1991/03/15

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120 衆議院・商工委員会


○江田委員 今回の改正は、国際社会とのハーモナイゼーションを図るためということで、外国企業が参加した場合にこの委託研究成果の取り扱いの変更をしよう、特許権等の帰属の変更とそれから特許実施の対価についてのルールの変更をしようということになっておるわけですが、外国企業が参加した場合にこういうルールをつくって、そのルールについてはそこへ参加する他の日本企業についても適用される、しかし外国企業が参加しない場合には別のルールになる、こうなりますと、どうも外国企業が参加する、しないでルールが異なるということになるのは、これはそこへ参加する日本企業としては、中に一つでも外国企業が入っていると入っていないとでルールが全然違うというので、何か妙な感じになるという気がするのです。

 この国際化ということ、これは日本のルールと外国のルールと調和をとれたものにしようということなんですから、外国企業が入っていようが入っていまいがやはり同じルールでなかったら、国際化という意味の何か差別化ということになってしまっておかしいじゃないかという、そんな感じもするのですけれども、これは今回はここまでで、これから先はという課題かと思いますが、まずその点について伺っておきたいと思います。

○杉浦(賢)政府委員 産業界からも、ナショナルプロジェクトから発生する特許権の帰属及び実施権などの面におきまして、民間企業に対してインセンティブを与えるべき、こういう要望がかねてございました。また、いろいろな答申などでもそういうことが指摘されておりました。それから、この今回一部改正を御審議いただいております産業技術法の制定に当たりましても、昭和六十三年でございますけれども、御審議の場においても同様の指摘をちょうだいしております。

 今回の法改正は、外国企業が参加するという国際共同研究の場に限り、ナショナルプロジェクトにかかわる特許権の改善を行おうとするものでありますけれども、これに限定しております理由は、我が国が研究開発を通じた国際貢献、すなわち国際共同研究を円滑に進めていきたいということのための障害を除去するということに、その必要性の高まりがございまして、このような改正を行っておるわけでございまして、制度全体の改善措置の第一歩と考えておるわけでございます。

 さらに、昨今のナショナルプロジェクトの現状を考えてみますと、テーマが大変基礎的、先導的なものになってきております。非常に基礎的になっておりますので、産業界の方々がこれに参加するときの人材を引き出し、投入してもらうためにはそのインセンティブを付与することが重要になっているかと思っております。したがいまして、国内企業のみのプロジェクトにかかわる特許権の取り扱いにいたしましても、これからは十分検討をしていきたいと考えております。

○江田委員 今回は第一歩である、今後十分検討していきたい、そういうお答えをいただいたと確認をしておきたいと思います。国際化という場合に、その国内のルールとそれから国際社会のルールが違うことが問題なんで、国際社会のものが入ってきたときにはこういうルール、入ってこないときは別のルールというのはやはりちょっとおかしいところがありますので、これは十分これから先、努力をしていただきたいと思います。

 ところで、この特許権等の帰属は、五〇%以上国またはNEDO、五〇%まで受託者等に帰属、こういうふうに改められる、そしてその受託者等による特許実施の対価は無償または廉価だと言われるわけですが、廉価というのは多少でも取るということなんでしょうが、これはどういうことになるのですか。そういうことがしょっちゅう起きるのか、起きる場合にはどんな価格の決め方をするのか。

○山本(幸)政府委員 国際共同研究を行った場合に、その特許を取るもとになります発明発見に貢献のあった個人、それに属する企業、これにつきましては二分の一までの共有権を認められるということでございます。先生御指摘の廉価または無償と申しますのは、そういう企業が自分の持ち分のほかに、国の持っている持ち分についてまで実施をしてほしい、こういう場合にこれについては無償または廉価でこれを与えます、今後取り扱いの基準は考えますけれども、基本的考え方は、その企業の属する国の扱い方、その企業が例えばフランスでございましたらフランスの国でどうなっているかという相互主義の問題、もう一つは実際の発明発見がどのぐらい寄与したか、寄与度の問題でございますが、その寄与度に応じて考えたいということでございます。

○江田委員 寄与度に応じてと、それからその国でどうなっているかということだということですが、現実には、無償または廉価とあれば大体無償でということになるのだろうと思いますが、無償ということになれば、受託者等による特許実施は、無償なんですから、許諾は当然するということにまずはなるわけでしょうね。無償になっている制度のもとで許諾をしないというのは普通余り考えられない。だけれども、許諾というものは、許諾するかしないかという権利は留保されておるわけなんでしょうが、そうするといろいろ、実施する場合の通知をしてもらうとか、実施状況について報告をしてもらうとか、そういうことはやはりないと、そうでないと第三者によって無断で実施をされるような状況が起きた場合にでもよくわからないことになりますね。そういう通知とか報告とかといったことは一体きちんと行われるような制度になるのか、それはどういうふうにしてそういう制度ができるのかを御説明ください。

○山本(幸)政府委員 今申し上げましたとおり、実際に無償ないしは廉価ということになりました場合には、その許諾の権限というのは通産大臣がそれを判定いたすわけでございますが、その際に、実際のやり方につきましては、契約をどうせ結ぶわけでございますから、その契約の中でそのことを明記するということになろうと思います。

○江田委員 委託共同研究に着手する前の基本的な契約の中でそういうことを全部決めておかれるということになるのですか。

○山本(幸)政府委員 そのとおりでございます。

○江田委員 終わります。

○奥田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○奥田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。


1991/03/15

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