2000/04/13

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政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会会議録


○桜井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。

○赤城委員 おはようございます。
 今、国民の多くがパソコンを持ち、インターネットを利用して情報を収集したりしております。政党や政治家にとっても、これからますますインターネットを使った情報のやりとりということが大事になってくるかと思います。一方で、選挙においてどういうふうにインターネットを利用していくかという問題になりますと、いろいろ問題点も多いかと思います。

 これは韓国での例ですが、韓国ではコンピューター通信を使った選挙運動が認められております。ところが、インターネットの匿名性を利用して対立候補の人格攻撃を行うようなケースが後を絶たない、繰り返し相手候補を中傷した出馬予定者が逮捕される、こういうふうな事態も起こっております。

 インターネットと選挙のあり方というものについて、まず大臣から基本的な考えを伺います。

○保利国務大臣 パソコン等が普及をいたしまして、インターネットもひところでは考えられないような大変な普及をしておるわけでございます。

 選挙とインターネットとのかかわりについての御質問でございますけれども、公職選挙法で言っております文書図画というのは、文字もしくはこれにかわるべき符号あるいは象形を用いて、物体の上に多少とも永続的に記載された意識の表示をすることでございます。すなわち、およそ人の視覚に訴えるものは文書図画としてとらえておりまして、したがって、インターネットのホームページなど、コンピューターでのディスプレーに表示される画面は公職選挙法上の文書図画に当たるものと解しておるところでございます。

 コンピューターのディスプレーを公衆の面前に据えておくような場合は公職選挙法で言います掲示に相当いたしますし、また、不特定または多数の人の利用を期待してホームページを開設するということは頒布に該当するというふうに解しているところでございまして、現行の選挙制度上は、これは使い得ないというふうに解釈をいたしております。

○赤城委員 今、大臣から大変具体的なお答えをいただきました。現行の公職選挙法上ではインターネットのホームページを選挙運動のために使用することは一切禁止されている、こういうことだと思いますが、各国の例なども見ながら、これから選挙あるいは広く政治活動にとってインターネットとか新しい情報通信の手段をどのように活用し、また、それには光の面と影の面とあろうかと思いますから、どのように規制をするなり制御していくといいますか、利用していく、両面ありますが、そういうことを考えていかなければならないかと思っております。

 それでは、以下、具体的に聞いてまいりたいと思います。
 公職の候補者、立候補予定者や現職の議員、または第三者が、選挙運動期間以外の通常時においてインターネットのホームページを政治活動のために使用することは自由と考えますが、選挙期間中においてホームページを新たに開設したり書きかえたりすることはどうなのか。また、候補者等の氏名や氏名を類推される事項を表示しているホームページを新たに開設したり書きかえたりすることはどうか。さらに、選挙運動期間中に、候補者等の氏名を表示しているホームページを新たに開設したり書きかえたりせずに、通常時に掲載されたものをそのまま加工せず、放置していくということであればどうか。これらの点についてお答えをいただきたいと思います。

○片木政府参考人 お答えをいたします。
 公職の候補者が選挙運動期間中に政治活動のためにホームページを開設いたしましたり書きかえたりいたしますことにつきましては、選挙運動に該当しない限り特段の規制はないところでございますが、公職選挙法第百四十六条第一項というのがございまして、この中で、選挙運動期間中は、選挙運動用文書図画の頒布の禁止を免れる行為として、候補者等の氏名や政党の名称等を表示する文書図画を頒布することができないとされていることから、これに該当いたします行為につきましては制限されるものと考えております。

 次に、選挙運動にわたらない政治活動のためのホームページを選挙運動期間前に開設いたしましてそのまま選挙運動期間中に掲示するということにつきましては、特段の規制はないところでございます。

○赤城委員 ちょっと今の点よくわからなかったのですが、選挙期間の前に開設されたものをそのまま掲示するのは構わない、しかし新たに開設したり、書きかえたりする場合は、公職選挙法の百四十六条第一項、それに当たるかどうかということで判断が分かれるようですが、それがどういう場合に当たるのか、どういう場合に当たらないのかは、これは実態判断というように聞こえましたけれども、そこら辺の基準がなければそれを開設する側としては非常にやりにくいと思います。そこら辺を具体的にどういうふうに判断されるのか伺います。

○片木政府参考人 お答えいたします。
 ただいま申し上げました公職選挙法第百四十六条の規定でございますが、「何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条」、これは文書図画の頒布でございます。「又は第百四十三条」、文書図画の掲示の規定でございます。「の禁止を免れる行為として、」先ほど申し上げました「公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。」とされているところでございます。

 この規定の趣旨でございますが、実際は選挙運動のために使用しながら、外形的には、今申し上げましたような、いろいろな名義をもちまして広告を装いまして免れる行為を規制するというのが本条の趣旨でございまして、その判定に当たりましては、時期、場所、方法等総合的に判断して、該当するかどうかを判断するということになるわけでございます。

 先生御指摘のように、具体の事案につきまして具体のケースで対応するということにさせていただいておるわけでございます。

○赤城委員 なかなか具体のケースで文書図画の頒布、掲示を免れるかどうか、そこら辺が非常に限界的なものもあると思います。

 ところで、同様のことですが、政党や政党支部その他政治活動を行う団体が、同じようにホームページを新たに開設、書きかえたりする場合はどうか。または、候補者等の氏名や氏名を類推される事項を表示しているホームページを新たに開設したり書きかえたりする場合、さらに、選挙運動期間中に候補者の氏名等を表示しているホームページを、通常時に掲載したものをそのまま加工せず放置しておく場合、いずれについても、政党や政党支部その他政治活動を行う団体がこういうことを行った場合にどうなるかということを重ねて伺います。

○片木政府参考人 政党その他の政治活動を行います団体が、選挙運動期間中に、政治活動のために候補者等の氏名または氏名類推事項が記載されていないホームページを開設いたしましたり書きかえたりすることは、選挙運動にわたらない限り、差し支えないものとなっております。しかしながら、公職選挙法第二百一条の十三第一項第二号におきましては、政党その他政治活動を行う団体は、選挙の期日の公示または告示の日から選挙当日までの間は、政治活動のため掲示または頒布する文書図画に、当該選挙区の特定の候補者の氏名または氏名類推事項を記載してはならないとされております。

 したがいまして、ホームページに特定の候補者の氏名または氏名類推事項が記載されているものにつきましては、選挙運動期間中に開設いたしましたり書きかえたりすることはできないということでございます。政党その他の政治活動を行う団体が、選挙運動にわたらない政治活動のためのホームページを選挙運動期間前に開設いたしまして、そのまま選挙運動期間中に掲示することにつきましては特段の規制はないところでございます。

○赤城委員 選挙運動期間前に選挙運動にわたらないものをそのまま掲示しておくことはよろしいと、また特定の候補者を類推されぬようなもの、またはその氏名を明らかにしないものであればまたよろしいということであると思いますが、それではちょっと具体的に、こういう場合はどうか伺います。

 選挙期間前に、ある政党が、何々党は党内が政策面でばらばらで、共通の結論は法案に反対することだけ、それに対して我が党は法案も出し、徹底的な審議も尽くし党内が一致している、こんなふうなホームページを出しました。これを選挙期間中そのまま掲示しておくということは公選法上どうなるでしょうか。

○片木政府参考人 お答えをいたします。
 公職選挙法、別の規定になりますが、第二百三十五条で、虚偽事項の公表罪というのがございます。行為の時期にかかわりませず、特定の候補者等の当選を得る目的で他の候補者等の身分、職業もしくは経歴等に関しまして虚偽の事項を公にすることを禁止いたしますとともに、特定の候補者等の当選を得させない目的で当該候補者等に関し虚偽の事項を公にしまたは事実をゆがめて公にすることを禁止いたしております。

 したがいまして、御指摘のホームページがこれに違反するかにつきましては、特定の候補者等の当選を得る目的、または当選を得させない目的でなされたものであるかどうか、かつその内容が虚偽の事項等に当たるかどうかということによるわけでございますが、いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するかどうかは、行為の実態に即して判断されるべき問題というふうに考えております。

○赤城委員 今大変具体的な事案でお聞きしたので、その場合場合の判断であるということであってはちょっと困るのでありまして、それからもう一点は、その特定の候補者のことを言っているわけではありませんし、また虚偽のものを言っているわけではない。普通、政党がホームページを出すときに、我が党はいかにしっかりしたすばらしい政策をやっているか、それに対してほかの政党はいかに問題があるか、こういうことをよく掲示することがあり得ると思います。そういう、政党がほかの政党に対して、この政党はこうである、我が党はこうである、こういうものを掲示しているそのホームページはどうか、こういうふうに伺っているので、重ねてお答えください。

○片木政府参考人 御質問のケースにつきましては、あくまで個別の事案に即して判断すべき問題ではございますが、お聞きいたしております限りにおきましては、先生もおっしゃいますとおり、公選法の虚偽事項の公表罪になかなか当たらないということを前提といたしまして、先ほど申し上げました、政治活動を行う団体の政治活動のためのホームページであるということになりますと、先ほど三番目に申し上げました、選挙運動期間前に開設をいたしましてそのまま選挙運動期間中に掲示することについては特段の規制はないという結論かと思いますが、ちょっとくどいようでございますが、やはり具体の事例等に即して判断すべき問題だと考えております。


○島委員 民主党の島聡でございます。

 本日十三日は、韓国で総選挙が今開かれているところでございます。この韓国総選挙、随分たくさんの方が出ていらっしゃるわけでありますが、千三十八人が出ていらっしゃるそうであります。恐らく非常に大変な選挙戦が展開されていると思いますが、その千三十八人中四百七十人がインターネットのホームページを開いておりまして、サイバー選挙が到来したというふうに今言われている状況でございます。

 本日の質問は、このインターネットを選挙にどう使っていくかということについての質問でございます。

 たびたび、私、これを質問しますと、それは各政党間、各会派間で御議論をいただいてというような意見になります。この政党各会派というものになった端緒は、平成八年のときに新党さきがけに対して自治省行政局選挙部選挙課名で出した、いわゆるインターネットのホームページというのは文書図画に当たる、公職選挙法の文書図画に当たるというところから、インターネットのホームページを公職選挙法上はなかなか使いづらくなってきているということにあると思います。

 私は、きょうは、いわゆる、行政局選挙部選挙課が平成八年十月二十八日、当時の新党さきがけ政策調査会長に出したその解釈が、どうも時代に合わなくなってきているんじゃないかという観点から御質問を申し上げます。極めて技術的なこともあると思いましたので、かなり詳細に事前通告を出しておりますので、大臣と議論をさせていただきたいと思っておる次第であります。

 解釈の問題ですので、まず、法律の解釈とかそういうことに対して大臣はどうお考えかということをお聞きしたいと思います。といいますのは、例えば、解釈も時代の変化に応じて自由にやり直すべきかどうか、政治家として、大臣としてどう考えるかということであります。

 例えば、アメリカ合衆国憲法というのがあります。アメリカ合衆国憲法修正一条から十条。アメリカ合衆国憲法は、御存じだと思いますけれども、例えば大統領順位継承権もアメリカ合衆国憲法で決まっております。そのように、日本の憲法よりもかなり具体的なことが書かれた憲法でありますが、その修正一条から十条。これは一七九一年にできたものでありますが、それが人民の基本的権利を定めたものでした。ところが、一七九一年当時は黒人に白人と同じ権利というものはなかったのです。ところが、時代が流れて、それではおかしいだろう、特に憲法改正というものを行わないで、権利を白人以外にも及ぶようにした、いい方向なら解釈を拡大していった方がいいだろう、そういう考えで。これは私は賛成するわけですが、まず大臣、これについてどう思われますか。

○保利国務大臣 今お尋ねのお話は、アメリカの憲法の解釈論の御質問と私は承りますが……(島委員「法律解釈」と呼ぶ)解釈そのものというのは、やはりその法律ができたときの原点に立ち返って、なぜこの法律ができたのかということで、解釈のもとの意味といいますか、第一義を決めていくのが、これは個人の考えですが、趣旨ではないかなと私は思います。

○島委員 おっしゃるとおりだと思います。もちろん、このアメリカ憲法も基本的人権を守れという意味ですから、それはその方向の解釈ならいいだろうという話だと思います。

 文書図画の問題について、公職選挙法百四十二条が文書図画を制限しているのは、不当の競争を招くのではないかということでつくられたものだと思いますが、この文書図画が不当の競争を招く、どんな点が不当の競争を招くというふうに原点ではもともと考えられたというふうに大臣はお思いですか。

○保利国務大臣 選挙運動におきまして、文書あるいは図画をどんどん配布していくということになりますと、その配布能力あるいは製造能力を持った者が勝つ、いわゆる紙爆弾とよく世上言われておりますが、そういうものが余り横行してはならぬ、そういう趣旨で、所定のものは許されるわけでございますが、それ以上のものを量産的にどんどんつくられるということについては一定の制限を課すべきだ、こういうふうな考え方でつくられたものと考えます。

○島委員 いわゆる経済的な問題も含めてということだと解釈してよろしいですね。

○保利国務大臣 遠回しに言えばそういうことになるのかもしれませんが、どんどん紙をつくれる者が当選に結びついていくということが果たしていいのだろうかということから、一定の制限を設けられたものと考えます。

○島委員 今はその前提ですので、今のお話を承った上で、まず事実確認を申し上げます。
 電話による選挙運動というのは、現在は法律上制限されていないので自由である、それでよろしいですね。

○保利国務大臣 現実の選挙においても、電話作戦というのは随分行われておりますし、また、それは法律上も許されることだと承知しております。

○島委員 電話による選挙運動は法律上制限されておりません。今大臣おっしゃったとおりで、自由であります。候補者、総括主宰者等重要な地位を占める人たちが計画的に電話による選挙運動を指令した場合には、その費用をきちんと選挙費用として出せばそれで合法であるという話になります。

 委員長に事前に御了解を得ておりますが、これは電話であります。この電話でありますが、これはiモードといいまして、ここに画面がありまして、この画面でメールのやりとりを皆さんがします。ここには「あいうえお」と書いてあって、若い方は二本指でぽんぽんぽんと打って、これで電話をしています。メールと電話、これがほとんど一致して使っておられます。ということは、普通の感覚でいけば、これはメールと電話という区別がつかないわけでありますから、これにおけるメールの選挙運動は自由と考えてよろしいですね。

○保利国務大臣 随分世の中が進歩したものだなと思います。携帯電話というのは、私が子供の時代は夢のものでありましたけれども、現実のものとなって、今や普通の電話よりも多くなってきた、そういう社会情勢があるということは私もよく認識をいたしております。

 ただ、選挙法の問題からいいますと、ディスプレーにあらわれましたものを利用して選挙運動をやるということになりますと、これは文書図画の類に入るというふうに私どもは思っております。

○島委員 文書図画に入ると私どもは思っていますと。これを見て、本当にまるっきり話すつもりで、とんとんとんと皆さんやられるのですよ。それが文書図画とは私には思えないのです。例えば、今、保利大臣頑張ってくださいというふうに打ってぱっと出る、それがどうして文書図画になるのですか。

○保利国務大臣 文字や象形にあらわれたものは文書である、そういう解釈であります。

○島委員 そういう解釈でありますと。それは、今も申し上げたように、そういう解釈を平成八年にはしたのですよ。そのころ選挙課がそういう文書を出したのだけれども、それを、過ちであった、けしからぬと言うつもりはないのです。つまり、わからなかった、そのころは。今保利大臣おっしゃったように、そこまで発展すると思わなかったのですよ。

 それで、アメリカの商務省が出したデジタルエコノミー2というのがありました。五年前に私たちが予測した一番楽観的なものを超えて、質的にもこのデジタルエコノミーの社会は発展している。これはアメリカ商務省だからエコノミー。同じようにデジタル社会というのは発展しているのです。若い人はこれを本当に電話と同じように使っている。これを、文書図画と解釈します、私どもはしていますというのは、どう見ても私は納得できないし、しないと思います。

 政治家同士の議論というのはそこだと思います。官僚は、そういうこともあって、平成八年にそういうことも議論した、そういうふうに書いた。だけれども、それはきちんと見て、そしてその上で、おかしかったらちょっと解釈をし直せということを指示するのが政治家たる者の使命であると私は思います。

 もう少し、こんなに矛盾があるということをどんどんお聞きいたします。

 ホームページというのは、御存じのように、インターネットで見ます。実は、これでもインターネットのホームページを見られます。見られるわけでありますが、そのホームページを文書図画――文書図画というのは、例えば封書、はがき、スライド、映画、ネオンサイン、アドバルーン等ということで、スライド、映画、ネオンサインと同じようにホームページを当時は思っていた。違うのですよ、これは。

 さらに、ちょっとここをお聞きします。矛盾というのでお聞きしますが、テープレコーダーのテープに政見を吹き込んでこれを頒布しても文書図画を頒布したことにならないとあります。今のインターネットのホームページは、御存じのように、音声が出ます。だから、私のホームページを真っ黒にして、象形を何も出さずに音だけで、島聡はこういう政策を持っています、頑張ります、よろしくお願いしますと言ったら、これはテープレコーダーとどう違うんですか。

○保利国務大臣 人の視覚に訴えるものを文書図画としてとらえておりまして、したがって、御指摘のような音声を録音したテープレコーダーのテープは、これは文書図画には該当しない。

 しかし、一方で、御指摘のような音声によるホームページにつきましては、あわせて文字等による記載あるいは人の視覚に訴えかける部分もあるのであれば、公職選挙法上、文書図画と解されるものであります。このようなホームページを選挙運動のために利用することはできないということでございまして、場合によっては文字があらわれるかもしれないというおそれがあるところは、慎重にお構えになった方がよろしいのではないかと思います。

○島委員 これはぜひインターネットで流している人に聞いてもらいたいんですけれども、要するに、真っ暗にしておいて音だけ出せば大丈夫。これはどう考えてもやはり矛盾していますよ、いろいろな意味で。矛盾していたら――私はこれを矛盾しているからけしからぬと言っているんじゃない、何度も言います。当時は確かにインターネットのホームページというと紙芝居と思ったかもしれないです、それは。だけれども、これだったらできる、今のようにどんどん変わってきているんですから。繰り返しますが、ぜひもう一度検討し直していただきたいというふうに思います。

 これはちょっとここで切りまして、次の話をします。また同じことを言います。
 インターネットのホームページにチャットというのがあるのを御存じですか。

○保利国務大臣 チャットという言葉は、私も余り詳しくはないんですが、パソコン用語辞典なんかから調べてみると、「パソコン通信サービス上でリアルタイムにメッセージをやり取りし、おしゃべりすること。一対一のもの、多人数でできるものなどがある。手元のキーボードから打ち込んだ文字が相手のディスプレイに表示され、相手のキーボード操作が手元に表示される。次々にメッセージを送り合うことで会話を行う。同時に同じホスト・コンピューターに接続しているパソコン間で行うのが一般的だが、LANなどネットワーク内のパソコン同士を結んでもできる。最近では、インターネット上においてもブラウザーの機能をアップするプラグインというソフトが実現している。」というのがチャットの解釈なのでありまして、実は私も、申しわけない、これは余り詳しく存じておりませんでした。

○島委員 結構です。
 ぜひ一度使っていただくといいんですが、チャットというのは本当にリアルタイムでぽんぽんと、今最初に電話のメールの話をしたと同じように、今の若い人、私も若い方だと思っていますが、ほとんど、自分でリアルタイムに打ち込んで、そこで会話をするんです。会話をして、例えばそこで政策論争もできるんです、具体的に言いますと。政策論争ができて、もちろんそこに文字、形象、あらわれます。インターネットで、公職選挙法はどうかということ等そうやって議論をします。議論をして、それに対してまたすぐ答えます。これが今何度もおっしゃっておられる文字、形象にあらわれたるもの。会話と文字、形象にあらわれたるもの、これは会話なんですね。

 例えば、具体的に言うと、どこかのミニ集会で私が話をしているかわりに、そういうインターネットを使ってミニ集会をやっているわけです、そこで。民主主義の最たるものでありますね。たまたまそこにおれない人までやれるわけですよ。それもやはり文字にあらわれるから文書図画なんですか。

○保利国務大臣 大変恐縮ですが、多少年代の差を感じる。
 私どもの解釈からいきますと、そういうディスプレーの上に文字あるいは象形があらわれれば、それは文書図画であるというふうに判断をいたしております。

○島委員 このやりとりにつきましては、それこそ私の方できょうじゅうに私の知り合いのインターネットの仲間に流しますので、どういう反応があるかをお届けしますので楽しみにしていただきたいんですが、明らかにそういうことだと思います。

 もう一つ。当然、今申し上げたことは、全部、解釈というものが時代おくれになっている。それを責めているわけじゃありません。四年前というのはそういう解釈でも仕方がなかったかもしれないと思います。だけれども、もう進んでいるわけですから、その解釈を変更すべきだということを政治家として御指示いただきたいということで質問をしております。

 同じように、今度は、先ほども別の議員がお話をしておられました在外選挙の問題についてもこの問題が、これを大臣が英断されると在外選挙も随分便利になるんじゃないかということから質問を申し上げます。

 在外選挙が五月一日から可能になる。私が聞き及ぶところによりますと、政党からの例えば選挙活動は自由だけれども、日本にいれば普通わかるような選挙公報等は送らないと聞いております。それは事実ですか。

○保利国務大臣 御承知のように、衆議院選挙の運動期間は十二日間であります。
 選挙公報は、届け出の日に、集まった原稿を取りまとめて、そして印刷にかけるという、それでしかも順序とかいろいろな難しい手だてを講じながらやっていくわけでございまして、少し時間がかかるのは御承知のとおりであります。

 そういうことから考え、さらにまた海外で投票を行われる方は実際の投票日の五日前には投票をしなければならないというようなことから、両方から攻めてまいりますと、いわゆる選挙公報というのを出すのは難しいというよりも、物理的にできないという状況と判断しております。

○島委員 それでは、海外の投票される方は、どういう基準、あるいはどういうことを考えて自分の一票を行使される、つまり情報の格差というのが圧倒的にあると思うんですが、それについてはどう思われますか。

○保利国務大臣 海外の方々の投票は、今回の場合、比例代表の、政党に対する選挙の投票だけでございます。

 それにつきましては、NHKの国際放送でありますとか、あるいは新聞等を通じて、どの党が立候補の届け出をしたか、これは比例の届け出でございますが、それを知るという形で、海外の方に知っていただくということが一つ。

 それから、公示日以降速やかにというのは公示の日でございますが、届け出の政党の名称などを一覧表にしまして、その一覧表を在外公館にファクス送信を行うことなどによりまして、在外公館から一覧表で閲覧ができるような状態にするということで、今外務省とも協議を行っているところであります。

○島委員 今、五日前に投票をしなくてはいけないから不可能だとかいろいろおっしゃいましたね。十二日間で、五日前ということですね。

 それは送ったりするから大変なのでありまして、これもインターネットのホームページを使えばあっという間にそれは見られるわけですよ。特に海外におられる方、全員がホームページを持っておられるかどうか、インターネットにアクセスできる環境かどうかということはわかりませんが、例えば中国でも今インターネットカフェというのがかなりはやっています。盛んです。あるいは、在外公館あちこちにあれば、端末があれば、そこに行けばできます。

 そうすれば、五日前ですから不可能ですと、これは本当に、さっき年代の差を感じるとおっしゃいましたが、先ほど申し上げたように、きょうの私の議論は、これが終わった瞬間に、私の秘書がすぐに、こういう議論がありましたとぱっと瞬時に出しますから、恐らく二十分以内には全部広がるはずであります。五日前ですからだめですと。今、御存じのように、ドッグイヤーと言われて、IT革命の世界においては、犬が年をとるように、一年が七年と言われていますけれども、五日もあればという感じが私の感覚ではあります、逆に言えば。

 具体的に申し上げますが、これは政党の選挙ですよね。政党の選挙で、それをテレビで見るとか、それからいろいろな新聞で見るだけだったら限られております。在外選挙が初めて行われるわけで、そこにおいて、一体どういう政党がどういう政策を持っていて、そしてそれをどうするかということに関してやるならば、インターネットがきちんと使える、インターネットのホームページが文書図画じゃない、つまり、法律において規定されていたものじゃなかったということだけの解釈をすれば、非常に在外選挙の選挙人に情報を与えることができて選挙人の優位性を高めると思うんですが、どうですか。

○保利国務大臣 選挙公報は所轄の選挙管理委員会が中心になってつくるものでありますから、いわば公的な文書でありまして、個人の候補者がやります文書とはちょっと違うだろうと思います。そこは分けて考えなきゃいけないのだろうと思います。

 ただ、インターネットに選挙公報をつくるという作業そのものが今すぐできるかといいますと、枠のはめ方とかあるいは政党の順序でありますとか結構いろいろな要素がございまして、研究をしていかなければならない要素だとは思いますが、今すぐの実現というのは困難であろうかと私は思います。

○島委員 一体どなたにお聞きになったかは知りませんが、ホームページをつくることはそれほど難しい問題ではありません。今おっしゃられたように順番の立て方とかそういうことはあるでしょう、それは多分ルールが一つあるでしょうから。

 例えばうちの事務所ですと、女性秘書が一人で私のホームページを全部やっています。しかもそれは専門性がある人ではありませんでした。文科系の大学を出られて、私が三カ月ぐらい特訓をしたら全部できるようになりましたから、そんな難しいと思われなくて結構ですから、ぜひともそれを考えていっていただきたいと思う次第でございます。きょうの質問に流れておりますのは、本当にこれだけであります。

 最初に解釈の御質問を申し上げて、そのときに、経済的な問題もありますねということがありました。確かに、当時そんなことがあったのです。ホームページをつくると差が出てくる。だから、経済的な問題もあって、いわゆるお金がかからない選挙ということをやっているのに対して、大丈夫なんだろうかという議論もあったわけです。

 大臣、お使いになったことがあるかどうかは知りませんが、ちなみに、メールと電話をかけるのとどっちが安いかおわかりになりますか。

○保利国務大臣 大変恐縮でございます、私はどちらが安いか存じません。

○島委員 私が使い回しているこのiモードのメールですと、一メール一円です。ちょっと長くて二円で終わります。選挙運動をやっている政治家ならだれもがすぐ計算ができると思いますが、数が多ければ多いほど極めてコストが安くなるわけであります。ホームページ自身も、今申し上げたように、例えば昔は外注をすると技術がまだ進んでいませんでしたから非常に大変でありましたけれども、ホームページをつくるソフトというのは大体一万円か二万円で買えます。それを使ってやればすぐにでき上がるわけであります。

 恐縮でございますが、きょうは大臣にインターネットの講義をさせていただいたような、そんなことをやるつもりはなかったわけでありますが、要するに、今時代はすごく流れているんですよ。最初におっしゃったように、公職選挙法の百四十二条、やはりビラをばあっとまくとお金がかかり過ぎるということがあったと思います。それも一つにあったと思います。そうしたら、今どんどんIT革命が進んでいて、自分たちの持っている抱負経綸というものを余りコストをかけずに、IT革命というのは基本的に流通コストを下げることですから、情報も流通コストが下がっていくわけです。

 政策本位の選挙、そしてまた政策本位の政治をつくっていくためにも、インターネットというものを十分研究していただく必要があると思うんです。そう言うと、各党各会派の御議論をもとにという話に必ずなりますから、そうではなくて、これは明らかに解釈が、間違っていたとは言いません、当時はこれで正しかったのだと思うんですが、今時代が進んだわけだから、その解釈をもう一度再検討しろ、そういうふうに政治家としていわゆる事務方に御指示をいただけますか、どうですか。

○保利国務大臣 時代の流れというのは私も痛切に感じておりますし、私のところの事務所でも若い秘書がインターネットを使っております。ですから、そういうのがこれから先ずっと進んできて、いわゆるIT革命が起こり、そしてそれが極めて一般化する姿になってくる時代が来るのかなという予感はいたしますけれども、まだ全体というほどではないのではないかという感じがいたしておりますので、その点は多少意見が違うかもしれません。

 今すぐこれを採用することについて検討しろ、あるいは解釈を変えることを検討しろと言う気は私はございませんが、どうぞひとつ議会の中で、これは選挙運動にかかわることでありますから、各党各会派、お若い方もいっぱいいらっしゃいますので、ぜひ御論議をいただいて一定の結論を出し、議会として決定をされれば、それは自治省としても従っていかなきゃならないということになろうかと思います。

○島委員 恐らく、先ほど認識が違うとおっしゃった点、今インターネット人口は一千二百万になったと言われています。これから非常に爆発的にふえていくでありましょう。さらに、技術革新もどんどん進んでいくでしょう。それが、民主主義の中において政治を変革していく最も大きなことになっていくと私は思っております。

 そのときに、例えば今、若い人は投票率が非常に低いとか、そういうこともありますね。そういうことを実現するためにも、今はすぐにできないとおっしゃったわけでありますが、大変残念であります。ここまできちんと矛盾点を追及したわけですから、政治家と政治家同士の議論をしようというふうに国会改革でなったわけですから、できたらこの場で政治家としての御判断を――本当に政治家としての御判断がそれならば、保利大臣ももう少し勉強して新しい時代に適応していただきたいと思うし、これが終わってからでも結構ですから、ぜひとも政治家として御判断いただきまして、また御指示いただけたらいいのではないかと思っております。

 終わります。ありがとうございました。


○林(幹)委員長代理 次に、達増拓也君。

○達増委員 自由党の達増拓也でございます。

 まず、洋上投票、在外投票の準備状況について伺いたいと思います。
 さきの台湾の大統領選挙は非常に盛り上がりまして、世界各地に散らばっていた台湾の選挙権を有する人たちが必死になって、必要であれば台湾に戻って投票した。やはりそういうことが期待されて、今回の我が国におけるこういう改正にもなったと思っております。

 ただ、国民の権利の行使でありまして、今までそういう権利がなかった、投票できなかった、それが権利を持って投票できるようになるということでありますから、外国で働く、外国に居住する日本人というのはある程度覚悟を持ってそうしているわけでありまして、そういう意味では、余り手とり足とりお世話をするという発想ではなく、一義的には、権利を行使する側がそれなりに自助努力をすべきものだというふうに考えております。

 その上で、国内においても不在者投票制度の弾力的な運用などという工夫が行われている、そういう工夫で、権利を行使するぞという在外邦人または洋上の皆さんの権利行使がスムーズにできるような工夫をしていただければと思うんですが、その辺の準備状況、洋上と在外、それぞれについてお願いいたします。

○保利国務大臣 委員は海外の御経験がございますし、外務省にずっとお勤めでございますので、海外にいる者が投票したいという気持ちを持っておられるということをよくつかんでおられるだろうと思います。私もまた、二十数年前でありますが、フランスに五年ほどおりまして、父親が政治家であったことからも投票したいものだというふうに思ったことがあります。ようやくここで、ことしの五月一日以降に公示される選挙から、在外選挙人の方が投票するという制度ができまして、実施に移るところでございます。

 現在、この制度の周知及び在外選挙人名簿への登録などの促進については、ポスターとか、あるいはリーフレットなどの配布をしたり、テレビとかラジオ、新聞などでメディアを活用して、国内外に啓発をしているところでございますけれども、登録の申請者数は、三月末の時点で五万三千六百六十七人という数字になっております。申請者でございますから、登録者はもうちょっと減るわけでございまして、四万一千ぐらいの数字になると思います。

 こういう状況でございますが、今後また、このところ大体一カ月間六千人ぐらいずつの割合でふえていっておりますので、登録者数はふえていく可能性があると思っております。しかし、まだまだ不十分だと思います。そうしたいろいろな問題について、今後、各選挙管理委員会やあるいは在外公館等にいろいろお世話になりまして、説明会などをやりまして、事務手続及び管理執行体制についていろいろ助言を行ったりいたしておるところでございます。

 それから、洋上投票でございますけれども、これもまた五月一日以降公示される衆議院選挙あるいは参議院選挙から実施されるということに相なりました。これは大分昔から御要望がございまして、海洋婦人会でありますとか、海員組合でありますとかからも、船の上から投票できるようにしてくれと。ただ、技術的な問題がかなり難しくて、これはなかなか実現しなかったんですが、ファクス投票、それも秘密が守られる形のファクス投票のやり方が開発をされまして、それで投票用紙等も大体今月いっぱいには用意をしておくというような状態にまで来ております。

 そんなことで、小冊子をつくったり、あるいは都道府県の選挙管理委員会や海運会社などにそうしたものを配ったりして、いろいろ準備を進めているところでございます。

○今井政府参考人 外務省といたしましても、自治省と協力しつつ、在外公館を通ずる登録申請を促進するためにさまざまな努力を行ってきておるところでございます。

 まず、在外選挙が導入されたことを特に在留邦人の方々に周知していただくというための広報を行っておりまして、具体的に申しますと、東京におきましては、国際協力事業団であるとか、国際交流基金であるとかそういう政府機関、それから経団連、日本商工会議所等の民間団体にお願いいたしまして、海外に赴任する人たちに、この選挙の存在と、それから意義を知っていただくための協力をお願いしているというところでございます。また、海外におきましても、外務省、自治省の職員が出張いたしまして、現地で説明会を開くだとか、現地の日本語の新聞、あるいは日本人会の会報等、さまざまな手だてを使いまして広報に努めてきております。

 さらに、在外選挙人名簿への登録申請は、原則として申請者が各在外公館に赴いて手続をとっていただくということになっておりますので、在留邦人の便宜を図るために、在外公館の職員が在留邦人が居住している遠隔の地に出張いたしまして、そこで登録申請の受け付けを行うというようなこともしておりますし、また在外公館の所在地の周辺におきましても、在留邦人の集まる日本人会の会合だとか、あるいは日本人学校、補習校の会合だとか、あるいは企業事務所が多く集まっているような地域等にみんなに集まってもらって、そこへ職員が出向いて登録申請の受け付けを行うといったような努力をしているところでございます。

○達増委員 オーストラリアやシンガポールに在住の日本人の皆さんで、インターネットを利用して情報交換をしながら日本の政治について議論をしているようなグループのメンバーから、手紙、電子メールをもらったことがありまして、非常にそういう関心があちこちに高まってきているんだと思いますので、ぜひそういう思いにこたえる運用をしていただきたいと思います。

 さて、インターネットの話であります。きょう、先ほどから議論が続いておりまして、選挙期間中のホームページ利用の可否、要は文書図画に当たるのであればだめだ、簡単に言えばそういうことだと思います。

 今のホームページの現状、確かに安く簡単にだれでもつくれるようにはなってきておりますが、一方では、これはもう国会議員の皆さんのところに、十万円でつくるとか、百万円出せばこのくらいのものができるとか、お金さえかければすごいものができる、そういう現象も実際ありますし、特に才能が要求される分野ですので、ホームページデザインの一流の人、カリスマホームページデザイナーなどという人が出てきますと、何千万円よこせとかいう話になってくる危険性もあると考えておりまして、自由党としては、やはりそういう、いわゆる全面解禁といいましょうか、完全自由自在なホームページ利用というものについてはちょっと慎重なわけであります。

 公職選挙法というのはいわばゲームのルールでありまして、ポスターの枚数とかはがきの枚数、なぜこの枚数かというのは、やりやすいように、効果的な選挙ができるようにという中で一定の縛りをかけていくものでありますから、自由党は、ふだんの政治活動についてはホームページは全面的に活用して、いわば時代はE政治だと思っております。Eビジネス、Eコマース、Eトレード、政治についてもE政治ということで、インターネットを活用した政治というのは、平時においては全面的に展開しなきゃならないとは思っているのですけれども、選挙期間中においてはそれなりの制約もあり得るのかなと考えているのです。

 ただ、一般の方の間でインターネット普及率が非常に高まっている中で、こういう工夫はあり得ると思うのです。それは、サーバー、ホームページを置いておく場所ですね、それを選挙管理委員会が用意して、いわば今まで新聞に折り込んで配る選挙公報のような形で、大きさとかフォーマットを一定のものとして、各候補者につくってもらったものを掲載するとか、あるいは選管の方で写真や履歴をもらって、それを一定の形式で掲載するということがあり得るかもしれません。

 先ほど来の議論の中で、特に選挙期間中、外国にいる日本人が情報が乏しくなるのではないか、そういう人たちのためにも、いわばそういう最低限の情報について、公的にインターネットを通じて提供するということはやってもいいんじゃないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

○保利国務大臣 選管のホームページに選挙公報等を載せるということについては、先ほどもお答えを申し上げたのでありますが、選挙公報は、公職の候補者などの政見などを当該公職の候補者などが申請した原文のまま掲載するというものでございまして、選挙公報がどのようなものになるかは選挙運動にかかわる問題であるというふうに認識をしております。

 選挙運動の方法等については、これまで国会において、いろいろな審議、あるいは各党間の議論の積み重ねの中から、現在のようなルールがつくられてきたところでございまして、選挙公報をインターネットのホームページに掲載するか否かということについては、インターネットの利用を選挙運動の中でどう位置づけるかということと密接な関係がございますので、それを含めた議論を国会の中で、各党各会派においてしていただく、それで方向づけを出していただくというのがいいのではないか、このように考えておる次第であります。

○達増委員 国会の中で電子政府に関する議論もなされております。恐らく、そういう電子政府をつくっていく中の議論として、選挙を管理運営する側でそういう電子的な広報もという議論も可能だと思いますし、技術的にはもう非常に現実的なところまで来ておりますから、いずれ、やると決まったときにすぐできるような研究などは行政の中でもやれるのではないかというふうに思います。

 さて、次に、電子メールであります。これについても、先ほど他の委員の質問に答えて、文書図画に当たれば電子メールによる投票の呼びかけなどは違法になるのではないかということでありました。

 先ほど例として出ていたような個人の電子メール、確かに、今物すごい勢いで携帯電話を使った電子メールのやりとりが普及しているのは、それが安いからであります。普通におしゃべりをしていると一分二分かかってしまうものが、電子メールのデータのやりとりは瞬間で行われますから、それで、ここ半年の大きい変化だと思います、若い世代を中心に電子メール利用が物すごい勢いでふえている。

 一方、悪い電子メールというのもあるんです。これはやはり、メールアドレスを持っている国会議員の皆さんでいろいろ迷惑をこうむっている方がいるんじゃないかと思いますけれども、いろいろな怪しげなものを売ろうというセールスがどこからともなくたくさん来たりとか、あとは、インターネット上のわいせつ画像を取り締まることが決まったときには、反対する人たちから同じ内容の電子メールが大量に私のところに来て、非常な迷惑をいたしました。

 したがいまして、やはり、無制限な電子メールの利用というのは、ファクスによる紙爆弾などと同じでありまして、問題があると思っております。

 他方、個人的に、本当におしゃべりの感覚で電子メールのやりとりをする、携帯電話を使って個人間でやりとりをするような話は、運用面で、あるいは取り締まりの面といいますか、そこでかなり実態に照らした対処が求められるんではないかと思います。

 政府としてのお答えについては、先ほども質問の中で出ていましたので、さらに質問することはいたしませんけれども、そういう運用あるいは取り締まりの中で、悪いEメールじゃなく、いいEメールについては何らかの工夫ができないかということについてはいかがでしょうか。

○保利国務大臣 公職選挙法では、およそ人の視覚に訴えるものはすべて文書図画ととらえております。したがいまして、Eメールのように携帯電話やコンピューターのディスプレーに表示される画面は、公職選挙法上の文書図画に当たるものと解されておりまして、音声を伝達する電話とは異なるという解釈をいたしております。

 しかし、今委員いろいろお話しのように、Eメールもどんどん出てきておりますし、それから、先々インターネットが全国民的に普及をするという時代も来ないということを言うわけにもいかないというような状況というのにかんがみまして、今後の選挙のあり方というのは、二十一世紀の新しい姿というものを想定しながら、国会の中でいろいろ各党で御論議をいただくのがいいんじゃないかなと思います。

 ただ、私ちょっと懸念するのでありますが、これは国家公安委員長としての懸念でもありますが、電子社会というのは裏の部分がございまして、ハッカーあるいはサイバーテロと言われているようなものが随分横行しておる。その実体がなかなかつかみ得ないというようなこともある。アメリカはことし千七百億円、それから来年は二千二百億円ぐらい使ってハッカー対策をやると言われている時代に、日本はちょっとその点が手薄になっておりますので、こうしたものの普及というのが、将来、裏の対策なしに広まったときの恐ろしさというのを何か予感するのでありますが、こういったところもあわせて考えていくべきことかなと思います。

 いずれにいたしましても、各党各会派で電子関係については御論議いただくことを期待いたしております。

○達増委員 大臣おっしゃるとおりだと思います。ハッカーとかサイバーテロ的なことへ、セキュリティー面に対しては非常に気をつけなければならないと思います。ですから、選挙期間中ホームページを全面解禁しますと、それを妨害工作なんということもあり得ると思っておりまして、その意味でも、選管がきちっとサーバーを用意してくださればかなりいいんではないかと思っている次第であります。

 最後に、電子投票について伺います。
 先ごろ、議員会館のロビーで電子投票の実験が行われました。選挙の投票を電子的に行うことであります。また、今、マイクロソフト・ネットワークというところのホームページで、次の総理はだれがふさわしいかというネット投票が行われております。小沢一郎自由党党首が一位でありまして、中坊公平さんとか田中眞紀子さんが二位、三位のあたりに続いておりまして、一万何千のあたりで争っております。ちなみに森総理は二千とか三千のあたりに今いるのでありますけれども、そういうことが技術的にはかなり可能になってきている。

 それで、選挙制度を所管する自治省、大臣としてどのようにお考えか伺いたいと思います。

○平林政務次官 便宜私からお答えを申し上げます。
 電子投票、すなわち電子機器を用いた投票方式の導入ということにつきましては、メリットの面もございます。例えば開票時間の短縮というようなことが選挙の管理、執行の上で非常に有益だということも考えられるわけでございますが、現行の公職選挙法が原則といたしております自書式の投票方式を改めるという、いわば制度の改正が必要でございます。

 これにつきましては、平成六年の衆議院議員選挙制度の改革に合わせて記号式が採用された後で、議員提案によりまして自書式に戻った、こういういきさつがございます。そのいきさつなどを踏まえますと、国民の間に広い合意が得られる必要があるものと考えられます。

 また、費用対効果の検証とか、ハード、ソフト両面での安全対策などの解決をすべき多くの問題もある。これは、委員がおっしゃったようないろいろな問題がございます。確かにあると思います。

 さようなことで、自治省としましては、選挙事務に電子機器を導入することによって有権者の利便の向上を図る、投開票事務の迅速化を図るということは重要な課題と考えております。平成十一年の七月に電子機器利用による選挙システム研究会というものを設置いたしておりまして、研究会におきまして、現行の投開票事務における電子機器利用の状況や、諸外国の電子機器を利用した投票制度につきまして現在調査研究を進めておるというところでございます。平成十二年度におきましても、引き続き、電子機器を利用した投開票システムにつきまして調査研究を進めてまいりたい、さようなことを現在やっております。
 以上でございます。

○桜井委員長 達増君、時間が来ましたので簡潔に。

○達増委員 E政治の流れに対応した制度、運用を工夫することを希望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。


2000/04/13

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