1991/04/22

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120 衆議院・商工委員会

大店法関連五法案について


○江田委員 大店法関連五法案の質疑、いよいよ私のこの質問で最後ということになります。大臣初め皆さん、大変長丁場で御苦労さんでございますが、ひとつよろしくお願いいたします。

 実は、今から考えますと何か夢のような話なんですが、おととし、春から夏にかけて、我が国の政治の世界は大激震に見舞われたわけですね。政権党が国民の信頼を失ってしまう。一方、野党は政権を担当しようということで協議を始める。国政の選挙でも地方選挙でも、もう国民の方が政権交代を実現するぞという、そういう政権交代前夜の様相を示していたことがございました。

 実は私、その当時、別に余り甘く考えていたわけでもないのですが、しかし、やはり野党としても本格的に政権を担当したらどうするかということは考えなければいかぬ、そんな気持ちで、九月ですが一人でアメリカへ行きまして、レーガン政権の行政担当者や、それから政治家の皆さんや、あるいは学者やジャーナリストの人たちなどにお会いをしまして、直接英語でいろいろな話をしてまいりました。テーマは極めて広範でしたが、その中で、実は必ず私たちに耳の痛い指摘をされる。野党の方がむしろ保護主義じゃないか、そういう指摘ですね。それに対して私は、いや、そうじゃない、野党が保護主義だというのは決して正しい認識じゃないんで、むしろアメリカの皆さんは十分野党の方からの情報というのを直接にお聞きになってないんじゃないですか、そんなことで議論をしました。

 しかし、そういう中で、いわゆる米の問題と、そして、同時にこの大店法の問題が常に出される。やはり、世界的に保護主義の台頭というものは防いでいかなければいけないし、自由貿易の体制は守っていかなければいけない。もちろん国内では、例えば米にしても、あるいは小売業にしても、既存の業態の中でなりわいを立てている人たちがいるわけですから、これはもちろん温かい目で見ていかなければいけないけれども、しかし同時に、世界も日本も大きく世の中が変わっていくわけですから、国内の経済構造や産業構造を変えていくということ、これは当然必要なことで、そういう意味で大店法については、これは野党も決して後ろ向きで考えるわけじゃない。大店法改悪をやめて、すべての大型店舗は許可制にしろという御主張もあるようですが、そうではなくて、やはり小売業の時代の趨勢に合った改革も必要であるし、また、時代の動きに合った街づくりといったことも必要だ、これはむしろ野党も努力をしていくし、それから、輸入商品が市場に十分出回らないというようなことについても、流通構造の中にいろいろメスを入れて、そうしたことも野党としても考えていく。こんなことを大見えを切ってきたことがございました。

 そんなことから考えますと、今回のこの一連の御提案、私は、確かにいろいろ批判もあるだろうと思います。これで完全に十分であるかどうかについてはそれはあると思うし、見直しも今後、こういうことを実施に移しながらやっていかなければならぬと思いますが、しかし、文句をつけているばかりではだめなんで、何はともあれ、いろいろな関係者の意見を聞きながら調整の努力をされて、こういう一つの調整点というものをおつくりになった、これは大いに敬意を表しております。

 そういう観点からお伺いをしたいのですが、今回は、大店法改正案と輸入品売場特例法が大型店の規制緩和、商業集積法、民活法改正それから小振法ですかの改正の三法案が中小小売業の振興促進策、これらをもって小売業の事業者間の調整を図るというわけですけれども、これらの五法案、明示されている法案もあるしされていない法案もありますが、いずれもやはりその根底に、消費者の利益、生活者の利益というものが当然あると思います。小売業というのはサービス業ですから、やはり消費者、生活者に利益を得さしていく、もともとそういう産業であるわけです。

 そこで、この私の質問の一番初めに通産大臣にお伺いをするのですが、私は、消費者の利益ということから見ると、いろいろな小売業態というものが多様に用意をされるということが実は必要なんじゃないか、すべてがデパートになってしまったらそれは困るでしょう、しかし、デパートもスーパーも必要だし、専門店ももちろん必要だし、親切な中小の小売店、これも必要だ、コンビニエンスストアもあるいは生協もあるいは通信販売も見本販売も、さまざまなものがあって、それがすべてそれぞれ適正な価格、品質、そして適正なサービスで競争していく、国産品も輸入品もよいものは大歓迎、いろいろなタイプのお店から多様な選択が可能な状況というのが消費者に保障される、これが実はこの小売業をめぐる法規制の一番の根本の哲学じゃないかと思うのですが、通産大臣のお考えを伺いたいと思います。

○中尾国務大臣 まず冒頭に、大変御理解に満ちたお話を賜りまして、大変参考にさせていただきました。ありがとうございました。
 今回の大店法の関連五法案と申しますのは、消費者の利益に十分な配慮を行っているつもりなのでございます。

 具体的には、第一に大店法改正につきましては、出店調整手続の明確化あるいはまた透明化、迅速化というものを図るということが第一でございまして、大店審による地元消費者からの直接の意見聴取の法定化等、消費者意見が出店調整手続に十分反映されるように図っているつもりでございます。さらに、法改正に伴いまして、小売業における適切な競争条件が整備されることによりまして、消費者の選択の幅の拡大に寄与しておるわけでございます。

 第二に、輸入品の売場特例法案におきましては、小売業の品ぞろえの拡充に貢献するものと考えておるものでございます。

 第三に、特定商業集積法案の制定、小振法の改正、民活法の改正におきましては、魅力ある商店づくり、先ほど来いろいろと討議されておりまする商業集積づくりの促進を通じまして、消費者の利益、生活者の利益の一層の増進を図ることとしている次第でございます。

 すなわち、商業政策の基本というものは、当然ながら、多種多様化する消費者ニーズに流通産業が的確に対応して、先ほど御案内のゆとりと豊かさの国民生活の実現というものに積極的に貢献するよう指導、支援していくことにしているわけでございまして、消費者ニーズというものは、商品の価格や品質、小売店の品ぞろえやサービスのよし悪し、買い物のための時間的、距離的な利便等極めて多岐にわたっているけれども、こうした多様化したニーズにこたえていくためには、大店法改正により適切な競争条件が整備されて、御指摘のような、大型店、中小小売店、専門店、市場等の十分な業態展開と地域展開が図られることこそがまさに重要なことではないか、このように考えておる次第でございます。
 以上でございます。

○江田委員 さてそこで、大店法の手続について少し伺っていきますが、大店法についての昨年の十二月の産業構造審議会流通部会と中小企業政策審議会流通小委員会の中間答申でも、基本的な視点として、第一に「消費者利益への十分な配慮」というものを挙げておる。そしてその次に、先ほど大臣がおっしゃいました「手続の迅速性、明確性、透明性の確保」ということを挙げているわけです。

 まず迅速性についてですが、答申では、「制度面の簡素化」、そして「出店調整処理期間の短縮」、こう書いてあるわけですが、これは一体この法律の中でどのように担保されておるんでしょうか。

○坂本(吉)政府委員 出店調整処理期間の短縮につきましては、法律と、及びそれを運用いたします行政指導、これらを含めて出店調整の処理期間というのを設定をいたしておるわけでございます。

 法律面に関しましては、御承知のとおり、三条の届け出を行い、また公示がございます。その公示後七カ月間は営業ができないという規定がございますとともに、また、調整に入りましたものは、五条の届け出以降最大限八カ月かかりまして出店ができるという仕組みになっておりまして、法律そのものの中には、期間は今申し上げたところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この最大限八カ月間の法律手続のほかに、四カ月の出店者による地元説明というものを考えまして、都合一年の間に出店調整の処理を行いたい、こう考えておるところでございます。

○江田委員 私が聞いたのは、それはそれでいいのですが、しかし、法律では決まっていても、ずるずるずるとこれが相変わらずのことになってしまってという、それが一体どのように防止できるのか、法律の中でそうした期間の短縮というものがきっちり守れるような担保がちゃんと用意されていますかということを聞いたのですが……。

○坂本(吉)政府委員 御指摘の点につきましては、全体として、地元説明及び大店審における調整ということを通じて処理がなされるということになるわけでございますけれども、私ども、今回の法改正及びこれに伴う運用の改正に当たりまして、従来、ともすれば長引く傾向のございました例えば法手続前の事前説明あるいは実質的に商業調整をゆだねておりました民間による商調協、そういった制度を廃止することにいたしまして、四カ月間の地元説明と、あとは大規模小売店舗審議会における審議ということに集約をいたしたわけでございます。法律的に何カ月以内でなければならないということを書いてはございませんけれども、これらの運用を通じまして一年の間に問題の処理を図りたい、こういうふうに考えているところでございます。

○江田委員 やはりこれまでの経験からしますとついついということがあるわけで、これは法律で、例えば八カ月たてば大規模小売店舗審議会によるこの審議は終わって結論が出たものとみなすとかいうようなことをすればそれはもうそれで決まりでしようが、そこまではなかなか行きにくいとしても、やはりよほど腹をくくって期間短縮に取り組んでいただきたいと思います。

 それから、制度の簡素化ということですが、例えば手元に「一九九〇年度大規模小売店舗法法規集」というのがありますが、この法律に関する通達がざっとこれでも二百ページもあるのですね。例えば手続の簡素化というと、この通達が二百ページがばっと半分ぐらいになるとか、そのようなことはお考えなんですか。

○坂本(吉)政府委員 御指摘のとおり、本法は、法律そのものは比較的簡単な法律でございますけれども、過去長年の間に、実際に運用に当たって、行政通達、省令その他を積み重ねて運用に努めてまいったわけでございますけれども、今回、委員御指摘のような諸般の環境から透明性をできるだけ確保するということで、幾つかの不明確なものを整理いたそうと考えているところでございます。

 典型的なものといたしましては、法手続前に行政指導で要請しておりましたいわゆる事前説明、また出店表明、これらを廃止することとし、またいわゆる特定市町村の制度についても廃止することとし、先ほど申し上げましたように商調協につきましても、事前商調協及び正式商調協という形で存在しておりましたのを廃止することにいたしたいと思っておるところでございます。通達及び政省令の内容がどのようなボリュームになるかは定かではございませんけれども、かなり思い切った簡素化になるというふうに考えておるところでございます。

○江田委員 これはやはりぜひやっていただきたいと思います。

 それから、明確性ということを次に伺います。
 今回の改正によって、事前手続あるいは抑制地域、商調協の廃止、こういうことになっていくわけですが、大店審が地元の商業関係者の意見を集約するときに商工会議所などに事務委託のような形をとるんだ、こういう説明を聞いたのですけれども、そうすると地元の商工会議所などへ事務委託、またその中で何か事実上のいろいろな規制が働いて、手続というものが不明確なものになってしまうというようなことになってはいけないと思うのですが、これは法律上そうした事務委託などがあっても手続が不明確にならないようにという何かの担保がありますか。

○坂本(吉)政府委員 今回、商業調整を明確にするという点に関しましては、実態の把握は、地元の商店街あるいは商工会議所から大規模小売店舗審議会が実情を聴取する、ただし調整は大店審において一元的に行うということを基本にいたしておるわけでございます。

 したがいまして、大店審から商工会議所に対して地元意見の整理と集約を依頼する場合におきましても、あくまでもそれは実態把握の一環として行いたい実情でございまして、そこにおいて調整をなされることを考えているわけではございません。この点につきましては、省令その他で実態の把握を依頼するということを明らかにいたしたいと思っておるわけでございます。

○江田委員 その点も、ぜひひとつ間違いのないように運用していただきたいと思います。

 それから次に、透明性ですが、先日説明を伺ったときに、大店審の審議や意見聴取のプロセス、これも公開性を図っていくということを伺いました。どうもこれまでは委員の名簿も公開しないというようなことのようだったですが、議事録の公開、こうしたことは考えておられるのでしょうか。公開性についての考え方を説明してください。

○坂本(吉)政府委員 御指摘のうち、大店審の委員という方々の名前の公開は、その線に沿って公開をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございますけれども、ただ、議事のすべてを公開するのは適当かどうかという点につきましては、本商業調整問題が大変利害の複雑に入り組んだ問題でございます。時には大変深刻な対立が生ずることもあり得るわけでございまして、その一々を公開するということは、委員の中立的公正さの確保という点からいかがかと思っております。しかしながら議事の概要につきまして、事後的に、いかなる審議がどういう点について行われたかという点につきましては委員の中立性あるいは公正さの維持に後刻影響を与えないという範囲で、できるだけ公開をいたしたいというふうに考えているところでございます。

○江田委員 この議事の公開ということは、どうもいつもそういうことで議論になるわけで、公開をすると、それぞれの発言の中立性とか公正性とかそういうものが害されていくんじゃないか、いやいやそんなことはなくて、公開をすることによって初めてそうした中立、公正といったことが図れるのではないか。これはその社会の実態とかいろいろあって、いかなる時代であろうとも、これだという一つの原則があるわけではない、時代時代の動きによってまた変わってくるものだと思いますが、基本的にはやはりなるべく秘密のない透明な公開の手続の方がいいわけですから、なるべくそうした方向を目指すように努力をしていただきたいと思います。

 さて、大店法の調整手続でいろいろ不明朗なこと、不祥事が起こる、こういうこともあったというふうに聞いております。これは、もちろん社会的公正という点から見て好ましくないわけですが、この社会的公正、調整手続での不明朗あるいは不祥事、こうしたことが起きないようにするためにはどのようなことが工夫されておるのですか。

○坂本(吉)政府委員 大店法のもとにおきます商業調整につきまして、一般的には大変地元の複雑な事情を理解された上、少しでも地元の問題に影響が出ないように関係者の皆様方が商調協という組織におきまして今日まで大変御努力をされてこられたところであると思いますけれども、一部には、ただいま委員御指摘のような点もなかったわけではないようでございます。そういう意味で、これが特に利害が直接関係する人による調整という一種独特な形態をとっておりました点も、またそういう疑惑ないしは疑点というものを招く一つの要素ではなかったかと思うわけでございます。

 今回、調整を行うに当たりましては、利害関係者は実情の把握というところに特化することにいたしまして、調整は利害関係のない中立、公平な立場に立ち得る人による調整が必要であろう、それが社会的な公正を維持する道ではないか、こう考えまして、すべての調整を大規模小売店舗審議会の委員による調整にゆだねたということであります。
 それで、審議会の委員は非常勤の国家公務員または地方公務員でございまして、御承知のとおり秘密の保持義務、また職務専念ないし贈収賄に関する公務員並みの適用を受けるという方々でございます。そういう意味で、調整は公務員に準ずるところの大規模小売店舗審議会委員によって行うという仕組みを確立することによりまして、一歩でも社会的な公正を高めるというところに近づきたいと考えたわけでございます。

○江田委員 時間がだんだんたっていっておりますので、先を急ぎます。
 ちょっと角度を変えまして、中小小売業の労働時間の短縮の問題、先ほどもちょっとお話が出ていたようですが、中間答申では二十八ページに、中小小売業に働く皆さんの労働時間短縮を図る必要があるんだ、週休二日制の導入を推進していく必要があるということが書かれているんですが、これはどのように進めていくんでしょうか。労働省と中小企業庁に伺います。

○高橋(達)政府委員 小売業におきまして、労働時間が相当程度長い水準にとどまっているのが現状でございまして、こういった従業員の労働時間の短縮、そういった問題については、今委員御指摘がございましたように、昨年十二月の審議会の中間答申にも指摘されているところでございます。また、こういった労働時間の短縮を進めることが、中小小売商業における労働力の確保にも極めて重要なテーマになるわけでございますので、非常に重要な問題と認識をしているわけでございます。ただ、消費者サイドからの要望もございまして、営業時間を長くしていくということに相なりますと、これはむしろ時短とは逆の方向を目指さなければいけないということで、一種のジレンマに陥るわけでございますけれども、何とかその辺を調整して進めていく必要があるというふうに思っているわけでございます。

 具体的には、パートタイマーを効果的に活用するとか、あるいは時差勤務制を活用するとか、個々のお店での工夫もございますが、また、商店街振興組合などの組合全体で共同で取り組んでいくという問題につきましても、営業日をどうするか、あるいは開店時間、閉店時間をどうするかというような問題もございまして、これらを組合のベースでいろいろと研究していただきたいというふうに思っているわけでございます。

 そのような観点から、政府といたしましては、通産省、労働省が一緒になりまして現在国会に御提案申し上げているわけでございますが、いわゆる中小企業労働力確保法におきましては、福利厚生施設あるいは時短のための施設等々を組合単位で実行する場合に、計画ベースあるいは実際の設備の導入等につきまして手厚い助成をしていくということに相なっているわけでございます。また、その計画づくりに際しましても、いろいろ各種のアドバイザーも用意しておりますので、そういったアドバイザーの方々の指導、あるいは私どもとしても組合ぐるみの労働環境の改善のための調査事業等への支援の強化等々で対応を図っていく考えでございます。

○藤井説明員 お答えいたします。
 今中小企業庁の方でお答えいただきましたように、労働省といたしましては、ただいまの国会に提案申し上げております中小企業労働力確保法案、この中で中小企業の労働時間短縮を一つの柱として掲げているところでございます。これを軸にきめ細かな指導をさせていただきたいと思っているところでございます。
 ちょっときょうは担当者が来ておりませんので、こういったお答えで勘弁していただきたいと思います。

○江田委員 いい答弁をいただきました。
 もう一つ、この国会の重要法案である育児休業法案、これがございます。まだもたもたしているところなんですが、もしこれが成立したとなると中小企業への配慮というのが問題になります。これはしかし、進めていかなければならないことだろうと思いますが、育児休業制度、これは中小小売業にどういうふうに進めていこうとお考えでしょうか。

○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、育児休業制度を整備いたしまして意欲ある女性に働きやすい職場環境を与えるということは非常に重要なことだと考えておりまして、このような考え方のもとに、御指摘のように育児休業制度というのを今国会に提出申し上げた次第でございます。しかしながら、この育児休業制度の導入に伴いまして、当然のことながら中小企業の事業者には雇用管理の面で負担が伴うわけでございます。極めて魅力ある職場づくりのために重要な制度ではありますけれども、同時に、非常に零細な中小企業者につきましては、直ちにこれを導入するということになりますと、その負担というものも考慮しなければならない。

 かかる考え方に立ちまして、現在御提案申し上げております法案の中で、附則で、三十人以下の事業所については三年間の猶予期間というものを設けておりまして、その間に各種の、円滑な導入に向けて準備を行っていく、こういう考え方をとっておりまして、我々中小企業庁といたしましても、こういう三十人以下の事業所に係る中小企業の事業主に対しましては各種の指導支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

○藤井説明員 労働省としてお答え申し上げたいと思います。
 現在、参議院で育児休業等に関する法律案を御審議いただいております。この中では、三十人以下の事業所につきましては三年間の適用猶予ということで、その間に、しかしながらなるべく早く導入をしていただくことが必要かと考えておりますので、労働省といたしましても、きめ細かな雇用管理上の指導を行ってまいりたいと思っております。

 さらに、こういった育児休業制度が猶予期間中にも一日も早く導入されますように、そういった事業所の事業主に対する制度導入促進のための助成措置、これを平成四年度予算の中で要求してまいりたいと考えているところでございます。

○江田委員 婦人福祉課長、予算要求は私どもも応援しますので、これはぜひ頑張ってください。やはり今一・五七ショックというわけで、本当にこのような子供をつくることに対して社会的に非常に制約があるという事態を放置していたら、これは日本の社会に未来はないわけで、確かに中小小売店にすぐにというのはなかなか困難はあっても、やはりその困難を乗り越えていく努力をしていくことが政治なので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 さて、またちょっと話を変えまして、街づくりということについて伺います。
 今回の五法案では街づくりということが議論になっておりまして、ヨーロッパでは、都市計画の中でゾーニングという手法などを用いて土地利用を規制していく、商業地域の用途区分をきちんとやって詳細な計画もつくって街づくりをやっているわけですね。この小売店舗の法的規制については、なるべく競争を確保していかなければということから、ゾーニングということに対する消極論もあるようです。しかし、一方で私たちの国では都市計画法の中にきちっと用途地域の指定もある。我が国も決してゾーニングと無縁なわけではないわけですね。余りこの都市計画法の用途地域の指定は強い指定にはなっておりませんが、今回の特定商業集積の整備とゾーニングとの関係あるいは用途地域との関係について、これはどういうふうにお考えなのか説明してください。

○棚橋政府委員 私どもと建設省、自治省とのいろいろの調整で今回この特定商業集積法をお出ししているわけでございますが、内外の要請で流通構造も大幅に変わってきておる、消費者ニーズも高まっておるということで、また、一つの街の顔である商店街を高度商業集積の形等で育成していきたい、こういうことでこの法案を御提出しているわけでございます。従来も建設省を中心に都市計画の中で商業対策というのも当然勘案されてきたわけでございますが、今回私どもは、都市計画事業と大型店の出店等高度商業集積整備を総合的に推進するという観点で特定商業集積法案を提出しておるわけでございますので、そういう点で御理解をいただきたいと思います。

○江田委員 ちょっともう少し確認をしておきたいのですが、そうすると、特定商業集積ということは原則として商業地域あるいは近隣商業地域ということに限られるべきで、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域とかあるいは住居地域、こういうものは特定商業集積の場としては地域的に好ましくない、そういうお考えをお持ちだというふうに理解してよろしいですか。

○内藤(勲)政府委員 ゾーニングとの関連でございますけれども、先ほどヨーロッパの制度などの紹介がございました。基本的に、ヨーロッパの制度がどうこうというコメントは、その国の都市化の状況とかその都市における土地利用の状況とか都市政策の基本的な考え方の違いでいろいろかと思いますが、我が国の場合に、商業施設に関するゾーニングにつきましては、先生おっしゃいましたように、ドイツのような、そう限定的な土地利用規制を行っているわけではございません。ただ、今お話がございましたように、一種住専、二種住専などにつきましては大規模な商業集積はつくれない、そういうことになっておりますから、それ以外の場所ではつくり得る。

 しかしながら、私どもとして、基本的には商業集積ですから、商業地域とか近隣商業地域とか、そういったところに誘導したいところでございますけれども、それ以外のところがすべてだめかという話につきましては、我が国の場合には必ずしもそう限定はしておりません。具体の商業機能が一種住専、二種住専以外のようなところでは設置し得るということがございます。したがいまして、我が国の都市計画制度のもとではそういったことも可能であり、混在用途利用を認めた制度のもとで、それはそういうやり方でもやむを得ないのではないかと考えています。

○江田委員 可能か不可能かというと、それは可能だと答えざるを得ないけれども、しかし、商業地域、近隣商業地域というような用途地域もあるわけで、しかも特定商業集積ということでいろいろな政策誘導をするわけですから、そうするとその政策誘導としては、やはり特定商業集積というのですから、商業地域、近隣商業地域というところに誘導していきたいという気持ちを持っておる、逆に言えばそういうことじゃないでしょうか、簡単に答えてください。

○内藤(勲)政府委員 本法に基づく特定商業集積につきましては、基本的には商業地域、近隣商業地域に限定する方向で指導していきたいと思っております。

○江田委員 最後、今回の法案で街づくりということについて、これは街づくりというのは通産省所管か所管でないか微妙なところかもしれませんが、基本的に通産省、通産大臣として街づくりということについてどのようなお考えで対応をされようとしているのか。商業活動の調整ということだけなのか、いやもっとやはり歴史といろいろなこれまでの人々の、住民の営みの中で街づくりがされてきている、それはそれで尊重しながら、しかしよりよい街づくりのために通産省としても基本的なお考えがあるということなのか、これは大臣にぜひ最後にお答えいただきたいと思います。

○中尾国務大臣 商業は、地域住民の日常生活に直結した産業でございまして、交通、環境等地域社会全体との調和を図りながら発展していくことが肝要である、このような認識に立つものでございます。また、商業そのものは街の重要な構成要素となっておりまして、都市計画の推進に当たりましては商業集積のあり方に十分な配慮が、これまた必要だと思っておるわけでございます。

 このように都市計画と商業集積のあり方とは相互に密接に関連がございまして、大店法の規制緩和という我が国流通構造の構造変化のもとで、都市計画事業、大型店の出店あるいはまた商業集積整備等を総合的に推進する必要があると考えるものでございます。このような観点から、特定商業集積と公共施設と一体的に整備することによりまして、商業の振興あるいはまた良好な都市環境の形成を図るために特定商業集積整備法案を提案いたし、また審議いただいてきたところでございます。本法案に対しましては、商業集積を核といたしました街づくりとしての地方公共団体、地元商業関係者、流通企業等からの関心と期待が現在非常に高く寄せられているところでございます。
 以上でございます。

○内藤(勲)政府委員 恐縮でございます。先ほどの表現、ちょっと穏当を欠いたかなと思いましたので……。
 高度商業集積、これは基本的に商業集積ございますから、現在の用途規制の関係では商業地域、近隣商業地域、そういったところを想定しているということでございますが、限定という表現を私ちょっと使ったものですから、そういう方向で指導してまいりたいのですが、住居地域などでもいろいろの手法を講ずれば商業集積が可能な場合がございますので、それはあり得る。ちょっと言葉の修正でございますが、限定という表現では必ずしも適当でないということで、修正させていただきます。

○江田委員 どうも実は、質問しないのにまた答弁されて、よくわかりませんが、いずれにしても時間が来ましたので、終わります。

○奥田委員長 以上で内閣提出、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案、輸入品専門売場の設置に関する大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の特例に関する法律案、特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法案、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び中小小売商業振興法の一部を改正する法律案の各案に対する質疑は終了いたしました。


1991/04/22

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