションになっておるわけでございます。
○江田分科員 河口にせきをつくるわけですから、そうしますと、それは確かに、大規模なしゅんせつをするから洪水のときも流れる水の量はふえるから、せきがあってもそのせきは上げてしまうわけで、大丈夫流れる、あるいは津波が来ても、これはせきを上げて上流までざっと海水が上れるようにするから揖斐川の方に水が行っちゃうようなことはない、こういうような説明です。
しかし、関係する皆さんは、それじゃ例えば地震だとか不均等の地盤沈下が起きて、せきが上げ下げがうまくできないというようなことが一時的でも起こることだってあるでしょう、そういうときに洪水が起きるとか、高潮、津波が来ると一体どうなるのだという心配もするわけです。そういう不均等地盤沈下あるいは地震、そういったことでこのせきが上下しなくなるというようなことまで考えに入れられているのですか。
○近藤政府委員 我が国の土木構造物は、一応、関東大震災クラスの大規模な地震においても十分機能するような技術基準で設計しておるわけでございますが、当然ながら、この長良川河口ぜきもそのような前提におきまして、あらゆる場合を想定して安全なように設計しておるわけでございます。また、停電等さまざまな障害のときにも、予備発動機を設ける等によって二重三重に安全な構造のように設計しておるわけでございます。
○江田分科員 例えば五年間なら五年間、モラトリアムといいますか、工事を凍結して、その間もっと十分な検討を加える。もう十分検討を加えているからその必要はないというお答えかもしれませんが、仮に五年なら五年、工事をとめておくとどういう不都合が生じますか。
○近藤政府委員 先ほども言いましたように、治水計画上では七千五百トン、上流のダムをあわせて八千トンという計画を昭和四十年に設定したわけでございますが、そのときから既に、大規模しゅんせつによって早くこの流下能力を増大させなければならぬという目的意識を持ちまして、とりわけその前提となる塩害遡上をとめるために、まず河口せきを建設しようということで自来進んできたわけでございます。
御承知のとおり、昭和五十一年の大水害では、もしこのときに大規模しゅんせつが終わっていたらこの長良川の水位ももっと低く、あるいはあの破堤もなかったのではないかということが想定されるわけでございます。仮に一メートル水位が低いと、堤防は前と後ろと二割勾配でございますから、結果的に四メートル堤防が厚いのと同等になるわけでございます。そういう意味では、一日も早く水位を下げたいというのが私どもの希望でございますし、恐らくこれは地域住民、長良川河口沿岸の六十何万の住民の悲願だろうと思います。
そういう意味では、我々は今、地域住民の中にいささかでも不安のないようによく説明はいたします。その反対運動の方の中にもいろいろございまして、たまにはダムのない川を全国で一つくらい残せという御意見もありますし、先ほどのサツキマスというような絶滅種があるからこういうのは大事にとっておいてはどうだという御意見、治水上の不安、あるいはゲートが閉まらないのじゃないかという御不安、そういうものについては、関係県あるいは市町村を通じて徹底的に御説明させていただいて御納得いただきながら、我々としてはこれを一日も早く完成させることが我々の義務だというふうに考えております。
○江田分科員 大臣からもサツキマスという魚の話が出ましたが、五十九年八月二十八日閣議決定の「環境影響評価の実施について」、そして六十年四月一日のこれについての建設省要綱、これをいただいたのですけれども、この要綱にのっとった環境影響評価、アセスメント、これはこの工事については行われていないのです。それはなぜですか。
○近藤政府委員 この長良川河口ぜきは昭和四十三年にスタートしたわけでございますが、当時から、このかなり前から長良川はウ飼いで有名な河川であるところから、自然保護の問題あるいは水産資源保全の問題が大きな課題だろうと考えておったわけでございます。
ですから、手続的にはどうあれ、環境問題とすれば大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音振動、地盤沈下、悪臭あるいは動植物の保全とありますが、水質汚濁の面でいえば水質保全、先ほど言いました塩害防除、あるいは土壌汚染という意味でもこの河口ぜきはむしろ早急に実施しなければいかぬ問題でございます。そうなりますと、水産資源の保全というのは各項目の中で最重要課題だろうと考えたわけでございます。その結果、当時では、魚類の専門家約九十名に及ぶ木曾三川河口資源調査団を組織いたしまして、昭和三十八年から四十三年にわたって徹底的な調査研究を行ってきたわけでございます。
その結果、従来学問の関係では不明であった事実が幾つも明らかになりました。アユの人工種苗の大量生産技術、またアマゴ、サツキマスの人工種苗技術というものはこれが契機になって開発されたものでございまして、これによって現在では各魚種も大幅に漁獲量がふえてきている状況でございまして、手続的には環境影響評価の手続はとっておりませんが、実質的には他の公共事業に比べると極めて早い段階に既に完了していたと我々は考えておるわけでございます。
○江田分科員 確かに、環境影響評価についての要綱などができる前からスタートしている事業であるからということで、別に法的にアセスメントをやる義務はないとはいうものの、これだけ大規模のものですから、実質的におやりになっておるという話ですが、やはり環境影響評価の要綱にのっとった影響評価はされておいた方がいいのじゃないかとも思います。
それから、そういうこともやらずに、とにかく何か大変急がれるというような、あるいは意見を聞いてもらえないというような不満があったりで、それはなぜだと考えると、どうもこれは、費用を全部といいますか、費用の多くの部分を関係自治体に押しつけることができるから、国としては腹の痛まぬ仕事だから、余り人の言うことも聞かずに国がどんどんやるのじゃないかというような批判もあったりするわけです。確かに建設省の皆さんの使命感も大切だと思いますが、しかし同時に、人の意見を、その意見を言う人の気持ちになってよく聞いてみるということも大切なことなので、反対をしている皆さんのおっしゃっていることにも耳を傾けていただきたいということを要望して、質問を終わります。
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