1990/06/21 |
118 衆議院・税制問題等に関する調査特別委員会
○江田委員 四会派提出法案の質疑の最後を承るということになりました。しかし、既に本会議の予鈴は鳴っており、あと四分少々で本鈴ということなので、もう簡潔に伺いたいと思いますが、税制再改革ということに対する提出者の皆さんの決意というものを伺いたいのです。
先ほど中野提出者の方から、仮にきょうこの委員会で否決をされても、あすの本会議で可決をされることもあるかもしらぬ、そこまで頑張るという、こういう大変心強い決意を伺ったわけでございまして、ぜひそういう決意でもう徹夜をしてでも自民党の皆さんを説得をしてほしい、こう思うわけでございます。
しかし、私ども、決してメンツでこういう法案を提出し、これまで質疑をやってきたわけじゃないので、やはり国民の皆さんの期待に一〇〇%こたえられなければ八〇%、八〇%がだめなら五〇%、とにかく精いっぱいこたえていく努力を続けなければいけないわけで、この委員会あるいはこの一連の国会のプロセスの中で、廃止法案も見直し法案もともに挫折をする、そして現行の消費税がそのまま残っていくということになってしまいますと、国会総ぐるみで、さきの総選挙のときに国民の皆さんに約束をした、とにかく今のこの消費税というものは何か変えていくのだという、そういうものを全部裏切ってしまうことになるので、これは大変な国会の無責任あるいは国民の政治不信の増大ということにつながると思うのですが、そういうことにしないために提出者としては、法案を提出をし、審議をし、それで結論が出たら、それでもう役割を全部終わったのだからお役御免、こういうことではない。さらに税制再改革、国民の期待にこたえる税制の確立のために努力をするのかどうか、その決意のところを聞かせていただきたいと思います。
○伊藤(茂)議員 五十何時間かの長い御審議の最終質問、最終答弁ということになりました。振り返ってみて思いますが、江田さんも御指摘なさいましたように、やっぱり民主日本の将来を築くためにも、税制改革の正論が実現されなければならないと思います。私どもは、そういう気持ちを法案に託して表現をしてまいったというふうに考えております。
これは、まだ完成ではありません。これからのあらゆる局面、あらゆる段階の中でその努力をしていかなければならないと思うわけであります。普通でしたら、審議が終局に近づきまして目標、ゴールに近づくとなるわけでございますけれども、残念ながら、本当のあるべき目標かゴールにはまだ距離があるというのが現実でございます。今もそういう段階に置かれていることの重みを何か痛感をしながら、この局面を迎えているわけであります。やはり納得できる国民合意の税制によって、やはり合意の日本の将来が築かれるということを月指しまして、私ども発議者一同もそうでございますけれども、そういう時代を実現するためにあくまで努力をしてまいりたいと考えております。
○江田委員 よくわかります。
私どもは、消費税を廃止をする、そして国民税制改革協議会をつくる、そこで一年間の審議を経て、そして最後に税制再改革をする、そこが目的であり、目標であり、そのルートがうまく通っていかないときは別のルートを通りながらそこの最終目標へ行かなければいけない。消費税を廃止をするということ自体が目的じゃないので、これで廃止をしてけじめをつけて、そして最後の再改革へ持っていくことが目的ですから、ルートをとにかくどこを通るか。いずれにしても、最後の目的にたどり着くまで、提出者の皆さん、これまでの御努力を大いに生かすべく、最大限の努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○江田委員 長丁場の質疑でお疲れのことと思います。大変御苦労さんでございます。
いよいよ最後の質問ということになって、私に許されておりますのは十分ということでございますが、考えてみると消費税論議、随分長くやってまいりました。総選挙を経て、政府・自民党の方あるいは野党四会派、それぞれに公約に従って法案を出し、この税特委で今日までまさに私は精力的にこれは議論を進めてきたと思います。いよいよ討論、採決という最後の段階になりました。
総理、長いこの委員会での質疑を終えるに当たっての感想を一言伺いたいと思います。
○海部内閣総理大臣 各党各会派の皆さんが、それぞれいろいろなお立場に立って、いろいろ御議論を熱心に交わされたことに率直に敬意を表する次第でございます。
同時にまた、両方とも最後はだめになるぞというようなことも盛んに言われながら、私どもは見直し法案をぜひとも通していただきたいということをお願いし続けたわけでありますが、ベストでなくてベターな選択に入るためには、どこかで接点がないだろうかということもいろいろ考えて、皆様方のそれぞれのお立場の御意見を拝聴させていただきました。
○江田委員 さすが尊敬する総理、実はそのことを伺いたかったのです。つまり、一生懸命やってまいりました、敬意を表すると言われました。私どもも本当に、しばらくの間国会が、まるでのどにとげが、骨ですか、刺さったかのように、この山積する課題に取り組めないというようなありさまになっていた。しかし、こうやって一生懸命に質疑をして、今の税制のさまざまな問題について問題が洗いざらい出されて、国民の皆さんの注目もいただいてきて、しかし、どこかむなしいということなんですね。
これだけ一生懸命質疑をしてきて、今ここでもう言葉を飾っても仕方がないんで、私どもは廃止再改革でどうしてもやりたい、そして、今まだこの段階でそれは通らないというようなことは言えないのかもしれませんけれども、しかし言葉を飾ってもしようがないし、そういう方向にない。見直しでもう終わりにする、これもまたそういうことにならない流れですね。
これでいいのだろうか。私どもさきの総選挙で、もうただの一党たりといえども今現在行われている消費税でよろしいと言っていた政党はないわけで、どの党もすべて、何かこれは国民の願いにこたえて手直しをしなきゃならぬ、あるいは再改革をしなきゃならぬ、そう言ってきたわけですが、これがこのまま両方が相打ちということになると、今の消費税がそのまま通ってしまう。これではまるで国会丸ごとといいますか、国会がみんなそろって国民に対して公約違反をするというようなことになるわけですが、そんな状態ではいけないので、これはどうしても私は大きな立場から、与野党といいますか政府ももちろん大いに胸襟を開いていただいて、さあ協議にどういう主体がかかわるかは別として、ひとつ大きな立場の話し合いをしていかなければいかぬと思いますが、いかがですか。
○海部内閣総理大臣 議論をいたしますときに、一つの目標に向かってお互いに歩み寄るというような角度の御議論をぜひお願いしたいというのが私の率直なことでございます。
そして、政府といたしましても、昨年の四月から始まっております消費税というものについて、当時いいと思って、いろいろ減税も先行させていいと思ってやったことも、各党の御議論を通じていろいろな御批判があった、国民の皆さんの声もあるいは世論調査でもいろいろな御意見があった、その御意見は謙虚に踏まえて、そして見直し案をつくったんですが、さあそれでもいけないというときにはどうするかという問題になりますと、各党各会派の御議論によってそれを深めていただく、そういったことを心から期待をしてきたわけでありますが、今結論を言われたような図式になりますと、一体何のためにきょうまで議論をして、何のために見直し案をつくったりいろいろ議論をしたのかということに相なれば、私もやはり同じように結果としてむなしい気持ちも感じます。
一歩でも二歩でも国民世論の指さされる方向に近づけていきたいという強い気持ちを持っておりますので、引き続きそういったお考えで各党のお話し合いをお続けいただくように、心から期待をさせていただきます。
○江田委員 その場合に、恐らく私どもの方でも、廃止でなければ日も夜も明けぬ、これでは多分話にならぬのでしょう。しかし、恐らく自民党の皆さんの方でも、政府のお出しになった見直し法案以上には譲歩できないんだ、これでも恐らく話にならぬのだと思いますね。
私は、もっと言えば、この消費税を一体どうするというだけでなかなか本当の話し合いができるのだろうかなという感じも実はするんですね。もっと広く、それこそ協議のベースというか、課税ベースじゃなくて協議のベースを大きく広げて、歳入一般、いろいろな税制についても協議の俎上にのせる。さらにもっと言えば、歳入だけでなくて歳出も協議の場にのせてひとつ与野党の大きな議論をしてみてはどうだろうか。
今、我が国会は、衆議院は自民党多数です。それが選挙の結論。これはいろいろあります。争点隠しと言ってみたり、金権、利権と言ってみたり、いろいろありますけれども、結論は結論です。しかし、参議院は野党多数。これも国民の下した結論。参議院は野党多数だから、野党も単なる批判勢力でなくて現実の政治に責任を持てということも、大蔵大臣もこの委員会の質疑で時々おっしゃっておられるわけですし、ひとつそういう意味で、歳出についても、いよいよ最後にもう予算案ができる寸前に党首会談で意見をお聞きいただくというだけでなくて、もっと本質的な議論の中に野党もかんでいく、関与していく、そういうようなことが必要だと思います。
歳出の問題についてはちょっと後で大蔵大臣に聞くとして、その前に、全体に協議の幅を大きく広げるということについて総理のお考えはいかがですか。
○橋本国務大臣 予算につきましては、予算編成権は政府であります。各方面からの御意見などにも広く耳を傾けながら、毎年度、社会経済情勢などの変化を適切に踏まえて責任を持って編成をし、国会に提出をさせていただいております。
また、先ほどお述べになりました点について、総理からもお答えがあるでしょうけれども、委員から御指摘を受けるまでもなく、この四月九日、この本院の予算委員会におきまして、米沢委員からの御質問に私はこうお答えをいたしております。というのは、委員は非常に幅広い立場でいろいろな議論をすべきじゃないかということを述べられました。
私は、今委員がお述べになりましたような視点から、広範な問題について、しかも消費税を含めた税制のみに限定せず、それこそ行政改革から何から含めて論議をする、そういうお考えについて異論を申し述べるつもりは全くありません。また、資産課税あるいは課税ベースの拡大等含めて、税制全体について論議をオープンにしようと言われることについても、全く異論はございません。
そして、委員御自身からもお述べをいただきましたように、その中には見直し案もテーブルにあっていい、廃止案もあっていい、さらに全く違った考え方もあっていいという御論議は、それを私は否定するつもりは全くありません。こう申し上げておりまして、我々は今までも同じようなスタンスをとっております。
○江田委員 予算編成のことはそういうお答えかと思いますが、総理の方からも、土地税制とか、あるいは野党の方も所得、消費、資産に適正な課税が必要だということも言っているわけですので、広い立場で協議をしていくということについてのお考えを伺いまして、質問を終わります。
○海部内閣総理大臣 国政全般という広い視野に立って、同時にまた、政党が政党としての責任を持っていろいろ意見を述べられ御議論をいただくということ、それはもう当然のことだと考えておりますし、大蔵大臣が申し上げたとおりでございます。
○江田委員 終わります。
○山崎委員長 これにて江田五月君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして各案についての質疑は終了いたしました。
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○山崎委員長 この際、伊藤茂君外七名提出、消費税法を廃止する法律案及び税制再改革基本法案の両案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。橋本大蔵大臣。
○橋本国務大臣 最初に、消費税法を廃止する法律案について申し上げます。
さきの税制改革の一環として創設された消費税につきましては、現在及び将来の我が国にとって不可欠な税であると確信しております。したがいまして、本法律案につきましては、政府としては反対であります。
次に、税制再改革基本法案について申し上げます。
先般の税制改革につきましては、この改革により我が国経済社会の活力を維持し、国際化に対応しながら豊かな長寿福祉社会をつくるにふさわしい、より公平な税体系の構築が図られるものと確信しており、正しい選択であったと考えられます。したがいまして、本法律案につきましては、政府としては反対であります。
○山崎委員長 次に、伊藤茂君外七名提出、消費譲与税法を廃止する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案について、念のため、内閣において御意見があれば発言を許します。奥田自治大臣。
○奥田国務大臣 初めに、消費譲与税法を廃止する法律案について申し上げます。
先般の税制改革の一環として創設された消費譲与税につきましては、現在及び将来の地方財政にとって不可欠な財源であると確信しております。したがいまして、本法律案につきましては、政府としては反対であります。
次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
消費税を地方交付税の対象税目とすることは、現在及び将来の地方財政にとって不可欠な措置であると確信しております。したがいまして、本法律案につきましては、政府としては反対であります。
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○山崎委員長 これより各案を一括して討論に入ります。
○江田委員 私は、進歩民主連合を代表し、ただいま議題となりました八議員提出の四法律案及び内閣提出の一法律案につき、一括して、前者に賛成、後者に反対の立場から意見を申し述べます。
日本国憲法第三十条は、国民に納税の義務を課しております。しかし、これは「法律の定めるところにより、」という限定つきであって、これがいわゆる租税法定主義であります。したがって、国権の最高機関である国会が法律で定めた以上、より優位の憲法に抵触しない限り、国民はその法律に従って納税する義務を負います。しかし、民主主義はそのような無味乾燥な法律整合性だけで動くものではありません。国民の怨嗟の声や切なる願いが常に法律の制定改廃に敏感に反映されて、初めて租税法定主義は生きた血の通ったものになるのです。
そこで、この一両年の我が国の政治の最大の課題の一つである消費税導入を含む税制改革が、果たして国民にどのように受け入れられ、どう反発を受けているかを考えてみます。
我が国の租税体系全体を見直し、抜本的な税制改革を行わなければならないということは、我が国の政治の長年にわたる課題でありました。そのためには、税の名称や細目は別として、課税ベースの広い間接課税制度の導入の是非を正面から議論することも避けられないことだったと私は思います。
しかし、税の議論は国民に直接影響を及ぼす、まさに海部首相の言われる楽しいことではない課題ですから、それだけ一層国民に開かれたものでなければなりません。ところが、急逝された大平元首相を別とすれば、歴代自民党内閣は常にこの課題を正面から国氏に問う姿勢がなく、国民を欺いて事を処理しようという姿勢に終始してきたと言っても過言ではないと思います。
中曽根元首相は、大型間接税は導入しないという公約で得た多数議席を頼んで、その公約に違反する売上税導入を企てました。これが失敗するや、首のすげかえによって竹下元首相が消費税を強行導入し、国民の強い批判を浴びました。昨夏の参議院選挙の結果に示された国民の意思は決して軽んじてはなりません。そしてまた、みずからさきの強行導入に最大の責任を負っている海部首相は、思い切ってこれを見直すとしながら、体制選択などを唱えて争点を希薄にし、多くの自民党公認候補が消費税隠しを図ったのでした。
私たちは、シャウプ以来の大改革と称する税制改革をしようとするからには、このようなこそくなやり方を一掃して、もっと真剣に国民の声を聞き、もっとまじめに国民の願いにこたえる道を探らなければなりません。そして、その道は、修正することのできない瑕疵を負った消費税を廃止し、税制改革の手順をもとに戻してもう一度やり直しするために、国民参加の国民税制改革協議会で徹底した議論を行う税制再改革しかありません。その間の消費税にかわる代替財源をどうするかということは、提出者の説明で明らかであり、何の不安もありません。この代替財源についての議論により、消費税廃止や再改革の不当性を論拠づけようという主張は、その前提において既に誤っていると言わざるを得ません。
再改革により得るべき最終結論について、提出者から明確な案が示されなかったことや、提出者の間にその案についてそごがあるのではないかと主張することにより、再改革は不当であるとの主張が繰り返されましたが、これらの点についても提出者の説明は明快でありました。再改革に際し、どのような間接税改革が行われるべきかにつき、提出者間に意見の違いがあったとしても、これは今後の議論にゆだねられるべきことであり、そのような議論こそが国民の理解と納得にとって大切なのであります。この議論を嫌悪するがごとき主張は、租税法定主義を、ひいては民主主義を嫌悪する主張だと言わなければなりません。
以上が、議員提出四法案賛成の理由であります。
次に、内閣提出法案反対の理由を申し述べます。
それは、一言で言えば、今次税制改革の瑕疵を正し、租税法定主義の精神が生かされた税制改革にするためには廃止再改革が最も妥当であり、着地点の決まった見直し再改革によっては瑕疵が正されないということです。
国民は、非課税範囲の若干の拡大、食料品に対する小売段階での非課税、卸売段階での軽減税率適用などの見直しを求めて怒りの声を上げたのではありません。いやむしろ、食料品に対する措置は、取引や納税事務をより煩雑にするだけで、小売価格は下がらず、かえって迷惑との声すら聞かれます。
仮に消費税を百歩譲って認めるとしても、簡易課税制度、限界控除制度、免税点制度などの措置をそのままの形で残す見直し法案では、国民の怒りをかわすことはできません。これらは消費税定着のための措置ではありますが、その手法は、一部の事業者の手元に預かった消費税をそのまま保有させることにより、消費税により利益を得させ、益税を与えてなだめるというものであります。これを払うのは消費者であります。国民の間に不当な不信と分断をつくり、国民の怒りをなだめようという措置は、その思惑に反して国民にその本質を見抜かれ、逆に国民の怒りを買っています。
福祉優先充当との規定も、何の実効性もありません。消費税の持つ逆進性は政府も認めるところです。私もまた、単にそのことのゆえに間接税は存在すべからざるものとの説はとりません。しかし、このような規定により逆進性の隠れみのにしようという政府のこそくな手段には、怒りを通り越して失笑するばかりです。
政府・自民党は思い切って野党と大型の協議に臨んではいかがですか。代替財源に、仮に現行の消費税という税制により上がった収入をそのまま充てるならば、それも一つの知恵かもしれません。消費税という税制自体をも丸ごと俎上にのせ、他の税制とともに協議の対象として、与野党協議の税制再改革、協議再改革をしてはどうでしょう。歳入だけでなく歳出もまた協議の対象にすれば、協議はもっと実りの多いものになるでしょう。予算編成は内閣の専権などとかたいことを言わないでください。参議院では野党が多数、だから野党も単に反対でなく、政治に責任を持ってほしいとおっしゃっているではありませんか。
以上の観点から内閣提出法案に反対いたしますが、最後に、長く我が国の政治に、のどに刺さった骨のようにひっかかり、当面するさまざまな課題への取り組みのおくれの原因ともなっていた、しかしそれだけに極めて重大な課題であるシャウプ以来の税制改革が、有終の美を飾ることに、両法案に対する当特別委員会のまさに精力的な審議が有効に生かされることを切望して、討論を終わります。(拍手)
○山崎委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○山崎委員長 これより採決に入ります。
まず、伊藤茂君外七名提出、消費税法を廃止する法律案、消費譲与税法を廃止する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。
三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立少数。よって、三案は否決すべきものと決しました。
次に、伊藤茂君外七名提出、税制再改革基本法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、消費税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
派遣委員の宮城県における意見聴取に関する記録
一、期日 平成二年六月二十日(水)
二、場所 ホテル仙台プラザ
三、意見を聴取した問題
消費税法を廃止する法律案(伊藤茂君外七名提出)
消費譲与税法を廃止する法律案(伊藤茂君外七名提出)
地方交付税法の一部を改正する法律案(伊藤茂君外七名提出)
税制再改革基本法案(伊藤茂君外七名提出)
消費税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○江田委員 公述人の皆さん、お忙しい中を大変ありがとうございました。貴重な御意見を聞かしていただきました。私に与えられている時間は大変短うございますので、皆さんにいろいろお伺いをしたいのですが、特にどうしてもというところだけを伺わせていただきたいと思います。
竹澤公述人に伺いたいのですが、というのは、この消費税を妥当であるとおっしゃる最も典型的な御主張をきちんと整理をして述べていただいたので、伺いたいと思うのです。
先般の税制改革、所得税の全体としての比率を下げるとか、法人税も減税するとか、物品税も改革するとか、大変よかったと、そして消費税は定着をしておる、転嫁もスムーズで納税もスムーズで、国民の心理の上でも定着をしている、そういうお話、さらに、価格体系というものが頻繁に変わるのでは困るから、政治の都合で混乱を与えてもらっては困る、国際的な調和のこともあり、また将来の見通しというものもはっきりしなければいけないのでということで、最後には私ども野党に対するおしかりの言葉もいただいたわけでございます。
そういう御意見からすれば、これは今の消費税でよろしい、これを変えるなどということは、混乱も与え、将来の見通しもわからなくなり、せっかく定着をしているのに困ったことだということにならなければいけないと思うのです。ところが、後の委員の方のお尋ねの中では、見直しはいいのじゃないかという、ちょっと首尾一貫しないと思うのですが、どうでしょう。
○竹澤清隆君 私が申し上げました見直しという、消費税につきましては消費税の基本的な考え方、位置づけにおいて全面的によろしいということを申し上げまして、ただし、現在、実施してみて国民の皆様からいろいろな注文とか意見とか希望があるわけです。それをより取り入れながら見直して、より定着を図ろうというものだと思うのです。したがいまして、私が申し上げたいわゆる消費税の中には、見直しの案も含めて総体として消費税を評価したということでございます。
○江田委員 見直しも含めてということですが、しかし、今政府が出している見直し案は、将来見直しで変えるということなんですね。変わっては困るというのが竹澤公述人の御意見のように伺ったのですが……。
それからもう一つは、国民の中にいろいろな意見があるというふうに今おっしゃる。前は、国民はこれでもう納得をして定着をしているというふうにおっしゃる。一体どちらの立場でいらっしゃいますか。
○竹澤清隆君 いや、定着ということは、先ほども御説明いたしましたように、NHKあるいは毎日新聞、朝日新聞等の消費者のアンケートを見ましても、いわゆる消費税廃止という意見が徐々に減ってきている、数字的に大きく減ってきているということを申し上げまして、定着しつつあるというように申し上げたつもりでございます。
○江田委員 どうも竹澤さんにばかり伺って恐縮なんですけれども、新聞のアンケートなどを引かれるわけですが、そうすると、つい先般、二月には総選挙が行われたわけですね。総選挙全体のことはいろいろあると思いますが、この宮城県での選挙の結果もあったわけでございます。この宮城の選挙の結果には、国民の消費税に対するいら立ちや不満やそういうものは反映をされていたと思われますか、いないと思われますか。
○竹澤清隆君 私は反映していたと思いますけれども、そのいわゆる選挙にあらわれました数字がすべて消費税云々ということだけで出てきているのではないだろうというように思っています。
○江田委員 もう一つ、やはり委員からの質問に、いわゆる益税ということ、これは将来自民党がこれについてもいろいろ考えているようであるからそれでいいのではないかというようなお答えのように伺ったのですが、これもちょっと冒頭の非常に体系立った消費税を支持する論理構成からするとおかしくなるのじゃないですか。
○竹澤清隆君 すべてのものに百点満点という制度はないと思うのです。したがって、短所もあります。その短所を極力是正しよう、そして国民の求める方向へ持っていこうというのが今のお話しされました点に対する私の、これからいろいろ検討して、そういうような不満なりあるいは不信を国民の一部といえども持つことについては極力是正してほしいというふうに申し上げたつもりでございました。
○江田委員 野党に対するおしかりもいただいたわけでございますが、私どもも、国民のいろいろな声がある、そういう国民の声を背景に今のこの消費税というものをどうするかということを考えているわけで、税制全般にわたってもっと国民の声を背景にいいものにするためにはこういう方法しかないのじゃないかということを真剣に考えて、責任を持って提案をしておるつもりでございますが、きょうは議論じゃありませんので……。
最後に、針生公述人に伺っておきたいのですが、廃止は反対である、政府の見直し案に賛成である、こういうお話でございます。そのお話の中で、いわゆる益税といいますか、免税点あるいは簡易課税、限界控除など、これも見直していった方がいいというような御趣旨というふうに聞いたのですが、そうですね。で、今の政府の見直し案でそういうところまで見直しができるという御判断で政府の見直し案に賛成という御見解でいらっしゃいますか。
○針生弘吉君 はい。今の見直し案で完全だというふうには思っていませんが、より前進しているというふうに思います。
○江田委員 終わります。
1990/06/21 |